金曜日, 4月 26, 2024
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「… in 宇部」後記①指輪と魚の話【続・平熱日記】155

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写真は筆者

【コラム・斉藤裕之】その日は春の嵐。3月も後半に入ろうというのに、山口県の山あいにある弟の家の窓の外は横殴りの雪。そんな中、空路東京からわざわざ個展会場にやって来てくれたのは教え子のF君(コラム150に登場)。

「海を見たいですね、瀬戸内海を!」。彼のリクエストに応えて車を走らせること20分。海岸線が見え始めると、そうだ!マヨねえから借りた山下達郎のCDをかける。男2人のライドオンタイム。しかしながら、車から出た私たちを待っていたのは強烈な寒風。

遠くに九州の国東半島を望みながら、瀬戸内海を背景にスナップ写真を1枚撮って、そそくさと車に戻った。「おー寒い~」

ケンブツジャコ

個展会場に戻って作品を見終わったF君は「色の違う指輪」(コラム150に掲載)という作品をご所望だという。え?でもこれは私と亡き妻の指輪を描いたものだけど。当時私の指には金色の指輪が似合わず、結果的に同じデザインで妻はゴールド、私はプラチナという、色の違う指輪にしたのを昨年描いたものだ。そんな他人の指輪の絵をなぜ欲しがる?

「実は僕らの指輪もそうなんですよ」「え?」。彼の薬指のプラチナ色の指輪の一部分はゴールドで、奥様のはその逆だという。もちろん私はそんなことなど知らずに、彼の結婚式の話をコラム150に書いて指輪の絵を添えたわけだが、偶然とはいえF君にとっては何か因縁めいたものを感じたのかもしれない。

それにしても、わざわざ山口まで来てくれたF君にはおいしい魚ぐらいはご馳走してやりたい。ということで、ギャラリーオーナーの涼子さんにお勧めの店を聞くと「ケンブツジャコって食べたことある?」。

この宇部あたりでしか食べないというケンブツジャコ(テンジクダイ)という金魚ぐらいの大きさの小魚(私は偶然昨年この魚を食べる機会があった。頭は固いので落として、カラ揚げに)を食べさせる店があるというので行ってみることに。残念ながら、その日はこの珍味をお目にかかれなかったが、それでもおいしい瀬戸内の魚をたらふく食べてF君も満足して東京に帰って行った。

イリコ

余談だが、宇部近辺ではケンブツジャコと共に「レンチョウ」いわゆる舌平目をよく食べる習慣があって、宇部のソウルフードなどと呼ばれているらしい。同じ県内、瀬戸内海でも、その土地、土地で食習慣が違うんだなあ。

また、山口の魚は冬の間ひとりでずっと鍋を食べ続けた私にとっても、春を告げる御馳走(ごちそう)となった。今回も、アジ、メバル、のどぐろ、フグ、いか、かわはぎ、さざえ、ウニ、セグロイワシ、サヨリなど(ほとんどは義妹の手料理によるもの)、それから島の岸壁で獲ったナマコも食べた。

そうそう、魚といえば昔「いりこ」というあだ名だったという方がイリコの絵を買っていった(詳細は次回に)。

帰りの高速では、何とも美しい富士山が現れたが首都高手前から壮絶な渋滞に巻き込まれて辟易(へきえき)した。半月ぶりの茨城は季節が止まっていたかのように木々が寒々しい。それでも日差しは春のもので、パクはいつもの散歩道を懐かしそうに楽しんでいた。(画家)

カタクリが開花 筑波山山頂付近 見頃は4月半ば

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カタクリの里と開花したカタクリの花(円内)=4日午前、筑波山御幸ケ丘

筑波山山頂に近い御幸ケ原のカタクリの里で、春の訪れとともにカタクリの花が咲き始めた。「春のはかない命」(スプリング・エフェメラル)と呼ばれる春先に咲く草花の一つ。つくば観光コンベンション協会によると、今年は3月に積雪が3回あった影響で例年より開花が遅れ、見頃を迎えるのは4月中旬になる見通しだという。

筑波山はカタクリの群生地と知られ、標高約800メートルの御幸ケ原のほか男体山山頂周辺の自然研究路、ケーブルカー沿いなどに約3万株が自生している。カタクリ草はユリ科カタクリ属の多年生植物で、山野に群生して、薄紫色のかれんな花をうつむき加減に咲かせる。

カタクリの里は筑波山ケーブルカー筑波山頂駅から、山頂連絡路を女体山方向へ約100メートルほど進んだところに位置し、3月25日から5月19日まで「筑波山頂カタクリの花まつり」が催される。4月下旬には白色のニリンソウも咲き、二つのかれんな花のコントラストを楽しむことができる。

4日午前、カタクリの里で、50輪ほどが開花しているのが確認できた。観光客はまだまばらだった。

同協会観光推進課の本間良太さん(39)は「2月は暖かかったが、3月に雪が降ったため、ソメイヨシノと同じようにカタクリも開花が遅れ、見頃を迎えるのも遅れると思う。山頂付近は整備されているので、これからも多くの人に訪れてほしい」と話している。(榎田智司)

◆問い合わせは電話029-869-8333(つくば観光コンベンション協会)へ。

阿見町の「たけのこ料理」フェア《日本一の湖のほとりにある街の話》22

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】茨城県の阿見町は、総面積に対する竹林の面積が県内トップクラス。農林水産省が行っている農業状況調査の指標「農林業センサス」の直近のデータでは、同町の竹林の面積は102.4ヘクタールで、町総面積に対する割合は1.43%。県内44市町村の平均は0.39%であり、他市町村の約3.6倍の割合となっています。

このため、県内でも春のたけのこ生産が盛んであり、地元の直売所には季節になると新鮮なたけのこが並びます。さらに毎年4月には、たけのこ料理フェア「たけのこほっぺ」を開催。今回はこのイベントについて、同町商工観光課の井手さんにお話を伺いました。

農家の協力で「たけのこ」掘り体験

今回で12回目となる「たけのこほっぺ」では、町内6店舗の飲食店が、特産のタケノコを用いたメニューを提供しています。たけのこご飯や青椒肉絲(チンジャオロース)、てんぷらなど、お店ごとに工夫を凝らしたメニューはどれも美味!

また、同イベントで毎回好評なのが、たけのこ農家さんのご協力による「たけのこ掘り体験」。今回3カ所の竹林での開催が予定されているこの体験イベントは、毎年訪れる熱心なリピーターもおられるそうです。

お子さん連れや、都心からのお客さんも多いというたけのこ掘りの魅力を井手さんに伺うと「整備された竹林の中を歩く非日常的なさわやかさと、宝探し的なワクワク感に魅力を感じていただいているようです」とのこと。

整備された竹林は、目で鮮やかな緑を楽しめ、足裏で積もる葉の感触を楽しめる、とてもさわやかな体験です。また、良いたけのこは地面からまだ出ておらず、わずかに地面が隆起しているのを、上に積もった葉が少し浮いているのを足で踏んで探すのがポイントで、この点が宝探し的でとても面白いそうです。

採りたて「たけのこ」刺身は美味

採りたてのごく新鮮なたけのこは、アク抜きをせず刺身で食べることも可能で、これも自分で収穫してこそのお楽しみ。また、質の良いものの見分け方として、芽の部分が緑になっておらず黄色いものを選ぶと、柔らかくておいしいそうです。

今年のフェアは4月6日から30日まで。産地ならではの新鮮な味わいと、五感で楽しめるさわやかな行楽・たけのこ掘りを、ぜひお楽しみください。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

→これまで紹介した場所はこちら

日本国際学園大学が開学 1期生126人が入学 つくば

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新入生を代表して宣誓する初見大翔さん(中央)

日本国際学園大学(橋本綱夫学長)が4月、つくば市吾妻の旧筑波学院大学に開学した。5日、開学式と入学式が催され、第1期生126人が入学した。筑波学院大の名称を変更して開学した。つくばと仙台に2つのキャンパスをもつ。初代学長に、同大を運営する学校法人日本国際学園の橋本綱夫理事長が就任した。

