日曜日, 3月 9, 2025
ホーム ブログ ページ 258

「街をワクワクさせたい」 つくば市の3女性が古本市 14、15日

0
ワンダホーの3人と出品者たち。左から3人目が丹野雅子さん、丹野さんの右隣が鳥山玲子さんと齋藤多賀子さん=1日、つくば市大角豆

【橋立多美】「ワクワクする楽しいことをやろう」と、つくば市の女性3人が活動する「ワンダホー」。市民が家に眠っている本を持ち寄り、店主として販売する古本市「ブック・フェス」を14、15日の2日間、同市大角豆(ささぎ)のカフェ・ギャラリー「メモリーズ」で開催する。

メンバーは、ジュエリーショップ「メモリーズ」を営む傍ら彫金教室を主宰する鳥山玲子さんと、同教室を介して知り合った丹野雅子さんと齋藤多賀子さん。「すてきと思うことを実現させたい3人が集まった」と丹野さんはいう。

活字離れや電子書籍の台頭などの影響で街の本屋が消え、欲しい本はネットで買う時代になった。3人は「読書の楽しみは本に触れ、手に取った出合いにこそあるのでは。家庭で眠っている本を街に循環させて読み手をつなごう」と昨年2月、初めて古本市を企画した。今年は2回目で、「かつて感動した本が、この街の誰かをまた感動させるかもしれません」と出店を呼び掛ける。

古本市は各出店者が屋号を決めて本を並べるフリーマーケット形式。各自が20冊以上を持ち込み、自由に本の値付けをする。昨年は100円または500円に値付けされた古本が多く、延べ約100人が来場したという。今年も小説や料理、旅行、美術など、さまざまなジャンルの古本がそろいそうだ。

今年は新たに、出店者が屋号をアレンジした図案を彫って、はんこを手作りした。「売り上げカード(スリップ)」に押して、販売する本にはさむ予定だ。

1日、同ギャラリーで約10人がはんこ作りに取り組んだ。篆刻(てんこく)用の石を使ったはんこで、鳥山さんの夫で彫刻家の鳥山豊さんが指導した。牛久市の松川啓さんと妻の香苗さんは「オリジナルのはんこ作りにひかれて古本市に参加する。思ったより石が柔らかくて驚いた。古本市には子どもたちが愛読していた絵本を出品するつもり」と話した。

◆開催時間は14日(土)、15日(日)両日とも午前11時30分~午後5時まで。メモリーズは同市大角豆2012-788。障害者の自立支援に取り組んでいる「ごきげんファーム」運営のレストラン「ごきげんキッチン」内にある。本を片手にゆったりとした時間が過ごせる。問い合わせは電話029-852-8286

G20貿易・デジタル閣僚会合 来年、つくば市開催決定

0
2016年5月にG7科学技術大臣会合が開かれたつくば国際会議場=つくば市竹園

【鈴木宏子】G20貿易・デジタル経済大臣会合が来年、つくば市で開催されることが決まった。開催日や市内の開催場所は未定だが、1泊2日の日程で開かれるという。20カ国の経済産業大臣らが集まる。

2019年6月28、29日に大阪で開かれるG20サミットに併せて、全国8カ所で開かれる関係閣僚会合の一つ。大臣級の会合がつくば市で開かれるのは、16年5月につくば国際会議場で開催されたG7科学技術大臣会合以来。

県が昨年秋ごろから誘致していた。県営業戦略部グローバル戦略チームは「前回のG7科学技術大臣会合を経験していること、つくばは自動運転技術など先端技術が集積していること、東京から近いことなどをアピールしてきたので、それらが評価されたのだと思う」と話している。

16年の科学技術大臣会合には7カ国とEUの大臣と政府関係者56人が参加した。県は、研究機関や経済団体などで受け入れ態勢をつくり、最先端の研究を紹介したり、県産の食材をふんだんに使った料理を提供したり、伝統工芸品のお土産を用意するなどのおもてなしをしてきた。一般市民も参加できる記念シンポジウムや、ロボットなど国内最先端技術製品などを一堂に展示するミニ博覧会、各国大臣の研究機関の視察なども実施した。

来年の会合について県は「今後、テーマや内容が決まるので、内容を踏まえ、おもてなしなどを検討していきたい」としている。

G7会合では大臣らが市内に宿泊したことから、県が補助金を出して、市内のホテルにスイートルームの整備も進められた。来年のG20貿易・デジタル経済大臣会合は20カ国・地域の大臣と政府関係者が出席するため、宿泊環境の整備もさらに必要になるとみられる。

一方で厳重な警備体制が敷かれ、周辺道路が通行止めになるなど、市民生活に影響が及ぶ側面もあった。

つくば市の五十嵐立青市長は4日開かれた定例会見で「レガシー(遺産)をどうつくっていくかというゴールを明確にもった上で、県や筑波大などと相談しながら目標をもって取り組んでいきたい。G7のときは市民とのつながりに課題があったので、市民が置いてきぼりにならないようにしたい」などと話した。

筑波山神社で御座替祭 色とりどりの装束で華やかに

0
県指定文化財の御神橋を渡るみこし。御神橋を渡ることができるのは御座替祭など年4回のみ=1日、筑波山神社

【富永みくに】筑波山山頂と中腹の神が住まいを替えるとされる筑波山神社(つくば市筑波)恒例の祭り、御座替祭(おざがわりさい)が1日行われ、地元住民や見物客でにぎわった。翌2日には、山中にある約20の末社で神職が祝詞をあげる末社祭も行われている。

最大の見どころ、神幸祭(じんこうさい)では、祭りの開始を知らせる号砲とともに、色とりどりの衣服をまとった神職や担ぎ手ら約150人が、山裾から拝殿に向けて出発。太鼓や雅楽器の音に合わせてゆっくりと歩みを進めた。日本の道百選にも選ばれている「つくば道」を経由、勾配の急な坂や石段では、担ぎ手が互いに声を掛け合いながら慎重に難所を乗り越えた。

