木曜日, 11月 6, 2025
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冬至に甘い完熟カボチャ 土浦・亀城公園の老ザルカップルに届く

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カボチャに食らいつくリョウタ=土浦市中央・亀城公園

【相澤冬樹】土浦市中央の亀城公園で飼われている2匹のニホンザルの元に、冬の滋養食カボチャが届いた。オスのリョウタとメスのスミレ、つがいとは言い難い奇妙な同居生活を送っている老境のサルで、すき間風吹く猿舎で迎える厳寒の冬は19回目になる。飼育関係者がハロウィンで使われたジャンボカボチャを入手、22日の冬至に特別メニューとして差し入れた。

2匹はともに県内で捕獲され、引き取った同公園での飼育は2001年にスタートしている。生年は不明ながら20歳は超しているとみられ、持病やストレス障害を抱えている。互いの毛づくろいや身を寄せ合って暖をとるような仕草もなく、その境遇に同情が寄せられてきた。(1月11日付既報)

公園管理の一部は同市シルバー人材センターが請け負っており、サルには毎日1回のエサやりをする。ペットフードに野菜や果実を混ぜ、2匹に対し毎回1キロのエサを与えている。管理スタッフにも高齢のサルは気になる存在で、「冬至にカボチャを食べると病気にならない」という古くからの言い伝えがあることから、同センターの市村勇治さん(78)は重さ約50キロのカボチャを調達してきた。

背を向けてカボチャをかじるスミレ=同

同市内で行われたハロウィンのイベントに使われたアトランティックジャイアントという巨大品種を譲り受けた。人間の食用にはならないが、収穫から丸3カ月経った完熟カボチャの中味をくりぬき、倉庫に保存。切り取ってサルに与えた。好物のリンゴやミカンはオスのリョウタが2匹分を奪い取ってしまうが、一通り食べてしまうと手を出した。

「カボチャは収穫から日が経つほど甘味も強くなる、栄養補給にも良さそうだ」と冬至の22日には特別メニューとして与えることにした。リョウタは音を立ててかじりつき、スミレは猿舎の隅に持ち込み背を向けて食べた。クリスマスやお正月にも提供することになりそうという。

気象庁の3カ月予報(11月25日発表)通り、暖冬気配のなか迎えた冬至、2匹の老ザルにも「一陽来復」の日となるだろうか。

県議会がいじめ根絶条例可決 出席停止措置も

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茨城県庁

【山崎実】県議会第4回定例会に議員提案されていた「県いじめ根絶を目指す条例」が最終日の20日、可決成立した。条例は、いじめのない学校運営が行われるよう、校長の責任を明確にしている。教育現場での対応として、いじめを行った児童生徒の出席停止措置や、いじめを受けた児童生徒とは別の場所で学習を行わせる措置を講じるなど、かなり厳しい内容が盛り込まれている。

背景には取手市の女子中学生自殺事件がある。その後もいじめによる不登校や、自ら命を絶つ事件などが全国的に発生しているため、「いじめの根絶に向けて社会が総がかりで取り組む」ことを柱に掲げている。全国11県目のいじめ防止条例として来年4月1日から施行される。

条例は全23条で構成され、県独自の取り組みとして、児童生徒からのSOSの受け止めと、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)による相談体制など、相談しやすい環境づくりを構築する。専門的知識に基づいていじめ対策が行われるよう、スクールロイヤー(弁護士)の派遣による支援なども規定し、「いばらき教育月間」(11月)での重点的な県民啓発活動を提唱する。

県は、いじめに関する諸課題を克服するため、県教育委員会や学校、市町村教育委員会、児童相談所、水戸地方法務局、県警察本部など関係機関(団体)で構成する「県いじめ問題対策連絡協議会」を設置。相互協力、連携を深め、いじめ根絶を目指すとしている。

