木曜日, 8月 5, 2021
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つくば市長の名誉毀損提訴を検証する《吾妻カガミ》103

【コラム・坂本栄】今回も五十嵐つくば市長の名誉毀損(きそん)提訴問題を取り上げます。というのは、前々回の「つくば市長の名誉毀損提訴を笑う」(3月1日掲載)に多くのアクセスがあり、関心の強さを実感したからです。3月の市長会見も、提訴は「表現の自由」に照らして違和感があると問う複数の記者に、五十嵐さんは「(ミニ新聞の市政批判)記事はフェイク(虚偽)だ」と応じ、ホットなやりとりになりました。

市長批判記事は「フェイク」?

この問題の概要、原告=五十嵐さん、被告=ミニ紙「つくば市民の声新聞」発行人・亀山さんのコメントについては、本サイトの記事「つくば市長の五十嵐氏 名誉毀損で元市議を提訴」(2月17日掲載)をご覧ください。五十嵐さんのSNSや訴状によると、提訴理由は、数多くの虚偽の内容を記載し、正しい情報を伝えずに選挙に重大な影響を与えた、ゆがんだ情報による選挙結果は自治体を混乱に陥れる―ということです。

私は先のコラムで、この件について3つの視点を示しました。1つは、政治家たるもの記事には言論で対抗すべきであり、裁判沙汰とは市長らしくない、と。2つ目は、名誉毀損訴状の最初の箇所(総合運動公園用地返還公約の未達を指摘する記事への反論)は明らかに「逃げ」の論理で構成されている、と。3つ目は、「表現の自由」抑制を是とするような訴状の論述は看過できない、と。

以上、おさらいです。以下、記者会見で「フェイク」の例として挙げた「谷田部給食センター建設計画」についての記事が、本当に虚偽なのかどうか検証します。

市長の政治力不足が明らかに

ミニ新聞は「前市長の計画を破棄し、新たに再設計を行い、県からの『補助金なし』に切り替えてしまった」とリポート、給食センターが市の予算だけで建てられたと指摘しました。これに対し訴状は、県に予算を付けるよう要請したが、補助金の交付が認められなかった―と反論しています。つまり、最初から「補助金なし」だったのではなく、結果として「補助金なし」になったという主張です。

いずれにしても「補助金なし」だったことは事実ですから、「フェイクだ」と騒ぐような話ではありません。それよりも、訴状の論述によって、五十嵐さんには(県からおカネを引っ張ってくるという)市長に求められる政治力の不足が明らかになりました。訴状で自ら名誉を毀損してしまい、何か冗談のような話です。

また記者会見では、同様の提訴を前市長も行っていたと、前例があることを強調しました。確かに、病院経営者だった前市長が、市長時代に市営病院を廃し、自分の病院に患者を誘導した―といった趣旨のビラがまかれ、前市長は発行者を名誉毀損で訴えました。しかし、その内容は市政を利用して個人的利益を図ったという中傷であり(判決は前市長側の勝訴)、市政の出来不出来を点検したミニ新聞の記事とは別物です。(経済ジャーナリスト)

6 コメント

6 Comments
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市政ウォッチャー
4 months ago

五十嵐市長の名誉毀損提訴はどうやら裏目に出たようです。このコラムでは、市長としての能力(国や県から補助金を取ってくる政治力)に疑問符が付きました。前々回のコラムでは、運動公園用地公約の言い訳(返還ではなく返還交渉だった)が指摘されました。

提訴しなければ、力不足市長&釈明市長の実相がバレなかったでしょうに。選挙に勝ったのですから、市民の声新聞の記事など放っておけばよかったのに。名誉回復の努力が墓穴を掘ることになるとは…。政治とは面白いものです。

名無しの市民
返信する  市政ウォッチャー
4 months ago

高エネ研南未利用地、運動公園建設問題、クレオ再生計画挫折。政治家としての腕力不足はとっくに露呈してます。

公約は「返還」ではなく「返還交渉だった」。←一期目市長選の公開討論会で既に他陣営から散々突っ込まれていました。後から言い訳するのではなく、当初から予め逃げ道は用意されてました。

だから提訴で墓穴掘ってません、元々です。

名無しの市民
4 months ago

それで、3月頭に地裁移送となった裁判はどうなったのかな?

情報通の市民
返信する  名無しの市民
3 months ago

5月中旬から始まると聞いています。NEWSつくばの記事が楽しみです。

情報不足の市民
3 months ago

コラムニストさんは原告と被告の言い分に精通しているようです。これからも裁判の争点を分かりやすく解説してください。前々回、原告は被告の記事の22箇所に文句をつけていると書いてありました。できれば全部取り上げて双方の言い分を解説してください。裁判が始まったらできるだけ傍聴に行きたいと思います。市長批判に苛立つような尊大な市長は困ります。

コラムニスト
返信する  情報不足の市民
3 months ago

ご要望ありがとうございます。22箇所全部は無理かも知れませんが、五十嵐市政で争点になっている(なった)問題については順次取り上げます。「言論の自由」がジャーナリズムの生命線ですから。

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