土曜日, 5月 4, 2024
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筑波大・柔道金の永瀬選手たたえ 郵便局前にゴールドポスト

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筑波大学内郵便局前に設置されたゴールドポストの前でポーズをとる永瀬貴規選手

東京五輪柔道男子81キロ級で金メダルを獲得した筑波大学出身の永瀬貴規選手(28)の栄誉をたたえて、金色のゴールドポストが18日、つくば市天王台の大学会館、筑波大学内郵便局前に設置された。

もともと設置されていた赤いポストが金色に塗り替えられた。投函口の下には「永瀬貴規選手 柔道男子81㎏級 ゴールドメダリスト」などと日本語と英語、点字で書かれたプレートが貼られている。

選手の功績をたたえ、選手を輩出した地域を盛り上げようと、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局と日本郵便が協力して設置した。県内初、全国では12番目の設置となる。

永瀬選手は長崎市出身。2012年に筑波大学体育専門学群に入学し、4年の時、世界選手権で優勝した。卒業後は旭化成に所属し、宮崎県を拠点に活動している。

学生時代、稽古に励んだ筑波大学に設置してほしいという永瀬選手の希望で、ゴールドポストを大学に設置することになった。

18日、ゴールドポストの除幕式が催され、永瀬選手のほか、永田恭介筑波大学長、駒崎真史筑波学園郵便局長らが出席した。永瀬選手は東京五輪日本選手団の公式ジャケットを着用して参加し「ゴールドポストの除幕式を開催していただきまして誠にありがとうございます」などと感謝の気持ちを述べた。

筑波山の「つつじヶ丘レストハウス」 《ご飯は世界を救う》41

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】久しぶりに、筑波山のつつじヶ丘から女体山に登りました。10月半ば過ぎのよいお天気の日。ロープウエーはコロナ禍だというのに満員電車並み。ちょっとだけですが、山頂まで山登り。山頂も混雑していて、押し合いへし合い状態。ですが、山頂も、中腹からの展望も、ロープウエー行き帰りの風景も、素晴らしいものでした。

ちょうどお昼だったので、ロープウエーの乗り場横の「レストハウス」でランチ。お昼より少し早かったので、お店はあまりお客さんがいません。おいしいかしら?私の好きなメニュー「親子丼」。外食で親子丼を食べたことがないので、チャレンジ。それが!おいしかった~。

11月半ば。今度は男体山の紅葉を見ようと出かけたら、筑波山の入口のかなり手前から車の大渋滞。諦めてUターン。そのあと、市内の「松見公園」「かつらぎ公園」「松代公園」と、紅葉真っ盛りの公園巡り。すべて池があり、紅葉が映り込む姿がステキです。

見晴らしのよい男体山の上で、親子丼を食べる夢はおあずけでしたが、3つの公園の紅葉観賞というプレゼントをもらえました。(イラストレーター)

NPBオリックスと仮契約 茨城アストロプラネッツ・山中尭之

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宮田GM補佐と固い握手を交わす山中尭之選手=ホテルアルファ・ザ・土浦

今年度の(日本プロ野球)ドラフト会議で、オリックス・バファローズから育成1巡目で指名を受けた、茨城アストロプラネッツの山中尭之選手の仮契約が17日、土浦市港町のホテルアルファ・ザ・土浦で行われた。契約後の記者会見で山中選手は「プロ野球(NPBの)選手になるという小さいころからの夢が、そこで活躍するという目標に替わった。1日でも早く支配下に上がり、1軍で活躍できるようになりたい」と語った。

契約書にサインをしたときの心境は「これからNPBの第一歩が始まるという特別な思いに少し緊張し、硬いサインになってしまったが、責任感が芽生えた瞬間でもあった」。オリックスについては「今季リーグ優勝から日本シリーズへと躍進中で、来年も上位が期待できるチーム。楽しみでしかない」との印象を抱いているという。

山中選手は結城市出身。つくば秀英高校と共栄大学(春日部市)を卒業後、NPBを目指して今季、地元の独立リーグチームである茨城アストロプラネッツに入団。1年目で夢をつかんだ。つくば秀英からは8人目、共栄大からは初のNPB選手。茨城からはドラフト指名では2人目、途中入団も含めると4人目となる。

二冠王を目標に、NPB選手の第1歩を歩み出す

12月中旬の入団発表を経て、来年1月の新人合同自主トレに参加し、シーズンインを迎える予定。「全てにおいてレベルアップを図り、特に土台である体を一番に仕上げていきたい。技術やメンタルは後から付いてくると思う」という考えだ。目標はオリックスの4番打者で、今季パ・リーグ本塁打王を獲得した杉本裕太郎選手。「チームの勝敗にかかわる場面、得点圏でランナーを返せる選手を頭に置いている。目指すのは打点王とホームラン王の2冠。特に、打球の飛距離を見てほしい」と意気込む。(池田充雄)

茨城アストロプラネッツ 山根将大球団代表の話 山中のポテンシャルを評価していただいて感謝している。地域のプロチームとして活動している以上、茨城の選手がわれわれのチームを希望し、成長し、次のステージへ行くのは非常にうれしい。今後、彼のような例がどんどん増えていくといい。

オリックス 宮田隆GM補佐の話 引っ張るだけでなく右にも強い打球が打てる。単にパワーだけではない。状況に応じたバッティングをしていた。肩が強く、バックホームの送球安定性がいいなど守備面も評価している。

つくば市に県立高校新設を 市民団体、初の県教育庁交渉に臨む

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初の県教育庁交渉に臨んだ「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」のメンバー。左から2人目が片岡英明代表=県庁

つくば市に県立高校を新設することなどを求めている市民団体「つくば市の小中学校の高校進学を考える会」(片岡英明代表)が17日、水戸市笠原町の県庁で、県教育庁と初の交渉に臨んだ。県高校教育課高校教育改革推進室に、知事や県教育長宛ての要望書を手渡し、県立高校の新設や市内外の既存校の学級増などを求めた。

回答は消極姿勢に終始

要望書は「つくば市は児童・生徒数が急増しているのに県立高校が少ないため、多くの生徒が市外の県立高校や私立高校に通っており、生徒の通学や保護者の費用・送迎などが重い負担となっている」などとして、①市内のTX沿線に全日制の県立高校を新設すること②竹園、つくば工科、茎崎、伊奈、牛久栄進など市内外の既存校の入学枠を増やすこと③土浦一高の付属中設置に伴う高校の学級数削減を行わないこと④特別支援学級の生徒に高校入試や入学後の資料を整えることーなどを求めた。

これに対し県教育庁の回答は、①県立高校の新設は財政や用地を考えると現時点では困難②既存校の学級増は、県全体の県立高校で1962人の欠員があるので慎重に判断していく③付属中設置に伴う土浦一高の高校の学級削減を止めることは困難④特別支援学級の生徒に対しては担当課と連携して対応を考えたいーだった。

片岡代表は「つくば市の中学3年生の進学状況や児童・生徒数の推移見通しなどの資料を提出し、実情を理解してもらえば、県立高校を必ずつくるしかないことを理解してもらえると思って説明したが、県の回答は、『県全体では定員割れの高校がある』ということに終始した。つくば市の子どもたちのことは県の視点から外れていると思わざるを得なかった」と話した。今後も粘り強く、県やつくば市との交渉を続けるとしている。

