日曜日, 4月 20, 2025
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《光の図書館だより》7 世界初! ネットTVで情報発信

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土浦市立図書館

【コラム・入沢弘子】梅雨入り間近の週末、6月1日に土浦市立図書館は30万人の来館者をお迎えしました。開館から半年、開館日163日目です。大勢の方のご来館を心より感謝いたしております。3月下旬、隣接するJR土浦駅に「プレイアトレ土浦」がオープンしてからは、週末の来館者が増加傾向にあります。

サイクリングウエアで立ち寄る方々も見受けられ、企画展示の「自転車関連」書籍や、情報ステーションで配布している「つくば霞ケ浦りんりんロード」「つちうらサイクリングマップ」も、すぐに無くなってしまう人気ぶり。徐々に、駅前の人や自転車の往来が盛んになってきている印象を受けます。

この半年間、来館者のご意見を運営に活かすために毎日アンケートを実施し、約600名の方から回答をいただきました。

集計したところ、①男女比は女性60%、男性40% ②年齢は10代35%、次いで50代から70代の各年代が15%前後 ③居住地は土浦市内80%、市外20% ④交通手段は自家用車50%、次いで徒歩・自転車が17%程度 ⑤職業は学生40%、次いで会社員と主婦がそれぞれ20%程度―という結果でした。

5段階評価の満足度は、①アクセスと図書館内の環境が各4.5 ②図書資料とサービスが4.2 ③スタッフの対応が4.1―でした。自由回答で記入の多い「館内に飲食場所がほしい」「周辺の飲食店を知りたい」「Wi-Fiを利用したい」「椅子の音が気になる」「平日もイベントをやってほしい」などについては、ご要望にお応えしてきました。

また、「もっと図書館に親しみをもってほしい」「これまで足を運ばなかった方にも図書館に来ていたただきたい」との願いから、5月から週1回のインターネットテレビ番組を始めました。職員が交代で出演し、図書館や本についての情報をお届けします。公共図書館の番組は世界初のチャレンジ。ぜひご視聴ください。(土浦市立図書館館長)

▽番組名:「つちうら図書館ちゃんねる」

▽放送日時:毎週木曜日 午後3時から15分間

▽公開生中継:Vチャンネルいばらき「サテライトスタジオ505」

▽録画保存先:https://www.youtube.com/vchannelibaraki

《くずかごの唄》15 地球さんありがとう、ごめんね

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【コラム・奧井登美子】年をとるとどういうわけか、嫌いなものへのこだわりが極端に強くなってくる。亭主は昔からクーラーが大嫌い。「自然を守る会で偉そうなことばかり言っているくせに、クーラーを使うとは何事だ」。クーラーを使うと機嫌が悪い。

クーラーなしで夏を乗り切るには、それなりの工夫がいる。3階建て木造の家全体をツタで覆う計画は、完成するのに何年もかかった。でもツタのおかげで、扇風機だけで熱中症にもならないで生きている。

生ゴミは一度も捨てたことがない。風の通り道に木を植え、落ち葉と生ゴミで堆肥を作り、ささやかな家庭菜園を楽しんでいる。家庭内エコの試みも、今年みたいに地球全体の気温が不安定だと、健康を保持するのに命がけの覚悟がいる。

干し柿の「市田柿」は、ブドウ糖が薄く均一に表面に分配されていて、なんともいえない上品な甘さにうっとりする。私が小学生で疎開した村のお隣りが市田村だった。冬の寒さは厳しかった。

リンゴでも柿でも何でもカチカチに凍ってしまう。冬、トイレには野球のバットみたいな棒が置いてあった。「うんこ棒」というこの棒で自分の排泄物をたたいておかないと、凍ったうんこが塔のようになって、次ぎに入った人のお尻に刺さってしまうからだ。

食べること、排泄することは、人間の生きていく基本だ。今はほとんどのトイレでお尻まで洗ってきれいにしてくれる。どれだけのエネルギーが要るのだろう。こんなぜいたくがいつまで続くのだろうか。

「地球さんありがとう、こめんね」。誰にお礼を言っていいかわからないので、私は地球につぶやく。(随筆家)

《土着通信部》14 つくばで聴く土浦交響楽団

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土浦交響楽団第76回定期演奏会=6月3日ノバホール

【コラム・相沢冬樹】先月亡くなった知人の葬儀で、故人の好きだったマーラーの交響曲第一番「巨人」を演奏するという弔辞を聞いて、追悼がてら駆けつけた。3日、つくばノバホールで開催の土浦交響楽団「第76回定期演奏会」。新指揮者を迎え、ベートーベンの交響曲第一番と合わせ、交響曲の全楽章をきっちり2曲分演奏するという意欲的なプログラムだった。

指揮者としても名を馳せたマーラーは、作曲の際、楽譜にきめ細かく指示を書き込んだことで知られる。ステージでビオラが右手前に来て、入れ替わりにチェロが中央に入る配置となったのはそのためか、新指揮者の好みなのか、そんなことを気にしながら演奏を聴いた。

ずっと重低音を鳴らし続けるコントラバスと勇ましくトリッキーな音色を奏でるホルンが対照的。バイオリン、木管、打楽器にも聞かせどころがあり、第4楽章終盤でホルンのパート全員が立ち上がって吹くシーンは圧巻だった。マーラーがスコアに記した指示を忠実にこなす場面だったそうだ。

雨漏り対策の大改修に音響工事はない

約1000席の客席はほぼ満員。故人の同級生ら多数が土浦から顔を見せており、幕間に「やっぱりノバホールは音響が違う」と感想を述べていた。常連に聞くと、土響(つちきょう)の定期演奏会は年2回あり、会場はノバホールと土浦市民会館を交互に使ってきた。

「土浦交響楽団なのに土浦に固定できないのは市民会館の音響に問題があるからだろう。僕ら素人でも残念に思うのだから、演奏者の力の入れようまで変わってくるかもしれない」

次の定期演奏会は、順当なら土浦市民会館の番になるが「改修工事で使えないんじゃないか」と朗報のようにいう。音響の改善を期待しての声だろうが、以前土浦市の関係者からは「雨漏りがひどいための改修」と聞いた。音響の改善には建て替えが必要になる施設らしい。

1969年建設の土浦市民会館は開館から半世紀が経つ。土響は昨年40周年を迎えているから、市民オーケストラをはじめとする音楽文化の振興に一定の役割を果たしてきたことは間違いない。

土浦市のホームページ「市民会館の耐震補強及び大規模改修に向けた設計を進めています」によれば、工事期間は2019年1月中旬から20年3月まで、この間市民会館は全休となる。供用開始は20年4月(予定)というスケジュール。主な工事内容としてあげられているのは、耐震補強工事、天井脱落防止対策、トイレの改修、客席の交換、舞台設備の改修、エレベータの設置など。たしかに「音響設備の更新」などの字句は見当たらない。

これで全体事業費23億円。市教育委員会に問い合わせると「耐震補強と老朽化対策だけでも当初の概算は40億円に膨らんだ。財政事情が厳しい折、削りに削って今回の事業規模に落ち着いた。音響設備までに手は回らない」そうだ。やっぱり残念。地方自治の自立と自律を説いた故人に聞かせられない。(ブロガー)

《吾妻カガミ》33 土浦市街を貫通する高架道は必要?

