土曜日, 2月 7, 2026
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よみがえる新日本紀行花火師編《見上げてごらん!》47

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2024年の「大曲の花火」。大仙市提供写真を筆者が加工

【コラム・小泉裕司】今回は11月19日放送のNHK BS「よみがえる新日本紀行」に登場した、そうそうたる花火師の顔ぶれを紹介したい。「新日本紀行」は1963年10月から82年3月まで19年続いた30分の紀行番組。NHKのホームページによると、「日本各地の風土紹介だけではなく、そこで生きる人々の物語や話題など人間の記録を中心にすえた紀行ドキュメンタリー」とある。私が小学生のころ、担任の先生に社会科の宿題として見るよう言われ、中学生になっても見続けた。

「よみがえる新日本紀行」は「新日本紀行」を最新デジタル技術で色鮮やかな映像によみがえらせ、加えて、番組で描かれた取材地の「現在」を新たに取材している、2022年4月から続く40分番組。過去から現在への空間移動が興味深く、西新宿や築地など個人的趣味で録画している。

このうち、花火師を取材した番組は「煙火師群像/愛知県三河地方」と「夜空の詩人たち/秋田県大曲市」の二つ。いずれも時代は変わっても変わらぬ花火師の心意気を描いており、花火愛好家にお薦めしたいアーカイブ映像。残念ながら再放送の予定は見つからないので、今回は「大曲」を紹介したい。

夜空の詩人たち/秋田県大曲市

この番組、実は2024年10月5日にBS4Kで初回放送済みのBS再放送。1981年、秋田県大曲市(現大仙市)で開催された「全国花火競技大会」を支える要人や大会に挑む県内外の花火名人たちの奮闘を描いた名作。なんて心に響く、素敵なタイトルなのだろう。

地元の花火師を支えるだけでなく、全国の花火師との緻密な連携で大会を支える実行委員長の佐藤勲さん。小型トラックで500キロの長距離を運転し到着した茨城県真壁町(現桜川市)の「筑北火工」の花火師をねぎらう姿は、おもてなしの気持ちに満ちている。「題名のイメージに合う花火を上げてもらいたい」と大会に寄せる思いを語った。

2017年には、最も創造性が豊かであると認められた作品(創造花火)に贈られる佐藤さんの名前を冠した特別賞が創設された。

土浦火工の北島義一氏のもとで3年間修行した北日本花火興業(秋田県大仙市)3代目の今野正義さんは、農業と兼職の農民花火師。自宅の窓辺でトランペットを吹く正義さんの長男義和さんは、4代目を決意し、「音楽の世界を光で描いてみたい」と夢を語った。

就業して10年。競技大会で優勝するなど、現在まで数々の輝かしい成績を積み重ねてきた。卓越した型物花火の技術や音楽と融合した花火の創造など、煙火業界の発展に寄与した偉大な功績が評価され、昨年度は「現代の名工」、今年度は「黄綬褒章」に輝いた。

永久保存の価値ある影像

「花火は花火師の個性が出るもの」と語るのは、小松煙火工業(秋田県大仙市)4代目の小松忠二さん。後を継いだ5代目忠信さんは、市内5業者のリーダーとして「見る人々がいかに楽しんでもらえるか」を追求し続ける。

このとき、すでに日本煙火協会の要職を歴任するなど煙火業界の重鎮であった武藤輝彦さんも登場。著書「日本の花火のあゆみ」や「ドン!と花火だ」などは、私のバイブル的資料として書棚に鎮座している。

茨城県明野町(現筑西市)の新井煙火店の新井茂さん。同じ旧明野町で森煙火工場を創業した初代森清さん(現在は森武さんが2代目)がそれまで働いていた新井煙火店は、現在は廃業したとのこと。

群馬県の菊屋小幡花火店の4代目小幡清秀さんは、故郷への想いを赤とんぼにイメージした作品を出品。多重芯割物花火においては名人の域にあり、「四重芯の小幡」とも呼ばれた。2023年、土浦のスターマインの部で、5代目知明(としあき)さんは、故郷の上毛カルタをモチーフにした「風神雷神」で内閣総理大臣賞を受賞。父の系譜を紡ぐ郷土愛満載の作風を愛するコアなファンは数多い。

雨降りしきる中、創造花火の部で優勝した作品は「紫陽花」。花火師は川畑宏一さん、土浦火工の2代目。この年は、北島義一さんが逝去した2年後で、十八番(おはこ)の紫、青や紅の牡丹(ボタン)花火が次々と開花する美しい映像は、アーカイブとして永久保存の価値がある。

放送43年、次代へ継承

番組後半では、番組放送後43年たった2024年の大会を取材。打ち上げの準備に余念がない今野義和さんは、花火作品への思いを「筒の中で静かに出番を待っている花火玉を『役者』として生かしてあげたい」と語った。花火を芸術の世界にまで築き上げたひとり、今野さんならではの哲学に感銘。

デジタル技術を駆使した音楽花火の世界を追求する息子の貴文(たかのり)さんの奮闘も紹介。40年前の番組に登場した花火師の息子世代が、今や業界をけん引する存在となり、父から受け継いだ技と最新のデジタル制御などを融合させて夜空を彩る様子が描かれている。

時代が変わっても、多くの観客を魅了するために、一発一発に魂を込める職人たちの哲学や情熱は変わっていないことを強く感じ取ることができる。冨田勲さん作曲の名曲「新日本紀行のテーマ」で幕を閉じる。

今野さん親子とのご縁

2008年、大曲で花火鑑賞士試験を受験したときの講師のお一人が今野義和さん。「もっとも難しい色は何色か?」の私の愚問に、答えは「黒色」。黒色は光を吸収するゆえ、闇に溶け込んでしまう。誰も想像もつかない数々の名作、奇作を世に出してきた今野さんの究極が「黒い花火」だったのかも知れない。禅問答の奥にある答えの本質に気付けなかった自分が、今さらに恥ずかしい。

息子の貴文さんとは、今年9月の常総花火大会前夜、市内の居酒屋で親睦を深めた。とても穏やかな語り口の裏にある、並々ならぬ花火への情熱に深く感銘。常に父親と比較されることが多いと思うが、豊かな感性と創造性を磨き上げて、「らしさ」を極めてほしい。来年、常総での再会を期して、本日はこれにて、打ち留めー。「シュー ドドーン パッパッパッ!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

県立高不足「つくばエリアは新たな事態に」 市民団体が学習会

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学習会で基調報告をする「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」の片岡英明代表

人口増加が続くつくば市やTX沿線に県立高校の学級増や新設を求めている市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)の学習会が21日、同市役所コミュニティ棟で開かれ、片岡代表が「最近の受験事情について」と題して基調報告した。

県教育庁が県高校審議会に示した資料で、2033年度のつくばエリア(つくば市など4市)の中学卒業見込者数が25年度の4393人より226人増えて4619人になり、日立エリア(日立市など3市)と水戸エリア(水戸市など4市)を合わせた4425人を上回ると推計され、さらに38年度にはつくば市1市だけで中学卒業見込者が3392人と見込まれ、日立エリアと水戸エリアを合わせた3429人に匹敵する推計値が出されていることについて(8月27日付)、「つくばエリアは新たな事態に直面している。このままではさらに重大な事態になる。県立高校の緊急な定員拡大と本格的な対応が必要」だなどと話した。

つくばエリアの県立高校は、学級数で比較すると25年度はすでに県平均より17学級(定員680人分)不足しており、今後も県立高校の定員が変わらないと、子供の数がさらに増える33年度はさらに深刻になるとした。

改善した高校はプラスに

ここ数年の受験事情については、つくば市は生徒数が増加する中、県立高校の定員不足に加えて土浦一高の付属中設置による定員削減の影響で、市外の高校に通学する生徒が多く、通学に苦労している。土浦市の生徒は、つくば市から土浦市内の高校への流入と土浦一の定員削減で、志願者数が多い高校が毎年変わるなど進路決定に迷いがみられ、土浦一高を受験するのを控えている。牛久市は進学志向が強いまちだが、土浦の高校から牛久市内の高校への回帰がみられるーなどと昨今の傾向を話した。

一方で、①2024年度に定員を1学級(40人)増やした牛久栄進高校は地元牛久市とつくば市からの入学者が増えた ②25年度に普通科を新設したつくばサイエンス高校は入学者が増え、地元のつくば市内の中学校からも入学者が増えた ③筑波高校は今年度、つくばサイエンス高の普通科設置で入学者数が減ったと考えられるが、地域とつながる小規模多面高校として学校づくりをしているーなどと分析し、「26年の募集定員の発表で、期待していた竹園高校の定員増は実現しなかったが、改善した部分は確実にプラスになっているので、改善が必要だと県に要望していきたい」などと話した。