救われた小さな命 交通事故被害の子猫もらって つくばの愛護団体

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助けた子ネコの里親になってほしいと呼びかける、左から小林獣医師、坂さん、重松さん
保護された雌の日本ネコ

【橋立多美】街中や住宅地でネコがのんびり昼寝をしている風景は平和そのもの。しかし交通量が増え、不意に道路に飛び出したネコが走ってきた車とぶつかったら小さな体はひとたまりもない。

つくば市に活動拠点を置く動物愛護団体「Team.ホーリーキャット」(7月17日付)が、交通事故に遭った生後4カ月半の雌ネコの里親になってくれる人を探している。

今月中旬、同団体に「交通事故に遭った子ネコの里親さんを探してほしい」という連絡があった。連絡したのは牛久市在住の坂朋子さん(36)。

坂さんは今月6日午後4時半頃、つくばみらい市の職場から帰宅途中の市道で、前を走っていた2台が左側をよけていることに気が付いた。スピードを緩めると道路上に子ネコが座っていた。「頭が上がっているから生きている。このままでは後続車にひかれる」と思った。安全な場所に移動させようと車を停めて近づいた。

抱き上げると鼻血が流れ出て坂さんの手首を赤く染めた。ぐったりした全身は小刻みに震え、鳴くそぶりを見せたが声は聞こえなかった。置き去りにできないと助手席に乗せて動物病院に運んだ。

すぐに対応した小林獣医師は「レントゲン検査で大きな骨折は見られない、鎮痛剤で経過を見ましょう」と坂さんに告げ、1週間入院することになった。鼻血は頭をはじかれたことによるものと診断された。

入院中は仕事帰りに立ち寄り、ケージの中で痛みに耐えて頑張っている子ネコを見守った。また、飼い猫かも知れないと思い、保護した場所近くのコンビニに「子ネコを保護しています」と写真付きのチラシを貼らしてもらったが、飼い主は現れなかった。

病院での早い処置もあり、運び込んだ時は自分で歩くことができなかったが退院するときには歩行できるまでに回復した。だが体の右側を強打したことで右目を失明し、右耳の聴力と声を失った。同獣医師は「一過性の神経障害で発達途中なので回復する可能性はある」と話す。

退院後は坂さんの自宅に引き取った。ところが手乗りで遊んでいたハムスターがケージから出てこなくなった。「ハムスターは警戒心が強いそうで、手に残ったネコのにおいが影響しているかも」と肩を落とす。

先住のハムスターを優先させる決意をし、子ネコの里親を探すことにしたという。子ネコは右目が見えないとは思えないほど活発に遊びまわり、食欲旺盛だ。坂さんは「人懐こくてかわいい。やさしい里親さんの下で幸せに暮らしてほしい。でも手放す日は涙が止まらないと思う」

里親探しを依頼されたホーリーキャットの代表重松聖子さんは「後続車にひかれる前に坂さんの機敏な行動で保護され、獣医師につないだことで救われた小さな命。家族として迎えてくれる里親さんに手渡したい」と話した。同獣医師は「室内で飼育し定期的に健康チェックをしてやってほしい」と言い添えた。

◆子ネコを譲渡する里親会は明日22日(日)午後1時~4時、つばた接骨院(牛久市さくら台1丁目)。新年は1月5日(日)と19日(日)午後1時~3時、TXつくば駅前のセンター広場(つくば市吾妻)で開催。問い合わせは重松さん(電話090-8058-3129)まで。

つくば市の門脇教育長が退任 後任に森田局長

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市の門脇厚司教育長(79)が任期満了に伴って24日退任し、後任に森田充市教育局長(61)が就任する。つくば市12月議会最終日の20日、教育長任命議案が追加提案され全会一致で同意された。

門脇氏は「子どもの社会力」(岩波新書)などの著書がある教育学者で、筑波大教育系教授、筑波学院大学学長、美浦村教育長などを歴任し、2016年12月につくば市教育長に就任した。就任直後は工事の遅れによる秀峰筑波義務教育学校の開校延期問題に取り組み、このほど作成された市教育大綱案の策定に尽力した。

