【コラム・冠木新市】現在、詩劇コンサート・つくばシルクロード2026「憎しみは愛によって止む」(5月16日)の準備をしている。
1月25日、つくば市北条・宮清大蔵での「北条芸者ロマンの唄が聞こえる」終演後、観客のスリランカ人から話があると言われ、その夜、台湾料理店で会った。スリランカを代表する歌手クリシャンタ・エランダカさんが来日するので、コンサートをプロデュースしてほしいということだった。「4月に開催したい。ぜひに」と懇願され、了承してしまった。
ところが、5月連休まで会場がどこも空いていなかった。結局、昨年「雨情からのメッセージⅲ/空の真上のお天道さまへの旅」でお世話になったサンスイグループの東郷治久代表に相談し、山水亭(つくば市小野崎)の宴会場が借りられることになった。

「北条芸者〜」の後始末をしながら、このコンサートの企画を練った。クリシャンタさんはスリランカでは有名な方だが、日本では知られていない。さて、どうしたものかと考えた。以前、コロナで公演を中止した金色姫伝説をスリランカのチャンナウプリ舞踊団で企画したとき、スリランカのことを調べたことがある。日本にとって大恩のある国なのだ。
終戦後の1951年、日本が五つの戦勝国に分割統治されそうになったとき、国連で、セイロン(当時)の財務大臣ジャヤワルダナ氏が「憎しみは憎しみによって止まず、愛によって止む」とのブッタの言葉を引用し演説したところ、参加者が感動し、分割構想が廃案となり、日本は独立することができた。
さらにセイロンは対日賠償放棄までしてくれた。ふと、今年がサンフランシスコ講和条約75周年目に当たることに気が付き、「これと関連付け、良いものができないか」と思った。
「憎しみは愛によって止む」は、ブッタの言葉をテ一マにした2部形式の詩劇コンサート。第1部「終わりの始まり」は、講和条約の話を舞踊と映像で構成する。第2部「平和の里を訪ねて」は、スリランカ共和国になった翌年1973年に生まれたクリシャンタさんの人生と同国の現代史を重ねて歌で構成する。
『…ハリウッドに最も嫌われた男』
構想を練りながら、憎しみと愛について考えていたとき、伝記映画『トランボ ハリウッドに最も嫌らわれた男』(2015年)を思い出した。
脚本家ダルトン・トランボは、1950年代に共産党員だったため赤狩りに遭い、映画界から干されてしまう。観客からコ一ラをぶっかけられたり、引っ越した家のプ一ルに隣人からゴミを投げ込まれたり、数々の嫌がらせを受ける。しかし、市民や業界人から憎まれても、トランボは怒りにまかせて対応したりはしない。
B級映画会社に売り込み、安い値段で脚本を引き受け、変名で次々と脚本を書き上げる。赤狩りされた仲間にも仕事をあっせんし、脚本の直しまで引き受け、抵抗を続ける。誰も憎まず、知恵と粘りで困難に立ち向う。トランボが怒り出すのは、バスタブにつかり脚本を書いているところに娘が入って邪魔した時だけだ。
「ローマの休日」「スパルタカス」「栄光への脱出」「フィクサ一」「パピヨン」「ジョニ一は戦場に行った」。トランポの描く主人公は実にたくましく忍耐強い。
「憎しみは愛によって止む」の愛とは、知恵、勇気、忍耐から来るものではないだろうか。予算も人材も時間も足りないイベントだが、トランボを見習って取り組んでいる。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)
<お知らせ>朗読者養成講座「つくつくつくばの七不思議」(参加費無料)
講師:冬木周一(朗読家)
日時:4月25日(土)午後1〜3時
場所:カピオ小会議室1
対象:朗読芝居に興味ある方
主催:一般社団法人スマイルアップ推進委員会






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