土曜日, 5月 10, 2025
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《地域包括ケア》55 新型コロナへの注意事項

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サロン風景

【コラム・室生勝】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染を心配して、高齢者サロンは2月から一時中止しているが、3月も引き続き中止する。COVID-19に関する情報は、つくば市のホームページ(HP)を見ると、注意事項の字が大きくてわかりやすい。しかし、サロンに参加している高齢者のうち見ているのは数人である。

つくば市の広報「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を
知っておこう~」

大半はTVの情報を見ているだろうが、情報を整理できるのは新聞であろう。情報をまとめた記事があり、高齢者にもわかりやすい。だが解説不足の部分があるので、3月初め、高齢者にわかりやすい首相官邸と東北医科薬科大学のHPに掲載されているものを、A4版にまとめて参加者に送った。

発送した翌日、つくば市から民生委員に市民向けチラシが届き、ひとり暮らし高齢者と高齢者のみの世帯に配付したとの連絡を受けた。その内容は、市HPにある「新型コロナウイルス感染症に備えて」で、厚生省HPを参考に作成されている。

高齢者の発熱のことも詳しく

チラシには、「帰国者・接触者相談センターに相談する目安」として、「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方 、強いだるさや息苦しさがある方や、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)がある方は上の状態が2日程度続く方」とあり、官邸HPにある「透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方」の記載がない。

高齢者の発熱のことも詳しく記載すべきである。一般に、高齢になると体温が下がる傾向があり、平熱が35度台という人も珍しくない。37度を超えていなくても発熱の可能性がある。これは後期高齢者には多く、前期高齢者と同等に考えてはいけない。

高齢者では、糖尿病、心不全、呼吸器疾患などの重症化する危険因子(ハイリスク因子)を2つ、3つ持っている人がいる。コントロール不良の高血圧の中には、心不全が隠れている場合もある。後期高齢者も80~85歳になるとハイリスクになる。

COVID-19情報を送った人たちからは返信があった。皆、サロンで会えないことを残念がっている。それには、近所の友人とウォーキングや散歩を兼ねて公園に出かけ、ベンチに腰掛け会話を楽しむことを勧めている。サロン再開にはあと数カ月かかることを覚悟している。(高齢者サロン主宰)

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《宍塚の里山》58 大井川知事との対話集会②

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大井川知事との対話集会後記念撮影

【コラム・及川ひろみ】大井川和彦知事は経済産業省出身で、退職後、IT関連数社の役員を経て知事に就任されています。集会前には、環境問題にはあまり関心がないとか、数値を重んじる方といった情報が寄せられていました。県政を担われる上で、数値を重んじることは当然ですが、それだけでは捉えられないことについて、どのような関心を持っているか、私の関心事でした。

また、県庁職員には厳しいが、庁内を、リュックサックを背負い、積極的に情報収集に努め、県民とはざっくばらんに対話をするなど、好奇心旺盛な方である―などの情報も届いていました。そこで集会では、私たちが日ごろ考えていること、願っていることを淡々と伝えることになりました。

環境問題が待ったなしの状況の中、持続可能な開発目標の視点から、自然環境の大切さを伝えると同時に、身近な自然体験が子供たちの人生に影響を与えていることを実感している立場から、知事には自然環境、里山体験の大切さを伝えました。

いったん価値が失われたかのように捉えられてきた里山ですが、未来を見据えた価値が数々挙げられる中、特に子どもたちにとって価値を生み出す場所であることを説明。子どもたちに自然・農業・保全の体験学習をさせるには、教員に里山研修を行っていただきたいとお願いしました。

会の使命は里山を未来に渡すこと

知事からは感銘を受けたとの言葉をいただきました。また、なぜこのように多様な人が集まり、さまざまな活動が持続的に行われているのか、不思議に思っているとの発言もありました。そして、仕事に関係する人はともかく、継続的にボランティアとして関わる秘訣や魅力が知りたい―と。

知事の質問には、10人の会員が自身の体験を通して話をしました。専門的な知識を持ち、個性豊かな人たちが、お互い刺激し合い、人が人を呼ぶ形で活動が広がり、継続してきたこと、子どもたちの成長を見守っていくことの楽しさ―などについてです。

ゼネコンで区画整理事業を経験した人からは、地元の協力を得ながら会は様々な活動を継続してきた、里山を未来に伝えていくためには、都市計画決定あるいは地域指定などで、無秩序な利用を抑える方法はないか―といった提案もありました。

最後に、会のミッションはこの里山全体を未来に渡すことなので、行政の協力をお願いしました。知事からは「結構重いテーマ」だが、「協力します」との言葉を聞くことができました。(宍塚の自然と歴史の会代表)

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《映画探偵団》29 新型コロナ 宇宙人の地球侵略?

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【コラム・冠木新市】中国の武漢で発生した新型コロナウイルスが猛威をふるっている。連日、TVニュースでは世界地図が映し出され、朱色で感染エリアの広がりと各国の感染者数の増加とを伝えている。それを見る度にウイルスの前では、国境、人種、性別、世代、職業、貧富、中央と地方、中心と周辺の区別は無意味だと教えられる。

また新型コロナの、丸い形にトゲトゲがついた写真も度々出てくるが、私には暗い宇宙空間に浮かぶUFOのように見えてしまう。そして、今回の大騒動もSF映画の宇宙人による地球侵略物を想像してしまうのだ。

H・G・ウエルズのSF小説を映画化した『宇宙戦争』(1958)では、ある日突然、火星から来た空飛ぶ円盤が光線を発し、都市と人類を襲撃する。人類には対抗する手段がなく、一方的にやられっぱなしである。

しかしラストシーン近くになって、これまた突然に、円盤が次々と地上に落下して自滅してしまう。火星人を倒したのは地球上にうごめくウイルスだった。後にスピルバーグ監督がリメイクした『宇宙戦争』(2005)でも、ラストの展開は同じだった。

ティム・バートン監督『マーズ・アタック!』

ティム・バートン監督の『マーズ・アタック!』(1996)に登場する火星人は、早々から姿を現わす。巨大な脳みそをむき出しにした頭。トンボの目を思わせる大きな目玉。骸骨みたいな鼻と口元。これを防御するヘルメット(きっとウエルズの小説から細菌対策をとったに違いない)。実に醜悪の極みである。

火星人は一見、平和の使者を装いつつ、善良な地球人(アメリカ人)を陰でせせら笑い、会議場内で侵略を宣言すると(火星語でグエッグエッとしか聞こえない)、いきなり光線銃で皆殺しにしてしまう。アメリカの防衛力では太刀打ちできない。

終盤になると、追いつめられた大統領は「お互い仲良くやれないか」と感動的なスピーチをし、火星人の涙を誘うが、すぐ様、大統領は抹殺されてしまうのだ。まったく油断のならない残酷な宇宙人である。そして人類は完全にお手上げかとなったとき、思わぬ方法で逆転する。

1人の青年が、老人ホームにいる認知症の祖母の身を案じ駆けつける。祖母はレコードプレーヤーでウエスタンソングをイヤホンで楽しんでいる。火星人が背後に近づき、焼き殺そうとした瞬間、孫が飛び込み、祖母がイヤホンを抜くと音楽が室内に響き渡る。すると、火星人は悶え苦しみ、脳みそが破裂し、緑色の液体がヘルメットに飛び散る。

何の説明もないが、どうやら火星人にとってはのんびりした音楽が命取りだったようだ。この設定は、ゴジラ映画『怪獣大戦争』(1965)のX星人を防犯電波で倒すアイデアをアレンジしたものである。

新型コロナ 特効薬は民謡?