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土浦市街を覆い貫通する高架道

【コラム・坂本栄】前回はTXつくば駅周辺の駐車場問題を取り上げました。その中で、土浦市街の高架道の下を駐車場にしたらどうかとも提案しましたが、舌足らずだったと思います。今回はこの話をフォローします。

15年前、土浦に戻ったときにショックを受けたのは、市街を貫くように造られた高架道で街が覆われていたことです。道の上に屋根が付いているようで、鬱陶(うっとう)しく感じました。これが商都土浦の地盤沈下の一因ではないかと思ったものです。

言うまでもなく、高架道はつくば科学万博(1985年)会場と土浦駅東口(霞ケ浦側)を結ぶために設けられたものです。来場客をピストン輸送するには、西口(市街地側)スペースは狭すぎると市が判断したのでしょう。科学博への市民の高揚感が箱根宏市長(当時)の決断を支持したのだと思います。

箱根さんは霞ケ浦総合公園を造成した市長でもあります。田中角栄タイプの公共事業が好きな政治家だったようです。でも湖畔の広々とした公園は素晴らしい施設であり(私は毎朝柴犬と1時間弱散歩)、ダイナミックな発想をした箱根さんに感謝しています。

壊して青空駐車場に

話を元に戻します。高架道は科学万博には必要だったかも知れませんが、中長期的には土浦の街を壊してしまったような気がします。高架道の屋根が街を暗く窮屈にしてしまったからです。これで生じる鬱の気分は商業市にはマイナスです。

前回のコラムで触れましたように、私は土浦市街活性化策として①市街地は前車社会(江戸・明治・大正)の構造になっており、平成の商都の要件を満たしていない②対策の一つとして、高架道の下を駐車スペースにしたらどうか―と提案したことがあります。

このときは「高架道を壊せ」とは言っていません。そこまで言うと、真面目な会合の雰囲気を壊してしまうと思ったからです。でも腹の中では、「高架道を壊し、そのゾーンを青空駐車場とか広場にしたらどうか」と言いたくてウズウズしていました。

今、この高架道の機能は、土浦駅東口→跨線橋→マロウド筑波→土浦警察署経由で学園線につながる新道路によって代替できるようになりました。秋の花火大会のとき、来客を桟敷席へ運ぶのには便利かも知れませんが、高架道そのものの役割は低下しました。ある時にフィットしていたことが、時を経て変わることがあります。都市構造もそうではないでしょうか。(経済ジャーナリスト)

《続・気軽にSOS》14 共感とアドバイスの区別

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【コラム・浅井和幸】ある女性が、大切にしている人からいただいた花瓶を落として割ってしまいました。とても大切にしていましたので、ちょっとしたミスで割ってしまった花瓶を見ても現状が呑み込めず、しばらく何もできず呆然としていました。

何分経ったでしょう。やっと自分のミスの大きさに気づき、取り返しがつかないことをしたという後悔と自責の念が大きくなり、かなりの時間泣き続けていました。そこへ旦那さまが帰って来て、「どうしたのか」と聞くので、言葉に詰まりながら大切な花瓶を割ってしまったことや、自分の苦しさ、悲しさを伝えました。

すると旦那さんは、その苦しさから解放してあげたいと思い、その花瓶を接着剤で直してやろうか?と聞きます。奥さんが首を横に振るので、では同じものを買ってきてあげようか?とか、その大切な人に謝ってきたらどうか?とか、自分が代わりに謝ってきてやろうか?とか、出来得る限りの解決法を伝えました。

奥さんは、首を縦に振るどころか、怒り出してしまいました。旦那さんは、訳が分かりません。とても苦しいのだから、早く抜け出せるように一生懸命考えて提案したのに、逆に怒られるなんて信じられないと、旦那さんも怒り出し、大喧嘩に発展してしまいました。

これは作り話ですが、かなりありふれた日常的に起こる行き違いです。共感だけが大切だという意見に私は反対です。しかし、共感を得られたと感じられないアドバイスは、とても危険です。逆効果になるのです。

うつ病の娘さんを持つお母さん(Aさん)がいました。共感をしているのに、喧嘩を繰り返しているという相談でした。本でいろいろ勉強したし、カウンセリングをAさんは受けていました。

共感が大切だということを理解して実践しているのに、喧嘩ばかりで、どうしてよいか分からなくなった。カウンセラーから言われたから、アドバイスをしたいのに我慢している。毎日が同じことの繰り返しなので、共感よりも、アドバイスをした方がよいのではないかとさえ考え始めているとのことでした。

会話を簡単に書くと、次の通りです。娘さん「将来がとても不安で、眠ることもできずにつらい」。Aさん「そんなにつらいんだね。散歩でもしてみたらどう」。娘さん「散歩もできないほどつらいから、話しているんだよ」。Aさん「とりあえず日光浴がよいみたいだよ」。娘さんが怒り出し、暴力をふるう。

Aさんは、共感しかしていないつもりですが、共感とアドバイスを一緒にしていました。それだけでなく、共感の表現だと解釈して、共感の言葉もなくアドバイスをすることもありました。

共感自体がむずかしい概念なので、今、相手が言っていることに興味を持つといいですよと私は伝えることが多いです。上手くいかない時は、何かしら事実を間違って受け取って、解釈していることも考えられます。人をいやす技法は、人を傷つける技法にもなりかねないので、気を付ける必要があります。(精神保健福祉士)

《猫と暮らせば》1 増加する空き家 地縁と孤独を映す

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県南の廃家と化した空き家
我が家の愛猫

【コラム・橋立多美】愛媛県今治市の松山刑務所から逃走した受刑者が広島市で逮捕された事件で、同受刑者が一時潜伏していた広島県尾道市向島には1000軒以上の空き家が点在すると報じられたのは記憶に新しい。

核家族化と高齢者の独居世帯の増加により、一戸建て住宅を中心として空き家は毎年20万戸ずつ増えると予想されている。建物の取り壊しに数十万円以上の費用がかかる上、更地にすると固定資産税の軽減措置を受けることができなくなるのが空き家を増加させている要因だ。

放置された家は、老朽化による倒壊や放火による火災などを引き起こす恐れがあると、全国の自治体で空き家バンクの取り組みが始まっている。つくば市は2016年2月に空き家バンク制度が施行され、同年に全市域の実態調査が行われた。同市の空き家率は3.2%で空き家数は1439件だった。

