水曜日, 11月 12, 2025
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取り組みの達成度は40% 筑波山地域ジオパーク「再認定」へ難所

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6市と関係機関・団体メンバーを集め開かれた臨時総会=つくば市消防庁舎

【相澤冬樹】筑波山地域ジオパークの「再認定」に向けた作業が、険しい難所に差し掛かっている。直面する課題への取り組みについて、自己評価で達成度を計ったところ、総合評価で40%と合格ラインには程遠かった。特に地質保全については保全計画もなくゼロ評価、6市にまたがる運営体制の構築・強化など山積する課題を前に、勝負の年となる新年度を迎えようとしている。

保全と運営面に大きな課題

厳しい現状認識は、つくば市、土浦市、かすみがうら市、石岡市、笠間市、桜川市の6市からなる筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が17日開いた臨時総会で報告された。

日本ジオパークは全国に44地域が認定されているが、継続には4年に1度、日本ジオパーク委員会(JGC)の審査を受けなければならない。筑波山地域の審査は20年10~11月に予定されており、5月~9月にかけ審査員による現地審査、現況報告書の作成、新たなアクションプラン(2021~25年)の策定などが予定されている。

同地域は認定を受けた16年の段階で、JGCから13の課題が示されていて、うち9課題は概ね1~2年以内に解決すべき取り組みとされた。地質や景観の見どころとなるジオサイトのデータベース、解説板、ガイドブックの整備や地域振興部会、教育・学術部会の具体的活動での進展などが指摘された。

これらの対応を怠ると、再認定は条件付きとなり、2年後に再審査となる。条件付き再認定はいわゆる「イエローカード」扱い、再審査をパスできないと「レッドカード」となり、認定が取り消される。活動への理解や認識の低さを指摘され、17年に茨城県北ジオパークが取り消しとなった前例がある。

19年度は、全国で再審査の2地域を含む9地域が再認定審査を受け、初審査の7地域中、4地域にイエローカードが出された。この結果に、事務局は緊張感を募らせている。審査時にも提出する自己評価表で課題への対応を洗い出したところ、達成度を示す総合評価は40%にとどまった。再認定審査をパスした地域では66%に達していたことから、いっそうの取り組みが望まれた。

特にジオサイトの地質保全は手つかず状態、地域内にジオサイトは26あるが、個別診断の「カルテ」の作成は行われたものの、データベース化には至っていない。求められた保全計画が策定されていないことから、アクションプランのなかに位置づける考えでいる。

また、運営体制の強化も急がれる。現状、専任職員を置くのはつくば市とかすみがうら市だけで、専門知識を持つ人材を欠いている。つくば市で任期付き専門員の採用計画を進めているが、6市による体制構築のため協議会での専門員雇用も検討課題にあげた。これらは5月に予定する定例総会で、事業計画として決定する。

五十嵐市長は「課題は解決されなくても達成度を示すのが重要。多地域にまたがるジオパークは特に一体的取り組みがポイントになる。広域連携によってイエローカードでなくグリーンカードを目指して進んでいきたい」と協調をアピールした。

【新型コロナ】かすみがうらマラソン中止 土浦

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4月19日開催の看板が掲げられているかすみがうらマラソンのスタート地点付近=土浦市川口

【鈴木宏子】かすみがうらマラソン大会実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)は17日、4月19日開催予定の第30回記念かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2020(同実行委、土浦市など主催)を中止すると発表した。

2万人を超えるランナーや約4000人いるボランティアの感染拡大リスクを排除できないためという。中止は東日本大震災が発生した2011年の第21回大会以来2回目。

事務局の市スポーツ振興課によると、テントを立てて設置する更衣室が閉鎖された空間になってしまうこと、さらに約4000人のボランティア全員に配布するマスクの入手が見込めないことなどから中止を判断したという。

大会実行委では、2月半ばごろから感染症対策について検討してきた。大会まであと1カ月に迫ったことから16日夕方、会長、副会長らによる臨時会議を開き中止を決めた。

3月1日の東京マラソンのほか全国でマラソン大会が中止になっていることから同課にはこれまで、多くて1日10件ほどの問い合わせがあり、ランナーからは「開催すべき」、一般市民からは「開催されると不安」だなどの意見が寄せられていた。

30回記念の今年の大会には、昨年とほぼ同数の2万558人が出場する予定だった。出場予定者にはメールまたははがきで中止の連絡をする。

出場予定者は、一般の部フルマラソンが7000円、10マイルが5500円、5キロが3500円の参加費をすでに支払っているが、規定により返金は行わない。一方、30回記念のオリジナルエコバッグと参加賞(大会オリジナルアームポーチまたは地元名産品)などを後日発送するという。

同実行委会長の安藤市長は「感染症対策を講じた上での開催の可能性を模索してきた。中止は断腸の思いだが、健康を第一に考えた結果」だとするコメントを出し理解を求めた。

「予想していた」「残念」

中止決定に、ランナーや地元からは「予想していた」「残念だ」などの声が上がる。

フルマラソンに出場予定だったつくば市の会社員、橋本ひとみさん(38)は「17日に発表があるので気になって2、3日前からホームぺージを見ていた。残念だが、全国でももっと小規模な大会が中止になっているので予想はしていた。かすみがうら市の沿道では(ランナーに提供するため)前の年から梅干しやラッキョウなどを作って準備してくれるボランティアがおり、とても残念がっているのではと思う」と話す。

霞ケ浦で遊覧船を運行するラクスマリーナは、土浦入り対岸のかすみがうら市、歩崎公園湖岸に3月末、桟橋が完成することから、マラソン大会に合わせて4月19日、土浦と歩崎を結ぶ新航路を就航し、マラソンと同日開催される「かすみがうらウオーキング」の参加者を土浦から歩崎に運ぶ予定だった。さらに同マリーナ敷地内で天然温泉が湧き、ゴール地点のJ:COMスタジアム(川口運動公園)に隣接していることから、毎年ゴールしたランナーらに無料の足湯を提供してきた。秋元昭臣専務は「歩崎までの新しい航路を知ってもらったり、温泉をPRするいい機会だったのに残念」と語る。

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【新型コロナ】「自宅待機、賃金は」 連合茨城に切実な声

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第2弾に入った新型コロナウイルスに伴う緊急労働相談=連合茨城提供

【山崎実】「4月1日付けで雇用契約解除の通知を受けた。3月上旬からは自宅待機。その間は有給を使うように言われた。賃金はもらえないのか」―。連合茨城(水戸市)が今月4日から7日まで行った新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う緊急労働相談(第1弾)では、生活に直結した切実な声が寄せられた。

相談件数は27件で、相談者は正社員、パート、契約社員各7人など。相談内容は、会社都合の休業に対する賃金補償が9件、学校の休校に伴う賃金・有給休暇が5件、解雇の相談も2件あった。

