水曜日, 4月 24, 2024
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園児と児童がけが つくば市立幼稚園と小学校で昨年12月

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つくば市役所

つくば市の市立上郷幼稚園と沼崎小学校で昨年12月、それぞれ園児と児童がけがを負い医療機関を受診する事故が発生していたことが分かった。市は、19日開会の市議会定例会に事故の報告議案を提案する。

上郷幼稚園では、教室で工作をしていた園児が、誤って相手の園児の指先を切ってしまい、5歳の園児が左手薬指の指先と爪の先に切り傷を負った。沼崎小では小学6年の児童が校庭に落ちていたくぎを踏み、足の裏にけがを負った。

年齢に合わせた教材選びへ

同市教育局学務課によると、上郷幼稚園の年長児の教室で昨年12月21日午後2時45分ごろ、厚みのある段ボールをはさみで切る工作を実施し、一人の園児が左手で段ボールを抑え右手ではさみを持ち段ボールを切っていた。作業を手伝おうと、別の園児が反対側から段ボールにはさみを入れたところ、誤って、段ボールを抑えていた相手の園児の左手薬指の指先を切ってしまった。

当時、教室には担任など教諭らが3人いたが、事故時は別の子どもたちを見ていて、けがをした園児らを見ていなかった。

同園は止血など応急処置をし、教諭2人がけがをした園児を医療機関に連れて行ったが、処置が難しいと言われ、園児は同医療機関から救急車で総合病院に運ばれ治療を受けた。全治2週間と診断されたが、爪の傷の回復が長引き、3月の春休みまでに完治したという。

市は、材料の段ボールに厚みがあり、5歳児にははさみで切りにくかったとして、今後、年齢に合わせた教材選びをするよう改善していくとしている。

同幼稚園を管理する市は園児や保護者に対し、治療費など6万9475円を支払うことで3月中旬に和解したとしている。

体育倉庫周辺を立ち入り禁止に

沼崎小学校では昨年12月22日午前9時15分ごろ、校庭で、6年生がレクリエーションで鬼あそびをしていた時、児童の一人が校庭の鉄棒付近で、落ちていたくぎを踏み、右足の裏にけがを負った。

市教育局教育施設課によると、くぎは長さ2.5センチくらいで、靴を貫通し児童の足の裏には血がにじんでいたという。児童は保健室で消毒などの応急処置を受け、連絡を受けた保護者と医療機関で治療を受けた。

くぎは、鉄棒近くにある古い体育倉庫の建物から抜け落ちたとみられるという。市は事故発生を受けて、体育倉庫周辺に児童が近づかないよう、エリアを定めて児童を立ち入り禁止にしている。体育倉庫には体育の備品などが入っており、必要な場合は教員が出し入れをしている。

同小を管理する市は、児童と保護者に対し治療費など2万4202円を支払い4月10日に和解したとしている。

町の「光」を観る《デザインを考える》7

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焼き畑の女たち(左)、コド漁

【コラム・三橋俊雄】1988年、私が所属する研究室に、新潟県のS町から「観光開発基本計画」の依頼がありました。S町は大小48の集落が河川流域と海岸線に沿って分布し、約1万人の人びとが居住している高齢化・過疎化の進む町でした。

私たちは、本計画案策定にあたり、「観光」の本来の捉え方を、古代中国・周時代の『易経』にならい、「町の光を観(み)る」ことに置きました。はじめに、半年をかけて「町の光」の総点検を行うことにしました。その「光」のいくつかを、写真とあわせて紹介しましょう。

焼き畑の女たち

S町の焼き畑は8月お盆にかけて行われ、主人公は女たちです。この町特有の「ボシ」と呼ばれる頭巾(ずきん)をかぶり、ナタやクワを手にして、焼き畑の左右の縁に陣取ります。深夜零時に火入れ、その後、枯れ草に火を移しながら、山の上部から下部へ向かって順に広げていきます。

火は次第に燃え広がり、隣接しているスギ林や夜空までをも鮮やかに浮き出させます。飛び火や延焼から火を守る女たちの堂々とした姿は、めらめらと燃え盛る炎に照らされて、エロティシズムさえ感じさせるほどです。明朝、灰の熱いうちに赤カブの種をまきます。

コド漁

サケの上る道を推定して川底の砂をかき取り、「スジ」と呼ばれる魚道を作ります。その魚道の脇に、流れと直角に雑木の柵を打ち込み、その上に笹をかぶせます。川を上ってきたサケが、笹の下のよどみで一休みしているところを、長い竿(さお)の先にある「カギ」で素早くかき取ります。この伝統的な漁は9月から12月まで行われます。

シナ布(左)、奉納相撲

八幡様の奉納相撲

筥堅(はこがた)八幡宮のある集落では、氏子たちが中心となり秋季例大祭が催されます。小中学生が担ぐ子ども神輿(みこし)には大人たちが大きな声でゲキをとばしたり、神輿の方向を直したり、あれこれ世話を焼き、女子高生とお母さんたちは、そろいの浴衣姿で「勝木小唄」や「佐渡おけさ」などを踊りながら、集落を練り歩きます。また、境内では庄内・越後の対抗奉納相撲がおこなわれます。

シナ布

シナ布は、北日本に多く自生するシナの木を原料とする、麻に似た感触の織物です。その工程のほとんどが昔ながらの手仕事で、豪雪地帯における冬場の家内仕事として細々と受け継がれてきました。Kさんは、その「シナ織」の技術を用いてバッグなどの製品化を試み、郷土工芸の一つとして、町の欠かせない物産となっています。

内発的な地域づくり

このような事例から、人びとの「町の光を消してはならぬ」との強い思いを見てとることができます。「観光」とは、日常の暮らしの中に「光」を発見し、それらを地域の「誇り」や「喜び」として再確認し、守り、磨き、町内外に「知らしめ」「分かち合う」ことであり、それが「町の光を観る」という、内発的な地域づくりの姿勢であると強く感じました。(ソーシャルデザイナー)

新商品開発プロセスや地域古来の文化を紹介 つくばのワイナリー メルマガ創刊

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メールマガジン

ブドウ栽培の仲間を増やしたい

つくば市栗原でブドウ栽培とワインづくりを営む「つくばヴィンヤード」の高橋学代表(69)は、ブドウ畑の1年を紹介し、栗原醸造所として生産するワインについてつづったメールマガジンの配信を始めた。

以前からインターネット上にホームページを開設しているが、より能動的に情報発信し、商品開発のプロセスやブドウ栽培の面白さ、苦労などを伝えるのが狙いだ。

メールマガジンは今年2月に創刊され、PDF形式のファイルが添付されメール配信される。現在第4号が配信されたところで、月1回の発信ペースも安定してきた。

つくばヴィンヤードの高橋代表(左)

「正直なところを言うと、ワインの原料となるブドウ生産の人手が足りないのです。昨年、猛暑などの影響が出て畑仕事が追い付かず、ブドウの一部を収穫できずに廃棄することになりました」

高橋代表は、ホームページの情報発信はアピールの入り口に過ぎないと考え、興味を持ってくれる人々に可能な限りオンタイムなニュースを送り出そうとメールマガジン編集に取り組んだ。

「畑仕事ですから面白いと言いながらも様々な苦労と努力がついて回る。それを伝えながら、一緒にブドウ栽培に従事してくれる仲間を増やしたい。そのためには1年を通したブドウづくりの話と、つくば市の栗原から送り出されるワインの開発プロセスなどの詳細をつづっています」

収穫への下地作りが進むブドウ農場

4月中旬のブドウ畑にはまだ実りの風景はない。しかし広大な農場の隅々まで雑草が摘み取られ土の改良が進み、今年の収穫に向けた準備が行き届いている。スタッフだけでなく、高橋代表の心意気に触れた人々の協力によってブドウ畑は維持管理されている。

メールマガジンによれば、日常の畑仕事やブドウづくりの講習会などに訪れた人の中から、栗原で土地を借り受けたり、それぞれの地元にノウハウを持ち帰ったりしながらブドウの種植えを始めた仲間が増えてきたという。

新商品「栗原の白布」を開発

5月に発売される予定の新商品

今年発売される新商品に、完全瓶内2次発酵スパークリングワインがある。地名を用いて「栗原の白布」と名付けた。メールマガジンはその生産設備導入のニュースや商品展開準備についてまとめている。注目されるのは「栗原の白布」という名称の由来についてつづられたリポート連載だ。