毎年担ぎ手として参加しているつくば市の男性によると、昨年は積雪が見られ足を滑らせた参加者もあったという。「去年は雪、今年は桜吹雪」と笑みをこぼしながら「御座替祭に桜が満開になるのは珍しい」と話した。

拝殿の大鳥居周辺では、近くの子供会などによる子供みこしや稚児行列も加わって、県指定文化財の御神橋(ごしんきょう)をにぎやかに渡った。

市内在住の中野潤子さんは「つくば市に長く住んでいるが見たのは初めて。筑波山の長い伝統が感じられる」と話した。祭り見物は2回目というインド出身の留学生は「とても興味深い」と目を輝かせていた。

天狗の面を付けた猿田彦役に導かれ進む一行=筑波山中腹

【シルバー団地の挑戦】1 自治会スリム化へ模索 つくば市森の里 高齢化で地域力衰え

0
森の里に隣接する市立第三小学校体育館で開催された自治会総会=3月25日、つくば市小茎

【橋立多美】高齢化が進み、役員のなり手不足や加入率の低下など自治会を取り巻くさまざまな課題が指摘される中、自治会の役割を根本から見直そうという動きが、つくば市内でも始まっている。

深刻な高齢化と人口減少に直面している同市茎崎地区にある森の里自治会は、3月25日に開かれた総会で、これからの自治会のあり方を検討する委員会を自治会内に設置することを決めた。これまでの活動を継続していくほどの体力が地域にはないということが背景にあるという。

総会で、新年度会長の倉本茂樹さん(75)は「高齢化が進む中で、自治会運営を検討する委員会を設置する」とあいさつした。演壇に立った倉本さんは「これからも高齢者支援は続けていくが、役員だけで運営していくには無理がある。検討委員会を含めて住民の力を貸してほしい」と呼び掛けた。

また「夏祭りを続けるか、アンケート調査をした上で決めたい」とも述べ、住民の意見を尊重しつつ、運営をスリム化する考えを示唆した。

空き家に転入も入会断られ

市南端の茎崎地区(旧茎崎町)は、筑波研究学園都市の建設に伴って九つの住宅団地が造成され、純農村地域は首都圏のベッドタウンとなった。

住宅団地の中で市内最大規模の森の里(約1300世帯)は1980年代に約5000人が住んでいたが、今では子どもたちが独立し人口は当時の6割の約3000人に減少した。さらに入居時、働き盛りだった世代が一斉に老いたことで、65歳以上の高齢者人口は4割を超える1388人(2017年4月時点)に上っている。このうち184人が一人暮らしという。

約1300世帯中、自治会に加入している世帯は1071世帯。昨年1年間で退会した世帯は27件、死亡による退会は18件あった。高齢化と人口減少が、自治会加入者の減少と空き家の増加を招いているという。

自治会退会の理由の多くが、会費の徴収や回覧板の配布に歩き回るのが辛いというもの。加入している世帯数に応じて市から補助金(事務委託料)が出るため、退会されると会費収入と委託料を同時に失うことになる。

16年10月から、市が市内全域を対象に実施した「空家等実態調査」では森の里の空き家は55件だった。が、連日団地内の空き家や空き地の見守りをしている自警団は99件あると報告している。最近はリフォームされた家を借りて住む人が出てきた。自治会役員が訪ねて入会を勧めても断られる上にごみ出しのルールを守らない人もいて、役員たちの頭痛の種になっている。

新たな負担次々

自治会活動を担う役員自らも高齢者で、行事運営が負担になってきていることも挙げられる。街路灯のチェックや維持管理、清掃美化、ごみ集積所の管理といった暮らしに関わる活動のほか、7年前から高齢者の見守りや粗大ごみ出し支援、閉じこもりを防ぐための行事や交流サロンなど、高齢者対策を実践している。会員間の親睦を図る夏まつりは恒例の一大イベントだが、後期高齢者が多い実行委メンバーたちは血圧や健康状態を確認して本番に臨むという。

運営をスリム化し、時代に合った役割に切り替えるか。森の里自治会の模索は始まったばかりだ。

◇NEWSつくばは、高齢社会の抱える課題が顕在する森の里自治会の動きに密着し、人口減少と超高齢社会へのアプローチを「シルバー団地の挑戦」とワッペンを付けて報道する。

会員たちに協力を呼びかける新年度会長の倉本茂樹さん=同

【桜花爛漫】 2000本が春の山に彩り 雪入

0
雪入山に咲く山桜(2014年撮影)=雪入ふれあいの里公園提供

【鈴木萬里子】雪入地区はかすみがうら市西部に位置し、雪入山、浅間山を中心とした山地に自然豊かな林が広がる。ここに2000本を超える山桜が点在し、春の山に彩りを添える。雪入山南側の成沢には山桜の自生林があり「茨城の自然百選」に選ばれている。

「山桜がこんなにあるのに注目されてこなかった。たくさんの人に知ってほしい。豊かな自然と山桜をPRしたい」と雪入山麓にあるふれあいの里公園ネイチャーセンター所長の川崎慎二さんは話す。

例年の満開はソメイヨシノより1週間ほど遅い4月10日頃だが、今年は早足に春がやってきているという。訪れるなら早めがお薦め。同センターや三ツ石森林公園もりの小屋で、公園内マップの入手やトイレ使用も可能だ。

山桜は日本に自生する野生種の1種。花は白色や淡紅色が多いが、白色に淡紅色が混じったものなども見られる。葉は最初は赤く、徐々に緑色になっていくが、最初から緑色の葉もある。

自然交配により生まれ、鳥や虫の糞から排出された種が地に落ち芽を出す。交配した条件、根付いた土壌、育った環境により開花時期、花の色や新芽の色など様々な違いが出るのだという。

平均寿命は100~400年。中には500年を超える山桜もあるそうで、寿命60年とされるソメイヨシノの比ではない。山中で芽吹き、たくましく育った山桜に「生命力の強さを感じる」という人の多いのもうなずける。ハイカーの60代女性は「凛(りん)と咲き誇る姿が孤高の人のようでひかれる」と話した。