具体的には「パートでスポーツ施設の清掃作業をしている。会社から『コロナの関係で3月いっぱい休みにする』と言われたが、賃金は補償されるのか」「契約社員としてスポーツジムのインストラクターをしている。ジムから文書で『コロナによる休館中は賃金の支払いはできない』と通告された。これでは生活ができない」

「契約社員として日給でスクールバスの介助員をしている。学校が休みになってしまった。雇用契約書には『休日は学校の休みに準ずる』とあるが、今回の場合は何ももらえないのか」「嘱託でスクールバスの運転手をしている。突然休校になったので仕事がなくなった」

「飲食店でアルバイトをしている。店長からキャンセルが続いているのでしばらく休んでほしいと言われた。生活もあるので困っている」ーなど、ほとんどが切羽詰まった相談ばかりだった。

連合茨城はこれらの実態を背景に、新型コロナウイルスに伴う休業を東日本大震災と同様に不可抗力とみるのか、会社都合なのか早急にはっきりさせることが必要だとし、政府に対し「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」に該当しない労働者に対する直接支給制度や、助成制度の創設を働き掛けるべきだと、県や厚労省茨城労働局に要請する方針だ。

31日まで緊急相談第2弾

連合茨城は31日まで緊急労働相談の第2弾を行う。時間は朝9時から夕方5時30分まで。フリーダイヤル0120-154-052。問い合わせは電話029-231-2020(連合茨城、担当・川城さおりさん)。

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科学技術ファーストに違和感 つくば市議会 中心市街地戦略で提言へ

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つくば市中心市街地のつくばセンタービル

【鈴木宏子】つくば市が2月に公表した「中心市街地まちづくり戦略(つくば駅周辺基本方針)」案に対し、市議会が「4つの基本方針の最初に科学技術に関することが掲げられているのは違和感がある」などとして、市に対し、優先順位の見直しなどを求める異例の提言を出す。16日開かれた市議会つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会(小野泰宏委員長)で全会一致で決めた。

市の戦略案は基本方針の1番目に「まちづくりの課題を科学技術で解決する世界のモデルとなるまちづくり」を掲げている。さらに市は市議会に、ベンチャー企業を支援するイノベーション施設などをつくばセンタービルに整備するリニューアル案や、つくば駅周辺のエリアマネジメント団体(まちづくり会社)を設立する案などを示し(3月9日付)、3月議会に関連予算を提案している。

一方、市議会はもともと昨年12月に、同調査特別委がまとめた中間報告を市に提言していた。同中間報告は、中心市街地が目指す方向として「歩いてほっとする場所のある、誰にでもやさしいまちなか」を掲げ、魅力あるイベントや天候に左右されない環境づくりのため、施設や場所の使用規則、許可、禁止などのルールに柔軟性を持たせることが必要だなどと提言していた。

市民が求めるサードプレイス

市による進め方に対し、今回の異例といえる市議会の提言は、中心市街地のまちづくりについて「科学技術よりも市民が望むサードプレイス(自宅や職場とは別の第3の心地よい居場所)的内容を優先すべき」だとし、市が同戦略案で掲げた基本方針の順番を変更するよう求めている。

具体的には、市の戦略案で基本方針の4番目に書かれている「つくば駅周辺だけでなく、市全体の活力が生み出されるまちづくり」の重点戦略である「同駅周辺の集客を市内周辺部のにぎわいにつなぐ」ことや、「同駅周辺の都市機能集積による市民サービスの向上」が、市民が中心市街地に求めている内容だと指摘する。

その上で、市の戦略案の基本方針の1番目「まちづくりの課題を科学技術で解決する世界のモデルとなるまちづくり」を3番目に変更して、1番目は「駅周辺だけでなく市全体の活力が生み出されるまちづくり」(市の戦略案では4番目)とするよう求めている。

ほかに、市の戦略案の中に示され、3月議会に設立のための予算が提案されたプロジェクトの一つ「エリアマネジメント団体設立による官民連携のまちづくりの推進」について、商業施設と公共施設、事業者と行政の連携についてこれまでの取り組みを検証し課題を整理する必要があるとし、互いのつながりを強くし、より情報共有を図って足並みをそろえていく場づくりや、連携した取り組みなどを求めている。

適時説明し意見交換を

さらに今後の進め方についても、市が戦略を具体化するための計画を策定したり推進する場合は、適時、同調査特別委に説明して意見交換の機会を持つよう求め、加えて市民、中心市街地居住者、各施設の利用者や中高生などのニーズをしっかり聞き取って進めるようくぎを刺している。

今回の提言は、3月議会最終日の19日に、本会議終了後、神谷大蔵議長らが五十嵐立青市長に提出する予定という。

市議会同調査特別委はもともと3月に最終報告をまとめる予定だったが、今回の提言にのっとって4月以降も調査を継続する。

異例の提言について小野委員長は「今回は議会としてまとまって提言を出すことに意義がある。議会の役割は議事、チェック、政策提言だと思っている。市民の代表として市民の考えを伺い、政策提言にもっていきたい」と話している。

【新型コロナ】子供たちに緊急食糧支援 フードバンク茨城

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フードバンク茨城のきずなボックス㊧と表記される文面

【山崎実】新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う学校の臨時休校と春休みで、長期間の休みが続くことから、十分な栄養が摂れないことによる子供たちの健康状態の悪化が懸念されるとして、NPO法人フードバンク茨城(本部・牛久市、大野覚理事長)は、食の支援として「2020年春休み 緊急子ども支援プロジェクト」を実施することになり、協力を呼び掛けている。

生活困窮世帯の子供の学習支援事業を実施しているNPOなどの団体を通して食糧支援を行う。就学援助などを受けている県内の子供のいる家庭200世帯が支援対象。

支援を呼び掛ける食品は、賞味期限が長いロングライフパン、カップ麺、缶詰(手で空けられるもの)、レトルト食品、ソーセージ、ふりかけ、菓子など。子供が一人でも食べられるものや、お米(精米)など賞味期限が4月末まであるもの。ほかに寄付金での支援も受け付けている。

17日に食品の収集と集荷、18日に箱詰め作業の準備、19日に食品の箱詰め、配送を行う。準備作業は水戸市梅香の県JA会館本部で実施する。

支援プロジェクトに対する問い合わせは、フードバンク茨城(牛久市牛久町、パルシステム茨城・栃木うしくセンター内、電話・FAX 029-874-3001)、または県生活協同組合連合会(水戸市梅香・県JA会館分館、電話029-226-8487、FAX 029-224-1842)。

