【コラム・小野村哲】このほど、文部科学省で行われた市町村教育委員研究協議会に参加した。今年で3回目になるが、分科会は「いじめ対策・不登校支援・児童虐待対応」を選択した。

同じグループになったN市では、毎月の定例会で不登校児童生徒数が報告されるそうだ。「減った、増えたと、一喜一憂していても仕方がない」というお話でもあったが、他の委員さんからは「そういった情報は、まったく伝わってこない」という声もあった。

大学教授でもあるN市の委員さんからは「不登校を経験して入学してくる子が多くなっている。優秀な子が多く、大学生になってみれば、遠回りもあっていい…と思える」というお話もあった。

そこに文科省の担当者も加わって、「教育機会確保法」で「本人の希望を尊重し、登校を強制しない」という方針を打ち出したこと、「フリースクールなど関連機関と積極的に連携し、社会的自立への支援を行うこと」とした意義は大きいものの、「学びの機会の保障、そしてその充実」「進路の選択肢を広げる支援」も必要であることなど意見を交換した。

さらに保護者への支援も大切であり、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)が果たす役割が大きいこと、教育委員も子どもたちや保護者の声を聞く機会を大切にすべきであることなどが話題となり、都下の委員さんからは、教育委員と中学生の懇談会を実践されていることなどうかがった。

子どもたちと保護者、地域住民などがフォークダンスの要領で二重の輪になって座り、1分ほどで移動しながら語り合う「トーク・フォークダンス」の実践なども報告された。

つくば市の常識 全国の常識でない

このような機会をいただいてわかったことは、つくば市の常識が全国の常識ではないということだ。当市の前任者は、このような研修機会があることを知らされていなかったという。一昨年までは教育委員の学校訪問も行われていなかったが、これには「現場も見ずに、何ができるのかと?」と驚かれた。

教育委員会は閉鎖的であると批判を受け続けているが、その実態は地域によって大きな差が生じているようだ。形骸化した組織は無用だとする声もある。しかし本来、教育委員会は保護者の立場からの参加を求めるなど、広く地域住民の意向を教育行政に反映させるための仕組みに他ならず、簡単に廃止してよいものではないとも考えている。

昨年はつくば市でも、住民と教育委員が直接語り合う機会を設けることができた。4年の任期も残すところ1年足らずとなったが、子どもたちも含めた皆さんと、共につくばの教育を考える機会を定着させたい。(つくば市教育委員)

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