4月7日に山桜ウォーク

4月7日(土)に開催される今年で6回目となる春の一大イベント。毎回500人もの参加者が桜を愛でながら山里を歩く。山全体の桜を下から眺める「里コース」(5㎞)と、尾根から満開の山桜を眺める「尾根コース」(10㎞)がある。コース途中の三ツ石森林公園で幹回り1mの山桜約200本が迎えてくれる。「眺望大桜」「天空桜」「美肌桜」など、命名木に出合うのもウォーキングの楽しみになっている。

申し込みは▽里コース=定員200人、℡0299-59-7000(雪入ふれあいの里公園)▽尾根コース=定員300人、℡029-862-3500(県立中央青年の家)

=【桜花爛漫】終わり

日当たりの良い場所では開花した山桜も(28日撮影)

【桜花爛漫】SNSで拡散、科学の街に新名所 東光台研究団地

0
幻想的な桜のライトアップ=つくば市東光台、ウシオライティングつくば事業所(29日撮影)
建物2階からLED照明が当てられ刻々と変化する=同

【橋立多美】開花した桜花がライトアップされ、幻想的な光景が繰り広げられている―。ここはつくば市東光台研究団地のウシオライティング(本社東京都中央区)つくば事業所で、科学の街らしい夜桜見物の新名所だ。

主に舞台やコンサート会場の演出照明を手がける同社エンタテインメント事業部が、専門技術を生かしてソメイヨシノ8本を美しく染め上げた。最新の高出力LED照明機器をセットした2階の窓から光が放たれ、15秒程度の間隔で鮮やかなピンクやオレンジ、緑、白色、黄、青、紫へと変わっていく。

ライトアップのきっかけは同事業所センター長の細居秀人さんら3人。竣工後に植樹された樹齢27年のソメイヨシノを見上げながら「我々だけで花を楽しむのはもったいない。ライトアップして地域の人たちにも楽しんでもらったらどうだろう」と意見がまとまった。

照明機材の扱いは慣れているが、照明をセットする建物と8本の桜の位置が平行でないため光を当てるのに苦労したそうだ。培った技術を駆使してライトアップに成功したのが2013年春だった。「地域社会との調和」を基本方針にしている同社は細居さんらの提案を受け入れ、翌年春から本格的にライトアップがスタートした。

8本の桜は、社員がレクリエーションで使う広さ約1650㎡の芝生に植えられている。今年もライトアップが始まると、家族連れや、三脚をセットしてシャッターチャンスをうかがう人たちでにぎわい始めた。

稲敷市の50代の夫婦は「初めて来たが見事の一言。桜の季節の楽しみができた」。つくば在住で1歳の子どもを連れてきた30代の夫婦は「今年で2回目。夜桜は昼間見る桜と違って味わい深い」と話した。3世代で阿見町から訪れた女性は「ここで撮る写真は家族のいい記念になりそう」とスマートフォンを手に顔をほころばせた。

ライトアップの時間帯は同事業所敷地内の駐車場が開放され、多くの車が出入りする。細居さんは「SNSが普及して一気に来場者が増えた。群馬や千葉、横浜のナンバープレートを付けた車もある」という。

桜の開花時期は年度末。会社は多忙を極めるときだが、来場者から元気をもらっているという。「朝出社して芝生周辺を見回るが、これまでごみ一つ落ちていたことがない。『楽しんだよ』の気持ちが伝わってきてうれしいし、続けていく元気の源になっている」と細居さんは話してくれた。

ライトアップは4月2日(月)までの午後6時~同10時。開花状況により日程変更あり。いろいろな角度から見るのがお薦め。つくば事業所は東光台5-2-4(東光台研究団地内の幹線道路沿い)

【桜花爛漫】貴族の衣まとい淡緑色 森林総合研究所

0
昨年満開時のギョイコウ(森林総合研究所提供)

【富永みくに】森林総合研究所(つくば市松の里)には、限られた場所でしか見られない桜がある。その一つが「桜はピンク色」という常識を覆す淡緑色のギョイコウ(御衣黄)だ。今つぼみがふくらみ始めている。

ギョイコウの栽培は江戸時代から始まり、名前は貴族の衣服の萌黄(もえぎ)色に近いことに由来する。花は大輪八重咲。濃い緑と淡い黄色が混ざった花弁が特徴的だが、満開を過ぎると花弁の中心部から徐々に赤く染まる。

遺伝子的にはヤマザクラとオオシマザクラの雑種系統で、花期はソメイヨシノより遅く、今年の見頃は4月中旬ごろまで。同研究所の吉丸博志研究員は「一般的にはソメイヨシノが咲く頃が桜の季節とされるが、ソメイヨシノよりも後に満開を迎える栽培品種の方が種類は多い。後から咲く花も含めて長く桜の季節を楽しんでほしい」と語る。

同研究所に植えられている樹木は約640種類。そのうち桜は野生種が7種、栽培品種が15種ある。ギョイコウのほかにも、京都市左京区の盆地、市原にゆかりがあり、開花した枝が虎の尾のように見える「市原虎の尾」などの珍しい桜がある。

敷地内には研究材料として利用するための樹木園が二つあり、このうち自由に見学可能な第1樹木園(面積3.28ha)にはヨウキヒ(楊貴妃)、イチヨウ(一葉)、カンザン(関山)など、さまざまな品種の桜が植樹されたサクラコーナーが設けられている。花見客でにぎわう場所が多い中、ゆったりと樹木の中を散策しながら多彩な桜を鑑賞できる貴重なスポットだ。

桜は当日正門守衛室で受付すればだれでも見学できる。見学可能日時は平日午前9時~午後5時。科学技術週間の4月20日に開催される「春の一般公開」では、研究者のガイド付きで樹木園内が見学できる。

見学に関する問い合わせは、同研究所ホームページ(https://www.ffpri.affrc.go.jp/facilities/jumokuen/)へ。敷地内のサクラの開花状況については「サクラ開花ビジュアルマッピング」(http://www.ffpri-tmk.affrc.go.jp/sakurazensen/2018/)で確認できる。

昨年満開時のギョイコウ花弁
つぼみがふくらんできたギョイコウ(26日撮影)