火星人はなぜウエスタンソングに弱いのか考えてみた。きっと、侵略者の好むリズムとウエスタンソングのリズムは決定的に合わなかったのだ。ウエスタンソング、つまり民謡は、行け行けドンドンの侵略者にとっては神経を逆撫でする、死ぬほど退屈で嫌で嫌でたまらないものだった。

新型コロナウイルスは、自然界が生み出したものなのか。もし人間が作ったものだとするのならば、そういう火星人みたいな馬鹿には、無理やり民謡を聞かすべきである。きっと即死させることができるに違いない。

民謡は平和の音楽である。改めて桜川流域には、いや世界にも、のんびりした民謡が必要だと感じた次第である。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

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《続・平熱日記》57 女化神社の初午は中止せず

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【コラム・斉藤裕之】誠に不謹慎ながら「学級閉鎖」というものに憧れさえ持っていた。しかし子供のころは少々の熱があっても学校に行かされたし、そんなことでへこたれるようではいけないと教育された。おまけにインフルエンザの検査なんかもなかったので、出席停止などという制度もなかった。だから「学級閉鎖」はテレビや新聞の中のどこかよその国の言葉のようだった。

ところが、首相の一言で学級どころか日本中の学校が突然閉鎖されてしまった。相手は目に見えない未知のウイルスである。それも、なんとも正体不明のやりにくい相手だ。この見えざる敵に政府以下も振り回され、そのドタバタぶりに批判もあろうが、簡単に人を死に追いやるほどの強力な敵でないのがまだ救いか。

それにしても集会やイベントはことごとく中止。ついにはあのアミューズメントパークさえも休園となる中、中止という知らせがなかったのは女化(おなばけ)神社で開かれる初午(はつうま)である。

初午とは2月の午(うま)の日に、稲荷(いなり)と稲成りの語呂(ごろ)合わせからか、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願って開かれるもので、女化神社では食べ物から農具や刃物などの店が並ぶ市が立つ。私が毎年楽しみしているのは、意外かもしれないが「めざし」である。ちょうどいい大きさの、絶妙な干し具合の美味なめざしを売る店があって、まさにそこをめざして行くのである。この自粛のご時世の中、初午中止の知らせはついになかった。

マスク教の信者にならないように

 当日は雨の予報だったので、朝早くに神社を訪れた。食べ物や雑貨の露店はいつもより少な目に思えた。

案の定、お目当てのめざし屋はいなかったので、代わりに豊洲から来たというおやじの店でシラスを買った。一緒に行った友人は、出店準備中の籠(かご)屋の老夫婦から二つばかり籠を買った。聞けば、埼玉の深谷から来ているとのこと。私はシュロの箒(ほうき)を買った。厄(やく)を掃き飛ばす?縁起物だとこじつけながら。値段はそれ相応で、決してカミさんに言えるほど安くはなかったが。

帰りに、すぐ近くのお茶農家の澤ちゃんのところに立ち寄って、美味しいお茶をいただきながら、買ってきた大判焼きをほおばった。澤ちゃん曰く「昔は大型バスが何台も来るぐらいのお祭りで、お店もいっぱいだったんですよ…」。実は、毎年恒例の「沢田茶園、新茶摘みとピザ」のイベントを中止したい旨のメールを、昨日、澤ちゃんからもらったところだった。

さて、新型コロナ(正式名称は発表されたが誰もそう呼ばない)の一日も早い収束宣言を願うばかりだが、人は学ばない。子供たちには学校が休みだったという思い出とともに、今起こっている事実を冷静に論理的に理解し行動する術(すべ)をこの際学んでほしいと思う。トイレットペーパーを買い漁る大人や、非科学的なマスク教の信者にならないように。

それから、初午にも行ってほしいと思った。もともとはハロウィンのような歳時記(さいじき)でもあるらしい。今年は3月の中旬に二度目の午の日がある。(画家)

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《邑から日本を見る》59 これは新ファシズムではないのか

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飯野農夫也氏の版画「憩い」

【コラム・先﨑千尋】従兄弟の家から1周忌の法事を中止するという電話があった。農協時代の仲間の久しぶりの懇親会も取り止めるという。5日に予定していた、夭折(ようせつ)の天才画家と言われた寺門彦壽の作品を那珂市に寄贈する贈呈式も延期という連絡。埼玉からは「むのたけじ地域・民衆ジャーナリスト賞」受賞の集いを延期するというはがきが届いた。

このほかに、私が参加、出席を予定していた研究会、講演会、集会などがすべて取り止めか延期になってしまっている。私が住んでいる那珂市では、図書館や公民館などの公共施設が6日から閉鎖された。市内のもろもろの団体の活動ができなくなってしまった。

この1カ月余り、テレビも新聞も新型コロナウイルスのことばかりだ。安倍首相の唐突な要請を受け、全国の公立小中高がほとんどすべて休校になった。その影響も伝えられているが、半端ではない。子供もその親も、先生方もとまどっている。学校給食が中止になり、牛乳、パン、おかずの食材納入業者は困り切っている。仕事を持つ母親は大変だ。北海道のある病院は170人もの看護師などが休まなければならず、運営に支障をきたしているそうだ。

県内では、偕楽園の行事が中止になり、鹿島神宮の重要な祭頭祭も延期される。東京では、歌舞伎座や帝国劇場の公演も中止だそうだ。学生の一生を左右する会社説明会も相次いで取り止めになり、大相撲、高校野球は無観客試合になるとか。各地のイベント、ジムなども自粛させられている。デパートや観光地の客足が減るなど経済活動は停滞し、世間全体が窒息状態になってしまっている。

「戦時体制」の再来?