親子2代で県内最大に つくばのナメコ生産者

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なめこを手際よく切り落とす従業員

【大山茂】みそ汁で豆腐と相性バツグンの具材、ナメコに魅せられて、親子2代にわたり栽培を続けている人がつくば市にいる。同市中別府の鈴木きのこ園代表、鈴木繁男さん(41)。気が付けば県内最大規模の生産者になっていた。

培養室でなめこの品質をチェックする鈴木繁男さん

ファームは市西部、東光台団地から上郷方面を結ぶアグリロード沿いにある。ファームにお邪魔すると、頑丈な鉄骨組みの建物が目に飛び込む。内部には空調が管理された培養室や作業室がそろう。原木栽培ではなく、菌床を使った施設空調型の栽培ハウスだ。

きのこ園では広葉樹のおがくずを菌床として瓶に詰めて、高温、高圧殺菌する。瓶に詰めたり、殺菌するなどの工程は専用の機械が行う。殺菌後に種菌(たねきん)を植え込み、培養室で一定の温度と湿度を保ちながら管理すると、2カ月で収穫できる。

同園に種菌を納入する宮城県の業者によると、自然林のナメコ菌を育種したもので、ぬめりが強く傘が大きいのが特徴という。

培養室には菌床が詰め込まれた800ccのプラスチックボトルが棚に無数に並べられ、口元からナメコがぎっしりと顔を出している。別室では4、5人のパート従業員たちが、はさみを手に大きく育ったナメコを器用な手つきで切り落としている。処理する数は1日に平均4500個。四季を通じて収穫している。切り落とされたナメコはその場でふるいにかけられ、サイズ別に袋詰めされていく。

出荷先は全国で宅配を展開する生活協同組合パルシステム。出荷量の約8割を占めており、残りを地元の野菜直売所やスーパーの産直コーナーで販売している。パスシステムの話ではナメコはJAつくば市谷田部の倉庫を経由して新治と岩槻(埼玉)、相模原(神奈川)の物流センターに運ばれ、関東一円に宅配されるという。

冬の副業、気付いたら1人

県林政課のデータによれば2018年度のナメコ生産量は163トン。県内には栽培農家が20戸あるが、ほとんどが県北地域で、県南地域は鈴木きのこ園だけ。しかもその県内生産量の9割を占めている。

そもそも、ナメコ栽培は父親の栄さん(66)が40年前に農家の冬期の副業として知人ら数人と始めた。しかし発泡スチロールにオガクズを敷いただけの栽培方法では病気に侵されたり、大きく育たないなど困難に直面。気付いたら栄さん1人になっていた。

パルシステムから契約栽培の話が持ち込まれたのは20年前。設備投資が高額だったことから悩んだが、当時20歳の繁男さんが「一緒にやろう」と背中を押してくれたことで一歩を踏み出した。繁男さんはJA産直部会のエコファーマー認定取得者。「安全でおいしいなめこを今後も食卓に届けていきたい」と話している。

【新型コロナ】臨時休館の公共施設増える 土浦市立図書館も9日から

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閉館中の図書館

【伊藤悦子】新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、土浦市立図書館(同市大和町)が9日から3月末まで分館を含めたすべての図書館を休館にした。県図書館協会によると、臨時休館となった図書館は増え、県内66館のうち30館が臨時休館になっている(10日時点)。イベントの自粛にとどまらず、休館に踏み切る公共施設が増えている。

土浦市立図書館の入沢弘子館長は「公共施設の中でも市立図書館は駅に近く、駅前のにぎわいをつくる機能もあるため、多世代にわたる来館者が非常に多い。また滞在型図書館であることから感染リスクも高まる」と休館の理由を説明し、理解を求める。

同館は単館として県内一の来館者があり1日約1800人が訪れる。土浦市は水戸市に次いで高校の数が多いため高校生の利用が多いことも特徴だ。さらに来館者がゆっくり過ごせる「滞在型」であるため多くの来館者が長時間滞在する。

新型コロナウイルスの全国的な感染拡大に対し、土浦市は県内他市町村に先駆けて2月21日、市主催イベントの開催基準を定め、公表した。市立図書館では当初、不特定多数が閉鎖された空間に集まる館内イベントのお話し会を中止した。その後3月2日から高校が、4日から小中学校が臨時休校になったことを受けて、図書館は4日から高校生が集まる4階の学習スペースと飲食コーナーだけを閉鎖した。

するとこれまで4階を利用していた高校生らが3階、2階に降りてきて勉強をするようになった。4階閉鎖後も来館者数は変わらず、かえって人が密集する状態になったため休館の検討を始めた。

当初は分館を開館することを検討したが、本館を休館すると来館者が分館に流れてしまうことを懸念し、分館も閉館にも踏み切ったという。

入沢館長は「図書館本来の使命を果たさないのか、という意見もあるかと思う」と話し「駅前のにぎわいをつくる機能もある滞在型図書館で、たくさんの人が長時間滞在する。感染リスクを考えるとお叱り覚悟で臨時休館を決めた」と語った。

休館について利用者からメールで問い合わせは入るが、事情を話すと理解してくれるという。臨時休館が始まった10日の朝は、開館前から入り口で待つ来館者はなかった。休館を知らせるポスターを見て引き返す人がいたものの、混乱は起きていないという。

閉館前日の8日、同館を訪れた同市小岩田に住む女子高校生(17)は「図書館は集中しやすい。勉強する空間がなくなるので困るが、家でなんとか頑張りたい」と話していた。

「再び開館するときはピカピカに」

休館中も職員は平常通り業務にあたる。傷んだ図書の修理など、普段なかなかできなかった作業を行うという。「再び開館するときはピカピカの状態になっていると思う。状況が変わり次第、ホームぺージなどにお知らせを出し、入り口にポスターを貼るので確認していただきたい」と入沢館長は話す。

貸出予約を受けた資料は、連絡済みの予約資料のみ15日までなら受け取ることができる。16日以降は貸出しないが、開館後、再度連絡する。貸出中の資料は図書館開館後、1週間をめどに返却してもらう。休館中は、各図書館や各地区公民館に設置している返却ポストを利用できる。他館の資料、相互貸借資料については相手館への返却のため、返却期限内の返却が必要だ。アルカスや各分館の窓口で対応してくれる。詳しくは同図書館の土浦市立図書館のホームぺージ