約1300年前にさかのぼり、その名は歴史に登場する。白布(はくふ)とは麻で編まれたもので、栗原の地で生産され東大寺正倉院に税として献上されていた良質の布であるという。

「この逸話はワイン会に参加している人から教えていただきました。栗原はそれほど素晴らしいところだったのかとうれしくなりましたよ。形は変わるけれど、私たちか栗原でつくるワインにこの名前をいただき、さらに未来へと橋渡ししたい。つくばの栗原からワインづくりという情報を発信をする上で、このことは非常に大事なことだと考えています」

メールマガジンで紹介されている製造機械の写真

これまでは、つくばの地でワインができるという意外性が耳目を集めてきた。気候風土は、決して信州や甲州に引けを取らないという自信にもつながった。

この豊かな風土は遠い過去においても白布生産の形でモノづくりの礎を残していた。地域の人々からも「畑を耕すとたくさんの土器が出てくる」と教えられていたが、つくばヴィンヤードでも破損の少ない弥生土器が出土し、ヒトが営む文明・文化の痕跡を見出すことができる。白布の逸話に出合ったことで、栗原のワインはそれを継承する農業文化の一つとして歩を進めたことになる。

メールマガジンの連載は魅力にあふれた郷土史の域にまでリポートを拡げている。この勢いを月に一度配信するのは大変ではないかと高橋代表に尋ねると、楽しげな答えが返ってきた。

つくばのブドウ栽培を地域の文化に

「『栗原の白布』については次回のリポートで完結します。まだまだ伝えたいことがたくさんあるんです。もともと研究者でしたからリポート作成は苦にならないし、業務の報告書をまとめることに比べたら楽しいことこの上ありませんよ」

「栗原の白布」は新たに導入された瓶詰機械を通し、専用のエチケット(ラベルのこと)デザインが出来上がるのを待つ状態。順調に準備できれば5月中旬に発売される予定。次号メールマガジンのトピックとなりそうだ。(鴨志田隆之)

◆つくばヴィンヤードのホームページはこちら

◆つくばヴィンヤードの過去記事はこちら
➡地元ホテル、ワイナリーとコラボ(23年10月23日付
➡つくばワイン特区第1号のワイナリー稼働(20年10月16日付
➡つくばワイン育てる土壌つくりたい(19年1月24日付
➡つくば市がワイン特区に認定(17年12月27日付

つくば洞峰公園問題を総括する《吾妻カガミ》181

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茨城県庁(左)とつくば市役所

【コラム・坂本栄】寄稿「つくば洞峰公園市営化で市長が隠していたこと」(4月2日掲載)で、酒井泉氏は市の広報紙「かわら版」30号では市民が共有すべき事実が伏せられていると指摘、市長は民主主義の基本が分かっていないと批判しています。私は、①交渉力の乏しさ、②財政運営の甘さ、③市民調査のおかしさ―について指摘しておきます。

明らかな事実A:器量不足

コラム175「… 県案丸呑みの不思議」(1月15日掲載)で、「県から公園を無償で譲り受けるに至るプロセスで、知事と市長の間でまともな話し合いが無く、…維持管理費を丸々押し付けられた」と書きました。

国と県が主導して建設した学園都市の洞峰公園は、県の財産であると同時に市民が自慢する公園です。こういった施設の運営方法をめぐって、知事と市長の意思疎通が2年にわたり不十分であったというのは異常です。

175で引用した市議の発言によると「市長が知事にアポを取って話し合ったことは一度もない。何度も直接協議するよう求めたが、その気配すらなかった」「一部市民から県の計画に反対する声が出たあと、市長は県に懸念を伝えたとSNS(ネット発信ツール)に書き込んでいた」そうですから、市長の交渉力(首長に必須の器量)には疑問符が付きます。

明らかな事実B:甘々財政

洞峰公園問題は、園内の野球場に設けるアウトドア施設の運営益を公園管理費の足しにしたい県と、都市公園をいじらないよう求める市がぶつかる形で始まりした。結局、公園部分どころか体育館施設も市に移管されましたから、管理費負担の面では県の勝利でした。

「かわら版」では、公園市営化で「…樹木が立ち並ぶ緑豊かな環境」が維持できると、プラス面を強調しています。新規財政負担(マイナス面)に触れたのは「維持管理費約1億5000万円/年度 目標使用年数(80年)を実現するための施設修繕費約3500万円/年度」の1行だけです。財政面での敗北を知られたくなかったようです。

171「…『劣化』容認計画」(23年11月20日掲載)でも取り上げたように、1億5000万円+3500万円の年間経費は、園内施設を修理~修理で済ませ、老朽化しても更新しない「ケチ・ボロ」計画です。こういった雑な施設維持に加え、将来必要な体育館建て替えなどを考えると、甘々で無責任な財政運営です。

明らかな事実C:誘導操作

「かわら版」では、洞峰公園を無償で譲り受けることの是非を聞いたアンケート結果を紹介しています。それによると、「賛成」+「どちらかといえば賛成」が74%だったそうです。

172「…市の変な調査」(23年12月4日掲載)で、「これは市民の判断を『昰』に誘導する手法であり、市民の声をきちんと聞く調査とは言えません」と書きました。そして、この種の調査の基本である回答者無作為抽出を避けており、「調査の体を成していない」と指摘しました。

市の調査は、希望者だけに回答用紙を箱に入れさせる+市のHPに書き込ませる方式ですから、賛成者を動員することで結果を操作できます。市民の声を公平に聞くには、新聞やテレビが実施する世論調査方式(回答者を無作為に選ぶやり方)でなければ意味がありません。「賛成74%」はこういった誘導操作で作られた数字です。

クリアになった迷走の構図

緑地部の現状を維持し市の負担を抑える方策はなかったのでしょうか? ありました。例えば、153「…住民投票が必要?」(23年3月20日掲載)で示した霞ケ浦総合公園方式(土浦市と県が共同管理)です。体育館などは県に任せ、緑地部などを市が管理する方式(管理下の野球場はいじらない)で、これなら市の財政負担は半分以下で済みます。

試しにアウトドア施設を認め、迷惑施設と分かったら撤去させる手もありました(逆に大騒ぎするような施設ではないことが分かったかもしれません)。これなら市の負担はゼロです。いずれの策も、力量不足(A)では無理だったでしょう。結果、財政負担(B)が生じ、AとBをごまかすために市論操作(C)に動いた―これが洞峰公園問題の構図です。(経済ジャーナリスト)

「さくらまつり」と「みんなでゴミ拾い」《けんがくひろば》5

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けんがくさくらまつり(3月末撮影)

【コラム・島田由美子】2月のこの欄で告知した「けんがく さくらまつり2024」が、3月30日、TX研究学園駅前公園の古民家周辺で開催されました。今回はその報告と、けんがく(研究学園駅周辺)地区で気軽に参加できる活動「研究学園 みんなでゴミ拾い」を紹介します。

いろいろなイベントで世代交流

さくらまつり当日は天気に恵まれ、大勢の住民の方においでいただきました。様々な世代が集まり、シニアグループにグラウンドゴルフを教わる中学生や、おじいさんと昔あそびを楽しむ親子連れの姿が見られました。古民家内には、子どもたちの書や大人たちの水彩画やクラフト作品が展示されました。

縁側前のステージでも、サロンのウクレレグループや研究学園中学校吹奏学部の演奏からガマの油売り口上まで、バラエティーに富んだパフォーマンスが披露され、目指していた「地域の文化祭&新歓祭」を実現できました。

さくらまつりを主催した「けんがく まちづくり実行委員会」の目的はイベントを催すこと自体ではなく、イベントをツールとして、地区の活動団体が連携し、まちをよりよくすることです。

今回、初めての試みとして、「けんがく まちづくりコーナー」を設け、地区の20年間の移り変わりが分かる写真や地区の活動団体をマッピングした地図などを展示しました。来場者の方々にも「けんがくの夢」を桜型の付せんに書いていただき、大きな桜の木を完成させました。

また当日、イベントマップと一緒に、活動団体の活動を一覧にした「けんがく まちづくりカレンダー」を配布し、興味をもった団体にコンタクトしやすいようにしました。

ゴミを拾いながら情報もゲット

新年度になり、新しいことを始めたい人や地区に移ってきて知り合いをつくりたい方にぴったりのイベントが 「研究学園 みんなでゴミ拾い」。研究学園グリーンネックレス タウンの会が2019年から主催しています。このイベントの目的は、おしゃべり。ワイワイガヤガヤお話しながら、まちを歩いて、友達を見つけたり、お店を発見したり、新情報をゲットしたりします。そのおまけとして、まちもきれいにします。