考える会の片岡代表は、つくば市の中学生の高校受験の実情を独自に調査し、市内には中間の県立高校がないため、2020年度は中学生の6人に5人が市外の高校や私立高校に通っており、生徒や保護者の重い負担となっていることを明らかにした。その上で、市議会9月定例会に、全日制の県立高校を市内に早急に新設し、進学環境の充実を求める請願を出し、全会一致で採択された。採択を受けて市議会は10月、知事と県教育長に県立高校新設などを求める意見書を提出したばかり。

絵本「うんこはごちそう」 《くずかごの唄》98

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】本屋さんで、「うんこはごちそう」(伊沢正名著、農文協刊)という絵本を見つけ、飛びついて買ってしまった。伊沢さんは、日本一のきのこ写真家である。「きのこ」(山と溪谷社刊)には、日本の1155種類のきのこの写真が収録されている。発行時、その多さが学会でも話題になった。一つ一つが、伊沢流の、個性的な、愛情あふれたきのこの写真なのである。

伊沢さんと最初に会ったのは彼が高校生の時であった。「土浦の自然を守る会」で西丸震哉氏の講演会を行ったことがある。次の日、西丸氏も参加して北筑波稜線(りょうせん)林道予定地の見学会があった。当時、大規模林道開発の波を受け、筑波山上曽峠から北筑波稜線林道が計画され、山の中にコンクリートの立派な道路が造ろうとしていた。開発の前に現地を見てみようと、67人が参加してくれた。

西丸氏は大叔父が島崎藤村で、当時、評論家としても自然保護作家としてもモテモテの人。見学会参加者の中に、現地真壁町に住む目のキラキラした高校生が1人混じっていた。彼を連れてきたオジサンの話によると、町の歯科医院の息子。不登校なので、父親が心配して、西丸先生に学校へ行くよう説得してほしいと言われ、連れてきたのだという。

きのこの仲間になりきって撮影

西丸先生はどんな言葉で説得するのだろうか。私は聞き耳を立てて西丸先生と高校生の会話を聞いていた。

「高校が面白くないのか?」
「ハイ、行きたくありません」
「行きたくないところに行くことないよ。友達はいるの?」
「いません」
「じゃあ、無理して行くことないよ。その代わり、自分のしたいことを一つ、何が何でも一つだけ見つけて、そこへ飛び込んでごらん。面白いよ」

彼が飛び込んだのが、きのこの世界だった。

山の中で撮影しているところを見せてもらったことがある。泥だらけの地面をはって行って、きのこの仲間になりきってしまってから、シャッターを押す。誰もができるという仕事ではないのだ。(随筆家、薬剤師)

センタービルと『大菩薩峠』《映画探偵団》49

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【コラム・冠木新市】11月3日(文化の日)、第1回 「つくばセンタービル謎解きツアー」を開催した。参加者は20~80代の10名。案内役は私が務め、ノバホール入口から2階センターの周囲をめぐって1階に降り、「中心」「異界」「水の精」「反転」「廃墟」「にわ」「鋸(のこぎり)状の柱」「モンロー」をキーワードに8つの光景を語り歩いた。

野外劇場の「廃墟」では、30年間、TVのSFヒーローが戦ってきたことを説明。すると、そばで戦隊ヒーロー物の撮影が行われていて、こちらが用意したゲストのようだった。8地点の「不連続の連続」ともいえる光景を語るうちに、ああこれは『大菩薩峠』の世界に似ているなと思った。

片岡千恵蔵主演『大菩薩峠』

小学1年の時、東映の片岡千恵蔵主演『大菩薩峠』(1957)を見て、主人公たちの善悪を超えた妖しい雰囲気が記憶に残った。中学1年の時、国語の女性教師が「私は中里介山著の『大菩薩峠』だけは最後まで読み切れなかったのよね」と言った。

その日、早速古本屋に行き、角川文庫版の原作を買い読み始めた。全巻読破と意気込んだが、11巻で挫折した。大学のころ、春陽堂文庫版が出た時も挑戦してみたが、駄目だった。代わりに解説評論本を何冊も読み、話の展開はあらかた予想がついた。映画で描かれていたのは前半部分のみである。

物語は、机竜之助が大菩薩峠で老巡礼を切り捨てる理由なき殺人から始まる。そして御岳神社の奉納試合で相手を打ち殺し、その妻お浜を連れ江戸へ出奔する。試合相手の弟は兄の仇の竜之助を追う。つまり、最初は仇討ち物語なのだが、徐々に竜之助の場面は減少し、脇役と思われた登場人物たちが活躍する群像劇になってくる。

さらに物語が進むと、旗本の駒井甚三郎が蒸気船を建造し南海の孤島に乗り出し、植民地をつくる話。顔に大やけどを負ったお大尽の娘お銀様が胆吹(いぶき)山麓に王国を建設する話。与八という無垢な男が寺子屋をつくり子どもたちを教育する話。幇間の金助が外国人向けに日本の芸能文化を見せる「帝国芸娼院」をつくる話など、海・山・里・町のユートピアづくりの物語へと変容していく。

そのうえ、後半では夢と現実が入り乱れ摩訶不思議な世界となる。幻想の小動物ピグミーが突然現れたり、歴史上の人物が時空を超え出現したり、一度死んだ男が幽霊とも現実ともつかぬ姿で出てきたりする。また、作者の介山が百姓弥之助として顔を出し、『大菩薩峠』の解説をする。夢と現実の比重は一体となって、いつの時代の話だか曖昧模糊(あいまいもこ)となり、幻想小説と化してしまうのだ。

今年、3年半かかり新聞小説を読むように、ちくま文庫版全20巻を読了した。そして、これまで読了できなかった原因が理解できた。それは主人公や物語の中心を探る読み方をしていたからだ。当初の主人公竜之助は最後には亡霊の存在となる。つまり、この物語は誰もが主人公で、中心が不在の伽藍堂(がらんどう)のような小説なのである。

「長編小説にも似た複雑な構成」

「この建物の場合は、直接的で、ほとんど具象的な引用で終始しているのは、長編小説にも似た複雑な構成をもつために、細部すなわち断片が、勝手に強い喚起力を発してもらう必要があったからである」(磯崎新編著『建築のパフォーマンス』)

謎解きツアーで一番受けたのは、ホテル最上階の「目のデザイン」がノバホール入口の三角窓に映り込み、キリスト教三位一体の父と子と聖霊を表す「プロビデンスの目」になることを紹介したときだった。この神の目はセンター広場の何もない空間を見つめている。仕掛けに満ちたセンタービルは、私にとって読みごたえのある長編小説なのである。サイコドン ハ トコヤンサノ。(脚本家)

<つくばセンタービル謎解きツアー参加者募集>
▽内容:センタービルに隠された建築の謎を解きながらビルを回る
▽日時:第3回 11月23日(火)ゲストと取材あり、第4回12月4日(土)、第5回12月12日(日)、各回午後1時から約1時間、参加費無料
▽定員:10名、小中高生大歓迎
▽要予約:090-5579-5726(冠木)