◆土浦市内のほかの公共施設休館は次の通り(14日現在)。状況によって変更になることがある。休館中の使用料は返金する。詳しくは土浦市ホームぺージ

▽りんりんポート土浦のシャワー室=2日から当面の間休止
▽勤労者総合福祉センターのトレーニング室=2日から当面の間休止
▽温浴施設「霞浦の湯」=2日から大ホール貸出を除き当面の間休止
▽老人福祉センター・湖畔荘のお風呂=2日から当面の間休止
▽老人福祉センター・つわぶきのお風呂=2日から当面の間休止
▽ふれあいセンター・ながみねのお風呂・プール=2日から当面の間休止。11日から開館時間を午後6時までに短縮
▽新治総合福祉センターのお風呂=2日から当面の間休止
▽小中学校体育館開放事業=2日~4月5日まで休止
▽ワークヒル土浦のトレーニング室、多目的ホール・工芸室の個人利用(卓球・ダンス等)=3日から休止
▽ネイチャーセンター=16日から当面の間休館
▽霞ケ浦文化体育会館(水郷体育館)=17日から当面の間休館。会議室を除く。トレーニング室は2日から利用休止
▽新治トレーニングセンター=17日から当面の間休館
▽市立武道館=17日から当面の間休館。弓道場を除く。

◆つくば市公共施設の休館状況は次の通り(14日時点)。状況によって変更になることがある。感染拡大防止のため交流センターなどの使用をキャンセルした場合、使用料を返金する。詳しくはつくば市ホームぺージ

▽桜総合体育館の柔剣道場=4日から18日まで利用休止
▽谷田部総合体育館の柔剣道場=4日から18日まで利用休止
▽筑波総合体育館の柔剣道場=4日から18日まで利用休止
▽豊里柔剣道場=4日から18日まで利用休止
▽つくばウェルネスパークのトレーニングルーム=3日から当面の間、利用休止
▽桜総合体育館のトレーニングルーム=3日から当面の間、利用休止
▽谷田部総合体育館のトレーニングルーム=3日から当面の間、利用休止

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【新型コロナ】今度は入学式を中止 筑波大

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筑波大学正門

【山口和紀】新型コロナウイルスの感染拡大を受けて筑波大学は13日、卒業式の大幅縮小(3月10日付)に続き今度は、4月の入学式を中止すると発表した。

同大は「新入生にとってかけがえのない行事を中止することは大変心苦しい決断だが、学生の健康と安全確保を第一に考え結論に至った」として理解を求めている。

入学式は4月5日に予定され、大学と大学院合わせて計約4700人が出席する予定だった。

新入生の大学での授業開始は8日、その前の5~7日には履修する授業の説明などをするオリエンテーションを実施する予定だ。大学院は5~6日にオリエンテーションを実施、7日から授業開始予定だが、同大はオリエンテーションや2020年度の授業スケジュールについては後日改めて新入生に通知するとしている。

新歓も中止、上級生は「ツイッター新歓」検討

入学式終了後は例年、サークルや部活動など各団体の上級生が、新入生に紹介チラシを配る「新入生歓迎祭(新歓祭)」が実施される。同大は学生に対し、現在予定されている新入生歓迎活動、特に「ご飯会」を含む集会活動の延期や中止を要請した。

これを受けて、新歓を取りまとめる新入生歓迎祭推進委員会は新年度新歓祭の本祭中止を決定した。さらに体育会、文化系サークル連合、芸術系サークル連合の3連合会も合同新歓の中止を決定した。サークル各団体も新歓を中止・延期するかどうか、現在、判断を迫られている状況だ。

文化系サークルの新歓担当者の1人は「今年は『ご飯会』を全面的に中止する。ワークショップなどを準備してきたが、どこかのタイミングで出来ないか考えている」と話し、「メジャーなサークルはオンライン新歓が有効かもしれないが、うちのような“弱小”サークルはどのように人を集めれば良いか悩ましい」と語った。

同大はツイッターをはじめとするSNSが盛んだ。新歓の中止要請を受け、複数の団体が「ツイッターで発信を強化する」と書き込んでいる。名古屋大学など他大学ではオンライン新歓をする動きもある。リモートワークならぬリモート新歓として「ツイッター新歓」や「VR(バーチャルリアリティー)新歓」が今年のトレンドになるのかもしれない。

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【新型コロナ】ホテル・旅館宿泊者に最高7000円補助 全国初、つくば市が緊急対策

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13日開かれたつくば市議会本会議=市役所

【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染拡大の影響で、つくば市内のホテルや旅館も団体客のキャンセルが増えているのを受けて、同市は、市内のホテルや旅館の宿泊者に最高7000円を補助する方針を決めた。

13日開いた3月議会本会議に、計約9000万円の緊急対策費を追加提案した。宿泊費を1人1泊最高5000円割り引くほか、宿泊者に市内で飲食できる2000円の食事券を交付する。計約9000万円の予算のうち宿泊費補助は約5300万円、食事券交付は約3600万円。市によると市町村がホテルや旅館に補助するのは全国で初めてではないかという。

補助額は、1人1泊1万円以上(食事代含む)の宿泊者に対し1泊当たり5000円、1泊6000円以上1万円未満が3000円、1泊6000未満は1000円とすることを検討している。食事券の交付も含め、ホテルや旅館の窓口で手続きができるようにする。

市外からの来訪者だけでなく市民にも利用を呼び掛け、2カ月間で1日約290人が割引を利用できる分の予算を計上する。ただし食事券の利用はチェーン店などは対象外で、市内に本社がある飲食店に限定する。

市によると、市観光コンベンション協会が市内のホテルや旅館32施設を対象に3月に実施した調査の結果、回答があった18施設で、4~5月の予約状況が全体で前年同期比3割程度だった。1割に満たない施設もあったという。市の補助により宿泊客を2カ月で約1万7700人増やし、例年並みの利用に戻したい意向だ。

実施時期は、現在、国がイベントの自粛を要請していることなどから、すぐにはスタートできないとして、国の方針を見ながら時期を決めていくという。ただしいつでもスタートできるよう準備を進める。3月議会で議決されれば3月下旬にもホテルや旅館を対象に説明会を開き、手続きを進める。

他業種も調査し対策を

一方、同予算を審議する市議会市民経済員会(黒田健祐委員長)では、ホテルや旅館だけでなく、他にも様々な業種で売り上げが落ち込んでいるとして、他業種も含めて幅広く調査し、対策をとるよう求める声が多く上がった。

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屋根の銅板ごっそり盗まれる 筑波山麓 飯名神社

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拝殿裏手の剥ぎとられた屋根を見上げる鮏川さん=つくば市臼井

【相澤冬樹】初巳(はつみ)の「だるま市」で知られるつくば市臼井の飯名神社(八木下健司宮司)が、とんだ夜盗の被害に遭った。先月末、神社の本殿、拝殿、社務所の銅板葺(ふ)きの屋根が何者かによって半分近く剥がされているのが見つかった。神社は氏子総代と連名でつくば署に通報、被害届を出し、実況検分を受けた。

被害の一報は2月29日、氏子総代の同所、鮏川修さん(65)に入った。集落のはずれ、筑波山神社方向に上る林道脇に鎮座する同神社を散歩コースにしている住民が屋根に異常を発見した。参道になっている石段の下から見上げる角度からでは分かりにくい位置の屋根の銅板がごっそり、抜き取られるように無くなっていた。回り込むと、拝殿の大屋根のほぼ半分が野地板をさらす状態になっていた。