式典の最初に橋本学長が開学を宣言した。新しい大学名について橋本学長は「国際的視野を持ち多文化と共生できるマインドをもった人材を育てる教育は重要。それだけでなく日本の産業や豊かな文化への造詣を深めることは国際的に活躍するためにも重要」と述べ「日本というローカルな視点と、国際というグローバルな視点を組み合わせた日本初の国際的人材を養成したい」と思いを話した。

新入生に向けては「皆さんは第1期生。日本への理解を深め、世界に視野を広げてほしい」と呼び掛けた。さらに、何度失敗しても挑戦し戦い続けた戦国武将、山中鹿之助を例に挙げ「人は成功よりも失敗からたくさん学ぶ。大学での学びもたくさんの壁に当たるかもしれないがチャンスだと思ってほしい。壁が高過ぎると乗り越えることはできないので、自分の力に合った小さな目標を立て、小さな目標を達成することを繰り返せば大きな目標を達成することができる」などと話した。

開学を宣言する橋本綱夫学長

新大学は経営情報学部ビジネスデザイン学科の1学部1学科制で、カリキュラムに①グローバル企業や大学院進学を目指す「国際教養」(キャンパスはつくばと仙台)➁外資系総合職や英語学校講師を目指す「英語コミュニケーション」(つくば、仙台)➂企業総合職や営業職を目指す「現代ビジネス」(つくば、仙台)④キャビンアテンダント(CA)やグランドスタッフを目指す「国際エアライン」(仙台)⑤ホテルや旅館業界を目指す「国際ホテル」(仙台)⑥行政職や消防士、警察官を目指す「公務員」(つくば)⑦情報システムエンジニアやプログラマーを目指す「AI・情報」(つくば)⑧グラフィックデザイナーやアニメクリエイターを目指す「コンテンツデザイン」(つくば)と、⑨留学生対象の「日本文化・ビジネス」(つくば)の九つのモデルがある。

新入生は日本人学生86人と留学生40人。式典では一人一人の名前が読み上げられた。新入生を代表して初見大翔さんは「1期生として新たな歴史を刻むことができ、うれしい。コンテンツデザインモデルを選択しイラストレーションの勉強や制作をしたい。さまざまな講義や実習を通して自分でつくりあげたもので人の心を動かす体験をしたい。何ごとにも臆することなく挑戦し、さまざまな課題に立ち向かっていきたい」と決意を述べた。

在校生を代表して同大4年の佐藤碧さんは「私たちの大学は幅広い分野の学問を学ぶことができる素晴らしい場所。将来の道筋がなかなか決まらなかったり、悩んでしまう方もいると思うが、本学の最大の魅力は学生と教員の距離がとても近いこと。先生方はいつも親身に話を聞いてくださるので、不安なことや分からないことがあれば先生方に相談してください。きっと道を見つけることができる」と語った。

開学式と入学式には新入生のほか父母らも参加した。県立八千代高校出身の新入生、宮永一輝さん(18)は「1年生から公務員の勉強ができる大学はこの近辺にここしかない。公務員を目指して勉強に励みたい」などと話した。スリランカ出身の留学生、エブダ・マリワッタゲ・ディニティさん(21)は「就職活動をよくサポートしてくれる大学なので入学した。日本文化、ビジネス、英語を学びたい。将来についてはまだ決めてないが日本で就職したい」などと話していた。

建つか?筑波大恩師の銅像《看取り医者は見た!》16

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具志堅用高さんの像(左)と油屋熊八さんの像

【コラム・平野国美】数年前に北海道のある街に出掛けた時のこと。地元の方との話の中で我が恩師の地元が確かここだと思い出し、名前を挙げてみると、「おお、YZ先生のお知り合いですか?」と、相手が身を乗り出してきました。

先生は筑波大学時代の担任で、留年を繰り返した私は、何度も天久保の寿司屋で説教と励ましを受けました。恐れ多くて、知り合いなどとは言えません。その後、先生は母校の東京医科歯科大学に転籍され、トップに登り詰めました。医学界では伝説の方です。

先生の業績で理解しやすいものは、東京工業大学と東京医科歯科大学統合(2024年10月発足)の地ならしがあります。20年以上前、ある空港でお会いしたとき、2大学だけでなく、4大学連合(東京医科歯科大、東京外国語大、東京工業大、一橋大)を唱えておられました。各大学の人材や単位の流動性を図るのだと。

銅像は街の歴史を刻む

地元の方は「立ち消えになりましたが、駅前に先生の銅像を建てようという計画案があったのです」と言っていました。この話を聞き、駅前広場に青空を指差して立つ先生のブロンズ像を想像しました。見た目は、俳優の國村隼さんと「こち亀」の両さんを足して二で割ったような感じです。

学生時代、なぜ東京医科歯科大を目指したのか、先生に聞いたことがあります。「俺、田舎が比布でよ。子供の頃に地元代議士の息子がよ、東京の大学に合格してよ。入学するとき、なまら、わんさの人が駅のホームに集まってよ。札幌に向かう電車に向かって、万歳三唱したの見てよ。俺も、いつか東京に行かなきゃって思ったわけよ。だから、冠(かんむり)に東京って書いてある大学を狙ったわけ」と、話されていました。

地元の人が言う駅前が、比布町なのか旭川市なのか分かりませんが、いつか銅像が実現してほしいものです。もう先生は80代に入り、穏やかな日々を過ごされていると思います。空港で最後にお会いしたときの言葉は「今からハーバードに行ってくる」でした。

銅像は芸術的な意味もあると思いますが、街の歴史を刻むものもあります。私が見てみたいのはロッキー・バルボア像(フィラデルフィア)です。今回の写真の右は別府駅前の別府観光の生みの親、油屋熊八さんの像、そして左の写真は石垣港にある具志堅用高さんの銅像です。(訪問診療医師)

「片足跳びでバランス力を」 アスリート社員が走り方教室 関彰商事

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アスリート社員のまねをして手を上げて片足跳びに挑戦する子供たち=つくば市天久保、筑波大学中央体育館

関彰商事(本社・筑西市、つくば市、関正樹社長)主催の「セキショウ走り方教室」が4日、つくば市天久保、筑波大学中央体育館で開かれ、仕事をしながら競技に打ち込むアスリート社員が子供たちに、速く、楽しく、かっこよく走る方法を指導した。

講師は2022年に現役を引退した短距離の魚里勇介さん(同社ヒューマンケア部)、セキショウアスリートクラブ「ONE」所属で400mハードルの高橋塁さん(同)、競歩の熊谷菜美さん(経理部)、中距離の平野綾子さん(総務部)。

グループ企業の社員と子供を対象とした走り方教室で、昨年に続き2回目。手書きの名札を胸に付けた子供たち13人が参加した。

ストレッチで体をほぐした後、片足跳びを軸に教室は進行。プログラムの内容は講師の4人で考えた。講師の高橋さんは「一歩一歩の連続が走る動作につながっている。一歩を支えるために必要なバランス力や地面に重心を伝える力を身に付けるために片足跳びは有効」と言い、しっかりひじを曲げて大きく手を振ることが早く走るポイントだと児童らに伝えた。段階的に負荷をかけながら体を動かし、最後は体育館を全力疾走して1時間の教室は終了した。

後半になるにつれて調子を上げて走る子供たち

昨年に続いて2回目の参加という栗原結衣さん(10)は「普段はあまり走らないけどたまに走るのもいい。家にトランポリンがあるから片足跳びをやろうと思う」と話し、走ることが好きだという中村優花さん(7)は「片足けんけん飛びをして早く走れた」と笑顔を見せた。

指導した高橋さんは「教育実習で中高生に指導したことはあるが小学生は昨年に続いて2回目。子どもたちから無限のパワーを感じた。少し抑え目なトレーニングにしたので物足りなかったかも知れない。機会があれば来年以降も続けたい」と感想を述べた。