同市の空き家バンクに登録された物件を公開するインターネットのページを見ると、5月31日現在、登録番号は14番までで成立した物件は5件。空き家数を考えると焼け石に水の状態だ。

草刈りと餌やり

空き家の分布は高齢化が進む茎崎と筑波地区が突出して多い。

筆者はこれまで「交通の便が悪くても筑波山を間近で見られる麓で暮らしたい」という話を少なからず聞いた。実際に山麓の空き家を借りている人は「何度も通い、大家さんから地域の決め事について聞かされた」という。

離農の傾向はあるが、主たる産業が農業の筑波地区は地域の結びつきが強く、高齢になって生活に便利な市中心部に引越しても地域の組合から脱会せずに草刈りや葬儀にやって来るそうだ。大家にとって移住者が地域に溶け込むかどうかは見過ごせない課題なのだろう。

一方、「地縁」は強くない茎崎地区の住宅団地で持ち上がっているのが、高齢者が空き家で野良猫に餌をやっていることだ。猫が集まることで庭が糞尿で荒らされ近所迷惑になると自治会が申し入れても、受け入れられない。餌やりの理由は「寂しいから」だという。

高齢期の寂しさを埋めるために餌を与えて猫とのふれあいを楽しんでいる。今後、こうした例は増えていくのかも知れない。(ライター)

【はしだて・たみ】1949年、長野県天龍村生まれ。84~96年、常陽リビング社勤務。退社後フリーライターとして活動しつつ、『茨城のホームヘルパー最前線』『ルポ消防団』など4冊を出版。2013年から常陽新聞記者。17年の休刊後はNPO法人NEWSつくばのデスク兼ライター。つくば市在住。69歳。

《くずかごの唄》14 亡くなった人へ 現代流のあだ討ち

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【コラム・奥井登美子】「リレー・フォー・ライフ・ジャパン」の日が近くなった。「私たちはがん患者さんやご家族の皆さんを応援し、地域全体でがん征圧を目指します」。日本対がん協会主催の24時間チャリティイベントである。

東京の御茶ノ水駅近くの日本医科歯科大付属病院に実行委員会があり、毎年、24時間、付属病院の庭を「癒しの庭」として、がんで亡くなった人へのメッセージを書いた紙袋の中にLED電球を灯している。何千枚かのメッセージのひとつひとつが、がんで亡くなった人たちへの癒しと愛であふれている。

「ママ、今年も参加してくれる」。「もちろんよ」。娘は亭主を肝臓がんで亡くしてから、この病院でがん研究をしている医者の下で血液内科実験の手伝いをしている。尊敬出来る人がいて、ささやかながらその人の役に立つ仕事ができるのは、彼女の精神的安定にも、とてもいいことだと思う。

薬剤師の私から見ると、それは亡くなった人への「現代流のあだ討ち」みたいなものでもある。武士の時代が終わって、あだ討ちは江戸時代で終わったのだと思ったら、さにあらず。見えないがん、原因の分からない難病に向かって挑戦する、現代流のあだ討ち精神があってもいいと思っている。

昔、筑波大の学生サークル「かざぐるま」の人たちが、土浦市東崎の鷲神社と我家のこども文庫を利用して、子供たちと遊んだり、絵本を読んだりしてくれていた。この間、その同窓会があって、みんなが帰りに我家に来てくれた。

絵本が詰まった本棚のある子供文庫は、老人用の認知症予防の「かっぱサロン」に変身していて、皆大笑いだ。孫の大学生のノンちゃんは、みんなからお父さんの学生時代の話を聞いて実に楽しそうだ。私は早速メッセージの袋を回して、あの世にいるメメズさんへの伝言を書いてもらった。

その10日後、あろうことか、このサロンのボランティアをしてくれていたHさんが悪性中皮腫で亡くなってしまった。亡くなる前日、土浦協同病院に私がお見舞いに行った時は元気で、出身地会津の話などをし、「会津精神でがんばるよ」と言っていたのに…。

おかげで、「リレー・フォー・ライフ・ジャパン」のメッセージが13人分も増えてしまった。不気味ながん細胞を相手に、Hさんの分も含めて私にどんなあだ討ちができるか、無い頭を振り絞って考えないわけにいかない。(随筆家)

《邑から日本を見る》16 水戸は「文化果つる」ところか

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【コラム・先﨑千尋】私は4月になってすぐに水戸市立中央図書館に行った。同館は東日本大震災で被害を受け、長いこと耐震強化工事で休んでいた。お目当ては郷土資料室。これまでは閉架式なので、どんな本があるのかをわが目で確かめられなかった。今度は休館の間に改善され、本を直接見られるようになっていると思っていた。期待は裏切られ、前と全く同じだった。

その思いを私は「茨城新聞」の投書欄「県民の声」に投稿し、4月30日の同紙に載った。翌日、同図書館の館長から、「今のシステムでは盗難の心配があるので閉架式にしている」という電話があった。それを聞いてなおがっかりした。休館の間に何をしていたんだろうか。館長に、それでは納得しないと手紙を出したが、今日までに返事はない。

今の図書館システムは、本にICタグを組み込み、貸し出しの手続きをしないで出ようとすると、ゲートでブザーが鳴る仕組みが主流だ。盗難の恐れはほとんどない。水戸市立中央図書館では、貸し出しカードと本のバーコードを照合して借りられる旧式のシステムを採用している。しかし、休館の間にシステムの変更はできたはずだ。

茨城大学図書館や東海村立図書館は、旧来のシステムを耐震強化や増改築工事の時にICタグ方式に変えた。しかし水戸ではやらなかったということだ。システム変更にはカネがかかる。水戸市は、管轄の教育委員会や予算を預かる市長部局がその必要を認めなかったのか、そういう新しい方式を知らなかったのかであろう。いずれにしても、館長が判断できるレベルではない。同じ水戸市でも、東部図書館や西部図書館では郷土資料もオープンになっている。

私はあちこちに出かける機会が多いが、時間があればそこの図書館に行き、郷土資料コーナーを見る。そこが充実しているかどうかでその地の文化のレベルがわかる。本屋でもどんな郷土史が並んでいるかを見るのが楽しみだ。

そもそも図書館って何だろうか。どうして公共図書館が必要なのだろうか。図書館は住民に何をすればいいのだろうか。私は、図書館は単なる「無料の貸本屋」ではない、レファレンスの仕事が最も大事だと訴えてきた。

NPO法人共同保存図書館・多摩の平山恵三さんは「図書館には大きく分けて、『歓迎(型図書)館』と『監視(型図書)館』がある。『監視館』というのは、何か悪いことをするのではないかと常に見張っていて、例えば携帯電話をポケットから出しただけですぐ注意される。『歓迎館』というのは『オアシス』で、地域資料も開架の傾向です」と『現在を生きる地域資料』(けやき出版)に書いている。