神社の西側に回ると屋根の右半分が野地板をさらしていた=同

同神社は、「すそみ」と呼ばれる筑波山麓の集落道路から300メートルほど山に分け入った木立の中に建つ。手前から社務所、拝殿、本殿の並びだが、いずれも目につきにくい位置の屋根が狙われた。薄板の銅板は馳(はぜ)という連結部で留められるよう並べられているが、次々と抜きとるように盗まれていた。

本殿の屋根からは脇にせり出した銅板葺きの屋根材は全面的に剥がされていたが、上部のトタン葺きの屋根材は触れた形跡だけで手つかずに残っていた。銅は現在、1キロ500円程度で取引されるという。

「まさか ひっぺがしていくとは」

実況検分に立ち合った鮏川さんによれば、境内には軽トラック2台分のタイヤ痕が残っていたそうで、4人程度のグループが深夜境内に忍び入ったとみられる。「普段ひと気のないところで、さい銭荒らしの被害はあったが、まさか屋根をひっぺがしていくとは」、巧妙かつ大胆な手口に「あきれるばかりだ」という。つくば署に届け出たものの、足取りなどの手掛かりは一切得られていない。

早急な修理が必要なため、被害額の算定を進めているが、火災に備えた建物共済で盗難保険に入っており、臼井地区に約200軒ある氏子世帯への新たな負担は回避できそうな見通し。鮏川さんは「監視カメラだけは何としても設置したい」と対策を講じる構えでいる。

飯名神社は、創建時期などは不明だが、神の山、筑波山に古くからある社(やしろ)の一つ。祭神は保食神(うけもちのかみ)、市杵嶋姫命(いちきしまひめ)と伝わり、新年の「だるま市」のほか、木彫細工の壮麗な本殿やその裏手にある巨岩、銭洗い弁天で知られる。屋根は1983年の改修で、それまでの茅葺きから銅板に葺き替えられた。

【震災9年】福島に入り猫救出を経験 つくばで地域猫活動のリーダーに

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地域猫活動に用いる捕獲器を洗う重松聖子さん=つくば市松代

【橋立多美】つくば市在住の重松聖子さん(71)には9年経っても忘れられない光景がある。住む人を失った家の中に猫の骸(むくろ)が2体並んでいた―。巨大地震、津波に続いて福島第1原発が爆発し避難指示が出された。「すぐに帰れると思い、猫が外に出ないように鍵をかけて行ったんだと思う」

2010年、県南を中心に活動している動物愛護団体のボランティアとして啓発や犬猫の保護譲渡に取り組んた。翌年3月11日に東日本大震災が発生。厳冬期を迎えようとする10月、同団体に所属する3人で福島県東部の太平洋に面した浜通り地域の警戒区域に、置き去りにされた猫の救出に向かった。

早朝に福島県に入り、富岡町の施設で防護服に着替えて線量計を首から下げた。帽子と上着、ズボン、手袋、マスクが渡された。手袋は3重、靴は2重のビニールで覆った。

双葉町や大熊町、楢葉町、浪江町など大地震でインフラや建造物の倒壊が相次いだ被災地で、とり残された猫を探し回った。犬はほかの愛護団体が保護した。

「枯れた草の中に猫が隠れていないかと分け入る度に線量計の針が大きく振れた。自分の被ばく線量より生きている子を助けたいという思いが強かった」と振り返る。震災から半年以上空腹に耐えてまちをさまよった猫たちの体は、汚れてやせ細っていた。

街灯を流された被災地は明かり一つない。午後4時過ぎに活動を打ち切った。この日保護した猫は10匹だった。車に積んでいった100キロの餌は、救出できなかった猫が命をつなぐために、先に被災地に入った動物愛護団体が作った30カ所の餌箱に入れてきた。

シェルターで受け入れた猫たちと(2013年2月撮影、重松さん提供)

土浦のシェルターで世話

所属していた団体が福島で被災した犬猫を保護するシェルターを11月に土浦に設置し、猫舎に約40匹、犬舎に20頭ほどを受け入れた。猫の世話を担当した重松さんは「どうしても懐かない3匹がいて、ケージの隅から動かず目はうつろだった。飼い主に捨てられた、何も信用しないと抗議しているようだった」。

ところが、懐かないのを承知で里親になってくれた家に引き取られると、生き生きして顔つきまで変わった。「家族として迎えられたことで人への信頼を取り戻したと思う。猫は家につくといいますが人につくんです」と重松さんは話す。

心ならずも、ペットを家に置いて逃げなければならなかった飼い主も辛いだろうと、猫たちの写真を、保護した町の避難所に掲示した。3組の飼い主が猫の好物を持ってシェルターに会いにきた。連れ帰ったのは1組。2組は避難所暮らしで飼えないと後ろ髪を引かれつつ福島に帰っていった。

震災時の体験が動物愛護への気持ちをより強くした。犬猫の殺処分数は減少傾向だが全体の80%を猫が占めていること、野良犬を見かけることはなくなったが野良猫が増えて全国的に問題になっていることから、地域の野良猫に不妊去勢手術などをする地域猫活動を推進する「Team.ホーリーキャット」を17年に発足させた=2019年7月17日付

「飼い主は万一に備えて」

重松さんは「3月11日は震災を思い起こす日。想定外の自然災害が起こっているだけに飼い主には万一に備えてほしい」という。

首輪に迷子札を付けて写真を携帯するほか、フードや猫用の散歩ひもを入れたリュックとキャリーバッグはいつでも取り出せる場所に置く。またペット同伴の避難所が開設されるようになったことから、自治体のハザードマップで避難所の位置を確認しておくことを薦める。

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【新型コロナ】筑波山神社「御座替」神幸祭を中止 門前に春遠のく

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日差しはすっかり春めく筑波山神社門前

【相澤冬樹】筑波山神社(つくば市筑波、矢島忠孝宮司代務者)は、4月1日に予定していた春季御座替(おざがわり)祭のうち、坂道登はんで神輿(みこし)が巡行する「神幸祭(じんこうさい)」の中止を決め、12日までに神社のホームページなどで告知した。新型コロナの感染予防措置で、「奉幣祭(ほうべいさい)」「神衣祭(かんみそさい)」については外部の招待者を入れず、規模縮小で行う。

震災直後以来の縮小

御座替祭は毎年4月1日と11月1日に行われる筑波山神社の例大祭で、筑波山で最も重要な行事とされる。夏と冬、親子の神が山頂の本殿と中腹の拝殿で神座を入れ替える形式をとる。まず、男体山と女体山の各山頂にある本殿の神衣を新しい衣に取り替える衣替えの儀式「神衣祭」があり、次いで筑波山神社で舞いをささげる「奉幣祭」が執り行われる。

