《続・平熱日記》14 マヨママはケタケタ笑います


【コラム・斉藤裕之】マヨママはケタケタと笑います。ケタケタと笑うと言いますが、本当にケタケタと笑う人を初めてみました。マヨママは友人マヨねえさんのお母さんです。足が少し弱っているものの、80を過ぎてもとてもお元気。

マヨママはアメリカのドラマが大好きで、ケーブルテレビのサスペンスやミステリーを1日中つけっぱなしにしています。つけっぱなしにしてミシンに向かいます。以前洋裁の仕事をしていたので、今でも頼まれものや身の回りのものをこまめに縫っています。

そしてマヨママは花が大好き。「お金がないときはあっても、家に花がないときはなかったのよ」。なるほど、いつお宅に伺ってもいたるところに花が。それから、松ぼっくりでリースを作ったり、ドライフラワーやハーブを袋に詰めたり。

料理も上手なマヨママ。みんなが集う宴でも、テキパキと美味しい料理を作ってくれます。うちは揚げ物をしないので、春の野山で採った山菜は図々しくもマヨママにお願いして天ぷらにしてもらっています。

「〇〇の日」というものと無縁に暮らしてきました。母の日もスルーです。18で故郷を後にした私は孝行することもなく、母からすると随分薄情な息子だったに違いありません。マヨママが黙ってミシンを踏んだり、上手に揚げ物をしたり、ケタケタ笑っているのを見ていて思うこと。「母親にはかなわないなあ」って。

さて衣替えの季節。「シンプルなブラウス売ってないのよ」と言うかみさん。それならばと、好みの生地を買い求めマヨママに託すことにしました。間もなくブラウスは注文通りに縫い上がり、かみさんはご満悦。それからかみさんが2着目のブラウスをお願いするのにそう時間はかかりませんでした。

「母の日」などなくても、暮らしの中で母の言葉や姿を思い出すことはあります。例えば日曜日ごとに父と裏の山に行くことが多かったこの季節。かばんいっぱいの山菜とともに母の手には必ず野の花がありました。玄関に生けるための花。

一番よく思い出す母の言葉。「バカとハサミは使いよう!」。幼いころ、多分工作かなんかでうまくハサミの使えない私への一言です。このご時世ではなかなか使いづらい言葉ですが、ハサミの使い方もさることながら、今でも母にバカと言われているようで。

さて世の中は男女平等。「父の日」なるものもあるそうですが、こちらもスルーしてきた我が家。仮に私になにかプレゼントするのも大変そうだな。ネクタイなんかしないし。そういえば外出する時、私の着ているシャツがあまりに汚いとかみさんがこぼすので、もしかしたらシャツ?いやマヨママに夏の半ズボンでもお願いしてみましょうかね。(画家)