教育長に就任する森田充氏

後任の森田氏は、県内各地の小中学校で教べんを執り、03年県県南教育事務所指導主事、08年つくば市立大曽根小校長などを務めた。13年から県教育庁義務教育課長、同学校教育部長を歴任した。県職員を定年退職後の18年4月から任期付職員として市教育局長を務めている。25日、市教育長に就任する。任期は3年間。

レジオネラ菌検出 つくば市ふれあいプラザ ジャグジー

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市は19日、生涯学習施設、市ふれあいプラザ(同市下岩崎)のフィットネスプール内ジャグジーから、基準値を上回るレジオネラ菌が検出されたとして、16日から利用を停止していると発表した。

市文化芸術課によると、指定管理者の常陸興業が今月6日、年2回の水質定期検査を実施したところ、休館日の16日、検査機関から「分析途中だがレジオネラ菌検出の疑いがある」旨の連絡があった。指定管理者はジャグジーとプールの利用を停止し、高濃度洗浄剤でジャグジーを清掃、配管など循環設備の清掃を実施した。

18日、検査機関から基準値(100ミリットル当たり10CFU未満)を上回る10CFUのレジオネラ菌が検出されたと口頭で報告があり、19日、検査報告書の提出があった。

ジャグジーは直径約2.5メートル、深さ約1メートル。36度から40度程度の温水で、隣接のプールで水中ウオーキングなどをした利用者が体を温めるために使用している。温水は毎日、水をすべて抜き、入れ替えている。

一方、プールからレジオネラ菌は検出されておらず、利用者から健康被害の報告もないという。

指定管理者は今後、さらに滅菌効果を高るためアルカリ洗浄などの追加清掃を行う。再度、水質検査を実施し、安全が確認でき次第再開する。

※  ※  ※

同市は2020年1月21日、再検査の結果、水質の安全が確認されたとして、22日から利用を再開すると発表した。利用停止期間中、プールとジャグジーについて、高濃度洗浄、塩素消毒、高圧洗浄などを実施し、その後の水質検査で安全が確認されたという。21日時点で健康被害の報告はない。

※CFUはコロニーの形成単位

➡レジオネラ菌に関する過去記事はこちら

2月の初午に「すみつかれ」 民俗学会若手が収集呼び掛け

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論文誌を前に(左から)小池英治さん、容子さん夫妻と古山菜摘さん=つくば市大角豆

【相澤冬樹】「すみつかれ」あるいは「しもつかれ」は、栃木県から茨城県の一部で食べられている郷土料理。この埋もれがちの食文化を掘り起こし、採集・調査に取り組む若手が茨城民俗学会(飯村保会長)に現れた。稲敷市在住の古山菜摘さん(31)、「平成」を特集テーマに取り上げた最新の機関誌「茨城の民俗」58号に、論文「すみつかれと小池夫妻との出会い」を寄稿して、さらなる収集への協力を呼び掛けている。

古山さんによれば、「すみつかれ」は茨城県の県西・県央地域を中心に、2月の初午(はつうま)の日に食べられている料理。鬼おろしと呼ばれる道具で大根をおろし、節分の残りの炒り大豆を加え、家庭によってニンジン、油揚げ、酒粕、正月の残りの塩サケの頭などを混ぜ合わせて作る。煮込んだり、熱は加えなかったり、酢やしょう油の加え方もまちまちだ。

似たような料理に「しもつかれ」がある。栃木県内から茨城の鬼怒川流域にかけては、この名がポピュラーで、パック入りのものがスーパーで売られていたりする。さまざまな料理法を分類して、「すみつかれ」と「しもつかれ」の分布と境界を明らかにしたいと、つくば市在住の小池英治さん(46)、容子さん(43)夫妻と日本すみつかれ楽会を立ち上げた。