一般参拝者を巻き込んだクライマックスが「神幸祭」で、「神衣祭」で取り替えられた神衣を神輿に納め、つくば道の一の鳥居から筑波山神社まで、地域の発展と平穏を祈りながら坂道を行列で登る。今回はこの巡行を中止とした。

例年「奉幣祭」には約200人に招待状を出し参列を呼び掛けていたが、今回は取り止め、神社職員と10人いる氏子総代のみの参列で行うことにした。神社によれば、2011年の東日本大震災直後の春の御座替祭でも同様の措置を取ったといい、それ以来の規模縮小となった。「残念でならないが、ここは大事をとって政府方針に従うほかはないと総代会とも一致した」(八木下健司権禰宜)という。

御座替祭で中止になる神幸祭の行列

団体客のキャンセル相次ぐ

筑波山では22日まで第47回筑波山梅まつりが開催中だ。主催の市観光コンベンション協会によれば、「梅の開花が早く、2月は3連休もあって空前の人出が見られた」そうだ。新型コロナ対策で政府が基本方針を発表した先月25日以降も、週末を中心に個人客が筑波山に足を運んだ。28日からは、まつりイベントの中止措置が取られたが「近県の観光客には(中止が)伝わっておらず土日に訪れる人は多い」(筑波山ホテル青木屋)という。

筑波山観光では中国人らのインバウンド利用は元来少ないというが、それでもバス利用の団体客のキャンセルが目立って増えている。「3月中は持ちこたえても企業の研修利用などが増える4月以降のキャンセルが増えると厳しい環境になりそう」(つくばグランドホテル)だと新型コロナの収束を待ちわびている。

梅林は暖かい日差しに花の見ごろを終え、全体に散り始めているが、筑波山に本当の春が到来するのはまだ先になりそうだ。

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【震災9年】双葉町からの避難者 つくばの宿舎で最後の慰霊祭

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祭壇の前で手を合わせる福島県双葉町出身の中村希雄さん(中央)=つくば市並木3丁目の国家公務員宿舎

【崎山勝功】東日本大震災から丸9年を迎えた11日、つくば市周辺で避難生活を送っている福島県双葉町からの避難者が、同市並木3丁目の国家公務員宿舎前で慰霊祭を執り行った。避難者の間では茨城県内各地に転居する動きが進んでいる。今回が同宿舎で開く最後の慰霊祭になるという。

慰霊祭は双葉町出身の中村希雄さん(78)方の宿舎の庭先に祭壇を設け、参列者約20人が1人ずつ線香をあげ、祭壇前で犠牲者の冥福を祈った。

地震発生時刻の午後2時46分ごろには、双葉町の方向に向かい犠牲者に黙とうを捧げた。黙とう後、時代劇「水戸黄門」の主題歌「ああ人生に涙あり」を合唱した。

慰霊祭を主催した中村さんは、11年10月から同市並木の公務員宿舎で避難生活を送り、震災から1年後の12年3月から毎月11日の月命日に宿舎の庭先で慰霊祭を開いてきた。17年3月までは毎月行っていたが、18年からは年1回前後の開催となっていた。今年は中村さん一家が3月中に転居し同宿舎を退去するのに伴い、同宿舎での最後の慰霊祭になる。

中村さんは取材に対し「晴れ晴れして、何か一区切りしたような感じ。こんなにたくさんの方に来ていただいて良かった」と語った。つくばでの日々を中村さんは「いいことづくめ。いじめに遭ったことは無く、みんなで楽しく日々を送ることができた」と振り返った。

慰霊祭には、筑波大体育系の長谷川聖修(きよなお)教授(62)と学生たちも一緒に参列した。長谷川教授らは、体操教室とグラウンドゴルフを通して避難者たちと交流を深めてきた。

長谷川教授は「慰霊祭に参加することで、メディアでは知ることのできない福島の実情、特に原発のことについて知ることができた。原発は自分、皆の未来のために考えなければならない」と語った。その上で「中村さんたちは辛い経験をされているはずだが、いつも明るく、逆に自分が元気をもらっている」と話した。国家公務員宿舎での慰霊祭は今回で最後となるが、体操教室やグランドゴルフへの参加により今後も交流は続くという。

転機を迎える避難者たち

並木の国家公務員宿舎にはピーク時で48世帯が住んでいたが、応急仮設住宅の供与期間が限られていることから、入居者たちの多くがつくば市や周辺市町村などに転居しているという。双葉町からつくば市内に移住した上原滋さん(75)は「あちこち回って、転居が8回目。(つくば市が)最後の住み家になると思う」と語った。

現在、土浦市に住む双葉町出身の新川義隆さん(73)は「土浦に永住する。土浦での生活も慣れてきた。地域の人が受け入れてくれたから」と新天地での生活を語った。新川さんの息子2人は仙台市に、3男は土浦市に住んでいるという。

双葉町の方向に向かい犠牲者への黙とうを捧げる参列者たち=同

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日本語学校の1期生30人が卒業 努力たたえ門出祝う つくば国際語学院

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東郷理事長(右)から卒業証書を受け取るスリランカ出身のラクミニ・ディープティカさん=つくば市松代

【橋立多美】学校法人つくば文化学園「日本つくば国際語学院」(東郷治久理事長)の第1期生の卒業式が11日催され、2年間の課程を終えた30人が巣立った。式典は学院に隣接し、理事長が代表を務めるサンスイグループのつくば山水亭で行われた。

同学院は一昨年の4月20日、つくば市松代に開校した。学生の出身国はウズベキスタンやモンゴル、ベトナム、中国、ネパールなど9カ国に及ぶ。式には学校関係者や保護者、友人らが列席した。

スーツや民族衣装で式に臨んだ卒業生たちに理事長は「生活習慣や文化が違う異国の地でよく頑張りました。ここからが日本社会への第一歩。初心を忘れずに成果を目指してください」とあいさつした。

在校生を代表して中国出身の女子学生マ・ソウソウさんが「先輩たちに日本のルールを教えてもらって勇気と自信を持つことができました。お世話になりました」と送辞を述べた。

一人ひとり壇上で答辞を述べる卒業生たち=同

卒業生は一人ずつ檀上に上って答辞を述べた。2年前に来日した当時に思いをはせたり、ユーモアを交えて学院での学生生活を振り返るなど、新たな門出に立った若者たちの決意がよどみない日本語で語られた。中国出身のキョ・ジンコさんは「僕は学院で言語より大切な、人とのつながりを見つけた」と語った。