「当時者として不安しかない」

学習会には小中学生の子供をもつ父母らも参加した。都内からつくば市に転居してきたという母親は「都内から来て、つくばは高校の通学費が月3万円くらいかかると聞き、こんなに通学費が高いんだと驚いた。公立高校は行きやすいところにあることが重要なのに、当事者として不安しかない」などと語った。中学生と高校生の子供をもつ土浦市の母親は「つくばに高校の選択肢が少ないことで、つくばの生徒が土浦や牛久に流れていて、土浦の生徒は、土浦一高と二高は、つくばの出来る子が行くところだと思うようになっている。近い高校に行ける仕組みをつくってほしい」と訴えた。

PTAの活動で、隣のつくばみらい市で開かれた会合に参加したというつくば市の父親は「(会合に)つくばみらい市の小田川浩市長も参加していて、小田川市長から『市立高校をつくりたい』という話を聞いた。つくばみらいには伊奈高校があり、市役所に入ってくる卒業生がすごくいい子だから、地元で地元の子を育てたいということだった。そうしたこともいいのではないか」などと話した。(鈴木宏子)

堆肥にまみれたこと、ありますか?《マンガサプリ》2

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写真は筆者

【コラム・瀬尾梨絵】今回紹介するマンガは、数々の名作を送り出してきた荒川弘先生の異色エッセイマンガ「百姓貴族」(新書館、現在8巻まで)。この作品は知らずとも、緻密な世界観と深いテーマで読者を魅了した「鋼の錬金術師」や、命の重みと青春を描いた「銀の匙(さじ) Silver Spoon」はご存じの方も多いだろう。荒川先生の魅力は、話の構成の深さ、個性際立つキャラクターの造形、読者を引きつける圧倒的な画力にある。

子どものころ、「こんなマンガを描けるような大人になれたら」と思わせてくれたその才能が、本作ではフィクションの鎧(よろい)を脱ぎ捨て、等身大の“農家”というフィルターを通して爆発している。

「百姓貴族」の舞台は、先生の実家である北海道の酪農家。タイトルに冠された「貴族」という言葉は、大地の恵みで自給自足の生活を営む農家に対する、都会人からのユーモラスな皮肉かもしれない。しかし、描かれているのは想像を絶する過酷な労働と、それに立ち向かうたくましい家族の日常だ。

作中には、酪農を営む実家での「農家あるある」が満載。非常食は常に収穫物でストックされ、エゾシマリスやヒグマといった野生動物との攻防は日常茶飯事。「牛乳が飲み物ではなく、エネルギー源」として扱われるなど、私たちが持つ常識を軽々と超えてくるエピソードの数々は、全く共感できないが笑えてくる。

食と命と家族ドラマ

中でも作品の核となるのは、個性と生命力が強すぎる荒川家の人々との絆が描かれている点。一家の大黒柱である肉体が徐々にメカになりつつある父や、パワフルな母、姉妹たちが繰り広げるハプニング、常人離れした判断基準は、読者に笑いを提供するだけでなく、彼らの生活力がどれほど強靭(きょうじん)であるかを教えてくれる。

ファンタジーの世界観で鍛え上げられた荒川先生の画力をもって、時にリアルに、時にコミカルに描かれる家族の表情一つ一つが、物語に圧倒的な熱量を与えてくれる。他の作品たちの中では異色かもしれないが、この「百姓貴族」を読み進めるにつれて、私たちは普段何気なく食べている「食」の裏側にある、途方もない手間と愛情、そして大地への感謝を知ることができる。

ただのコメディでは終わらない、食と命と家族のドラマ。荒川弘ファンはもちろん、「銀の匙」で農業の楽しさに触れた人、そして日々の食卓に隠された熱いリアリティを知りたい全ての人に、自信を持ってお勧めできる最高のノンフィクション作品だ。(牛肉惣菜店経営)

「公示送達」のネット拡散に懸念 つくば市議会で珍事

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公示送達の紙の文書が掲示されている、つくば市役所正面入り口脇の掲示場

行政が、税金未納者に督促状を送ったり滞納者の財産を差し押さえたり、法令違反による許認可の取り消し処分などを行う際、相手の住所が不明で、督促や聴聞の通知が相手に届かず郵便物が戻ってきてしまった場合、役所の掲示板などに紙の通知文を一定期間掲示することで相手に通知が届いたとみなす「公示送達」という制度がある。つくば市議会12月定例会最終日の19日、「公示送達」方法を見直しインターネットで閲覧できるようにするという二つの条例改正案をめぐって、委員会で賛成者ゼロで否決された条例案が、本会議で賛成多数で可決するという珍事があった。

二つの条例は、地方税法の改正に伴う市税条例の改正案と、行政手続法の改正に伴う行政手続条例の改正案。本会議に先立って詳しく審議された総務文教委員会では、市税条例は賛成少数で否決、行政手続条例は賛成者ゼロで否決された。しかし19日の本会議では一転、いずれも可決された。問われたのは、インターネットに個人や会社の不利益な情報が掲載されることにより、拡散されたり、削除が困難となる懸念に対する歯止めだ。

二つの条例はいずれも、政府のデジタル規制改革推進一括法が2023年6月に公布されたのに伴うもの。これまで役所の掲示板に一定期間掲示されていた公示送達の紙の文書を、インターネットでいつでもどこでも閲覧できるようにするという全国一斉の見直しだ。

市納税課によると市税については、宛て所不明や転居先不明で納税通知書や督促状が相手に届かず市役所に戻ってきてしまい、さらに住民票で転居先を確認したり、近隣の場合は現地調査をしても所在が分からなかったり、外国人の場合は出入国管理庁に開示請求などをしても分からなかった場合などに公示送達し、市役所正面玄関脇の掲示場に、通知内容と対象者の氏名などを掲示する。

2024年度中に個人や会社を公示送達した事例は、市・県民税が161人、固定資産税が34人、軽自動車税が115人だった。徴収回数は年に複数回あることから、国民健康保険税を除く市税に関し計836件の公示送達があり、納税通知書が手元に届かず自ら市役所窓口に税金の支払いに来て、自分が公示送達されていることを知ったケースもあったという。

一方、行政手続条例改正案に関し、許認可の取り消しなどを行うにあたり相手の意見を聞く聴聞手続きについて、過去に公示送達を行ったのは0件という。

二つの条例改正案の施行時期は、市税条例は来年6月末までの地方税法改正に合わせて施行し、行政手続条例は来年5月の行政手続法改正に合わせてそれぞれ施行する。施行後、同市では新たに市のホームページに公示送達が掲載されるほか、市の掲示場にも掲示される。

市ホームページに掲載される中身については、デジタル庁が8月に示した運用指針に基づき、市税についてはこれまで、納税通知や督促などの通知内容と個人名や会社名などを掲示していたものを、改正後は、地方税法第〇条に基づく通知とするなど、法令と個人名や会社名を掲載するほか、個人を検索できないよう画像の状態で掲載するとしている。

総務文教委員会から一転し、二つの条例改正案が賛成多数で可決された19日のつくば市議会本会議の様子=つくば市役所

10日開かれた総務文教委員会では「地方税法第〇条という掲載でも、条文を調べれば内容が分かってしまう」「(目的外での拡散など)悪用を防ぐ仕組みができていない」「SNSで拡散された事例があるので心配している」「リスク管理が不十分な中で拙速に進めるべきではない」などの意見が相次いだ。

19日の本会議では、条例改正に賛成する議員から「住所や所在が不明であっても不利益処分を受ける可能性がある人に意見を述べる機会があることを伝えるための措置。時代に即した必要な対応」だなどの意見が出た一方、「インターネットで公開すると情報が拡散されることが容易になる。一度拡散された情報は簡単に消すことができない。(目的外の閲覧を)取り締まる仕組みや、プライバシーに配慮した運用はまだ整っていない」などの反対意見が出て、二つの条例改正案いずれも賛成多数で可決された。

委員会で反対し、本会議で賛成した議員の一人は「市執行部から委員会後に説明を聞いたところ、上位法がスタートする時から県も市町村も合わせていかなくてはならないということだった。条例が通らないと市職員の負担が相当重くなったり、支障をきたすということなので本会議では賛成した」と話している。

市納税課は条例施行後の市ホームページでの掲載方法について「国や県の取り組みを参考にしながら検討していきたい」などとしている。(鈴木宏子)

高校生が江崎玲於奈賞受賞者と科学交流 つくば

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科学交流会で、発表に耳を傾ける参加者たち=19日、つくば国際会議場

探究活動や課外研究で科学の実験などに取り組むつくば市内の高校生が実験成果を発表し、顕著な研究成果を上げ江崎玲於奈賞を受賞した研究者から講評を受けたり、直接会話して懇談する「科学交流会」が19日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で開かれた。昨年に引き続き2回目の開催となる。

茨城県科学技術振興財団(つくば市、江崎玲於奈理事長)とつくばサイエンス・アカデミー(つくば市、江崎玲於奈会長)が主催し、関彰商事が協賛した。

あいさつに立つ江崎玲於奈賞受賞者の十倉好紀さん

発表したのは、並木中等教育学校、茗溪学園中高、つくばサイエンス高、竹園高に通う高校生9人。講師を務めたのは、省電力で高性能な次世代のメモリ素子開発に可能性を開く研究で2023年にで江崎玲於奈賞を受賞した理化学研究所の十倉好紀さんと于秀珍さん。于さんは初の女性受賞者だ(23年11月20日付)。