この文を読んで「ああ、水戸は監視館なのだ。図書館の利用者は常に見張られているんだ」と妙に納得した。そして誰かが言っていた「水戸は文化果つる地」という言葉を思い起こす。「読書文化の復権」を訴えていた元水戸市長の佐川一信さんは「本は盗まれてもかまわない。いらなくなったら返しに来る」と言っていた。その志はどこにいってしまったのか。(元瓜連町町長)

《食う寝る宇宙》14 放送大学がちょっとしたブーム

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【コラム・玉置晋】実は僕のまわり、放送大学がちょっとしたブームになりつつあります。僕が楽しそうに研究しているからかな?布教活動が功を奏しているようです。しめしめ。というわけで、今回は放送大学の話をします。

放送大学は、国が設置した私立大です。設置したのは国だけど、放送大学学園法(2002年法律第156号)に基づき、放送大学学園が運営しているから、国立大ではなく「私立大学」なんだそうです。

放送授業やインターネット授業が主体の通信制大学です。働きながら学ぶには最適な大学の一つです。大学院もあり、2014年には博士課程ができました。在籍されている学生には様々な年齢の方がおり、高校生(科目履修生として在籍可能)から定年退職後の生涯学習を楽しむ方まで、学部生数は8万人超えです!

その道でただものではない方々も多数在籍しており、あまりのハイレベルさに驚かされます。学部には、「生活と福祉」「心理と教育」「社会と産業」「人文と文化」「情報」「自然と環境」の6つのコースがあり、分野は多岐にわたります。中にはすべてのコースを卒業する「グランドスラム」達成猛者もいらっしゃいます。

僕は放送大学大学院の「修士全科生」です。これは、一般的な大学でいう修士課程の大学院生と同義です。志望する研究テーマや地域を考慮して、放送大学に所属する先生だけでなく、他大学の先生に指導いただくこともあります。僕の場合は、茨城大学の先生に指導いただいております。

放送大学は入学試験がないと思っている方も多いと思いますが、大学院は入学試験もしっかりありまして、筆記試験と面接試験の2段階の選抜を合格する必要があります。甘くない筆記試験と研究遂行可能かをみる鋭い面接試験が待っておりますので、入学希望の方はしっかり準備の上、受験ください。

大学院にもやはり単位というものが存在しておりまして、授業に出て試験を受けて―というプロセスがあります。

正直申しますと、フルで働いて、授業に出て、試験勉強をして、研究を行うというのは至難の業でございます。せめてもの緩和策として、修士全科生になる前に科目履修生、選科履修生として、授業の単位を先行して取得しておくことをお勧めします。僕は3年かけて研究以外の単位をすべてそろえた上で、修士全科生の入試に挑みました。

現在、仕事と家庭サービスを除いたすべての時間を研究に投入していますが、非常に充実しています。何より視野や人的ネットワークが格段に広がりました。社会人大学院生にならなければ、このコラムだって書いていないのですから。(宇宙天気防災研究者)

《地域包括ケア》12 後期高齢者を前期者が支えるサロン

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出典・厚労省

【コラム・室生勝】介護予防は3段階ある。健康な人を対象に発病そのものを予防する健康づくりが1次予防。持病を持っていても悪化させないように予防するのが2次予防、持病が重くならないように、また合併症の発症や後遺症の悪化を予防するのが3次予防である。私たちのサロンは主に2次予防の集いである。

参加者の約7割が後期高齢者である。大半の人が高血圧、高LDLコレステロール血症、狭心症などの虚血性心疾患、糖尿病、脳梗塞後遺症などの生活習慣病、脊柱管狭窄(きょうさく)症、骨粗しょう症などの骨・関節疾患を一つもしくは複数持っている。病気とは言えないが、全員が年齢的に程度の差はあるものの動脈硬化症がある。これら持病と付き合う方法、すなわち自己健康管理法を学ぶのがサロンの主目的である。

サロンは、上記の病気やそれらに関連したテーマについて、私が40~50分ほど話したあと、10~20分間質問に答えている。話すテーマで最も多いのは高血圧および薬に関連したもので、2カ月に1回は話している。

家庭血圧の測り方、毎日の血圧測定値がかかりつけ医の診療に役立つこと、降圧剤の量調節や過剰投与を防ぐことを学んでもらう。さらに薬と同じくらい大切な運動、食事、睡眠などの生活習慣や高血圧によって引き起こされる病気、脳梗塞や狭心症・心筋梗塞の予防についても話している。

参加者には、薬を6種類以上服用している人や睡眠導入剤を毎日服用している人もいる。高齢者の多剤服用と睡眠導入剤(精神安定剤)の怖さについては、最近、新聞や雑誌によく取り上げられている。今月17日の読売新聞は社説で警告を発している。厚労省は、高齢者への医薬品使用に関する初めての指針策定の最終段階に入った。近々、医師や薬剤師向けに、高齢者に多用される薬と主な副作用を示し、より慎重な処方と減薬などの工夫を求めるだろう。

病気や薬の話だけではない。ボール体操やスクエアステップの運動、漢字パズル、合唱などを楽しみながら脳を刺激している。歩きながらしり取りや引き算などをするデュアルタスク(運動しながら頭を使う行為)による認知症予防法も勧めている。

私たちのサロンに、自己健康管理を学ぶサロンを開きたいという人が見学に来る。健康管理について助言してくれる保健医療職をどう確保するかが問題である。市の健康増進課の出前講座を依頼するにしても、毎週あるいは隔週と継続的に利用できない。保健医療職ボランティアが出前講座するシステムも考えなければならない。

まず、各地区で前期高齢者が中心になって後期高齢者のためにサロンを開こう。そのサロンが毎日半日開かれ、地域の人たちの寄り合い処になるとよい。放課後の子どもたちの遊び場になってもよい。場所を確保するには、市の協力が必要だ。市が空き家や空き店舗を借り上げ、サロンに提供してほしい。次世代の壮年たちが後期高齢者を前期高齢者が支える情景を見て、いずれ自分たちにも順番が回ってくることを気付いてほしい。(高齢者サロン主宰)

《宍塚の里山》15 本当は怖い タケノコが採れる竹林

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孟宗竹の粉砕活動(2018年1月8日)

【コラム・及川ひろみ】里山の環境を変える脅威の一つに竹林の拡大があります。かつて、マダケは利用範囲が広く、どの農家も庭や裏山にマダケ林を持っていました。冬になる前に伐り、稲を干すオダの脚や農作業用のかごに使うなど、無くてはならないものでした。

しかし農業も暮らしも様変わりし、利用されることなく、里山内では雑木林、スギなどの植林地にも広がり、林を飲み込む勢いで広がっています。竹林拡大の脅威は、特に西日本では大きな環境問題となっていますが、宍塚周辺でも目に余るものがあります。

