月曜日, 4月 21, 2025
ホーム ブログ ページ 92

《食う寝る宇宙》25 「地球防衛拠点 大船渡シティ」構想

0

【コラム・玉置晋】20XX年、ここは岩手県大船渡シティ。岩手県を南北に伸びる北上山地の地下には全長50㌔の巨大な線形粒子加速器「国際リニアコライダーILC:International Linear Collider」が建造中。このプロジェクトの建設資材が大船渡港に陸揚げされる。

リアス式で水深が深い構造は大型運搬船の発着に有利で、トンネル掘削のための大型シールドマシンや粒子加速器の精密な部品が到着すると、大型トレーラに乗せられ内陸部に運ばれていく。来月には世界中から科学者や技術者が集まり、国際シンポジウムが開催される。

ここでは、もう一つの巨大計画「地球防衛拠点化プロジェクト」が進行中。米国ホワイトハウスでは、2010年代に地球接近小天体(NEO:Near Earth Object)や宇宙天気(Space Weather)による災害への準備戦略を進めてきたが、これを発展させ、国連直属の特務機関本部の設置場所として、大船渡シティが選定された。

振り返ると、2018年のあの講演から始まったのだ。

一緒に地球防衛しませんか?

ごめんなさい。上記はフィクションです。得意の妄想力を発揮してしまいました。ですが、実現するよう働きかけていきましょう。

さて、2018年10月18日、大船渡市を中心に活動されている「宙詠(そらよ)みサークル 朔(さく)」が主催するサイエンスカフェで、お話をさせていただきました。お題は「一緒に地球防衛しませんか?~宇宙天気防災プロジェクトチーム結成!~」です。

質問「宇宙の天気、知っていますか?」。最近、僕が講演させていただく際には、このネタを入れることにしています。僕は、宇宙天気にどっぷり漬かりすぎて、宇宙天気の知名度はすでに相当あると思っていましたが、9月1日に開催された「放送大学茨城学習センター教員・学生講演会」(本コラム21参照)では40名中2名(5%)でした。

これは、宇宙天気災害を危惧する者として看過しがたいデータです。さて、今回の大船渡講演では20名の方が参加してくださった中で4名(20%)の方が御存知でした。というわけで、岩手県の勝ち。次は水戸市で12月15日に講演する機会があるので、茨城県人がんばりましょう。

太陽のくしゃみ(フレア)で大打撃

講演会会場は、前面のスクリーンから後方の入口まで6.5㍍。このサイズを太陽と地球に当てはめると、230億分の1です。スクリーンの所にグレープフルーツぐらいの太陽があります。すると、地球は入り口に落ちている一粒の胡麻(ゴマ)。我々人類は地球胡麻の表面で生活し、太陽からの熱エネルギーの恩恵を受ける一方で、太陽のくしゃみ(太陽フレア)で大打撃を受ける可能性がある。

こんな話を、皆さん真剣に聞いてくださり、質疑応答も活発で時間オーバするほどでした。地元新聞社の方も取材にいらしていて、翌週の新聞で大きく取り上げてくださいました。大船渡の皆さん、いや、地球防衛隊の諸君、本当にお世話になりました。さあ、「地球防衛拠点 大船渡シティ」構想のスタートです。(宇宙天気防災研究者)

《地域包括ケア》23 孤立した高齢者を近所で助けよう

0

【コラム・室生勝】つくば市社協の地域見守りネットワークは、区会や民生委員の人たちの協力もあって点から面へと活動は広がり、「近助」とも言える近所の人たちの見守りや気づきで、孤立した高齢者が見出されている。

孤立は健康状態の悪化で外出できない身体的原因、無気力やうつ状態、認知症といった精神的要因、地域に知人がいない、あるいはなじめないといった環境要因で起こる。

無気力やうつ状態が引き金となり、あらゆることに無頓着になる状態のセルフネグレクト(自己放任)は、本人の意思で支援を拒否しているように見える。しかし、親しい人が亡くなるなどのつらい経験、認知症や精神疾患などによる判断力の低下、家族からの虐待などによる生きる意欲を失っている場合もあるので、注意すべきだ。

他人に対する不信感を持っている人も多くいるので、まずはコミュニケーションをとり、信頼関係を築くところから始めていくことが重要である。

最近は、援助してくれる身内、親類がなく、高齢のうえ病気や障害などで働きたくても働けない。また、不動産があって売ることができず、毎日の生活費に困っている人たちが増えている。

我が国では生活保護受給世帯数が増え続けている。中でも高齢者世帯の増加率は高い。厚労省が2014年に行った調査によれば、65歳以上の生活保護受給者のうち、年金を受給していた人の割合は47.8%。残りの52.2%の人は、年金収入が一切ない無年金者である。

ちょっとした支援から始める

近所の人たちの情報で、ふれあい相談員が区会や民生委員の協力を得て、家の外からの声かけに始まり、玄関先での会話へと進み、困っている状況を知ることになる。玄関で、大声で呼びかけるのは避けたほうがよい。

玄関先の会話へと進まない人には、キャリアがある保健師に協力を依頼する方法もある。後期高齢者は壮年期に各圏域の保健センターで健診や事後指導で保健婦に世話になった。「市役所の保健婦です」と声かければ玄関を開けてくれるだろう。

困っている状況が少しずつわかれば、ちょっとした支援から始めるとよい。手作り料理とゴミ出し袋を持って行く。高齢者の表情が和らげば、受入れてくれたと思っていい。困ったことがないか聴き、支援を求められなければ、また近くに来たら寄ると伝えて訪問を終える。相手の受け止め方を観察、配慮しながら支援する方法を考えてほしい。

孤立した高齢者が手料理やゴミ出しを受け入れるようになれば、近所への買い物支援に結びつき、高齢者の集まりにも誘いだす機会になる。社協のふれあい型食事サービスを利用するのもいい方法だ。民生委員が、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯の訪問調査から、さらに生活状況を知るときによく利用されている。

見守り活動から孤立した高齢者に必要な生活支援サービスの提供は、地域の高齢者にも範囲を広げたのが「生活支援体制整備事業」である。モデル圏域だけでなく、各圏域、各地域でできることから始めるべきだ。(高齢者サロン主宰)

《ご飯は世界を救う》5 古民家カフェ「サロン・クラウドナイン」

0

【コラム・川浪せつ子】まだ、もうちょっと芸術の秋ですので、そんな話題を(個人的には1年中、芸術…です)。今回は、ギャラリー併設の古民家カフェサロン「クラウドナイン」さん。閑静な住宅街の一角にある、築60年の納屋を改装した建物です。1階がカフェ、2階がギャラリーになっていて、芸術家の方々の交流の場でもあります。

お話は、つくば駅近くの筑波銀行本部2階にあるギャラリーに飛びます。こちらの場所は、無償で市民に貸して頂ける貴重なスペースで、予約を取るのが3年待ちという人気です。絵画のみならず、文化財になるような手作り人形や書道などの企画展もやっています。市民の方々の展示も力作ぞろいです。ですので、時間が取れる限り訪ねて、見させていただいています。

今年の夏前、そこで出会ったのが石山克氏の水彩画でした。水彩絵の具で大きな作品を作成するのは、なかなか大変です。見たとき、「どれほど時間がかかっているだろうか?どんな方が描かれているのだろうか?」でした。丁寧かつ厳粛な風景画。描いた方の思いがひしひしと伝わってきました。

ご本人がいらっしゃったのでお聞きすると、全くの独学ということで、それにも驚きました。経歴には書かれていなかったのですが、あとで調べると、「日本水彩画会」という1913年から続いている公募展の評議員さんでした。さすが!なるほど!

