木曜日, 1月 27, 2022
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内臓脂肪に機能性成分 農研機構開発ミールセット、3月発売へ

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超高齢社会に向け、健康維持に配慮した食事を摂ってもらいたいと農研機構(NARO、つくば市)の設計したミールセットが近く、売り出される。26日、お披露目されたのは「NARO Style PLUS(ナロスタイルプラス)」。特に内臓脂肪の低減が期待される献立になっている。

ミールセットは50%もち麦ごはん、おかず4種類、緑茶粉末から構成される。β-グルカンを含むもち麦「キラリモチ」、カテキン豊富なお茶「べにふうき」など機能性成分を盛り込んで10メニューを用意した。

機能性表示食品制度の始まった2015年から、農研機構はその科学的根拠を確認する研究を推進してきた。陣頭指揮に当たったのが食品研究部門の山本万里エグゼクティブリサーチャーで、機能性成分を多く含む農産物を使用した弁当メニューの「NARO Style」を設計。18年からは肥満傾向にある被験者を対象にヒト介入試験を行い、平日の日中1食を一定期間継続して食べることで、内臓脂肪面積の減少が認められたと報告した。特に女性がもち⻨ごはんを摂取すると、他の機能性農産物より顕著に内臓脂肪が低下した結果が得られたという。

ヒト介入試験(2017)の結果 試験開始内臓脂肪面積が100〜127㎠の被験者や女性被験者が50%もち麦ごはんを摂取すると、他の機能性農産物群より顕著に内臓脂肪面積が低下した=農研機構提供

今回の「- PLUS」は製造、販売にフローウィング(本社・兵庫県姫路市)の参画を得て、量産体制を整えた。献立は、おかずを弁当の3種類から4種類に増やした。酢鶏などをメーンに豆類を素材とした副菜を追加している。管理栄養士によれば、10メニュー平均で1食当たり584キロカロリー、たんぱく質28グラム、脂質17グラムと栄養バランスを整えた。食塩相当量は1.35グラム、通常販売されているお弁当の約2.5グラムと比べ大幅な低塩分を実現した。

ミールセットは現在、三重県亀山市で市民100人に8週間継続して食べてもらう社会実証試験に提供されている。ここでも医療負担の増大が懸念される超高齢社会に向け、生活習慣病対策、特に内臓脂肪を増加させない摂食を通じた健康維持がテーマになっている。

フローウィングは、1日20万食を提供する体制を整備中。家庭などへ配達する個食パック、社員食堂や施設など配膳で利用する業務用の2つのパッケージを用意し、それぞれ冷凍食品、冷凍湯せんパックとして3月にも売り出す。

小売価格は、おかずパックが546円(税別)から。もち麦ごはん、緑茶粉末を加えたセット価格は1食880円程度からになりそうだが、フローウィング田中勝久社長は「価格優先だと安かろう悪かろうとなる恐れがある。栄養と量を落とすことのないよう価格設定をしていきたい」としている。

Amazon、yahooなどのほか、調剤薬局や介護施設などを通じた新たな流通チャンネルへも展開していく構えだ。(相澤冬樹)

関東にも降灰の影響 巨大噴火火砕流の分布図公開 産総研

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南太平洋の島国、トンガで起きた海底火山の噴火で津波が日本まで押し寄せ、大規模噴火の影響が広範囲に及ぶことを示した。日本には過去10万年でトンガの噴火の100~10000倍もの爆発を起こした火山が数多く存在する。それらの巨大噴火により火砕流がどれくらい広がったのかを示す図が「大規模火砕流分布図」として産総研活断層・火山研究部門(つくば市東)からシリーズで刊行されることになり、第1号として約3万年前の姶良(あいら)カルデラ(鹿児島)の巨大噴火により噴出した入戸(いと)火砕流の分布図が25日に公開された。

姶良カルデラの巨大噴火は火山爆発指数7で、トンガの噴火の約100倍(体積比)も大きかった(上図)。シリーズ刊行に当たり新たなボーリング試料や海底での火砕流分布のシミュレーション結果も検討した結果、入戸火砕流と火山灰の総噴出量800〜900立方キロメートルであることが明らかとなった。これは従来の推定値より約1.5倍大きい。図幅では火砕流に伴う降灰分布も示しており、関東地方では10センチ程度積もったと推定されている。

関東地方では姶良カルデラ以外にも、巨大噴火による火山灰が積もっている(下図)。

関東地方に降灰をもたらした噴火と推定降下範囲。ピンク色が入戸火砕流にともなう姶良Tn火山灰、緑色が阿蘇4火砕流に伴う火山灰、青色が鬼界カルデラ起源の幸屋火砕流にともなうアカホヤ火山灰、オレンジ色が阿多火砕流に伴う火山灰の分布=同

姶良カルデラは約3万年前の噴火しか確認されていないが、鬼界カルデラ(鹿児島)は約7000年前と約9万5000年前の2回、阿多カルデラ(鹿児島)は約10万年前と約24万年前の2回、阿蘇カルデラ(熊本)は約27万年前、約14万年前、約13万年前、約9万年前の4回の巨大噴火が確認されており、いずれも火山爆発指数は7、約9万年前の阿蘇カルデラの噴火の火山爆発指数は8と推定されている。これらの火山についても順次、大規模火砕流分布図が公開される予定で、関東地方に具体的にどれくらい降灰があったかについても最新の知見が公開される。

下司信夫研究グループ長は「降下火山灰の対策については難しいところがあるが、どうやって除去するかが大きな課題になる」としている。(如月啓)

洞峰公園の薔薇とイギリス文化の香り《遊民通信》33

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【コラム・田口哲郎】
前略

初夏のころ、つくば市にある洞峰公園のプール棟前には薔薇(バラ)の花が溢(あふ)れます。ローズガーデンさながらの種類と本数です。この薔薇園を特に入場料を払わずに鑑賞できるのは、とてもありがたいと思います。色とりどり、鮮やかさなど、さまざま楽しめるのはもちろん、香りがとてもよいのです。あまり強くなく、かすかですが、ふわっと心地よく、非日常に連れていってくれるような匂い。デパートに売っている高級な香水を思わせます。

さて、私は夢中で写真を撮ったのですが、ある写真を見返して思わずつぶやきました。「こりゃ、イングリッシュだな」と。マリーナという品種が、プール棟のレンガ風外壁とガラス屋根を背景に濃いオレンジ色に咲きほこっています。

西洋の伝統を感じさせるレンガと近代を物語るガラスに薔薇とくれば、水戸偕楽園の好文亭に梅林といったおもむき。イングリッシュの本体もそばにありました。クィーン・エリザベス。「われらが女王陛下のために」と、どこかで聞いたことがある言葉が思い浮かぶほど、その薔薇は我こそ薔薇なりと言わんばかりに堂々と咲いていました。

クィーン・エリザベスで思い浮かんだ言葉は、シャーロック・ホームズのセリフだった気がします。19世紀、大英帝国華やかなりし時代の物語です。シャーロックは犯罪者を推理のすえ、いよいよ追いつめようと、相棒のワトスン君とベーカー街の部屋を飛び出すときにそう言います。そういえば、NHK BSでイギリスのグラナダテレビジョン制作の「シャーロック・ホームズの冒険」が絶賛再放送中です。

