土曜日, 10月 10, 2026
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カーボンナノチューブ研究者に江崎賞 つくばで発見の材料に理論的基礎

茨城県科学技術振興財団(つくば市竹園、江崎玲於奈理事長)は10日、第18回江崎玲於奈賞に東北大学大学院、齋藤理一郎教授(63)を選んだ。カーボンナノチューブ(CNT)が発見された直後の早い時期から研究に取り組み、理論的基礎を築いた。東北大学から2年連続の受賞となったが、選考委員の一人で2000年ノーベル賞受賞者の野依良治さんは「CNTは、つくばで発見されており、今後もつくばが材料研究の中心を担うという意味で、最も正統的な江崎賞になった」と評価した。

江崎賞はナノサイエンスやナノテクノロジーに関する研究に携わり、顕著な研究業績を挙げた研究者を顕彰する。ナノ分野の学会や研究機関、大学などから推薦された研究者の業績を江崎玲於奈さんを委員長に、歴代のノーベル賞受賞者らで構成する委員会で選考する。関彰商事(関正樹社長)が特別協賛しており、江崎玲於奈賞には副賞1000万円が贈られる。

今回は推薦15件のなかから、「カーボンナノチューブの電子状態と共鳴ラマン分光の理論」研究で齋藤教授が選ばれた。CNTは、炭素によって作られるグラフェンシート(平面)を丸めて円筒状にしたような構造の物質で、直径は0.4~50ナノメートル。その名の通りナノメートル単位で、細さや軽さ、柔軟性から、次世代の炭素素材、ナノマテリアルといわれ、様々な用途開発が行われている。

ナノチューブは1991年に、当時NEC筑波研究所研究員だった飯島澄男さん(74)により発見された。CNTはハチの巣状に炭素が結合するグラフェンをどのように巻くかによって、金属にも半導体にも物性が変わる。齋藤教授は1992年に、この巻き方と電子状態の関係を理論的に明らかにした。この論文は明快で分かりやすく、その後のナノチューブ研究の原動力となったという。

さらにCNTにレーザー光を当てることで、材料の物理特性を見分ける「共鳴ラマン分光」の手法研究でも成果をあげた。これら理論的研究は、ナノチューブの研究を開始するにあたって必ず最初に学ぶべき基本的事項となっており、その後の研究をけん引していることに各委員の評価が集まった。

つくば賞には櫻井武筑波大学教授

【つくば賞】筑波大学・櫻井武さん(同)

この日は第32回つくば賞、第31回つくば奨励賞の発表も行われた。両賞合わせて22件の推薦があった。

茨城県内で科学技術に関する研究に携わり、顕著な研究成果を収めた研究者を顕彰するつくば賞には、筑波大学医学医療系、櫻井武教授(57)が選ばれた。

授賞の対象となった研究は「冬眠様の低体温・低代謝状態を誘導する神経回路の同定」。ヒトの人工冬眠の可能性を追求する研究で、実現されれば、重症患者の救急搬送や臓器・組織が低栄養に陥る緊急事態などへの臨床応用や臓器保存などにつながるという未来技術だ。

第31回つくば奨励賞には、実用化研究部門で物質・材料研究機構機能性材料研究拠点、樋口昌芳グループリーダー(52)の「メタロ超分子ポリマーを用いたエレクトロクロミック調光デバイスの開発」(20年9月8日付)、若手研究者部門で筑波大学生命環境系、豊福雅典准教授(39)の「細胞外膜小胞を介した微生物間コミュニケーションの研究」を選んだ。(相澤冬樹)

【つくば奨励賞】物材機構・樋口昌芳さん(左)と筑波大学・豊福雅典さん(同)

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