日本語教育事業部の森山英煕本部長によれば、学生のレベルとニーズに合わせて進学と就労を支援しており、第一期生中24人(8割)が大学または専門学校に進むという。

緊張した面持ちで式の進行を見守る卒業生たち=同

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【震災9年】脱原発訴え つくばで市民集会

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集会後「東海第2原発 再稼働反対」などのプラカードを掲げる集会参加者たち=つくば市吾妻のつくばセンター前広場(撮影/筑波大学1年・日ビ若菜)

【崎山勝功】東日本大震災と福島第1原発事故から丸9年を迎えた11日、脱原発と護憲を訴える「3.11から9年 さよなら原発!守ろう憲法!昼休み集会」がつくば市吾妻のつくばセンター広場で開かれた。市民ら約50人が参加し、東海第2原発の再稼働反対などを訴えた。

市民団体「戦争をする国づくりNO@つくば」と「安倍9条改憲NO!市民アクションつくば連絡会」の共催で行われた。

集会で発言する「いばらき原発県民投票の会」の徳田太郎共同代表=同

集会では、東海第2原発の再稼働の是非について県民投票を実施するよう直接請求に取り組んでいる「いばらき原発県民投票の会」の徳田太郎共同代表(47)が発言し、署名集めの現状について「昨日(10日)の時点で(有権者の50分の1の約4万9000筆を超える)約8万筆の署名をいただいている。つくば市では(市内)有権者の5%を越える1万筆の署名をいただいた」と県南地域で関心が高いと話した。その上で「私たち一人ひとりが考え、悩み、選択していく。私たちの民主主義は始まっている」と県民投票の意義を説いた。

集会では「首都圏で唯一の東海第2原発は、稼働40年を超す古い原発で、周辺30キロメートル圏に94万人が住む危険な原発」だとして、再稼働反対などを訴えるアピールを採択した。

新型コロナ影響、デモ行進取り止め

同集会は震災後、毎年3月11日に行われている。例年は集会後、つくば駅周辺をデモ行進するが、今年は新型コロナウィルス感染拡大の影響でデモ行進を取り止め、屋外集会のみの実施となった。今年は感染拡大防止のためマスク姿で参加した市民が多く見られた。

集会後に取材に応じた徳田共同代表は「県南は総じて他の地域に比べ県民投票への関心が高い。何といっても高齢の方の関心が高かった。逆に言うと若い世代に関心を持ってもらうのが今後の課題」だと述べた。

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【震災9年】労組、被ばく対策訴え対立 14日常磐線全線開通

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常磐線特急ときわE657系=土浦市内

【山崎実】福島第1原発事故で福島県双葉町全域に出ていた避難指示が今月4日、駅周辺など一部で解除されたことを受けて、JR常磐線は14日、全線が9年ぶりに運行を再開する。一方、労働組合「動労水戸」は、富岡―浪江間では毎時2マイクロシーベルトもある高い放射線量区域が2キロも続くとして、運転業務員や検査作業員の被ばく対策などを訴えJR側と対立している。

運転再開は避難指示解除が前提だっただけに、全線が開通し、都内と仙台を結ぶ特急列車の運行に合わせた措置ではとの見方も強い。今回の帰還困難区域の解除は、双葉駅周辺エリアなどに限られ、住民帰還は伴わない。

組合側は、常磐線全線開通は悲願としながらも、本来、年間1ミリシーベルト未満が被ばく線量の原則であり、国の20ミリシーベルトは認められないとし、何よりも内部被ばくが無視されていると指摘する。

運転再開に先立って、震災当時に帰還困難区域などを運行し、放射能に汚染された列車の検査・修繕業務を勝田車両センター(ひたちなか市)で行った際も、組合側は、床下機器に直接触る検修作業員、出区点検を行う乗務員の被ばく線量を測定すべきなどと主張していた。

これに対し当局側は、運転再開区間作業員の被ばく線量管理方法については「ガラスバッジ及び個人線量計により管理を行っていく」、車両の放射線を測定し公表すべきとの要求には「富岡―浪江間においてはモニタリングポストを新設する。車両の線量測定を行う考えはない」(2019年8月)と回答。両者の溝は埋まらない。

運転再開区間の必要な除染は終了しており不安は解消している、内部被ばくが発生する状況ではない―とする当局側に対し、組合側は、福島第1原発事故は現状として収束しているとはいえず今後の廃炉作業の危険性が無視されている、今回の全線開通は放射能汚染の拡散につながると譲らず、今年2月14日にも検修社員の内部被ばく対策として、教育の実施のほか、防護服・防護マスク・ゴーグルなどの準備を行うよう申し入れを行った。

避難指示の一部解除、JR常磐線の全線再開は将来への朗報だが、組合と当局の対立は、生活の現場から目をそむけてはいけない課題を突き付けている。

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【新型コロナ】筑波大、卒業式を大幅縮小 代表者のみ出席へ

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筑波大学正門

【山口和紀】筑波大学は10日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、卒業式の規模を大幅縮小すると発表した。大学の各学群・学類、大学院の研究科からの代表者のみが出席し挙行する。家族はもちろん、一般の卒業生・修了生も出席できない形だ。

卒業式は今月25日、同大の大学会館講堂で実施する。2月28日時点で同大は「出席者は卒業生・修了生のみとし、家族等の来場はご遠慮させていただく」と発表していた。しかし、感染拡大の影響で3月10日にこれを変更。感染の拡大状況から、多数の参加者が一堂に会して開催することは困難であるとし、各学群・学類、研究科の総代や副総代など、代表者のみ出席する形を取る。

式次第も大学は学群を2つに分けて別々に実施、大学院と合わせて計3回、卒業式を実施する。同大広報室によると昨年度は大学、大学院合わせて約7500人が卒業式に出席した。今年は計3回の式典を合わせ例年の50分の1の約150人になる見込みだという。

「晴れ着を着たかった」

出席できなくなった卒業生の1人は「晴れ着を着たかった。友達や仲間と集まる機会が無くなってしまったことは残念」と話した。

卒業式後のパーティー中止を既に決定している学群もある。大学側も「食事を取りながら懇談を行う祝賀会については、開催を控える」よう通知していた。以前から準備を続けてきた学生は「卒業パーティの中止は残念。皆で集まる最後の機会だった。参加予定者への返金が大変」と話す。

卒業式の会場では、後輩たちが『出待ち』をして卒業する先輩たちを祝うのがサークルの慣例だ。「今年は出来ないと思うと寂しい」と話したのは在校生。今年は「追い出しコンパ」なども大規模には行わないサークルが多いそうだ。

成人式に続きまたしても

晴れ着のレンタルなどをしている同大近くの着物店「明日櫻」(つくば市天久保)の担当者は「卒業式の規模縮小や式次第の変更で『着付けの時間を変更して欲しい』という要望がきている。対応できるかどうか検討しているところ。キャンセルは現時点ではきていない」と話した。同店では、晴れ着での写真撮影のみの依頼も対応しており、他店で着付けをして写真撮影のみ同店のスタジオで行うことも可能だという