大西洋の島国と太平洋の島国の文化

主演は大手菓子メーカー、キャドバリー社の御曹司ジェレミー・ブレット。イギリス紳士を演じさせたら右に出る者はいないハマリ役です。テレビドラマを含めてシャーロック・ホームズ好きは、シャーロキアンと呼ばれて日本全国に大勢いるのはご存知の通り。ホームズが人気があるのは、推理小説としての面白さもさることながら、その背後にあるイギリス文化をぷんぷん匂わせているからでしょう。

思えば、イギリス文化は日本に絶えることなく入ってきますね。ザ・ビートルズをはじめとするロック・ポップスから、レ・ミゼラブルのようなミュージカル、シェイクスピア演劇、ブロンテ姉妹、ジェーン・オースティンの小説、モンティ・パイソン、ミスター・ビーンのようなコメディまで、数えればきりがないです。

慶應義塾の政治思想の講義で、イギリスは島国で、文化がゆっくり独自の特徴を持つようになった、それは島国の日本も似ている、と聞いたことがあります。派手ではなくとも渋くて味のある文化が、洋の東西に位置する島国に蓄積しているのは愉快です。ヨーロッパ文明の波はますます押し寄せます。

今さらですが、英国から学ぶことは多いでしょう。そして日本もあちらに文化を大いに輸出するべきです。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

雪の降った日に 《続・平熱日記》102

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【コラム・斉藤裕之】新年早々降り始めた雪。たまたま初売りで買った長靴がこんなに早い出番を迎えるとは…。犬のハクは散歩が待ちきれない様子。歌にあるように、犬は雪の中でテンションが上がることは間違いない。ただ喜んでいるのかどうかは分からない。とにかく白い雪の中を狂ったように走り回る。

白い犬だからハクという名前なのだが、真っ白い雪の中にいると白くもなんともない。むしろ小汚くさえ見える。

白という色を初めて意識したのは…。自分の才能も顧みず、親や先生の忠告を無視して絵を描こうと決めた高3の夏。門をたたいた絵画教室で私を待ち受けていたのは、石膏(せこう)像と呼ばれる白い胸像たち。そもそも、黒い木炭で白い物を描くという時点でお手上げなのだが、朝から日没までひたすら石膏像を描く日々。

そして、絵を褒められることはついぞなかったが、「斉藤はがんばっちょる」という先生の一言で夏は終わった。

それからどのくらいたったのだろうか。白い石膏像が美しいと思えたのは、黒い木炭が影を自在に描く道具だと分かり、しかもその影は暗いのではなく仄(ほの)明るいと分かったとき。石膏像は柔らかな白だと分かったとき。なるほど「日」と「白」という漢字は関係があるような気がする。

群れてしまうと灰色になる?

それから、アトリエを少しだけ模様替えした。少しだけというのは、そもそも半分以上は物置のようなものだから、部屋全体に手を付けるにはそれなりに覚悟しなければならないからだ。何年分かのガラクタ?ゴミ?

いや、かつてはモチーフだったものや、描こうと思ってほったらかしたものたち。ハチの巣、鉄の部品、磁石、松ぼっくり、ハスの実、削りかけのさじ、抜けた歯…。どれもホコリまみれ。ホコリは、もともと様々な色の繊維などが集まっているものが光学的にグレーに見えるらしい。

子供のころ、パレットに余った絵具を混ぜるとなんだか汚い色になった、あれと同じ理屈だ。いろんな色を持った人も、群れてしまうとグレーになってしまう?のかな。

都会で知ったスノッブな白

さて机の位置も変えたし、新鮮な気持ちで描き初め。まずはお水取り。何年も使っている半分にカットしたペットボトルに水を入れる。それから新しいパレットを用意。これはもう長いこと牛乳パックを半分に切ったものを使用。牛乳パックの白は色がよく分かるし小さな絵を描くのにはちょうどいい。

日本海側では記録的な大雪らしい。物質の三態から言えば、水、水蒸気、氷。そうすると、雪はなに? 空から降ってくる不思議な白いもの。

「ねえ、ハクは少しずつ茶色くなってない?」と、カミさん。言われてみればそんな気もする。「これって何色って言ったらいいの?」「……」。そうだ、オフホワイト! 都会で知ったスノッブな白。私には似合わない白。(画家)

カエル像36体の物語 つくばテクノパーク桜 住民ら絵本づくり

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つくば市桜のまちづくり団体、テクノパーク桜まちづくりを考える会(水谷浩子代表)がこのほど、地区内のあちこちに36体あるカエルの石像を主人公に、絵本『36ぴきのかえるちゃん』(A4判、20ページ)を制作、発行した。同会の古場容史子(よしこ)さんが朗読を担当し、YouTubeでも読み聞かせ動画を配信している。

36体のカエルの石像が会議をし、音楽のあるまちづくりをしていく物語。代表の水谷さんを中心に会員らが考え、筑波大学卒業生の高橋理恵子さんが絵本のイラストを描いた。

テクノパーク桜は1997年に、土地区画整理事業により完成した。筑波大学の東に隣接し、商業施設や住宅、研究施設が立ち並ぶ。同会は2009年に地域の良好な環境を守り、まちの活性と交流を目指すことを理念として発足。桜まつりや街角音楽会などさまざまなイベントを実施してきた。

地区内には事業の完了時点で、さまざまなポーズの36体のカエル像が設置されていた。腕を組んだり、ほおづえをついたり、一体一体ポーズが異なる。

代表の水谷さんは1998年からテクノパーク桜に住んでいる。当時はカエル像を気に留めていなかったが、ある時、数を数えたら36体あることが分かり、また1体ずつポーズが違っていることから興味を持ち始めたという。絵本の制作について「コロナ禍で会の活動がなかなかできなかったので、カエルの本を作ってお店に置いてもらったら街のことを知ってもらえるのではないかと思った」そう。

当時、石像を製作したのは桜川市に住む岩瀬照夫さん(72)だ。岩瀬さんは「ずいぶん前のことで記憶があいまいだが、注文を受けて制作した。カエルのデザインについては一任されていた」と話す。両国国技館(東京・墨田区)前に設置する四つに組んだ力士の像を手掛け、その制作のすぐ後にテクノパーク桜のカエル制作を始めたため、力士の姿をしたカエル像を思いついたという。

同会ではカエル像を皆に知ってもらい、地域の宝にしたいと、2019年に「カエルまっぷ」を制作した。一体ずつポーズの異なる像を「まねきカエル」「かたつむりカエル」「まんぷくカエル」などと名付けた。相撲のまわしを付けてポーズをとるカエル像は「はっけよいカエル」と名付けて、イラストを付けて36体をマップで紹介した。イラストは絵本と同じ高橋さんが描いた。

36体のカエル像をモチーフにした、マップに続く第2弾の取り組みとなる。カエル像は歩道に車が入ってこないようにする車止めの役割を果たしているものもあるが、36体作られた理由や配置については謎のまま残された。

「テクノパーク桜まちづくりを考える会」左から代表の水谷さん、会員の古場容史子さん、古場泉さん=ウェルネスシティつくば桜内クラブハウス

「テクノパーク桜は新しい街なので伝統がないけれど、ここで育つ子どもたちが絵本を見てふるさとを思い出せるよう、ふるさとへの愛着を持てるようにしたい。テクノパーク桜にあるお店の人たちにも愛着を持ってもらいたい」と水谷さん。