2階では石山克氏の画展

お話は「クラウドナイン」に戻りまして、石山氏が展示会をするというので見に行きました。もちろんランチも楽しみです。注文して来るまでの時間、2階のギャラリーに行くと、なんと、私の大学の先輩がいました。聞いてビックリ。石山氏と小学校が同級生。先輩は、油絵から版画までこなす芸術家です。久々で会ったので、近況をお聞きしてショック。

「ボクね、大腸ガンで、ステージ4。肺に転移。今、抗がん剤」。ニコニコしながら話してくれました…。現在、大腸ガン、女性では1番多くて、男性では3番目。昔は胃ガンでしたが、食生活の変化ですね。近ごろは、医師もステージなど、本人にもはっきり伝えるようになっているのですね。

先輩の版画は手軽に買えましたので、2作品持っています。その作品を見て拝んで、「どうか長生きしてください」と毎日祈っています。

「クラウドナイン」のランチ。こんな野菜多めのものを食していたら、病気にならないだろうなぁ、と思いながら味わいました。先輩に「一緒に食べましょう」と言いましたら、「昼はソバと決めてんの!」。頑固なのはよくないのよ~、体にもねぇ、と思いつつ。どうか元気で創作活動をお続けください。

そうそう、石山氏の作品は、ここでも裏切らなかったです。「PRして下さいね」とおっしゃっていたので、お名前出しましたよ。これからのご活躍楽しみにしています。(イラストレーター)

《くずかごの唄》25 世界湖沼会議 高校生の報告に感心

0

【コラム・奥井登美子】第17回世界湖沼会議に向けての土浦サテライト会議が、内容も人数も、今までの環境問題の行事を断然越えていた。こんなにたくさんの市民が、サテライト会議に参加してくれたのだと思うと、夢のような気がする。

いただいた資料を満遍なく丁寧に目を通してみた。私が注目したのは、高校生たちの発言だ。高校生の年齢で感じたことは、一生その人を支配する。地学、生物、化学、何でもいい。きっかけを作って、環境問題を真剣に考える基礎にしてほしい。

私も高校生の時、文学部長として芭蕉の「奥の細道」の絵巻づくりに熱中していた。しかし、殺生石のところで行き詰った。石の色と形が浮かばない。石の中に天然ヒ素が含まれていて、虫が回りで死んでいるという絵の構想が浮かばない。

大学受験で父と対立していた時期だ。父は祖父の加藤尚富の出身が二条城の御製薬所だったのを理由に、祖父の名をもらってつけた私に、どうしても薬科大学を受験して、薬剤師の資格だけは取っておけと言って聞かない。

文学少女が薬剤師になったわけ

文学部か薬学部か迷っている時に、殺生石のひ素が出てきてしまった。父は「薬大に行けば、ヒ素の知識なんか簡単にわかるよ」と言って、私をけしかける。

あまり気が進まずに入った薬科大学。そこの授業で、東大の衛生裁判化学の助教授だった奥井誠一に、ヒ素の検出法などを教わった。奥井誠一は森永ひ素ミルク事件裁判の時、ヒ素中毒の証言をしたくらいだから、ヒ素毒については日本で一番詳しかったらしい。

私は食い入るように彼の話を聞いていた。何年かたって、回りまわった運命のいたずらで、彼の弟と結婚した後も、誠一兄から、ヒ素が実際にまぎれて入ってしまった怖い事例を、たくさん聞いてしまった。

無味、無臭の微量物質が人間の生死にどんな形で関係してくるか。ナポレオンもヒ素で殺されたという噂がある。高校時代に抱いた興味と、学生時代に学んだ微量毒物の知識は、その後、土浦に来てからの「土浦の自然を守る会」の活動にけっこう役に立った。(随筆家)

《土着通信部》24 深まる秋の宝篋山ナイト

0
宝篋山頂から北条の街明かり越しに下妻市方面を望む

【コラム・相沢冬樹】つくば市—土浦市境に位置する宝篋(ほうきょう)山頂、標高461㍍はつくば市では筑波山(女体山、男体山)に次ぐ3番目の頂き、土浦市にあっては最高地点となる。「この高さが夜景を見るにはちょうどいいんです」と宝篋山小田休憩所の東郷重夫さん。毎年秋の終わりに山頂からの夜景観賞ツアーを仕掛けてきた。

「10数年前、集落調査に来ていた筑波大学の学生らを案内して、夜の宝篋山に登ったのがきっかけだった。山頂は今みたいに整備してなくてやぶだらけだったけど、見晴らすと遠近に街の灯がともり、やがて光の海になる。感動して泣き出す女子学生もいてね」

東は土浦市街に霞ケ浦の地形が入り込んで輪郭をつくり、南は東京方面へ道路網が伸び都会のビル明かりが林立する。西は気象条件がよければ入り日に富士山のシルエットが浮かび、北には筑波山の双峰が立ち上がる。2005年のTX開業以降、宝篋山は日帰りトレッキングに手頃な山として知られるようになり、リピーターの多さが特徴となったが、複数のルートを登り切ってしまうと夜景見物に興ずるものが現れだした。

東郷さんによれば「夜ばかり5回も登った」という女性もいるそうだが、日没後の単身登山はさすがに勧められない。イノシシとの遭遇も危ぶまれ、ガイド付きの夜景観賞ツアーを企画した。空気が澄んでくる晩秋にマイクロバスをチャーターして、ツアーを組むようになった。電波鉄塔が立ち並ぶ宝篋山周辺には建設用・管理用の道路が進入していて、許可があれば山頂付近まで車で近づけるのである。

あの辺にスカイツリーが見える

かといって年に1度の鑑賞機会、いつも天候に恵まれるとは限らない。今季の開催日も朝から曇りがちで、日没を待ってのツアーでは、遠景ほどよどむ空気に霞んでしまった。約50人の参加者を引き連れ、「晴れてるなら、あの辺にスカイツリーがはっきり見えるんですけどね」と東郷さんの声が響く。山頂に30分ほど滞在して、深まる暮色のなか光量を増すパノラマを楽しんだ。

実は2018年度、筑波山は「日本夜景遺産」に認定された。筑波観光鉄道(つくば市)のロープウエーとケーブルカーが毎年9月から2月にかけ、夜の空中散歩と称して「スターダストクルージング」を運行する活動が評価されてのもの。民間団体による「日本夜景遺産」は今年度14回目、応募のなかから14カ所を選び、認定地は全国236カ所にもなった。

「筑波山より低い宝篋山だけど、手前にある分関東平野の広がりを実感できる。だから山登りも夜景ツアーもリピーターが多くなるんです。この先の元朝参りもまた登山客でにぎわうに違いない」。平成最後の元旦となる2019年1月1日の日の出時刻は午前06時50分ごろ。霞ケ浦越しのご来光が拝めれば、西の富士が朝日に映える眺望を見せてくれるはずだ。未明の山道を歩くため、懐中電灯携行は必至。小田休憩所の駐車場は午前4時前には満車になってしまうだろうということだった。(ブロガー)

▽宝篋山小田休憩所 電話029-867-1368

《吾妻カガミ》43 クレオ問題 そして祭りは終わった?