あいさつする于秀珍さん

並木中等教育学校高校2年の中島桃花さんは、「光の波長におけるイースト菌の代謝制御への影響」を発表。パンを作る際に欠かせないイースト菌に可視光を当てると、波長によって発生する二酸化炭素の量や、細菌などの微生物がシャーレなどの上で増殖してできるコロニーの数が異なることに着目した。グルコース(ブドウ糖)の消費量を調べることで、その原因を探った。

茗溪学園高2年の秋山茉白さんは、食品添加物として使用されるグリシンが、細菌のストレス耐性に及ぼす影響について調べた。

実験結果を発表する茗溪学園中高の秋山茉白さん

つくばサイエンス高1年の飯岡玲菜さんと染谷千穂さんは、水道から流れ出る水を2リットルのペットボトルに入れた際の音の変化について、注水の様子を撮影した動画と音声編集ソフトを用いて分析した。

生徒たちの実験結果に対して講評に立った十倉さんと于さんは、「レベルの高い研究発表」「面白い研究」などと感想を述べたほか、「論拠をしっかり書く必要がある」「科学では、どのくらいなのかを具体的に説明しなければならない」などと、生徒らにアドバイスを送った。

つくばサイエンス高の飯岡さんは「発表はとても緊張した。(講師や他の生徒からの質問は)とても勉強になった。答えられなかったところもあったが、これからの活動に生かしていきたい」と話した。また、飯岡さんとともに登壇した染谷さんは「今回の経験を生かして、2年次に向けて、より完成度の高いものにしていきたい」と意気込みを語った。

イベントにビデオメッセージを寄せた江崎理事長は、「参加する高校生の皆さんは、日頃から探究活動や課題研究に取り組んでおられると伺っている。これからの時代を担う皆さんが科学に興味を持ち、研究を行うことは大変素晴らしいこと。本日の科学交流を通じて創造力をさらに高め、研鑽(けんさん)を深めて、今後の活動に生かしていただきたい。本日参加している高校生の皆さんの中から、いつか江崎玲於奈賞の受賞者が出ることを願っています」と、科学に打ち込む生徒たちに言葉を送った。(柴田大輔)

冬鳥ジョウビタキとの夏《鳥撮り三昧》8

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ジョウビタキの幼鳥(2009年8月 筆者撮影)

【コラム・海老原信一】この時季、皆さんの近くでもジョウビタキの姿を見かけるでしょう。オスはオレンジ色のおなかとシルバーグレイの頭部が美しく、メスは全体に薄いオレンジ色をしており、ちょっと控えめな色合いです。どちらも体側に白い小さな羽模様があり、「紋付き鳥」とも言われています。

今ごろ見られるのは、越冬のためにやって来るからで、冬鳥と言われます。4月ごろまでは観察できますが、いつの間にか北へと帰ってしまい、見られなくなります。そして、9月末~10月にまたやって来るという忙しい生活をしています。そのジョウビタキが日本でも繁殖しているようです。

2009年8月、諏訪市の高原で、ジョウビタキの幼鳥に出会ったのです。毎年、ノビタキ、ホオアカ、カッコウなどを観察に行っているのですが、その時も夕暮れ時に出てきたノビタキの幼鳥を撮影した(つもりでいた)のです。帰宅後画像を見返して、違和感を持ちました。「これ何だかノビタキとは違うぞ」。

そこで鳥見の先輩方に画像を送り、ジョウビタキの幼鳥と確定できました。まだ繁殖情報がさほど多くない中での出会いで、人知れず興奮したものです。そのような状況ですから、公表は避けた方がよいと言う先輩方の助言を入れ、公表しませんでした。それから16年。私は、2016年、19年、24年、今年、同じ地域で、成鳥・幼鳥の姿を確認しています。松本市の乗鞍高原でも観察しました。

国内を移動する「漂鳥」?

今日、ジョウビタキの国内繁殖は確実となり、繁殖適地での観察や報告が増えています。長野県では、その状況を観察・研究している人たちがおり、八ケ岳近辺での繁殖状況も報告されています。

一方、ちょっと考え込んでもいます。本来、北で繁殖するジョウビタキが、なぜ夏の日本で繁殖するようになったのか、と。近年、地球規模での温暖化が進んでいると言われます。そのようなことから、「北の繁殖地もさほど涼しくない状況になっているのでは」と想像しています。

わざわざ遠距離を移動せず、冬を越した日本の高所と似たような環境があれば、そこを利用すればよい―そんな選択をした個体が現れても不思議ではありません。そういった個体が増えれば、冬鳥ではなく、国内の標高差・地域間を移動する「漂鳥」になる可能性さえあります。そうなれば、ジョウビタキだけの話ではなく、生き物全体の話でもあると考えたりしています。

それは「素人の杞憂」と言われれば、それに越したことはないし、そう願うところです。(写真家)

職員2人を懲戒処分 土浦市

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土浦市役所

土浦市は19日、職務上の義務を怠ったなどとして納税課主任の男性職員(50)を3カ月間 減給10分の1の懲戒処分に、個人情報を漏えいしたなどとして神立消防署消防指令の男性消防職員(60)を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。

市人事課によると、納税課主任は2024年度に国民健康保険税、翌25年度は市・県民税を担当した。国保税を担当した24年度については、所得や世帯構成の変更によって国保税を納め過ぎた場合の過誤納金の返還事務に関し、主任は24年度に確認された過誤納金のうち169件138万88円分について、加入者に返還する還付処理を行わず、未処理案件の存在を上司に報告せず、後任の担当者に引き継ぎを行わなかった。翌年、後任の担当者が還付処理を行っていないのに気付き発覚した。169件のうち7件については還付通知が遅延し、市が5300円を追加で払う還付加算金が発生した。

主任はさらに、国保税に未納などがあった場合、過誤納金を未納や延滞金などに充当する充当処理に関して、還付処理を行わなかった169件とは別に、24年度に確認された過誤納金のうち235件について、上司の決済を受けずに未納税額に充当処理を行っていた。

市・県民税の担当になった25年度には、地方税ポータルシステムのeLTAX(エルタックス)を用いて事業者が毎月電子納付する従業員の市・県民税について、事業者がうっかり会社に割り振られた指定番号を入力しないで納税した場合、担当者は納付事業者を特定する確認を行った上で、収納管理システムに入力し、未収を消す消込作業を行うべきだったにもかかわらず、主任は、指定番号が無かった電子納付のケースについて、事業所を特定するための確認を怠り、納付金額が同額だった別の事業者から納付されたと思い込むなど、誤った納付情報を収納管理システムに登録した。その結果、7事業所が月々電子納付した11件について、実際には納付されていたにもかかわらず、督促状が発送された。

同課によると主任は処分理由を認め、「未熟だった」などと話しているという。ほかに、25年度の管理監督者だった課長と係長、24年度の課長を厳重注意とした。

安藤真理子市長は「市民の信頼を損なったしまったことを心よりお詫びし、二度とこのようなことがないよう、法令遵守はもとより、これまで以上に適正な事務処理の執行に取り組み市民の信頼回復につとめます」などとコメントした。

家族に注意喚起するため

一方、神立消防署の消防指令は、2024年10月ごろ、匿名で電話があった野焼きの通報について、知人の声と似ていたため、着信履歴の番号と自分の携帯電話に登録されている連絡先の番号を突合して知人だと確信し、自分の家族に通報者が知人だと口頭で伝え、通報者の名前を漏えいした。

さらに今年8月、非番の日に発生した救急搬送について、出勤日に、同署内の救急隊員に確認して知人がけがをしたことを知り、自分の家族に知人の名前とけがの内容を口頭で伝えるなど個人情報を漏えいした。

11月4日、消防に匿名の電話があり、個人情報の漏えいが判明した。その後の消防本部の調査で、今年発生した3件の火災についても、発生場所の所有者の名前などを家族に口頭で伝えていたことが分かった。

消防本部によると消防指令は、漏えいした相手と利害関係などは無く、家族に対し、火事や事故に注意するよう伝えるためだったと話しているという。消防指令は消防隊をつかさどる立場の管理職だった。ほかに、管理監督者である同署署長を厳重注意とした。

安藤市長は「法令を遵守し個人情報を保護すべき立場にある公務員としてあってはならない行為であり、市民の信頼を損なってしまったことを心よりお詫びします。二度とこのようなことがないよう職員の綱紀保持や法令遵守の徹底などにこれまで以上に取り組みます」などとするコメントを発表した。

技術の粋集めた「霧筑波」で最優秀賞 つくばの浦里酒造店

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左から浦里恵子さん、蔵元杜氏の知可良さん、五十嵐立青市長、浩司社長

11月に行われた第96回関東信越国税局酒類鑑評会の吟醸酒の部で、つくば市吉沼の醸造元、浦里酒造店が最優秀賞を受賞した。浦里浩司社長(64)と、6代目蔵元杜氏の浦里知可良さん(34)、知可良さんの妻・恵子さん(32)が19日、つくば市役所を訪れ、五十嵐立青市長を表敬訪問した。受賞したのは同社の「霧筑波」。また純米酒の部で同店の「浦里」が2位にあたる優秀賞を獲得した。