里山の会では、1990年から孟宗竹林の伐採活動を行っています。会が伐採していた隣の竹林では、山主が1人で孟宗竹と格闘していました。その山には古墳がありましたが、間もなく古墳も竹で覆われてしまいました。

2006年、土浦第四中学2年生210人が2回、環境を学ぶ体験に里山にやってきました。その際、池の外来魚の学習や竹林の学習・体験を行いました。全員がマダケの伐採、孟宗竹の根を掘り採る活動をしました。代わる代わるスコップで根を掘りましたが、硬い土が竹の根を取り囲み、掘り採ることができませんでした。

竹の根は大層細かく、土中の団粒構造を破壊します。雑木林の土壌と竹林の土壌を比較すると、竹林では竹の根が広がる30㎝ほどの深さまでは、団粒構造が約1/3に減り、土壌が固く締まってしまいます。竹林の拡大は見た目に脅威を感じるだけでなく、土壌中にまで大きな影響を与え、さらに土壌水環境にまで影響を及ぼしているのです。

タケノコが竹にまで成長するのはひと月ほど。多くの水分を吸い上げ大量のタケノコを生産する竹林ですが、土壌表面には竹の葉が積もり、水分が土壌に入りにくくなるなど、竹が土壌の水環境に及ぼす影響は大きいことを、茨城大学の黒田久雄先生が宍塚の竹林で明らかにされています。

また伐採した竹は、乾くと固く、10年以上も腐ることなく姿をとどめ、処分も頭の痛い問題です。会では大型チッパーを借り、伐採した竹を粉砕しています。最近、中小型の竹用チッパーを貸し出す行政も増えていますが、孟宗竹には使えません。粉砕した大量の竹チップは、里山内の悪路舗装、農園の土壌改良に使っていますが、たくさんのカブトムシの幼虫がチップの中で育っています。

竹林の拡大を止めることは簡単なことではありません。里山の保全は手間暇がかかり、簡単ではないことを痛感しています。

かつて孟宗竹に覆われた古墳ですが、会がすべての竹を伐採、現在では様々な里山の植物が見られる古墳になっています。竹林は程よく手入れがされたところはとても気持ちのよい空間になります。タケノコが出たら食べ、食べきれない竹は若いうちに伐採。竹を増やさず、そして適当な更新を図りながら、気持ちのよい竹林作りを目指しています。(宍塚の自然と歴史の会代表)

《茨城の創生を考える》3 本社機能誘致 県の勝負はこれから

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ダイアモンド筑波

【コラム・中尾隆友】地方からの若者の流出は、短期的には人手不足に悩む地方経済に打撃を与えるのみならず、長期的には地方の出生数減少の加速化を招き、地方の人口減少がいっそう進むという悪循環をもたらしている。地方自治体が若者の流出は止められないと諦めていたら、地方はなし崩し的に悪い方向へと進み続けるだけだ。人口流出を食い止めようと必死の努力をしなければ、多くの自治体が20年後、30年後には破綻の憂き目に遭ってしまうだろう。

私はこの大きな流れを止めるためには、「大企業の本社機能の地方への分散」しかないだろうと考えている(大企業の本社そのものが地方へ移転することが理想だが、落としどころとして地方への分散が現実的であると考えている)。前回のコラムでは、建設機械大手コマツの事例を取り上げ、出生率は飛躍的に引き上げられるという数字的な根拠を示した。大企業が地方で良質な雇用をつくる努力をすれば、それだけで効果的な少子化対策になるというのに加えて、若者の地方からの流出が緩和されることも十分に期待できるのだ。

しかしながら、今現在において本社機能の一部を地方に移すという動きは、トヨタやアクサ生命などわずかな大企業でしか行われていないという厳しい現状がある。実際に、本社機能の地方移転が少子化対策として本質的対策であることは、コマツの事例が明確に示しているはずなのだが、どうしてコマツの取り組みがずっとクローズアップされなかったのか、非常に不思議に思っているところだ。日本の企業経営者もいま一度、地方に目を向けた経営、雇用を考えてみるべきではないだろうか。

たしかに、大企業が自らの利益や効率性だけを考えていたら、本社機能の地方移転などはとても決断できない経営判断であるといえる。だからこそ、政治が何としても少子化を食い止めようという気概を持って、地方移転にチャレンジする大企業を支援する優遇税制などの措置を講じなければ、大企業が地方に興味を示すことはなく、絶対に少子化の問題は解決に向かうことはないだろう。

その一方で、地方自治体が積極的に大企業の本社機能の誘致に取り組んでいく必要もあるだろう。ただし、地方自治体によって各々の特色があるので、相乗効果が発揮できる大企業と地方自治体が協力するのであれば、大企業の方は何も創業地にこだわる必然性はないと思っている。そういった意味では、地方の疲弊が止められるのか、疲弊が進んでしまうのかは、各々の知事の才覚に大きく左右されることは間違いない。

昨年の茨城県知事選では、当時の大井川候補から公約について相談を受けたので、「大企業の本社機能の移転推進」を核にすべきと進言させていただいた。大井川氏の知事就任後、私は彼の「大企業の本社機能の移転推進」に対する本気度を計りかねていたのだが、今では彼の政策の核となりつつあるようで安心している。茨城県の勝負はこれからだ。(経営アドバイザー)

《泳げる霞ケ浦へ》6 北海道の支笏湖と首都圏の霞ケ浦

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【コラム・霞ケ浦市民協会】北海道に旅をして、支笏湖という湖に出合いました。支笏洞爺国定公園内にある最大水深360m、平均水深265.5mのカルデラ湖。田沢湖(秋田県)に次いで日本で2番目に深い、日本最北の不凍湖です。面積が琵琶湖(滋賀県)に次いで2番目の霞ケ浦は、最大水深7m、平均水深4mと支笏湖と比べれば浅く、湖の成り立ち、流域の人口、気候、風土、特性など全く違う条件で存在しています。

今回は先ず、支笏湖河畔にある「丸駒温泉旅館」の露天風呂を紹介します。大浴場から続く渡り廊下の先にあるのが、全国に20カ所しかないといわれる「足元湧出湯の天然露天風呂」です。浴場と湖を岩場で隔てただけの野趣あふれる造りは、創業当時から変わらぬ姿を守り続けています。

お湯は、支笏湖の湖水と同じ無色透明で、約50度の源泉は玉砂利の敷かれた足元から湧き出ています。熱い時、ぬるい時、天候や季節に合わせ、湖に繫がる水門に敷いた砂利の高さで温度調整しています。支笏湖の水が行き来していることを感じながら湯に浸かっていると、趣を感じ、ぜいたく感が増します。