絵本は500冊制作し、地区内の商店に置いてもらうほか、保育園などの施設にも配布するという。

動画の朗読を担当した古場さんは「絵本を見ることで、こんなカエルがあるんだよとみなさんに知ってもらいたい。春になって暖かくなったらみんなでカエルを巡り散歩して、楽しみながら興味を持ってもらえたら。とにかくカエルちゃんのしぐさがいい。カエルは他の場所にはない貴重な存在」と話している。(田中めぐみ)

YouTube『36ぴきのかえるちゃん』読み聞かせはこちら

サツマ苗などの自家育成が許諾必要に 《邑から日本を見る》104

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【コラム・先﨑千尋】茨城の冬の風物詩はなんといっても干し芋づくりだ。寒風にさらされ、日の光を浴びた干し芋をこたつでお茶を飲みながら口にする。のどかな感じがする。もっとも最近では、天日乾燥は少なく、ほとんどが機械による人工乾燥になっているので、昔ながらの風景は少なくなっている。

今月13、14日には、ひたちなか市で2年ぶりの干し芋品評会が開かれ、干し芋ファンの人気を呼んでいる。その干し芋、最近は見た目がきれいで、軟らかめが好まれ、昔からの作り手は「これは干し芋ではない」と不満たらたらだ。

その干し芋の原料であるサツマイモは、3月になれば畑にイモを伏せるなど今年の準備に取りかかる。大体は、昨年収穫したイモから良質のものを選び種イモとするが、今年は今までと大きく事情が違う。

それは、昨年の国会で種苗法が改正され、つくば市にある農研機構などが育成し、登録した品種を対象に、農家が作ったものの一部を育てる自家増殖を原則禁止することになったからだ。この改正は、登録品種の海外への流出を防止するのがねらいだと国は説明している。

背景には、ぶどうのシャインマスカットやサクランボの紅秀峰(べにしゅうほう)などが大量に中国、韓国、オーストラリアなどに流出していることがある。サツマイモでは、人気が高い干し芋用の紅はるかが同じように海外に流出している。中国でのシャインマスカットの生産は、国のデータでは、栽培面積が日本の30倍以上、韓国でも日本の栽培面積よりも多い(2018~2020年)。

この種苗法の改正によって、生産農家が自家で苗を採る時にどうすればいいのか。これまでだったら、手続きは要らないし、カネもかからない。

農家にとっては一大事なのに

4月からは、稲や麦類、大豆、ソバなどは許諾の手続きは要らない。サツマイモ、イチゴ、バレイショ、茶は無償だが、手続きが必要となり、ブドウ、柑橘類、柿、クリ、リンゴなどの果樹類は有償で手続きが必要となる。

サツマイモでみれば、紅あずまや泉13号などの古い品種は手続きが不要だが、紅はるかやクイックスイートなどは該当する。許諾の場合、第三者に譲渡しない、海外に持ち出さないなどの条件が付く。許諾が必要な上に、直売所などで苗を売ることもできなくなる。種苗店で買えば、当然高くなる。

こうした動きは農家にとっては一大事なのだが、何人かの干し芋生産者にこの話をしたら、そういうことは知らないと言っていた。行政やひたちなか市の干し芋対策協議会、農協からは何の情報も流されていないようだ。

農研機構は国の機関だ。育種などは当然税金で行われてきた。それを、いまさら許諾申請、有償などとはおかしな話、ふざけた話ではないか。海外流出が問題だというなら、それはそれらの国で品種登録すれば済むことだ。問題のすり替えでしかない。違反すれば刑事罰ということも聞いているが、それなら農家に周知徹底をしなければなるまい。

それなのに、大部分の農家はそのことを知らないでいる。この国のやることとは思えないのんびりした話だ。4月からの農村での混乱が目に見えるようだ。(元瓜連町長)

【訂正(26日付)】第6段落「(これまでは苗を)他人にあげたり、売ったりしても構わなかった」の部分を削除しました。種苗法改正前も登録品種の苗を意図的に他人にあげたり販売することは禁じられていました。お詫びし訂正します。

花粉症に新型コロナが紛れ込むリスク《土着通信部》50

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【コラム・相澤冬樹】杉木立を歩く。花粉症の気が多少はあるみたいだが、そうそうひどい症状に悩まされたことはなく、森の中にも平気に入っていける。今ごろの時期になると、飛散のタイミングをうかがっているのだろう、スギの雄花がたっぷりと花粉をまとって、枝葉が重たげだ。

立ち止まって見上げていると、鼻の奥に引っかかるものがある。出そうで出ない、くしゃみ。不意に疑問が浮かんだ。

新型コロナの感染拡大が初めて伝えられたのは2年前、ちょうど今頃の時期だった。あの時、風邪の諸症状のなかで、熱や咳や倦怠感にコロナを疑っても、くしゃみと鼻水だけならまず大丈夫、と聞いて安心したように思う。感染症怖さに、軽度の花粉症ぐらいでは医者に行きたくない気分が支配的だった。

2年経って、今度はオミクロン株である。一般に重症化のリスクは低いといい、無症状の感染者が多いとの報告もある。それこそ風邪の諸症状どころか花粉症と見分けがつかないとしたら、逆に厄介だ。今度ばかりは、くしゃみも気にかけた方がいいのだろうか。

そうそう、くしゃみが出そうになるとマスクを外したくなる。くしゃみの飛沫のかかったマスクは使い続ける気にならないから、つい外そうとするのだが、飛沫をおびただしいほど周囲にばら撒く行為で感染対策上、好ましいことではない。

花粉症患者の中に、新型コロナが紛れ込む可能性とリスクが高まっている。常識的にはマスクをきちんと装着し、うがい・手洗いの励行、不安を覚えたらかかりつけ医師に相談をということだろう。

例年「並」なら多く飛ぶ?

この春、花粉(スギ、ヒノキ)の飛散はどうなのだろう。この1、2年コロナ禍に押されるように、メディアもすっかり花粉症の動向を取り上げなくなった。

環境省が昨年暮れに発表した「スギ雄花花芽調査」では、2021年6月から7月の日照時間が前年より大幅に増加した東北南部から北陸、関東でスギ雄花は前年よりかなり多くなっていたと報告した。猛暑の翌年には、春の花粉飛散量が増えるのが相場だから、気になる報告だった。

日本気象協会の2022年春の花粉飛散予測は、第3報(1月20日)まで出ている。「花粉シーズンは2月上旬に九州や四国、中国、東海、関東の一部からスタートする見込みで、1月のうちから花粉対策が必要となりそうです。飛散量は東海や北陸、関東甲信、北海道で前シーズンより多いでしょう」とある。茨城県についての飛散量は例年比、前年比とも「並」としている。

「並」なら、やっぱり多く飛ぶってことだよね。ううむ、鼻の奥がすっきりしない。不意に――ックション。

くっさめ、くさめ 誰か噂をしている。(ブロガー)

AIが通院や受診を支援 高齢者ら参加しつくばで実証実験

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つくば市内で、AI(人工知能)などの先端技術を使って、高齢者や障害者の通院や受診を支援する「つくば医療MaaS(マース)」という実証実験が17日から実施されている。

