土曜日, 10月 17, 2026
ホームつくば「電力消費、排熱、CO₂排出に懸念」歌川学さん講演 つくばに国内最大級のデータセンター(下)

「電力消費、排熱、CO₂排出に懸念」歌川学さん講演 つくばに国内最大級のデータセンター(下)

グッドマンジャパンがつくば市大穂に計画している国内最大級のデータセンターについて、「つくば市の巨大データセンター 3つの疑問」と題した学習会(主催・脱原発ネットワーク茨城=江口肇共同代表)が4月末、同市大穂、大穂交流センターで開かれ、つくば市内の研究機関に勤務し温暖化対策を研究する歌川学さんが講演した。歌川さんの講演概要をまとめた。以下の通り。

電力消費増の原因は二つ

昨年2月、国のエネルギー基本計画が出され、国全体の電力消費量が2024年から10~20%増えるという予測が立てられた。それまでは省エネをすれば電力消費は少し減っていくという見通しだった。増加理由の一つは半導体製造の増加、もう一つは全国でデータセンターが増加することだ。

経産省の第7次エネルギー基本計画策定時の審議会で関係業界がヒヤリングを受けた。データセンターの代表としてソフトバンクが、2030年までに電力消費量が2020年の3倍、2040年までに2030年の8倍、掛け算すると24倍になる可能性があると答えている。こうした増加予測を入れて私が独自に計算し、他にも工場・オフィス・家庭の電化、電気自動車の増加を考慮し、一方で省エネ対策で電力消費を減らすと、2040年から2050年のデータセンター及び半導体製造工場の電力消費量は国全体の10%程度、2050年に向けた電力消費全体も大きな増加ではないと推計できる。

省エネ対策とは、皆で電気をこまめに消して、エアコン止めて…ということではなくて、機器の更新のときに、省エネ機器を入れる、断熱建築にする、車を買い替える時は燃費のいい車にするなどしていくということ。石油やガスなど化石燃料が使われているものを効率よく電気に変えることでエネルギー消費全体の効率を良くすることができる。建物の断熱も含めてストーブからエアコンにすると、エネルギー消費は4分の1になる。こうした省エネ対策をすれば、エネルギーの中で電力消費・熱利用・運輸燃料を合わせたエネルギー消費量全体は大きく削減される。このエネルギー消費の中で、半導体製造・データセンターの電力消費増と電化により、電力消費はあまり減らずむしろやや増える可能性があるが、2050年に向け中長期的に電力消費量が激増することはないと予測される。

大都市周辺と北海道に計画

2024年以降に新設計画があるデータセンターは、東京、大阪周辺の比較的地価の安いところに多くの計画がある。データセンターの中は、狭いところにIT機器、いわばコンピューターが密集して設置され、多くのエネルギーを消費し、熱を持つので、外部に排熱して冷やす。冷却でもエネルギーを消費する。比較的涼しい北海道は冷却するためのエネルギーが少なくて済むので北海道にも新設計画が多い。

データセンターが今後、全国各地に立地し、国全体の電力消費量は10%増程度にとどまるとしても、地域では大きな影響が懸念される。

グッドマンジャパンによる事業計画イメージ図(2022年8月つくば市提供)

地域には大きな影響

つくば市では、高エネ研南側の約46ヘクタールに、オーストラリアの多国籍企業グッドマンジャパンがデータセンターと物流施設をつくる計画を立てている。データセンターの規模は、最初の1棟目は受電容量5万キロワット(50メガワット)。これだけでも大きいが、最終的には5万キロワットの20倍の、受電容量100万キロワット(1000メガワット)の計画になる。発電所でも、設備容量100万キロワットはかなり大きい。日本でも有数の規模のデータセンターだ。

1棟目はすでに着工し、2年くらいで完成して運転を開始するという計画を昨年、つくば市議会に示しているが、その後の建設スケジュールは示されていない。市議会の説明資料では、データセンターがどれぐらい電気を使って、どれくらい二酸化炭素(CO₂、温室効果ガス)を排出し、どれくらい排熱があるのか、夏の暑い時の排熱による周辺地域の気温上昇予測なども説明がない。

途方もない量

データセンターではないが、情報通信業で一番大きな東京都多摩市の通信施設から排出される二酸化炭素は年間14万トンになる。一方、公害調停にもなっている東京都昭島市のデータセンター計画では、二酸化炭素は多摩市の施設の15倍ぐらい、現在の昭島市全体の排出量の4倍から5倍の二酸化炭素を排出するということで地域で大きな問題になっている。