湯面は、支笏湖の水位と同じで、雨の多い時期は水位が上がり、冬は逆に下がります。雨の多かった2000年6月は、80年ぶりに150cmも上がり、露天風呂の深さが160cmにも達したそうです。今、立ち飲みや立ち食いが流行ですが、流木でカウンターを造れば「立ち湯で立ち飲み」もできそうです。

話を霞ケ浦に戻します。その湖畔には、葉山や逗子のようなイメージの「ラクスマリーナ」というヨットハーバーがあります。10年前、近くに、ツインタワーマンションとマリンリゾート・温泉施設が出来る予定でしたが、開発は頓挫してしまいました。

今は、足湯と遊覧船乗り場があり、遊覧船で沖まで行くと、ユリカモメが何処からともなく追いかけて来て、餌やりが楽しめます。指の先から直接パンの耳を加えていくユリカモメもいます。船乗り場から車で約10分の霞ケ浦総合公園内には、「霞浦の湯」という温泉施設もあります。湖を一周するサイクリングロードも整備され、霞ケ浦の楽しみ方も増えて来ました。

大自然の中の支笏湖と首都圏にある霞ケ浦の環境の違いには驚かされ、どうにもならないもどかしさの中で、大自然への憧れを抱きながら生活している今日このごろです。(羽方昇 霞ケ浦市民協会副理事長)

《続・平熱日記》14 マヨママはケタケタ笑います

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【コラム・斉藤裕之】マヨママはケタケタと笑います。ケタケタと笑うと言いますが、本当にケタケタと笑う人を初めてみました。マヨママは友人マヨねえさんのお母さんです。足が少し弱っているものの、80を過ぎてもとてもお元気。

マヨママはアメリカのドラマが大好きで、ケーブルテレビのサスペンスやミステリーを1日中つけっぱなしにしています。つけっぱなしにしてミシンに向かいます。以前洋裁の仕事をしていたので、今でも頼まれものや身の回りのものをこまめに縫っています。

そしてマヨママは花が大好き。「お金がないときはあっても、家に花がないときはなかったのよ」。なるほど、いつお宅に伺ってもいたるところに花が。それから、松ぼっくりでリースを作ったり、ドライフラワーやハーブを袋に詰めたり。

料理も上手なマヨママ。みんなが集う宴でも、テキパキと美味しい料理を作ってくれます。うちは揚げ物をしないので、春の野山で採った山菜は図々しくもマヨママにお願いして天ぷらにしてもらっています。

「〇〇の日」というものと無縁に暮らしてきました。母の日もスルーです。18で故郷を後にした私は孝行することもなく、母からすると随分薄情な息子だったに違いありません。マヨママが黙ってミシンを踏んだり、上手に揚げ物をしたり、ケタケタ笑っているのを見ていて思うこと。「母親にはかなわないなあ」って。

さて衣替えの季節。「シンプルなブラウス売ってないのよ」と言うかみさん。それならばと、好みの生地を買い求めマヨママに託すことにしました。間もなくブラウスは注文通りに縫い上がり、かみさんはご満悦。それからかみさんが2着目のブラウスをお願いするのにそう時間はかかりませんでした。

「母の日」などなくても、暮らしの中で母の言葉や姿を思い出すことはあります。例えば日曜日ごとに父と裏の山に行くことが多かったこの季節。かばんいっぱいの山菜とともに母の手には必ず野の花がありました。玄関に生けるための花。

一番よく思い出す母の言葉。「バカとハサミは使いよう!」。幼いころ、多分工作かなんかでうまくハサミの使えない私への一言です。このご時世ではなかなか使いづらい言葉ですが、ハサミの使い方もさることながら、今でも母にバカと言われているようで。

さて世の中は男女平等。「父の日」なるものもあるそうですが、こちらもスルーしてきた我が家。仮に私になにかプレゼントするのも大変そうだな。ネクタイなんかしないし。そういえば外出する時、私の着ているシャツがあまりに汚いとかみさんがこぼすので、もしかしたらシャツ?いやマヨママに夏の半ズボンでもお願いしてみましょうかね。(画家)

《吾妻カガミ》32 つくば駅周辺は商業区に不向き

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つくばセンタービル内のオークラフロンティアホテルつくば㊨と向かい側のつくば都市交通センターが管理する立体駐車場㊧

【コラム・坂本栄】15年前、東京から土浦に戻ったころ、地域のドラッグストア・カワチ薬品の駐車場の広さには驚きました。100~200台が駐車できる広場の奥に店舗を配置するという、「先ず駐車場ありき」のレイアウトです。車社会のお店とはこういうものかと妙に感動したものです。

その車社会を前提にデザインされた研究学園都市のシンボル的なお店、西武百貨店の駐車場に車を入れたときには逆の意味で驚いたものです。立体駐車、走路が狭い、駐車幅も狭い。カワチとは対照的な造りでしたから、いずれ西武は淘汰されると思ったものです(本当そうなりました)。

つくばエクスプレス(TX)が開通してから13年。つくば市の商業的な「ヘソ」は、TX終始点のつくば駅から研究学園駅にシフトしました(駅間競争に終点が負けました)。その理由はいろいろあるでしょうが、「駐車場の使い勝手の善し悪し」があると思います。

ひとつは、カワチと西武の駐車場の形でも指摘しましたように、立駐(つくば駅周辺はこれが多い)vs平場(研究学園駅周辺はほとんど)です。もうひとつは、道路から店舗・駐車場に入る際のアクセスが複雑か単純かの違いです。

つくば駅があるセンター地区の構造は、道路からストレートに店舗・駐車スペースに入れない造りが多く、まるで車を拒否している(お客を拒否している)構造になっています。車社会の研究学園を構想した都市計画者は何を考えていたのでしょうか。想像するに、美しさとか別の機能性を夢想していたのでしょう。

車社会と駐車場

駐車場の話が長くなりました。なぜいくつかの事例を挙げたかというと、本サイトの記事やコラムでも取り上げられていますように、今、つくばのセンター地区問題(西武の建物跡地をどうするか、つくば駅周辺の街をどうするか)が地域の話題になっているからです。

結論を先に言ってしまえば、私は「つくば駅周辺は車社会に不向きな欠陥街だから商業に固執しない方がよい」と考えています。学園都市前期のノスタルジーは捨て、つくば市全体を見据え(あるいは県南中核市の視点から)構想した方がよいと思います。

似たようなことは土浦でもありました。市街地活性化策が議論されていたころ、ある会議でその方策について意見を求められたことがありました。そこで私は①市街地は前車社会(江戸・明治・大正)の構造になっており、現代の商都の要件を満たしていない②それを無理にと言うのであれば、高架道下を公営駐車場にして大駐車スペースを確保すべきだ―と述べました。

今、土浦の旧市街地は「コンパクトシティ」というコンセプトの住宅街化を目指しています(商都復帰を諦めました)。商業地としての適性に欠けるつくば駅周辺も別の絵(住宅+文化福祉施設?)を描いたらどうでしょう。(経済ジャーナリスト)