「しもつかれ」との分布図作る

古山さんは筑波大学芸術専門学群出身のイラストレーター。障害児を「福子」と呼びならわし、家族や周囲に「福」をもたらす存在として大事に扱ってきた地域共同体のありように興味を覚えたのがきっかけで、卒業後民俗学の世界に関心を広げた。

そんなとき出会ったのが小池さん夫妻。毎月つくば市大角豆でコミュニティーマーケット「まめいち」を開催している。東北出身の夫妻はかつて居住していた下妻市(旧千代川村)の農家ですみつかれに出合い、カルチャーショックを受けたそうだ。つくばに移って自分で作るようになり、古本市の打ち上げに持ち込んだところ、同席していた古山さんが目を丸くした。「これは何だ!」、正直おいしいとは思わなかったが、衝撃的だったという。

「茨城の民俗」を手に古山菜摘さん

古山さんは今春、民俗学会に入会。最年少の会員には、8月締め切りの機関誌に用いるイラストの作成と特集「平成」の原稿を書くよう注文が届いた。時間がないことから「すみつかれ」をテーマに選んだが、内容は小池英治さんが収集した記録がベースとなった。それらを食材や調理法によって再整理し、分布を地図上に配置して体系化してみた。

今回収集できたのは宇都宮市(栃木県)の2点と茨城県内8点。つくば市や土浦市、石岡市に分布したが料理に明らかな地域特性は認められなかった。英治さんは「民俗学的アプローチは、疑問はふくらむけど結論が導き出されることはない。ひたすら聞き取りを続け収集するのが大事になる」と励まし、古山さんに続報の執筆を求めた。

来年2月に「サミット」開催

新年の初午は2月9日。「まめいち」では2月16日に、6回目となる「すみつかれサミット」を開催する。すみつかれ楽会は、食べ比べ企画を拡大したい考えで、新たな参加や情報提供を求めている。古山さんは「今度は自分で作ってみたい」と意欲的だ。

◆茨城民俗学会は電話029-350-3310

東郷元都市整備部長を提案へ 土浦市副市長

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土浦市役所

【鈴木宏子】土浦市議会全員協議会が18日開かれ、空席となっている副市長人事について安藤真理子市長は、元市都市整備部長の東郷和男氏(64)を提案することを明らかにした。12月議会最終日の24日、追加議案として提案し同意を求める。

東郷氏は、市職員を定年退職後、市産業文化事業団常務理事を歴任した。

全協で安藤市長は、土浦市は、財政再建、インフラ整備、地域産業の活性化、農業の振興など多くの課題に直面している。独自性を発揮したまちづくりが求められるなどとして東郷氏が適任だと強調した。

同市では中川清前市長と共に市政を担ってきた五頭英明副市長が、中川氏の任期満了に合わせて退任し、副市長が空席となっていた。

一方、11月の市長選では最大会派の郁政会と公明党が中川前市長を応援した。副市長人事について郁政会の内田卓男代表は取材に対し「大変いい人材だと思う」と話している。

➡土浦市議会の過去記事はこちら

公約実現へ道筋語る 土浦市議会で安藤新市長

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会派代表質問に答える安藤真理子市長(手前)=16日、土浦市議会

【鈴木宏子】土浦市で市長交代後、初の市議会が始まっている。16日、会派代表質問が行われ、安藤真理子市長は公約実現への道筋を語った。

同12月議会は10日開会し、安藤市長は、公約に掲げた七つの基本政策を改めて述べ「すべての市民に寄り添った、暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現に取り組む」と所信を表明した。

これを受けて16日、会派代表質問が行われ、安藤市長は、選挙戦で公約に掲げた①コミュニティバスを市内全域運行する②市立保育所を守る③指定ごみ袋の料金を再考する―などについて、自らの考えと公約実現に向けた道筋を話した。