0
つくば市役所

【コラム・坂本栄】つくば市はクレオ再生計画の推進を断念しました。市と民間会社が出資して「まちづくり会社」を設立する、リフォーム床には商業・公共施設を入れる、出資金に改修費を加えると71億円かかる―こういった内容でしたが、2日、関連予算案を議会に出すのを諦めました。

市のプランは力が入ったものであり、市長も意気込んでこのプロジェクトに臨みました。それなのに、どうして断念したのでしょう。一言でいえば、関連予算案を出しても否決されると読んだからです。さらに言えば、プランそのものが合理性に欠け、議会の説得が下手だったからです。

施(政)策の合理性と政治家の説得力の必要性については、このコラム「五十嵐市政 決断モードに」(10月1日)でも触れました。その意味では心配が的中したことになり、市にとってはとても残念なことです。

また同じコラムで、市のアンケート調査の問題点も指摘しました。市長はこのリサーチを踏まえ、回答者の8割以上が市のプランを支持していると胸を張りました。しかし、計画の断念によって、結果、彼ら彼女たちは裏切られました。

「クレオ祭り」はこれで終わったのでしょうか? まだ続くでしょう。というのは、市は時間軸を曖昧にしたまま、つくば駅周辺にマンションを建てさせない用途制限措置を導入しようとしているからです。これでは、駆け込み建設を誘導しているようなものです。

記事と論評で情報を提供

当サイトは「クレオ再生問題」について豊富な情報を提供しました。というのは、地域のNPOメディアとして「行政の監視」を編集の方針に掲げているからです。

市の計画発表(6月12日9月4日同28日10月18日同25日11月2日)、アンケート調査(8月1日9月4日10月18日)、市民説明会(10月10日同12日同14日同15日)など、新聞などに比べると、記事量は圧倒的に多く、速かったと思います。紙面の制約がない、24時間発信できる「ネット新聞」の強みです。

また、一般記事だけでは、市のプランやアクションの意味がよく分からないと考え、コラム欄を使った論評にも力を注ぎました。「クレオ再生調査 市は方向性を誘導」(9月13日)、「クレオ再生計画 サスペンス映画の手法」(10月11日)、「クレオ改修案に強い違和感」(10月15日)、「クレオ再生計画に異議ありⅠ」(10月29日)、「クレオ再生計画に異議ありⅡ」(10月30日)などです。

「NEWSつくば」は自前サイトのほか、フェイスブック、ツィッターなどSNSでもニュースを発信しています。パソコン、タブレット、スマホで読める上記の記事や論評が、クレオ問題を理解する際の一助になったのではないかと自負しております。(経済ジャーナリスト、NEWSつくば理事長)

《猫と暮らせば》6 新聞はいらない 新聞紙はほしい

0
最近はちり紙交換車が姿を消し、不用品回収業者が古新聞を回収していく=つくば市松代

【コラム・橋立多美】当サイトの前身は地域紙「常陽新聞」。多くの地方紙同様、インターネットの普及で購読者と広告料が見込めず、昨年春に休刊した。新聞社の片隅にいた者として、最近ショックを受けたのは通販サイトで「印刷されていない新聞紙」が売られていることだ。そこには「引越しや荷造りの包装材、緩衝材、すき間埋め材として最適」のうたい文句が添えられている。

購入した人のレビュー(評価)を読むと、鳥かごや小動物のゲージの敷物や幼児の落書き用に便利、新聞をとっていない我が家の必需品、かばんや靴などの型くずれ防止に使っているなど好評だ。極め付きは「字だと(印刷されていると)うるさくて生活感がでる」だ。

価格は新聞1カ月分に相当する10㌔で2000円、5㌔は1500円。東京新聞統合版なら1カ月2623円で、600円上乗せすれば情報が入手できる。が、英字新聞ならおしゃれだが日本語の新聞はダサいということだろう。

そこには新聞は生活に必要な情報源という意識は欠落している。また読み終えた古新聞は弁当箱を包む、湿らせてちぎって床にまいて掃く、水を含ませて窓や鏡の掃除に使うといった先人たちの知恵も消え去ったと思われる。

「NEWSつくば」が卒論のテーマ!

これほどまでに市井の人々から見放された新聞の購読部数を調べた。日本新聞協会によると、2000年の1世帯当たりの新聞購読部数は1.13部だったが、17年には0.75部と大きく落ち込んでいる。しかし、1世帯当たり0.75部の新聞を購読しているとする同協会のデータは信用できない。

40世帯の集合住宅に住んでいるが、朝刊は10軒に配達されるだけで、郵便受けに投函された夕刊を見たことはない。多分、新聞社が販売店に実際の宅配部数以上の新聞を押しつけて買い取らせる「押し紙」を含んでいると予想でき、実配部数は新聞協会が公表している部数より低いと考えられる。

常陽新聞が倒れ「地域情報の灯を消したくない」と、わずかな資金で多くの人に情報が届く道を探してたどり着いた「NEWSつくば」。相次ぐ地方紙の廃刊と私たちの取り組みが卒論の格好の題材になったようで、このところ武蔵大や茨城大の学生たちが取材に訪れる。彼らこそ紙媒体よりスマホで情報を得ているのでは、と逆取材したくなる気持ちを抑えて対応している。いずれにしろ、彼らのデジタルな感性で現状をどう捉えるか楽しみだ。

情報をめぐる地殻変動の時代の中で、当サイトはスタートから1年を迎えた。これからが正念場なのだろう。(ライター)

《続・気軽にSOS》24 昨年度の県内いじめ 過去最多

0

【コラム・浅井和幸】茨城新聞クロスアイに「茨城県内いじめ2万件 過去最多 17年度、小学校6割増加」という記事がありました。文部科学省のサイト「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」もご覧ください。

この事実はとても残念で悲しいことです。しかし、嘆き悲しむだけでなく、事実には事実として対処していくことが大切です。その時、短絡的に、いじめた児童生徒の厳罰化が求められがちです。大まかには、私は厳罰化には反対です。

いじめの解決に、下手な監視の強化と厳罰は、問題が見えないところで行われるなど、いじめが巧みになっていく構図は、私たち大人の世界と変わりません。今回は取り上げませんが、その組織で対応できないほどの大問題であるなどを除き、排除することも反対です。

厳罰化のデメリットを考えてみます。浅井流ではありますが、いじめの発生システムの3要素を次のように考えています。①閉鎖的な空間と②上下(強弱)関係がある場で③ストレスをかけるという―3つです。(2つ目の上下関係は、腕力、地位、言葉、人数など、様々な要素が考えられます)

厳罰は、この3要素をさらに強めることになります。つまり、その場、もしくは別に場を移して、いじめの起こりやすい場を作り出す一助にすらなってしまうと私は考えます。

余談ですが、私の知っているいくつかのケースで、厳然とした対処で家族ごと犯罪者の取り調べのような対応をされ、毎日のように反省文を書いてはダメ出しをされては反省文を書くという連続で疲れ切ってしまい、いじめた生徒には精神的な症状まで出ているというものもありました。

いじめをしないほうが得

話を戻し、3要素を緩和することを考えてほしいというのが、私の提案です。学校の外部との交流をすることで、開放的な空間にする。良好なコミュニケーションが取れる場にして、違う立場や意見を尊重しあえるようにする。個々のストレスは、各々の力量により対応が出来るようなストレスに調整する。

「あいつぶん殴ってやりてぇ」なんて児童生徒がいったら、「そんなこと言っちゃダメでしょ」と言ったり、思ったりするだけでダメだと叱り、苦しさを心の中に抑圧させるような教育、指導はしていないでしょうか?そのくせ大人は、あんな職場辞めてやると居酒屋で大声を出し、しれっと次の月曜日には職場に向かっていませんか?