月に1回、活動を初めてから今年で6年目になります。コロナ禍の時期、当初は中止していましたが、「ゴミ拾い」は3密にならないため、少し落ち着いてから再開し、遠出ができず、娯楽施設にも遊びに行けないご家族に楽しんでいただきました。

先月、毎回参加してくれていたご家族のお母さんに「転勤族なので、もうすぐ引っ越します。このゴミ拾いはまちに慣れていなくても参加しやすく、子どもたちも毎回、楽しみにしていました」と言っていただき、この活動の意義が再確認できました。今後も無理なく続けていきます。(けんがくまちづくり実行委員会 研究学園グリーンネックレスタウンの会 代表)

「みんなでゴミ拾い」を終えて

<みんなでゴミ拾い>

▽4月28日(日)午前10~11時、研究学園駅北口集合、ゴミ袋でモンスターこいのぼり作り、花菖蒲プレゼント。

▽5月26日(日)、7月7日(日):場所、時間、催しの問い合わせはこちら

防災ヘリ出動し避難訓練 土浦の高層マンション

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初めて防災ヘリコプターによる救助訓練が行われた

「要配慮者」の避難に課題

土浦駅西口前の県内最高層マンション、ソリッドタワーで13日、マンションの管理組合が主催して火災発生を想定した避難訓練が行われ、住民約60人が参加した。この日は初めての取り組みとして、県防災航空隊の防災ヘリコプターによる救助訓練のほか、土浦消防署による煙体験ハウスを使用した避難体験が実施され大規模な訓練となった。

同市大和町のソリッドタワーは土浦駅に直結する地上31階、高さ109メートルのマンションで、戸数180戸。マンションとしては県内で最も高層で、建築物としては県庁(水戸市笠原)に次ぐ2番目の高さになる。地下1階から地上6階は土浦市役所、県南生涯学習センターのほかスーパー・カスミなどの商業施設が入っている。

避難訓練を主催したウララ管理組合住宅部の北田弘巳会長(中央)。住民に避難器具を説明する

午前9時45分、22階の一室からの火災発生を想定し、初期消火の模擬実施とともにマンション内にサイレンが鳴り響く。「避難してください」という管理組合員の呼び掛けで避難が始まった。9階駐車場に避難者が集まり点呼をとると、間も無く防災ヘリコプターが飛来しマンション上空で静止、防災航空隊員がマンション屋上へとゆっくり降下し救助訓練を開始した。

参加した80代の男性は「これだけの規模のものは初めて。(煙が充満した)煙ハウスは先が全く見えず怖かった。東日本大震災ではガスが止まり風呂にも入れなくなった。改めて水や食料など備品を用意したい」と語った。模擬消火器による消火体験に参加した照屋秀明さん(6)は「(消火器体験は)2度目だけど、少し怖かった。ヘリコプターは迫力がありかっこよかった」とこの日の印象を話した。

子ども達も水による模擬消火器を体験した

この日の訓練に立ち会った土浦消防署副署長の飯田浩さんは「地震が起きた際には揺れが収まってから避難してほしい。火災発生時はまずブレーカーを落とすこと。東日本大震災では通電による火災が発生していた。避難の際には延焼を防ぐ意味でも(火元につながる)扉を閉めることが重要。近隣の年配の方に手を貸しながら、転ぶなど二次被害にも気をつけてほしい」と注意点を呼び掛けた。

普段から声掛け合えれば

この日の避難訓練を主催したウララ管理組合住宅部の北田弘巳部会長(67)は「毎年やってきた避難訓練だがこれほどの規模は初めて。より多くの人に関心を持って参加してもらいたいとの思いで実施した。能登や台湾での地震があり防災意識は高まっているが、どうすればいいかわからない人もいる」と言う。

高齢や障害等による「要配慮者」への対応が今後の課題だという

また同マンションには、高齢や病気、障害があるなどして災害時に一人で避難することが難しく周囲の支援が必要になるとして、管理組合や市に届け出をしている「要配慮者」が18世帯ある。しかし、届け出がされておらず、プライバシー保護の観点などから把握できていない世帯はさらに多いと北田さんは話す。

「市の防災課や老人福祉課とやりとりをしているが、(要配慮者を把握するために)どうするのが正解なのか答えは出ていない。防災意識を高めることで、自分の身は自分で守るという『自助』の意識と共に、同じフロアの人同士で普段から声を掛け合うなど、災害時に助け合えるよう意識を持ってほしい」と今後の課題を語った。(柴田大輔)

開幕3連敗 アストロプラネッツ つくばで巨人3軍に0-4

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茨城の先発、長尾は5回を投げ2安打2失点(撮影/高橋浩一)

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは12日、つくば市流星台のさくら運動公園野球場で、今季3戦目として読売ジャイアンツ3軍と対戦し0-4で敗れた。茨城は開幕3連敗。今季より選手兼任で指揮を執る巽慎悟監督は「アグレッシブなチャレンジを続け、勝利の喜びをファンと分かち合える野球をしたい」と巻き返しを誓う。

【ルートインBCリーグ2024準公式戦】4月12日、さくら運動公園野球場
茨城アストロプラネッツ-読売ジャイアンツ3軍
巨人 010010110 4
茨城 000000000 0

3回の大友のヒット。開幕戦で本塁打を放った大友はこの日も複数安打で気を吐いた

茨城の瀧上晶太主将は「投手が試合をつくってくれたのに、打撃陣が点を取れなかった。両者が補い合える展開にならなくては」と試合後に振り返った。開幕戦は打線が火を噴いたが投手が踏ん張れず、2戦目は投打とも良いところなし。そしてこの3戦目は完封負け。チャンスでの一打が出ないまま、小さなほころびから崩れていった。

茨城の先発投手は長尾光。今季埼玉から移籍してきたプロ4年目で、この日は最速149キロの直球を軸に組み立て、1・3・4回を3者凡退に抑えた。出色は4回の4番打者の攻略で、左打者を外角の出し入れで追い込み、最後は外へ逃げるボールで遊ゴロに引っかけさせた。

7回、途中出場の原海聖が左中間へ二塁打を放つ

残念だったのは2回の投球。2者連続の四球と送りバントで1死二・三塁、次打者には右翼への犠牲フライで、ノーヒットのまま1点を奪われた。5回には2連打で1点を失い、この回で予定通りマウンドを降りた。

次の失点は7回、投手は4人目の佐藤友紀。四球と投ゴロで1死二塁の場面、捕逸により走者が三進、これを防ごうとしたが悪送球で生還を許した。佐藤はツーシームやカットボールなど速球系の変化球が多彩だが、その小さく鋭く曲がる球が裏目に出て四球や捕逸を招いた。8回はアンダースローの伊藤龍介が登板、2死一塁から右翼へのヒットを土田佳武が処理を誤り1点を許した。

9回に登板、2三振と三ゴロで抑えた6人目の浅野森羅

この試合の茨城のヒットは5本。いずれも得点機となるが、あと一打が出ない。9回には2番・大友宗の左翼への二塁打と、3番・瀧上の中前打で無死二・三塁の絶好機を迎えるが、後続が抑えられ無得点に終わった。

「中継ぎ陣は先頭打者への四球が目立ち、ブルペンでの準備の仕方に課題が残った。打撃陣は甘い球をしっかりと仕留め、得点につなげたい」と巽監督の振り返り。今年度の取り組みとして「一つ目を決めきる」ことを大事にしているという。「打撃なら初球からストライクを見逃さずアグレッシブに振っていく。ほかにも守備や走塁の1歩目など、野球にはたくさんの『一つ目』がある。そこを意識することで集中力を研ぎ澄ませたい」との考えだ。

試合前、選手を見守る巽監督

昨季までの投手兼任コーチから、今季は投手兼任監督として采配を振るう。「プレーイングマネジャーという貴重な機会をもらえ、球団には感謝している。選手に呼び掛けている以上に、自分自身もチャレンジの意識で臨みたい」との姿勢だ。試合前の準備の仕方や心構え、あるいはマウンド上の駆け引きや配球など、選手たちには自らの背中を通じて伝えたいことも山ほどあるという。(池田充雄)

