長屋門の維持と活用について各地の関係者と議論する「第2回長屋門サミット」が14日、つくば駅前の同市吾妻、つくばセンタービル内 コリドイオで催される。NPO法人つくば建築研究会(坊垣和明理事長)が「長屋門の情報共有と維持継承活用に向けて」をテーマに開催する。
同市には200を超える長屋門が現存する。同研究会はこれまで、市内と周辺地域に残されている江戸時代から明治、昭和初期に建てられた長屋門を、建築文化として維持活用する研究を重ね、市民シンポジウムで意見交換したり、実際に長屋門を訪ねる「みち歩き」イベントを開いてきた。
目標は、長屋門に民泊機能を加味した「もん泊」の実現。しかし家主の理解を得ることが前提である上、長屋門の風情を損なわず宿泊性能や水回り設備などをどのように追加させるか、それらに必要な費用のねん出をどうするかなどの課題があり、市内ではまだ実例がない。
同研究会事務局の若柳綾子理事によると「4年ほどの研究活動は地元を主体に進めてきた。さらに全国に視野を広げて他地域の事例を調べてみると、やはり同様の悩みを抱えるところが多い中で、我々以上にテーマを絞って研究している具体例があった。それらをネットワーク化したいと考え、昨年2月につくばで第1回サミットを開き、東北や近畿地方で行われている長屋門の保存、活用研究について情報交換を行った」。第1回は、宮城県栗原地域をはじめ、栃木県宇都宮市、愛知県渥美半島に点在する長屋門の特徴を生かし維持保存活動に取り組むグループを招き、近世以降、各地域で長屋門を整備してきた武家勢力、地域ごとの自然環境に対応した家屋としての機能などを紹介した。
一方、つくば地域の長屋門は、歴史的成り立ちや自然の豊かさなどから、全国の他地域の長屋門よりも残存数、状態が良好だ。若柳理事は「その反面、注目されることもなく長い年月が経ち、所有者には代を重ねるごとに維持負担が重くのしかかっている。事業としてのもん泊をそれらの課題解決に役立てたいと考えている」とした上で、「今回の第2回サミットで画期的な事例を紹介できることとなった」と話す。
第2回は新たに、和歌山県紀の川市で具体化した全国初の長屋門での宿泊事業者となる「門リトリートサロン/門泊」を営む有薗光代さんを招く。さらに昨年に引き続き宮城県栗原地域と、茨城県桜川市で進む歴史的伝統建築物に関連した街づくり事例紹介を行う。
「有薗さんは陸上自衛隊にいらした方で、災害派遣や国際協力などを通じてインフラ整備に従事した経験を持つ。2023年から紀の川市を拠点に歴史的建築物と地域資源の活用をテーマに発信しているが、このスピード感に驚かされる」と若柳理事。 「つくばでの活動は、長屋門に宿泊するという『もん泊』構想から始まったが、紀の川市でついに具体例が実現した。多くの課題をどのようにクリアしてきたのか助言をいただけるのが今回のエポックとなる」と説明する。
紀の川市の事例におけるつくばとの違いは、事業化を念頭に置いた活動の一手だと考えられる。つくばが何もしていないわけではないが、これまでの活動は長屋門の周知というテーマを掲げながらも、文化研究色の強い集まりであり、事業化=ビジネスとして扱う段階には至っていない。先進事例を積極的に取り入れられるかどうかが今後の成果を左右するだけに、第2回サミットに期待が寄せられている。
今回登壇するのは▽桜川市の「ディスカバーまかべ」吾妻周一会長が「真壁地区-30年に及ぶ街並み保存・活用等の紹介」について話すほか▽同研究会の坊垣和明理事長が「つくば地区-つくばの長屋門の紹介、みちあるき報告」▽和歌山県紀の川市、門リトリートサロンの有薗光代さんが「もん泊構想、関連イベントの紹介」▽宮城県栗原市、くりはらツーリズムネットワークの大場寿樹代表理事が「栗原地域における取組の現状、課題等の紹介」をテーマに話す。その後、会場参加者などを加えて意見交換などする。(鴨志田隆之)
◆第2回長屋門サミットは14日(土)午後1時から、つくば市吾妻1-10-1 つくばセンタービル内 市民活動拠点コリドイオ3F大会議室で開催。定員100人。参加費は無料。参加申し込みは11日まで、つくば建築研究会ホームページの申込フォームで受付中(先着順)。






最近のコメント