一方、今回つくばで計画される全体受電容量100万キロワットのデータセンターが仮にできると、昭島市の施設の二酸化炭素排出量のさらに2倍以上、1カ所の施設としては日本最大級になる。

100万キロワットのデータセンターがつくばに完成した場合の電力消費量、二酸化炭素排出量、排熱量がどれくらいになるかを、年間を通じて容量の90%出力の運転で試算すると、電力消費量は約80億キロワットアワーになる。これは、人口120万人の政令指定都市で工業地帯もある川崎市、人口140万人の神戸市、人口200万人近い札幌市、人口150万人の京都市、工業都市の北九州市などに匹敵する電力消費量になる。都道府県の消費電力と比較しても、長崎県、愛媛県、沖縄県、山形県、青森県全体と同じくらいの電力を消費する。

つくばの巨大データセンターの二酸化炭素排出量と電力消費量の比較(歌川さん提供)

二酸化炭素排出量は、現在のつくば市全体の2倍の二酸化炭素を、1カ所のデータセンターが排出することになる。すべて完成すれば、今の市全体の排出量が3倍に増える。つくば市内にはエネルギーをたくさん使う施設がある。研究所、大学、電気炉の製鉄所も市内の工業団地にある。これらを含むつくば市内のあらゆる工場、オフィス、大学、研究所、家庭、車の2倍の二酸化炭素排出量が1カ所のデータセンターから排出されると予測される。排出量は、都道府県では鳥取県全体や高知県全体と同じぐらい、県庁所在地では宇都宮市、政令指定都市では神奈川県相模原市と同じ規模になる。電力は現状のキロワットアワー(kWh)あたり二酸化炭素排出量で計算している。

排熱が地域に影響

地域にどのような影響があるかだが、まず排熱が懸念される。データセンターではIT機器、いわばコンピューター機器が大量の電力を消費し、熱くなるので、機器を冷やすことが必要になる。冷却方法は、巨大なエアコンのような設備で冷やす「空冷」と、水または特殊な液体を循環させて冷やす「水冷(液冷)」の二つの方法があるが、事業者はこれまで冷却方法や排熱量などを公表していない。

今、日本全体で家電や車なども含めて、エネルギー消費は残念ながらそんなに効率のいいものではなく、有効利用は3分の1程度で残りは排熱されている。つくば市で100万キロワットのデータセンターが全部完成し、現在国内で主力の「空冷」で冷却する場合、市全体で出る排熱を全部合わせた量の2倍ぐらいの排熱量が出ると予測される。

つくばのデータセンターとつくば市全体の排熱量比較(歌川さん提供)

夏の一番暑い7月から9月の間、去年、つくば市館野の気象台で猛暑日(最高気温35度以上)が22日間観測された。ここ数年、最高気温が35度を超える日が毎年、年間20日間ぐらいある。

気象台の気温を測る場所は、高さ1.5メートルの芝生の上。周囲の条件の影響を受けないように測定しても35度以上が観測される。大穂地区は工場やオフィスビルが多い地域ではないが、舗装道路の上など、私たちは気象台で測定された気温よりもう少し高い気温を猛暑日に経験している。これに大きなデータセンターの排熱が加わると、気象条件によっては周辺地域の気温がさらにプラスアルファになる可能性がある。

熱中症のなりやすさ加速

これは地域の体の弱い方、お年寄りの方、小さな子供とか、そういった健康弱者の方々の熱中症など健康影響を加速する可能性が懸念される。そうならないように事前に考えなければいけない。

猛暑日の気象条件の中で、排熱により地域の気温が実際に何度上がるのか、どのくらいの範囲に影響が出るのかを調査して評価し、データを検証して熱中症増加などの健康影響を考える、健康弱者の方に影響・被害が出てからではなく、事前に調べ、懸念が大きいことがわかったら追加対策を考えなくてはいけない。

東京で計画されているデータセンターの排熱について住民グループが試算をした。東京はヒートアイランドの中にある。そこに巨大データセンターが住宅地に囲まれた用地にできて排熱が地域に出ると、猛暑日の気温がさらに3度上がるという試算があった。つくば市の場合は都市ヒートアイランドではなくデータセンターの周りは住宅密集地ではないものの、つくばのデータセンターの規模はその試算がされた東京のデータセンターの4〜5倍なので、つくば市での排熱とその周辺への影響を事前に予測することが必要だ。