支線型バス3コース廃止へ 実証期間終了でつくば市が方針 

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4コースのうち3コースの運行が来年3月で終了する筑波地区の支線型バス

つくば市が公共交通の実証実験として2019年度から実施している筑波地区の支線型バスと茎崎地区などの路線バスの運行について、3年間の実証期間が終了する来年4月以降、支線型バスは4コースのうち3コースを廃止し、1コースのみ運行を継続するなどの方針が、15日、市役所で開かれた市公共交通活性化協議会(会長・岡本直久筑波大教授)で示された。

来年度の実証実験については、既存の路線バス事業者と連携し、市が運行費用を一定期間負担する形で、路線バスの路線の新設やルートの一部変更などに取り組む。具体的には、石下駅(常総市)からつくばセンターを経由し、土浦駅を結ぶ関鉄パープルバスの路線について、来年4月から、ルートを一部変更し、宅地開発が進む学園の森を経由してもらう。市負担額は年間104万円。ほかに、つくばセンターから松代4丁目まで循環運行している関東鉄道の松代循環バスの経由地を、来年10月から松代4丁目から松代5丁目まで延伸してもらう。市負担額は半年間で651万円。

実証実験として市は2019年度から筑波地区で支線型バスを運行しているほか、茎崎地区で富士見台・あしび野・自由ケ丘と牛久駅を結ぶ路線バスを新規運行し、別の路線バス4路線の運賃補てんを実施している。桜地区では路線バスの増便を実施している。21年度の支線型バス4コースの運行事業費は約6100万円、茎崎地区の新規路線バス運行事業費は約3300万円、4路線の運賃補てんは約624万円、桜地区の増便の事業費は約600万円。

筑波地区の支線型バスは、4コースのうち、寺具・安食・北条コース、寺具・洞下・北条コース、上大島・中菅間・北条コースの3コースの運行を来年3月末で終了する。3コースの今年度上期の1日当たりの平均乗客数は1.4~2.5人と少なかった。一方、筑波・平沢・北条コースも1日平均乗客が7.6人と少ないが、他コースより乗客が多いこと、観光客の利用も期待できるとして存続させる。現在、ルートや運行便数などを地元と協議している。

茎崎地区で実施中の新規路線バス実証実験は、1日平均の乗客数が21年度上期は67.3人だったなどから、来年度からコミュニティーバス「つくバス」の新規路線として本格運行することを検討する。

一方、茎崎地区の路線バス4路線で「つくバス」並みの運賃で乗車できるよう実施した運賃補てんは、実証期間の来年3月までの3年間で終了とし、来年度は市内の別路線で運賃補てんの実証実験をすることを検討する。

ほかに、桜地区では上ノ室・野田団地・土浦特別支援学校などを運行する路線バスについて、運行がなかった日中の増便を実施したが、上ノ室や野田団地などからの乗降客が少なかったことから来年3月で増便の実証実験を終える。

「お断り」3.5倍に急増 つくタク

15日の活性化協ではほかに、デマンドタクシー「つくタク」について、今年4月から9月までの半年間に運営側が予約を断った件数が2186件と、前年同期の3.5倍に増えたことなどが報告された。利用者数が前年同期の1.09倍に増えたほか、どの地区からも行き来できる場所(共通ポイント)や隣り合う地区から行き来できる場所(特例ポイント)が増設され、利用者が分散したなどから、配車が困難になりお断りが増えたなどとしている。

五十嵐つくば市長 批判封じに新手 《吾妻カガミ》120

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】ミニ新聞の記事に名誉を傷付けられたとして、五十嵐つくば市長が発行人の亀山元市議を名誉毀損(きそん)で訴えたことについては、本欄でも何度か取り上げました。この裁判は進行中ですが、事情通によると、名誉毀損のほか、公職選挙法上も問題だと、ダブルで発行人を追求するそうです。市政批判記事を「ボツ」にしたい五十嵐さん、焦りが見えてきました。

ミニ新聞提訴は2本立てに

公選法によるものは、ミニ紙発行人が「当選を得させない目的をもって公職の候補者又は公職の候補になろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした」(235条第2項)から、亀山さんを罰せよという組み立てと聞いています。

要するに、五十嵐市政を厳しく検証した記事は、市長再選を妨害するための虚偽の記事だったという主張です。記事が虚偽(フェイク)なのか事実(ファクト)なのかを争う点では名誉毀損係争と同じですが、公選法違反を追加することで、市政批判封じを強化する作戦のようです。どこかの非民主国を想起させるような動きで、学園都市も変な街になってきました。

知り合いの弁護士に感想を求めたところ、「市民による市政批判に対しては、言論で対抗するとか、市民との対話によって理解を求めるのが、民主主義の基本。強い力を持つ市長が、市民の言論活動を罰せよと裁判に持ち込めば、市民の自由な活動を萎縮させる。言語道断」ということでした。権力監視を編集方針に掲げる本サイトの執筆者としても、このコメントに100パーセント同意します。

笑える提訴取り下げの動き

名誉毀損関係でも変な動きがありました。コラム111「つくば市長の名誉毀損提訴、取り下げ?」(7月19日掲載)で、提訴を取り下げるのではないかとの見方が流れていると書きましたが、このうわさ話は本当でした。事情通によると、裁判が自分にマイナスに作用すると思い直したのか、それとも勝てないと思うようになったのか、条件付き取り下げ案を亀山さんに示してきたというのです(取り下げには同意が必要)。

その条件を聞いて笑いました。コッソリ取り下げたいので、記者会見などで詳しく喋らないと約束してほしいという内容だったそうです。裁判をウヤムヤに終わらせるのは許せないと、亀山さんは条件付き取り下げを拒否。無条件ではアレコレ論評されと思ったのか、五十嵐さんは取り下げそのものを見送ったようです。

先の弁護士は、名誉毀損の取り下げに失敗したので、裁判を強面(こわもて)に演出するため、公選法関係を加えてきたのではないか、と読んでいます。センタービル問題での五十嵐さんの迷走については前回コラム(11月1日掲載)で触れましたが、提訴を引っ込めようとしたり付け加えたりと、こちらの迷走も喜劇風になってきました。(経済ジャーナリスト)

参考「つくば市民の声新聞」記事の事実検証コラム
▽101「つくば市長の名誉毀損提訴を笑う」(3月1日掲載
▽103「つくば市長の名誉毀損提訴を検証する」(4月5日掲載
▽105「つくば市長の名誉毀損提訴、近く裁判開始」(5月3日掲載

ヤングケアラー支援へ条例案 県議会いばらき自民党

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茨城県庁と県議会議事堂=水戸市笠原町

県議会の最大会派、いばらき自民党の政調会(飯塚秋男会長)は24日開会の県議会12月定例会に「茨城県ケアラー・ヤングケアラーを支援し、共に生きやすい社会を実現するための条例」を議員提案するため骨子案作りを急いでいる。9日には茨城大学生らと意見交換を行い問題点を洗い直す一方、パブリックコメントを18日まで実施するなど条例案作りは最終段階に入っている。

国の調査によると、家族や身近な人の介護、看護、日常生活の世話を行っている18歳未満のヤングケアラーは17人に1人いるといわれる。ケアラーは、ケアを受ける人を支えるだけでなく、社会でも重要な役割を担っている。