スマートフォンの専用アプリで自宅に乗り合いタクシーを呼び出し、同じ方面に向かう人同士が乗り合わせて最短ルートで病院に向かったり、タクシーの車内で顔認証により病院の受け付けを済ませたり、病院の玄関から自動運転の車いすに乗って受診する診療科まで連れて行ってもらうなどだ。

国交省の事業に採択され、茨城県、つくば市、筑波大、民間企業など74者が参加する「つくばスマートシティ協議会」(会長・大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長)が取り組んでいる。

高齢化率が高い小田と宝陽台の2地区を中心に、筑波大付属病院や筑波学園病院など市内6病院を結ぶ経路上にある98地区から参加者を募って、2月14日まで約1カ月間実施している。

対象地区の住民なら、専用アプリを自分のスマートフォンにダウンロードして登録すれば、だれでも実証実験に参加することができる。実証実験に参加しているタクシーは2台。期間中に98地区から6病院までを行き来するタクシーの乗車料は無料。22日時点で約180人が登録し、44人が実際に送迎などを利用したという。

AIによる乗り合いタクシーの通院ルート最適化が公共交通政策に反映できるかや、顔認証による受け付けで患者の待ち時間や病院の事務がどのくらい軽減するか、自動運転車いすが患者や付き添い者の負担をどのくらい軽減できるかを検証などする。ほかに病院内の防犯カメラの映像を使って、個人情報を除いた上で院内の人の流れの解析などをしている。

デモンストレーションで、五十嵐市長(中央)を病院の玄関から院内の採血場所に連れて行く自動運転の車いす=同

22日、五十嵐市長らが参加して筑波大付属病院で実証実験のデモンストレーションが催された。乗り合いタクシーと自動運転車いすに乗った五十嵐市長は「何の迷いもなく安心感をもって乗ることができた。ひじょうにスムーズ」と感想を話した。

同協議会幹事の鈴木健嗣筑波大教授は「病院にどうやって行ったらいいかとか、採血室はどこだろうとかなど、患者の不安を少しでも軽減できたら」と述べ、西山博之同病院副院長は「付属病院の1日の外来患者2000人のうち、杖をついていたり、荷物を持っていたりして補助が必要なケースが1日5~10件ある。(自動運転車いすなどで)自動化されれば(介添えなどの)マンパワーを他のところに充てることができる」と実用化の期待を話し「自動化された未来の病院像の設計を考えていくためにも実証実験は重要になる」などと語った。

◆実証実験の参加方法はつくば市ホームページへ。

まん延防止重点措置の適用を国に要請 知事

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新型コロナウイルスの新規感染者が急増しているとして、大井川和彦知事は21日、国にまん延防止等重点措置の適用を申請したと発表した。

対象地域は1週間当たりの新規感染者数が人口1万人当たり1.5人以上の市町村で、21日時点で44市町村のうち、つくば、土浦市を含む41市町村が対象となる。対象地域は状況を見ながら柔軟に変えていく。

オミクロン株が主流の今回は、医療崩壊の危険までまだ余裕があるが、新規陽性者の急増の度合いが第5波の3倍の速さで拡大し、社会経済活動が危機にさらされる恐れがあるとして、従来より早めの申請をしたとしている。

学校の対策を強化

特に20代以下の感染がひじょうに増え過半数を占めているとして、学校の対策を強化する。重点措置が適用となった場合、対象市町村の学校は、部活動の練習試合は県内の学校同士2チーム以内、県内大会は原則、延期または中止、関東大会や全国大会などは全参加者の陰性を確認した上で実施するよう要請する。合宿など宿泊を伴う活動は自粛、修学旅行は、旅行先が重点措置の対象地域であった場合は延期または中止を要請する。

適用されれば、飲食店に対しても再び営業時間の短縮を要請する。ただし今回は①酒類を提供せず午後8時以降、営業自粛とするか、または②酒類を提供し午後9時以降、営業自粛とするか、どちらかを選んでもらう。協力金はどちらを選ぶかによって異なり、①酒類を提供せず午後8時以降の営業自粛の場合は中小企業は1店舗1日当たり売上高に応じて3~10万円②酒類を提供し午後9時以降の営業自粛の場合は2万5000円~7万5000円となる。大企業の飲食店も算定方法は別だが協力金の支給対象となる。

ただし会食は、同一テーブルでの飲食は4人まで、イベント開催は感染防止安全計画を策定した場合に限り2万人までとするよう要請する。

県民に対しては、第5波までは不要不急の外出自粛を要請していたが、今回は、リスクの高い場所への外出や移動の自粛、移動先でのリスクの高い行動を避けてもらうよう要請する。

県民を対象に県内旅行費用の一部を補助する「いば旅あんしん割事業」は、新規予約を22日で停止する。既存の予約分については、ワクチン接種証明ではなく検査の陰性証明を条件に割引をそのまま使うことができるようにする。

2月中に高齢者の3回目ワクチン接種を完了へ

一方、3回目のワクチン接種率は現在、県内の病院の医療従事者が64%、福祉施設従事者と入所者が15%にとどまっている。県は、全力で前倒し接種の働き掛けをしていくほか、一般の接種も前倒しして加速させ、高齢者の接種を2月中に完了させ、64歳以下についても順次、前倒しで接種を開始したいとしている。

21日時点の県内の感染状況は、1日当たりの新規感染者数は1週間平均で363.7人と、県独自の判断指標で「感染爆発・医療崩壊のリスクが高い」のステージ4の状況、一方、県内の病床稼働率は132床で「感染が概ね抑制できている」ステージ2、重症者は2床と「感染が抑制できている」ステージ1の状況。総合的には現在、ステージ2の状況となっている。

新規感染者数の年齢は、20代が29%と最も多く、次いで10代が15%、30代が14%、40代が13%。10歳未満も9%あり、20代以下が過半数を占める。一方、60代以上は10%だが、入院患者は70歳以上が過半数を占めている。

今後は、ピークとなるとみられる2月上旬くらいに1日当たりの新規陽性者数が2000人を超え、病床稼働数は500床を超える可能性があると推計されるという。

「しゅぅ〜ぅ〜シャッ」 《写真だいすき》4

【コラム・オダギ秀】「今日はチャチャ」かな。「しゅぅ〜ぅシャ」かな。仕事に行く前には、こんな会話がされていた。これ、なに? 昔、カメラは暗箱なんて言い方をしていたが、そんな時代のこと。

昔、カメラのレンズの前には、ソルントンシャッターというようなシャッターを取り付けた。外付けだ。

ネジが付いていて、巻くとシャッター幕という黒い布がレンズに入る光を遮った。それにはゴムの管と球が付いていて、ゴム球を握ると黒い布は光を通し、ゴム球の握りを離すと、また黒い布が、レンズに入る光を遮る仕掛けになっていた。

つまり、カメラのレンズから入る光を入れたり閉じたりした。それがシャッターだったのだ。

年配の方なら覚えがあるだろう。学校で記念写真を撮るときなど、写真屋さんは「はあい、撮りますよう」とか言って、手に何かを持って握っていたことを。あの持っていたのが、シャッターを開け閉めするゴム球だ。

今のカメラは、そのシャッターを、電子機構などによって、カメラに光を入れる時間を数百分の一秒とか数千分の一秒とかにコントロールしている。カメラやフィルムの感度も、比較にならぬほど高くなった。