地下水冷却でも影響の恐れ

データセンターの冷却は、空冷ではなく、水で冷却をする「水冷」の可能性もある。この技術の方が空冷よりエネルギー効率が良い。ただし水冷技術を採用した場合、使用する水に課題がある。つくば市全体の排熱の2倍の排熱量を、水道でなく地域の地下水で冷やすと、地域の地下水が温まる可能性がある。これが地下の水環境や地下水の流れなどに影響を及ぼし、飲料水に使われている井戸の周辺で地下水温が上がるだけでなく、流れが変わるなどの影響が出る可能性もある。地下水の流れや地下の環境はよく分かっていない。影響を事前に調査・評価し、必要な対策を検討しなければならない。

次ページに続く

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給食のご飯の量半分に つくば市の小学校2校1268人分

つくば市は15日、同市桜学校給食センターで調理し14日に提供した栗ご飯のコメの計量誤りにより、市内の小学校2校の39クラスに提供した計1268人分の児童らの栗ご飯の量が半分になってしまったと発表した。半分しか提供できなかったクラスには、栗ご飯半量のほか、給食センターが備蓄していた非常用カレーライスを提供したという。 市教育局健康教育課によると、給食センターが、栗ご飯に使用するコメの分量を計量する際、炊きあがったご飯の量から栗の量を差し引いた分量のコメを計算して炊くべきところ、誤って、炊く前のコメの量から栗の量を差し引いた分量のコメを炊いたことから、本来炊くべきはずのコメが約110キロ不足してしまったという。 桜学校給食センターでは14日、栗ご飯の献立を、幼稚園2園、小学校4校、中学校1校に計3442人分提供した。 炊きあがった栗ご飯は配送する順に、各学校ごとにクラス別の大型の保管容器に入れる。午前11時ごろ、調理員が、炊きあがった栗ご飯を大型の容器に移し替える作業中、配送の順番が遅い小学校2校の栗ご飯が足りないことに気付き、調理の分量を間違えたことが分かった。 小学校2校のうち1校は、1~4年生全員と5年生の半数に栗ご飯を半量しか提供できなかった。もう1校は2~4年生全員と5~6年生の多くに栗ご飯を半量しか提供できなかった。市は14日、半量しか提供できなかった児童の保護者に、お詫びの通知文を送付したとしている。 同課によると、これまで桜学校給食センターで混ぜご飯を調理する際は、コメを炊き上げてから具材を混ぜていたが、具材と一緒に炊き込んだのは今回の献立が初めてだったという。 再発防止策として同課は、計量の手順などの業務マニュアルを改めて見直すと共に、給食センターの調理委託業者と市の双方による確認体制を強化し、再発防止の徹底に努めるとしている。

國井美香さん主演 26日 つくばでオペラコンサート

オペラ「Concert for peace(平和へのコンサート)」が26日夜、つくばカピオホール(つくば市竹園1丁目)で開かれる。高萩市出身のアルト歌手、國井美香さんが主演し、「セルビアの理髪師」「ホフマン物語」「ドン・ジョバンニ」など、オペラの名曲を上演する。 主催は国井美香・県南コンサート実行委員会(委員長・友末忠徳 茨城県イタリア・エミリアロマーニャ州交流協会会長、元茨城新聞社長)。同じ演者によるオペラ・音楽祭は、21日に高萩市、23日に水戸市でも開かれ、県北、県央、県南での連続公演になる。 國井さんはイタリア在住。武蔵野音楽大学卒業後、二期会オペラスタジオ研究生、文化庁国内研修生として研さんを積んだ。二期会オペラ「カルメン」でデビューし、国際ロータリー財団研修生としてローマに留学。「フランチェスコ・パオロ・ネーリア国際音声コンクール」で優勝した。その後、多数の歌劇場などで幅広く活動している。 コンサートの音楽監督はアントニオ・モッチャさん。ピアノ奏者のほか、ソプラノ、メゾソプラノ、バリトンなどの若手・ベテラン歌手も出演する。 ローマ教皇の前で歌を披露 今回の音楽ツアーを企画した友末さんは「昨年は高萩と水戸で開催したが、今年はつくば市も加え、県内縦断ツアーになる。國井さんは、ローマ教皇の前でも何度か歌を披露しており、イタリアではとても有名な方。音楽監督のモッチャさんはご主人でもある。楽曲の合間には、私がお二人にイタリアの政治事情などを質問することも考えている。つくば公演はオペラだけでない、とても面白い音楽祭になると思う」と語っている。(坂本栄) ◆オペラコンサートは10月26日(月)午後5時30分開場、6時開演、8時終演。入場料は3000円(全席自由)、チケット申し込みはつくば市商工会(電話029-851-2886)へ。