それだけではない。安倍首相は、今週中に新型コロナウイルスの感染を防ぐための特別措置法を制定しようとしている。誰も正面切って反対しにくい空気だ。この法案の目玉は、首相が「緊急事態宣言」を出せることだ。

この宣言で想定される措置の内容は、すでに行われている「住民への不要不急の外出自粛。学校や社会福祉施設の使用制限。映画、音楽、スポーツなどの興行場の使用制限要請、指示」のほか、「臨時医療施設のための土地や建物の強制使用、医療品や食品の収用」ができるというもの。「戦時体制」の再来ではないか。

今回の学校の一斉休校措置は、菅官房長官や萩生田文科大臣ら側近の声を聞かず、今井首相補佐官の提言で性急にことを進めた、と伝えられている。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号で、厚労省の医師や専門の職員が入船したのにどうして感染が広まったのか、止められなかったのかという検証はされず、一斉休校の科学的根拠も示されていない。さらに、学校だけでなく、社会全体が受け入れ態勢が整わないまま、首相の鶴の一声で権力を行使する。

憲法や法律の解釈を自分に都合のいいように変え、改元の一連の動きの時のように天皇ですら自分の下に置くという今の首相だから、自分が動かしやすい法律を作り、天下に号令をかけることなど簡単なことだと思っているようだ。これは新しい形のファシズムなのではないか。(元瓜連町長)

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《食う寝る宇宙》57 「コロナ」といえば太陽だ!

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【コラム・玉置晋】最近、「宇宙天気」の認知度調査の一環で、ツィッターを定期的にのぞき始めました。2月15日ごろから、「太陽コロナ」のツイート数が急に増え出しました。太陽コロナというのは、太陽の大気層のことです。

僕らが見ている太陽は「光球(こうきゅう)」といいます。その外側が「彩層(さいそう)」。その外側が「コロナ」です。普段は地上から見ることはできませんが、太陽がお月様に隠れる「皆既日食」のときに、月の影の周りに放射状に光るのが太陽コロナです。

「コロナ」はラテン語で王冠を意味するそうです。皆既日食のときに放射状に広がる光の筋をみて、まるで王冠のように見えたのでしょうね。

さて、なぜ「太陽コロナ」のツイート数が増えたかというと、皆さん、ピンときますよね。今、大問題になっているコロナウイルスです。実はこのコロナウィルスの形が太陽コロナとよく似ているそうです。

インターネットで調べてみると、150ナノメートル(ナノメートルはミリメートルの百万分の1)の球体に複数の突起物がついている姿は、子供が描くお日様のよう。顔なんて書いたら、ちょっとカワイイかも。

笑いでウイルスを吹き飛ばそう

コロナウイルスという名前をつけた人がラテン語の「王冠」からつけたのか、太陽コロナからつけたのかは、僕の調査ではわかっていませんが、似たような形ということで、コロナウイルスにかけて太陽コロナの話をしているのですね。

ユーモラスな発想をする皆さんには、救いを感じますね。笑いで、ウイルスなど吹き飛ばしましょう!

理由はどうあれ、太陽コロナが注目された今こそ、「宇宙天気防災」普及のチャンスなのではないか?と仲間内で話をしています。世の中、大変なときこそ、それをエネルギーに変えるくらいの知恵をふり絞りたいものです。

肝心の太陽は、太陽活動極小期でひっそりとしているため、本業の「宇宙天気インタプリタ」(2019年11月10日掲載11月24日掲載のコラム参照)が活躍するのは、あと数年先(太陽活動ピークは2025年ぐらいと予想されている)でしょう。

しかし、今のうちから、皆さんに感染させる活動を進めております。お楽しみに。(宇宙天気防災研究者)

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《続・気軽にSOS》56 そちらでは何をしてくれますか?

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【コラム・浅井和幸】今日も私の携帯には電話がかかってきます。第一声が「そちらでは何をしてくれますか」で始まる質問が10件に1件はあります。できることのカテゴリーを少しでも絞れたらと思い、何を見てこちらに電話をかけてきたかと私から質問をしますが、それに答えられない方もいます。

見ず知らずの、何をしてくれるのか分からないところに電話するのは、とても怖いことなのです。しかも悩みを相談するのですから、自分のあまりよくない状況、人に伝えるのははばかれるような、プライベートなことを話さなければいけないわけです。

その相談会、NPO、一般社団法人や、浅井という人間が信頼に足る人間であるかどうか分からないことは、とても不安ですよね。20年ほど前の私は、そのような気持ちを汲み取れず、悩みを話さず名乗りもしないと、ムッとしていたものです。経験不足と若さが、今となってはとても恥ずかしく苦い思い出です。

今では、何を求められているか分からない相談者には、最初からひとつひとつ説明していきます。浅井心理相談室では、心理的な悩みを主に面談で受けます。人間関係、感情の問題、些細な引っ掛かりなどから、心の病までです。

NPO法人アストリンクでは、不登校・ひきこもり・ニートの問題に、相談だけでなく、居場所事業や訪問サポートなどでも対応しています。一般社団法人LANSでは、アパートなど住む所が見つけにくい方(生活困窮、障害者、高齢者、DV被害者、母子・父子家庭)を対象に、一緒に探したり、食料支援も行っています。

無料相談も定期的に開催していますので、そのほかの問題でも、ネットワークの専門家をご紹介できるかもしれません。

味方だと感じてもらえること

以上のことを話していくと、ネットのアストリンクのサイトを見てとか、市役所からの紹介でLANSを知って、と話をしてくれます。そして何に困っているかを話してくれるものです。中には、その場で相談継続を決めることはできないから、後日、家族と相談をしてから連絡をしてくることもあります。

私が具体的にしてきたことを伝えつつ、信頼関係を築くこと、味方だと感じてもらえることが、後々も大きなよい影響につながります。10年以上前の私は、味方であることばかりを強調しようとしていた気がします。味方であることのアピールと味方であると感じてもらうこととは、ちょっと違っていて、結果、大きな違いであると今では考えています。

苦しく余裕がないときは、周りは苦労もなく器用に自由に生きていると感じやすいものです。そして味方が誰もいないと感じ、孤立し、孤独を感じて毎日を送るようになります。

そのような状況に、少しでもできることを一緒に探し、悩み続けられたらと、相談を受け続けています。数年後は、問題対応能力を上げるため、もっともっと、知識や技術、連携を増やしていきたいと考えながら。(精神保健福祉士)

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《土着通信部》38 金婚夫婦が作る甘いイチゴ 阿見スウィーツフェア

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甘い香りのイチゴ栽培ハウスで野口さん夫妻=阿見町実穀

【コラム・相澤冬樹】阿見町で、先月末から始まった「あみ産いちごのスウィーツフェア」は、特産のイチゴを使った和洋菓子やパン、杏仁豆腐(あんにんどうふ)などで、春をおいしく迎えようという企画。町商工会(大谷茂樹会長)の主催でことしが8回目、町内の菓子店、ベーカリー、飲食店など8店舗が参加して31日まで展開中だ。フェアを支える、町でただ1軒のイチゴ専業農家を訪ねた。

旬を迎えた「とちおとめ」で食材供給を一手に引き受けているのは、同町実穀の野口いちご園。代表の野口長男(おさお)さん(75)ととみ子さん(75)、昨年金婚式を迎えたばかりの夫妻が切り盛りする。自営でやっていたプラスチック成型の工場を子供たちに譲り、16年前に農業に転身した。とみ子さんが60歳を前に発症したくも膜下出血がきっかけだったそう。