もう一つ付け加えると、いじめをしないほうが得であることを、「罰を受けない」ではないことで考えることです。小さなことでも達成する喜び、喜びを分かち合う喜びを感じられる環境。人の役に立つことの喜びを経験することです。

それでも、今の多くの「社会正義」は、悪いことをしたやつに罰を与えることなのでしょう。家族ごとひっくるめて、いじめをした児童生徒を、社会がいじめることで問題解決と手を打つことになりかねない事実に、これからも直面し続けるのだろうと、今回は、わざとネガティブに文章を閉じたいと思います。(精神保健福祉士)

 

《ことばのおはなし》3 金魚と台風のおはなし

0
金魚すくい

【コラム・山口絹記】我が家で飼っていた金魚が死んでしまった。

夏祭りの金魚すくいで、妻と娘がとってきた金魚だった。魚と暮らすのは初めてだったが、すっかり愛着がわいてしまい、ご飯をあげるのが楽しみになっていた。

死んでしまった金魚をゴミ袋に入れる気にはどうしてもなれず、土に埋めることにした。まだ3歳の娘は、動かなくなった金魚を手のひらにのせ、不思議そうに見ていた。私は金魚が死んでしまったこと、土に埋めれば草木の栄養になることを説明し、「金魚さんに、さよならしよう。また来てね。バイバイって」と言った。

「また来てね」ということばを差し込んでしまったのは、死というものを説明すべきか、という迷いからきたものだった。もっと言えば、「死ぬって何?」という娘の質問を、未然に防ぐためのものだった。私はつまり、説明することから逃げたのだ。

娘は「金魚さん、また来てね。バイバイ」と言いながら、こんもりとした土の山に手を振った。瞬間、私は少し反省した。娘には、私の考えていること、知っている限りのことを話すようにしているからだ。

「台風はどうして日本に来るの?」と尋ねられれば、「偏西風っていう風に乗って来るんだよ」と答える。私の説明が不十分だったのか、娘の中では、台風は台風のお家から風にのって日本にやってきて、用事が済むとまた家に帰ることになっているらしい。娘の世界観では、あらゆるものに帰る家があるのだろう。

再会できない別れ

私は、再会できない別れがあると言い切ることをためらってしまった。少なくとも私の知る限り、死んだ金魚が帰ってくることはない。実際のところ、3歳の娘に永久の別れを説明する必要はないと思う。しかし、それでも、もっと誠実な説明の仕方があったのではないだろうか。「死とは何か」という深遠な問いに答えを出そうというのではない。たとえいくらでも解釈の余地がある問いだとしても、私はできる限り自分なりの考えをことばにしたいと思っているということだ。

死ぬということの一面は、過去のものになるということだ。夜になると、「朝はずっとずっと遠くにいるの?」と尋ねてくる娘には、遠くにいったと説明するほうがわかりやすいだろうか。そして、もう帰ってはこないと付け足さなくてはならない。

過去や遠くにあるもの、つまりここにはないものについては、ことばで語るしかない。私が死ねば、私自身はもうことばを発することはできない。語られる対象になる。私なりに言いかえれば、私自身がことばそのものになるということだ。

だから私は物語る。少なくとも私にとっては、それが生きるということだ。

最近、金魚のシールを見つけた娘が、「パパ、金魚さん見つけたよ」と嬉しそうにしていた。空っぽになった水槽に、もう一度水を入れようか。いや、その前に、金魚の飼育についてきちんと調べ直してみよう。(言語研究者)

《光の図書館だより》12 開館1周年記念「図書館フェス」を開催

0
土浦市立図書館

【コラム・入沢弘子】11月に入りました。当館が移転開館してから1年が経とうとしています。光陰矢の如し。当館は昨年11月27日に開館。運営の基本方針を「地域のまちづくり・ひとづくりに役立つ みんなの図書館」とし、運営にあたっては3つの柱を掲げました。

1つ目は生涯学習と情報の拠点、2つ目は課題解決支援。これら2つの基本的機能は、これまで以上に充実させるという考えです。3つ目は市の総合計画で示された、新しい使命である"まちづくりの拠点"としての図書館。図書館を核として駅前に人を呼び込み、中心市街地への流れを作るシティプロモーションを実施することです。

この1年、これらを実現させるべく、職員一丸となって事業に取り組んできました。

そして現在。多くの市民やボランティアの方々、利用者の皆さんや周辺の事業者さん達に支えていただいたおかげで、昨日までに約54万人が来館。図書館前広場では、定期的にマルシェやイベントを開催する方々も増え、賑わいが見られるようになりました。

土浦出身漫画家の原画展も

この流れを少しずつでも大きくして、市内に広げていきたいと願っています。

開館1周年にあたり、11月21日から27日までの期間、"図書館フェス"を開催します。既存の利用者の方には益々図書館に親しみを感じていただくこと、新規の方には来館動機になること、そして駅前の活性化に貢献したいという願いを込めています。

18の企画は、土浦出身の江戸川乱歩賞受賞のSF作家・高野史緒さんの講演会、土浦出身の漫画家・小林じんこさんの原画展とタイアップした図書展示、土浦出身のケーナ奏者・渡辺大輔さんのコンサート、土浦をイメージしてブレンドしたコーヒーをバリスタが淹れたてで提供する企画―などです。決定次第、当館ホームページやポスター・チラシでお知らせします。

よい図書館は、よき利用者の方々と共に作り上げていくもの。末長く愛される図書館づくりに向け、2年目もしっかりと運営していきたいと思います。(土浦市立図書館館長)

《茨城の創生を考える》7 市のクレオ再生計画に異議あり Ⅱ

0
つくば市センター地区のデッキエリア

【コラム・中尾隆友】昨日29日のコラムでは、市のクレオ再生の問題点を2つ指摘しましたが、本日はその続きです。

共同出資者サイバーダイン

3つめの問題は、まちづくり会社に20億を出資するのがサイバーダインであることだ。サイバーダインは現時点では潤沢なキャッシュを持っている。しかしながら、企業としての見通しは非常に厳しいといわざるをえない。

私も10年以上前はサイバーダインと同じ施設に入居していたので、その当時から同社への地元の期待は非常に高かったということもあり、専門家として各方面の方々から同社の将来性について聞かれることが多かった。その当時から「5年経っても10年経っても黒字になる可能性は低いだろう」と答えていたのだが、実際に同社は創業以来、1回も黒字になったことがない。今後も非常に厳しい見通しであるのは変わらないと思う。(その理由は今回のコラムとは直接関係がないため割愛させていただく)

市長は「サイバーダインは(300億円の)お金を持っているから大丈夫です」というが、同社が10年後、20年後に経営体力がなくなった時に、大株主と一蓮托生のクレオも同じ運命をたどりはしないかと強い懸念を抱いている。なお、同社がなぜそれだけの現金を持っているのか、市長にはそこまで思いをはせて慎重に発言してもらいたかった。ビジネスの世界ではありえない発言だったので、たいへん驚いたと同時に残念に思っている次第だ。

市場調査が中途半端 リスクの再点検を

最後に4つめの問題は、マーケティングが中途半端だということだ。だから、テナントをすべて埋めることができれば何とかなるだろうという発想に陥ってしまうのだ。坂本栄氏(10月15日のコラム)が指摘しているように、テナントの賃料を周辺の相場の半分程度にしなければ埋められないというのであれば、それは行政による民業圧迫にほかならないし、市が魅力あるプランを提示できていないと暴露しているようなものだ。

マーケティングで大事なのは、具体的にどのような内容でどのような母集団に対して聞くかということだ。「周辺住民がどのような施設やテナントを望んでいるのか」「望むテナントがあればどのくらいの頻度で行こうと思うか」「駅前に西武があった時はどういうルートで買い物をしていたか」「今、主に買い物をしている場所はどこか」「今、どういうルートで買い物をしていることが多いか」「家計簿に占める食費や娯楽費の内訳」など(聞きたい項目はその他にもたくさんあるが)、マーケティングを徹底的に行い、公共性や周囲への波及効果も含め、データを可視化(見える化)することが不可欠だろう。

