【コラム・玉置晋】土浦市の自宅を朝7時に出発する予定が、バタバタ準備していたら30分の遅延。時間制限ありの長距離ドライブ場合、30分の遅延が致命傷になることもあるので、ちょっとドキドキ。常磐自動車道に土浦北ICから乗り、北上します。18時に岩手県大船渡市に待ち人ありでございます。

地球防衛軍TDF

地球を襲う怪獣を倒すために、ウルトラマンはM78星雲からやってきます。ウルトラマンの世界では、M78星雲は銀河系から300万光年離れた所に存在することになっていますが、実際はオリオンの腰のあたり、地球から1600光年の所にあるそうです。

さて、男の子(女の子も?)は、ウルトラマン自身になる、またはウルトラマンと共に戦う警備隊に入りたいと思うのが誰しも通る道です(最近のお子様はどうなのでしょう?)。そして、その上部組織が地球防衛軍(TDF:Terrestrial Defense Force)です。今回の大船渡行きの目的はTDF隊員の募集であります。

大地震災害の爪痕

2015年に常磐道が仙台まで全線開通。茨城から東北へのアクセスが格段によくなりました。常磐道は福島県の浜通りを南北に通過します。11年の東日本大震災から7年が経過しましたが、福島第一原発事故による帰還困難地域は時間が停止しています。

高速道の側面には除染廃棄物が詰められた黒い袋が行き場なく積み上げられており、放射線遮へいのためか、通路側には高い金属板の壁が立ち並びます。黒い袋からは「セイタカアワダチソウ」が黄色い花を咲かせています。帰還困難地域はヒトがいなくなった一方で、「自然」が拡大しています。高速道の周辺地域は黄色い花が一面に広がり、傷んだ建物が埋もれつつあります。

仙台からは東北自動車道で北上し、岩手県の一関ICで一般道に降りた後、太平洋に向かって山道を東に進みます。海が見えてきますと、そこは陸前高田市でした。この市は津波の壊滅的な被害を受けた地域です。

津波を耐え抜いた「奇跡の一本松」は復興のシンボルとして知られています。近くには震災遺構として、3階建の中学校校舎が当時のまま残されていますが、後で調べたところ、津波は校舎の屋上を超えていたとのことです。避難先の学校の、しかも屋上でさえも逃げ切れない災害がここで起きた。

僕のカーナビの地図データは08年版と古いもので、あるはずの道がない、橋がない、街がない。「防災」は僕の人生後半のキーワードであり続けるでしょう。

宇宙天気防災講演会

大船渡市に到着したのは14時すぎ。所要時間は約7時間といったところです。天文サークル「宙詠(そらよ)みサークル 朔(さく)」が主催するサイエンスカフェ「宇宙天気防災講演会 一緒に地球防衛しませんか?~宇宙天気防災プロヘクトチーム結成!~」の講師として呼んでいただいたのでした。

開演に間に合い、ホッとしました。講演の様子は次回コラムで紹介したいと思います。(宇宙天気防災研究者)