杜氏の知可良さんは「国税局の酒類鑑評会は、私たちにとって技術の粋を集めたF1レースのようなもの。コストや手間を度外視し、蔵が持っている最高の技術と最高の素材を結集して作った最高の1本で勝負する。関東信越国税局の鑑評会はさらに、全国に12ある国税局鑑評会の中で最も規模が大きい。そこで第1位を受賞できたことは本当にうれしい。目標は高く、連覇を目指したい」と思いを語った。

同鑑評会は、管内の茨城、栃木、群馬、埼玉、長野、新潟の各県にある製造場を対象に日本酒の出来栄えを審査する。60回目を迎えた今回は、173の製造場から吟醸酒の部に121点、純米吟醸酒の部に150点、純米酒の部に79点が出品された。

浦里酒造店は、1877年に現在の吉沼で創業。知可良さんは2021年に南部杜氏自醸清酒鑑評会で主席を獲得、23年には全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど、全国的に高い評価を得てきた。こだわりの酵母は、牛久市出身の画家・小川芋銭の三男で国税庁職員だった小川知可良が開発した「小川酵母」を使用する。

浦里知可良さんは、「(最優秀賞を受賞した『霧筑波』は)非常に華やかな香りとお米由来の甘み、それでいてしっかりとしたキレがあるという三拍子そろったバランスの良さが高い評価につながった。表彰式が11月13日、茨城県民の日だった。この日に県民の皆さまに報告できたのは本当にうれしかった」と話した。浩司社長は「酒造りは『ここで終わり』というものがない。毎年が勝負なので、これからも高みを目指したい」と語った。

表敬を受けた五十嵐市長は「受賞は大変誇らしいこと。つくば市では『つくばのおさけ推進協議会』が立ち上がり、地元のお酒を広げていこうと取り組んでいる。皆さんの今後の活躍を全力で応援していきたい」と述べた。(柴田大輔)

5選手がJリーグへ 筑波大蹴球部

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小井土監督を囲んで、Jリーグに羽ばたく5選手。左から山崎、諏訪間、佐藤、小井土監督、加藤、安藤の各選手

筑波大学蹴球部からJリーグへ羽ばたく5選手の合同記者会見が19日、つくば市天王台の同大大学会館で開かれた。5人のうち3人は大学サッカーを1年前倒しで退部し、すでにプロ選手として活動を始めている。残る2人は蹴球部の主力として今季の関東大学サッカーリーグ1部優勝に貢献し、現在も全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)で優勝を目指して激闘中だ。

5人それぞれ意気込み

サイドバックの安藤寿岐は1月に退部しJ2サガン鳥栖へ加入。「けがで思い描いたシーズンとは違ってしまったが、鳥栖の顔になり、自分を見にお客さんが来てくれるような選手になりたい」と来季の巻き返しを誓った。

センターバック兼ボランチの加藤玄は今季J1名古屋グランパスで公式戦10試合に出場。「(途中出場が多く)出場時間を伸ばせなかった。来季こそ自分の価値を証明したい」と決意を見せた。

ゴールキーパーの佐藤瑠星はJ1浦和レッズに加入が内定。昨年の天皇杯筑波大ー町田ゼルビア戦ではPKセーブで勝利をたぐり寄せる活躍をした。「レッズには西川周作さんら優れたGKがいる。全員から学べることを吸収しスタメンを勝ち取りたい」と語った。

センターバックの諏訪間幸成は今季J1横浜Fマリノスで14試合に出場。「プロは小さい頃からの夢。目の前にチャンスがあるなら行くべきだと思った。フィジカルの強さや判断スピードなどを鍛え、勝利に貢献できる選手になりたい」と話す。

サイドハーフの山崎太新はJ2大分トリニータに加入内定。今季は主将を務めチームの精神的支柱になった。現在はインカレ予選リーグを突破し、21日に準々決勝の大阪体育大学戦を控える。「チームの目標である日本一を何としても勝ち取りたい。個人としては得点やアシストなど、目に見える結果でチームを勝たせる活躍をしたい」と述べた。

チームメートらとの集合写真

早期退部が新たな刺激に

近年、大学サッカーを途中で切り上げてプロ入りする例は増加傾向にあるが、一度に3人が出るのは筑波大でも初めて。さらに7月にはエース内野航太郎がチームを離脱し、デンマーク1部のブレンビーに加入した。これも快挙ではあるが、チームとしてはさらに苦しい状況に追いつめられた。「実力ある選手たちに頼れず、チーム運営としてもぎりぎりで、最初は不安しかなかった」と小井土正亮監督は明かす。だが残った選手たちには、4つのイスが空く新しいチャンスに映った。

「ポジションを得た選手たちが予想以上にたくましく成長してくれた。サイクルを1年でも早く回していくのが、みんなにとって良いことだと感じた」と小井土監督。、早期退部についても「次のキャリアに進むチャンスがあるなら応援してあげたいし、選手としての成長を妨げられない。大学の価値を上げることにもつながる」と、ポジティブにとらえる。

ダブル優勝で集大成を

関東リーグで2年ぶり17回目の栄冠に輝いた筑波大が、今季の集大成として次に狙うのは9年ぶり6度目のインカレ優勝だ。「筑波大がインカレと関東リーグの2つのタイトルを同時取得するのは、実現すれば1980年以来45年ぶり。それくらい難しいことに取り組める権利が今年はある。また新しい扉を開けるよう、あと3つを勝ち抜いていきたい」と小井土監督。

「本当に難しい挑戦であることは理解しているが、成功につなげられる自信と強さが今のチームにはある。それを結果で証明し、歴史に名を刻みたい」と山崎主将は気勢を上げる。(池田充雄)

日本ハムに1位指名の大川投手 母校・常総学院に凱旋

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後輩の野球部員と記念撮影する大川選手(中央)

今年度のプロ野球ドラフト会議で北海道日本ハムファイターズに1位指名された大川慈英投手(22歳、明治大学4年)が18日、母校の常総学院高校(土浦市中村西根)で開かれた凱旋歓迎会に出席、「こういう形で戻って来られてうれしい。ここまで来れたのはチームメートや指導者などいろんな方々のおかげ。しっかり結果を出して恩返ししたい」と話し、野球部の後輩に対しては「大事なことは甲子園。優勝して島田直也監督を日本一の男にしてほしい」と発破をかけた。

凱旋歓迎会で同学園の大久保政行理事長は「入団契約は大川君の努力と才能が生んだ結果。ご両親や家族、応援してくれた皆さんらに感謝を忘れず、厳しいプロの世界で活躍し、後輩やわれわれに夢と希望を与えてくれる選手になってほしい」と述べた。

生徒会から花束を贈られる大川選手(左端)

続いて中学校高校生徒会が花束を贈呈。高校生徒会長の中島サラ萌奈さん(2年)は、「自分たちの学校からこのような素晴らしい先輩が出たのはすごいこと。これからも大変なことはいっぱいあると思うが、私たちが応援しているので頑張ってほしい」と思いを述べた。

大川選手と生徒会メンバーは一問一答のインタビューやサイン会で交流。その後、後輩の野球部員と記念撮影し、またグラウンドでも交流した。

野球部グラウンドにて記念撮影。完成したての自身の横断幕が掲げられている

大川選手は神奈川県出身。2019年に常総学院高に入学し、野球部では20年秋から公式戦に出場。同年秋の関東大会で準優勝し、21年春の甲子園選抜大会に出場。初戦の敦賀気比戦では8回から登板し、延長13回まで6イニングを投げ、被安打4、4奪三振、自責点0で勝利投手となった。

明治大では最速155キロのストレートを武器とする救援投手として活躍。日本ハムの新庄剛志監督らにも、そのストレートのクオリティが評価された。

「球筋は高校生のときから並外れていた。低めで全部勝負できる制球力があり、球速も当時145キロ出ていて、そこから大学でしっかり10キロアップした。でもプロは球速だけじゃない。制球力に磨きをかけ、場面場面を考えた投球でチーム内で信頼を勝ち取ってくれれば」と島田監督の評。

2020年から常総学院高で采配を振るう島田監督は、大川選手について「自分が監督になって初めての教え子。その彼がプロになったのは感慨深い」と感想を述べ、また彼が、奇しくも自身と同じ日本ハムでプロのキャリアをスタートすることに関しては「自分のときよりレベルも上がっているし、いい投手が回りにたくさんいる。ここからは勝ち取っていかないと。彼ならできる」とエールを送った。(池田充雄)

留学生の授業料値上げへ 筑波大 27年度入学から

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定例会見で留学生の授業料値上げについて説明する(左から)永田恭介学長と加藤光保プロボスト=筑波大学

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は18日の定例会見で、留学生の授業料を2027年度入学から値上げすると発表した。国立大学は日本人学生か留学生かで授業料に差はなかった。差を付けるのは同大で初めて。国内では東北大学などが留学生の授業料値上げを発表している。