コミュニティバス運行へ、来年度から調査

コミュニティバスについては、NPOが現在、中心市街地で運行している「キララちゃんバス」ということではなく、新たなコミュニティ交通または民間のバス事業者により、公共交通不便地域を解消していきたいと改めて強調した。実現への道筋については、来年度から課題や問題点を調査するとした。さらに運行区域や路線の検討など市全体の公共交通ネットワークについて調査研究し、市民に寄り添った温かさあふれる公共交通網の形成に向け努力すると述べた。運行の予算や財源については、利用者、事業者、学識経験者などで構成する市地域公共交通活性化協議会で協議を進める中で具体的にしていくとした。

後期計画の4公立保育所「残したい」

公立保育所10カ所については、前期計画で21年3月までに6園を民営化し、後期計画で残り4園を25年度までに民営化の対象とするとされていた。これに対し安藤市長は「近年、家庭の養育機能の低下や虐待児童の増加、子供の貧困、特別な支援を必要とする子供への対応が課題となっており、公立は長年培ってきた保育のノウハウを生かして先導的な役割を担うことができる」とし、後期計画の4園について「後期計画策定時には学識経験者や保護者などの意見を聞きながら民営化の効果や課題について検証し、ぜひ公立保育所を残したい」と述べ、後期計画で対象となる神立、霞ケ岡、天川、荒川沖の4保育所を公立のまま残す検討の対象とする意向を示した。

有料ごみ袋料金、検証し再考

家庭ごみ処理の有料化が昨年10月スタートし、「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」の指定ごみ袋が最大で10枚入り500円と、県内市町村で最も高くなったごみ袋料金については、「有料化はやむを得ない」と述べる一方、「同じ有料化を実施している県内他市に比べて高いという意見をいろいろな市民から聞いている」とし、今後データや資料をとりまとめて様々なアイデアを出しながら、現在の制度の実施状況や効果を検証して、ごみ袋の値段をいくらにできるのか再考に取り組みたいと述べた。

ほかに公約に掲げた新治運動公園多目的グラウンドの人工芝化については、グラウンド全面に人工芝を張る場合は約4億3000万円、少年サッカー用ピッチ3面分の場合、約2億7000万円の事業費が見込まれているとし、財政健全化を推進しながら整備手法や維持管理経費を改めて検討し、市サッカー協会などの意見も参考に早期に実現したいと話した。

一部用地取得ができず塩漬けとなっている常名(ひたな)運動公園問題についても質問が出た。安藤市長は、今後も引き続き「早期解決に向け用地交渉に取り組んでいく」と答弁し、運動公園から新たな土地利用計画への変更についても「考えてない」とした。同運動公園は27年前の1992年から事業着手し、これまで計画面積23ヘクタールのうち93%の21.7ヘクタールを利子も含めて約77億8800万円で取得した。残り1.58ヘクタールの取得が難航し未買収地が点在しているため面的整備ができないまま現在に至っている。

➡土浦市長選の過去記事はこちら

“見えない”多様性を可視化 筑波大でセクシュアル・マイノリティの写真展

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展示会の様子=筑波大学附属図書館

【山口和紀】LGBTなどセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の多彩な人物像を撮影するプロジェクト「OUT IN JAPAN(アウトインジャパン)」の写真展が16日から筑波大学附属図書館(つくば市天王台)で始まった。様々な写真家が5年間で1万人を撮影するプロジェクトで、同大では、これまで撮影された中から、シンガポール出身の著名写真家、レスリー・キーが撮影した30点が展示されている。

尊重し学び合える大学へ

写真展をとりまとめるのは同大人間系の河野禎之助教だ。大学のセクシュアリティ支援窓口・DACセンターの担当教員でもある。同大は2017年、全国の大学に先駆け、セクシュアル・マイノリティへの相談・支援体制などをまとめ「LGBTに関する筑波大学の基本理念と対応ガイドライン」として公表した。河野助教はこのガイドラインの策定を中心的に進めるなど、大学における相談・支援体制を充実させることの必要性を訴えてきた。