ところが、この昔のシャッターの時代には、数百分の一秒なんて、短い時間のシャッターは切れなかった。そんな仕組みは出来ていなかったから、当初の、「チャチャ」になるのだ。

どういうことかと言うと、シャッター速度、つまりカメラに光を入れる時間は、撮影者の手の動きで決めたのだ。空を仰いで、今日は晴れているから、チャっと開けてチャっと閉めるか。チャチャだ。

今日は天気が悪くて少し暗いから、しゅぅ〜ぅと開けていて、シャッと閉めるか、ということなのだ。師匠からは、この口癖のようなシャッターと明るさの関係を仕込まれた。何分の一なんて、キザなことは教わらなかった。「しゅぅ〜ぅシャッ」なんて、呪文のようなことを覚えさせられた。

木製・金属のカメラ三脚の使い方

カメラは木製だった。見事な細工だった。三脚も軽い木製。持ち歩きには便利だった。それがいいとか、味があるとか、そんなことは言わない。そんな時代だったのだ。

だが、木で作られたそんな三脚は役に立った。今はマナーなどまったく気にしない者が多いが、撮影にいい場所取りをするときなど、いい場所を確保した順番は絶対に守らなければならないマナーだった。

自分のカメラの前に後から来たマナーを守らぬ者が出ようものなら、周囲の皆で懲らしめた。そんなときに、木製三脚は木刀になり、渡り合う道具にできたのだ。金属三脚では、懲らしめ過ぎて、大けがしたのがいたなあ。(写真家、土浦写真家協会会長)

当初、口外禁止を条件に和解提案 名誉棄損訴訟で五十嵐つくば市長

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訴えられた亀山元市議が会見

五十嵐立青つくば市長が、前回の市長選前に新聞折り込みで配布されたチラシ「つくば市民の声新聞」を発行した「つくば市民オンブズマン」代表の亀山大二郎元市議を相手取って、市長選直後の2020年11月、名誉や社会的評価を著しく棄損されたなどとして慰謝料と謝罪を求める訴訟を起こし、今年1月に取り下げた問題で、訴えられた亀山さん(80)が21日、記者会見を開いた。

非公開で行われた21年5月から12月まで計6回の弁論準備手続きの経緯を説明し、五十嵐市長側が当初、訴訟内容を第三者に口外したり、論評しないことを条件に訴訟を取り下げてもよいと、亀山さん側に和解を提案していたことを明らかにした。2回目の弁論準備手続きが開かれた6月に五十嵐市長側から提案があった。亀山さん側は、名誉棄損の訴えに対し全面的に争うとして答弁書と準備書面を出していたが、その際、五十嵐市長側からの反論はなかった。

亀山さんは「けんかを仕掛け、記者会見など公の場で(亀山さんを)非難しておきながら、分が悪くなったら、訴訟を取り下げてやるから、その代わり論評や批判を一切するなというのはあまりにも身勝手で傲慢な提案だとして、取り下げに同意することを拒否した」としている。

すると五十嵐市長側は、9月の第4回弁論準備手続きで、公選法の虚偽事項公表罪に該当すると訴えを追加した。これに対し亀山さん側が再び全面的に争う内容の準備書面を出すと、五十嵐市長側から反論がないまま、昨年12月に、これ以上、立証活動を行い、主張を維持することは困難だなどとして、取り下げが提案された。今回、取り下げの条件は一切なかった。

亀山さんは「この訴訟で最も傷つけられたのは亀山であり、和解案に謝罪の一言があってしかるべきだった」と話し、訴訟の間、発行を休んでいた市民の声新聞を近く発行して、今回の訴訟の詳細な内容を市民に知らせ、さらに2期目の五十嵐市政を厳しくチェックしていきたいと強調した。

「言い訳としか思えない」

五十嵐市長が20日、訴訟の取り下げを公表したフェイスブック(FB)の投稿に対しては「(五十嵐市長は)自分がやったことは正しいけれど、法制度に照らし合わせると訴訟に負けるから取り下げましたと言っており、言い訳をしているしか思えない」と指摘した。五十嵐市長が「提訴時点で検討が不十分であったことは反省している。亀山氏に応訴の負担をお掛けしたことについても申し訳なく思っている」と陳謝していることに対しても、「本当に謝罪したとは思えない」と批判した。

FBで五十嵐市長がまず、市民の声新聞の記述が事実と違うと主張していることに対して亀山さんは、答弁書や準備書面で反論してきたとし、一部の枝葉の表現に誤りがあったが「市役所に比べて一市民は情報収集能力が低いので、可能な範囲で調査を行った結果、得られた情報が最新のものでなかった」「故意に虚偽事実を流布した認識はない」などと主張してきたとしている。

さらに亀山さんは「政策に対する市民からの批判に対して市長は、言論で対抗したり、市民との対話によって釈明、理解を求めていくのが通常の在り方」であり、「市長が訴訟を起こして市民に負担を強いることは、市長の政策と実績を検証・批判する者に対し、今後、同様の検証・批判・意見の表明を封じようとする圧力以外の何ものでもなく、民主主義を揺るがしかねない表現の自由に対する侵害であって、権力者による弾圧」だなどと主張してきたが、これに対する五十嵐市長側の反論はなかったとしている。(鈴木宏子)

真壁のイシ会と日仏の医師会 《くずかごの唄》101

【コラム・奥井登美子】床屋さんの看板で青と赤がぐるぐる回っている。フランスのアンブロワーズ・パレは、床屋から医者になり、4代の王様の主治医になった歴史的人物。私も薬史学会の見学会に参加し、パレがいたオテルデュ病院(パリ)に行ったことがある。赤は動脈、青は静脈の象徴である。

日仏薬学会は、日仏医学会とも昵懇(じっこん)の間柄であった。1990年、仏医学会の希望があり、日仏医学会で「アンブロワーズ・パレ生誕400年祭」を記念して、日本外科学会から日本の古代型石灯篭を送ることになったらしい。

日本の王様、天皇陛下に歴史上初めて手術をなさった手術医は森岡恭彦先生。その先生がある日、奥井薬局に飛び込んで来られた。

「石灯籠の製作は真壁町だそうです。行ってみたいのでよろしくお願いします」

パレに捧げる記念品を、日本の王様の主治医が真剣に探している。五所駒瀧神社(ごしょこまがたきじんじゃ、桜川市真壁町)の櫻井崇さんが石工の加藤征一さんを紹介してくださった。

「そちらが医師会ならこちらもイシ(石)会です。同じイシ会としてぜひ協力させてください」

浄瑠璃寺(じょうるりじ、京都府木津川市)の古代燈籠と同じ形の、手づくりの見事な石灯籠が出来上がった。

パレ生誕400年祭に石灯籠

1991年1月19日 石にはその土地の魂が宿っているので、日本の伝統的な行事で送り出してほしいという仏大使館の要望で、五所駒瀧神社で禊(みそ)ぎを行うことになった。

出席者は、東大教授森岡恭彦氏、仏大使館グルギエール氏、仏薬剤師会テメム氏、慶応医学部教授大村敏郎氏、埼玉医大教授加賀美尚氏、東大医学部佐野武氏、千葉大一外科教授奥井勝二、日仏薬学会事務長奥井清、石工加藤征一氏、画家新居田郁夫氏。