「土地だけはあったからのんびり畑仕事でもと思って、最初はキュウリとかトマトとか作ったのだけど、もっと軽いのがいいって始まったんだよね」ととみ子さんが記憶をたどると、長男さんは「やんなきゃよかったよ」と応じる。

栃木県内のイチゴ生産者に指導を受け、ハウスを建てて苗づくりから始めたのだが、これが苦労の連続。カビが入って発生する炭疽病(たんそびょう)やうどんこ病で苗をダメにしたり、大雪でハウスが倒壊してしまったり、毎年毎年気まぐれな天候、気象との戦いになった。あまりの大変さに、春に行う苗の育成は止めてしまった。

16年間「とちおとめ」一筋

生産するのは「とちおとめ」1品種のみ。「甘さ」を追求して落ち着いた結果という。しかし、収量的には16年間で「うまくいった」と思えた年は1年しかなかったそうだ。今シーズンも昨年暮れの日照不足で、花のつきが悪かった。味覚は例年並み、十分な甘さを保っても変形果が多数できて、売り上げ的には芳しくない展開が続く。

そんななか、2年前から始めた無加温栽培が成果を上げ始めている。ハウス内の温度が4℃になるまで、ボイラーを焚いたりしない栽培法で、経営を圧迫していた燃料費の高騰に対抗策が見つかったとの感触を得ている。

長さ100メートルと70メートルのハウスがそれぞれ3棟あったのに加え、無加温栽培のハウスを2棟設けた。合わせて2万5000株のイチゴを栽培する。カビの制圧のため最初に生物農薬を用いるが、花が咲いた後は一切農薬を使わない。

加温せずとも室温は午前中に20℃を超え、ハウス内には甘い匂いがいっぱい。今は2番花(にばんか)のイチゴの収穫時期で、3番花の回りをミツバチが飛び回っている。完熟の朝どりイチゴを店頭販売している。

◆あみ産いちごのスウィーツフェアの特設ページ

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《くずかごの唄》56 濡れマスクの勧め

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】マスク買うのに、大変な思いをしている人種がいるらしい。朝早く店に行って、列をつくって並ぶのだそうだ。売る店にも、数に限りがあるらしい。皆さんが顔色変えて並んでいても、売れてしまったら、それでおしまいだ。仕入れの数に限りがあるらしい。

「はい、1人1袋で、きょうはこの人で終わりです」

「えっ、もう売り切れなのですか、30分も並んだのに、困ったわ。ドウシマショウ」

なにか異様な雰囲気の中で、マスク争奪戦が展開されている。主婦たちは、マスクは1日使ったら使い捨てにする、と思い込んでいる。日本中が馬鹿げた争奪戦に神経を奪われて、大事なものを見失っているような気がしてならない。

私は、マスクは一つあれば当分使えると思っている。出かけるとき、マスクの下にガーゼを少し湿らせて挟んでいる。ウイルスや細菌の混ざった空気は、濡れたガーゼが遮断してくれるのだ。

コロナ君の解明を待っている

ガーゼも滅菌してあって、マスクの下に使うサイズにカットしたものも売っているが、もったいない思えば、洗ってレンジで熱湯消毒すれば何回も使える。マスクは3日から1週間、ゴムがくたくたになるまで使っている。

テレビのニュースで、マスクがないのなら使い捨てにしないで、ガーゼを挟んで濡れマスクはどうでしょう、と提案してくれればいいのに。誰もそうしない。

ノロのウイルスは塩素に弱い。1リットルの水道水に、50㏄の衣料用漂白剤など、その辺にある塩素系の消毒薬を混ぜて、ぼろ布などに湿らせてふけば消毒になる。

コロナウイルスは、どういうものに弱いのか、何に強いのか。早く、その個性が分かればいいのに。世界中が今、コロナ君の解明を待っている。(随筆家、薬剤師)

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《ことばのおはなし》19 私のおはなし⑧

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【コラム・山口絹記】よく知っているメロディが、どうしても思い出せないことがある。一部を聴けばすぐに思い出して口ずさむことができるのだが、きっかけがないと、どうしても思い出せない。音感のある友人は、楽譜を覚えていれば思い出せると言っていたが、なるほど、きっと記憶に対するアクセス手段が多いほど、思い出せる可能性が高くなるのだろう。

ことばの場合はどうなのだろうか。

「Houston, we’ve had a problem by the way. I’ve lost my sense of speaking in Japanese…」くだらない英語の独り言。母語である日本語を諦め、第2言語で考え始めると、さっきまでモヤがかかったような思考が途端に冴えてきた。

しかし、日本語は話せない。無理矢理日本語を意識しようとすると、思考までが鈍り、慌てて英語による思考に切り替える。まるで、ことばの通じない異国に突然放り込まれたような気分だ。

そして同時に、どこかで安心している自分に気がついた。ことばを発するというのは、主体的に他者と関わるということだ。他者との関わりにおいて、話す能力がないというのは、傍観者になるための免罪符になりうるのだ。気楽ではないか。失語症の人間が意見を言わないことを誰が責められる? 実は第2言語が話せるなど、誰が知り得る? 黙っていればわかりはしないのだ。

私は今、一体何者なのだろう。日本という共同体に生まれ、日本国籍を与えられ、何も考えずに日本語を話してきた今までの30年が、まるで夢のようだ。

2言語で考える

何もかも、考えるのが面倒になって目をつむった。

不思議なことに、普段思い出すこともないような、第2言語で生活していた時の記憶が鮮明に思い出された。通常、意識しても消えることのない母語というノイズが消えてしまったからだろうか。

雨降る夜の台湾。顔を突き合わせて語り合う相手のしぐさや表情、香辛料の香り。中国語の喧騒。英国の野営場で、火を囲んで冗談を言い合う仲間。飛び交う数多の言語。葉巻の煙。遠くから聞こえるジョン・デンバーのカントリーロード。泣きながら大切な人と別れを惜しんだ異国の地。

記憶が身体を貫いて、心が散々になって、時間のないその場所で、ことばを失くしたそのどこかで、思い出した何かの欠片をつなぎ合わせていくうちに、握りしめられるような気がしたその感触に、残り香に、思い出せそうで思い出せないメロディに、私は大切なことを思い出した気がした。すべての時間と場所と経験は、今の私につながっている。

ことばで通じあうことの幸せを、悲喜こもごもを、私はもう知ってしまっているのだ。

母語を失ったと考える必要などない。日本語が必要ならば、第2言語と思って学べば良い。2歳の娘が今まさにやっていることを、親ができないなどと言えるわけがないだろう。

その時、突然カーテンを開けて妻が現れた。

妻に英語は通じない。今は何も言ってやれない。私は身振り手振りで時計と筆記具が欲しいと訴えた。妻が慌てて出ていったのを確認して私は口を開く。

「I have no choice.(やるしかねぇ)」-次回に続く-(言語研究者)