コロナ後 県南がまたベッドタウン化する? 《遊民通信》86

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【コラム・田口哲郎】

前略

コロナ禍では国土開発について、首都一極集中からの脱却と地方再生が謳(うた)われました。テレワークの推進や移住の促進で首都圏から地方への人口移動がなされた感じがします。阿見町は人口が5万人を突破しましたね。

でも、コロナ禍が一応の収束をみて、改めて見るとどうでしょうか。テレワークもとりあえずなんとなく減っている感じで、出勤が増えているような気がします。3月のダイヤ改正で、常磐線の品川駅〜土浦駅間は、10両編成の列車から15両編成列車への輸送力増強がなされたそうです。東京に通う人が増えているということなのでしょう。

そうなると、また常磐線の取手駅から土浦駅あたりは東京中心のベッドタウン化してしまうのではないか…。そんな予感が頭をよぎります。

たしかに、コロナ禍という災禍によってテレワークという、ずいぶん前から実用可能だった技術によって、物理的な人間の移動が不要な画期的な便利さが世に知らしめられたのは大いに良いことです。東京の街を歩いていても、以前のような全体的で慢性的な混雑はなく、インバウンドの旅行客で観光スポットは混んではいるものの、日本人の数は減っているようにも見えます。

それでも、首都東京の特権的な地位というのが、またじわじわと復活しているのは確かだと思います。この流れは止められないものなのか、とモヤモヤしていたのですが、東京を中心とする地方と中央の間の移動はいまに始まったことではなく、江戸時代にもあったことを知り、そうか仕方ないか、と思いました。

人の移動は経済効果を生む

ご存知の通り、江戸時代には参勤交代があり、外様大名は1年おきに国元と江戸を行き来しました。今のように数時間で東京に着ける時代ではないので、大名行列は道中、いくつもの宿場町に泊まり、そこで多額のお金を落とす。宿場町がある藩はその恩恵にあずかることができます。

人間が移動することは経済を動かすという視点に今さらながら気づかされました。逆に人間が移動しないと、経済圏がブロック化して、金の回りが鈍くなるような気がします。

コロナ禍は新たな可能性を示す結果になりました。でもそれを追求するばかりでは良くない。古来の人間の移動が経済のためにも大切だ。そもそも人間は「動」物なのだから。そんな必要性がまたじわじわと再認識されて、アフター・コロナのテレワークの減少につながっているのかもしれません。

そう考えると、人間の移動も無駄ではないし、茨城県南の街がベッドタウンとしての本領を発揮するのも悪いことではないと思えてきます。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

江戸から続く花壇で鑑賞を 筑波実験植物園で「さくらそう展」

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筑波大学つくば機能イノベーション研究センター准教授の吉岡洋輔さんと展示されているサクラソウ

筑波大保有の100種展示

国立科学博物館・筑波実験植物園(つくば市天久保)で13日からコレクション特別公開「さくらそう品種展」が始まる。植物園屋外には江戸時代からの鑑賞方法である「桜草(さくらそう)花壇」が設置され、遺伝資源の保存を目的に筑波大が保有する鉢植えされたサクラソウが100種以上展示される。

白い花をつける「薄蛇の目(うすじゃのめ)」、中心の白から外に向かって赤く色づく「天晴(あっぱれ)」、梅の花のような丸みをもつ「鶯宿梅(おうしゅくばい)」、大ぶりの真っ白な花が印象的な「満月」、現存する最古の品種とされる「南京小桜」など、それぞれ色や形に特徴を持つのが見どころだ。

現存する最古の品種とされる「南京小桜」(中央)

室町中期ごろから貴族の間で栽培が始まったサクラソウ。品種改良が盛んになったのは江戸中期ごろとされる。江戸を流れる荒川流域に自生地が広がっていたこと、鉢植えで育てられることから「庶民の花」として江戸の人々の間で人気を博していった。

「野生の花を持ち帰り、種を採取してまいてみるとちょっと変わった花が咲くことがある。今まで他の人が持っていない珍しい花を選びとることが繰り返されて今に至る。途中から意図的に交雑させることをしていったと考えられる」と筑波大学つくば機能イノベーション研究センター准教授の吉岡洋輔さんが説明する。「並べて展示することで人の目をひきつけることができ、鑑賞者を喜ばせることができる」のも人気の要因だという。

江戸時代から続く「桜草花壇」に100種以上のサクラソウが展示される

絶滅の危機

人々に親しまれてきたサクラソウだが、近年は、環境の変化や乱開発により個体数が減り、環境省の準絶滅危惧に指定されている。愛好家らによる自生地の保全活動は全国的に活発になり「保全活動のアイドル的存在」なのだと吉岡さんは言う。

筑波大では園芸品種の遺伝資源の保存を目的に、つくば市民に栽培を委託する「サクラソウ里親制度」を2004年からスタートさせている。大学で保有する品種が、天災などの原因で絶えてしまったときに、里親から株を返還してもらう仕組みだ。同時に、江戸から続く文化を市民に知ってもらいたいという意味も込めている。会場には10年、20年続ける里親の声がパネル化され、屋外にはそれぞれが育てた鉢植えも見ることができる。

「サクラソウは元々日本に野生種がありそこから広がっていったもの。起源が日本にある園芸種は珍しい。四季のある日本の気候に合っているため、基本的な管理ができれば栽培はそこまで難しくはない。形や色など豊富な品種を見ることができるので、是非、自分好みのサクラソウに出会っていただけたら」と吉岡さんが来場を呼びかける。

教育棟ではサクラソウ栽培の歴史を知るパネル展が開かれる。(柴田大輔)

◆コレクション特別公開「さくらそう品種展」は4月13日(土)から21日(日)まで。15日(月)は休園。開場は午前9時から午後4時30分。入園料は一般320円、高校生以下と65歳以上、障害者などは無料。販売もあるが、無くなり次第終了する。

LGBTQとパレスチナ、分断ではなく連帯を 筑波大生が映画試聴会

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映像試聴会を企画した学生ら

「LGBTQ(性的少数者)に排他的なパレスチナを擁護することは、LGBTQの権利をないがしろにしている」。SNS上でも広がる「パレスチナへの連帯か、LGBTQの人権か」という二項対立的な論争にあらがおうと、筑波大学の学生有志を中心に、「LGBTQ+の運動を考えよう 映像試聴会」が14日に開催される。試聴会を企画した木原里沙さん(21) 、同大学院の正木僚さん(28)、りょうさん(仮名・23)は「あらゆる人権侵害を許さずに、LGBTQの権利回復を目指すための連帯と抵抗について考えたい」と話す。木原さんと正木さんはLGBTQ当事者だ。

虐殺を覆い隠す「ピンクウォッシュ」

人権侵害の事実を隠す意図で、特に同性愛者に理解があることを強調することを「ピンクウォッシュ」という。同性愛者のシンボルカラーとされる「ピンク」と、「覆い隠す」という動詞「whitewash(ホワイトウォッシュ)」を合わせた造語だ。特にイスラエル政府がLGBTQフレンドリーであると世界にアピールすることで、パレスチナへの占領という負のイメージを覆い隠していると批判する言葉だ。

毎年4月後半に開催される国内最大級のLGBTQ関連イベント「東京レインボープライド」も例年、イスラエル大使館がブースを出展していたため、「ピンクウォッシュだ」と当事者団体などから批判されていた。今年も19日から3日間、開催される予定だが、協賛企業のいくつかが、パレスチナで虐殺を続けるイスラエルに製品・サービスを提供しているとして、現在、世界中で不買運動が呼び掛けられている。

人権問題に優先順位はない

試聴会では、ドキュメンタリー映画『これがピンクウォッシュ!シアトルの闘い』(ディーン・スペード監督、2015年)を上映し、参加者同士で感想を共有する。2012年、イスラエルのLGBTQ活動家の訪問を歓迎するかどうかで、シアトルのLGBTQコミュニティが激しく揺れた様子を描いたものだ。

「過去のLGBT運動にはトランスジェンダーも関わっていたが、同性愛者の権利回復が優先されしまい、トランスジェンダーの権利は取り残されてきた。『LGBTQの権利か、パレスチナの解放か』のように、人権問題に優先順位をつけてしまうと、見落とされてしまう人が出てくる。レインボープライドを目前に、これからの運動のあり方を考えたい」と、正木さんは企画の趣旨を説明する。

