【コラム・奥井登美子】マスク買うのに、大変な思いをしている人種がいるらしい。朝早く店に行って、列をつくって並ぶのだそうだ。売る店にも、数に限りがあるらしい。皆さんが顔色変えて並んでいても、売れてしまったら、それでおしまいだ。仕入れの数に限りがあるらしい。

「はい、1人1袋で、きょうはこの人で終わりです」

「えっ、もう売り切れなのですか、30分も並んだのに、困ったわ。ドウシマショウ」

なにか異様な雰囲気の中で、マスク争奪戦が展開されている。主婦たちは、マスクは1日使ったら使い捨てにする、と思い込んでいる。日本中が馬鹿げた争奪戦に神経を奪われて、大事なものを見失っているような気がしてならない。

私は、マスクは一つあれば当分使えると思っている。出かけるとき、マスクの下にガーゼを少し湿らせて挟んでいる。ウイルスや細菌の混ざった空気は、濡れたガーゼが遮断してくれるのだ。

コロナ君の解明を待っている

ガーゼも滅菌してあって、マスクの下に使うサイズにカットしたものも売っているが、もったいない思えば、洗ってレンジで熱湯消毒すれば何回も使える。マスクは3日から1週間、ゴムがくたくたになるまで使っている。

テレビのニュースで、マスクがないのなら使い捨てにしないで、ガーゼを挟んで濡れマスクはどうでしょう、と提案してくれればいいのに。誰もそうしない。

ノロのウイルスは塩素に弱い。1リットルの水道水に、50㏄の衣料用漂白剤など、その辺にある塩素系の消毒薬を混ぜて、ぼろ布などに湿らせてふけば消毒になる。

コロナウイルスは、どういうものに弱いのか、何に強いのか。早く、その個性が分かればいいのに。世界中が今、コロナ君の解明を待っている。(随筆家、薬剤師)

➡奥井登美子さんの過去のコラムはこちら