千年の歴史がある神社。神官装束の櫻井氏の気品とパレの伝記を読み込んだ祝詞の上品な声。かやぶき屋根の社と、背景の古木の森にこだまして、荘厳な神事であった。たくさんの人が協力して、日本の古代式手づくり石灯籠を、パレ生誕地の公園に設置することができた。(随筆家、薬剤師)

名誉棄損訴訟を取り下げ 五十嵐つくば市長、FBで公表

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五十嵐立青つくば市長が、前回の市長選前に新聞折り込みで配布されたチラシ「つくば市民の声新聞」に対し、名誉や社会的評価を著しく棄損されたなどとして、発行した「つくば市民オンブズマン」代表の亀山大二郎元市議を相手取って、慰謝料や謝罪を求めた裁判(2021年2月17日付)で、五十嵐市長は20日、自身のフェイスブック(FB)で、訴えを取り下げたことを明らかにした。一方、訴えられた亀山元市議は21日、記者会見を開く。

FBで五十嵐市長は、旧総合運動公園用地について「そもそも公約は『返還』でなく『返還交渉』でした」など、市民の声新聞の記述が事実と違うとする点を8点、具体的に列挙した。その上で、訴えを起こした理由を「公正な選挙のあり方に問題になると考え提訴に及んだ」と改めて述べ、取り下げの理由を「意図的に虚偽あるいは事実を歪曲(わいきょく)したものであることの立証は困難だったと判断」したためと説明した。

具体的には、裁判で亀山元市議側から「(市民の声新聞は)政策批判という性格のものが大部分で、個人の名誉を棄損するとは言い難い」との指摘があり、裁判所もそれを支持する姿勢だったことを挙げた。

これを受けて五十嵐市長側は続いて、公職選挙法の虚偽事実公表罪に当たると主張し訴えを追加したが、同罪は、故意に虚偽あるいは事実を歪曲することを知っていて公表したことが対象であるため、「立証は困難だとの判断に至った」などとFBで説明している。

その上で「虚偽の内容があっても、それが『政策の批判』と現在の法制度で解釈することが成立するのであれば、それは受け入れるしかない」「相手方が『虚偽と分からずに事実だと信じていた』と言えば、具体的証拠を出さない限り虚偽事実の公表は成立しないという仕組みも受け入れるしかない」など、取り下げの理由を説明した。

一方で「提訴時点で検討が不十分であったことは反省している。亀山氏に応訴の負担をお掛けしたことについても申し訳なく思っている」などと陳謝しながら、「(亀山元市議が)メディアの取材で『私の調査不足で一部が違うことは認めます』と答えていたこともあり、訴訟に一定の意義はあった」などとも指摘している。

FBで五十嵐市長はさらに「今後は、事実と違う認識をもたれることがないように、さらには誤ったことが流布されても市民がすぐに事実でないということを認識できるくらいに、情報発信と対話の努力をする」などしている。

五十嵐市長による名誉棄損訴訟は、前回の市長選直後の2020年11月末に、土浦簡易裁判所に提訴された。翌年、水戸地裁土浦支部に移り、その後21年5月から12月まで、論点や証拠を整理するため双方の弁護士が非公開で主張を述べ合う弁論準備手続きが計6回実施された。公開の法廷で主張を述べ合う口頭弁論に移る前に、五十嵐市長側が訴えを取り下げた。

憎くて愛おしい言語障害 《電動車いすから見た景色》26

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【コラム・川端舞】「もし自分の障害を、両手の麻痺(まひ)、両足の麻痺、言語障害に分けられて、この中の1つだけ神様が治してくれるなら、絶対、言語障害を選ぼう」。中学から大学にかけて、コミュニケーションの壁にぶつかるたびに私はそう思っていた。

足の麻痺はバリアフリーの場所で車いすに乗れば何の問題もなくなるし、手で文字が書けなくても、パソコンを使えば、人より時間はかかるけど文章を書くことができる。でも、言語障害はどんなに事前に伝えたいことを文章にしても、その場で思いついたことをすぐに周囲に伝えられない。

「言語障害さえなければ、もっとたくさんの人と関わることができるのに」と、大学のころまでずっと自分の言語障害を憎んでいた。

しかし大人になり、介助者と外出するようになると、自分の言ったことが相手に伝わらなくても、そばにいる介助者に通訳してもらえるため、事前に伝えたいことを書いていかなくても、気軽に外出先で話せるようになった。

当たり前だが、文字で伝えるより、声で伝えた方が早く伝わるし、そのとき思ったことを臨機応変に伝えられる。何より直接相手と話した方が、コミュニケーションは楽しい。

言語障害だからこそ伝えられること

あれほど嫌だった言語障害を愛(いと)おしく思う瞬間が最近出てきた。様々な場所で私の経験を聞きたいと、講演を依頼されることが増え、「できるだけ介助者が原稿を代読するのではなく、ご自分で話したものを介助者が通訳する形でお願いできないか」と言われることもある。

介助者が代読するより、私が直接話した方が伝わることがあるそうだ。言語障害があっても、どうすれば思いを効果的に伝えられるか、無意識に考える癖が幼いころから付いているからなのかもしれない。言語障害がある私だからこそ、聞き手に訴えかけられるものがあるのなら、私にとって言語障害は武器にもなり、幼いころからともに葛藤しながら歩んできた相棒のようなものなのかもしれない。

子どものころの私は、「言語障害のある人はできるだけ話さない方がいい」と思い込み、言語障害を憎むまでになってしまった。今、堂々と話す私の姿を見て、「言語障害があっても、通訳など周囲の協力があれば、話せるんだ」と、言語障害のある子どもやその周囲にいる人が思ってくれれば、これほどうれしいことはない。

もちろん、障害者によって心地よいコミュニケーション方法は違うが、「本人が自分の声で話したいと思うなら、堂々と話していい」と伝え続けられる人間でいたい。それこそ言語障害とともに生きてきた私だからこそできることだと思う。(障害当事者)

運営事業者の継続求め陳情 不登校の学習支援拠点「むすびつくば」保護者会

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つくば市とNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)が協働で、不登校の児童生徒の学習支援を行う「むすびつくば」(同市吾妻)の保護者会が19日、次年度以降もリヴォルヴによる事業継続を訴え、五十嵐立青市長と小久保貴史市議会議長に陳情書を提出した。

昨年12月、市は2022年度の委託事業者を公募型プロポーザル方式で募った。名乗りをあげた4事業者中、新規の民間事業者が1位に選定され、リヴォルヴは次点になったという通知が今月7日に届いたからだ。

保護者会代表の小柴架奈子さんは「通所している子どもたちは学校に居場所がなく、親子でお先真っ暗の辛い時期を過ごした。今はリヴォルヴのスタッフのおかげで通所を楽しみにするようになった。人間関係に不安があったり、新たな環境への適応が難しい子どもは通所が困難になることが予想され、またあの辛い日々に戻らなければならないのかと不安を抱えている」と保護者たちの思いをぶつけた。

また「次年度の事業者が公募されることは知っていたが、つくばで20年以上フリースクールを運営しながら発達障害や学習障害への対処法を研究してきたリヴォルヴの実績は市も知っていて、外されることは想定していなかった。当事者は不登校を経験した繊細な子どもたちなのに、モノをとっかえるような教育政策は納得できない」と憤る。