11日は水戸市内でも開催する予定で、100mハードルの相馬絵里子さん(広報部)、やり投の村澤雄平さん(総合企画部)らが講師として参加する。

同社は、身体的、精神的、社会的に満たされた状態を表す「ウェルビーイング」の向上を目指す取り組みを展開しており、その一環として開催した。3月には、芸術に親しみながら社員とその家族の交流を促すことを目的に陶芸ワークショップと展覧会観覧ツアーを開催している。

ウェルビーインググループ総務部の草野伸一課長は「イベントを通じて家族間はもちろん社員間の交流を深める機会にもつながっている」と取り組みの成果を話す一方、広報部の石井雅也さんは「就業時間中のイベント参加に二の足を踏む社員もおり、気兼ねなく参加できるよう周知したい」と語る。(泉水真紀)

条例違反を市長は自白 つくば市保健センター《投稿・鳥居徹夫》

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茎崎保健センター(左)とつくば市保健センター条例
鳥居徹夫さん

2023年10月14日に茎崎地区で開かれたタウンミーティングで、つくば市の五十嵐市長は、つくば市保健センター条例をずっと(十数年間も)守っていないことを自白しました。

市ホームページには、昨年10月14日の茎崎地区タウンミーティング、および同日の谷田部地区タウンミーティングから5カ月以上も会議録が掲載されず、その概要がアップされたのは、年度末の3月27日でした。

タウンミーティングの司会者は、住民の発言は1人2分以内としながら、このときの市長の答弁はなんと10分前後でした。しかも五十嵐市長は「茎崎のことを、皆さんが思っている以上に考えている」とムキになって2度も繰り返しました。

市長の答弁は、ツッコミどころが多くありましたが、市ホームページの概要では多くが省略されていました。ぜひ本欄のコメント欄に、発言全文の文字おこしを掲載していただければうれしいです。

昨年10月のタウンミーティングで、私は五十嵐市長に対し、「つくば市保健センター条例が、ずっと守られていない。改善を求める」と要望しました。しかし五十嵐市長は「建物は存続するが、機能は廃止する」と発言。条例違反を追認したばかりか、逆に(条例違反の)現実に条例を合わせ、保健センター条例を改悪すると、強弁しました。開き直ったのです。

その時は、市長の顔が引きつり、市長が弁明する際、質問した私を凝視し、にらみつけるようでした。私も目をそらすわけにはいかず、にらめっこの状態が続きました。

しかし昨年の12月議会と今年3月の市議会には、条例改悪の議案は提出されていません。

放置し、追認し、居直る

つくば市保健センター条例によると、第2条で茎崎など4カ所の保健センターの名称と住所が明記され、第4条で(1)検診等(2)健康相談や健康教育(3)保健指導、栄養指導(4)機能回復訓練(5)衛生知識の普及等、を業務としており、第5条で、各保健センターに必要な職員を置くことになっています。

第4条(1)の検診等は、茎崎保健センターの建物を使いますが、貸し会議室のような存在になっています。さらに常駐の保健師がいないので、第4条(2)(3)(4)(5)は有名無実です。検診の結果が出ると、谷田部保健センターから保健師が来て、会場を借りて、相談希望者に対応しているのが現状です。また常駐の職員はおらず、明らかに第5条違反です。

今年秋に市長選挙がありますので、市長は発言を撤回し、条例を遵守すると明言され、市の幹部に指示されていいかがでしょうか。

市のホームページによると「保健センターは地域の皆さんにとって身近な存在です。専門スタッフが子育て支援から健康増進、生活習慣病予防、在宅療養等に関した活動を行っています」と記されています。

つまり「保健センターは、地域保健法第18条に基づき市町村が設置することができ、その目的は住民に対し健康相談、保健指導及び健康診査、その他地域保健に関して必要な事業を行う施設」なのです。

五十嵐市長は、つくば市保健センター条例の違反を長期間放置し、条例違反の現状に合わせ、威勢高に条例改悪を明言し、居直ったわけですから。

《参考》タウンミーティング(2023.10.14 開催 場所:ふれあいプラザ ) 懇談概要の7番目の質疑が、保健センターに関する市長と私のやりとりの概要です。

【とりい・てつお】政治・労働問題研究者。日本労働ペンクラブ会員。1950年生まれ。茨城大学人文学部卒、労組役員を経て国会議員政策秘書。民主党政権では文部科学大臣秘書官。つくば市在住。

医療通訳養成学校の卒業試験《医療通訳のつぶやき》7

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写真は筆者

【コラム・松永悠】3月末に私が講師を務める医療通訳養成学校の卒業試験がありました。筆記試験にロールプレイ、両方とも良い点数を取らないと合格できません。医療通訳は、通訳という職業の中でニッチな存在でありながら、一番難しいとも言われています。

毎年、うちの学校にたくさんの受講生が入ってきます。勉強のきっかけはいろいろですが、皆さんに共通しているのは、医療知識を学んで、通訳テクニックを身につけて、医療現場で人助けをしたいという気持ちです。

しかし一方で、現実はかなり厳しいものです。私は長年講師を務め、一貫して「数より質」という考えで受講生を見てきました。熱意があるのは大変素晴らしいことですが、医療通訳になれるかどうか、条件があります。さあ、それはなんだと思いますか。

語学力と黒子意識

「医療」の専門知識はもちろん必須ですが、これは努力すれば大抵クリアできます。ある意味、一番楽な部分とも言えます。私が考える大変な部分は二つあります。

一つ目、語学力です。日本語/中国語ができるから通訳できるとは限りません。受講生は全員、大きな支障もなく日常生活できる人たちです。しかし、母国語じゃない方の言語に変えた途端、語彙(ごい)が足りないとか、細かい文法の間違いとか、様々な問題点が現れてきます。これらは、長年の癖だったり、勉強不足だったりするので、簡単に直すことも、上達することも難しいです。

このレベルだと仮に最後なんとか意思疎通できたとしても、聞き手がとても疲れてきます。ただでさえ忙しい病院の外来で、こんな通訳に耐えられる医師はほとんどいません。特に文法のミスが多いと、一体何を言いたいのか分からなくなるので、医師の苛立ちは容易に想像できます。

つまり、医療通訳になるには、まず「きちんとした」語学力が必須です。「通じればいい」は、病院では通用しません。残念ながら、受講生の半分くらいはこのレベルに達していないのが現状です。

二つ目、黒子意識です。よく通訳のことを「黒子」に例えます。自己意識を抹消(まっしょう)して、相手の口になることに徹する必要があります。分かりきっていることでも、代わりに答えたり、勝手に話の内容を変えたりしてはいけないのです。我々の世界では「内容を変えない、足さない、減らさない」が鉄則です。

原石を見つけ磨き送り出す

これがいかに難しいことか、卒業試験のロールプレイを見れば良くわかります。どう訳したらいいか分からないとき、数秒間沈黙して考えるのは実は問題ありません。しかし、何かを話さなきゃと焦りだす受講生が必ず出てきます。すると、一部の方がセリフの元々の意味を大きく曲げて訳してしまいます。

この悪い癖をしっかり認識して、意識的に取り除かないと、医療現場でとんでもないミスにつながります。しかし、これもなかなか抜けられないものです。

医療通訳の難しさについて、少しばかり理解していただけましたでしょうか? 講師の仕事は、原石を見つけ、磨き、現場に送り出すということです。4月から新クラスが始まります。さあ、今度どんな受講生と出会えるのでしょうか。(医療通訳)

<参考> 医療通訳の相談は松永rencongkuan@icloud.comまで。

みどりの南小・中学校開校 つくば TX沿線

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みどりの南小学校(左)と同中学校(右)の校舎は向き合うように建てられ、渡り廊下でつながる

駅近くの義務教育学校から分離

つくばエクスプレス(TX)沿線のつくば市みどりの南に、市立みどりの南小学校(市村毅校長)とみどりの南中学校(野村光弘校長)が新設され、3日開校式が開かれた。人口増加により、みどりの駅近くに2018年4月に開校した小中一貫のみどりの学園義務教育学校から分離し、新設された。

同南小には718人、南中は65人が入学する予定。同じ区画に小中学校が隣接して建つ。校舎は小学校が鉄筋コンクリート造り3階建て、延べ床面積約8500平方メートル、中学校は同3階建て、延べ床面積4200平方メートルで、小中の校舎は連絡通路でつながっている。高速道路に隣接していることから、騒音対策として校舎の建具に遮音性の高いものを使用している。