今年度卒業するのは「はれのひ」事件が起きた年に成人を迎えた学年だ。新型コロナの影響でまたしても「晴れ着」を着れないという状況になってしまった。

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【新型コロナ】消毒用品不足の不安 医療的ケア必要な人たち つくば

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介助者に痰吸引をしてもらっている川島さん

【川端舞】新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、マスクとともに消毒用品が品薄になっている。医療的ケアのために日常的に消毒用品を使っている人にとって、消毒用品が手に入りにくくなっている状態は深刻な問題だ。

つくば市内のアパートで、介助者のサポートを受けながら生活している川島映利奈さん(37)。川島さんは脊髄性筋萎縮症という進行性の神経難病をもっている。川島さんが生活する上でアルコール消毒液は不可欠という。

川島さんは5年ほど前、病気の進行により、痰(たん)を吐き出す力や食べ物を飲み込む力が弱くなったため、気管を切開した。痰が詰まったときや食べ物を誤嚥(ごえん)した時に、口から吸引するより、喉から直接気管にチューブを入れて吸引した方が、速く異物を取り除くことができ、肺炎を防ぐことができる。川島さんの場合、調子の良い時で1日17回、風邪を引いた時などは1日50回ほど、介助者に吸引してもらう。

また誤嚥により口から食べられる量が少なくなったため、気管切開と同時にお腹にも穴を開けた。その穴からチューブを入れることで、直接お腹に栄養を入れられるようになった。今は1日2回、合計600カロリーを直接お腹に入れている。痰吸引する時やお腹に栄養を入れる時、体にチューブを入れるため、介助者は細菌感染の防止のため、手洗いだけでは不十分で、手をアルコール消毒する必要がある。川島さんはいつも約1カ月間で400ccのアルコール消毒液を使用している。

痰吸引などに必要な消毒液は川島さん自身が購入しているが、2月初旬から消毒液が店頭からなくなり始めた。かかりつけの薬局も消毒液のことを気にしてくれていたが、薬局の在庫もなくなってしまった。介助者に車を運転してもらい、5件ほど薬局を回ったが見つからなかった。自分で行ける薬局には限りがあるため、2月後半には介助者たちに「消毒液を見かけたら買っておいてほしい」と頼み始めた。結果、2月の終わりに業務用の消毒液を購入することができたが、介助者の協力がなかったら、3月中旬に手持ちの消毒液はなくなっていたという。

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イノベーション施設や市民活動拠点など検討 つくばセンタービル再整備

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つくば駅に隣接するつくばセンタービル。建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した建築家、磯崎新氏の代表作の一つ

【鈴木宏子】つくば市が2020年度に本格着手するつくばセンタービル(同市吾妻)のリニューアルについて、市は、現在空き店舗となっている同センタービル1階アイアイモールに、ベンチャー企業を支援するイノベーション施設などを整備し、市と民間によるまちづくり会社を設立して運営することを検討していることが分かった。現在のつくばイノベーションプラザとアイアイモールの一部には新たな市民活動拠点を整備することを検討している。

同市は、開会中の3月議会に提案している当初予算案に、同センタービルを再整備するために必要な機能や配置について検討する基本計画策定費(約990万円)と、まちづくり会社である官民連携中心市街地エリアマネジメント団体の設立出資金(約6000万円)を計上している。

3月議会都市建設委員会での市の答弁などによると、まちづくり会社には6000万円の出資金のほかに、市が所有している同センタービルの区分所有権の一部を現物出資することを検討している。2020年度中に不動産鑑定を実施して価値を算定する予定だ。まちづくり会社は21年3月までに設立予定で、センタービルの区分所有権の一部も市から新会社に移転される。市はその分を株式として持つことになるという。

センタービルのリニューアルではほかに、現在のイノベーションプラザに整備を検討している新たな市民活動拠点は、市の交流センターと市民活動センターや国際交流などの機能を有した新たな拠点という。さらに市の窓口の設置なども検討されている。

「あり方検討報告書」は6機能

一方、情報開示請求し公開された市の「つくばセンタービルあり方検討業務報告書」(19年3月策定)では、今後導入することが好ましい機能として、子育てママ、若者、シニア、ファミリーをターゲットとし、①シェアオフィスやインキュベーション施設などイノベーションのための「クリエイティブビジネス機能」②さまざまな人の趣味や活動を支える新たな「地域のコミュニティ拠点」③子供が遊びながら学べる施設や子育てママを応援する託児機能などを備えたシェアオフィスなど「子育て支援機能」④市役所の窓口など「市民サービス」⑤クッキングスタジオなどカルチャースクール等、市民が立ち寄りたくなる「文化機能」⑥飲食のスタートアップ事業を育てる「食の発信拠点」の6つの機能を導入することが好ましい―などとしていた。

担当する市学園地区市街地振興室は、現在の検討案はあくまでも内部検討案だとしている。19年3月策定の報告書とも異なるという。今後、市民の意見を聞いて基本計画を策定するとしている。

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労働組合員数、つくば市が県内トップ

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茨城県庁

【山崎実】県労働政策課がまとめた2019年の労働組合基礎調査結果によると、県内の労働組合員数20万450人のうち、つくば市が5万446人で全体の25.2%と、44市町村で最も多いことが分かった。

調査は労働組合、組合員の産業、企業規模、加盟上部団体別の分布など、県内の労働組合を対象に毎年6月30日現在で実施している。

調査結果によると、県内の労働組合数は891組合で、前年比39組合減(4.2%減)。組合員数は20万450人で、前年比1471人増(0.7%増)となった。推定組織率は14.1%。

組合員数のうちパートタイム労働者は3万4697人と前年比3195人増(10.1%増)で、全労働組合員数に占める割合は17.3%と2割近くになっている。

産業別では「製造業」が7万1575人(全体の35.7%)と最も多く、次いで「卸売・小売業」の4万9980人(同24.9%)、「公務」の1万5390人(同7.7%)と続く。また企業規模別でみると、1000人以上規模が13万3161人で全体の66.4%を占め圧倒的に多い。

上部団体別では、連合茨城が全体の70.8%(組合員数14万1875人)。茨城労連は3.8%(7708人)となっている。

組合の組織状況を市町村別でみると、水戸市が160組合と最も多く、次いでつくば市の101組合、日立市の58組合、神栖市の48組合、土浦市の47組合と続く。組合員数ではつくば市がトップで5万446人(県内組合員数全体の25.2%)。次いで水戸市の3万757人(同15.3%)、日立市の2万947人(同10.4%)、ひたちなか市の1万637人(同5.3%)、土浦市の1万483人(同5.2%)。労働組合も南高北低の傾向にある。