私は行政をそれなりに経験していたので、行政が持っているデータは宝の山だとわかっている。しっかりしたマーケティングの結果と行政が持っているデータを組み合わせれば、それ相応の良いプランができるだろうし、地元に根を下ろしている民間企業や金融機関も出資を前向きに検討してくれるのではないだろうか。私の経営感覚からすると、今のプランのままでも1年~2年はそこそこのにぎわいを見せるだろうが、長期的な視点ではかなり厳しいと見ているところだ。

市民向けの説明会に出席して率直に思ったのは、市は筑波都市整備や他の近隣の公共施設ともコミュニケーションができていないということだ。時間がなかったといえばそれまでだが、駅前を本気で再生したいのであれば、市が単独で突っ走るのではなく、周辺との緊密な連携・協力は欠かせないはずだ。

現実には、クレオ再生の方向性はすでに決定していて、説明会で市民の意見を一応聞いたというアリバイづくりをしているに過ぎないのだろうが、いずれにしても、市には現行の計画のリスクを再度総点検したうえで、より良い計画に仕上げていってほしいと願っている次第だ。(経営アドバイザー)

《茨城の創生を考える》6 市のクレオ再生計画に異議あり Ⅰ

0
つくば市センター地区のデッキエリア

【コラム・中尾隆友】つくばの駅前の再生については、「NEWSつくば」でも、市のプラン(9月28日記事)、市長説明会(10月10日、同12日、同14日、同15日記事)、市議会全員協議会(10月18日記事)など、たびたび報道されている。そこで私のコラムでは、市のプランにおける問題点を指摘したうえで、できるだけ市のリスク、ひいては住民のリスクを軽減できる方向に進むように提案したい。

改修では使い勝手が悪い

1つめの問題は、既存の建物を使うという制約にある。にぎわいのある施設にするためには、魅力あるテナントやコンテンツがどれだけそろうのかということに尽きる。多くの人がリピーターになりたいと思うテナントやコンテンツがそろって初めて、新しい施設は人が集まるだけでなく収支の見込みも立つようになるからだ。

つくばの強みを活かせる科学施設を一部に入れるという発想自体は賛成したいところだが、魅力あるコンテンツをつくるためにはどうしても天上高が足りない。私が考えるいくつかの体験型施設では、最低でも5㍍の天井高が必要となるのだ。逆に、経営者の目線からすれば、建物自体に価値が見出せない場所に、わざわざテナントやコンテンツを持って来るという動機は薄れる。自らのブランド価値を毀損(きそん)させかねないからだ。

そのうえ、多くの住民が指摘しているように、隣接する立体駐車場の使い勝手は非常に悪い。市は1区画の幅を広げる対応をするというが、それだけでは多くの消費者が自家用車を使ってたびたび行きたいと思う利便性を満たすことは不可能だ。要するに、建物も駐車場も解体して立て直すしかないというのが私の意見だ。

それができないのであれば、市が関わる案件としてはリスクが高すぎると思う。市がまちづくり会社をつくるのは、官民が連携して成功した唯一の事例であるオガール紫波(岩手県紫波町)を念頭に置いているようだが、決定的な違いはオガール紫波が更地に自由に施設を建設できたのに対して、つくばでは既存の建物を使うという大きな足かせがあることだ。この違いは、今後の展開を考えた時にことのほか大きい。

問題を抱える筑波都市整備

2つめの問題は、駅前を再生するためには、クレオだけ再生すればいいというわけではないことだ。隣接する商業施設であるキュートとモグの再生なくして、駅前全体の再生はおぼつかなくなるからだ。

筑波都市整備はクレオ、キュート、モグをまとめて売却したい意向だが、それには資金繰りに切迫しているという事情がある。同社は西武が入居当初に支払った保証金(敷金)50億円強をまだ返還できていない。本来であれば、保証金は分別管理して使わないはずなのだが、それを使ってしまったというのは、同社がまともな会社としての体をなしていなかったことを如実に表している。

第3セクターの筑波都市整備に街づくりをするノウハウや情熱を求めるのは酷かもしれないが、センタービルも含めて中心部から撤退したい同社に対して市が引き続きキュートとモグの運営・管理を任せたいと考えているのは、駅前の再生という観点からすれば矛盾しているし、非常に心もとないと思う。おまけに、筑波都市整備は資金繰りを安定させるために、キュートとモグをマンション業者に売却する可能性は決して低くはないのだ。

市が本当に中心部を再生したいのであれば、建物の建て替えを考えたほうがベターである。また、クレオという「点」だけで考えていてはダメであって、キュート、モグ、センタービルも合わせて「面」で再生するというデザインを描く必要性を強く感じている。キュートやモグまでがマンションになってしまっては、市の目指すクレオ再生の趣旨から大きく逸脱してしまうだろう。この続きはあす(30日)掲載されます。(経営アドバイザー)

《食う寝る宇宙》24 一緒に地球防衛しませんか?

0

【コラム・玉置晋】土浦市の自宅を朝7時に出発する予定が、バタバタ準備していたら30分の遅延。時間制限ありの長距離ドライブ場合、30分の遅延が致命傷になることもあるので、ちょっとドキドキ。常磐自動車道に土浦北ICから乗り、北上します。18時に岩手県大船渡市に待ち人ありでございます。

地球防衛軍TDF

地球を襲う怪獣を倒すために、ウルトラマンはM78星雲からやってきます。ウルトラマンの世界では、M78星雲は銀河系から300万光年離れた所に存在することになっていますが、実際はオリオンの腰のあたり、地球から1600光年の所にあるそうです。

さて、男の子(女の子も?)は、ウルトラマン自身になる、またはウルトラマンと共に戦う警備隊に入りたいと思うのが誰しも通る道です(最近のお子様はどうなのでしょう?)。そして、その上部組織が地球防衛軍(TDF:Terrestrial Defense Force)です。今回の大船渡行きの目的はTDF隊員の募集であります。

大地震災害の爪痕

2015年に常磐道が仙台まで全線開通。茨城から東北へのアクセスが格段によくなりました。常磐道は福島県の浜通りを南北に通過します。11年の東日本大震災から7年が経過しましたが、福島第一原発事故による帰還困難地域は時間が停止しています。

高速道の側面には除染廃棄物が詰められた黒い袋が行き場なく積み上げられており、放射線遮へいのためか、通路側には高い金属板の壁が立ち並びます。黒い袋からは「セイタカアワダチソウ」が黄色い花を咲かせています。帰還困難地域はヒトがいなくなった一方で、「自然」が拡大しています。高速道の周辺地域は黄色い花が一面に広がり、傷んだ建物が埋もれつつあります。

仙台からは東北自動車道で北上し、岩手県の一関ICで一般道に降りた後、太平洋に向かって山道を東に進みます。海が見えてきますと、そこは陸前高田市でした。この市は津波の壊滅的な被害を受けた地域です。

津波を耐え抜いた「奇跡の一本松」は復興のシンボルとして知られています。近くには震災遺構として、3階建の中学校校舎が当時のまま残されていますが、後で調べたところ、津波は校舎の屋上を超えていたとのことです。避難先の学校の、しかも屋上でさえも逃げ切れない災害がここで起きた。

僕のカーナビの地図データは08年版と古いもので、あるはずの道がない、橋がない、街がない。「防災」は僕の人生後半のキーワードであり続けるでしょう。

宇宙天気防災講演会

大船渡市に到着したのは14時すぎ。所要時間は約7時間といったところです。天文サークル「宙詠(そらよ)みサークル 朔(さく)」が主催するサイエンスカフェ「宇宙天気防災講演会 一緒に地球防衛しませんか?~宇宙天気防災プロヘクトチーム結成!~」の講師として呼んでいただいたのでした。

開演に間に合い、ホッとしました。講演の様子は次回コラムで紹介したいと思います。(宇宙天気防災研究者)