体育館は小中それぞれあり、グラウンドは小学生用の1周150メートルトラックと、中学生用の200メートルトラックがある。ほかに主に中学生が部活動で使用するサブグランドがある。プールはなく、4月に近くにオープンするみどりの学校プールを使用する。

休日は体育館、図書室、家庭科室、音楽室、多目的室などを地域住民に開放する予定だ。

新設計画がスタートした2020年時点では、みどりの学校プールがオープンする用地に小中学校を建設する予定で県有地を購入した。同用地はTXの線路をはさんでつくばみどりの工業団地に隣接し、近くに産業廃棄物施設が立地していることなどから、議会から「教育環境として問題があると心配の声が上がっている」などの指摘があり、建設用地を600メートル南の高速道路脇の県有地に移転した。その後も、みどりの地区に3カ所目の小中学校を建設する否かや、通学区をめぐって学区審議会などで議論が交わされた経緯がある。

通学区域は、同南小は同市中野、片田、西栗山、飯田、根崎、みどりの東、みどりの南。同南中は、南小と、隣り合う谷田部南小校区となる。一部の地域は、みどりの学園義務教育学校、谷田部南小学校と新設校との選択制となる。

一方、さらなる児童・生徒数の増加が見込まれることから、増築する計画がある。

五十嵐市長から校旗を受け取るみどりの南小学校の市村毅校長(右)

開校式には学校関係者や県議、市議、市職員ら約100人が参加した。同小の市村校長は「9年間の学びを通して子どもたちが未来に向けて幸せな人生を築くための基盤となる学校を目指していく」とし、「小学校では一人一人の個性を大切にし、中学校では自立と共生という教育理念のもとで自ら考え行動し社会の一員として責任を果たせるような人材育成に努める」と理念を述べ、「地域と連携しながら、地域に愛され貢献できる学校づくりを目指す」と語った。

あいさつに立った五十嵐立青つくば市長は、23年につくば市が人口増加率で日本一になったことに触れ「人口が増えたからといって、ただ学校をつくればいいというわけではない。学校は子どもたちが学び、人と関わり成長してく居場所としての機能を持つところ」とし、「教えから学びへ、管理から自己決定へ、テスト重視ではなく子どもたちが協調する力を育める教育を目標とする市教育大綱に基づき、子ども達にとってどのような場所がいいのか、近代公教育の大きな転換を図っていくことを目指していく」と語った。また「先生たちの負担を少しでも軽くしながら、校内フリースクールやスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを置くなどし、学校が子ども達にとって安心した居場所になるよう努めていく。課題はあると思うが、みんなで新しい学校をつくっていきたい」と語った。

両校の校歌は、歌手・松田聖子の曲を多数手掛けてきたことで知られる、つくば市出身の作曲家、小倉良さんが手がけた。開校式に参加した小倉さんは「校歌を依頼されたことは大変名誉。何百年も歌われることに責任とこれまでにないプレッシャーを感じた。これまで450曲以上作ってきたが校歌は初めて。児童・生徒の皆さんが歌うところを思い描きながら作った」と笑顔を交えながら語った。(柴田大輔)

実際にどう対応? 「合理的配慮」義務化スタート 土浦

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自費でスロープを用意する古書店経営の藤田康元さん=土浦市川口

情報不足に戸惑いも

改正障害者差別解消法の施行に伴い、段差があればスロープをつけるなど障害の特性に応じた配慮をする「合理的配慮」が1日から民間事業者にも義務化された。実際にどう対応すべきなのか、現場では情報不足からくる戸惑いの声も聞こえてくる。実際の現場で事業者や当事者はどのように課題に向き合っているのか、土浦で話を聞いた。

一部でも助成があれば

「絶対にやりたくないのは入店拒否」だと話すのは、昨年、土浦市川口にオープンした古書店「生存書房」の店主・藤田康元さん(57)だ。

同店は、歩道に面した入り口に15センチほどの段差が2段あり車椅子の人が一人で入店するのは難しい。大幅なバリアフリー改修は費用面から現実的ではない。そこで藤田さんが最初にとった「配慮」が、入り口前に「ハンドベル」を置くことだ。玄関にチャイムをつけても歩道からは手が届かない。車椅子でも店主を呼び出せると考えた。

手に取りやすい場所に置かれた古書店のハンドベル

「入り口にスロープがないことでバリアを感じる人はいるはず。入店を諦めさせているかもしれないと思った。諦めないで店主を呼んで欲しいという意味を込めた」と話す。後に折りたたみ式の簡易スロープを購入し、必要な時だけ設置できるようにした。費用は約4万円。ネットで購入したものだ。「これが個人店でできる範囲。出費は厳しい」とこぼす。「大規模な改修費用とまでは言わないが、せめて一部でも助成があれば」と希望を話す。

障害者以外のためにもなる

土浦市乙戸で料理店「ママのごはん」を営む高橋理恵さん(62)は、2017年のオープン時から入り口にスロープを設置しトイレに手すりをつけてきた。障害のある夫の助言からだった。高橋さんは、スロープや手すりのおかげで「車椅子のお客さんが増えた」と言い、喜んでくれるのは障害者だけではないとも話す。

「ママのごはん」入り口に設置されたスロープ=同市乙戸

「つえをついていたり歩幅が小さかったりする高齢者や、ベビーカーで来るお客さんも『入りやすい』と言ってくれる」。何より自分も歩きやすい。「大きな荷物を抱えて段差を上がるのは大変ですから」。

様々な人が出入りする中で必要な「配慮」が身についた。車椅子に限らず、ベビーカーに子どもを乗せたままテーブル席に着きたい人にも、さっと椅子をどかして対応する。

大切なことは、当事者との接点を持つことだと指摘する。「私は身内に障害があることで気づいたことはたくさんある。うちの店には車椅子のお客さんが来るのを他のお客さんもわかってくれているから来店時に手伝ってくれる」と言う。

「ママのごはん」を営む高橋理恵さん

一方で「個人の飲食店だと対応が難しい事情もわかる」と、合理的配慮の実践を躊躇する個人店にも思いを寄せる。実際に家族で外出して入店できないこともあった。「行く前に『車椅子でも入れます』と聞いても混んでいて入れないこともある。車椅子や障害のある人が来ることが前提になっていないお店は多い。私も家族に障害があるなど身近でなければ、必要な配慮への気づきはなかったかもしれない」

4月からの義務化については「(行政などから)手紙での通知などはなく、商工会に入っているわけではないので情報を得る機会が限られていた」といい、周知の不足を指摘する。実際に街で話を聞くと「義務化は知らなかった」と言う人は少なくない。

特性の理解を

同市で障害者福祉の課題に取り組む目黒英一市議(54)は、合理的配慮で大事なことは「特性を理解すること」だと言い、そのためにも「当事者の生の声」に触れることが欠かせないと話す。目黒市議は知的障害を伴う自閉症のある子の父としても活動している。

「知的障害のある方は、性格と同様に個々の特性がある。大きい音が苦手だったり、飛び跳ねたり声を出してしまったりすることもある」。周囲が障害の特性への理解があれば、大きな音が苦手な人と大声を出しがちな人を隣り合わないよう配慮することで、互いに心地よく過ごすことができると指摘する。

「子どものうちから合理的配慮を学ぶべき。(今の社会は)障害のある人が世の中に適応していかなければいけない状況にあるが、障害のある人の目線で物事を考えられれば」とし、「当事者との接点を持つことで『スロープつけなきゃだめだよな』という気持ちになる。合理的配慮は、スロープをつけておしまいではない。大切なのはそこから先。どうすれば車椅子でも通りやすくなるか、接客にはどう気を遣えばいいか。相手のことを考えられることが大事」だと語る。