特にヤングケアラーの場合、教育の機会確保が脅かされるだけでなく、家族の生活そのものが双肩にかかってくる場合があり、早期発見、早期支援のための行政分野における横断的な連携体制の構築、強化は喫緊の課題となっている。

条例案は、目的、基本理念、県民・事業者・県・市町村との連携など全17条から成る。ケアラー、ヤングケアラーとその家族を社会全体で支援し、県は支援施策を総合的、計画的に推進する「県推進計画」を策定する。知事は毎年度、施策の実施状況、成果を取りまとめ、議会に報告、公表しなければならないとしている。

またケアラーの支援については、相談体制の整備、相談窓口の周知、レスバイトケア(一時休息)など負担軽減のための支援、生活が困難なケアラーに対する修学・就業支援等を施策として講じることを明記している。

カウンセラー、ソーシャルワーカーなどの専門的知識を有する人材の育成、確保、適正な配置を行うことで、家庭、学校、地域、職域などの様々な場と機会を通し「全ての県民が生きやすい社会の実現をめざそう」と条例制定の趣旨を強調している。

県議会事務局によると、ケアラー支援の条例は昨年3月、埼玉県が「ケアラー支援条例」を制定しているだけで、条例案が成立すれば全国で2番目になるという。(山崎実)

◆条例案のパブリックコメント(意見募集)はこちら

太陽フレアの情報① 《食う寝る宇宙》97

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【コラム・玉置晋】日本時間で10月29日の真夜中、太陽で大規模な爆発が起き、人工衛星の観測でX線や放射線が増加したという通知に起こされました。比較的大きな太陽フレア(爆発現象)が発生すると、情報通信研究機構から以下のようなメールを受信できるサービスに登録しているからです。

▽太陽フレアに関する臨時情報(10月29日01時40分JST=日本標準時):10月28日15時35分(UT=世界時)に、太陽面でX1.0フレアが発生しました。SDO(太陽観測)衛星の極端紫外線画像(AIA094)によると、このフレアは活動領域2887(S28W01)で発生したと推定されます。

▽プロトン(太陽からの高エネルギー陽子到来)現象に関する臨時情報(10月29日04時00分JST):GOES(静止気象)衛星の観測によると、静止軌道の10MeV以上のプロトン粒子フラックスは10月28日16時00分(UT)ごろから上昇を始め、28日17時40分(UT)に10PFUを越えて、プロトン現象が発生し、現在も継続中です。この現象は、活動領域2887で28日15時35分(UT)に発生したX1.0フレアに伴うものと推測されます。

情報はどのように伝わるか?

太陽フレアが発生した場所が地球から見て正面だったので、地球周辺に影響を及ぼす可能性があるため、眠い目をこすって、朝イチで僕が働く人工衛星運用現場に伝えられるように情報収集を開始しました。宇宙開発の現場においても、宇宙天気情報は十分に認知されておらず、情報を展開しても「暖簾(のれん)に腕押し」な感はあるのですが、近い将来、この活動実績が重要になるという確信があるので、めげずにやっています。

現在はSNSが普及していて、世界中の人たちの発信情報を見ることができます。太陽フレアの発生直後から、世界中の宇宙天気専門家のみなさんがクイック評価の情報をつぶやきはじめて、それを横目に見ながら、実際の観測データをチェックする作業をしました。

日本では夜中だったので、地上の望遠鏡で「観測できなかった」と悔しがるつぶやきを見て、クスっと笑いながら…。

太陽フレアの発生から4時間が経過した時点で、世界中の宇宙天気専門家や宇宙天気の影響を憂慮する一部の人々は情報収集を開始しましたが、太陽フレアが発生したという情報は一般にはまだ知られていません。これから、太陽フレア情報がどのように人々に伝わるのかを見ていきたいと思います。(宇宙天気防災研究者)

150周年、たまには新治県のことも思い出してあげて《土着通信部》46

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「ここに新治県庁があった」と野田さん。左の茨城県地図が1871(明治4)年の県域を示す=土浦市立博物館

【コラム・相澤冬樹】13日、茨城県政が150周年を迎えるのだそうだ。「県民の日」は1871(明治4)年11月13日、初めて「茨城県」という県名が用いられたのにちなんでいる。

県歴史館資料などによれば、1871年7月の廃藩置県によって、現在の茨城県の領域には常陸国14県(水戸県・土浦県ほか)、下総国3県(結城県・古河県ほか)などが成立した。さらに、同年10月末~11月に府県の統廃合が実施され、全国に3府72県が成立する。11月に実施された関東地方の統廃合によって、茨城県が誕生した。

この誕生日は11月13日とも14日ともいわれる。県庁に問い合わせると、13日としたのは、初代茨城県知事(当時は参事)、山岡鉄太郎(鉄舟)への任命書に基づくとの回答だった。末尾に「明治四年辛未十一月十三日」と記されていた。旧暦の日付だから、新暦に改めると同年12月24日になる。

第1次府県統合の関東地方への布告は旧暦14日付。真壁郡・茨城郡・那珂郡・久慈郡・多賀郡が茨城県の、新治郡・筑波郡・河内郡・信太郡・行方郡・鹿島郡が新治県の、それぞれ管轄となった。新治県には旧下総国の香取郡・匝瑳郡・海上郡が統合され、利根川を跨ぐ形で設置された。

つまり150年前の茨城県に、つくば・土浦はなかったことになる。佐原や銚子までを県域とする新治県、その県庁は土浦城本丸御殿を改装して設けられた。知事(当時、権令)には池田種徳が、やはり13日付けで任命されている。

新治県は(以下新暦表記)、1871年12月25日から1875年5月7日まで存続している。1875年の第2次府県統合により、新治県は利根川を境に分割され、利根川以北は茨城県に、利根川以南は千葉県に、それぞれ編入された。つくば・土浦の「茨城県歴」はまだ146年というわけだ。

1896(明治29)年の郡制施行時、新治郡は土浦・石岡など5町30村からなり、このときの郡役所も、改築した土浦城本丸御殿に置かれた。平成の大合併で新治村が土浦市に合併され、新治郡も消滅したのは2006(平成18)年のことである。

わずか3年半しか存在しなかった新治県庁。その形跡を現代にたどるのは難しい。秋季展示を開催中の土浦市立博物館を訪ねると、学芸員の野田礼子さんが「縣廳」と表記された「新治県庁」の所在を地図パネルで教えてくれた。目を皿にして探し回らないと見つからない。新治県庁・郡役所となった土浦城本丸御殿は、100分の1模型を2階展示室で目に出来る。

後の新治県庁、新治郡役所になった土浦城本丸御殿の100分の1模型=同

博物館に隣接する土浦城址西櫓(やぐら)脇に、捨て置かれたように厚い石板が寝かされている。これこそ、県庁玄関の扉を留めていた石壁の一部だと郷土史研究家はいうのだが、「残っているのはこれぐらい」とも。150年という歳月は長い。