《地域包括ケア》22 高齢者の自助・互助・共助・公助

0

【コラム・室生勝】地域包括ケアシステムは、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい生活を最期まで送れるように、地域内でサポートし合うシステムであることを確認しておこう。

団塊の世代(1947~49年生まれ)が全て75歳以上となる2025年には、要介護者が増えて介護保険のホームヘルパーや施設の介護職員・看護師が不足し、現在のサービスだけでは高齢者を支え切れなくなり、地域住民同士で支えることが必要になってくる。

現在でも、介護認定を受けずに生活している高齢者、特に後期高齢者のひとり暮らしや高齢者だけの世帯では、近所の人、区会役員、民生委員らに有形無形のお世話になっている。例えば、ゴミ出し、郵便物投函、高い位置の電球交換など、ちょっとした助けを受けている。すなわち、自助・互助・共助・公助のうちの互助である。

自助(個人)は自分で自分を助けることで、高齢者自身が自己健康管理を学び、要介護にならないように介護予防に取り組むことが望まれる。地域の高齢者サロン(例えばふれあいサロン)の健康増進課による出前講座で、自宅血圧測定、ストレッチやシルバーリハビリ体操などを学び、毎日行うように習慣づけることである。

高齢者交流サロン

互助(近隣)は、近所の人たちや友人など、高齢者同士が助け合い、それぞれが抱える生活課題をお互いが解決する活動である。ゴミ出し、歩いて行ける近所への外出支援や買い物支援、さらに調理、洗濯、掃除、布団干しなどの家事支援がある。手紙の投函、電球の交換、カーテンの取り替えなどちょっとした支援もある。これらは、区会単位の比較的狭い範囲の顔見知りの支援が適している。

小学校区単位、圏域単位と広範囲の互助には、車による移送サービスがある。近くの店では入手できない物の買いもの、郵便局・銀行・医療機関などへの送迎である。医療機関での待合い・診察・検査は時間がかかるので、往路だけの移送サービスとなり、帰路はタクシー初乗運賃助成券を利用することになる。

高齢者交流サロンは、徒歩あるいは車イスで通える距離内に設置され、区会単位の互助である。ひとり暮らしや高齢者のみの世帯、昼間独居となる高齢者が家に閉じこもらないように、少なくとも月に2回、できれば毎週、半日開くサロンで、介護予防(要介護にならない)の拠点となる。前期高齢者が後期高齢者を支えるタイプのサロンが望ましい。

見守りは、つくば市社協の「地域見守りネットワーク事業」(※)が地域の絆を強める。2013年度から、各地域で点として始まった活動が広がりをみせ、全市に面として展開しつつある。孤立しがちな高齢者を、ふれあい相談員と見守り支援員のチームが見守ることで、地域住民同士の連帯感を強め、互助活動を促進している。(高齢者サロン主宰)

※ 2017年度全国社会福祉大会で全国社協会長表彰の優良活動表彰を受賞

《宍塚の里山》25 秋の野鳥 ミサゴ、カケス、モズ…

0
林に向かうカケス

【コラム・及川ひろみ】秋も深まってきました。この時期、多くの野鳥が里山にやって来ます。冬に向かい、さらに南に渡って行く途中に立ち寄ったものと、冬を里山で過ごすためにやって来るものと、様々な種類が見られます。

渡りの途中のホトトギスは、桜に付く虫を盛んに食べ、少し前に南へ旅立って行きました。今年は池の水が例年より少なく、浅い水面が広がっていますが、魚を捉えるミサゴ(魚をよく狩る大型のタカ)が池にダイブし魚を狩る姿がよく見られます。ミサゴは間もなく南(西)に向かうことでしょう。

池では、バンの群れが水面に残った水草の上を器用に猛烈なスピードで歩き、時にはばたく姿が見られます。水面の枯れたヒシをついばんでいます。また、ドングリが好物なカケスは、ドングリを冬の餌として林床に隠しますが、ドングリをくわえたカケスが林に向かう姿がこの時期よく見られます。運がいいと、林床に隠すところも見られます。口先に見えるのは1個ですが、1度に5~6個口に入れ運びます。

カケスはギャーギャーとよく鳴きますが、渡ってきたころは特ににぎやかに鳴くような気がします。他の鳥の鳴き声をまねるのも上手で、だまされることがあります。カケスの声は本来ダミ声で美しいものではありません。まねた時少しダミ声が混じることがあり、ちょっと変だと思うとカケスの声だったりします。

真冬に夏鳥のサシバの鳴き声を聞きました。どうして、今ごろサシバが、と耳をそばだてると、わずかにしゃがれ声が混ざり、カケスかと気づいたとたん、ギャーとカケス本来の声に変わりました。

マガモ、コガモ、ハシビロガモ

物まねと言えば、モズもよく他の鳥の鳴き声をまねます。今ごろのモズは樹のてっぺんで、テリトリー宣言をしているかのように、ギーギーと盛んに高鳴きをしていますが、春になるとツバメ、シジュウカラ、時にはインコの鳴きまね、それも次々繰り出し、技を見せびらかすように鳴きます。秋の鳥の代表的な小鳥、モズを「百舌」と書く所以です。

池にはカモたちもやって来ています。マガモ、コガモ、ハシビロガモ、いろいろ見られますが、どれも地味な色で、真冬のカモとは大違いです。シベリアやカムチャッカで子育てをするカモ、オスが派手な姿であったらキツネなどの動物に狙われ危険です。

ヒナを育てる時期は、メス同様地味な姿をしています。秋、日本に渡って来たばかりの時には、オスはメスそっくり、目を凝らしてよく見ないとオスであることが分かりません。

さて、冬に向かい恋の季節を迎えるころまでには美しい姿に変身します。季節の移ろいとともに、生き物のさまざまなドラマに出合います。里山、これからますます野鳥が増えます。(宍塚の自然と歴史の会代表)

《ひょうたんの眼》10 平成の大合併で生まれた市町村名

0
便利な地図帳「ワールドアトラス」

【コラム・高橋恵一】大きな催しや災害、事件などで国内外の都市名が報道されるが、便利なのは「TVのそばに一冊。ワールドアトラス」という地図帳だ。世界の諸地域と日本の各地方の全部を網羅していて、週刊誌レベルの大きさ。余計な情報が無いので、目指す国や都市を見つけやすい。

初訂版を20年以上愛用していたが、その間、平成の大合併が日本を襲い、世界も6カ国増えて、変化を頭の中だけでは追いきれなくなり、同じものの第7版を手に入れた。なんと、値段は1,200円のままで、内税のため実質値下げになっている。世界地図には、世界遺産が記載され、日本地図には高速道路が引かれていて、多少込み入って来たが、他の情報過多の地図帳より見やすく、ほっとしている。

さて、地図帳の宣伝をしているわけではなく、メディアから発せられる地名に違和感が多いことを述べたいのだ。

メディアや地図帳に文句があるわけではないが、平成の大合併に伴う「新都市名」には、10年以上たった現在でも、違和感が多過ぎる。新市町村名は、それぞれの自治体が、民主的な手続きを経て決めたもので、他人が口を出せることではないかもしれないが、人名、地名、施設名などは、他者に、その人、場所、施設を他と区別して認識してもらう意味も大きいのだ。

特に、地名は、位置や歴史、産業、名勝などと強くかかわっている。地元、茨城県にも、違和感のある新市名が出来てしまったが、身近なところで争いたくないので、なるべく離れたところに、愚痴を言ってみたい。

「中央市」ってどこにあるの?