当事者の声を聞いてほしい

「障害の当事者は、こんな時はどうすればいいのかというアイディアを十分持っているので、まずは当事者に聞いて欲しい」と話すのは、当事者として障害の理解啓発活動をする「茨城県に障害のある人の権利条例をつくる会」共同代表の生井祐介さん(46)だ。同会は、2015年に施行された障害者への差別を禁止する県障害者権利条例を作るために発足した。生井さんは合理的配慮についてこう思いを話す。

「当事者の声を聞いてほしい」と語る、生井祐介さん(中央)

「『過重な負担』というのがあるが、初めから断るのではなくその場で当事者に相談して欲しい。例えば商店の入り口に段差があって車椅子で店内に入れなければ、当事者の希望を聞いて商品を入り口まで持ってきて選んでもらうこともできるし、車椅子を何人かで持ち上げてあげることもできるかもしれない。私たちはそのやり方を説明できる」

「『うちは無理なんです』と断らずに相談してほしい。解決策が見つかれば僕たちも行けるお店が増える。よりいい関係が作れるはず」と語る。

店舗入り口に置かれる取り外し可能な簡易スロープ

7市村に助成制度

県内には現在、合理的配慮への助成制度がある自治体が7市村(つくば、水戸、ひたちなか、取手、つくばみらい、那珂市、東海村)ある。生井さんは「制度を使えばスロープの設置などもしやすくなる」とし、「茨城には『障害者権利条例』があり、全ての差別を禁止すると言っていることも忘れないでほしい」と思いを述べる。

合理的配慮の義務化に関して土浦市は、周辺自治体などで実施されている助成制度については「制度を実施する予定はない」とする。また、合理的配慮は「障害者との建設的対話を通じて事業者が提供できることを考え、実施に伴う負担が過重であれば、過重でない代替方法を対話を通じて見つけていくことが法の趣旨」であるとし、「合理的配慮の具体的な取り組み例を紹介していくことはできる」と述べ、県障害者差別相談室や市障害福祉課への問い合わせを求めている。周知活動については今後も継続していくとしている。(柴田大輔)

【メモ】合理的配慮とは、段差があればスロープをつけたり、声や音が聞き取りにくい人に対して手話や筆談ボードを用意するなど障害の特性に応じた配慮をすること。時間を調整するなどルール・慣行の柔軟な変更も合理的配慮に当たる。障害がある人もない人も平等に社会に参加できることを目的としている。

障害を理由に来店を拒否したり、サービスを提供する時間や場所を限定するなど条件をつけることは「差別」にあたり、「障害があるからと特別扱いはできない」「前例がない」と、求められた配慮を無碍(むげ)に拒むことは認められていない。一方で、事業者にとって過度の費用負担や物理的に実現不可能な場合など、「提供に伴う負担が過重でない」ことが提供範囲とされている。

「言った、言わない」の押し問答《続・気軽にSOS》148

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【コラム・浅井和幸】いつも話が食い違う2人がいます。同意したはずなのに、そのときになってみると、「言った、言わない」の押し問答になってしまいます。何がこの食い違いを生んでいるのでしょうか?

人は記憶違いをすることもありますから、この2人の会話や考え方を具体的に追う必要があります。

あるときは抽象的な言葉が原因です。「次のテストを頑張ったらゲームを買ってあげる」という約束があった場合、この「テストを頑張ったら」の捉え方が「テスト点数が上位に入ったら」と「テスト勉強を頑張ったら」とに違ってくるでしょう。

あるときは主語が抜けていることが原因かもしれません。日本語は主語を抜いて話をする特性を持っています。「今日は雨が降るかもしれないので、屋外に出してあるものを片付けてから外出しよう」「うん、わかった」。さて、誰が片づけをするのでしょう?

言葉の定義が全ての人に共通でない

「次のイベントで収支がマイナスだったら、来年度からイベントは中止しよう」。さて、どの範囲の収支を指しているのでしょうか。イベント出店の一つ一つを指しているのか、それとも全体なのか? 中止にするのはイベント全体なのか、それとも出店一つ一つなのか?

「ゴールポストを動かす」という言葉もありますが、言葉の定義とか概念が全ての人が共通であるとは言い切れません。同じ日本語ではありますが、違うものを指していることもあるのです。違うことである可能性も探ることは、「言った、言わない」を避けるためにも必要なことなのです。

約束の食い違いが多いと感じるときは、相手に悪意があるかどうかを探るよりも、それぞれが同じ言葉だけれど、別の約束をしていたのではと捉え直すと解決するかもしれませんよ。(精神保健福祉士)

つくば洞峰公園市営化で市長が隠していること 《投稿・酒井泉》

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2月15日つくば市発行の「かわら版」第30号

つくば市の広報紙「かわら版」のキャッチフレーズは「もっと知りたい!」「皆さんのギモンに市長が答えます」です。 30号のテーマは「洞峰公園のこと、もっと知りたい!」(2月15日発行)でした。洞峰公園は県とのバトルを経て市に無償譲渡されましたが、この広報紙では、県の考え方や県と市のやり取り、譲り受けた後に市が負担しなければならない維持管理費など、市に都合の悪い事実は何も書いていません。

「かわら版」にウソは書いてないと思いますが、市に都合のよい情報だけを選び、都合の悪い情報は隠しています。これは報道、学術、行政など、市民のための情報を扱う世界では禁忌(絶対にやってはいけないこと)であり、「知っていたけど言わなかった」責任は重大です。

隠された事実A:県の当初計画

① 県が負担してきた費用は年1億5000万円:建物管理費と緑地管理費が半々。

② 県が構想した公園民間委託(PFI)では、このうち6000万円が節減できる。

③ 残り9000万円は県が負担するので、つくば市に維持管理費用は発生しない。

④ PFIのグランピングに利用されるのはあまり使われていない野球場区画だけ。

隠された事実B:県とのやり取り

県の洞峰公園PFI構想に対し、市は2021年12月28日、県に質問状を出しています。22年2月7日、県都市整備課長から26項目の回答書が送られてきましたが、これに対してつくば市は何も反論をしていません。このため、同課長は「その後、市から(公式な追加質問や反論は)なかったので、市は(洞峰公園リニューアルについて)納得しているという認識だった」と述べています。

ところが22年3月24日に、市長は「洞峰公園は既に完成された環境で、ゆっくり過ごす空間や静かな散歩やランニングコースとして定着している」「(県に)現状を維持する様に(懸念を)伝えた」と、SNS上でコメントしました。

さらに市長は、22年4月13日の記者会見で、PFIの目玉であるグランピング施設やバーベキュー施設について「周辺に対し匂いやアルコール等懸念がある」と述べ、県のグランピング施設整備について、園内地域の用途変更を認めない考えを表明しました。

知事はこの発言に驚き「(五十嵐市長の発言は)突然」であり、「意外な感は否めない」と戸惑いを露わにしました。

隠された事実C:市議会での議論

無償譲渡によって市営化された場合、洞峰公園の維持管理費の負担額について、市議会で重要な議論がありました。

山中真弓議員;市のスポーツ施設の長寿命化計画によると、年間の維持管理費は1億2600万円となり(残り37年間で総額47億円)、市が(市営化された洞峰公園の維持費について)言っている年額3500万円とはかけ離れた数字になる。

飯岡宏之議員;県の(洞峰公園の維持に今後いくらかかるか試算した)健全度調査では施設更新費が約34億円、近年の資材高騰を考慮すると約50億円になる。               

市の情報操作は市民への背信行為

書かれていない事実A、B、Cを見ると、「洞峰公園の自然を守る」にはもっと他の方法(緑地を市が管理し施設は県が管理する)があったはずです。今後の問題解決のためには正確な情報の共有が必要です。

民主主義社会は、市民が互いに情報を共有して公平な議論をすることで、より良い意思決定と安定した社会が得られます。行政が都合の悪い情報(データ)を隠して市民社会に対して情報操作をすることは、市民社会に深刻な不利益をもたらす重大なルール違反です。(元高エネルギー加速器研究機構准教授、元福井大学教授、つくば市在住)

バイデン氏は勝てるか?米大統領選(4)《雑記帳》58

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ルピナスの花(筆者撮影)

