【コラム・霞ケ浦市民協会】北海道に旅をして、支笏湖という湖に出合いました。支笏洞爺国定公園内にある最大水深360m、平均水深265.5mのカルデラ湖。田沢湖(秋田県)に次いで日本で2番目に深い、日本最北の不凍湖です。面積が琵琶湖(滋賀県)に次いで2番目の霞ケ浦は、最大水深7m、平均水深4mと支笏湖と比べれば浅く、湖の成り立ち、流域の人口、気候、風土、特性など全く違う条件で存在しています。

今回は先ず、支笏湖河畔にある「丸駒温泉旅館」の露天風呂を紹介します。大浴場から続く渡り廊下の先にあるのが、全国に20カ所しかないといわれる「足元湧出湯の天然露天風呂」です。浴場と湖を岩場で隔てただけの野趣あふれる造りは、創業当時から変わらぬ姿を守り続けています。

お湯は、支笏湖の湖水と同じ無色透明で、約50度の源泉は玉砂利の敷かれた足元から湧き出ています。熱い時、ぬるい時、天候や季節に合わせ、湖に繫がる水門に敷いた砂利の高さで温度調整しています。支笏湖の水が行き来していることを感じながら湯に浸かっていると、趣を感じ、ぜいたく感が増します。

湯面は、支笏湖の水位と同じで、雨の多い時期は水位が上がり、冬は逆に下がります。雨の多かった2000年6月は、80年ぶりに150cmも上がり、露天風呂の深さが160cmにも達したそうです。今、立ち飲みや立ち食いが流行ですが、流木でカウンターを造れば「立ち湯で立ち飲み」もできそうです。

話を霞ケ浦に戻します。その湖畔には、葉山や逗子のようなイメージの「ラクスマリーナ」というヨットハーバーがあります。10年前、近くに、ツインタワーマンションとマリンリゾート・温泉施設が出来る予定でしたが、開発は頓挫してしまいました。

今は、足湯と遊覧船乗り場があり、遊覧船で沖まで行くと、ユリカモメが何処からともなく追いかけて来て、餌やりが楽しめます。指の先から直接パンの耳を加えていくユリカモメもいます。船乗り場から車で約10分の霞ケ浦総合公園内には、「霞浦の湯」という温泉施設もあります。湖を一周するサイクリングロードも整備され、霞ケ浦の楽しみ方も増えて来ました。

大自然の中の支笏湖と首都圏にある霞ケ浦の環境の違いには驚かされ、どうにもならないもどかしさの中で、大自然への憧れを抱きながら生活している今日このごろです。(羽方昇 霞ケ浦市民協会副理事長)