《茨城の創生を考える》6 市のクレオ再生計画に異議あり Ⅰ

つくば市センター地区のデッキエリア

【コラム・中尾隆友】つくばの駅前の再生については、「NEWSつくば」でも、市のプラン(9月28日記事)、市長説明会(10月10日、同12日、同14日、同15日記事)、市議会全員協議会(10月18日記事)など、たびたび報道されている。そこで私のコラムでは、市のプランにおける問題点を指摘したうえで、できるだけ市のリスク、ひいては住民のリスクを軽減できる方向に進むように提案したい。

改修では使い勝手が悪い

1つめの問題は、既存の建物を使うという制約にある。にぎわいのある施設にするためには、魅力あるテナントやコンテンツがどれだけそろうのかということに尽きる。多くの人がリピーターになりたいと思うテナントやコンテンツがそろって初めて、新しい施設は人が集まるだけでなく収支の見込みも立つようになるからだ。

つくばの強みを活かせる科学施設を一部に入れるという発想自体は賛成したいところだが、魅力あるコンテンツをつくるためにはどうしても天上高が足りない。私が考えるいくつかの体験型施設では、最低でも5㍍の天井高が必要となるのだ。逆に、経営者の目線からすれば、建物自体に価値が見出せない場所に、わざわざテナントやコンテンツを持って来るという動機は薄れる。自らのブランド価値を毀損(きそん)させかねないからだ。

そのうえ、多くの住民が指摘しているように、隣接する立体駐車場の使い勝手は非常に悪い。市は1区画の幅を広げる対応をするというが、それだけでは多くの消費者が自家用車を使ってたびたび行きたいと思う利便性を満たすことは不可能だ。要するに、建物も駐車場も解体して立て直すしかないというのが私の意見だ。

それができないのであれば、市が関わる案件としてはリスクが高すぎると思う。市がまちづくり会社をつくるのは、官民が連携して成功した唯一の事例であるオガール紫波(岩手県紫波町)を念頭に置いているようだが、決定的な違いはオガール紫波が更地に自由に施設を建設できたのに対して、つくばでは既存の建物を使うという大きな足かせがあることだ。この違いは、今後の展開を考えた時にことのほか大きい。

問題を抱える筑波都市整備

2つめの問題は、駅前を再生するためには、クレオだけ再生すればいいというわけではないことだ。隣接する商業施設であるキュートとモグの再生なくして、駅前全体の再生はおぼつかなくなるからだ。

筑波都市整備はクレオ、キュート、モグをまとめて売却したい意向だが、それには資金繰りに切迫しているという事情がある。同社は西武が入居当初に支払った保証金(敷金)50億円強をまだ返還できていない。本来であれば、保証金は分別管理して使わないはずなのだが、それを使ってしまったというのは、同社がまともな会社としての体をなしていなかったことを如実に表している。

第3セクターの筑波都市整備に街づくりをするノウハウや情熱を求めるのは酷かもしれないが、センタービルも含めて中心部から撤退したい同社に対して市が引き続きキュートとモグの運営・管理を任せたいと考えているのは、駅前の再生という観点からすれば矛盾しているし、非常に心もとないと思う。おまけに、筑波都市整備は資金繰りを安定させるために、キュートとモグをマンション業者に売却する可能性は決して低くはないのだ。

市が本当に中心部を再生したいのであれば、建物の建て替えを考えたほうがベターである。また、クレオという「点」だけで考えていてはダメであって、キュート、モグ、センタービルも合わせて「面」で再生するというデザインを描く必要性を強く感じている。キュートやモグまでがマンションになってしまっては、市の目指すクレオ再生の趣旨から大きく逸脱してしまうだろう。この続きはあす(30日)掲載されます。(経営アドバイザー)