同大は2017年からさらに、性別、国籍、文化の違い、年齢、障害の有無にかかわらず、人の可能性と多様性を尊重し、学び合える大学を目指すために多様性に関する啓発イベントを行ってきた。過去には、誰もが楽しめるスポーツ「ボッチャ」の体験会や、「人工知能研究からみた身体障害者支援の未来」と題したイベントが行われた。

今年度は、同性が好きな人や自分の性に違和感を覚える人を含む「セクシュアル・マイノリティ」に焦点を当てた写真展のほか、LGBTに関する座談会「LGBTQA茨城県人会議@つくば」を開催する。

「泣きそうな気持ちになった」

OUT IN JAPANは「目に見えないLGBTの存在をポジティブに可視化」するプロジェクトだ。日本のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)を始めとするセクシュアル・マイノリティのありのままの姿を撮影する。NPO法人グッド・エイジング・エールズが主催をしており、これまで20回の撮影会が行われた。

開催について河野助教は「自分は当事者を知らないと話す学生はすごく多い」ことに触れた上で「セクシュアル・マイノリティを含む多様な生き方を知ってもらうことが目的」と話す。多くの人の目に触れる展示会は関心の薄い人たちにも伝えることができる良い機会だという。

今回はセクシュアル・マイノリティに焦点を当てるが、あくまでも「多様性」に触れて、それぞれに考えるきっかけを作ることが狙いだ。「一人ひとりにそれぞれの生き方がある。展示されている写真のメッセージを見てもらえば、同じセクシュアル・マイノリティといっても、全ての人が違う生き方を持っていることを感じてもらえるはずだ」と語る。

同大に展示されている写真にはそれぞれ被写体からのメッセージがついており「無理にカミングアウトをする必要はない」「自分の人生を生きてください」など思いの伝わる写真が並ぶ。

展示を見た学生は「実際にメッセージを読むと泣きそうな気持ちになった。セクシュアル・マイノリティが身近にいるありふれた存在だと知ってもらえたらうれしい」「OUT IN JAPANを初めて知った。良い活動だと思うし勉強になった」などと話していた。

◆展示会は16日(月)~20日(金)の1週間、つくば市天王台、筑波大学附属図書館2F展示スペースで開催されている。入場無料。図書館のカウンターで受け付けを行えば一般市民も観覧できる。

会場ではセクシュアル・マイノリティに関する書籍も展示されている=同

無ろ過で元年デビュー果たす つくば産ワイン限定500本

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ワイナリーだからできるという「無ろ過ワイン」の販売が始まったつくばワイナリー=つくば市北条

【相澤冬樹】筑波山麓で今秋収穫されたブドウを使い、初めて現地醸造されたワインが15日、店頭デビューした。つくば市北条でワイン用ブドウを栽培してきたカドヤカンパニー(本社・小美玉市、岡崎正光社長)が製造・直売するもので、今回は無ろ過のロゼワインを「TSUKUBA PRIMO(ツクバプリモ)」と銘打ち、500本限定で売り出した。

無ろ過ワインは、製造時に混入する不純物を除去することなくそのまま販売するもので、「いわゆる澱(おり)が残っており、それが風味にも雑味にもなり、扱いが難しいワイン」(北村工マネージャー)だそう。当初は年明け以降、正規品での販売を予定していたが、引き合いが増え、無ろ過でも出来のいいワインに仕上がったことから、暮れの需要期に合わせ販売に踏み切った。

同社はこの秋、同所に醸造所と売店からなる施設、ワイナリーを開設して、つくば産ブドウ100%を使ったワイン製造を開始した。今秋収穫したブドウは15トン、720ミリリットル換算で1万5000本を製造・販売する計画だった。