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《雑記録》9 新型肺炎 「地球規模化」の負の側面

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【コラム・瀧田薫】大型クルーズ船の乗客乗員約3700人が横浜港で2週間、検疫のために隔離された。英フィナンシャルタイムス紙(2月20日付)によれば、売上高450億ドル(約5兆円)規模のクルーズ業界が、顧客の信頼を回復できるか否かは、ウイルスをアジア域内に抑え込めるかどうかにかかっているという。

ちなみに業界資料によれば、アジアの乗客数は2018年までの5年間で約120万人から420万人に増加し、その半数以上が中国人であったという。

この事件が露(あら)わにしたのは、「グローバリゼーションの負の側面」である。つまり「ヒト、モノ、カネ、情報」の移動とともに、細菌やウイルスも国境を越えて移動するということである。今回、日本政府はどう対応するのだろうか。WHO(世界保健機関)を中心とする国家間の協力体制を日本主導でつくれるかどうか、日本外交の正念場である。

クルーズ船旅行の大衆化

それはさておき、筆者が着目するのは、事件の舞台が英国籍の豪華クルーズ船であったことである。クルーズといえば、一昔前まで欧米のセレブ御用達の贅沢と決まっていたものだが、アジア、特に中国において、いつの間にか「クルーズの大衆化」が進行していた。

しかし残念ながら、この「クルーズの大衆化」を推進してきたのは欧米の「クルーズ業界」であって、日本の業界ではない。日本の業界は、アジアに巨大なビジネスチャンスが生まれているのに、積極的にそのトレンドに乗れていない。

最近よく耳にする「インバウンド」(外国人が日本を訪れ観光すること)という言葉にも、「受け身の姿勢」が透けて見える。外国籍のクルーズ船でやって来る外国人客を国内の観光資源にどう受け入れるかは論じても、自分たちでクルーズ船を仕立てて外国人を取り込むというような話はあまり聞こえてこない。

確かに、一部の日本企業がクルーズ船市場に参加してはいるが、先行する欧米各社と比較すると小規模だし、古いビジネスモデルに留まっている。業界資料によれば、日本のクルーズ会社は、富裕層(全体の5%)とそれに準ずる層(全体の10%)をターゲットにしているのに対し、欧米社は富裕層以外(全体の95%)をターゲットにしているという。市場の見直しを急ぐべきだろう。

クルーズ後発 日本にチャンス

ところで、今回、クルーズ船の感染症に対する脆弱性(ぜいじゃくせい)が露わになったことで、このビジネスモデルの将来について悲観的な見方が出てきている。しかし長い目で冷静に判断すれば、これは日本のような後発組にとってのチャンスである。感染症に対応できる新型クルーズ船を建造して、乗客・乗員の健康と安全の確保を前面に押し出す。その上で、日本ならではのサービスを付加価値とした、ファミリー向けの新しい観光モデルを用意する。

政府も、不健康極まるIR(カジノを中核とする統合型リゾート)などからさっさと撤退し、日本の旅行・観光業や造船業に活躍の場を用意する―そんな積極さと機敏さがあって然るべきだろう。(茨城キリスト教大学名誉教授)

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《吾妻カガミ》76 わたしたちのテレワーク

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左は編集室がある筑波学院大の建物、右は1階入口に立て掛けてある案内版

【コラム・坂本栄】新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ネットを使ってできる仕事は自宅でやってくださいと、テレワークが推奨されています。当サイトは作業の多くを以前からテレワークに依存していますので、今回はこの辺りの話を取り上げます。

新聞など活字メディアの編集作業は、取材→執筆→点検→表示といった流れになります。昔はこの過程に人的な接触が介在していましたが、現在は、執筆=パソコン、原稿送り=メール、デスクとのやり取り=携帯電話―と、ネット機能をフルに使っています。こういった作業はテレワークそのものといえます。

しかし、人的な接触をゼロにはできません。取材には人とのコンタクトが必要ですし、編集作業にはツバが飛ぶ議論も必要になるからです。こういった接触は、1対1であれば携帯、複数であればLINEのグループ機能で代替できないことはありません。でも、人的な接触があった方が、意思疎通は円滑になります。

わたしたちは週1回、筑波学院大内の編集制作室で会議を開いています。議論はLINEでも可能ですが、各記者が意見を書き込むこの機能を使うと、自己主張が前面に出てしまい、議論が暴走する傾向があります。この種の議論は相手の顔が見ながらの方が生産的です。リアルな会議→LINEで議論は避けたいのですが…。

わたしのテレワーク

この会議を除くと、私の作業も基本テレワークです。このコラムの執筆、23人のコラムニストからメールで送られてくる原稿のチェック、担当デスクへの完成原稿のメール送りなど、すべて自宅の書斎でやっています。ちなみに、デスクは自宅からサーバーにアクセスして、記事と写真をこのサイトにアップしています!

こういった私の作業に、半年前から、動画の編集が加わりました。「コラムニスト昼食会を開きました」(2019年4月1日掲載)で触れましたように、NEWSつくばは、ケーブルテレビ局「J:COM茨城」にデイリーニュースのVTRを提供するようになったからです。その作業は以下のようなものです。

通常の取材の際、記者には動画も撮ってもらい、必要な音声と一緒に大容量ファイル転送サービスでメール送りしてもらいます。これらの記事、映像、音声を素材にして、動画と音声をチェックしながら、局のアナウンサーが読む原稿を作成します。ここまでは自宅での作業です。この先は、編集制作室に出掛け、制作担当に映像制作ソフトを操作してもらい、ニュース用VTRを完成させます。

半月前から、この仕上げ作業もテレワークに切り替えました。整理した映像素材と指示文書を制作担当にメールで送り、数度の往復を経てVTRを完成させるという手順です。ネットさまさまの73歳テレワーカーの話でした。(NEWSつくば理事長)

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《つくば法律日記》6 横行する薬物事犯を考える

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堀越さんの事務所があるつくばセンタービル

【コラム・堀越智也】相次ぐ有名人の薬物事犯について、心を痛めたり、怒りを覚えている方は多いでしょう。そのスポーツ選手の活躍で勇気づけられ、その歌手の歌で励まされた、ということであれば、なおさらでしょう。僕も心を痛めている1人。覚せい剤のような依存性のある薬物は、使用した人の人生を奪い、僕らの「財産」も奪うからだ。

有名人の事件であれば、ニュースやワイドショーでもその有名人に焦点が当てられて語られがちだ。しかし、刑罰の役割については、細かい話は学者でも意見が分かれているので割愛するが、犯人に同じ痛みを与える応報だけではない。特に覚せい剤は、これだけ同じ人が繰り返していることから、その人を責めるだけでは何の解決にもならないことは明らかだ。