筑波大の値上げ額は大学生、大学院生いずれも年間7万3000円で14%の引き上げとなる。同大の授業料は大学生、大学院生いずれも同額の年間53万5800円で、文科省が定める標準額と同じ。値上げ後の留学生の授業料は60万8800円になる。研究生や科目履修生などの値上げ額は3万6000円。2026年度までに入学した留学生の授業料は現行のまま。

一方、今回の値上げ額は現段階で、留学生の教育・生活環境の充実に必要な最低限の金額だとし、今後も留学生数や物価動向など状況に応じて見直しを行うとする。

留学生を より受け入れるため

値上げの目的について同大は、優秀な留学生の獲得競争が世界的に激化する中、留学生の教育・生活環境をさらに充実させて、優秀な留学生を確保するための値上げだと強調する。

値上げによる増収分はすべて、留学生の教育・生活環境をさらに充実させるために充当し、①各種支援体制の充実②多様な留学生に対応した教育・相談体制の充実③個々の進路に応じたキャリア支援体制拡充④英語コースの拡充ーなどに充てるとする。

同大の留学生数は約2500人。毎年800人程度の留学生が入学し、値上げ初年度の27年度の増収は約5840万円になる。留学生全員の授業料が引き上げられた場合の増収は約1億8250万円。

国立大の授業料は文科省の省令に基づき、標準額の2割増しまでが上限と定められている。一方留学生の授業料については、国の教育未来創造会議の提言を受けて、文科省が2024年4月の省令改正で上限を撤廃した。筑波大では1年近く前から留学生の授業料について議論を重ねてきたという。

永田学長は「かなり検討を重ねて、学習環境の充実のための積算をして、丁寧に説明をしながら学内のコンセンサスをとって今日に至っている」とし「留学生が増加するという前提でやっている。それなりの受益を受けている方々なのでご理解いただきたい」と述べ、加藤光保プロボストは「留学生を、より受け入れる方向で考えている。留学生に特化した学習環境の改善のために行う」としている。(鈴木宏子)

老舗のパン屋さん「ピーターパン」《ご飯は世界を救う》70

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】つくば市には多くのパン屋さんがあります。何十年も前から海外の方々が多くお住まいだったからのようです。つまり、パン食の方が多くて―ですね。そのため、つくば市は「パンの街」とも呼ばれています。

その中でも一番の老舗のお店、「ピーターパン」さん(つくば市並木)。合併してつくば市ができる前の1979年、旧桜村に開業したそうです。なんと、開店から46年にもなります。店主さんは高齢にもかかわらず、街の皆さんの胃袋と心を癒し続けていらっしゃるわけです。

現在は並木に1軒のみ。以前、吾妻にもありましたが、数年前に労働力不足のため閉店しています。ですが、TXつくば駅(地下1階)改札口近くにある「つくば良い品」でも販売されています。TXで都内から帰るとき、必ず買っています。

並木店は我が家から少し距離があり、このところご無沙汰でした。それが、最近、はまっています。きっかけは、SNSのXの投稿を見てからです。2年前、地域の事柄を知りたくて、アカウントを作りました。そこで「ピーターパン」にはイートインもあることを知り、通うようになりました。

10円でコーヒーも飲めます

パンの購入だけでなく、「イートインします」と、レジ横の紙コップを差し出すと、10円でコーヒーを飲めます。これって、今風にいうと「神価格」ですよね。「物価高の中、大丈夫なのだろうか」と心配になります。

先日イートインしたとき、1冊の写真集を見つけました。いろいろな小物を飾っている棚に、見たことがある男性の写真集が…。朝ドラ「あんぱん」の主役やなせたかしさんの弟を好演した方でした。茨城県出身とのこと。並木近くに住み、ここに通っていた?

Xですが、いろいろ役立っています。私は、つくば市周辺の「絵」になる場所、飲食店を探していますが、情報収集に大いに役立っています。使い方によって、SNSは良くない方に行くこともあるようですが、Instagram(インスタグラム)では世界中の画家さんの絵を見ることができ、大いに参考になります。

そういった絵から刺激ももらい、私の絵も見てもらうことで、やる気が倍増しています。Instagramには同じ志の方の絵がアップされています。いろいろな方と絵の仲間になり、グループ展を見に行くのも楽しみです。(イラストレーター)

市長自白の条例違反が15年‼ その顛末てんまつ つくば市保健センター《投稿》

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17日、茎崎交流センター別館としてオープンする旧茎崎保健センター

【投稿・鳥居徹夫】今年9月の定例市議会で、つくば市保健センター条例から茎崎保健センターの記載が削除され、つくば市地域交流センター条例に「茎崎交流センター別館」を新たに加える議案が同時提出され、審議もなく全会一致で決定となった。

「広報つくば」12月号によると、17日に「茎崎保健センターが新しく生まれ変わり、茎崎交流センター別館としてオープンします」と広報されている。

場所は「茎崎保健センター」があった建物だが、条例に定められていたはずの保健センターの機能は15年前からなく、条例にあった「茎崎保健センター」の字句も、建物の名称も、ついに消滅した。

既存施設の代替を理由に、15年続いた条例違反の異常事態が解消され、つくば市長や市幹部にとっては「のどに突っかかった小骨」が取れてほっとしていることであろう。

市長は条例違反を知っていた

2023年10月14日のタウンミーティングで私は、「つくば市保健センター条例が守られていない状況というのは、やっぱり改善してほしい」と発言した。五十嵐立青市長は「ご指摘の部分はおっしゃる通りの状況で…」と条例違反を自白した。

しかし市長は「建物は存続するが、機能は廃止する」と強弁。条例違反を追認したばかりか、逆に(条例違反の)現実に条例を合わせ、保健センター条例を改悪すると居直ったが、今日まで条例に手が付けられなかった。(2024年4月4日付

市保健センター条例には、第2条に「名称および位置」として茎崎保健センターなど4カ所が明記されていた。第4条に「業務」として(1)検診等(2)健康相談や健康教育(3)保健指導、栄養指導(4)機能回復訓練(5)衛生知識の普及等ーを明記、第5条で、各保健センターに「必要な職員を置く」となっている。

「茎崎保健センター」では、第4条(1)の検診等は春と秋の2回、茎崎保健センターの建物を使っていたが、貸し会議室のような存在。検診の結果が出ると谷田部保健センターから保健師が来て、会場を借りて、相談希望者に対応している。さらに常駐の保健師がいないので、第4条 (2)(3)(4)(5)は有名無実。また第5条に定める必要な職員は不在だった。

茎崎保健センターから責任者(センター長)と保健師が不在となったのが2010年であり、条例違反が15年も続いていた。

この経過を「NEWSつくば」に投稿したところ、多くのコメントを頂いた。「頼れる福祉」ではなく「頼りにならない市長だった」としたツッコミには、思わず噴き出した。現市長の「公約ロードマップ(工程表)」の5本の柱の3番目が「頼れる福祉」だが、それを皮肉ったコメントであった。

その場しのぎの市幹部、問われる議会のチェック機能

何度も言うが、条例違反の状況は、2010年から15年間も続いていた。「意図的な長期間の違反放置」が、住民や市議会議員が条例空文化に疑問を持たせないための行政側による仕掛けとなってはならないことは言うまでもない。

「茎崎保健センター」から保健師等が不在となり、利活用を検討した当時の担当が公有地利活用推進課だったことは、市が保健センター条例違反を追認していたことになる。仮に「利用者が少ない」としても、条例違反を常態化して良いことにはならない。

その当時、市議会の本会議で、茎崎保健センターの解体問題が取り上げられた。五十嵐市長は「(保健センターとしての)相談件数が減っている」と強弁したが、橋本佳子議員(当時)が「保健師が撤退したから、相談件数が減るのは当然」と反論した。

地域にドラッグストアがあれば、住民は利用するが、ドラッグストアがなければ、住民は利用しない。そもそも利用できない。そして市街地がさびれるという悪循環となる。

しかし、今年9月議会では、市長を追及した会派も含め全会一致で、「茎崎保健センター」の名称削除を決定し、保健センター機能の復活の芽が摘まれることとなった。

ちょうど5年前の2020年に、茎崎庁舎跡地利用に関する住民説明会があった。市から「保健センターの建物を解体し、その跡地を商業施設の用地にする」の提案があり紛糾した。

住民から「保健センターの機能は蒸発するのか」(保健部が担当)、「解体工事中の茎崎窓口センターは、どうなるのか」(市民部が担当)などの質問に対し、都市計画部(公有地利活用推進課)から責任ある答弁がされず、さらに「行政のタテ割りの弊害が問題ではないか」と批判された。