《気軽にSOS》13 何もできないのが苦痛

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【コラム・浅井和幸】ある朝、私の携帯が鳴りました。浅井心理相談室に継続で面談相談をされている方は、10~20分ほど無料で電話相談を受けています。土日でも盆でも正月でも、私が出られたらいつでもOKです。

その方(Aさん)は、自分が何もできないダメな人間であると、日ごろから悩んでいました。私からすると、結構大変なことも行ってると感じる人で、主婦って大変だなあ、休むことは難しいのかなあ、と思っているぐらいでした。

今回は、布団から起きられない状態で電話をかけてこられました。Aさん「布団から出ることが出来ません。今日は夫の会社の方を迎えて、料理をふるまい、失礼のないように対応しなければいけないのに。家の中を掃除して、買い出しに行って、料理をして…。何一つできずに、布団からも出られないんです。なんて自分はダメな人間なのでしょうか」

浅井「それは、ずいぶんと大変なことをしなければいけないのですね」。Aさん「はい。私なんかに出来ることは何もありません。どうしてよいか分かりません。体が動かないんです」。浅井「今から私の言うことを出来たらやってみてください。出来ないことは出来ないと言って構いません」。Aさん「わかりました」。

浅井「まずは深呼吸をして、その呼吸を意識してみてください。今、携帯で電話をかけていますね。どちらの手で携帯を持っていますか」。Aさん「左手です」。浅井「では、空いている右手を、グー、パーと開いたり結んだりしてみてください。できますか?」。Aさん「はい、できます。やりました。これが何になるんですか」。

浅井「出来ましたか。何になるかは分かりませんが、現状を知りたいのです。何もできないけれど、手を動かすことは出来そうですね。次は上半身を起こし座ることは出来ますか」。Aさん「はい、出来ました」。浅井「ここまでできたら、立つこともできそうですね」。Aさん「はい、それぐらいならできる気がします」。

Aさんは、朝、目を覚ますと、布団の中で、今日1日で失敗したらいけないことを重く考え続けていました。それを1~2時間続けているうちに、動けなくなってしまっていたのです。ですが、手は動かせる、布団の上で座ることもできると、一つ一つ確認していったところ、何とかお客様を迎えることが出来たそうです。それどころか、家族から褒められたとのことでした。

出来ないことを重く抱え込んでいると、出来ることさえも出来なくなります。それはもったいないことですね。

子どものころに勉強をしておけば出来たのに、もっと若ければ、けがさえしていなければ、宝くじが当たったら、自分が地位のある人間だったならば―と、出来ない理由を見つけるのが上手くなっていくと、簡単に出来ることも出来なくなります。

出来ることを積み重ねて、元々できなかったことが出来るようになることにも、もちろん届かないのです。やりたくないことであれば、出来ない理由を挙げるよりも、「やりたくない」と言った方がどれぐらいよいか分かりませんよ。(精神保健福祉士)

《郷土史あれこれ》7 明治維新は薩長のクーデター

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土浦市立博物館

【コラム・栗原亮】今年は明治維新から150年。政府はこれを祝福し、記念行事を予定しているようだが、果たして明治維新は喜ばしいことなのであろうか。薩長連合により徳川幕府を倒して近代化を成し遂げ、植民地にならなかったのは維新政府の功績―と称賛するが、実態はどうだったのだろうか。

長州藩尊攘派は文久2-3年(1862-63)、京都の朝廷を牛耳り、公家・天皇を動かし、幕府に攘夷実行を迫った。尊皇というのは名目であり、朝廷に取り入り、力で自分たちの意志を押しつけ、詔勅(しょうちょく)を出させたのである。

それだけでなく、京都市中では大老井伊直弼の関係者を「天誅」と称して暗殺。長州藩尊攘派につながる浪人たちのテロ行為で、京の治安は乱れた。京都守護職を命じられた会津藩、新撰組は、尊攘派や浪人の取り締まりを強化、治安を保った。

これが、会津藩が長州藩から恨まれる原因となった。横暴な尊攘派に対する取り締まりは当然の行為であり、何ら非難されるべきことではない。

大日本帝国憲法を創った長州藩の伊藤博文は同藩の山尾庸三と、国学者・塙保己一の四男の国学者・塙次郎(忠宝:ただとみ)を暗殺している。塙が廃帝の調査をしているとの噂があったため、2人は先ず、国学入門と称して麹町三番町の塙宅を訪ね、その面体を確かめる。そして、文久2年12月21日夜、塙の帰宅を待ち受け、「国賊」と呼びかけ斬殺した。

若気の至りとはいえ、思慮の足りない行為である。長州藩テロリストと言われる所以である。同年12月12日には、長州藩の高杉晋作、久坂玄瑞らが品川御殿山に建設中の英国公使館を焼打ちしている。攘夷だとする、児戯に等しい行為である。

幕府が諸外国と通商条約を結んだのは開国の流れであり、これを討幕のために覆そうとするのは筋違いである。当時の幕府の外交官は、必死で国益を考え交渉に当っている。尊攘派が言うように、国益に反することはやっていない。彼らが日本の植民地化を防いだのである。

元治元年(1864)、長州藩尊攘派は禁門の変で敗北、続く長州戦争により一時は衰退するが、その後盛り返し薩摩藩と同盟を結ぶ。そして、彼ら討幕派が慶応3年(1867)12月9日、将軍徳川慶喜のいないところで徳川家処分を決定、大政復古の大号令が出される。こういった動きは明らかにクーデターである。

徳川家の政治が悪かったわけではない。260年間続いた徳川の政治は、民政に留意した政治だから長く続いたのである。薩長の行動は政権奪取のクーデターであり、そこに何らかの正当性があるわけではない。(郷土史家)

《つくば道》7 つくばの玄関口整備は喫緊の課題

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つくば市松見公園展望塔から見た隣接の歓楽街、天久保地区

【コラム・塚本一也】TXつくば駅周辺の商業施設が苦戦しているようです。今月20日、つくばセンタービル内のシェーキーズが閉店することになりました。万博以来30年の長きに渡って営業し、ファーストフードバイキングの草分け的な店舗でした。西武デパートやイオン跡地の入居者も決まらず、駅に近いビジネスホテル内の飲食店も撤退し、つくば駅の駅ビル的存在である商業ビルもテナントの入れ替わりが頻繁です。

つくば駅周辺では中心市街地の官舎が廃止となり、その跡地の再開発が徐々に進んでいます。つくば駅は始発駅であるため戸建て住宅や分譲マンションの売れ行きがよく、不動産業者はこぞって開発を進めています。しかし、住宅だけが先行するのではなく、商業やオフィスなどの都市機能を備えたバランスのよい市街地を計画しなければ、いびつな街をつくってしまうことになります。

