《土着通信部》24 深まる秋の宝篋山ナイト

宝篋山頂から北条の街明かり越しに下妻市方面を望む

【コラム・相沢冬樹】つくば市—土浦市境に位置する宝篋(ほうきょう)山頂、標高461㍍はつくば市では筑波山(女体山、男体山)に次ぐ3番目の頂き、土浦市にあっては最高地点となる。「この高さが夜景を見るにはちょうどいいんです」と宝篋山小田休憩所の東郷重夫さん。毎年秋の終わりに山頂からの夜景観賞ツアーを仕掛けてきた。

「10数年前、集落調査に来ていた筑波大学の学生らを案内して、夜の宝篋山に登ったのがきっかけだった。山頂は今みたいに整備してなくてやぶだらけだったけど、見晴らすと遠近に街の灯がともり、やがて光の海になる。感動して泣き出す女子学生もいてね」

東は土浦市街に霞ケ浦の地形が入り込んで輪郭をつくり、南は東京方面へ道路網が伸び都会のビル明かりが林立する。西は気象条件がよければ入り日に富士山のシルエットが浮かび、北には筑波山の双峰が立ち上がる。2005年のTX開業以降、宝篋山は日帰りトレッキングに手頃な山として知られるようになり、リピーターの多さが特徴となったが、複数のルートを登り切ってしまうと夜景見物に興ずるものが現れだした。

東郷さんによれば「夜ばかり5回も登った」という女性もいるそうだが、日没後の単身登山はさすがに勧められない。イノシシとの遭遇も危ぶまれ、ガイド付きの夜景観賞ツアーを企画した。空気が澄んでくる晩秋にマイクロバスをチャーターして、ツアーを組むようになった。電波鉄塔が立ち並ぶ宝篋山周辺には建設用・管理用の道路が進入していて、許可があれば山頂付近まで車で近づけるのである。

あの辺にスカイツリーが見える

かといって年に1度の鑑賞機会、いつも天候に恵まれるとは限らない。今季の開催日も朝から曇りがちで、日没を待ってのツアーでは、遠景ほどよどむ空気に霞んでしまった。約50人の参加者を引き連れ、「晴れてるなら、あの辺にスカイツリーがはっきり見えるんですけどね」と東郷さんの声が響く。山頂に30分ほど滞在して、深まる暮色のなか光量を増すパノラマを楽しんだ。

実は2018年度、筑波山は「日本夜景遺産」に認定された。筑波観光鉄道(つくば市)のロープウエーとケーブルカーが毎年9月から2月にかけ、夜の空中散歩と称して「スターダストクルージング」を運行する活動が評価されてのもの。民間団体による「日本夜景遺産」は今年度14回目、応募のなかから14カ所を選び、認定地は全国236カ所にもなった。

「筑波山より低い宝篋山だけど、手前にある分関東平野の広がりを実感できる。だから山登りも夜景ツアーもリピーターが多くなるんです。この先の元朝参りもまた登山客でにぎわうに違いない」。平成最後の元旦となる2019年1月1日の日の出時刻は午前06時50分ごろ。霞ケ浦越しのご来光が拝めれば、西の富士が朝日に映える眺望を見せてくれるはずだ。未明の山道を歩くため、懐中電灯携行は必至。小田休憩所の駐車場は午前4時前には満車になってしまうだろうということだった。(ブロガー)

▽宝篋山小田休憩所 電話029-867-1368