この住民説明会には、事前に内容を知っていると思われていた複数の現職の市議会議員までもが疑問に感じたのか発言があり、意見を述べた。

当時担当課は「40歳以上の集団健診については最悪、谷田部保健センターになる可能性もある」などと説明したが、とうてい納得できるものではなかった。

茎崎保健センターの建物が、都市計画部公有地利活用推進課の担当となったことで、当時の茎崎庁舎の跡地利用問題に対し、商業施設誘致と保健センターの建物と、どちらかを選択せよという誤ったメッセージを、茎崎地区の区長会、住民に与えることになったことになったのではないか(2020年8月7日付)。 

結局、茎崎保健センターの建物は、解体は阻止され、現在地でリニューアルとなり、この12月に茎崎交流センター別館としてオープンとなる。また集団検診の会場として利用することにもなった。

そして新たな商業施設は、当初の計画より規模を縮小し、昨年2023年に車の通行量の多い県道沿いにオープンした。

だれも責任をとらないまま

これら一連の動きの中で、茎崎保健センターは、保健師の配置等、条例違反だったという問題はだれも責任をとらないままであった。

この条例違反は、いまの市長就任前からであるが、現市長には再発防止も含めた説明責任がある。とくに①条例違反になったことを知ったのはいつか、②条例違反を知っていたのに、条例を守らず、現状を放任していたのはなぜか、など説明する義務がある。また市議会こそ追及すべきであった。

条例違反を既成事実化し、既成事実をもとに条例改悪を押し付けた市長と市幹部。条例があるのに勝手に無視し、長期に役割を放棄してきた不都合な真実がばれた。ばれなかったら、表沙汰にならなかった。

役所の密室の中で、住民が知らないうちに、いや、知らせないお上(おかみ)体質の中で、住民は口出しするな、批判するなということではないか。

条例違反を15年続けていながら、だれも責任をとらないまま、ある日、交流センター別館に代わるのであった。とりわけ市議会のチェック機能、市民への情報公開の意欲が欠如していると感ずる。

地方政治に関心が高まる流れも

「地方自治は民主主義の学校」と言うが、多くの一般住民は地方行政や住民サービス、納めた住民税の使われ方についての関心が薄い。市長の名前も知らない有権者も相当数であろうし、市行政への提言要望やチェック機能を担う市議会議員も存在感が薄い。

つくば市は、首都圏の通勤圏内にあるTX沿線で若い世代を中心に人口が増加、子供の人口も増えて、学校の新設が相次いでいる。一方、周辺部は高齢化が進み、子供の数が減り人口減少が進んでいる。

いま市内の保健センターは、子供の多い地区など3カ所のみの配置となり、高齢化が進む市内周辺地域には存在しない。

地方政治には国政ほど関心がないし、国政選挙と重ならない地方選挙では、投票率が3割を切るケースも出ている。

ところが昨今、国政では大きな変化がみられる。投票率でみると、昨年の衆議院選挙(53.9%)よりも、今年の参議院選挙(58.5%)の方が高いという逆転現象がみられた。参議院選挙は身近でないと思われ関心も薄く、今年は7月の3連休の真ん中の日曜日であった。

いま18歳選挙権の定着もあって、若い世代が投票に行くようになった。6年前の参議院選挙(48.8%)と比べると、投票率が10%も増えている。ここ数年の国政選挙の投票率の上昇局面は、若者ら有権者の関心の高まりがあり、ニューメディア・オールドメディアを問わず、政治や行政が大きく取り上げられている。

地方自治への無関心は、地域住民の生活や福祉の停滞に、深くかかわってくる。自治体の政治や行政に、国政と同様に関心を強めることは当然である。

この国政への関心の高まりは、地方政治・行政にも押し寄せるのではないだろうか。「世界のつくば」の中身が問われてくる。 (政治労働問題研究者・認定コメンテーター)

自然と等身大で向き合う遊び仕事(4)《デザインを考える》27

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写真は筆者

【コラム・三橋俊雄】今回取り上げる「遊び仕事」は、京都府宮津市由良地区に伝わる「にごりすくい」と「手長エビ漁」についてです。

にごりすくい

由良川は、大雨で濁ると水中の酸素が不足し、魚たちはふらついて川のよどみに集まります。そこを「タモ」と呼ばれる大きな網で上流から下流へすくい、ぐるりと岸へ寄せて捕える漁法があります。アユもコイもウナギも一度に捕れるため、「これほど面白い漁はない」と評されたものです。

昭和30〜40年頃までは広く行われていましたが、現在では大雨時の危険性から禁止されている地域もあります。タモは、杉の枝を巧みに曲げ、直径数ミリのしなやかな枝先を両側から重ね合わせて糸で縛り、輪を作ったものです(図1)。柄の長さは約4メートル。網の部分には絹糸が用いられ、女性たちが編み上げ、毎年柿渋に浸して干すことで補強していたとのこと。

手長エビ漁

網を使った漁法では、サナギや身欠きニシンを餌に糸でつり下げ、手長エビをおびき出します。エビが姿を現したところを、直径20センチほどの細長い小さな網で捕えます。エビは驚くと後方へ逃げようとするため、その習性を利用し、背後からそっと網を差し入れて捕えます。

一方、「モンドリ」を用いた漁は、由良川で6月から12月にかけて行われます。モンドリにサナギを入れて円錐形のふたをし、10カ所ほどに沈めて紐(ひも)の一端を川辺の石に結び固定します(図2)。2日ほどたったら、Y字型の枝先にひっかけて仕掛けを引き上げます。一つのモンドリに7〜8尾、合わせて80尾ほど捕れることもあります。

捕れた手長エビは高級食材ですが、売るのではなく、天ぷらにして家族や友人に振る舞われます。私も学生たちとともに、何度もその味を楽しませていただきました。

地域の伝統的生活文化を継承

これこそが「遊び仕事」の世界です。自然に分け入り、プリミティブな道具を用いて相手と同じ土俵で獲物を追う。これまでの体験で培ったスキルを駆使し、身体感覚を総動員して得られた成果は、自らの喜びとなるだけでなく、仲間内での誇りや自慢にもつながります。さらに、その成果をお裾分けすることによって、また新たな喜びが生まれていきます。

すなわち、「遊び仕事」とは、①人間行動の本質である「遊び」を通じて、自らが自然との関係を結ぶ第一歩であり、②自然と人間が等身大で向き合える貴重な共生の場でもあります。さらに、③「遊び仕事」を通じて身近な自然や生活文化の豊かさを再認識することができ、地域の伝統的生活文化の継承・保全、そして地域の活性化にもつながります。

翻って、今日の私たちは情報化やバーチャル社会のただ中にあります。だからこそ、「遊び仕事」の経験は、④自然との「生身の」付き合い方を体験できる、大切な学びの場ともなるのはないでしょうか。(ソーシャルデザイナー)

「支える人が守られる環境を」児童相談所元職員 飯島章太さん講演会 21日 土浦

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土浦で講演する千葉県児童相談所の元職員、飯島章太さん

「誰かを支えたいと願う人こそ、大切にされる職場であってほしい」—。千葉県の児童相談所・一時保護所で勤務していた元職員の飯島章太さん(32)はこう訴える。

飯島さんは、過酷な労働環境で体調を崩し退職を余儀なくされたとして、千葉県に未払い賃金や慰謝料の支払いを求めて提訴している。21日、土浦市川口の古書店「生存書房」で、飯島さんの講演会「労働としてのケアを考える~千葉児童相談所裁判が問うこと」(茨城不安定労働組合主催)が開かれる。「心身が守られない職場環境のしわ寄せが、本来守られるべき子どもたちに及んでいる」と語る。

精神疾患の長期療養 3倍

飯島さんが、千葉県 市川児童相談所の一時保護所で児童指導員として勤務を始めたのは2019年4月。虐待などで家庭に居られなくなった子どもを保護し、生活支援や自立に向けたサポートを行う役割だった。現場では、定員の倍となる約40人が入所し、多い日は一人で20人の子どもを見なければならなかった。

職員不足の中、休憩はほとんど取れなかった。午前8時半から午後5時15分までの日勤では、学習支援、食事や掃除のサポート、レクリエーションなどに対応した。精神的に不安定な子どもも多く、けんかや事故など不意のトラブルにも注意を払わなければならない。不慣れな職場で十分な研修もないまま、先輩の仕事を「見よう見まね」で覚えていった。残業も頻繁で、行動観察記録や学習プリントの確認などの事務作業を終える頃には、午後8時を過ぎることも多かった。

月に4~6回の宿直勤務は、2人の職員で40人を担当した。約21時間勤務の上、残業もあった。子どもたちの就寝後は、翌日の会議や行事の準備、子ども一人ずつの記録作成に追われた。緊急一時保護の受け入れや体調不良の子どもへの対応で、仮眠時間は廊下に布団を敷いて待機し、「横になれても眠れたことはほとんどなかった」と振り返る。

こうした勤務の中で飯島さんはうつ病を発症。休職と復職を繰り返し、2021年11月に退職することになる。翌22年7月、千葉県を相手取り総額1200万円の損害賠償を求め千葉地裁に訴訟を起こした。

「自分の経験を個人的な問題で終わらせたくなかった」と飯島さんは話す。千葉県では2020年度、児童相談所の専門職員の精神疾患による長期療養取得率は、他の県職員の3倍以上にのぼり、その約半数が20代だった。体調を崩したのは、決して飯島さん個人の問題ではなかった。

