身体機能をサポートする装着型サイボーグHAL(ハル)を世界で初めて開発し、販売する筑波大発ベンチャー「サイバーダイン」(つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)は、労働作業などの負担を軽減する腰部装着タイプ新型モデル「LB06」の販売を2日から開始する。
従来モデルから大幅に薄型化し、10秒で装着できるように改良した。救急救命活動をはじめ、空港、工場、物流倉庫、建設、農業の現場など、重量物の持ち上げや運搬など身体に大きな負担がかかる現場での利用を想定している。

背面をスリム化
HALは、人間の皮膚につけたセンサーによって動きたいという意思の電気信号を読み取り、内蔵コンピューターが解析し補助モーターを作動させることで、人の動きを助ける。新型モデルは、これまで同社が展開してきたHALの腰部装着タイプ「LB03」の後継にあたる。
最大の特徴は本体背面のスリム化で、従来比約65%の薄型化を実現した。これにより、装着したままでフォークリフトや作業車両の乗り降り、運転時の後方確認、狭い場所での作業などが格段に行いやすくなった。従来モデルでも車両操作は可能だったが、利用者から寄せられた「背中の出っ張りが気になる」といった現場の声を反映し改良につなげたという。
装着性も向上している。腹部と脚部のベルトを固定するだけのシンプルな構造で、装着時間は約10秒。救急救命の現場でも必要時に即座に使用できる。重さは約2.7キロと、従来モデルより約400グラム軽量化された。実際の数値以上に「軽く感じる」という。バッテリー性能も強化された。連続稼働時間は従来の約4.5時間から約10時間へと倍以上に延びた。1日の作業を十分にカバーできることから、現場での使い勝手が向上している。

機能面では、持ち上げ動作や中腰姿勢の保持に加え、脚を大きく開いた開脚姿勢やガニ股での持ち上げ作業にも対応できるようになり、アシストできる作業の幅が広がった。また同社のバイタルセンサーとの連携も可能で、心活動、体表面温度、被服内湿度、加速度などのデータを取得し、作業者の体調変化や転倒などの異常を検知できる。救急救命分野では、救急救命士自身の体調管理とともに、患者の健康状態を数値化し、データを搬送前から医療機関と共有することも想定する。
製品は、販売またはレンタルを行う。価格は非公開で、導入企業ごとに見積もり、対応する。レンタルを主体とする背景には、平和利用を前提とした同社の企業方針や、独自技術の管理を重視する目的がある。
パワーとスムーズな動きの両立に注力
サイバーダイン新規事業開発部の中澤泰士さんは「今回のモデルチェンジでは、パワーとスムーズな動きを両立させることに力を注いだ。スリムになったからいろいろできることが増えたという声が届いている」とし「人とAIロボットや情報などを融合する『サイバニクス技術』によって、深刻化する人手不足や超高齢化社会といった社会課題の解決を目指し、単なる作業負担軽減にとどまらず、働く人が健康で、安心して働き続けられる環境を実現したい」と話す。(柴田大輔)






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