コルク栓でなく器械栓で売り出される「TSUKUBA-PRIMO」

発酵・熟成のためのタンク1基を開封し、500本の瓶詰めを終えた。封入はコルク栓でなく器械(気開)栓を用い、ワイナリー直売品らしさを打ち出している。帯ラベルには「日本ワイン」「材料/ブドウ(つくば産)」の表示が誇らしげに入っている。720ミリリットル入り2500円(税別)。

SNSなどで情報を伝え聞いたワイン党が早速ワイナリーに駆けつけ、2本、3本と買い求める姿があった。筑西市から来たという会社員(27)は「偶然通りがかったら売り出しているのを知った。お歳暮用に買い求め、自分用に買い足した」そうだ。

岡崎洋司専務は「この勢いだと限定500本は1週間とかからず売り切れそう。正規のワインは年明け以降、準備を本格化させ、2月には売り出せると思う。楽しみにしてほしい」という。

➡つくば産ワインの過去記事はこちら

【筑波大、26年ぶりの箱根路】㊦ 最後の壁「意識の差」乗り越える

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箱根駅伝にエントリーした筑波大チームのメンバー=11日、筑波大学陸上競技場

【池田充雄】箱根への最後の壁となったのは、選手たちの本気度だった。6月下旬、全日本大学駅伝の関東地区予選会が開かれたが、その中に筑波大の名前はなかった。予選会の参加枠20校に入れなかったのだ。だが選手たちには悔しさを見せる様子もなかったという。弘山勉監督は「本気でやらないなら、自分が教える必要はない」と迫り、そこから選手たち自身による意識改革が始まった。

アクションを起こしたのは上迫彬岳主務。「5月からプレーイングマネージャーとして、少し離れたところからチームを見る中で、不足を感じる部分があった」という。選手一人ひとりから匿名で意見を募り、パワーポイント資料にまとめ、ミーティングで問題提起した。

「入学したときは本気で箱根を目指していた選手たちが、いつの間にか、国立であることを負ける言い訳にし始めていた。他の大学では自分たちより実績ある選手が、より恵まれた環境で、より一生懸命練習している。それに自分たちは本当に勝てるのか。箱根に出るためにどれだけのことを犠牲にし、どれだけ苦しい思いをする覚悟があるのか。その部分を確認したかった」

共同会見で話す大土手嵩主将㊧と上迫彬岳主務=11日、筑波大学

100%で打ち込むチームへ

大土手嵩主将は「上迫が中心になって動いてくれて、それぞれの競技に向き合う理由や、練習に取り組む意識など、全員の考えに触れられた。考えが甘かったと気付かされた」と感謝の言葉を述べる。

トラック種目を捨てて箱根一本に絞るのか、学業や就職に重きを置くのか。そうした自問自答の末、結果的に駅伝から離れる部員もいたが、チームの結束はかえって強まった。監督や主要メンバーによるミーティングを定期的に行い、強化方針や練習の意図、流れなどを話し合うほか、チーム内でも互いに改善点を指摘し合うなど、横の風通しも良くなった。

「今の3年は各自が責任を持って、能動的にチームを引っ張っていこうとする者が増えた。データ班やエントリー班、SNS班など、それぞれが自分のできる仕事を見つけて動いてくれる。やっとこういう体制が作れた」と、前年の駅伝主将だった川瀬宙夢は話す。

成功体験が与えた心身の充実

生まれ変わったチームは、夏合宿を経て着実に成長を重ね、10月の予選会を6位という予想以上の成績で突破。11月の1万メートル記録会でも、各選手がこぞって自己新を更新した。12月10日にはエントリーメンバーが確定し、本選まで残り3週間と迫る中、最後の追い込みをかける。

「夏合宿で順調に強くなっている感覚があり、それが予選会で確信に変わった。自分たちのやってきたことは間違っていなかったと、今は自信を持って練習に取り組めている。あとはけがや体調不良を出さないよう、細かいところを詰めるだけ」と大土手主将。