僕が初めて担当した刑事事件も、覚せい剤取締法違反だった。それ以来、毎年何件も覚せい剤取締法違反の弁護をしてきた。そこで思うのが、今の科学や医学で、覚せい剤の再犯を防ぐのは至難の業だということだ。よく、本人が止めようと思っても、体が覚えているという表現をされることがある。それだけ止めるのが難しい、恐ろしいものなのだ。

覚せい剤がなければ犯さない罪

薬物事犯は、覚せい剤が存在しなければ犯さない罪である点で、窃盗や傷害や殺人と比べ、特殊である。だからといって、使用した人を責めることを否定するつもりはない。ただ、薬物事犯を語るのに、使用した人にフォーカスを当てる以外の切り口があった方が、建設的な議論ができるのではないかと思う。

覚せい剤を世の中から無くす努力も、覚せい剤を使用した人が二度と使わなくなるための医学的な努力も、多くの人にとって容易なことではない。だから、影響力の大きいメディアは、使用した本人以外にもフォーカスを当てることで、僕らの「財産」が奪われるのを防ぐことに、一翼を担ってほしい。(弁護士)

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《ライズ学園日記》4 文科省の教育委員研修に参加

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【コラム・小野村哲】このほど、文部科学省で行われた市町村教育委員研究協議会に参加した。今年で3回目になるが、分科会は「いじめ対策・不登校支援・児童虐待対応」を選択した。

同じグループになったN市では、毎月の定例会で不登校児童生徒数が報告されるそうだ。「減った、増えたと、一喜一憂していても仕方がない」というお話でもあったが、他の委員さんからは「そういった情報は、まったく伝わってこない」という声もあった。

大学教授でもあるN市の委員さんからは「不登校を経験して入学してくる子が多くなっている。優秀な子が多く、大学生になってみれば、遠回りもあっていい…と思える」というお話もあった。

そこに文科省の担当者も加わって、「教育機会確保法」で「本人の希望を尊重し、登校を強制しない」という方針を打ち出したこと、「フリースクールなど関連機関と積極的に連携し、社会的自立への支援を行うこと」とした意義は大きいものの、「学びの機会の保障、そしてその充実」「進路の選択肢を広げる支援」も必要であることなど意見を交換した。

さらに保護者への支援も大切であり、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)が果たす役割が大きいこと、教育委員も子どもたちや保護者の声を聞く機会を大切にすべきであることなどが話題となり、都下の委員さんからは、教育委員と中学生の懇談会を実践されていることなどうかがった。

子どもたちと保護者、地域住民などがフォークダンスの要領で二重の輪になって座り、1分ほどで移動しながら語り合う「トーク・フォークダンス」の実践なども報告された。

つくば市の常識 全国の常識でない

このような機会をいただいてわかったことは、つくば市の常識が全国の常識ではないということだ。当市の前任者は、このような研修機会があることを知らされていなかったという。一昨年までは教育委員の学校訪問も行われていなかったが、これには「現場も見ずに、何ができるのかと?」と驚かれた。

教育委員会は閉鎖的であると批判を受け続けているが、その実態は地域によって大きな差が生じているようだ。形骸化した組織は無用だとする声もある。しかし本来、教育委員会は保護者の立場からの参加を求めるなど、広く地域住民の意向を教育行政に反映させるための仕組みに他ならず、簡単に廃止してよいものではないとも考えている。

昨年はつくば市でも、住民と教育委員が直接語り合う機会を設けることができた。4年の任期も残すところ1年足らずとなったが、子どもたちも含めた皆さんと、共につくばの教育を考える機会を定着させたい。(つくば市教育委員)

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《宍塚の里山》57 大井川知事との対話集会①

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大井川知事と宍塚の自然と歴史の会との対話風景

【コラム・及川ひろみ】新しい茨城づくりと銘打ち、大井川和彦知事が県民の活動する現場へ出向き、現場を見て、県民との本音の議論を通し、「新しい茨城づくり」の理念を共有する対話集会の第8回目が、2月20日、当会メンバーとの集会として上高津貝塚資料館で行われました。

これまでは、第1回=大洗町の新たな観光資源の発掘について、第2回=県北地域の若手経営者育成グループと、第3回=大子町の農業従事者と、第4回=(一社)茨城研究開発型企業交流協会と、第5回=(一社)アントラーズホームタウンDMOと、第6回=茨城をeスポーツのメッカにするテーマで、第7回=「中心市街地の活性化」について結いプロジェクトメンバーと―でしたが、環境問題は初めてとのことでした。

今回は20数名のオブザーバーが見つめる中、10名が発言しました。県の担当者から、対話集会は陳情の場ではないという説明もあり、説明は協力のお願いにとどめました。まずパワーポイントで、宍塚の自然環境、歴史的な環境特性について解説。そのあと、会の活動を保全活動と里山活用に分け、10名の会員がそれぞれの思いや課題などについて述べました。

「小学生のころはカブト虫取りに興じた」

日本における里山の重要性が世界共通の課題であることに触れる中で、宍塚の里山の重要性、宍塚の里山の特筆すべき価値については、農研機構・農村工学研究部門の上級研究員であり、「自然農田んぼ塾」塾長、「田んぼの学校」校長でもある、嶺田拓也さんから説明がありました。

また、保全活動を行う前にすべき調査活動の担当者から、どのような調査が行われ、その調査によってわかる自然の変化について、説明がありました。

それを受け、さまざまな里山における保全活動の内容、活動はできることを楽しく継続すること、保全への理解を深め参加者を増やすことが課題―などについての説明もありました。さらに、地元との協働による田んぼ活動、休耕地をハス田に再生する活動についての説明がありました。

最後に、これまでの説明への感想を知事に向けると、知事は小学生のころ、土浦市板谷に育ち、周りには明るい里山が広がり、カブト虫などの虫取りに興じたこと、さらに、そんな里山が荒れ果て、開発によって変貌した現状についても話があり、知事の環境に関する土壌が幼いころの経験にあることが伝わってきました。(宍塚の自然と歴史の会代表)

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《県南の食生活》10 シラウオ 霞ケ浦のごちそう

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シラウオ

【コラム・古家晴美シラウオは生きた状態で食べる「踊り食い」で有名ですが、「シラウオのような指」と、色白の細くすらりとしたなめらかな女性の指を評す場合にも引き合いに出されます。今回はそのシラウオについてです。

全長10センチほどで体が半透明のサケ目シラウオ科の魚です。シロウオと混同されますが、後者はスズキ目ハゼ科の魚で別種のものです。

現在、霞ケ浦のワカサギのつくだ煮は、県南地域の大型スーパーの店頭に並び、日常食以外に霞ケ浦の手土産として購入される方も多いと思います。ワカサギと共に、シラウオは霞ケ浦で漁獲されてきました。霞ケ浦周辺のつくだ煮専門店では、今でもシラウオの煮干しやつくだ煮が販売されています。