木原さんは、大学内でLGBTQ当事者か否かに関わらずレインボープライドに参加予定の人もいるとし、「LGBTQというマイノリティ性を持っていても、他の社会課題に関心を持てるとは限らない。レインボープライドに参加する前に、一緒に映画を観て、パレスチナについて考えられたら」と話す。

りょうさんは「反対意見が出ると、それを押さえつけたくなるが、規模が大きくなるほど、いろんな考えの人が入ってきて当たり前。最初から批判されないことを目指すと、意見の異なる人を排除し、当事者を分断してしまうことにもなりかねない。意見の違いを受け入れながら、変わり続けることが大切」という。

連帯の可能性を模索

正木さんは昨年、イスラエルによるパレスチナへの攻撃が激しくなってから、問題に関心を持つようになり、できるだけ不買運動の対象にされている企業の商品を買わなくなった。「遠く離れたパレスチナを身近に感じることは難しいかもしれないが、社会課題はLGBTQの問題だけを切り離して考えられるものではない。気づかないうちに、自分が虐殺に加担してしまう可能性もあることを参加者と共有できたら」と話す。りょうさんも「私自身も知らないことが多く、危機感を持っている。知ることを放棄せず、仲間と一緒に知識を更新し続ける必要性も、参加者と考えたい」と期待する。

一方「今の私たちが見えていない社会課題もある。世代も関係なく、様々な人に参加してもらい、私たち自身も新しい視点を獲得したい。これからもLGBTQの問題に限らず、立場を超えて、いろんな人と繋がれるイベントを開催する予定」だと正木さんは話し、複合的な社会課題の解決に向けた連帯の可能性を模索する。

その一環として、28日には、同じメンバーが主催し、地域住民を対象に、特定の問題に限定することなく、日常で感じるモヤモヤを参加者同士で共有しあうイベント「灰色のため息だって彩りたい!」を開催する。

◆「LGBTQ+の運動を考えよう 映像試聴会」は4月14日(日)午後1時から3時、ブックカフェ「本と喫茶 サッフォー」(つくば市天久保)で開催。参加費無料、ただしワンオーダー制。参加申込はこちら。定員20人。定員になり次第、締め切る。

◆「灰色のため息だって彩りたい!」は4月28日(日) 午後1時から3時、同会場で開催。参加費無料、ただし19歳以上はワンオーダー制。参加申込はこちら。定員20人。

TX沿線県立高問題 知事の答弁に希望《竹林亭日乗》15

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4月の筑波山(筆者撮影)

【コラム・片岡英明】茨城県の3月議会で星田県議(つくば市区)が「TX沿線開発と今後のまちづくり」について質問。大井川知事から、TX開通後東京圏から多くの子育て世代が移住し、沿線の人口が8万4000人も増え、今後も増加が見込まれる沿線3市(守谷市、つくばみらい市、つくば市)を一体として魅力あるまちづくりを進めたい―といった趣旨の答弁があった。

TX沿線3市の現状、特に教育環境はどうなっているのだろうか? 先につくば市と守谷市の県立高への進学や通学状況を取り上げたが(23年10月10日付24年1月12日付)、今回はつくばみらい市も含めた3市の県立高について考えたい。

県立高環境、常磐線>TX

2023年度入試時のつくばみらい市の市立中卒業者は442人。県立高への進学者は、伊奈高79、水海道一高48、守谷高36、藤代紫水高23、藤代高22、取手一高21、竹園高15、水海道二高14、牛久栄進高10、つくばサイエンス高9、竜ケ崎一高8、取手二高8―と、分散している。

人口が増えている同市にとって、通学手段や定員を含む県立高問題は市の将来に関わる重要テーマと言える。そこで、TX沿線3市の市内県立高への入学状況を見ると、以下のようになっている。

     市立中卒業数 市内県立高入学  割合
▽つくば    2183   318    14.6%
▽守谷      642    69     10.7%
▽つくばみらい  442    79     17.9%
▽合計     3267   466    14.3%

3市とも市内入学は1割台にとどまっている。この数字は常磐線沿線の土浦38.4%、牛久24.0%、取手39.4%に比べると大幅に低い。そこで、TX3市を一体とした県立高入学割合を見ると、以下のようになっている。

        生徒 3市県立高入学 割合
▽つくば    2183   413   18.9%
▽守谷      642    164   25.5%
▽つくばみらい  442    139   31.4%
▽合計     3267   716   21.9%

常磐線沿線3市を一体として計算した割合は、土浦45.2%、牛久54.4%、取手44.6%、3市合計で47.8%。TX沿線3市合計で21.1%だから、常磐線沿線3市の半分以下という圏内入学率である。

沿線の県立高充実=沿線発展

TX沿線、常磐線沿線のいずれに住むかで県立高校進学条件に大きな違いがある。そのため、TX沿線の中学生には高校選択・通学に大きな負荷がかかっている。今後もTX沿線の人口・子ども増が見込まれることから、このまま放っておくと一層悪化する。

県は、県立高校の定員不足がTX沿線発展のボトルネックになっている事実を見てほしい。その上で、TX沿線・つくばエリアの中学生に県平均水準の県立高枠を確保してほしい。県立高の入学枠を広げることが、TX沿線の発展、ひいては県の発展につながると考える。

3月議会での知事の答弁を聞き、知事も多くの地域住民の願いと同じ方向性を持っていることが分かった。ここにTX沿線3市の中学生の希望を認めた。そして、つくばの高校新設問題の外堀は埋まったと感じた。知事答弁の延長線には、TX沿線への県立高新設があると思うからだ。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

フィルムカメラのおはなし《ことばのおはなし》68

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】時折ふるーいフィルムカメラを頂くことがある。「亡くなったお父さんが使ってたんだけど、私は使い方がわからないから」とか「押し入れから出てきたんだけど、撮れるのかしら」といった具合だ。

そうやって受け取ったカメラは、試しにフィルムを入れて撮った写真を見せてあげることにしている。受け取ったカメラもなんとなく廃棄しにくいので、たまっていくのがまことに難儀である。

先日「こういうカメラ欲しいって言ってたよね?」と言ってヨドバシカメラの袋を差し出された。少し遅い誕生日プレゼントと言うことらしい。

ちなみに私が常日頃から欲しいと言っているカメラというのは、いわゆるレンジファインダーカメラだ。しかし、ヨドバシカメラで買える現行のレンジファインダーなんて高級カメラしかない。へたすると100万オーバーである。

妙に軽い袋を開けて出てきたのは、なんとプラスチック製のハーフサイズフィルムカメラと、ISO感度100のリバーサルフィルムだった(わかる方にはわかるすごい組み合わせ)。なるほど、そうきたか。

実のところ、このカメラはレンジファインダーではないのだが(見た目は似ている)、発売された時からずっと欲しいと思っていたカメラなので、素直にとてもうれしいプレゼントだった。

人間とは厄介な生き物

それにしても、この時代に新品のフィルムカメラをプレゼントされることになるとは思わなかった。なにせフィルムがとても高価になってしまった。私がまだ17歳の頃、フィルムカメラを使っていた20年近く前は500円ほどで買えたネガフィルムも、今では2000円くらいになってしまった。当時5本5000円くらいで買っていたリバーサルフィルムも、今では1本4000円近くするものが多い。

ハーフサイズカメラというのは、フィルムを本来の半分(ハーフ)ずつ使うことで、ざっくり2倍の枚数を撮影できるカメラのことだ。フィルム代を節約できるのが利点で、まさに今の時代に再び真価を発揮できるカメラと言っていいだろう。

画質は落ちるが最近ではそういう写りも流行(はや)っているらしい。仕事の機材として高画素のデジタル一眼を使用している私でも、その解像度に疲れてしまうことがあるくらいだから、なんとなくわかる気がする。

片や写真はスマホで十分、という世界があり、さらなる高画素化を進める最新カメラの世界があり、一方できれいに写りすぎないカメラが好まれる世界もあるのだから、人間とはどうにも厄介な生き物である。(言語研究者)

戦争を扱った2冊の本を読んで《ハチドリ暮らし》36

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写真は筆者

【コラム・山口京子】1日家にいて、新聞もテレビもラジオもインターネットも遮断すると、静かな空間ができます。自分の身の周りの静かさを実感しつつ、それでいて、自分を取り巻く社会がどうなっているのかに注意を向けないと、この暮らしも危うくなるのではと…。