ひたちなか市と原発広域避難協定締結 土浦市など14市町村

0
ひたちなか市の本間源基市長と協定書を取り交わす土浦市の中川清市長㊨=土浦市役所

【鈴木宏子】土浦市など県南と鹿行地域の14市町村は29日、ひたちなか市と原子力災害広域避難協定を締結した。東海第2原発(東海村)で過酷な原子力災害が発生した場合、14市町村はそれぞれ避難所を設置し、ひたちなか市民を受け入れる。

ひたちなか市は、東海村に隣接する一部地区が直ちに避難をする5㎞圏内(PAZ)、市全域が段階的に避難を実施する30㎞圏内(UPZ)となっている。東海第2原発で過酷事故が発生した場合、住民15万7000人全員が市外に避難することを余儀なくされる。このうち14万3000人は居住地区ごとにそれぞれ土浦市など14市町村に避難し、1万4000人は千葉県内の10市村に避難するという。

同日、土浦市役所で協定締結式が催され、土浦市の中川清市長ら14市町村長らが参加。ひたちなか市の本間源基市長と一人ひとり協定書を取り交わした。

本間市長は「ひたちなか市民を受け入れていただくことに感謝し、万が一のときは皆様にご協力いただきたい」と述べた上で、「前例のない、15万7000人全員の避難がいかに困難を極めるものであるかを感じている。寝たきりの人もいるし、施設に入っている人もいる。果たして市民が間違いなく避難先に到達できるのか、どういうルートで避難するのか、地震による道路や橋の被害も想定しないといけない。5㎞圏内から順番に避難しなくてはいけないが、(30㎞圏内の)住民感情からすると一刻も早く、という気持ちになると思う」と広域避難の課題の大きさを指摘した。

その上で、東海第2原発の再稼働問題について周辺6市町村で安全協定見直しを求めていることについて触れ「あと一歩というところ。福島をみると5㎞、10㎞に避難が限られることはなく帰宅困難区域もある。(原発立地の東海村以外も)再稼働に関し意見を申し述べられる権利があるのは当然」と強調した。

中川市長は「万が一のときは住民の命を最優先に考え、ひたちなか市からの避難者に最大限の支援をしていきたい。14市町村も連携を図り、互いの防災力向上を図っていきたい」などと応じた。

ひたちなか市の避難者を受け入れる14市町村は、土浦、石岡、龍ケ崎、牛久、鹿嶋、稲敷、かすみがうら、神栖、行方、小美玉市、美浦村、阿見、河内、利根町。

土浦市の場合、1万6600人を受け入れるという。市内の小中高校など34カ所に避難所を設置し物資を提供、ひたちなか市職員が到着次第、避難所の運営を引き継ぐ。避難所開設期間は1カ月間程度。一方、地震と原子力災害が同時に発生し、土浦市民も避難所生活を余儀なくされ避難所が満杯になった場合はどうするかなど、課題が多く残っているという。

協定締結式に参加した14市町村長ら=同

【桜花爛漫】 かつてのため池に580本 乙戸沼公園

0
乙戸沼公園で見頃を迎えた桜=土浦市中村西根(27日撮影)

【大志万容子】土浦とつくばを結ぶ学園東大通り沿いの乙戸沼公園(土浦市中村西根)では、例年より早めの桜が見頃を迎えている。暖かな陽気に包まれた週初めの26日から、次々に花が開いた。訪れた人たちは、沼を囲むように植えられた桜にスマートフォンを向けて撮影するなど、春の到来を楽しんでいる。

敷地面積約13haの園内には、樹齢40年から60年のカンヒザクラやソメイヨシノ、ヤエザクラなど約580本の桜があり、亀城公園や新川堤などと並ぶ土浦の花見の名所になっている。昨年は3月25日から4月上旬の16日間に約1万人の人出があった。遅咲きのヤエザクラがあるため、例年4月の第3週頃まで花見を楽しめる。

乙戸沼はかつて水田に安定して用水を供給するためのため池だった。つくば市二の宮、洞峰公園事務所の樹木医、芹沢誠さんによると、筑波研究学園都市を南北に縦貫する東大通りを造成するために湿地帯を埋めたて、土盛りをして桜が植樹されたという。乙戸に住む長老は「車が通る大通りの所も沼だった。水がきれいでジュンサイがとれたんだ」と聞かせてくれた。この話を裏付けるのが乙戸沼に近い土浦市立第三中学校(1947年創立)の校歌だ。一番で「乙戸の沼の水ひろく じゅんさいの花におい咲く」と歌われている。

春の陽気に包まれた27日、水面に近い場所の桜にはまだつぼみが多い枝も見られたが、日当たりのよい場所では満開に近いところも。見物客が薄桃色の花びらを見上げたり、家族連れやグループがシートを広げて弁当を味わうなど、思い思いに春を堪能していた。

市観光協会によると、今年は気温が高いこともあり、花の開花は例年より一週間ほど早かったといい、今見頃を迎えている。咲いたソメイヨシノは4月1日(日)まで楽しめそうだ。

「逆転の発想」が原点 土浦駅ビル 29日、サイクリング拠点オープン

0
29日土浦駅ビル1階にオープンする「りんりんスクエア土浦」内のサイクルショップ「ル・サイク」。300台を取りそろえている

【鈴木宏子】JR土浦駅ビル(同市有明町)に29日、サイクリングを楽しむ拠点施設「りんりんスクエア土浦」がオープンする。中心市街地の衰退に悩む土浦で、何が始まろうとしているのか。

同拠点施設は県と土浦市が1階と地下1階に設置した。同駅ビルを運営するJR東日本の子会社、アトレ(東京都渋谷区)が指定管理者として管理運営する。駅ビルもペルチからPLAYatre TSUCHIURA(プレイ・アトレ・ツチウラ)に名称変更する。

シャワー、コインロッカー、レンタサイクル、サイクルショップ、カフェなどがあり、自転車で乗り入れできる。館内で組み立て、修理、洗車などもできる。サイクリングコンシェルジュが常駐し、地域の観光スポットを案内したり、街の楽しみ方の情報を提供などする。