小久保貴史市議会議長(左)に陳情書を手渡す保護者会代表の小柴架奈子さん=つくば市役所

市は不登校の子どもたちの社会的自立に向け、リヴォルヴと協働で2020年10月1日、TXつくば駅に近いつくば市産業振興センター内に支援拠点「むすびつくば」を開設した。支援業務の教育効果などを明らかにする目的で「協働実証事業」と位置づけられた。

週4日の時間割で、教員免許を持つ教科担当者ら12人が個々の適性に応じた学習支援を行っている。自由に過ごせるフリースペースも設けられている。

開所時は定員15人としたが、問い合わせと見学が引きも切らず、21年10月末現在、小1から中3までの35人が通所している。市内の不登校児童生徒数は約400人(30日以上欠席)に上り、不登校の子どもたちへの公的支援はまだまだ少ない。

「変わったら また引きこもりになるかも」

保護者会の塩見直子さんは「むすびつくばにたどりつくまで明日が見えなかった。事業者が変わったら子どもがまた引きこもりになるかも知れない」と不安を募らせる。

保護者会代表の庄司里奈さんは「一部の子や親がうるさく言っていると思わないでほしい。コロナ禍の学校では給食は黙食、休み時間も大きな声を出せないなど子どもたちはストレスを抱え、子どもが登校を嫌がるという話を聞くことが増えてきた」と話す。

学習障害のために3年間不登校になったが、昨年からむすびつくばに通所し、在籍している中学校にも登校できるようになった中1の男子生徒は「自分は頭が悪いと思っていたが、むすびつくばで『頑張らなくていい』と言われて安心でき、勇気を出して学校で友だちと話せるようになった。どうして(運営者から)無くすのかわからない」と訴えた。

保護者会は陳情書で、リヴォルヴの運営継続のほか、3月末に予定されている実証事業の検証を早急に行うこと、利用している子どもたちの声を聞き取り次年度以降の委託事業に取り入れること、実証事業の検証を待たずに事業者選定に至ったプロセスを明確に説明することを求めている。

さらに、不登校の辛さと「むすびつくば」存続への切実な思いを15人がつづった体験集を添えて、20日に森田充教育長に提出する予定だ。賛同者からのオンライン署名も呼び掛けている。

これに対し市教育局学び推進課は、新年度からの新たな運営事業者の選定について、外部の有識者を含む7人による選定委員会を設置し、プロポーザル方式により、価格のみでなく、実績や専門性、企画力などを公正、適正に選定したとし、19日時点で、新たな事業者がどこになったかは公表できないとしている。

一方、運営事業者が変わることに保護者から不安の声が出ていることについて同課の横田康浩課長は「保護者への丁寧な説明をしたい。不登校の子供たちは不安な状況にあることは間違いないので、不安を払拭できるように進めていきたい」としている。(橋立多美)

「イースト ベース」のお弁当で忘年会 《ご飯は世界を救う》43

【コラム・川浪せつ子】昨年12月、茨城県内も新型コロナ「ゼロ」の状態が続きました。そんなとき、県建築士会・女性部会の「手作り・忘年会」を、2年ぶりに土浦の市営施設で開きました。

今回は、最近人気の「アルコールインクアート」をやりました。紙の上にアルコールインク液を垂らし、にじんで混ざり合った部分を生かして描く、アートです。思いがけない色の広がりや混ざり具合で、鮮やかな模様が出来上がります。帰宅後、早々に壁に展示。

筆者のアルコールインクアート作品

久々に仲間たちと近況報告

短時間で小さい作品を2枚製作したあと、ランチは「イースト ベース(EAST BASE)」(牛久市刈谷町)のお弁当。1級建築士でありながら、お総菜も作っている、通称「たまちゃん」の店のお弁当です。イラストでご覧のように、食材、素材、調理方法にはこだわりが!

彼女の妹さんは、焼き菓子のお店をやっています。今回は、お弁当のデザートでいただきました。満足、満足。おいしいものは、作り手の心が伝わって、お腹ばかりでなく、ハートまで温かになりますね。

食事のあとは、久々に仕事仲間たちと近況報告。うん、うん、コロナの中でも、みんな頑張っているね。そして、2022年の抱負。小さな目標を重ねていく仲間たち。私も励みますよ~♪♪ (イラストレーター)

つくばセンタービルの価値を紹介 市民団体が「謎解きツアー」

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つくばセンタービル(つくば市吾妻)の7カ所を巡りながら、建築デザインの意味や価値について解説する現地ツアー「つくばセンタービル謎解きツアー」を、市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が開いている。

昨年11月3日から毎月3回開催し、これまで延べ83人が参加した。1月16日に7回目が開かれ、11人が参加した。同会代表でNEWSつくばコラムニストの冠木新市さんがガイドを務める。冠木さんは、つくばに移り住んで以来30年にわたり、センタービルについて独自に研究してきたという。

つくばセンタービルは建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した磯崎新さんが設計した。ポストモダン建築の代表作として世界的な評価を受けている。2020年、つくば市は同ビルにエスカレーターを設置するなどの改修計画を発表したが、専門家や同会から建築物の価値を喪失するなどの指摘を受け、昨年12月、当初の計画を大幅に見直した経緯がある。

冠木さんによると、センタービルの建設に当たり磯崎さんは1978年、日本住宅公団(現在はUR都市機構)が実施した設計者を選ぶプロポーザルコンペで、筑波研究学園都市を批判するレポートを書き、7つの性質をセンタービルに与えることを提案した。劇場性、胎内性、両義性、迷路性、寓意性、逸脱性、対立性の7つだ。磯崎さんはつくばセンタービルが起死回生の役割を果たす象徴的な建築となることを目指し、その中核として同ビル中心に、くぼ地となるセンター広場を造ったという。

センタービルの中心にあるセンター広場の床面は、ルネサンス期のイタリアの建築家ミケランジェロが設計したローマのカンピドリオ広場を引用するデザインとなっている。ツアーで冠木さんは「床面の模様がカンピドリオ広場を反転した色合いになっている」と解説する。広場には霞ケ浦や桜川を反転した形が水の流れでデザインされており、冠木さんは「この反転は現実と虚構、日常と非日常を意味しているのではないか」と参加者に問いを投げ掛ける。

続いて、センタービル正面玄関の柱に引用されている18世紀のフランスの建築家、ルドゥーのアル・ケ・スナン王立製塩所のこぎり歯のモチーフ、ホテル日航つくば1階に設置されている、米女優マリリン・モンローの体のカーブを表現したいす「モンローチェア」などを見て回った。

さらに、2階ペデストリアンデッキのつくばイノベーションプラザ前に立って、ノバホール2階の三角の窓を見ると、窓の中に、ホテル日航つくばの最上階の瞳のような窓の形が映り込む様子が見える。冠木さんは「まるで『プロビデンスの眼』(神の全能の眼)を彷彿とさせる」と独自の解釈を披露し、「ノバホールのノバは新星を表す。新星は新生に通じ、ノバホールの眼は母の胎内から何か新しいものが生まれるのを見つめている。磯崎さんの言う『胎内性』『劇場性』と合致する」と話す。「センター広場は空の器であり、くぼ地の広場で市民が自由に活動し、新しいものを生み出すことを願ってつくられたと解釈できる」ともいう。

