選挙結果に危機感
2月8日投開票の衆院選で与党が大勝した結果を受け、戦争や差別への懸念を訴える若者たちが21日、「戦争と差別 もうたくさん!」などと書かれたポスターを手に、つくば駅前のつくばセンター広場で街頭に立った。外国にルーツを持つ若者を中心に80人余りが、それぞれが抱く経験や思いを語りながら、「声を上げ続けることの大切さ」を訴えた。
大学院生が呼び掛け
スタンディングデモを呼び掛けたのは、つくば市在住の大学院生、ハナさん(25)。日本とナイジェリアにルーツを持ち、つくばで生まれ育った。2週間前の衆院選で、与党の自民党が大勝した結果について、「自分にとっては衝撃的だった。食べ物は高く、賃金は低い。毎日生活が苦しい状況で、軍事費を上げようとする。日本が戦争に向かっているように感じた」と語る。
ハナさんは、近年強まっていると感じる排外主義や差別に対する危機感も、デモ開催の理由の一つだという。ハナさん自身も、生活の中で差別を感じた経験がある。物件を探していた際、「アフリカ系のハーフだから難しい」と断られたことがあり、不動産業界でも外国人風の人を断る家主が増えていると説明されたことがある。
選挙戦の中では、つくば駅前で外国人排斥を訴える候補者を見ることもあった。「多様な人が暮らすつくばで、外国人を追い出せという声があるのは悲しい。ネット上でも差別的な言葉をよく見るようになった。それが訂正されないまま広がっているのが怖い」とし、「外国人や性的マイノリティ、女性など弱い立場の人が切り捨てられ、スケープゴートにされ、対立があおられていると感じる」と話す。

中高生らも参加
デモには多様な背景を持つ学生が参加した。中国で生活し、現地で反日デモを目撃した経験を持つ中学2年の参加者は「今の日本の状況には複雑な気持ちがある」と話す。「日本人だけど、中国語が話せるというだけで嫌なことをされたり、言われたりしたことがある。それはおかしいと思う」。一方で、多様な言語や文化に触れる経験は自分の世界を広げたとも語り、「いろんな人を受け入れる社会になってほしい」と訴えた。
市内在住の高校3年ジボフスキー・ニキータさんは、「外国人への嫌悪と闘いたいと思って参加した」と話した。同じく高校3年のマッコイ・キリアンさんは「私の家族も差別を経験してきた。差別のない平和な世界をつくっていきたい」とし、高校2年の荒木茉莉花さんは「戦争や差別のない世界にしたい。一つの国のことを語るにも、その国の中にもいろいろな立場の人がいることをしっかり考えなくてはいけない」と、国や立場によって単純に善悪を決めつけない視点の大切さを強調した。
「市民運動の力示したい」
ハナさんは、2年前から仲間たちと声を掛け合い、パレスチナ連帯を訴えるスタンディングを毎月開催してきた。そこで感じてきたのが今回のデモのテーマの一つでもある「市民運動の力」だとし、「選挙結果を見ると、みんなが差別に賛成しているように見えるかもしれない。でも、実際には反対している人は多い。パレスチナに関してもそう。その声を見える形にしたかった」と話す。また、外国にルーツを持つ人が政治について発言すると批判されることがあるとしながら、「日本に住んでいる人なら誰でも、差別は嫌だと言う権利がある」と強調し、「裏金問題や統一協会との関係など、批判されるべきものが批判されないまま、憲法改正が押し進められようとしている。私たちは、そんなこと望んでいない。差別は嫌だ、戦争は嫌だという当たり前のことを、当たり前に言える社会にしたい」と訴えた。
会場には、通行人も自由に思いを書き込めるように付箋と大型の模造紙が用意された。スピーチも誰でもできるようにし、「みんなの声を可視化する場にしたい」という思いが込められた。
来場した牛久市の細谷一明さん(62)は「23歳と17歳の子どもがいるが、彼らを戦争に行かせたくない。雰囲気に流されないよう、声を上げることが大切」と語った。(柴田大輔)






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