従来のショッピングを中心にした「モノを売る」駅ビルから脱却し、「コトを売る(体験を提供)ことにまじめにチャレンジする」と、アトレ土浦店プロジェクトリーダーの藤本沢子課長は狙いを話す。

7分の1に落ち込み

アトレ土浦店プロジェクトリーダーの藤本沢子課長

土浦駅ビルは1983年にオープンし35年の歴史がある。藤本課長によると、売り上げのピークはバブル期の1991年で、年間約112億円の売り上げがあった。

その後、つくばエクスプレス(TX)が開通し沿線に多くの商業施設が建設されたこと、土浦駅を利用するのは車を運転しない学生やシニアが中心になったことなどから、駅ビルの売り上げが低迷し、2016年度の売り上げはピーク時の7分の1の約16億円まで落ち込んだ。

「モノが売れない、地元のお客様に駅ビルにお越しいただけない、お店を入れ替えてリニューアルしても解消されない中、駅ビルをどのように存在させるか。それならば足元の商圏に頼らず、東京や全国からお客様を呼ぼうという逆転の発想」だという。

「世の中の消費は、モノを買うより体験することにお金を使う体験型にシフトしている。モノを売ることにこだわらないというのが原点」と藤本課長。新しい価値をつくり出し、コトを売ることにチャレンジするチャンスだと捉えた。

同じ時期、土浦では、県が中心になり、霞ケ浦や筑波山を巡る全長180㎞のサイクリングコース「つくば霞ケ浦りんりんロード」の環境整備が進んでいた。PRが功を奏し、同コースを利用する自転車愛好者は2015年が約3万9000人だったのに対し、16年度は約4万8000人、17年度は約6万人を超えると推測されるなど年々増加している。

米ポートランドをイメージ

サイクリングのまちづくりで、藤本課長がイメージしたのが自転車の街として知られる米国西海岸のポートランドだという。

ポートランドには全長480㎞を超える自転車優先道路や自転車専用レーンが整備され、多くの市民が通勤・通学に自転車を利用している。自転車のイベントも数多く開催され、自転車を利用した観光も盛んで、グルメスポット、公園、下町、ビール醸造所など街中を巡るガイド付きツアーや、少し離れたブドウ畑、渓谷まで足を延ばすツアーなどが用意され、自転車は一大産業となっている。

「土浦、霞ケ浦は日本有数の観光拠点になる。そこから始める」と藤本課長はいう。

専用列車を運行

とはいえ、首都圏や全国からどうやって自転車愛好者を集めるのか。アトレでは、土浦駅前で自転車フェスティバルを開いたり、親会社のJR東日本や旅行会社と連携しサイクリスト向けの専用列車を運行して誘客に努める予定だ。

最初のフェスティバルはオープン後、最初の土・日曜となる31日と4月1日に駅前特設ステージで開催する。最新モデルのスポーツ自転車が集結し、試乗会やツアーなどを実施したり、キッズスクールなども開催するという。

オープン後、初めてとなるサイクリスト専用列車は4月22日に運行する。「つくば山桜ライド」と題して、上野発、15両編成の臨時列車が土浦にやってくる。参加者は折りたたみ自転車をたずさえて列車に乗車。土浦駅を出発し、山桜やご当地グルメを堪能しながら真壁休憩所まで片道30㎞を往復する。JTBが参加者を募集しており、28日までに130人の参加申し込みがあるという。

ホテルは90室前後

土浦駅ビルは今年11月、第2弾として2階と3階に、学びや体験を充実させたカフェ、レストラン、クッキングスタジオがオープン。第3弾として来年5月、2階南側に茨城の地ビールや日本酒、パン、スイーツなど地元の人気店を集めたフードマーケットがオープンする。最終段階の第4弾は来年秋以降、3~5階に、サイクリングを気軽に楽しむ人のためのカジュアルなホテルが誕生する。

ホテルはすでに運営会社が決定。客室は90室前後となり、1人1万円以下で宿泊できる施設になるという。「サイクリストはもちろん、観光客、ビジネス客も気軽にカジュアルに利用できるホテル」と藤本課長。さらに「霞ケ浦の景観が一番の魅力。きれいな霞ケ浦であってほしい」と願う。

28日内覧会が催され報道関係者に公開された1階ル・サイク店内。サイクリングコンシェルジュが常駐する
イタリアの自転車メーカーとコラボした1階タリーズコーヒーのサイクルカフェ
地下1階駐輪場
地下1階シャワールーム

もし公演中に火災が起きたら… 観客参加し避難訓練 つくばカピオ

0
観客を屋外へと避難誘導する職員(右)=つくば市竹園のつくばカピオ

【谷島英里子】コンサートの最中に火災が発生したことを想定した避難訓練が27日、つくば市竹園のつくばカピオで行われた。カピオを管理するつくば文化振興財団が職員と観客の防災意識向上を目的に初めて企画した。公募の176人が参加し、同市消防音楽隊が出演協力した。

医務室からの出火を想定した。訓練ではコンサート中盤に火災報知器が作動し、職員がその場で待機するよう指示を出しつつ、ほかの職員らが館内の状況を確認。「1階で火災が発生しました」と状況を説明してから、出口ドア付近に立って屋外に誘導。残っている人がいないことを確認して訓練が終わった。観客はスタッフの指示に従って終始落ち着いた様子だった。

市消防本部予防広報課の苅部明夫課長は「観客はステージを見るために前を向いているので避難場所は分からない。スタッフの誘導が大切になるので、避難や誘導を呼び掛ける声は大きくしっかり出してほしい」と話した。山田和穂館長は「観客を入れた訓練は初めてだったので緊張感があった。改めて人が集まったときの動きを確認して今後につなげたい」と話した。

訓練通し考えるきっかけに

避難を始める観客=同

【富永みくに】消防音楽隊による3曲目の演奏が終わった直後、けたたましく非常ベルが鳴り、火災が発生したことが放送で告げられた。訓練だと分かっていたこともあり、会場内は落ち着き払っていた。「これってうその火事でしょ?」そんな子どもたちの声が場内に響く。その後もパニック状態に陥ることなく、参加者全員がスムーズに屋外に移動した。