子どもを管理する葛藤

勤務する中で飯島さんが最もつらかったのは、「子どもを支えたい」という思いで選んだ職場で、いつしか子どもを「管理する側」に回ってしまったことだった。飯島さんは、大学2年から6年以上、子どもの電話相談ボランティアを続けていた。修士論文のテーマにもしたこの経験を生かし、「子どもの側に立ち、丁寧に話を聞き、支えになれる仕事」として選んだのが児童相談所だった。

しかし実際の現場では、思い描いた仕事はできなかった。子どもたちは多数の細かいルールに縛られていたからだ。ティッシュ1枚を使うにも職員の許可が必要とされ、起床時間まで布団から出てはならず、食事は完食が原則で、残すには許可と謝罪が必要とされた。根拠があいまいな規則に従わないと、強く叱責される子どももいた。集団生活を送る上で規律は必要とはいえ、「刑務所みたい」とつぶやく子どもを目の当たりにし、「家庭で傷ついた子どもを、さらに傷つけてしまっているのではないか」と葛藤した。しかし激務の中で、抱いた違和感はまひしていったという。

「本当は一人ひとりの話を丁寧に聞き、その子の背景を理解しながら支援につなげたかった。学生時代にしていた電話相談の延長線のような仕事がしたかったんだと思う」と飯島さん。学生時代に積み重ねてきた経験が無価値になっていくことに追い詰められていく。ふと我に返った時、自分を信じられなくなる恐怖に襲われた。そして、心身は限界を迎えた。

応援してくれる人は必ずいる

訴訟では12人の弁護士が弁護団「じそう弁護団ちば」を結成し飯島さんを支えている。千葉地裁は、飯島さんが、人員不足や多忙により十分な研修がないまま現場に配属されたこと、休憩や仮眠時間にも作業があったことなどが「安全配慮義務違反」にあたると認め、県に50万円の支払いを命じた。県は即日控訴し、東京高裁での控訴審は10月9日に結審。現在、和解協議が進められている。

地裁での勝訴を伝える飯島さん(右)=3月26日千葉地裁前

飯島さんは「紆余曲折の中でも、今こうして生きてこられたのは、多くの人の支えがあったから」と語る。一方で、「児童相談所に対して世間からは厳しい声も多い。職場では、社会に味方がいるのかと不安になる職員もいた。でも裁判を通じて、応援してくれる人は必ずいると実感できた」と振り返る。

今回の講演会に向けて「今も不安を抱えながら現場で働く職員はたくさんいる中で、120%の力で働く職員に『頑張って』とは言えないが、こういう仕事を選び、子どもたちのために働く人がいることを多くの人に知ってほしい。社会の中で、児童相談所が抱える問題に関心が広がり、職場環境が改善されることで職員が安心して働けるようになれば、それが何より子どものためにつながる」と語る。(柴田大輔)

◆飯島章太さんの講演会「労働としてのケアを考える~千葉児童相談所裁判が問うこと」は21日(日)午後2時から、土浦市川口2-2-12、古書店「生存書房」で開催。参加費無料。参加申し込みは専用サイト、またはメールibarakifuantei@gmail.com(茨城不安定労働組合)、電話050-1808-8525(生存書房)へ。

外国人排斥の風潮に強い危機感 市民団体「牛久入管を考える会」が報告会

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「牛久入管収容所問題を考える会」の年間活動報告会の様子=つくば市役所コミュニティ棟

法務省の東日本入国管理センター(牛久市久野町)に収容されている外国人の処遇改善に取り組む市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」(つくば市、田中喜美子代表)の年間活動報告会が14日、つくば市役所コミュニティ棟で開かれ、昨今の外国人排斥の風潮に強い危機感が示された。

牛久にある同入管センターは、在留資格のない外国人や難民申請中の外国人を収容している。考える会は、収容されている外国人との面会活動などを通して処遇改善などを要望している。

記念講演する安田浩一さん

記念講演をしたノンフィクションライターの安田浩一さんは、SNS上でまん延する外国人への偏見を助長する様々なデマについて「デタラメが差別につながり、差別と偏見のその先にあるのは殺戮(さつりく)」だと、102年前の関東大震災での朝鮮人虐殺を例に挙げ強く非難した。

その上で、モスク建設やインターナショナルスクール開設反対運動、移民反対デモが各地で行われる一方、製造業や農業の現場などで多くの外国人労働力に依存している現状に触れ「私たちは好むと好まざると外国人と関わっている」と述べた。

考える会の田中代表は、選挙運動を通じて複数の政党や候補者が公然と外国人排斥を掲げ、政府が「違法外国人ゼロキャンペーン」を展開していることについて「国策として外国人排斥が始まった」と厳しく批判した。

年間活動報告会で話す田中喜美子代表

活動報告会には市民や外国人ら約80人が参加した。

東日本入管センターの2025年の被収容者数は現在、毎月約40人から60人前後で推移しているなどの報告があった。2024年6月、入管施設に収容しない代わりに、監理人の管理下で一定の制約を受けながら社会生活を送り退去強制手続きを進める「監理措置制度」が始まって以降は大きく減っている。一方、今年6月以降は被収容者が強制送還される事例が増えているという。

登壇した「監理措置」の中国籍の男性は、入管施設内での生活について「入管職員とコミュニケーションを取ればいじめられなかった。ただ、自由は無かった」と振り返る一方で、「監理措置制度」の下で、入管施設の外で一定の制約を受けながら社会生活を送る現在の状況を「入管の中には塀がある。(入管の)外にも塀がある」と述べた。(崎山勝功)

不適切な生活保護行政 告発者を表彰したら?《吾妻カガミ》213

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくば市の不適切な生活保護行政について「今年内にも(関係職員・管理職への)処分が出るのか」と市長に聞いたところ、「年内でなく年度内」とのことでした。同行政の部署にいた職員が不適切事案の具体例を内部告発し、市が発表したのが2024年春。そして市が調査報告書をまとめたのが2025年夏。問題表面化から関係者処分まで2年もかかるとは悠長な話です。

職員酷使、業務怠慢、ミス隠し

内部告発の詳細については市職員の請願書(市の公益通報受理が遅れたので市議会に請願)を読んでください。あらましは192「…市政の実態」に書きましたが、さわりを紹介すると▽問題点を指摘したら管理職が隠蔽してしまった▽やってはいけない現金支給が行われていた▽業務上の不正を指摘すると職場で「村八分」にされた―といったことが起きていたそうです。

市の調査報告書を読むと、生活保護行政の様相がよく分かります。209「不適切のデパート…」で超要約したように、▽時間外勤務や特殊勤務の手当てがきちんと払われていなかった▽生活保護者への過払いを埋める会計処理(国庫への請求)を怠っていた▽県の監査に対し「現金給付はしていない」と口裏を合わせていた―など、杜撰(ずさん)な行政の実態が報告されています。

生活保護は国民へのセーフティネットであり、憲法でも「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(25条)が保障されています。こういった基本中の基本の行政なのに、単純ミス(支給基準の誤判断)だけでなく、職員酷使(関連手当ての未払い)、業務怠慢(国庫への請求見送り)、ミス隠し(県監査への虚偽報告)が横行していたとは驚きでした。

担当職員・管理職、市幹部への処分がどうなるか、要注目です。処分は仕事上の責任を明確にして再発抑止を図るものですが、これとセットで、不適切事案を暴露することで業務正常化に貢献した告発職員を表彰したらどうでしょう? 内部告発をプラス面に生かして役所を活性化させれば、市民サービスも向上します。実現すれば、役所マネージメントの新しいモデルになると思います。

究極の不適切生活保護対策は?

