火曜日, 4月 20, 2021
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【戦後74年の夏】6 ドローンで見る廃墟 鹿島海軍航空隊跡地の風化 ㊤

【相澤冬樹】夏がくれば思いだす――のは、霞ケ浦に突き出た美浦村の東端、鹿島海軍航空隊跡地のこと。戦争遺跡があったり、心霊スポットの廃墟があったり、水辺レジャーの基地があったり、夏になると注目を集める場所だ。なかでも霞ケ浦分院跡地と呼ばれる遺構は、解体されるのか保全されるのか、「この先どうなる?」とよく聞かれる。許可を得て敷地内に入れてもらい、ドローン撮影を敢行した。

病院跡地に立つ旧軍施設

美浦村大山、南に小野川の河口が切れ込んだ半島状の土地約23ヘクタールが、鹿島海軍航空隊跡地である。国交省管理の水防拠点になっている湖岸の約1.5ヘクタールを除けば、ほぼ7ヘクタールずつ3等分できる。北から国立環境研究所水環境保全再生研究ステーション、中央の東京医科歯科大学霞ケ浦分院跡地、南の堤防の内側にある民有地である。戦後すぐに払い下げられた民有地以外の土地は、1946年から霞ケ浦分院が占めたが、1974年に北側部分は環境研(当時、国立公害研究所)に移管となった。

霞ケ浦分院は1997年までに閉院、最終的に中央部約7.6ヘクタールの土地を村が取得した。中央を走る道路の南側部分3.3ヘクタールは村営のメガソーラー発電所となっており、北側部分4.3ヘクタールは周囲をフェンスで封鎖している。分院跡地と呼ぶが、残っている建造物は旧軍時代からのものばかりである。ランドマークになっている煙突とボイラー棟が、深い夏草のなかから立ち上がっている。

許可を得て取材チームが入った8月初め、旧軍時代の司令部、分院時代の本部として使われた鉄骨コンクリート造の庁舎は民間のセキュリティー会社に管理が委ねられていたが、役場職員がその施錠を解こうとしたところ、ドアノブがバールのようなもので破壊されていて、ついに開錠できなかった。ドローンを飛ばすと、夏草は陸屋根になった屋上にも根を張って繁茂している。

いわゆる廃墟マニア、あるいは心霊マニアの関心をひくスポットだけに不心得の侵入者が後を絶たないらしい。建設から80年、無人となって20年、すさまじい風化のなか保全は成り立つのか、今後が注目されているのである。

左に南岸、右に東岸のスロープ。中央突端部にカタパルトの跡がある=撮影:伊能正登(TSORD)

湖岸のスロープから飛び立つ

鹿島海軍航空隊は、阿見町にあった霞ケ浦海軍航空隊の水上班が移転して1938(昭和13)年に開隊した。水上機の操縦訓練を行う練習航空隊であり、のちに予科練出身の飛行練習生が93式水上中間練習機で猛訓練を行った。いわゆる「赤とんぼ」の水上機バージョンで、滑走のためのフロートが付いていた。第二次大戦末期には特攻作戦の搭乗員として多くを送り出した。

大山地区の突端は、湖に2方向が面していることから、横風に弱い水上機の離陸に適していた。東側と南側の滑走路は、水面に向かって傾斜のついた斜路になっていて、大山スロープ(ゲレンデ)の呼び名がある。

この湖岸施設は現在も国交省管理の水防拠点に位置づけられており、2009年、土木学会選奨の土木遺産に認定された。斜路はプレジャーボートやジェットスキーの船艇搬入に便利なことから近年レジャー客の利用が増え、夏場の週末ともなるとごった返すほどの人出になる。民有地は艇庫が立ち並び、水上飛行機の格納庫も置かれている。(つづく)

➡【戦後74年の夏】5はこちら

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