このようなエピソードを語ると「避難訓練は意味がない」と思われるかも知れない。しかし、参加者の声を聞いてみると「楽しい行事の時に災害が起きたらどう行動すれば良いか考えるきっかけになった」「子どもたちは学校で避難訓練があるが、私たち(主婦)にはないので良い経験になった」との声が多数聞かれた。

普段の生活の中で「もしも今、災害が起きたら…」と、考える習慣を持たせるのが避難訓練の最大の意義である。コンサート会場や映画館などで、まず席についた時、天井を見上げて「もしもこれが落ちてきたらどうするか」、周囲を見渡して「火事になったらどこから逃げるか」と、1分でも2分でもいいから考える。こうするだけでも、実際に災害が起きた時の初動は違ってくるのではないだろうか。

「どこが出火場所なのかの説明がなかった」「ステージ上の消防隊員が誘導してくれなかった」などの声も聞かれ、確かに気になる点は多々あった。しかし、参加者の多くが「災害対応」という良い習慣を手土産として持ち帰った、貴重な訓練になったと思う。改善すべき点は改善しつつ、こうした訓練が今後も継続されることを願っている。

 

【桜花爛漫】157公園に植樹 樹齢40年、樹勢に衰え

0
国土技術政策総合研究所内に植えられたソメイヨシノの開花具合を見る飯塚康雄さん=26日、つくば市旭

【橋立多美】桜のつぼみがほころび、満開間近。約300本の桜が咲き誇る北条大池を始め、つくば市内には、桜が植樹された157カ所の都市公園がある。農村部では、社寺の参道や田畑の中に点在する桜が開花し、春一色に彩られる。桜の代表格ソメイヨシノの満開の景色を楽しむスポットが多いが、近年は樹勢が衰えているという。

都市公園の整備や維持管理をしている市建設部公園・施設課によると、市内の桜は樹齢40年余のソメイヨシノが多い。1960年代末に幹線道路が造成され、その後、街路樹や公園の植樹が行われたことによるという。

ソメイヨシノは、江戸時代にエドヒガンとオオシマザクラの雑種を交配させた品種で、戦後、都市開発や公園整備に伴って全国各地に広まった。同市も例外ではない。

近年、日本全域でソメイヨシノの衰弱が目立つようになり、「寿命60年説」がささやかれる。樹木医=メモ=で国交省国土技術政策総合研究所(同市旭)の研究員、飯塚康雄さんは、寿命というより生育環境による影響が大きいと話す。

「ソメイヨシノは高く広く枝を伸ばす品種。植栽間隔が狭いと互いに枝を交差させながら成長するが、40歳を過ぎると交差した枝が日照不足で枯れ始めて樹勢の衰退が始まる」と話す。「市内のペデストリアンデッキ(歩行者と自転車のための専用道路)に植樹されたソメイヨシノは衰退が見られるが、土浦市立真鍋小学校のソメイヨシノは樹齢100年でも樹勢は衰えず、力強く咲いている」とも。

同市二の宮、洞峰公園事務所で行われている「植物なんでも相談」の相談員を担当している樹木医の芹沢誠さんは、「樹齢40年ともなると花見客が訪れ、養水分を吸収している根元を踏まれるのも寿命を縮める一因」と語る。踏みつけられて根が浮き出たり、枝を傷つけられると腐朽菌が侵入するそうだ。美しい桜並木を次世代に引き継ぐために枝を折らない、飲み残しを捨てないなどのマナーを呼びかける。

一方、芹沢さんはソメイヨシノだけが桜として取り上げられる状態を憂慮する。「桜は約400種類ある。多彩な桜に出合ってほしい」とした上で、乙戸沼と森林総合研究所、雪入の山桜を挙げてくれた。連載で紹介する。

メモ

【樹木医】樹木の保護と生育に関する知識の普及と指導を行う専門家。日本緑化センターが実施する資格審査に合格して登録される。活動は県単位で、日本樹木医会茨城県支部(阿部豊支部長)は59人で組織されている。

貴重な樹木を守り育てたいと話す芹沢誠さん

2カ国語の消防車出動 つくば、全国初

0
英語で広報できるシステムを搭載したつくば市消防本部の救助工作車

【谷島英里子】つくば市消防本部は、火災や災害などの情報を日本語と英語で広報する消防車を全国で初めて導入した。火災、大雨、竜巻、地震警報や注意報などあらかじめ収録された10種類の音声を2カ国語で繰り返し放送することができる。

市内には外国籍の住民が多く、国際会議も数多く開かれているなどから、ポンプ車と救助工作車の2台に導入した。昨年12月から実際の活動に使われていて、今月16日に一般公開した。

警報や注意報などが発令された際、パトロールしたり、火災や災害発生時に出動して広報するほか、春と秋の火災予防運動に役立てる。現在、中央消防署が管轄する中心地区や研究学園地区、豊里地区と、茎崎分署が管轄する茎崎地区などをパトロールしているという。

市消防本部警防課の鈴木康司救助係長は「つくばには外国人が多いので情報難民を出さないようにと消防士らで考えた。2020年には東京オリンピック・パラリンピックもあるので、ほかの消防本部にも広がれば」と話していた。

▼音声の一部は
「こちらは消防本部です。ただ今、火災警報が発令中です。火の取り扱いには十分注意してください」
「This is an announcement from Tsukuba Fire Department. “Fire Alret”has been announced,please be careful when using the fire」

TX沿線に初めて開校 2義務教育学校を公開 つくば

0
屋根付きの回廊がめぐる板張りの中庭(そとの教室)=学園の森義務教育学校
校舎と体育館に囲まれた人工芝のイベント広場=同

【鈴木宏子】つくば市のつくばエクスプレス(TX)沿線開発区域内に初めて開校する学園の森義務教育学校(研究学園地区、同市学園の森)とみどりの学園義務教育学校(みどりの地区、同市みどりの中央)が25日、報道関係者や区長などに公開された。