新聞を読むにしても、関心がある記事は最後まで読みますが、そうでなければ見出しだけでスルーしています。そういう姿勢に、最近不安を感じるのです。関心がある記事だけ読んで、そうでない記事は読まないという態度は、いかがなものかと。

関心がなくても読まなくてはいけない記事があるはず…。そもそも自分の抱く関心がどういうものなのか、それはどうやって形成されたのか―自分に向き合って考えなければならないのではと。

消費者問題や家計管理などには関心がありますが、外交、政治、戦争などについては難しくて読み過ごしてしまうのが正直なところです。ですが、テレビや新聞ではウクライナやイスラエルの報道が目につきます。こんなむごいことが今の時代になぜ起こっているのか。

人間関係も国同士の関係も、一方が100%正しくて、他方が100%間違っているということはないでしょう。時事的なニュースだけでは、問題の歴史的背景や構造は分かりません。また、そのニュースの出所がどこなのかも注意が必要でしょう。

「世界から戦争がなくならない本当の理由」

なので、そういうときには図書館に行って関連する書籍を探します。2冊の本が目に留まりました。1冊は「世界から戦争がなくならない本当の理由」(祥伝社、池上彰)。もう1冊は「ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義」(大和書房、岡真理)です。

「世界から戦争が…」は、2015年、戦後70年の教訓を語るものとして出版されています。日本が戦後処理を人任せにしてきた結果を今も引きずっている、戦後日本の歪みが沖縄の基地問題に表れているのではないか、戦後日本の安全保障は米国に振り回されてきた―と。

そして、日本を「2度と戦争のできない国」にするために憲法9条を与えながら、自分たちの都合で「軍隊ではない軍隊」をつくらせ、さらには集団的自衛権の行使も可能にして「戦争のできる国」に戻そうとしている―と。そして米国が関与した戦争のあらましがつづられています。

「ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義」

昨年出版された「ガザとは何か…」では、主流メディアは、連日、ガザについて報じながら、その内容は事態の重大さに見合ったものもなければ、問題の核心を伝えるものではないと指摘しています。現在のメディアの姿勢を端的に説明しているように思いました。

ストックホルム国際平和研究所の2022年版(調査は2021年)によると、世界全体の軍事費は2兆2400億ドル(約300兆円)で、うち米国が約39%の8770億ドルを占めたということです。(消費生活アドバイザー)

裏金問題と自民党政権の調査《ひょうたんの眼》67

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アシビ(写真は筆者)

【コラム・高橋恵一】自民党安倍派の政治資金パーティーのキャッシュバックによる裏金づくり事件で、39人の国会議員が、自民党から処分を受けました。離党勧告が2人、党員資格停止が2人。対象議員86人のうち、47人が処分無しでした。

この事件は、自民党の派閥が、政治資金獲得のために開催するパーティーの収益の一部を現金で還元し、派閥側の支出記録も、各議員の収入記録も残さず、金の動きを隠す裏金を作ったらしい、というものです。

安倍派では、約20年前から行われていたようで、野党やマスコミが暴いたのでなく、神戸学院大の上脇博之教授の政治資金規正法違反容疑の告発で明らかにされました。

検察とは別に、政治不信に対応すべく、自民党・岸田政権も調査に乗り出したのですが、実態が明らかになりません。誰が主導した事件か? 裏金は何に使われたのか?―が明らかにされていません。

まず、何に使われたのかですが、何に使ったかの説明もせず、使途不明あるいは思い出せないということは、不法な買収とか供応、選挙違反となるような選挙運動の経費に使ったと判断せざるを得ないでしょう。手ぬぐい一本の配布や香典一つで責任を取り、議員辞職した例は数多くあります。

今回の事件は、不正とわかっていた裏金処理の確信犯です。金額の多寡にかかわらず、議員辞職すべきでしょう。

それよりも、誰が主導したかですが、裏金で最大の効果を得たのは、故安倍総理でしょう。安倍一強の体制は、配下の議員数の多さ以外の何物でもないでしょう。裏金の効果は絶大で、また違法性が高いという認識があったから還元を止めようとしたのでしょう。

止めていれば、今回の事件は、告発を受けることも無かったかもしれません。調査すべきは、還元再開後ではなく、20年前からの裏金と選挙・政治への影響です。

賢明な国民に期待

旧統一教会問題も、中途半端な教会と議員の表面的な関係だけの調査で、今後関係を断つという裏付けの無い結末でお茶を濁してしまいました。本来は、安倍政権が教会との癒着の中で、選挙協力をいかに得ていたかを調査すべきでしょう。国政だけでなく地方議会も、「政策協定」により、ジェンダーフリーの否定、家父長制的な政策提言が多くの地方議会で議決されているのです。

岸政権の調査は、まさに政治家が説明責任を果たさせず、いずれも本質に踏み込んでいません。

極言すれば、裏金問題といい、旧統一教会問題といい、本来であれば、議員の資格の無い者の多数で、政権与党が成り立っていたことになります。この間、大企業や外国資本に有利な経済財政運営がなされ、慢性的な低賃金と非正規雇用が続き、格差社会が拡大し、一方で、分不相応な軍事「費」大国がつくられようとしています。

最悪の安倍政治が、終焉どころか、増長しているように見えます。まっとうな政治家と、まっとうなマスメディアと、賢明な国民に期待するだけです。(地歴好きな土浦人)

能登の高校生に元気を 筑波大バドミントン部が練習会 OBが呼び掛け 

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高校生にアドバイスする筑波大バドミントン部部員(左端)。左から2人目が同部OBで珠洲市の高校教員、清水亮輔さん=筑波大バドミントン部提供

筑波大学(つくば市天王台)バドミントン部の部員らが3月30、31日の2日間、能登半島地震で被災した高校生を対象に、石川県金沢市の県立工業高校体育館でバドミントン練習会を開催した。同大バドミントン部OBで、被災地の珠洲市で高校教員として勤務する清水亮輔さん(27)が「被災した子どもたちにバドミントを練習できる機会をつくれないか」と呼び掛けたことがきっかけになった。

清水さんは石川県出身。「震災後、部活動がしたいという生徒がいる中で、体育館が自由に使えないのが現状」という。清水さんによると、能登地区の生徒たちは、現在オンライン授業を活用するなど、学習機会を最低限確保できている一方、部活動に関しては、地震による体育館損壊の影響で、一部のスペースしか利用することができない。バドミントン部の生徒を含め、部活動は週に1回程度。ライフラインである水道はいまだ復旧しておらず、普段通りの生活が取り戻せない状況下で、生徒は自身の進路や大会に向けた練習に向き合っている。

清水さんの呼び掛けをきっかけに、石川県高体連バドミントン専門部、同県バドミントン協会と、筑波大バドミントン部が協働し、開催に至った。清水さんを中心に、能登地区周辺の高校に声を掛け、能登半島の県立輪島高校、七尾高校、飯田高校などのバドミントン部に所属する1〜3年生の生徒が参加した。当日はバスを利用して同校体育館に集まり、両日で延べ150人が練習に励んだ。

筑波大から派遣された部員有志は新入生も含めて12人。部員らで考えた練習メニューをもとに、バドミントンコート6面分ほどの広さの体育館で、男女シングルス、ダブルスなど種目別に分かれて練習を指導した。

練習会に参加した能登地区の高校生と筑波大生(同)

清水さんは、同大バドミントン部に対して「ただ単に活動の場所を提供することだけでなく、参加した高校生が今まで以上にバドミントンに熱中できるよう接してもらうことを期待していた」と語り、「学生のおかげで、実際に参加した高校生の生き生きとした表情や、笑顔で楽しむ様子を見ることができた。制限がある中での生活だが、気が紛れたのではないか。石川のために時間を割いてもらってとても感謝している」と話した。

同大部員らの交通費や宿泊費などの開催費用は「がんばろう能登プロジェクト寄付金」と題して同部が寄付を呼び掛けた。約3週間で個人や法人などからおよそ75万円が集まり、練習会では、参加した高校生に対し、メーカーや有志らによるバドミントン練習用具の提供も行われた。

同大体育系助教でバドミントン部顧問の吹田真士総監督は「高校生には、バドミントンに取り組む瞬間だけは、日常を忘れて夢中になってもらえるよう心掛けて接した。この活動が、高校生たちの背中を押す一歩になれば」と話した。