ノバホールの三角窓に映り込む(左)ホテル日航つくばの瞳のように見える窓(右)=つくばセンタービル

市内から夫婦でツアーに参加した谷田部宏子さんは、「知らないことばかりでおもしろかった。深い内容だった」とし「(センタービル周辺は)駐車場が停めにくいこともあり買い物にはあまり来ないが、ノバホールには時々来る。センタービルの改修計画ついては何も知らなかった」と話していた。(田中めぐみ)

◆次回のツアーは、30日(日)午後1時から。定員10人前後、参加費無料。参加申し込みは090-5579-5726(冠木さん)

動物は取り換えのきく玩具ではない 《晴狗雨dog》4

【コラム・鶴田真子美】私が理事長を務めるNPO法人CAPIN(Citizens for animal protection,ibaraki network)は、2008年に設立された「捨猫防止会いばらき」の活動を引き継ぎ、虐待動物保護、被災者支援、法改正運動などに取り組んできました。毎週末に開催する里親会、地域イベントへの参加を通じ、「捨てない、増やさない、終生飼養(しよう)」を訴えてきましたが、避妊去勢手術、フィラリア予防薬、疾病治療など、犬や猫にお金をかけることへの抵抗感がまだ根強く存在しています。

茨城県動物指導センターに収容される迷子犬や捨て犬たちの多くが、フィラリア陽性でせきをしています。避妊を怠ったために産まれてしまった子犬や子猫。老いたから、皮膚病になったから、捨てられたと思われる、決してお迎えの来ない収容犬たち。

動物は取り換えのきく玩具ではない、1匹ごとに命ある生き物です。飽きたら捨てることは許されません。飼い主には責任があることを伝えていかねばなりません。

学校教育で子どもたちの意識を変えていくことが大切と思います。子どもたちが学校で新しい法律や世界の潮流を学び、啓発チラシを家に持って帰り、親御さんに読んでもらうのもよいでしょう。また、学校も子どもたちにお世話の仕方を体験するきっかけを与え、動物との暮らしの豊かさを教えたら素晴らしいと思います。

つくばインターナショナルスクールと交流

地域の意識を変えるには学校教育が鍵を握ります。我々は10年前から公立の小中学校、学童保育に招かれ、命の授業を行ってきましたが、新型コロナにより出張行事はストップとなりました。その代わり、公園などのオープンエリアやCAPINのシェルターで、子どもたちとの新たな連携がスタートしています。

2021年春からは、つくばインターナショナルスクール(TIS、つくば市上郷)との交流を図ってきました。幼稚園児たちと洞峰公園でパレードを行い、多くの市民に啓発チラシを配りました。また、筑波山麓にあるCAPIN第2シェルターでは、毎週末、小中校生のボランティアを受け入れ、犬散歩やごはん作りの体験も重ねています。

昨年12月からは、高校生を中心に親子30人がシェルターで研修を受けることとなりました。12月は犬トレーニング教室を開き、1月9日には参加者が4グループ(犬の散歩、鳥と猫の世話、犬65頭分のごはん作り、支援物資の運搬)に分かれて活動しました。

TISとの交流により、このように動物の域を超えた分野でも様々な刺激がCAPINにもたらされることになりました。2年半前からCAPINスタッフとして働くカナダ人女性イングリッドさんのネットワークは小さくありません。各大学、公私立小中高の研修も受け入れており、これからも「命の教育」に力を入れていきます。(犬猫保護活動家)

17日臨時休校 市立学校教職員が新型コロナ

つくば市は17日、市立学校の教職員が16日、新型コロナウイルスに感染していることが分かったとして、この教職員が勤務する学校を17日、消毒のため臨時休校にしたと発表した。学校での接触者はいないという。

休所の2保育所 1カ所は18日開所 

一方、職員が新型コロナウイルスに感染していることが分かり、休所している2カ所の市立保育所のうち、6日と7日に職員3人の感染が確認され20日まで休所するとしていた保育所は、休所期間を短縮し、18日から開所する。

15日に職員2人の感染が分かり17日まで休所するとしていた別の市立保育所は、休所期間を23日まで延長する。保健所と協議しそれぞれ変更を決めた。

大リーグへ 茨城アストロプラネッツ 松田康甫投手

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プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツに所属する松田康甫投手が、米国メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだ。甲子園の経験もなく、けがが重なり、大学では1試合、BCリーグでは3試合の登板しかない23歳の無名の選手が、底知れないポテンシャルを武器にメジャーに挑む。

ドジャースの目に止まった松田選手は身長193センチ、体重93キロ、右投げ右打ちの大型投手。金沢高では3年夏に県ベスト8、拓殖大では1年冬に肩の内視鏡手術をし、ほとんど出番を得られなかった。だがプロへの道をあきらめ難く、BCリーグ合同トライアウトを経て茨城に入団。ここで大きな成長を遂げた。

「大学では毎日ブルペンに入っていたが、プラネッツでは週1回。球数を減らすことで、ただ投げるのではなく1回1回が大事になる。トレーニングの成果も出て、投げるたびに成長を実感できた」

昨季4月4日、栃木ゴールデンブレーブスとの開幕戦では中継ぎで登板し、自己最速の155.8キロを記録。「監督に(コントロール重視で)抑えますかと聞いたら、球を速くしろ、スピードガンコンテストだと言われ、ストレートのみで腕を振りまくった」そうだ。4月16日、3回目の登板となった巨人3軍との交流戦では先発し、打者3人に17球を投げて3三振を奪った。

昨年4月16日、J:COMスタジアム土浦で開催された巨人3軍との交流戦での投球

これらの試合の動画などを見て「155キロを出し、素晴らしいスプリットを見せた。体格、球速、投球スタイルなど、全部が気に入った」と獲得の要因を語ったのは、17日の記者会見にオンラインで参加した、ドジャースのジョン・ディーブル環太平洋スカウティングディレクターだ。

だが巨人戦の後、肘の痛みが出て7月にトミージョン(ひじ靭帯再建手術)を受け、現在もリハビリ中。復帰には12カ月かかるといわれている。手術に踏み切ったのもドジャースとの相談の上だという。「1年後の出口というより、彼が持つポテンシャルでどんな未来を描けるか、ベストの道を選んだ」とアストロプラネッツの色川冬馬ゼネラルマネージャー。

ディーブル・スカウティングディレクターは「われわれは過去にも数々の日本人選手を獲得し育成してきた。選手が上へ駆け上がるための施設や環境が整っている。数々の成功例の流れに乗り、新しい歴史が残せると思う」という。

今、松田投手は、故郷の石川県で小学校の非常勤講師をしながらリハビリに励み、3月の渡米に備えている。ドジャースではじっくりと時間をかけて回復に全力を注ぎつつ成長を図り、リハビリを終えた後は経過を見ながら、現場で投げられるようプッシュしていく道筋だという。

「メジャーはあこがれの場。不安はあるが関係ない。行かないと自分の夢を果たせない」と話す。夢は世界一の野球選手になることで、そのためにリハビリを成功させるのが目の前の目標。メジャーのマウンドに立ったらどういう投球がしたいかという質問には「めっちゃ速い球投げたい。170キロとか」と、いたずらっぽく笑った。(池田充雄)

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