両校とも校舎の外観は白が基調で、窓ガラスが大きく、教室と廊下もガラス戸で仕切られるなど開放的な造り。校舎は北側と南側と中央にエの字型に配置され、1階中央には板張りの中庭(そとの教室)を囲んで屋根付きの回廊がめぐり、図書メディア室や人工芝のイベント広場、体育館などが配置されているのが特徴だ。

両校いずれも、北側と南側の校舎は鉄筋コンクリート造3階建て、中央は鉄骨造1階建て、教室は全室に冷暖房設備がある。3階建て校舎には給食搬入用のエレベーターが設置され、車いすなどの児童・生徒も利用できるという。エレベーター近くのトイレには各階に車いすが利用できる多目的トイレが設置されている。

校庭は両校とも、野球場と1周200㍍のトラック、テニスコートなどが整備され、プールは体育館脇に配置されている。児童クラブも併設されている。

学園の森は、敷地面積5.1haで市内の小中学校や義務教育学校の中で最も広い。校舎、体育館など建物の延べ床面積は約1万4500㎡。1年生(小1)から9年生(中3)まで約1146人が入学予定で、普通教室は37クラスとなる。春日学園義務教育学校から分かれて入学することから、1年生は8学級なのに対し9年生は1学級のみとピラミット型の学級構成となる。一方、研究学園地区は市内で最も住宅や商業施設などの建設が進んでいることから、今後教室が足りなくなり、増築が必要になる可能性もあるという。

みどりのは、敷地面積4.5ha、延べ床面積約1万3400㎡。谷田部小や谷田部南小、谷田部中などから分かれて約710人が入学する予定で、普通教室は9学年で24クラスという。こちらも1年生(小1)は5クラスなのに対し9年生(中3)は1クラスのみとピラミッド型の学級構成という。

市内では、筑波地区の2中学校と7小学校を統廃合して開校する秀峰筑波義務教育学校と合わせて、4月に3校が開校する。

学園の森義務教育学校の校舎
みどりの学園義務教育学校の校舎

思い分かち合い4年 夜の絵画教室仲間が作品展 つくば

0
底抜けに明るいメンバーたち。写真手前が小沢陽子さん=つくば市漆所

【橋立多美】「美術の世界には、こうしなければという決まりはない」を合言葉に、将来への不安や介護の悩みなど、同じ思いを分かち合う仲間と絵を描く過程を大切にする筑波山麓の絵画教室が30日から、古民家を改装したカフェ&ギャラリークラウドナイン(つくば市大角豆)で「小さな夜の絵画教室展」を開く。水彩とアクリル画約20点を展示する。

教室を主宰するのは筑波山麓に住むフリーのイラストレーター小沢陽子さん。気取りがなくて明るい小沢さんのアトリエには、地域の知人や生まれ育った下妻の友人たちが集まり、井戸端会議が始まるのが常だった。こうした仲間たちで4年前に絵画教室がスタートした。

メンバーは60~70代の7人。店を切り盛りする人や養鶏に携わる人など、全員が仕事を終えて顔をそろえるのが夜7時。それから絵筆を握る。

小沢さんは千葉大学教育学部卒。教壇には立たなかったが、ルールにとらわれず自由に表現する現代美術を追求しており、教室では描き上げるまでの過程を楽しむことにしている。時に絵画教室が井戸端会議の場になることがある。仕事や介護に傷付き、辛くて参加したメンバーがいると「制作よりも大事」と皆で話を聴く。思いを分かち合い、打ち明けた本人は心が晴れてスッキリした顔で帰っていくという。

もっと年をとっても教室を続けようというメンバーたちは、教室が仲間たちの安否確認の機能を果たすと考えている。移動手段の車をいつまで運転できるかがネックだが、小沢さんは「多様な人々が共に生きる地域社会のモデルを仲間と模索していきたい」と話す。

年を重ねると新しいことに挑戦する機会は少なくなる。作品発表に戸惑う声もあったが、思い出づくりとして制作に打ち込んできた。会期は30日(金)~4月11日(水)、5日は休廊。入場無料。

昭和初期に建てられた民家を改装したクラウドナイン=つくば市大角豆

 

第1期土浦ブランドに18品認定

0
「土浦ブランド」の認定品=土浦市大和町のアルカス土浦

【谷島英里子】土浦市が今年新たに創設した「土浦ブランド」に、レンコンやワカサギを使った加工品など18品が認定された。

24日、土浦市大和町のアルカス土浦で第1期の認定式が開かれ、中川清市長が、企業や団体の代表者に認定証を手渡した。中川市長は「市内外に(認定品の)魅力を発信して地域活性化につなげたい」と期待を込めた。

地元産品をもっとPRしようと、2月1日~3月2日に土浦ならではこだわりのある農水産物や加工品、料理などを募集した。21品の応募があり、有識者らでつくる「土浦ブランドアッププロジェクト推進協議会」が独自性や品質などを選考基準に審査した結果、18品が選ばれた。

認定品は「土浦ブランド」のマークが使用でき自社商品の宣伝などに活用できるほか、市のふるさと納税の返礼品やシティプロモーション(市の広報活動)などでも優先的に活用される。認定期間は2年間。

18品は次の通り。
▽土浦農業協同組合の「れんこん」
▽飯村畜産の「つくば山麓 飯村牛」(牛肉)
▽土浦市農業公社の「土浦産常陸秋そば」(そば粉)
▽武井れんこん農園の「武井れんこん農園のれんこん」
▽常磐商店の「霞ケ浦産 白魚煮干」
▽田中屋川魚店の「小えび佃煮」
▽佐藤畜産の「佐藤畜産の極選豚」(豚肉)
▽柴沼醤油醸造の「紫峰」(しょう油)
▽小松屋食品の「わかさぎのコンフィ」
▽レストラン中台の「幻の飯村牛ビーフシチューカレー」
▽JA土浦女性部加工部会の「亀城味噌」
▽久月総本店の「霞ケ浦帆引きれんこん物語」(洋菓子)
▽土浦鈴木屋の「土浦常名の里の純米大吟醸」
▽志ち乃の「栗どら」(どら焼き)
▽前島製菓の「九万五千石」(かりんとう)
▽高月堂の「霞浦の恵み」(クッキー)
▽瀧田興業の「瀧田蕎麦」(乾麺)
▽創作和菓子すぎやまの「蓮根カレーパイ」