同大大学院1年で部員の服部嶺さん(22)は石川県出身。バドミントンを通して地元に貢献したいという思いで参加した。「参加した生徒から『震災後初めてラケットを握った』『週1回1時間程度の練習しかできない』などと聞き、バドミントンが練習できる環境が整っていない現状を目の当たりにした」と述べ、「大変な時でも必死に1日を生きようとしている高校生の姿を見て、とても勇気づけられた。今後も地元やバドミントン界のためにできることを考えていきたい」と話した。

同大体育専門学群2年で部員の岡村祐輝さん(20)は、小学生の頃から南海トラフ地震に備えた訓練を経験してきたことで、被災地への支援活動に興味を持ち参加した。「金沢で出会えた高校生や、自分たちが活動するための寄付金など、周囲の助けや縁を感じられた2日間だった。自分たちに何ができるかを常に考えながら活動した」と話した。

参加した高校生からは「地震で週に1回しか練習ができていないため、こういった練習はとても良い機会になった」「自分に足りなかった部分がたくさんあったけれど、筑波大学の先輩たちが丁寧にアドバイスしてくれたおかげで、たくさん吸収できた」という声が寄せられた。一方「校舎の体育館が使えないため、自主練習ができない」という声や、「学校で練習ができない」「体育館が使えるか不安」など、地震の被害を受け、練習施設不足に関する悩みも寄せられたという。

吹田総監督は「自分たちに何ができるのかを考えながら、継続して行動し続けることで、周りに良い影響を与えていきたい。将来的には、高校生だけでなく、小中学生を巻き込んだ活動や、石川県以外の被災地とも連携し、支援の幅を広げていければ」と話した。

清水さんも今後について「自分たちにできることには限界があるが、高校生のためにも、競技力の高い筑波大学の学生の力を借りて、練習会をまた実現させたい」と話している。(上田侑子)

裁判所は水俣病患者を救済しないのか《邑から日本を見る》157

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不知火海。写真は筆者提供

【コラム・先﨑千尋】いつものように3月下旬には水俣から甘夏が届く。「他人に毒を盛られた者は他人に毒を盛らない」。50年近く前、海で魚を取れなくなった水俣病の患者たちは、そういう思いで陸に上がって甘夏を作り続けてきた。その甘夏を口に入れる。甘酸っぱい果汁が口の中いっぱいに広がる。何度も通った水俣のミカン畑に思いをはせる。

そんな折、ショッキングなニュースが届いた。先月22日に、熊本地裁は水俣病患者の訴えを退ける判決を下した。この裁判は、2009年施行の水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済策の対象外となった144人が、国と熊本県、原因企業のチッソに損害賠償を求めていたもの。同様の裁判で、原告全員を救済した昨年9月の大阪地裁判決とは大きく異なる判決となった。

原告側は、チッソ水俣工場から不知火海(しらぬいかい)に排出されたメチル水銀を、魚介類を通じて摂取したことによる水俣病だと主張。大阪地裁は原告側が訴える手足の感覚障害の原因を検討し、「水俣病以外の原因では症状を説明できない」として法律の線引きを一蹴し、原告全員を水俣病患者だと結論づけた。

しかし今回の熊本地裁判決では、疫学調査の結果や地元医師の診断書の信用性を疑問視し、25人のみを水俣病と認めた。そして、不法行為から20年経つと損害賠償請求権が消滅すると定める民法の「除斥期間」の起算点について、水俣病を発症した時期(大阪地裁は水俣病と診断された時点)とした。

このため、熊本地裁は水俣病と認めたものの、全員が発症から20年以上経過しているという民法の規定を適用し、賠償請求は棄却された。

環境省は特措法を遵守せよ

水俣病が公害病として認定されたのは1968年。しかし、いまだに被害の全体像がつかめず、国による救済策の対象外となった人たちは、これまで繰り返し司法に訴えてきた。特措法では居住地や出生年で線引きがあり、救済を受けられないまま取り残された人たちは裁判に訴えざるを得なかった。

そして、不知火海沿岸に住んでいた人の健康調査を速やかに行うと定めた法施行から15年経っても、実施のめどが立っていない。

私は、同じ趣旨の裁判なのにどうして裁判官によって結論が違うのかを考えてみた。判決文を書く基準の民法も特措法も同一だ。特措法の狙いは「あたう限りすべて救済する」だ。それなのに結論は真逆。裁判官の解釈によって結論が違うのだ。原告の1人は、判決後に「予想外の結果だ。頭が真っ白になった」と語っている。一方、環境省の担当者は「勝った」と話していると新聞は伝える。

なるほど、国は「勝った」。しかしその国とは何なんだ。森友事件に巻き込まれて自死した赤木俊夫さんは常に「私の雇用主は日本国民。その国民のために仕事ができる国家公務員に誇りを持っている」と話していたと聞く。裁判官も環境省の役人も、本来、国民のために仕事をするのが務めのはずだ。

水俣病の患者たちは法に触れることはしていない。チッソがまき散らした有機水銀を摂取した魚を食べ、身体がおかしくなった。その人たちをあたう限り救うために特措法ができたはずなのに、健康調査を15年もほったらかしにしている。それを裁判官も環境省の役人も認めず、環境省の役人は罰せられない。おかしいではないか。(元瓜連町長)

つくばFC 開幕戦でスター軍団に勝利

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前半37分、得点を決めたつくばFC、青木のゴールパフォーマンス(撮影/高橋浩一)

関東サッカーリーグ1部のジョイフル本田つくばFC(本拠地つくば市)は6日、ホームのつくば市山木、セキショウ・チャレンジスタジアムで開かれた開幕戦で、アマチュアサッカー界のスター軍団、南葛SC(東京都葛飾区)と対戦、1-0で勝利し順調な滑り出しとなった。

第58回関東サッカーリーグ1部 第1節(4月6日、セキショウ・チャレンジスタジアム)
ジョイフル本田つくばFC 1-0 南葛SC
前半1-0
後半0-0

つくばは昨季関東1部リーグ5位、地域CL(全国地域サッカーチャンピオンリーグ)3位の成績を挙げ、JFL(日本フットボールリーグ)昇格へあと一歩のところまで迫った。今季こそ関東1部優勝とJFL昇格実現を目指す。

対する南葛SCは、漫画「キャプテン翼」の作者、高橋陽一さんが代表を務め、稲本潤一や大前元紀、今野泰幸ら元日本代表選手が多数在籍する。指導者は筑波大学蹴球部やJ1川﨑・名古屋などを歴任した風間八宏監督が今季から就任した。3月24日には東京都の社会人ナンバーワンを決める東京カップで優勝し、つくばに乗り込んできた。

前半20分、石橋(右端)が相手の守備ライン裏へ抜け出す

試合前半、つくばの陣形は3-5-2。前線は恩塚幸之介と石橋オビオラの2トップ。昨季センターFWを務めた熊谷誠也はJFLのアトレチコ鈴鹿クラブへ移籍したが、1年間をJFLのブリオベッカ浦安で過ごした石橋が復帰。189センチの長身とフィジカルを生かし、南葛の高い守備ラインの裏に襲い掛かった。

ウイングバックは右の鍬田一雅が崩し、左の青木竣が刺す形だ。「鋤田らが試合をコントロールするところで自分が前へ入り、フィニッシャーとして狙っていった」と青木。その形が実ったのは前半37分。敵陣でのパスカットから鍬田がドリブルで中央へ持ち込みシュート。相手GKがはじいたところへ詰めていた青木がゴール右隅へ突き刺した。

前半37分、得点のきっかけとなった鍬田のシュート

「しっかり守備から入り、相手が攻撃的に来るところを狙おうというプラン。狙い通りの入りができた。チャンスは作れていたので、決めていればもう少し楽に勝てた」と副島秀治監督。

前半のシュート数はつくばの9本に対し南葛は2本。だが攻撃の回数では南葛に分があった印象がある。それだけつくばの守備陣が、相手の攻撃を跳ね返し続けた。副島監督は「日頃からゲーム形式の練習が多く、一人が抜かれても、もう一人が防ぐことを意識付けできている」と、チャレンジ&カバーの徹底を挙げる。

後半の立ち上がり、つくばは鍬田がドリブルなどで持ち込み、チャンスを作る場面が増えた。「前線の厚みを出そうと、頑張って走って前へ出た。守備のときもなるべく前に残り、相手の守備を下げさせられるよう心掛けた。苦しい時間帯にこそ、一人で2、3人はがして点を取ってこれるスーパーな選手になりたい」と鍬田。