【コラム・瀧田薫】2024年11月の米大統領選挙は、前回に続いて、バイデンとトランプ両氏の対決となった。選挙までまだ半年余りあるが、現時点での各種世論調査結果や投票行動分析の専門家の見方では、トランプ氏の優勢を伝えるものが多数を占めており、選挙はトランプ勝利で決まりといった気の早いご託宣を下す向きもある。

前々回の大統領選(トランプ対ヒラリー・クリントン)では、事前調査の数字はクリントン氏の圧倒的優勢を示していたのだが、結果は「まさかのトランプ」勝利であった。この番狂わせで、選挙予測の専門家や世論調査そのものへの信頼感は大きく損なわれた。

近年、若者を中心に無党派層が増えており、これが世論調査の精度を狂わせる最大の要因となっている。無党派層の動向は極めて流動的で、極端な場合、1カ月いや1週間で潮目が変わることもあり、定点観測たる世論調査の網ではすくい上げにくいのである。

今回の大統領選でも、民主、共和両党の支持者に対するグリップ力の衰えとも相まって、無党派層が勝敗を分ける鍵になると見られている。

A・リクトマン教授の選挙予測理論

世論調査の信頼度が落ち込むと、それに代わる方法が試される。アメリカン大の歴史学者、アラン・リクトマン教授が考案した選挙結果予測理論は、有権者の意識ではなく現職大統領とその政権与党の強さ(支持率)と政策実績を分析対象とする。この理論によって、彼は1984年以降の10回の大統領選のうち9回で勝者を正しく予測してきた(毎日新聞「驚異の的中率を誇る教授に聞く」2023年12月23日付)。

この理論の具体的な方法は、「ホワイトハウスへの鍵」と呼ぶ13の指標を取り出し、その指標ごとに現職大統領と政権与党を査定し、成果が上がったかあるいはライバルに優っている指標については〇を、成果が上がっていないかライバルよりも劣っている指標については✕をつける。

最後に〇の数を数え、13指標中8以上で〇がつけば、現職の再選もしくは政権与党の指名候補者が大統領選に勝利すると判定される。なお、ラクトマン氏は今回の選挙の分析をすでに実施している。

ラクトマン理論が成果をあげた理由は、13の指標を選び出す困難かつ長期にわたる試行錯誤に彼が耐えたこと、さらに13の指標が精妙なバランスを保ってお互いを支え合うように工夫し、それに成功したことにあると思う。ただし、この理論にも欠点がないわけではない。理論に従って予測がされても、その賞味期限は意外に短いということだ。

バイデン氏にまだチャンスあり

そう言っては身も蓋(ふた)もないが、昨年12月時点でのラックマン教授の判定はすでに期限が切れている。今後、適当な時期に彼が再判定を下すのを待つか、13の指標に沿って自分自身で判定を下すこともできる。筆者の最近の判定では、バイデン氏にまだチャンスはあると出た。具体的には、残り半年、経済面(インフレへの対処、財政赤字への対処)で実績を上げることが重要な条件となる。(茨城キリスト教大学名誉教授)

職員の名札、名字のみに 土浦市役所 顔写真など削除

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新しい名札を示す塚本人事課長=土浦市役所

土浦市役所職員の名札から1日、顔写真と下の名前が削除され、所属と名字のみになった。全国の他の自治体では窓口でのトラブルなどにより、氏名をインターネット上で検索され個人情報を調べられたり、SNSに書き込みをされるなどの事案が発生していることから表示を変更した。

これまでは顔写真と所属、名字と名前のフルネームを記載していた。市によると今年に入り、窓口対応に当たっていた若手女性職員の顔写真入り名札が、写真に撮られる事案が発生した。現時点でネットに掲載されたなどの被害は確認されていないが、職員の不安を払拭(ふっしょく)し、安心して勤務できる環境を確保しようと名札を変更した。

新しいデザインは庁内で公募し、11点の中から職員が投票で選んだ。市のテーマカラーの青藍(せいらん)色を用いたシンプルなデザインとなっている。

変更前(左)と変更後の名札のデザイン

市によると、名札を名字のみの表示に変更した市は県内で、笠間市(昨年8月から)、取手市(同12月から)、つくばみらい市(今年1月から)、守谷市(同2月から)で、土浦は5市目。

安藤真理子市長は「顔写真がある方が市民が親しみを持つという意見もあるが、いろいろなことを頻繁に言ってくる市民もおり、対応に心砕かれる職員もいる。職員を守らなくてはならない。個人情報に対する意識が以前より社会全体で高まっているなど時代の流れもある。職員が安心して仕事ができるよう環境を整えたい」と話す。

市社会福祉協議会、産業文化事業団、観光協会職員の名札も1日から市職員と同様、所属と名字のみに変更になる。一方、市長、副市長、教育長など特別職はフルネーム表記のまま。

土浦博物館の展示に誤り? 歴史論争が再燃《吾妻カガミ》180

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土浦市立博物館

【コラム・坂本栄】つくば市小田に拠を構えた小田家の祖、八田友家をメーンに扱った土浦市立博物館の展示内容に誤りがあると、土浦在住の高橋恵一氏が指摘してから2年が経ちます。この間、博物館が疑問にきちんと答えていないことに怒り、高橋氏はコラム66で「八田友家の『筑後氏』名乗り説は誤り」(3月20日掲載)と、再び博物館に論争を挑みました。

鎌倉殿の13人の1人、友家

博物館は、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年1月9日~12月18日)の放映に合わせ、特別展「八田友家と名門常陸小田氏―鎌倉殿御家人に始まる武家の歴史―」(同3月19日~5月8日)を開催しました。

この企画について博物館は「約600年にわたる時間軸の中で、友家から始まる15代の当主、さらにはその系譜をたどったものです。これほどの長きにわたり、滅びることなく土浦・つくば地域を支配し続けることは容易ではありません。さらに展覧会では関東の名門武家として認識されていくさまも紹介しています」と解説していました。

鎌倉殿(鎌倉幕府初代将軍・源頼朝)が家臣13人をどうコントロールするのか? それを脚本家・三谷幸喜氏がどういったストーリーで見せるのか? こういった興味を持ち、「鎌倉殿の13人」には毎回チャンネルを合わせましたが、13人の1人、友家を祖とする小田氏15代を扱った特別展はうっかり見逃しました。

博物館は「筑後」を誤解釈?

ということで、私にはこの論争の中味について論評する資格はありません。それに、鎌倉時代の歴史については高校教科書のレベルです。しかし、高橋氏が博物館に提出した要請文「小田氏の始祖・八田友家の苗字変更説の訂正を求める」(3月13日付)を読み、これは見過ごせないと思いました。

高橋氏の論点(中世史学者・糸賀茂男館長が率いる博物館の展示内容への疑問)を私の貧しい読解力でまとめると、以下のように超要約できます。

博物館は八田友家の官職名「筑後」を苗字(博物館の言い方は名乗り)と解釈、つまり鎌倉幕府の歴史書・吾妻鏡を誤読し、苗字が「小田」でなく「筑後」だったとする誤解釈を基に、初代友家から3代泰知までは小田に本拠を置いていなかったとの説を展開。こういった誤解釈によって、小田氏初期の歴史が歪曲されている。

市民は博物館の展示を信用!