「土浦ブランド」に認定された企業や団体の代表者ら=同
「土浦ブランド」のマーク。「水」と「土」両方の恵みを受ける土浦の風景をモチーフに、霞ケ浦と土浦の浦の字をイメージする日本伝統の文様であるエ霞(えかすみ)を合わせた

中国語学び友情深めよう 留学生が講師に つくば日中協会

0
講座で中国語を学ぶ受講生ら(不破さん提供)

【大志万容子】中国語を学びながら中国文化の理解を深め、日中の市民間の友情を深めようと、つくば日中協会(不破正宏会長)は、中国語講座を開いている。講師は筑波大学の中国人留学生5人。生きた中国事情を若い学生の目で教えてもらえるのも特徴だ。

同講座は1997年から始まり、今年で22回目。これまで延べ約1000人近くが受講してきた。学習経験に合わせ、入門、基礎、初級、中級、文化の5コースがあり、初心者から上級者までレベルと興味にあわせて学ぶことができる。

不破正宏会長は「中国語を学びながら、日本文化の故郷でもある中国文化と発展する中国への理解を深めましょう」と呼び掛ける。

つくば日中協会は、筑波研究学園都市を中心に、日中交流に興味を持つ人たちが連携し、日中の相互理解を深めることなどを目的に93年に設立。中国語講座のほか月例懇談会や料理教室を定期的に開いている。95年には「日中友好文化交流団」を結成、中国の北京市と成都市を訪問し、同年度の県国際交流奨励賞を受賞した。

受講生募集

2018年度の中国語講座の受講生を募集している。期間は4月15日~19年3月15日(全40回)。会場は、つくば市竹園交流センター(入門、基礎、中級)▽同市並木交流センター(初級)▽同市小野川交流センター(文化)。受講料は3万8000円(同協会会員は3万3000円+年会費3000円)ほか教材費などが必要。募集定員は各コース20人(7人未満のコースは開講見送り)。

申込み・問い合わせは、つくば日中協会事務局:電話・FAX:029・877・3870(不破さん)、029・853・1426(杜さん)、携帯090・3069・1086(不破さん)、090・1706・8966(杜さん)、メール:tsukuba_nittyu_staff@freeml.com

神立駅東西自由通路 23日開通、駅舎は24日から

0
23日開通するJR常磐線神立駅自由通路と橋上駅舎

【谷島英里子】JR常磐線神立駅の東西を結ぶ自由通路が23日午後1時過ぎ開通する。橋上駅舎の一部は24日から利用できるようになる。

土浦市とかすみがうら市でつくる一部事務組合が2016年10月から工事を進めてきた。開通により、駅利用者の利便性が向上し、歩行者の動線や交流拠点の強化などが期待されている。駅舎と自由通路全体の供用開始は19年冬ごろの見込み。

土浦・かすみがうら土地区画整理一部事務組合によると、東西自由通路は長さ40m、幅6m。20人乗りのエレベーターやトイレのほか、西口1階に防犯ステーション「まちばん」を設置した。

駅舎は鉄骨2階建て、面積950㎡。屋根は霞ケ浦の帆引き船をイメージした。構内には自動改札5台、券売機3台、執務室、店舗、11人乗りのエレベーター2基、トイレなどを備える。

23日午後1時から開通式が開かれ、同事務組合管理者の中川清土浦市長、副管理者の坪井透かすみがうら市長らが出席し、テープカットなどを実施する。式典後は地元の神立商工振興会による開通イベントが催される。

スイスが筑波大で事前キャンプ 2020東京五輪

0
スイスの事前キャンプについて発表する筑波大学の永田恭介学長(中央)=筑波大学本部棟

【鈴木宏子】2020年の東京オリンピックで、スイスが筑波大学(つくば市天王台)で事前キャンプをする。22日、同大が発表した。事前キャンプ実施に向け、同大の永田恭介学長、大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長がスイスを訪問し、4月11日(現地時間)にスイスオリンピック協会と基本合意書を締結する。

同大によると、陸上、柔道、体操などの選手団が競技の2、3週間前などに来日し、同大の陸上競技場、武道館、中央体育館などの施設でトレーニングをする。選手団の規模は、1種目当たり選手、スタッフを含め数十人程度になると見込まれ、市内のホテルに宿泊しながら同大で練習することになるという。

同大つくば国際スポーツアカデミーとスイスのスポーツマネジメント大学院が2014年に連携協定を締結し、相互訪問するなど交流していたことから、スイス側から申し入れがあった。

永田学長は「学生にとってひじょうにいいボランティアが経験できる。できる限りサポートし協力していきたい」と話した。同大ではスポーツ科学やリハビリなどの研究設備も整っていることから、大学院生などが選手たちの測定を手伝ったり、ケアをするなどのサポートもできるという。

永田学長はスイスでさらにIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長を表敬訪問する予定で、同大など4大学が連携して開発したアンチ・ドーピングシステム(薬物検査方法)を紹介したいとしている。

県内で東京オリンピックの事前キャンプ地になるのは、常陸太田市(パラオ)、龍ケ崎市(キューバ=柔道、オセアニア地域=柔道、タイ=陸上)、桜川市(モンゴル=射撃)。つくば市は4市目。事前キャンプは時差を調整し気候に順応するために行う。

ビル解体工事の足場倒壊 強風影響か 土浦

0
解体工事中のビルで、足場が倒壊した現場(左側)=22日午前10時30分ごろ、土浦市大手町

【速報・谷島英里子】22日午前5時20分ごろ、土浦市大手町で、4階建てビルの解体工事現場の足場が崩れて、囲っていたパネルが落下した。土浦署によると、強風の影響とみられ、けが人の情報は入っていないという。

近くの住民から110番通報があり、警察が駆け付けたところ、組まれていた足場が崩れてアルミ製のパネルなどが落下していたという。

土浦高架道、県道土浦境線の一部が一時通行止めとなった。水戸地方気象台によると、市内では午前6時11分に17.9mの最大瞬間風速を観測している。