江戸時代には、すでに大型の大徳網(だいとくあみ)でワカサギと共にシラウオも漁獲しています。また、明治時代に折本良平(おりもと・りょうへい)が考案した帆引き船は、最初はシラウオ漁用のものだったのが、後にワカサギ漁用に改良されました。

また、煮干しに加工する以外に、タタミイワシのようにシート状に乾燥させたものが、シラウオの需要が大きい清国に向けて輸出されたという記録があります。

その後、霞ケ浦・北浦での漁獲量は、昭和30年代まではワカサギが最も多く、それにシラウオ、エビが続きました。しかし、昭和40年代にトロール(曳き網)漁業が登場すると、ワカサギ・シラウオは減少し、昭和53(1978)年をピークとして霞ケ浦・北浦の総漁獲量も激減し始めました。

茨城の漁獲量は県別2

このような状況の中で、平成29(2017)年の茨城県のシラウオの漁獲量は、青森県に次ぎ全国2位で、そのほとんどが霞ケ浦・北浦産です。

3月に入ると、シラウオ漁が全面禁止になります。平成20年代に入り、漁業者の自主的な資源管理が行われるようになったからです。ワカサギ・シラウオのトロール操業は1月1日から7月20日までが禁漁期間、シラウオの刺し網(定置網)は3月の1カ月間と5月16日から10月31日が禁漁期間となっています。

このような漁獲規制が敷かれる以前のシラウオ漁は夏に最盛期を迎え、家庭でも釜揚げや煮干しにして醤油をかけ食べたり、切り干し大根と共に煮つけたものが食卓に上ることもありました。

しかし、白魚1升と米1升が同じ価格とされた高級品で、来客時には、米1升に醤油1合のご飯を炊き、釜揚げ白魚を2~3合混ぜた白魚ごはんを作って出したそうです。また、3月の初節句にはシラウオの卵とじ・お吸いものも出ました。やはり、ごちそうだったんですね。(筑波学院大学教授)

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《続・平熱日記》56 「多浪」ぞろい 芸大油絵の同窓会

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【コラム・斉藤裕之】54話で触れた「富士山景クラシック展」で催されたささやかな宴。日ごろ群れることをよしとせずというか、絵を描こうと決めた時点で世の中とは一線を画して生きる覚悟をした連中なので、世間でいうところの同級会的な集まりはこれまでに一度もない。

しかしきっかけはどうあれ、同級生が88人もそろう展覧会は後にも先にもこれが最後かもしれないということで、会期中に同級会なるものを企画してみた。そして集いしはおよそ20名。ちなみに、当時の油画専攻は宝塚並みの倍率を突破した55人。うち現役はたった1人。女子は10人余り。正確に計算したことはないが、平均3浪程度の「やさぐれ」具合で私は4浪組。

「明日の美術界は俺に任せろ!」という目つきの奴らは、まさに個性の塊。在学中の破天荒ぶりに数々の逸話の持ち主たち。その後の生活も実にたくましく、中には卒業以来30年ぶりの再会もあり、話は尽きない。やがて話は当然息子や娘のことになり、案の定、芸大を目指して浪人中のご子息が少なからずいることが判明。中には4浪の娘がいるヤツも。でも自分が5浪だから文句も言えないらしい。

「先生なん浪ですか?」「4浪」「そんなに浪人する価値はあったんですか?」。つい最近も、高校生に聞かれたところだった。意味? 価値? よくわからないけど、なにかに向かっていく喜びや確信はあったような気がする。私の場合、絵描きになるとか芸術云々は後付けだったのかもしれない。そもそも大学の先生方が多浪ぞろいであった。そして、総じて我が道を進む姿は魅力にあふれていた。

ヒョウ柄・銀ラメのマドンナ

美大の浪人は俗に言う浪人とちょっと事情が異なるのかもしれないが、それでも我々のころとは違って多浪は激減しているという。日本では18歳で大学、22歳で会社に、というコースを踏み外さないように教育や制度が設定されている。

海外からみると、とても奇妙に映るこの風習? 実際、フランスで知り合った友人のお父上は元サッカー選手の医者。社会人になってからの学び直しや、理不尽な理系文系分けへの改革など、「人生百年時代」に相応しいもっとたくましく生きるための教育の在り方は必要な気がする。だから高校生が進路のことを口にするとき、「あとで誰かのせいにしないでね」とだけ言うことにしている。

さて展覧会も最終日。突然の一報に一同は色めきだった。同級生の中で唯一の5浪の女性、しかも、マドンナ的存在であったヒロエさんが名古屋から来るという。今年還暦を迎えるはずの彼女は相変わらずお美しく、しかし控えめだった学生のときとは打って変わって、ヒョウ柄の上着に銀ラメのバッグといういで立ちで現れた。「冥途の土産に会いに来ました!」とうそぶく姿に、以前とは違う親しみを覚え、何とも言えない月日の流れを感じた。

次の日の朝。昨夜は走馬灯のように思い出や同級生の顔が回って眠りが浅かった。戸外に出て呼吸をしたとたん、春の香りを感じた。サクラサク春が来るといいね。(画家)

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《邑から日本を見る》58 本当は怖いダイヤモンド・プリンセス

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飯野農夫也氏の版画「憩い」

【コラム・先﨑千尋】中国・武漢が発生地とされる新型コロナウイルスによる肺炎の情報は、毎日の新聞・テレビにいっぱいだ。中国だけでなく、日本政府も拡大の防止に躍起となっている。思わぬところから感染者が出ており、旅行や買い物にも影響が出ている。中国からの客も激減し、観光地では頭を抱えているようだ。

そんな折、長野県で医者をしている友人から驚きのメールが入ってきた。「本当は怖いダイヤモンド・プリンセス(事実上の監禁船)」という見出しで、コロナウイルスよりももっと怖い話だ。

「一流のディーラーがエスコートするテーブルゲーム。多彩な種類のスロットマシンをそろえ、バーも併設した、プリンセス・クルーズ自慢の本格的なカジノ。テーブルゲームは5USドルから、スロットマシンは1セントからと気軽に楽しむことができます。カジノが初めてという方、新しいゲームにチャレンジしたい方はレッスンを受けることもできます。専門のスタッフが親切丁寧にルールやマナーをご案内します」

これはクルーズ船のホームページからの引用である。海外クルーズ旅行中の「暇な時間をカジノで遊ぶ」という、賭博初心者のハードルを下げる悪魔の誘惑ではないのか。

日本船籍であれば、日本国内と同じで、船内で現金を賭ければ賭博罪になる。しかし日本から発着する外国船籍(アメリカのカーニバル社)のダイヤモンド・プリンセスでは、日本の領海を出れば外国と同じ。日本の刑法に違反していても金を賭けたカジノで遊ぶことができる。それだけではなく、日本の領海外の船内なら、賭博だけでなく、禁止薬物も売春も合法的に遊べる仕組み、と友人は伝える。