先ず、「中央市」だ。一体、どこにあるのだ。東京都の中央区が独立して「市」になったわけでもあるまい。日本の中央に位置する都市の意味なのかもしれないが、市の名称が大き過ぎて、位置が分からない。歴史上の地名でもなく、特に有名な施設があるわけでもなさそうだ。甲府市の南にたどり着くまでには、地図帳の索引を使っても容易ではない。長野県ともめるかもしれないが、中央市に隣接する「南アルプス市」の方が、まだましかも知れない。

同じく、「四国中央市」だ。伊予三島や川之江が合併して出来た新市だが、四国の屋根・石鎚山とも離れており無理がある。中央というからには、経済的、文化的な中心地の意味も兼ねるだろうが、松山や高知と比較しても、背伸びした新市名と言わざるをえない。市を愛する地元の人には申し訳ないが、外から見ると、四国中央の名前からは、川之江も、三島も、瀬戸内海も連想できないと思う。

「奥州市」は、違和感のある新市名の東の大関だ。旧陸奥の国全域を名乗っていることになるが、宮城県、岩手県、青森県、さらに福島県までを代表する存在とは言えないだろう。その地域を代表するのは、仙台だろうし、歴史的にも、胆沢城をして、多賀城、奥州探題の大崎、厨川の盛岡、奥州藤原氏の平泉を押しのけるほどの存在とは言えない。水沢か胆沢の名称が相応しく、奥州市は荷が重いのではないか。

平成の大合併より前の「むつ市」の例もあるが、その時は、ひらがな市名が珍しく、「陸奥市」としなかったことで、受け入れられたのだろう。「下北市」や「大湊市」「田名部市」ならば、全国の人は、青森県の下北半島の要地であることを、より理解したかも知れない。

「中央一丁目」 智恵のない町名

昭和の合併で「長門市」がある。長門の国の国府は、下関市の長府であり、地域を代表するのは、下関や萩だ。港町「仙崎」の方が相応しかったのではないか。この例は、平成の大合併で多くなり、県庁所在地でも旧国府でもないのに、県名や旧国名を市名にしている。甲州市、伊豆の国市、伊豆市、丹波市、淡路市、美作市、瀬戸内市、さぬき市、四万十市、日向市、南九州市などなど、町村名も同様である。その中で、勝沼や塩山、韮山、修善寺、土佐中村、知覧が表面に出なくなり、篠山や洲本、津山、高松は、地名が変わったのかと、思ってしまう。

全くの造語や合成地名の新地名も、何処にある地域なのか連想出来ず、外部の人間を悩ますことになる。北海道大空町、北斗市、宮城県美里町、秋田県八峰町、大仙市、秋田県では、花火の大曲や桜の角館、在宅福祉の鷹巣町も市町村名から消えた。

さくら市、みどり市、ふじみの市、北杜市、東御市,瑞穂市、あま市、愛荘町、北栄町、雲南市、島根県美郷町、三豊市、福津市、宮若市、福岡県みやこ町、みやま市、佐賀県みやき町、和水町、宇城市、あさぎり町、湧水町など。馴染みのない市町村名が生まれた陰で、歴史と伝統の地名が無くなっているが、この違和感は、時間とともに薄れて行くのだろうか。

地名を語る中で、新住居表示の際に、伝統的な町内の名称が消えてしまったことも、違和感の大きな要素である。城下町や門前町の「鍛冶町」「鷹匠町」「稲荷町」などが、「中央一丁目」などに変わってしまった。理由は、街区方式を取り入れた住居表示をするため、それまでの町内が分割され、元の町名の争奪戦が生じて、どちらも新しい町名を適用したことによる。なんとも智恵のない結末だ。

それにしても、全国に新しい町名で「文京町」というのがある。学校や文化施設のある地域と分かるが、正しくは「文教町」だろう。東大のある東京都文京区は、東京の文教地区の意味で「文京区」なのだ。大阪にあれば、「文阪区」になる。地名は、後世の人や外部の人に理解してもらえるように、銘々されることが望ましい。(元オークラフロンティアホテルつくば社長)

《世界に生きる》1 無くなる仕事 これまでも これからも

0
成田空港
大島愼子さん

【コラム・大島愼子】AI(人工知能)時代には現在の仕事の何割も無くなるといわれている。これは現在始まったことではなく、私の職業人生でも多くを見聞きしている。私はドイツの航空会社に長年勤務したが、1970年代から21世紀までに実に多くの仕事が消えた。

まず、航空会社の背景は軍需産業であったこともあり、1960年代から国際航空運送協会(IATA)の国際電話回線(SITA)を通じて、テレックスでコミュニケーションをしていた。スケジュール変更から乗客の情報、社内文書、予算折衝なども瞬時で海外や国内支社、また航空他社間で交信していた。テレックスオペレーターは専門職で、我々の文書をテレックス用に印字していたが、コンピューターが各自の机に導入された70年代に、この職種が消えた。自分で現在のパソコンのように英文入力すれば、通信は容易になったのである。

インターネットのメールが登場する20年も前である。同時に管理職付の秘書やタイピストも消えた。スケジュール管理や書類制作が各自で可能になったからである。航空会社の専門職では、航空券の料金計算、特に海外の都市を含むと複雑な料金であり、これは職員の特技であったが、コンピューターが自動計算し、ついでに航空券の発券の必要も無くなり、発券課は消えた。

ルフトハンザの航空券

生産性と効率を追求する世界企業

驚きなのは、90年代に私の勤務していたルフトハンザドイツ航空は、予約課を縮小し、全世界で4つのセンターに統合した。世界初である。日本は、日本事務所に電話をすると自動的に電話回線がメルボルンに飛び、現地の6時になると電話はロサンゼルスに飛ぶ。企業にとっては超過勤務手当を支払わなくても、顧客にとっては24時間営業となった。

メルボルンにアジアのセンターが出来た理由は、それまで極東を統括している日本で英語能力を求めると、アルバイトでも時給が高いからである。同時に、ドイツ本社の財務の中心は、インドに移された。ヨーロッパと時差が少なくインド人は英語が堪能、IT能力が高いからである。

グローバル企業は、必要な仕事を最適な地域に移して生産性と効率性を求めるのである。航空会社は格安航空会社(LCC)が80年代に登場したことにより、90年代末にはアライアンス(包括提携)を結び、空港業務も縮小した。成田空港の第1ターミナルはスターアライアンスであり、全日空がルフトハンザやユナイテッドという他社の業務を請け負う。

AIと言わなくても、縮小、廃止されている仕事は沢山ある。では、どう生き延びるか。生き延びる力のある人材をどう育てるか。この課題を追求しながら次回には教育を語る予定である。(筑波学院大学 学長)

【おおしま・ちかこ】米DePauw Univ.を経て、早稲田大学第一文学部卒。同大学院経営学修士。ルフトハンザドイツ航空客室乗務員、人事担当、広報室長を経て、2006年に筑波学院大学教授。12年から学長。筑波技術大学監事、日本広報学会理事、日本インターンシップ学会理事、日本国際観光学会前副会長、NPO法人Japan Now観光情報協会理事長。専門は航空政策・観光政策。著書に「ドイツおいしい物語」「飛翔へのロマン」(東京書籍)など。

《続・平熱日記》24 「思い出づくり」 違和感覚える言葉

0

【コラム・斉藤裕之】違和感を覚える言葉。例えば「思い出づくり」という言葉。思い出をつくるという、おこがましいというか大きなお世話といいますか。「いい思い出をつくりましようね!」って言われて「はい!」って答えるのもおかしな話。そもそも、狙って思い出をつくろうとする魂胆がいやらしい。おまけに、実際に残っている思い出は苦いものも多い。「思い出づくり」。誰かの意思を感じる気味の悪い言葉。