請願書と調査報告を読むと、つくば市では管理職クラスの仕事振りに問題が多いことが分かります。その箇所にアンダーラインを引きながら、つくば市と土浦市の合併を図り、「新つくば市」を中核市(当時の人口要件は30万以上)にしようとしていた前市長の非公式発言を思い出しました。

合併協議が進んでいたころ、前市長はある懇親の席で、6町村合併で誕生したつくば市の職員を市政経験が豊富な土浦市の職員に教育してもらいたい―といった趣旨のことを話していました。2市合併の目標として中核市実現を掲げながら、土浦市の豊富な行政経験をつくば市の職員に学ばせ、市の行政レベルをアップしたいとの思惑もあったようです。

つくば市民の反対で合併は実現しませんでしたが、「不適切行政」改善策は他にも考えられます。組織引き締めのために関係職員・管理職・市幹部を処分するはその一つであり、内部告発に踏み切った職員を表彰して役所内を刺激するのも一策でしょう。

究極の不適切行政対策は、生活保護業務そのものを県に返上してしまうことです。行政力に限りがある村役場や町役場は生活保護の実務を県に任せています。つくば市が業務返上という奇策(町村並み市政宣言)に出れば、全国の耳目を集めるでしょう。来年の自治体ニュースの上位に入ることは間違いありません。冗談はこのぐらいにして(内部告発奨励は真面目)、皆さま、よいお年をお迎えください。(経済ジャーナリスト)

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環境にやさしい素材で 子供たちがアート体験 つくば スタジオ’S

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筑波大生に教わりながら、さまざまな色や模様の和紙をちぎって台紙に貼り付けオリジナルのクリスマスカード作る子供たち=つくば市二の宮、スタジオ'S

筑波大学で芸術などを専攻する学生に教わりながら、子供たちがさまざまなアート技法を体験するイベント「冬のキッズアート体験2025」が13日、つくば市二の宮のギャラリー「スタジオ’S」で開かれた。普段ごみとして捨てられてしまったり、リサイクル資源となる紙パックやトイレットぺーバーの芯、環境にやさしい再生紙を使った工作体験などが催された。

関彰商事(本社:筑西市・つくば市、関正樹社長)が筑波大学芸術系の協力で、9年前の2016年から毎年冬と夏に開催している。昨年からつくば市と県つくば美術館がこの企画を応援。同市とSDGsを推進する包括連携携協定が締結されていることから、環境にやさしい素材が使われるなどした。

紙パックを使った工作では、子供たちが、紙パックに布シートを貼り付けて、さらにクリスマスツリーのように飾り付けるバッグ作りに挑戦した。トイレットペーパーの芯では昆虫やコースターなどを作った。再生紙は、関彰商事の廃棄書類から作られた再生紙でクリスマスツリーに飾るオーナメントを作った。

ほかに、筆で文字を書いたりスタンプを使ったりする「オリジナル年賀状づくり」、小さな透明な容器に砂や石などを敷きミニガーデンをつくる「テラリウムづくり」など計七つのブースが設けられた。

テラリウム作りに挑戦する子供たち

午前、午後合わせて昨年より多い82人の小学生が参加。子供たちは二つの会場に設けられた各ブースを自由に行き来しながら、自分だけの作品を作っていた。

ちぎった和紙を台紙に貼り付けてオリジナルのクリスマスカードを作るブースでは、子供たちがちぎった和紙を接着剤で貼り付け、少しずつ形にしていく。工作時間は30分だが、10分ほどで仕上げる子もいた。

市内から参加した小学2年の女子児童は「参加したのは2回目。クリスマスツリーを作った。ていねいに教えてくれたので、思ったよりやさしかった。来年もまた来てみたい」と話していた。

テラリウムの指導にあたった同大生物資源学類2年の渡邊奏和さんは「自分は芸術専攻ではないが参加した。子供たちにどう伝わるかわからないこともあるが、子供が好きなので教えるのは楽しい」と感想を話した。(榎田智司)

サイエンス高校と筑波高校の魅力《竹林亭日乗》35

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つくば市上菅間の禊(みそぎ)橋からから見た筑波山=写真は筆者

【コラム・片岡英明】文科省は11月、今年度補正予算に公立高校の魅力向上のために約3000億円の基金を設置すると発表した。この予算が成立すれば、学費無償化を含め、公立学校の魅力アップ策も導入されることが期待できる。こうした動きも念頭に置き、今回は県立のつくばサイエンス高校と筑波高校の学校づくりについて考えたい。

サイエンス高:探求重視の進学校

2022年まで4学級だったつくば工科高は、23年から科学技術科6学級で構成されるサイエンス高校となった。しかし、初年度の入学者は88人(つくば市内からは53人)、24年は77人(同53人)であった。そこで県は、「普通科を!」の声を受けとめ、学級編成を変更し、25年から6学級中3学級を普通科にした。すると、市内からの入学者は111人に激増し、全体の入学者も178人(つくば工科時代の22年は134人)に増えた。

24年→25年の中学別入学者数を見ると、並木中:1人→10人、谷田部中:5人→25人、谷田部東中:8人→21人、みどりの中:8人→12人など、地元の入学者が増え、県立高改革が軌道に乗り始めた。

その理由としては、ノーベル賞受賞の小林誠さんが名誉校長であること、4名の外国語指導助手(ALT)などスタッフや設備が充実していることが挙げられるが、私が注目しているのは教育課程である。どの教科を、いつ、どれだけ学ぶかは学校教育の要だからだ。

進学校には、2年生から文・理を分ける受験重視の土浦二高・牛久栄進高型と、1・2年は基本共通科目とし教養を重視する土浦一高・水戸一高型がある。サイエンス高は最初から文・理融合をモットーに教養重視型で、この大きな「構え」に設立当初のスタッフの深い理念が感じられる。

リニューアル開学3年目に学校見学させてもらったところ、学校も一新され、生徒が楽しく学んでいた。職員室前には、山形大工学部をはじめ10数人の大学合格者が掲示されていた。話を聞きながら、今後、京都市の堀川高校や千葉県の市川学園が参考になるのではないかと思った。

筑波高:地域と連携した多面校

小規模校の魅力アップは茨城県の重要な課題である。その点、地域との連携に踏み出した筑波高の学校づくりは注目に値する。改革2年目の進学コースの様子に関心を持ってお話を聞いたところ、少人数での学習だけでなく、進学コースのまとまりや意識も高まってきたという。今後が楽しみである。

先日、筑波高も参加している地元北条の「祭り」を見学した折、生徒の「学校が楽しい」との言葉を聞いた。小田城址で開かれたジャズフェスでのスタッフ活動や、老人ホーム訪問後、「次はあの老人をどうすれば笑顔にできるか」と工夫する取組みなど、フィールドを持つ学びの可能性を感じた。話を聞きながら、校内の川の清掃やヤギを飼うなど、幅広い学びのある武蔵高校・中学が参考になるかなと思った。

茨城の学校づくりのモデルに

筑波高は、保護者も卒業生という生徒が多く、地元とのつながりが深い。また、歴史あるサイエンス高は、地元中学の期待が大きい。地域の応援を受け、この2高が茨城の学校づくりのモデルになるよう期待している。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

小美玉市にある「ぺんてる」の主力工場《日本一の湖のほとりにある街の話》35

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】土浦市教育委員会に配属されて十年余り。児童の絵画コンクールなどにも関わる中で、近年、絵に親しむ子供が減っているという現実を痛感しています。背景には、娯楽の多様化や、カリキュラム・習い事の忙しさといった子供側の事情に加え、正解のない芸術を教える難しさという、大人側の都合もあるのかもしれません。加えて、当世を席巻する「タイパ・コスパ」志向とこの分野の相性の悪さも、無関係ではないでしょう。

しかし、自らのさまざまな感情を、絵の具をはじめとする多様な媒体に託して表現するという営みは、ラスコーやアルタミラの壁画を持ち出すまでもなく、極めて普遍的で、人間の根源的な喜びに満ちています。そうした「表現」の衰退を、寂しく思いつつ眺めていました。

今回は、その「表現の力」を支える現場のひとつ、小美玉市のぺんてる小美玉工場を、同社研究開発本部長の名須川さんに案内していただきました。クレヨンでおなじみの「ぺんてる」。多様な文房具を通して日本の教育を支えてきた同社の国内最大の生産拠点が、1964年に稼働を開始したこの工場です。

現在まで続くベストセラー、サインペンの生産拠点として、東京ドーム1.5個分の敷地に設立された工場では、創業当初、100人で1日1万本を製造していたところ、現在ではわずか2人で1日6万本を生産しているとのこと。サインペンに加え、ボールペンやクレヨンなど主力製品の多くが、ここで作られています。

文房具でも画材でもなく「表現具」

最初に案内されたのは、ロングセラーであるサインペンの製造ライン。1980年代製の武骨な組立機はいまも現役で稼働し、流れるような動きで次々と製品を生み出していました。隣の最新式ボールペン「エナージェル」のラインには、自社開発の組立機が整然と並び、部品が驚くほどの速さで形になっていきます。こうした機械の多くを自社内で作っている点も、同社の大きな強みだといいます。

続いて向かったのは、クレヨンの製造現場。顔料と油が混じった独特の香りが満ち、美術を学んでいた学生の頃の記憶がふとよみがえりました。3台の大きな円盤状の装置が止まることなく回転し、そのたびに1本1本、クレヨンが生まれていきます。

ドロドロに溶けたクレヨンの原料が型に下から注ぎ込まれ、一周する間に冷えて固まり落ちてくる様に、思わず目はくぎ付けに。色を切り替える際には機械を徹底的に洗浄する必要があるため、同じ色を1〜2日かけて作り続けるのだといいます。さらに、色を製造する順番も厳密に決められており、約12日で12色が一巡する仕組みになっているとのこと。こうして、ベストセラーの「ぺんてるくれよん12色セット」の出来上がりです。

最新機器と歴史ある重厚な機械が並び立つ空間で、人の感情を伝えるための多彩な道具が今日も生まれ続けています。「これからも『表現の力』を信じて、文房具でも画材でもなく、『表現具』を作り続けていきます」。穏やかにそう語る名須川さんの表情に、これからも表現の灯が消えることはないという、確かな希望を感じた取材でした。(土浦市職員)

<注> 本コラムは周長日本一の湖、霞ヶ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

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