高橋氏が最初に疑問を呈したのは、コラム47「…土浦市展示に事実誤認あり」(2022年4月20日掲載)でした。これに対し、博物館は寄稿「『…事実誤認あり』に応える」(同4月27日掲載)で反論しましたが、説得力に欠けるものでした。

冒頭リンクを張ったコラム66によると、誤解釈は博物館の展示にとどまらず、糸賀氏が執筆に関わった県内の市町村史でも展開されているそうです。高橋氏はこういった誤りの広がりを憂慮、「自治体の刊行物、博物館の展示内容は、市民が最も信頼する情報です。… 訂正すべきでしょう」と述べています。

糸賀氏の学説が誤りだとすれば、博物館はその説を広げる場として利用されたことになり、市営文化施設の在り方としては何か変です。(経済ジャーナリスト)

<注> 青字の日付をクリックすると、そのコラム・記事・資料が読めます。

今季初勝利 新加入の小田川が決勝点 つくばFCレディース

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後半43分、小田川(右端)の左足シュートがゴールに吸い込まれる。小田川は今季、VONDS市原から移籍加入した(撮影/高橋浩一)

プレナスなでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)2部のつくばFCレディースは31日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムで第3節を行い、福岡J・アンクラス(本拠地・福岡市)を1-0で破り、今季初勝利を挙げた。通算成績は1勝2敗で12チーム中7位。次節は7日、大和なでしこスタジアム(神奈川県大和市)で大和シルフィードと戦う。

プレナスなでしこリーグ2部・第3節(3月31日、セキショウチャレンジスタジアム)
つくばFCレディース 1-0 福岡J・アンクラス
前半 0-0
後半 1-0

前半27分、内藤からのスルーパスは中央の小西由利恵に合わず(同)

新シーズンを連敗でスタートしたつくばは、今節の初勝利に照準を合わせて準備を進め、この日はウォームアップの段階から全員の気持ちが高まっていたという。「全員で戦え、試合内容も今季一番だった」とボランチでゲームキャプテンの内藤夏鈴。「まずは気持ちで絶対負けないという意気込みで、自分たちのペースで戦えた」とFWの赤嶺美月。

立ち上がりこそやや硬さが見られたが、中盤の攻防では相手を上回る動きの良さを見せ、前半で許したシュートはわずか1本。つくばは5本のシュートと8本のコーナーキックなどで相手ゴールに迫ったが、なかなか得点は生まれない。前半33分には内藤が絶好の位置でフリーキックを得たが、蹴ったボールはバーを直撃。34分には赤嶺がスルーパスに抜け出しシュートを放ったが、相手GKがジャンプしてはじき出した。

前半34分、赤嶺のシュート。赤嶺は前節、なでしこリーグ通算150試合出場を達成した(同)

後半のつくばは右サイドハーフに工藤古都子を投入、さらに左サイドバックの村上奈央を右の小田川真奈と入れ替え、右サイドの活性化を図る。後半も攻撃回数では相手を圧倒するが、やはり得点には届かない。

後半43分、ついに均衡が崩れた。コーナーキックの流れから、石井有紗のループシュートを相手GKがはじき、赤嶺が拾って中央の小田川へ送る。このボールを小田川が反転しながらダイレクトでシュート。敵味方の間をすり抜けてゴールに吸い込まれた。「背中を向けていたがゴールの位置は分かっていたから、振り向きざまに打った。得点で勝利に貢献できてうれしい」とのコメント。

石井は後半36分に村上と替わって投入。後半もセットプレーは多く、長身の石井はターゲットとしての役割も期待されていた。「コーナーからのこぼれ球を押し込む形は練習のときから多くつくれていた。チャンスはたくさんあったのでもっと早く決めたかった」と、キッカーを務めた内藤。

後半26分、内藤がドリブルで攻め込む(同)

「1点取ってゼロに抑えたのは自信につながる。自分自身もチームのためにしっかり走り回れたと思う。次は得点で貢献したい」と赤嶺。「チームとしてもアグレッシブに、攻守にたくさん走って、見ていて楽しいと思ってもらえるサッカーをしたい」とも話す。

「攻撃の精度を高めたい。3点取れる攻撃的なチームを目指している」と話すのは、今季から采配をふるう佐藤誠一郎監督。日立一など名門校の監督を歴任し、2019年には水戸商を高校総体出場に導いた。「同じサッカーだが男子高校生と社会人の女性では勝手が違う部分も多い。言葉のかけ方や練習のコーディネートなど工夫しながら、高校サッカー指導歴38年のキャリアをベースにトライしている」という。

今年で水戸商を定年退職、チームには2月中旬に合流したばかり。ここからの名将の指揮の冴えに期待したい。(池田充雄)

佐藤監督を中心に、今季初勝利の記念写真を撮るつくばFCレディースイレブン(同)

関東大震災クラスの大震災に備えて《くずかごの唄》137

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】関東大震災から100年。再び、関東地方に同じような規模の震災が起こるのではないかと、私はびくびくしている。

関東大震災。1923年(大正12年)9月1日のお昼時、どこの家でも炭や薪(まき)でご飯を炊いていた時だった。倒れた木造の家から発火、町の中2~3か所に火の手が上がったという。

私の母は妊娠中。大きなお腹を抱えて、父と姑(しゅうとめ)3人で新富町の家から皇居前広場に逃げた。途中、銀座通りを横切る時、火の玉が勢いよく飛んできて、危うく火まみれになるところだったという。

皇居前広場で3日間野宿。当時、朝鮮の人に対する差別があって、「朝鮮人が井戸に毒を入れたから水は飲んではいけない」と言われ、飲ませてもらえなかったのがつらかったという。その後、母は芝公園で出産し、私の兄、加藤尚文が生まれた。兄の戸籍謄本には出生地「芝公園」と記入されていた。

母の実家の母親(私の祖母)も震災後に亡くなり、6人の弟たちの面倒も見なければならず、母は心身ともに極限に陥り、震災後10年間、子供をつくることができなかったようだ。

当時、焼け野原の都心から、阿佐ケ谷、荻窪方面に移住する家族が多かった。我が家も、荻窪のノラクロ漫画の作者・田河水泡(たがわ すいほう)さんのお隣りに住み、私はそこで生まれた。

私が言葉を覚え始めた頃、母から震災の恐怖を何十回となく聞かされて育った。10年目に生まれた娘に、その時に体験した恐ろしさを語ることで、やっと母は自分を取り戻すことができたのではないかと思う。

いざという時は雨水を利用

今年の能登半島地震も、飲料水など生活用水で苦労している。100年前の関東大震災と変わらないのではないかと思う。

近くの池の水、川の水、昔使っていた井戸の水。身近にある水の水質を、今は簡単に調査できる器具がたくさんある。調査しておけば、「いざという時に」何かと便利なのではないかと思う。

雨水の積極的利用も有効。昨年、土浦の自然を守る会のどんぐり山を見に来てくれた村瀬誠氏(薬学博士)は、地面にヒ素が含まれていて井戸水が使えないバングラディシュでは、雨水利用を積極的に実行していると話している。

関東地方にあり過ぎるマンションの屋上にちょっとした細工をすれば、災害時に備えての雨水利用が有効に働くと思う。(随筆家、薬剤師)

「合理的配慮」訴え つくばでパレード 県障害者権利条例9周年

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太鼓の軽快なリズムに合わせて声を上げる参加者たち

障害者への差別を禁止する茨城県障害者権利条例施行9周年を記念して、条例をつくる活動に取り組んできた障害者団体「茨城に障害のある人の権利条約をつくる会」(事務局・水戸市)の関係者らが30日、つくば市内でパレードし、4月1日から民間事業者にも義務付けられる「合理的配慮」の必要性を訴えた。

合理的配慮は、スロープを設置して段差をなくす、筆談できるようボードや筆記用具を提供するなど、障害者から対応が必要と伝えられた時に障害の特性に応じた配慮を提供すること。改正障害者差別解消法の施行により4月から民間事業にも提供義務が拡大される。

パレードでは、つくば市内や県内外から駆けつけた障害者と支援者ら約50人が、同市天久保、筑波メディカルセンター前から、同市竹園、つくばカピオ前までの約2キロを歩いた。

参加した聴覚障害者で筑波技術大2年の小林萌楓さん(20)と同大大学院OBの石綿智樹さん(24)は「つくば市内では筆談に応じてくれたり、こちらに口の動きが伝わりやすいように会話の時にマスクを外してくれるなど、飲食店などでも障害に理解があるところが多い」としつつ、「街灯が増えるといい」と話す。街灯が少ないため、夜間に道路を歩くと近づく車や自転車に気づくのが遅れることがあるという。

石綿さんは「私たちはクラクションが聞こえない。車がこちらに気づいても聞こえないので反応ができず、事故に遭う不安がある」と言う。また「夜間に友人と歩く際、街灯が無くて暗いと互いの手話が見えないので、コミュニケーションを取るためにわざわざ遠回りをして帰らなければいけないこともある」と語る。小林さんは「合理的配慮が義務化することで、当事者がどんな配慮が必要か言いやすくなると思う」とし「障害者は孤立しやすいところがあるので、周囲の理解が進むのでは」と期待する。