それよりはるか昔、日本武尊(やまとたけるのみこと)が、新治(にひばり)筑波を過ぎて幾夜か寝つる(新治、筑波を過ぎて、幾夜寝たことであろうか)と問いかける歌を詠んでいる。この古代の「新治国」は新治県とは別の領域。現在の笠間市、筑西市、桜川市あたりの県西部で、筑西市の「新治廃寺」は奈良時代につくられた寺院跡だ。こちらはJR水戸線に新治駅の名が残っている。(ブロガー)

英会話で謎解きゲーム 土浦一高付属中の実践的英語学習

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オンラインで関係者に英語で聞き込みをする生徒たち=土浦一高付属中

英語教育に力を入れる土浦一高付属中学校(土浦市真鍋、中澤斉校長、生徒数80人)で12 日、外国人と英語のやりとりをしながら謎解きに挑む、初企画の授業が行われた。今春開校したてで1年生ばかりの生徒全員が参加、クラスごとに40人の生徒が4人1組になって、英文の冊子を手がかりに英会話で容疑者探しや聞き込み調査を行う学習に取り組んだ。

小学校5年から週1の英語学習を経験する今の学校教育、中学校では週5時間の英語の授業が組まれるが、付属中ではいきなり高校並みの60分授業となる。加えて理科や数学など他の科目にも英語の要素が盛り込まれて、歩く会などの校内行事の感想や意見を、英語で表現する。学校では独自プログラムを「+English(プラスイングリッシュ)」と呼び、英語発信力を養ってきた。

入学から半年強の学習の成果を実地に試すのが今回の企画。同校に派遣されているALT(外国語指導助手)のほか、ALT人材配置会社のインタラック関東(東京・銀座)所属の外国人講師2人が来校し、実践的な英会話でロールプレイングゲーム仕立ての授業を展開した。

お宝の「黄金の蓮根の彫刻」を失ったという外国人の訴えを聞いて、4人は2組に分かれ、調査に乗り出す。地図やヒントの詰まった冊子から容疑者を探したり、学校やスーパー、駅、病院、市役所などのスポットに向かい聞き込みをする。オンラインで結んだ10人の登場人物がネーティブな英語で生徒の質問に答える。

日本語でやっても難しそうなゲームで、お宝探しか容疑者探しか、絞り込めないまま、中学生らは右往左往。2クラス各1時間のチャレンジとなったが、正解にたどり着く道筋がなかなか見つけられなかった。

松橋隆太郎さんは「消防隊員の話を逆に受け取ってしまった。難しかった」と残念がり、同じチームの塚原雫さんは「全然ダメだったけど、すごく楽しかった」と素直な感想を述べた。

指導したインタラック社の講師、シャー・ケインさん(36)は「お宝が見つかったら最高だけど、そこに至る過程がより大事。英語を通じ仲間が団結してチャレンジしていく姿勢がすばらしい」と意義を語る。

指導するケインさん(左)とのやり取りもすべて英語=同

中学校の英語担当教師、山口健作さんは「個人差はあるけど高いモチベーションを持って入学してきた生徒たちで、すでに英検2級を取った子もいる。でも教室と実践の場はまた違うということが今回よく分かったと思う。その意味でいい経験になったし、互いに高め合っていくためのいい機会になった」と講評した。(相澤冬樹)

JR鹿島線は素晴らしかった 《茨城鉄道物語》17

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鹿島線の車両=香取駅

【コラム・塚本一也】県内鉄道の体験乗車報告も、いよいよ最終路線のJR鹿島線の番になりました。「鹿島線」は、その名称が廃線となった「鹿島鉄道」や以前取り上げた「鹿島臨海鉄道」などに似ており紛らわしいのですが、れっきとしたJR東日本の旅客営業路線です。香取駅から鹿島サッカースタジアム駅(臨時駅)まで6駅あり、営業キロ17.4キロの単線直流電化路線です。

ちなみに、県内の直流電化路線は、この鹿島線と古河駅から乗車する東北線(宇都宮線)しかありません。

私は土曜日の昼間に香取駅から乗車しました。ダイヤは2時間に1本という超ローカル路線であり、駅は無人駅ですが、Suicaが使えたことはさすがJR東日本と、少しうれしくなりました。乗客も、学生や親子連れなどが乗車しており、車両も都市近郊の通勤電車仕様ということもあって、車内には都会の空気が漂っていました。

鹿島線には目玉が2つあります。1つは、平日の始発電車が2時間ちょっとで総武線経由で東京駅へ直接乗り付けており、土曜と休日は3時間で大船まで乗り入れていることです。いずれも8時10分台に東京駅に到着しており、この1本があるということは沿線地域にとっては大きなメリットです。

全長1200メートルの北浦鉄橋

香取駅を出発してすぐに踏み切りがありますが、そのあとはオール高架で高規格路線となっています。さらに、全長1200メートルにも及ぶ北浦鉄橋からの景観は、鉄道ファンならずとも一度は体験する価値があろうかと思います。真っ直ぐに伸びる鉄橋を渡る電車の車窓からは、遠くに筑波山を望み、湖面は電車の振動に共鳴しているかのようにさざ波が立っていました。 

北浦鉄橋

これで県内の全鉄道をリポートしましたが、約20分の乗車時間がこんなにすがすがしかったのは初めてです。私は「乗り鉄」でも「撮り鉄」でもありませんが、帰りにはどうしても北浦鉄橋を走る鹿島線の雄姿を脳裏とスマホに焼き付けたくなり、撮影スポットに寄り道しました。ダイヤの関係上、電車は撮影できませんでしたが、とても印象的なひと時を過ごすことができました。

鹿島線にはJR東日本が誇る周遊型臨時寝台列車「四季島」が乗り入れて、鹿島神宮駅で下車するコースがあります。同じく四季島と関連の深い笠間市(車内で使われているぐい飲みが笠間焼、食材でも笠間の栗を使用)ではこのほど、JR東日本とコラボして道の駅をオープンさせました。鹿島線沿線も、自信をもって観光開発に取り組んでいただきたいと思います。(一級建築士)

旧総合運動公園用地を一括民間売却へ つくば市が方針案 防災拠点は大幅縮小

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市議会調査特別委員会で旧総合運動公園用地の土地利用方針案を説明する五十嵐立青市長(中央)=11日、市役所

住民投票で計画が白紙撤回となったつくば市大穂の旧総合運動公園用地46ヘクタールについて、五十嵐立青市長は11日、用地全体の開発プランを募集し、望ましいプランを提案した民間事業者に一括売却する新たな土地利用方針案を11日開かれた市議会高エネ南側未利用地調査特別委員会(浜中勝美委員長)に示した。今年2月時点で、約13ヘクタールに防災拠点を整備すると表明していた公的利用については、4.26ヘクタール以上に大幅縮小となった。

一括売却する理由について市は、民間企業などを対象に今年4、5月に実施した意向調査(サウンディング型市場調査)の結果、敷地全部を買い取りたいとした民間事業者が4者あった、意向調査で示された事業内容はいずれも実現可能性が高い、複数の事業者がばらばらに整備するより一つの事業者が全体をプランニングした方が合理的で有機的なつながりをもたらす―などとして、一括売却し全体を一体的に整備することが有効な手法だとした。