クルーズ船の正体を挙国一致で隠す

わが国では、船内で今回のようなコロナウイルスの感染者が大量に発生すれば、会社の社長や重役が記者会見を開き、頭を下げるのが当たり前だ。しかし、今回はダイヤモンド・プリンセスを所有するカーニバル・ピーエルシー社の関係者は誰もメディアに出てこない。日本政府も何も言わない。

カジノを含む統合型リゾートを作るIR法を通した自民党や誘致に熱心な横浜市の林文子市長が何も言わないのは当然だが、カジノ法案に反対した野党もマスコミも沈黙している。クルーズ船のホームページを見れば、カジノで遊べることがすぐにわかる。クルーズ船の正体を挙国一致で隠すというのは、異様な光景ではないか。

友人のメールによれば、カーニバル社はアメリカのカジノの胴元だという。カジノ賭博に免疫がない我が国の小金持ちは、プロのばくち打ちにとって赤子の手をひねるようなもの。クルーズ船の母港が横浜だというのも、IR法と裏でつながっているのでは、と勘繰りたくなる。

今回の新型肺炎で厚労省の防疫体制を仕切る官僚トップが、ノーベル賞受賞者の山中伸弥教授のiPS細胞の政府助成金の打ち切りや、安倍首相補佐官との豪華不倫出張騒動などで問題を起こしているのには絶句。忖度と隠蔽だけに特化しているこの国は確実に滅びる、というのが友人からのメールの締め。いやだねえ、この国に住んでいるのは。他の国だって似たりよったりではないか、という声が聞こえるが。(元瓜連町長)

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《食う寝る宇宙》56 持続可能な宇宙利用 「落ちない」「落ちる」

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【コラム・玉置晋】野球のボールを僕が投げたら、たぶん30メートルくらい先で落ちるでしょう。メジャーリーグで活躍したイチローさんだったら、130メートルくらいか。もっともっと強力なパワーで投げると、地球の縁(ふち)にそって、永久に周り続けます。すなわち、ロケットで打ち上げられる人工衛星です。

これがやっかいで、地上からどんどん新しい人工衛星が打上げられて、宇宙ゴミが増えていく。これが「落ちない問題」。コラム55「人工衛星衝突=宇宙ゴミ飛散の危機」をご覧ください。

 一方で、地球周辺の宇宙空間は完全には真空ではありません。国際宇宙ステーションが飛ぶ高度400キロでは、地上の10万分の1くらいの密度の大気があります。だから、少しずつ大気抵抗が効いてきて、飛翔する物体の形状、宇宙天気(太陽活動や地磁気活動)にもよりますが、1年くらいで大気圏に落ち、摩擦熱で燃え尽きます。こちらは、コラム18「特異日 衛星落下と仏革命」をご覧ください。

だから、宇宙機の運用を維持したければ、スラスタと呼ばれる機器で推進剤を噴射して、大気抵抗で減った速度を回復させなければなりません。これらが「落ちる問題」。

太陽活動が活発だと、高層大気が膨張する性質があるため、宇宙ゴミを大気圏に早く落とす作用がある一方で、落としたくない人工衛星にとっては不利益を被ることになります。サスティナブル(持続可能な)宇宙利用は「落ちない問題」と「落ちる問題」のバランスをとって初めて成立するものです。これを制御する力を、現段階では、人類は持ち合わせていないことを認識しないといけません。

人生の「落ちる」「落ちない」

 「落ちない問題」と「落ちる問題」のバランスとはいいましたが、人生、「落ちたり」「落ちなかったり」いろいろです。僕は40年ぐらい生きてきましたが、「落ちる」:「落ちない」=8:2といったところかな。

学校の入学試験しかり、資格試験しかり、「落ちて」ばかりでございます。千葉県成田市の成田山新勝寺には、易占いをしてくれる「易所」が並んでいます。毎年、年始に運勢をみてもらうのですが、僕の人生の幸せは2つで、20代と30代で1回ずつ、計2回とのこと。

振り返れば、20代では幸運に宇宙の仕事に就けたこと、30代は結婚したことでしょうか。落ちてばかりでも、しつこく継続していれば、1~2回は落ちずに受かるものです。それで十分だと自分に納得させるのと同時に、若者たちにエールを送りたいのですが、諸先輩方、同意していただけますか?(宇宙天気防災研究者)

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《地域包括ケア》54 地域に常設の「通いの場」を

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【コラム・室生勝】タイトル絵「生活支援・介護予防サービスの提供イメージ」の「自治会単位の圏域」のところの「交流サロン」や「コミュニティカフェ」が「通いの場」の一つである。そこで、つくば市の常設「通いの場」の確保を考えてみた。

空き家、空き店舗や倉庫、空き教室、集会所、大店舗や福祉・医療施設の開放スペースなどを借りる方法である。空き家は市の住宅政策課に、空き教室は教育委員会に相談するわけだが、積極的な支援がほしい。廃校の教室利用も同様である。

空き店舗・倉庫や集会場は地域の情報から得られる。集会場は定期的に利用されている場合もあるし、たまに使われるところもある。大店舗や福祉・医療施設の開放スペースも、週1回~毎日オープンの条件や音漏れについては貸主と協議することになる。高齢者世帯が自宅の一部を提供する場合もあるだろう。

通い場の設備は、出入口も含め段差がないかあっても少ないこと、土足のまま利用できるフロア(コンクリートは避けたい)、洋式トイレ、洗面所―などが必要である。備品はテーブルとイス、ホワイトボード、電気ポット―など。紙コップ(マイカップ持参もあり)、お茶類は参加費で用意するが、これらを入れる戸棚も必要となる。

「通いの場」は多世代が利用すべき

常設の通いの場を地域づくりの拠点にするには、コピー機が欠かせない。区会(自治会)、ボランティアグループ、子ども会などの役員や世話人の話し合いには、その場での資料づくりもあるからだ。それらの団体の事務局を置くとなると、戸棚も必要となってくる。

備品や運営資金は、行政の補助金のほか使用料に頼ることになるが、借り賃はできるだけ低料金が望ましい。常設の通いの場を区会(自治会)が地域づくりの拠点とし、利用団体と共同して運営に当たってほしい。特に、新しく開発された地域では区会活動の拠点がないので、市に斡旋の新設を要請すべきと思う。

通いの場は多世代が利用すべきである。午前~午後前半は高齢者、午後後半~夕方までは子どもたち、夜は青壮年世代―と、基本的な割り振りをする。午後後半の子どもたちに母親世代や前期高齢者が加わる場合や、夜の青壮年世代に高齢者が参加する場合もあっていい。

大勢の人が集まる通いの場は、伝染性感染症が流行ったときに一時閉じなければならない。新型コロナウイルス感染症のことで、私の主宰する高齢者サロンを2月から中止している。周りから決断が早すぎると言われたが、80歳以上が20名と参加者の半数を占めるので、これでよかったと思っている。(高齢者サロン主宰)

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