さて、これに似た最近教育現場でにわかに耳にするのは「ポートフォリオ」という言葉。ポートフォリオとは資料が入っている入れ物や資料のことかと思いきや、教育に導入されようとしているポートフォリオは平たく言えば「学習や活動の記録・データ」。要するに、勉強や部活、ボランティアなどの郊外活動なんかをデータとして残して、大学入試などの自己アピールポイントとして活用しようというものらしいです。

なるほど、積極的な子供、自己主張のできる子どもが育ちそうです。ですが、私には「思い出づくり」と同様の怪しさを感じます。つまり、ポートフォリオのための学習や活動になりかねない。本末転倒、点取り虫やおべんちゃらの上手な子供になりはしないかと危惧します。「巧言令色(こうげんれいしょく)すくなし仁」という言葉がぴったりの大人は近くにいませんか? ポートフォリオね、どうなんでしょうね。

思い出は転がるもの

しかしながら、そういう意味でいうと世の中には果たして純粋な表現なんてあるのでしょうか。今回で8回目となる「平熱日記」展の準備をしながらあれこれと考えます。この1年間に描き散らした絵を額に入れながら、代わり映えのしない日常に感謝したり、マンネリに陥りがちな絵を嘆いたり。そろそろモチーフ探し、思い出づくりに出かけた方がいいのかな。

独りよがりになってしまうと、表現とは言えなくなるのもまた事実ですが、評価を前提にした、予定調和的な表現にはだまされてはいけません。そうそう、カラオケで万点取るみたいな。やはり、直観の果てに良くも悪くも思い出は転がるもの。

ちなみに、今回のDM(ダイレクトメール)の作品は壁際に寝そべる犬のフーちゃんです。以前にも書きましたが、私は決して愛犬家ではありません。ただクソ暑かった今年の夏。夏の一場面を描いただけです。(画家)

《邑から日本を見る》26 東海第2原発、新たな段階へ

0
飯野農夫也氏の版画「憩い」

【コラム・先﨑千尋】原子力規制委員会は先月26日の定例会合で、東海村にある日本原電東海第2発電所について新規制基準の適合審査に「合格」したと決めた。再稼働に向けては、さらに工事計画、20年運転延長の審査をクリアする必要があるが、期限とされる来月月22日までにいずれも認可されるようだ。

「合格」したからといって、東海第2原発の安全性が担保されたわけではないが、原電は今後再稼働に向けてしゃにむに突っ走ると思われる。しかし、その道のりにはいくつかのハードルが待ち構えている。まず地元の同意。今年3月に、原電は再稼働や運転延長にあたって県と東海村のほか、水戸、日立、ひたちなか、那珂、常陸太田の周辺5市にも事前了解の権限を認める新しい安全協定を結んだ。5市1村のうち一つでも同意しなければ、再稼働はできない。

もう一つは、避難計画の策定である。東海第2の事故に備え、30㌔圏内の14市町村が避難計画の策定を義務づけられているが、これまでに策定を終えたのは3市だけ。それも問題だらけと聞く。東海第2の30㌔圏内に100万人近い人が住んでおり、病院や老人ホームなどの施設もあまたある。東京電力福島第1原発の事故の時、8万人でも地元市町村は住民の避難で右往左往したが、東海第2でのまともな避難計画などできっこないと、昨年の県知事選で策定当事者になる橋本昌さんが発言していたことを思い出す。

だから、「合格」翌日の新聞各紙は「地元同意や避難計画課題。明確な道筋描けず」「地元同意権持つ首長ら再稼働『慎重に判断』」などという見出しを付けて報道している。

再稼働反対のデモ 集会 各地で

原電側の動きに合わせるように、再稼働反対の集会も県内各地で行われている。先月1日には水戸市で1000人が集まり、デモ行進を行った。この集会には、福島原発事故で被災した福島県南相馬市の桜井勝延前市長が、事故後7年半後の今もなお続く地元の苦しみを説明し、「原発は人の生命を危うくし、環境を汚染する。福島の現実を知ってほしい」と訴えた。また地元である常陸農協(本店・常陸太田市)の秋山豊組合長も、「事故が起きれば農業生産ができなくなり、土も汚染される」と、農協として再稼働に反対する意思を表明した。

さらに先月29、30日には東海村、今月6日には常陸太田市、7日にはひたちなか市、13日には水戸市で再稼働に反対する集会などが開かれた。

13日の集会で講演した村上達也前東海村長は「首都圏で唯一、人口密集地に何故原発があり、再稼働させようとしているのか。原子力界にとって、原子力発祥の地東海村の原発の火は消せないということだ。問題だらけの東海第2。次に事故を起こすのは東海第2かもしれない」と危険性を指摘し、「新安全協定の締結は成果だ。再稼働を阻止するには、一人ひとりの原発をなくせという意思表示が大事。ノーの声をあげよう」と力説した。20日には東京神田一橋の日本教育会館で首都圏大集会が開かれる。(元瓜連町長)

《郷土史あれこれ》12 天狗党の乱 那珂湊脱出 降伏 報復

0
土浦市立博物館

【コラム・栗原亮】天狗党が元治元年(1865)3月に筑波山に挙兵したが、幕府はこの動きを「反幕」とみなして、諸藩に追討を命じた。同年5月には、天狗党を打ち殺してもいいという触書を村々に出している。天狗党は、水戸城を奪還できなかったので、水戸藩の交易場所であった那珂湊を占拠する。那珂湊は東北諸藩の商船が出入りし、繁栄し、その資金は天狗党にとって大きな意味を持っていた。

3カ月近く天狗党は那珂湊に立てこもり、ゲリラ的行動に訴え、戦局を挽回しようとしたが、幕府の大軍を前にして政局を挽回することはできなかった。一時は田中愿蔵が日立の助川城を奪回することもあったが、大きくは戦局を変えることはできなかった。兵糧攻めに遭い、天狗党が全面降伏に追い込まれる危険性を持っていた。天狗党は降伏か、那珂湊脱出か、選択を迫られた。

那珂湊を脱出した天狗党は大子に集結し、武田耕雲斎を総大将とした。800余名がいくつかの部隊に編成し直し、戦線を立て直した。京都にいる禁裏守衛総督一橋慶喜に天狗党の衷情を訴え、一路京都を目指すことになった。中山道を通り、京都を目指す途中、高崎藩などの諸藩兵と戦った。戦闘に巧みな天狗党はその戦いに勝利した。

彦根藩・大垣藩などの大藩が、幕府から追討を命じられた。それを聞いた天狗党は、戦闘を回避し、北陸路を目指すことになった。険阻な道と大雪で天狗党の行く先は困難を極めた。大野藩によって村が焼かれたりして、食料もなく、疲労困憊(こんぱい)を極めた。

水戸藩内死者2000

越前国(福井県)新保(しんぼ)まで来て力尽き、天狗党は加賀藩の軍門に下った。加賀藩は、天狗党を手厚く待遇した。一橋慶喜は幕閣との融和を考え、天狗党800余名を幕府の田沼意尊(おきたか)に引き渡した。天狗党は敦賀の真っ暗な鰊(にしん)小屋に入れられ、約350名が斬首された。

斬首されなかった約400名は明治維新まで諸藩に預けられた。水戸城下にいた尊攘派は諸生派によって死刑になるとか牢獄に入れられ、徹底した弾圧を受けた。預けられた天狗党の中には、明治維新を迎えることなく、死ぬ者もいた。

維新後に京都の本圀寺に幽閉されていた武田耕雲斎の孫金次郎らが維新政府に許され、水戸に戻ると、諸生派の家を襲い家族を虐殺するなどの復讐の惨劇がおきた。天狗党の乱、維新後の惨劇を含め、水戸藩内では2000人以上の人命が失われている。とうてい他の藩では考えられないことである。(郷土史家)