全部を買い取りたいとした4事業者の提案内容はそれぞれ▽工業団地として整備しつくば市に進出を計画している企業に賃貸または分譲する▽物流、倉庫施設などに特化した集合団地を整備し、災害避難施設ゾーンを併設する▽物流施設、データセンター、アメニティ施設、公共施設等を整備する▽次世代EV(電気自動車)実験場やエンジニア養成のための学校を建設し、データセンターも併設するーの4案。

望ましい役割や機能としては、市議会が今年6月に提言した①つくばならではの資源・特性を十分に生かせる②市民ニーズに対応し地域活性化に貢献する③災害に強いまちづくりに寄与する④市民のコミュニティ形成に寄与する⑤観光や産業振興に寄与するーの5項目だとし、4事業者からの提案はいずれも適合するとした。

防災拠点は民間が整備、備蓄倉庫を市が賃借

一方、防災拠点の整備については、備蓄面積2400~2600平方メートルの防災備蓄倉庫と、4ヘクタール以上の防災多目的利活用広場を、売却先の民間事業者に整備してもらう。防災倉庫は市が賃料を払って借り受け、備蓄品の保管と、支援物資の受け入れや一時保管をする。

広場は、平常時は地域に開放して芝生広場や駐車場などとして利用できるようにし、災害時は自衛隊や消防、警察の活動拠点や、車中泊による避難場所、がれき置き場などとする。さらに災害用の水源として飲料用の深井戸と生活用の浅井戸を広場に掘り、断水時には井戸水で利用できるトイレを整備する。耐震性の貯水槽も備える。広場の管理運営は民間事業者が行うが、災害時は防災拠点として市が無料で利用できるようにするとした。開発行為などによって整備する場合、緑地や公園、広場などを整備しなければならないことから、緑地などを防災広場に充ててもらうという。

用途地域については、旧総合運動公園用地は現在、研究・教育施設用地として位置付けられ、第二種住居地域及び第二種文教地区に指定されていることから、工場など多様な用途の建物が建てられる準工業地域に変更し、第二種文教地区の指定をなくすとした。

ほかに、商業施設を建てる場合、周辺の商圏に影響を及ぼさないよう、延床面積3000平方メートル未満とするなどの地区計画の策定を検討しているとした。商業施設はカフェやレストラン、美容室などを想定し、住宅や遊戯施設などを制限することなども検討しているとした。さらに用地の南側は病院や住宅が立地しているため、緑地などで緩衝地を設けることが望ましいなどの条件も検討している。

道路や下水道に8億円

周辺道路や上下水道などの整備については、道路は、国道408号からの直接乗り入れは不可とする。一方、大型トラックの走行が想定されることから、高エネルギー加速器研究機構に接する北側の県道213号を、現在の幅12メートルから18メートルに拡張する。さらに国道408号と県道213号の交差点に左折車線を新設し、右折車線の長さを延長するほか、上下水道などの整備をする。

道路や上下水道整備に伴う市の負担額は概算で、下水道の整備が約7億7000万円、右折車線の延長が3000~4000万円の計約8億円程度を想定している。左折車線の新設と県道213号線の拡幅はいずれも旧総合運動公園用地を削って整備するため事業者に負担してもらう方針だとした。

16日からパブコメ

今後のスケジュールについては、16日から12月15日までパブリックコメントを実施し、12月10日と12日に計3回、大穂交流センターと市役所で住民説明会を開く。12月下旬に結果を議会に報告するとした。

一方、公募や売却の時期について五十嵐市長は取材に対し「スピード感をもって取り組むが、議会や市民の意見をいただいて議論を積み重ね、スケジュールを決めたい」とし、時期の明言を避けた。売却価格については「市に損失を与えない簿価(取得価格である66億円)をベースに適正価格で売却する」とした。(鈴木宏子)

J:COMの「いいじゃん!」終了は残念 《遊民通信》28

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「いいじゃん!」のメーンMC(J:COM茨城提供)

【コラム・田口哲郎】

前略

J:COM茨城で放送されていた地域密着型バラエティ「いいじゃん!」が10月31日をもって最終回を迎えました。当初は半年間という計画だったそうですが、12年近く続いたというのはすごいことだと思います。オジンオズボーンの高松さんと鈴木涼子さんがメーンMCで、山城功児さん、河邑ミクさん、酒井瞳さんたちが番組に彩りを添えていました。

コロナ禍の影響でスタジオ収録ができない、取材に行けないなど、ご苦労が多かったようです。コロナ禍が明けそうな、今からふたたび!という時に終了とは、残念です。開始当初から視聴し、毎回楽しみにしていました。普段住んでいても知らない場所やお店は結構あるもので、番組で見たのをきっかけに行ってみたというところも多いです。

東京キー局の番組では報じられない、身近な情報が満載なところが魅力でした。例えば、カフェやお菓子屋さんなどは、大手チェーンだと勝手がよくわかっているのでなんなく入れますが、個人経営のお店は最初入るかどうか迷ってしまったりすることがあります。でも、「いいじゃん!」で紹介されたのを見ると、なじみの店のように思えてすんなり入れるのです。

10月で終了した番組がもうひとつあります。「いばらき人図鑑」です。地域で活躍する地元の方々を紹介するトーク番組として、こちらも楽しく視聴していました。

しかし、やはりコロナ禍の影響か、残念ながら終了です。ウィズ・コロナ時代は地元重視ですから、「身近な人」に焦点を当てて紹介するコンセプトはこれからも大切だと思います。地域の生活を支える方々、文化を担う方々の自信にあふれる表情を再び見たいです。

やはりトーク番組が見たい

今後はどのような番組が望まれるのでしょうか? 視聴者の興味・関心が多様化してとらえるのが難しく、各メディアが苦戦している時代、答えはそう簡単には出ないでしょう。そこでいろいろな事情を考えないで、何か番組を作ってみろと言われたとして、何を作るだろうかと妄想してみます。

私が好きな番組はテレビ朝日「徹子の部屋」、NHK「ドキュメント72時間」といった「人の話を聞く」番組です。相手が有名でも無名でも、その人が語る物語には重みがあります。ですから、やはり県南人をゲストに呼んで、トークをする番組を作りたいと思うでしょう。ゲストは「笑っていいとも」のテレフォンショッキングみたいに、県内出身・在住のお友達紹介でつなぐのです。

こういう職業だから、役職だから出演してくださいというオファーも面白いですが、例えば、次のゲストは今回ご出演のスズキさんのお隣のサトウさんで農業をされておられます、というのもありだと思います。ゲストの「物語」をうかがい、語りからいろいろ知り、学ぶ。番組名は「いばらき県南みんなの物語」?