俗に「水清ければ魚住まず」と言うように、学園都市の初期のまちづくりを振り返ると、商業施設や歓楽街などの開発を抑制したために、「つくチョン族」と言われた学園都市への単身赴任者の自殺が多発するような事件を生んでしまいました。用途地域の指定だけでは、民間の商業施設はなかなかその通りには開発が進まなかったのです。

昭和50年代から科学万博の開催された60年代にかけて、学園都市の商業的な中心市街地は松見公園前の天久保地区でした。この地区では科学万博開催の折に、地元歓楽街も必要であろうということで、接客を伴う店が特別に飲食店として営業許可をいただいたという経緯があります。

バブルのころは大変なにぎわいを見せた地域ではありましたが、TX開通後は駅周辺に繁華街ができたこともあり、徐々にテナントの虫食い状態が進行しております。また、天久保地区には吾妻中学校や筑波メディカルセンター病院などが建設され、近年は文教地区となったため、PTAや地域住民からは地区計画の見直しの声が上がっております。

太古の昔から都市には歓楽街や繁華街が付き物であり、生身の人間が生活する憩いの場として発展を遂げてきました。ただ、そういった地域では様々なトラブルも発生することが多く、犯罪や災害をどのように抑止するかということも課題の一つです。吾妻小学校を吾妻中の近くへ移転させる小中一貫のメリットをさらに活かし、一方で小学校跡地と官舎跡地を一体的に開発し、大規模な複合商業施設を建設するようなドラスティックな発想で再開発に臨んではいかがでしょうか。

IT・ロボットなど、つくばが得意とする方法で管理・運営を行い、血の通った人間が行き交う街並みを計画的に創ることが「つくば」らしい「まちづくり」ではないでしょうか。(大曽根タクシー社長)

《くずかごの唄》13 薬研(やげん)と薬缶(やかん)

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【コラム・奧井登美子】「今年も亀の市をやりますので、何か、お宝を展示してください」。旧水戸街道の中城町。今は淋しくなってしまったが、昔はこのあたりで一番にぎわったという街。お祭りが、観光ボランティアの人たちの熱意で続けられている。亀の市の日、奥井薬局では薬研(やげん)を使って漢方薬作りをやってもらうことにした。

徳川光圀は薬研を使って自分で薬を作ったそうである。主治医が何人もいるのに、その人たちよりも医療や薬に詳しく、平均寿命が30歳ぐらいの江戸時代に、75歳までぼけることなく長寿を全うした。健康医療人としても、現代の日野原重明先生並みのすごい人だったのである。

昔、「薬研堀 名代 七色とうがらし」と、大きな声で唐辛子を売り歩いていた人がいた。台東区柳橋の近くに薬研堀という堀があって、唐辛子屋さんがひしめいていた。薬研は、植物や動物の原料をつぶすのになくてはならない器具だったのである。

薬研でつぶした薬用植物を何種類か組み合わせて、天秤を使って正確に測る。それを煎じ、薬専用の大きな鉄の薬缶(やかん)に入れて、水を入れ、加熱して成分を抽出し、煎じ薬が出来上がる。それをお茶のように茶碗に注いで飲むのが漢方薬である。

亀の市の日、何人かの人が来てくれた。私が煎じ薬を飲むのを見て、「えっ、まるでお茶みたいにして、薬を飲むのですか」。皆、怪訝(けげん)な顔をする。今の人たちは漢方薬でさえも粉のまま飲むものと思い込んでいる。

「そうよ、インスタントコーヒーを粉のまま飲む人いないでしょう。こうやって飲んでみると、自分の身体に合う薬か、そうでない薬かどうか、味や臭いで、とてもよくわかるわよ」

私は漢方薬を飲むとき、必ずお湯に溶かして、舌の上で、匂いや植物成分の味を確かめながら、感謝の気持と、薬の歴史を舌で確かめながら、ゆっくり飲む。

江戸から明治にかけて、ウイルスの存在を知らなかった先祖たちは、疫痢、赤痢、はしか、天然痘、流行性風邪など、死亡率の高い様々な疾患を漢方薬だけで乗り越え、子孫を残してきたのである。先祖からもらった遺伝子の中に、漢方薬の苦味のあるやさしさに反応する何かが入っているに違いないと思う。(随筆家)

《土着通信部》13 一気に見ごろ つくばローズガーデン

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バラは女性客を引きつける=つくばローズガーデン

【コラム・相沢冬樹】待ちかねたように、県花のバラが一斉に咲き誇る季節となった。12日から営業を開始したつくばローズガーデン(つくば市古来458、藤沢仁子園主)は、ほぼ平年並みの開花状況という。桜前線の到来以降続いていた花々の季節感の前倒しは、大型連休明けの冷え込みでようやく軌道修正された気配だ。

つくば市の第3代市長、藤沢順一さんが退任後始めた民間のバラ園は、ことし開設13年目を迎える。昨年から経営を末娘の仁子さんにバトンタッチしており、元市長は土壌改良や防虫・防除に明け暮れる毎日。「砂糖やイースト菌、ヨーグルトに納豆を混ぜて発酵させる肥料を作っている。有機栽培のバラに極力こだわりたい」と日焼けした表情をほころばせる。

自宅前の約5000㎡の敷地に約700種、2000本のバラを栽培。イングリッシュローズ、オールドローズなど12のエリアで展開しており、周囲にはルピナスやオダマキなど色とりどりの花が咲きそろう。鉢植えなどを販売するプラントショップも併設され、5月27日にはジャズオーケストラの演奏会が予定されている。

入園料は500円(小学生以下・70歳以上は無料)。営業は6月10日ごろまでの予定、近県からバスなどでやってくる来園者もあり、期間中約5000人の来場を見込んでいる。

ご近所ガーデンも続々見ごろ

国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)は14日から、県フラワーパーク(石岡市)は15日から「バラまつり」がスタート。県花バラが一気に見ごろを迎える5月下旬は、ご近所ローズガーデンも妍(けん)を競う頃合いだ。

つくば市松代で2002年に始まった「Open Rose Gardens」が17回目のことし、「Open Gardens 2018~庭とお花と手作りと」にリニューアル。5月26日、27日をメーンに、同市内外10軒の個人宅が庭先を公開して、バラや草花、花談義で訪問客を迎える。

つくば市松代地区の4軒ほか、同市上横場や稲岡、上ノ室、宝陽台、美浦村の6軒が参加している。見学には一口100円の寄付。26日、27日には「ガーデンマーケット」の開催も予定されている。(ブロガー)

▼つくばローズガーデン 電話029-857-2014 http://tsukubarosegarden.com/

▼その他の会場や日程の詳細は:https://jardin298.exblog.jp/

問い合わせはメール: jardin298@yahoo.co.jp