【コラム・岡田富朗】世界最大の古書店街がある神田神保町から程近い神田錦町に位置する東京天理ビル9階に、天理ギャラリーは1962(昭和37)年、東京天理教館が竣工すると時を同じくして開設されました。
開設にあたった経緯の中では、1960(昭和35)年から1990(平成2)年まで、天理大学で古代オリエント宗教史の集中講義を非常勤講師として受け持たれた三笠宮崇仁親王殿下(三笠宮さま)から、「東京でも天理大学の収蔵品を皆様にご覧いただきたい」というお声をいただいたこともあったそうです。
近年は年に2回、5月ごろに天理図書館収蔵品、10月ごろに天理参考館収蔵品からテーマを定め展示を開催しているそうです。
天理図書館
1924(大正13)年10月、当時旧制大阪高等学校に在学中の中山正善天理教二代真柱が天理教青年会長に就任し、図書館の設置と、図書の収集・整理の方針を打ち出しました。中山正善は稀代の蒐集家としても知られており、善本稀本が多く収蔵されています。
1926(大正15)年、約2万6000冊(うち洋書5000冊)の蔵書をもって閲覧を開始しました。戦後は、天理外国語学校の大学昇格に伴い、大学附属図書館として一層大きな役割も与えられ、蔵書も増加し、その名は海外にも広く知られるようになりました。現在では蔵書数は約150万冊に及び、その中には国宝6点、重要文化財88点が含まれています。
「古今和歌集と伊勢物語」展
6月14日(日)まで天理ギャラリーで開催されている第185回「古今和歌集と伊勢物語」展では、「古今和歌集」や「伊勢物語」を中心に、重要文化財4点、重要美術品8点を含む主要な写本や自筆注釈書など計41点が展示されています。展示資料の中には、近年の専門家による調査で、藤原俊成(1114~1204)筆「古今和歌集」昭和切の一部と確認された、天理図書館所蔵の「古今和歌集両序」が含まれています。
昭和切は、1928(昭和3)年に巻1~10の上帖が分割されたことで生じた名物切であり、現在に至るまで700年以上にわたり流布本の地位を占めてきたいわゆる定家本の底本と目される重要な資料です。平安末期から鎌倉初期を代表する大歌人・俊成の、極めて貴重な直筆を今に伝える至宝です。

本展を担当された天理図書館 稀書目録室の司書研究員・博士である髙橋諒さんは「天理図書館は、一人でも多くの方に利用していただきたいと考えております。そのため、大学附属図書館ではありますが、開館当初より広く一般にも開放しており、15歳以上(中学生を除く)の方であればどなたでも利用できます」。
また「天理ギャラリーなどでの展示においても、普段は遠方の方々にも貴重な文化財である原本をご覧いただき、多くの方に原本のもつ魅力を直接感じていただきたいと考えています」と話してくださいました。(ブックセンター・キャンパス店主)






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