妄想はさておき、今後も情報の地産地消の番組を楽しみにしています。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

カーボンナノチューブ研究者に江崎賞 つくばで発見の材料に理論的基礎

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江崎玲於奈賞受賞の斎藤理一郎東北大学大学院教授(茨城県科学技術振興財団提供)

茨城県科学技術振興財団(つくば市竹園、江崎玲於奈理事長)は10日、第18回江崎玲於奈賞に東北大学大学院、齋藤理一郎教授(63)を選んだ。カーボンナノチューブ(CNT)が発見された直後の早い時期から研究に取り組み、理論的基礎を築いた。東北大学から2年連続の受賞となったが、選考委員の一人で2000年ノーベル賞受賞者の野依良治さんは「CNTは、つくばで発見されており、今後もつくばが材料研究の中心を担うという意味で、最も正統的な江崎賞になった」と評価した。

江崎賞はナノサイエンスやナノテクノロジーに関する研究に携わり、顕著な研究業績を挙げた研究者を顕彰する。ナノ分野の学会や研究機関、大学などから推薦された研究者の業績を江崎玲於奈さんを委員長に、歴代のノーベル賞受賞者らで構成する委員会で選考する。関彰商事(関正樹社長)が特別協賛しており、江崎玲於奈賞には副賞1000万円が贈られる。

今回は推薦15件のなかから、「カーボンナノチューブの電子状態と共鳴ラマン分光の理論」研究で齋藤教授が選ばれた。CNTは、炭素によって作られるグラフェンシート(平面)を丸めて円筒状にしたような構造の物質で、直径は0.4~50ナノメートル。その名の通りナノメートル単位で、細さや軽さ、柔軟性から、次世代の炭素素材、ナノマテリアルといわれ、様々な用途開発が行われている。

ナノチューブは1991年に、当時NEC筑波研究所研究員だった飯島澄男さん(74)により発見された。CNTはハチの巣状に炭素が結合するグラフェンをどのように巻くかによって、金属にも半導体にも物性が変わる。齋藤教授は1992年に、この巻き方と電子状態の関係を理論的に明らかにした。この論文は明快で分かりやすく、その後のナノチューブ研究の原動力となったという。

さらにCNTにレーザー光を当てることで、材料の物理特性を見分ける「共鳴ラマン分光」の手法研究でも成果をあげた。これら理論的研究は、ナノチューブの研究を開始するにあたって必ず最初に学ぶべき基本的事項となっており、その後の研究をけん引していることに各委員の評価が集まった。

つくば賞には櫻井武筑波大学教授

【つくば賞】筑波大学・櫻井武さん(同)

この日は第32回つくば賞、第31回つくば奨励賞の発表も行われた。両賞合わせて22件の推薦があった。

茨城県内で科学技術に関する研究に携わり、顕著な研究成果を収めた研究者を顕彰するつくば賞には、筑波大学医学医療系、櫻井武教授(57)が選ばれた。

授賞の対象となった研究は「冬眠様の低体温・低代謝状態を誘導する神経回路の同定」。ヒトの人工冬眠の可能性を追求する研究で、実現されれば、重症患者の救急搬送や臓器・組織が低栄養に陥る緊急事態などへの臨床応用や臓器保存などにつながるという未来技術だ。

第31回つくば奨励賞には、実用化研究部門で物質・材料研究機構機能性材料研究拠点、樋口昌芳グループリーダー(52)の「メタロ超分子ポリマーを用いたエレクトロクロミック調光デバイスの開発」(20年9月8日付)、若手研究者部門で筑波大学生命環境系、豊福雅典准教授(39)の「細胞外膜小胞を介した微生物間コミュニケーションの研究」を選んだ。(相澤冬樹)

【つくば奨励賞】物材機構・樋口昌芳さん(左)と筑波大学・豊福雅典さん(同)

選挙制度を考える 《つくば法律日記》18

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つくばセンタービル 手前はノバホール 奥はホテル日航つくば

【コラム・堀越智也】選挙に行き、さらに選挙速報を見て結果を確認するという経験をすると、今の選挙制度がなんとなく体で分かります。僕が学校で選挙制度について教わったころは、現行制度のように候補者用と政党用の別々の投票用紙に書くような複雑な選挙制度ではありませんでした。

教科書には、小選挙区制度と大選挙区制度、比例代表制がメインで記載されており、加えて、日本独自の呼び方である中選挙区制度の説明があるという感じだったと思います。

小選挙区制度は1つの選挙区から1人当選する制度のことで、2位以下の票が完全に反映されなくなり、いわゆる死票が多くなることや、多様な民意が反映されにくいというデメリットがあります。その代わり、1つの選挙区が狭いので選挙費用がかさまないで済みます。

大選挙区制度は1つの選挙区から2人以上当選する制度のことで、死票が少なくなることや、2位以下でも当選するので、多様な民意が反映されやすいことがメリットになります。その反面、選挙区が広くなり、選挙費用がかさむなどのデメリットがあります。

比例代表制は得票数に応じて各政党の議席が決まるので、死票が少なくなるのと、政党に関する範囲で民意が反映されやすくなります。

現在の義務教育でどのような教え方をしているかは知りませんが、そんな基本にさかのぼると、現在の小選挙区比例代表制も少しは理解しやすくなると思います。

小選挙区比例代表並立制

現在の衆議院議員選挙の小選挙区比例代表並立制は、小選挙区制度と比例代表制のメリットを併せたものとされています。もちろんデメリットがないわけではありません。しかし、デメリットが全くない完璧な選挙制度はこの世に存在しないと言われています。でも、時代や社会の変化に応じて、もっとも適正な制度にしていくべきだろうと思います。

プロ野球が2リーグになったり、クライマックスシリーズができたり、試行錯誤して移り変わるのと似ていると思います。

こうして選挙制度について考えていて、思ったことがあります。小選挙区で1位にならなかった候補者が比例区で当選することを復活と言われます。まるで棚からぼた餅のように言われますが、小選挙区比例代表並立制で予定されている当選者の枠にルール通り入っただけで、選挙で当選したことに変わりません。 ただ、開票の順番から、復活したように見えるだけです。そう考えると、復活という表現をするのは正しくないように思えます。そこが、プロ野球のクライマックスシリーズで、3位のチームが1位と2位のチームを差し置いて、日本シリーズに出る可能性があるのと違うところです。(弁護士)              

室伏スポーツ庁長官が谷田部東中の部活動を視察 つくば

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中学生の部活動を視察する室伏広治スポーツ庁長官(右)=つくば市東、市立谷田部東中学校体育館

部活動の一部を地域に移行しているつくば市立谷田部東中学校(同市東、八重樫通校長、生徒数613人)を9日、室伏広治スポーツ庁長官が訪れ、体育の授業と部活動を視察した。

東中は2017年度から、教員の負担軽減と文化スポーツ活動の充実を目的に、保護者らが「洞峰地区文化スポーツ推進協会(DCAA)」(杉山慎也理事長)を設立し、地域のスポーツクラブなどの指導者らに依頼して部活動の一部を指導してもらっている。

現在、陸上、バレーボール、卓球、テニス、サッカー、バスケットボール、剣道、野球、吹奏楽の9種目についてそれぞれ週1回程度、地域の指導者が東中を訪れ、放課後や土日に、生徒の3分の1の約200人が指導を受けている。

バレーボールのつくばユナイテッドサンガイア、サッカーのつくばFCなどの指導者や、筑波大学の大学院生らの指導のほか、トレーナーから、けがの予防や応急手当などを学ぶ機会も設けている。

国は2023年度以降、休日などの部活動を段階的に地域に移行する方針を示しており、東中は今年度、スポーツ庁の地域運動部活動推進事業のモデル校となっている。

一方、教員が指導する部活動とは別に運営し、生徒一人当たり月額1250円(保険料込み)を徴収して指導料に充てている。杉山理事長は「部活動は先生のボランティアで成り立っているが、DCAAは会費を払って参加する有料の活動となる。会費を払うことに抵抗がある保護者もおり、その辺を変えていけたら」と課題を話す。