建設的な対話がポイント

「茨城に障害のある人の権利条約を作る会」共同代表の八木郷太さん(右)

同つくる会共同代表の八木郷太さん(27)は、合理的配慮義務化の周知不足を指摘し「当事者と事業者が建設的に対話をすることが大きなポイント。スロープの設置などどうしても物理的な話が先行しがちだが、スロープがなくても後ろから押せば入店できることもある。障害者がお願いしたことに対して『できる』『できない』ではなく、話し合いで落としどころを見つけていくことが大事」と語る。

さらに9周年となる条例について「条例があることで、当事者と行政、事業者が対話の場を持てる」と八木さんは言い「条例により県に差別相談室ができ、県と協力する場を持てている。行政、当事者、事業所が話し合いの場を持つことで、障害者の側から一方的に配慮を求めるのではなく、求めているものを説明し、事業所と現段階でこれならできると話し合える」とし、「街が一気にバリアフリーになるのは難しいが、対話を通じて徐々に合理的配慮を提供する店が増えていくことが大事になる」と話す。「最初は車椅子でも食事ができるようにテーブルを動かすことからでも、今度は簡単なスロープをつけようとか、視覚障害者が来たらこんな対応をしようとか、関係を積み重ねることで、対応は変化していくはず」と述べる。

「パレードを通じて合理的配慮について広く知ってもらいたい。当事者も知らない人が多いので、配慮を当たり前に求めていいと知ってもらいたい。迷惑をかけると思ってしまうと言えなくなってしまうが、伝えることで対話が生まれ、事例が積み上がる。すぐに100点にはならないと思うが、事業者と行政、当事者が共に経験を重ねながら地域の合理的配慮を育てていければ。結果として街が変わっていけばと思う」と今後へ期待を話す。

県障害者権利条例(障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例)は、障害者団体が制定を働き掛け、議員提案により2015年4月1日に施行された。差別の禁止のほか、差別に関する相談、調査、助言やあっせんなどについて定めている。(柴田大輔)

「保幼小連携」の推進を考える《令和楽学ラボ》28

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5歳児と小1年生の交流。写真は筆者提供

【コラム・川上美智子】保育園や幼稚園の5歳児と小学校1年生の間には大きな学びのギャップがあると言われ、そのギャップを埋めるため、幼児のアプローチカリキュラムと小学校1年生のスタートカリキュラムが始まり8年が過ぎました。この間に、新型コロナウイルスの流行などで中断を余儀なくさせられましたが、つくば市内では5歳児と小学校1年生の年2回程度の交流が始まっています。

本園の場合は、園児が香取台小学校を訪問し、1回目は小学生が制作した工作物を使ってお店屋さんごっこ遊びの体験交流をしました。2回目の訪問では、小学1年生がこの1年で勉強した科目ごとの学びを保育園児に紹介してくれました。

どちらの訪問も、園児にとって初めての小学校体験とあって、保育園で見せる幼い顔とは異なり緊張した面持ちで45分間をビシッと過ごし、1歳違いのお兄さん、お姉さんの立派な姿を前にして頑張りを見せてくれました。たった2回の交流でしたが、園児にとっては小学校のイメージをつかむ大事な機会となり、4月の入学を楽しみにしています。

ところで、8年前の幼保小連携のスタート時には、茨城県教育委員として県内のモデルとなる小学校をいくつか視察し、小学校入学時に求められる学習レベルの高さに驚かされました。

ゆとり教育の時代には、自分の名前が読めればOKと言われていたのに、現在ではひらがなの読み書きや数の理解など高度な力が求められます。幼児期は「学びの芽生え」として、「遊びを通して学ぶ」が強調されてきましたが、得手不得手もあり、遊びを通して自然に学ぶだけでは限界があるように思われます。ワークなどを使った系統的学び無しには、どうしても漏れが出てしまいます。

5歳~小1は人格形成の架け橋期

園では、3歳児から少しずつ楽しく学びを進めるカリキュラムを組み、年齢に合ったワークを活用してきました。また、興味・関心の幅を広げ、自ら主体的に取り組む何かを見つけるため、体操、リトミック、ヒップホップ、英会話、ピアノなどが学べる環境も整えてきました。

国が早期教育の重要性を認識し、保育園を幼稚園と同じ教育施設として位置づけ、「保育所保育指針」を改訂して就学前教育をスタートさせた2018年、各園には小学校へつながる学びの連続性を意図した「全体的な計画」の策定が義務づけられました。さらに国や県は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を提示し、年間保育計画を立てるよう求めました。

しかし、現場はまだ手探り状態で、指導者である保育士もこの大きな改革を十分理解はできていません。そのような中、さらに文科省は昨年「学びや生活の基盤をつくる幼児教育と小学校教育の接続について~幼保小の協働による架け橋期の教育の充実~」を公表しました。

それによれば、幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、5歳児から小学校1年生の2年間を「架け橋期」と称して、0歳から18歳までの学びの連続性に配慮しつつ「架け橋期」の教育の充実を図るよう求めました。

その重要性を理解しつつも、保育園も小学校も、現場が忙しい中でこれ以上推進を図ることの難しさを感じているのが現実ではないかと思います。私自身はこの3月末で園を去りますが、つくばに蒔(ま)いた種を、現場がしっかり引き継いでくれるよう期待しています。(茨城キリスト教大学名誉教授、みらいのもり保育園園長)

日本最大級の「ねこハウス」4月1日オープン つくばわんわんランド

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つくばわんわんランド内に4月1日オープンする「ねこハウス」

40種70匹と触れ合い

猫ブームの中、日本最大級の猫との触れ合い施設「ねこハウス」が、つくば市沼田、犬と猫のテーマパーク「つくばわんわんランド」(東郷治久代表)内に新設され、4月1日オープンする。40種類70匹の猫と触れ合ったり、一緒に遊んだり、えさをやったりできる。

珍しい猫がたくさんいる室内。(上段左から)スフィンクスの毛づくろいをするトイガー、サイベリアン、アビシニアン(下段左から)ラグドール、ジェネッタ、ベンガル

マンチカン、スコティッシュフォールドなど人気の猫のほか、スフィンクスやバンビーノなどの珍しい種類、日本ではブリーダーが1軒しかいない新しい種のバーミラなどがいる。オープンにあたって北海道や和歌山など全国のブリーダーから人気の猫や珍しい猫を集めたという。

施設は木造平屋建て、床面積約200平方メートルで、室内には猫が上り下りする大型のキャットタワーが3基設置されている。同園として3代目の施設となり、現在の2代目ねこハウスの2倍以上の広さがある。

ねこハウス外観

現在のねこハウスは1回の入室者を30人までに制限していることから、混雑時は猫と触れ合いたい入園者が待たされたり、入室できないなど、残念なまま帰宅する入園者がいて、新施設を開設することになった。新施設は一度に60~70人が入室できる。

29日、関係者が集まって神事とテープカットが催された。東郷代表は「猫がブームになっていて、猫派が急に増えていると感じる。当初は犬と触れ合うついでに猫と触れ合ったが、今は犬を見ないで猫だけ見にくるお客様も増えている。レアな猫がたくさんいる。お客様の声に応えていきたい」と話す。

テープカットする東郷治久代表(中央)ら=ねこハウス内

同園は、90種1000匹以上の犬と、40種70匹の猫がおり、触れ合ったり、犬を散歩させたりできる。園内や周辺にはブリーディングハウス、ペット専門学校、老犬ホーム、ペット葬祭場がある。今年28周年を迎える。

一方、えさ代や光熱費などの高騰により、4月1日から25年ぶりに入園料を値上げする。新しい入園料は大人(中学生以上)2000円(ウェブサイト割引券使用は1700円)、子供(3歳~小学生)1000円(同800円)、乳児(3歳未満)無料、65歳以上1000円。同伴犬は無料。問い合わせは電話029-866-1001(同園)。