後半10分、恩塚がシュートを放つ

だが時間の経過とともに相手に押し込まれ、守から攻への切り替えがきかなくなる。「体力的に落ちてきてしまった。もっとボールを保持する時間を作れれば気持ちの余裕もできる。セットプレーも突き詰めていきたい」と副島監督。

青木は「1点だけでなく2、3点取りに行く。守備でも抜け目なさを突き詰めたい。地域CLや全国社会人サッカー選手権でも1点の重みを味わってきたので、それをチームメートに伝え、厳しい要求をしていきたい」と、チームにさらなる奮起を促した。

この試合の入場者数は1183人。バックスタンドが満席となった

次節は14日、柳島スポーツ公園総合競技場(神奈川県茅ケ崎市)で東邦チタニウムと対戦。17日には天皇杯県予選1回戦があり、RKUフットボールフィールド(龍ケ崎市)で流通経済大学体育局サッカー部と対戦する。(池田充雄)

「… in 宇部」後記①指輪と魚の話【続・平熱日記】155

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写真は筆者

【コラム・斉藤裕之】その日は春の嵐。3月も後半に入ろうというのに、山口県の山あいにある弟の家の窓の外は横殴りの雪。そんな中、空路東京からわざわざ個展会場にやって来てくれたのは教え子のF君(コラム150に登場)。

「海を見たいですね、瀬戸内海を!」。彼のリクエストに応えて車を走らせること20分。海岸線が見え始めると、そうだ!マヨねえから借りた山下達郎のCDをかける。男2人のライドオンタイム。しかしながら、車から出た私たちを待っていたのは強烈な寒風。

遠くに九州の国東半島を望みながら、瀬戸内海を背景にスナップ写真を1枚撮って、そそくさと車に戻った。「おー寒い~」

ケンブツジャコ

個展会場に戻って作品を見終わったF君は「色の違う指輪」(コラム150に掲載)という作品をご所望だという。え?でもこれは私と亡き妻の指輪を描いたものだけど。当時私の指には金色の指輪が似合わず、結果的に同じデザインで妻はゴールド、私はプラチナという、色の違う指輪にしたのを昨年描いたものだ。そんな他人の指輪の絵をなぜ欲しがる?

「実は僕らの指輪もそうなんですよ」「え?」。彼の薬指のプラチナ色の指輪の一部分はゴールドで、奥様のはその逆だという。もちろん私はそんなことなど知らずに、彼の結婚式の話をコラム150に書いて指輪の絵を添えたわけだが、偶然とはいえF君にとっては何か因縁めいたものを感じたのかもしれない。

それにしても、わざわざ山口まで来てくれたF君にはおいしい魚ぐらいはご馳走してやりたい。ということで、ギャラリーオーナーの涼子さんにお勧めの店を聞くと「ケンブツジャコって食べたことある?」。

この宇部あたりでしか食べないというケンブツジャコ(テンジクダイ)という金魚ぐらいの大きさの小魚(私は偶然昨年この魚を食べる機会があった。頭は固いので落として、カラ揚げに)を食べさせる店があるというので行ってみることに。残念ながら、その日はこの珍味をお目にかかれなかったが、それでもおいしい瀬戸内の魚をたらふく食べてF君も満足して東京に帰って行った。

イリコ

余談だが、宇部近辺ではケンブツジャコと共に「レンチョウ」いわゆる舌平目をよく食べる習慣があって、宇部のソウルフードなどと呼ばれているらしい。同じ県内、瀬戸内海でも、その土地、土地で食習慣が違うんだなあ。

また、山口の魚は冬の間ひとりでずっと鍋を食べ続けた私にとっても、春を告げる御馳走(ごちそう)となった。今回も、アジ、メバル、のどぐろ、フグ、いか、かわはぎ、さざえ、ウニ、セグロイワシ、サヨリなど(ほとんどは義妹の手料理によるもの)、それから島の岸壁で獲ったナマコも食べた。

そうそう、魚といえば昔「いりこ」というあだ名だったという方がイリコの絵を買っていった(詳細は次回に)。

帰りの高速では、何とも美しい富士山が現れたが首都高手前から壮絶な渋滞に巻き込まれて辟易(へきえき)した。半月ぶりの茨城は季節が止まっていたかのように木々が寒々しい。それでも日差しは春のもので、パクはいつもの散歩道を懐かしそうに楽しんでいた。(画家)

カタクリが開花 筑波山山頂付近 見頃は4月半ば

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カタクリの里と開花したカタクリの花(円内)=4日午前、筑波山御幸ケ丘

筑波山山頂に近い御幸ケ原のカタクリの里で、春の訪れとともにカタクリの花が咲き始めた。「春のはかない命」(スプリング・エフェメラル)と呼ばれる春先に咲く草花の一つ。つくば観光コンベンション協会によると、今年は3月に積雪が3回あった影響で例年より開花が遅れ、見頃を迎えるのは4月中旬になる見通しだという。

筑波山はカタクリの群生地と知られ、標高約800メートルの御幸ケ原のほか男体山山頂周辺の自然研究路、ケーブルカー沿いなどに約3万株が自生している。カタクリ草はユリ科カタクリ属の多年生植物で、山野に群生して、薄紫色のかれんな花をうつむき加減に咲かせる。

カタクリの里は筑波山ケーブルカー筑波山頂駅から、山頂連絡路を女体山方向へ約100メートルほど進んだところに位置し、3月25日から5月19日まで「筑波山頂カタクリの花まつり」が催される。4月下旬には白色のニリンソウも咲き、二つのかれんな花のコントラストを楽しむことができる。

4日午前、カタクリの里で、50輪ほどが開花しているのが確認できた。観光客はまだまばらだった。

同協会観光推進課の本間良太さん(39)は「2月は暖かかったが、3月に雪が降ったため、ソメイヨシノと同じようにカタクリも開花が遅れ、見頃を迎えるのも遅れると思う。山頂付近は整備されているので、これからも多くの人に訪れてほしい」と話している。(榎田智司)

◆問い合わせは電話029-869-8333(つくば観光コンベンション協会)へ。

阿見町の「たけのこ料理」フェア《日本一の湖のほとりにある街の話》22

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】茨城県の阿見町は、総面積に対する竹林の面積が県内トップクラス。農林水産省が行っている農業状況調査の指標「農林業センサス」の直近のデータでは、同町の竹林の面積は102.4ヘクタールで、町総面積に対する割合は1.43%。県内44市町村の平均は0.39%であり、他市町村の約3.6倍の割合となっています。

このため、県内でも春のたけのこ生産が盛んであり、地元の直売所には季節になると新鮮なたけのこが並びます。さらに毎年4月には、たけのこ料理フェア「たけのこほっぺ」を開催。今回はこのイベントについて、同町商工観光課の井手さんにお話を伺いました。

農家の協力で「たけのこ」掘り体験

今回で12回目となる「たけのこほっぺ」では、町内6店舗の飲食店が、特産のタケノコを用いたメニューを提供しています。たけのこご飯や青椒肉絲(チンジャオロース)、てんぷらなど、お店ごとに工夫を凝らしたメニューはどれも美味!

また、同イベントで毎回好評なのが、たけのこ農家さんのご協力による「たけのこ掘り体験」。今回3カ所の竹林での開催が予定されているこの体験イベントは、毎年訪れる熱心なリピーターもおられるそうです。

お子さん連れや、都心からのお客さんも多いというたけのこ掘りの魅力を井手さんに伺うと「整備された竹林の中を歩く非日常的なさわやかさと、宝探し的なワクワク感に魅力を感じていただいているようです」とのこと。

整備された竹林は、目で鮮やかな緑を楽しめ、足裏で積もる葉の感触を楽しめる、とてもさわやかな体験です。また、良いたけのこは地面からまだ出ておらず、わずかに地面が隆起しているのを、上に積もった葉が少し浮いているのを足で踏んで探すのがポイントで、この点が宝探し的でとても面白いそうです。

採りたて「たけのこ」刺身は美味

採りたてのごく新鮮なたけのこは、アク抜きをせず刺身で食べることも可能で、これも自分で収穫してこそのお楽しみ。また、質の良いものの見分け方として、芽の部分が緑になっておらず黄色いものを選ぶと、柔らかくておいしいそうです。

今年のフェアは4月6日から30日まで。産地ならではの新鮮な味わいと、五感で楽しめるさわやかな行楽・たけのこ掘りを、ぜひお楽しみください。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

→これまで紹介した場所はこちら