東中を視察した室伏長官は「コロナで部活動の見学は1年ぶりとなった。部活動を再開し、汗を流して仲間と一緒に取り組んでいる姿をみて安心した」と話した上で、部活動の地域移行の課題について「先進的な取り組みを拝見することができた。課題も含めて話をできたことは本当に良かった。すべて地域移行すれば解決するわけではなく、地域特性があり、指導者の確保や雇用、インフラ整備も必要になる。どういったところに着地点があるのか、課題を検討したい」などと話した。

生徒からは「試合のとき緊張しないためにどうしたらいいか」などの質問を受け、室伏長官は「失敗したらどうしようと考えるのではなく、ただのスポーツ、結果はあとからついてくるという気持ちでやればいい」などと答えていた。

木馬とロッキングチェア 《続・平熱日記》97

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【コラム・斉藤裕之】何年か前に、とある東京の街で偶然見かけた木馬。それはヨーロッパの木製のおもちゃを商うお店の店先に飾ってあった。堅木で作られた、きっと目や髪の毛の色の違う子供が乗っていた木馬。少し欲しくなったのだけど、多分売り物ではないだろうし、そもそも買ってどうする?

話は、今年家にやって来た白い犬「ハク」をもらい受けに行った時に戻る。尋ねた先は古いお宝が山積みのアンティーク屋さん。ここでハクはヤエ子さんという名前で保護されていたわけだが、倉庫のような店の中で見つけたのが、これまた木馬だ。しかしこの時はすでに長女の妊娠もわかっていた。

というわけで、ここにきて「孫へのプレゼント」という大義名分ができたので胸を張って買うこともできるのだが、ここはひとつ、じいさまとして初孫に木馬のひとつでも作ってやろうと、がぜんやる気になった。

実はパリに住んでいた頃に、当時2歳の長女に木馬を買ってやったことがある。デパートだったか、安売りをしていた量産品だったが、えらく気に入って乗っていた。結局、帰国の折にはその木馬は持ち帰ることにした。その後その木馬は使命を終えて、大学の同級生に子供ができた時に、あっさりとプレゼントした。馬は犬と共に古くから人のパートナーだった。

そう思ってググってみると、木馬は世界最古級の玩具として世界各地にあるとのこと。やはり、私が木馬に引かれるのには長い歴史が培った理由があったわけだ。

ギットンバッタン、どんぶらこ

ついでと言っては何だが、孫には木馬、そしてじい様には「ロッキングチェア」。例えば、学校の椅子を前後にこいでいて危うく倒れそうになってヒヤッとした経験。本能なのか、なぜかギットンバッタンが心地よい。無理矢理にこじつければ、瀬戸内海の穏やかな波が船縁(ふなべり)をたたくリズムか。それとも母のお腹の中で揺られていた時の記憶か。どんぶらこ、どんぶらこ…。

恐らく、人の精神にいい効果を及ぼす往復運動なのでは?というこじつけもカミさんには通用しない。「いらない」と瞬時にくぎを刺される。そういえば、18歳の正月に八幡様で富くじを引いたら「鶴」が当たって、その景品がロッキングチェアだったのを思い出した。大学に落ちた時、「ツルを引いただけにツルッと落ちた」と母が笑って言ったっけ。

そういうわけで、家の裏から使えそうな廃材を引っ張り出してきたものの、考えてみれば孫が木馬にまたがって遊ぶのにはまだ大分時間がある。近づく冬。まきストーブに火を入れて、そんなことを考えていると余計にロッキングチェアが欲しくなった。作るか? しかし椅子を作るほどの技はない…。ギットンバッタン、どんぶらこ、どんぶらこ…。(画家)

飯舘村の牛飼い・長谷川健一さん逝く 《邑から日本を見る》99

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鈴なりの我が家の柿とユズ

【コラム・先﨑千尋】10月22日に福島県飯舘村の牛飼いだった長谷川健一さんが68歳で亡くなった。残念な思いで訃報に接した。長谷川さんの人徳をしのんで、葬儀には通夜も合わせて約800人が参列したという。

私は、東京電力福島第1原発の事故から10年経ったこの3月、長谷川さんに「農業協同組合新聞」の取材でインタビューした。その時、長谷川さんを主題にした豊田直巳監督の映画「サマショール」のひたちなか市での上映に合わせて、彼に講演を頼んできてくれという友人の話を伝えた。「医者から甲状腺がんだと言われているので講演には行けない」と長谷川さんからかすれた声で言われ、びっくりしたのが昨日のことのようだ。

長谷川さんの死を悼み、「東京新聞」は10月27日の「ニュースの追跡」で、〝訴えた怒り 遺志は残る〞という見出しを付け、大きく取り上げている。ネット上でも彼を知る多くの人が追悼の文を寄せている。原発にふるさととなりわいを奪われた長谷川さん。無念の思いを抱いたままの早い旅立ちだった。

事故で生活は一変

長谷川さんは4世代家族。事故前は50頭の乳牛を飼っていた。2000年頃からはダイコン、キャベツ、加工用トマトなどの野菜も作っていた。同時に前田区の行政区長も務めていた。

事故後、長谷川さんの人生は一変した。村は計画的避難区域に指定された。長谷川さんは前田区の住民のつながりを保てるように、まとまって暮らせる避難先を探し、伊達市の仮設住宅への集団移転を実現させた。全世帯が村を離れるのを見届けて、最後に村を離れた。8月になった。村のパトロール隊組織「全村見守り隊」のメンバーにもなり、定期的に地区内の留守宅を回って歩いた。

それが甲状腺がんの一因になったのではないかと考えている。長谷川さんの友人は「原発さえなければ」と書き残し、自死した。長谷川さんも酪農は廃業せざるを得なかった。

長谷川さんは、事故が起きてすぐ、飯舘の状況を後世に残さなければと考え、カメラとビデオで日々の生活や村内の風景、人々の姿を克明に記録し、ドキュメンタリー映画「飯舘村 わたしの記録」を制作した。メディアの取材や講演の依頼にも積極的に応じ、自らの体験を語ってきた。チェルノブイリ原発事故の被災地にも足を運んだ。本も出した(『写真集飯舘村』『までいな村、飯舘』(七ツ森書館など)。

村民の約半数の3000人が東京電力を相手にした裁判外紛争解決手続き(ADR)で賠償の増額などを求めた申立団では、団長に就いた。また、2015年に設立された被災者団体の全国組織「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」では、福島原発告訴団の武藤類子さん(三春町)と共同代表を務めていた。

2017年、村の大半で避難指示が解除されると長谷川さんは帰村し、地区内の耕作放棄地でソバづくりを始めた。昼夜の温度差があるので香りの強いソバができ、放射能も基準値以下だが、風評被害で売れなかった。「収益が上がらなくとも、あとの人たちが営農が続けられるよう荒れ地にせず、一番簡単なソバを作っているんだ」と話してくれた。

仲間だった前村長の菅野典雄さんとは、事故後に避難や村づくりをめぐって意見が合わず、袂(たもと)を分かった。(元瓜連町長)