「予選会を勝ち抜いたことで、選手には大きな目標を成し遂げたという達成感が生まれている。この充実した気持ちの中でいかに本選を目指せるかがカギ。競技レベルに対し、体だけでなく心が追いつくことが肝心で、それにより調子を上げ、戦うパフォーマンスを発揮できる」と弘山監督。

目標は、翌年のシード権を獲得できる10位以内。復活から新しい伝統の創造へと、夢舞台での挑戦は続く。(おわり)

【筑波大、26年ぶりの箱根路】㊤ 伝統校復活へ 私学に迫る強化策

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夜更けまで練習に励む男子駅伝チーム=11日、筑波大学陸上競技場

【池田充雄】筑波大学陸上競技部が、来年1月2、3日に開かれる第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)に、26年ぶり61回目の出場を決めた。筑波大の前身である東京高等師範学校は、箱根駅伝の創始者として知られる“いだてん”金栗四三の母校で、1920年の第1回大会の優勝校でもある。だが近年は私大勢に押され、四半世紀も出場が途絶えていた。名門復活はいかにして成し遂げられたのか。

選手を見守る弘山勉監督

大会100年の節目に復活

悲願が成就したのは10月26日の予選会。参加34校から各12人がハーフマラソンを走り、上位10人の合計タイムで競う。10位以内なら本選出場となるが、これに筑波大は6位というサプライズ。弘山勉監督は「チームを箱根に引き戻すことができた。100年目の大会での復活は感慨深い。監督という立場を超え、OBとして純粋にうれしい」と語る。

箱根駅伝への出場自体は94年の第70回大会以来だが、このときは記念大会として予選会11位まで出場枠が拡大された結果。自力で勝ち取った出場権となると、弘山監督が選手として走った89年の第65回大会にまでさかのぼる。

筑波大は2011年に「箱根駅伝復活プロジェクト」をスタート。15年に弘山監督を迎え、以来5年間で予選会の成績は毎年アップ、今回の快挙につながった。ライバルとなる私大各校とは資金力、選手力、練習量などで大きな差があったはずだが、それらをどう克服していったのか。

環境改善へクラウドファンディング

まずは資金力の問題。国公立大学では私立大のような潤沢な強化費は望みようもない。そこで16年からクラウドファンディングを開始。得られた支援金を練習のサポートや食住環境の整備に充ててきた。「予想以上の反響に驚いている。これだけ多くの人に期待されているということ。お金がないと得られない環境はあるので、うまく力に変えていきたい」と弘山監督。

一例が、選手アパートでの食事の改善だ。以前は選手が回り持ちで調理当番をしていたが、そのため練習を早上がりしなくてはならず、体のケアもままならなかった。今は夕食を管理栄養士に任せ、選手のストレスが軽減。メニューの種類やバランスも向上している。

「合宿でも20人が行くと1回で100万円からかかる。それらを補助してもらえるのは大きい。私学との環境の差はどれくらいあるか分からないが、確実に縮まっていると思う」と上迫彬岳主務。

「勉強も箱根も狙える」大学

選手力の差を縮めたのは「復活プロジェクト」の影響が大きい。箱根を本気で目指せる大学という認知が広がり、入学してくる選手のレベルも高まった。「勉強も駅伝も続けられる大学。プロジェクトに引かれ、筑波で箱根を目指そうと入学した」と話す大土手嵩主将(3年)もその一人だ。医学群の川瀬宙夢(5年)は解剖実習や病院実習をこなしながら、猿橋拓己(3年)は理工学群で都市計画を学びながら、チームの主力として箱根に挑む。

金丸逸樹(4年、諫早高)や、相馬崇史(3年、佐久長聖高)ら、高校駅伝の名門校の出身者も増えた。「箱根を走るような高いレベルを知っている選手が今の世代にはそろった。それだけに、箱根と自分たちとの距離感もよく分かっている」と上迫主務。

選手層だけでなく指導陣も手厚くなった。一昨年までは弘山監督が一人で練習から渉外、広報まで全部こなしていたが、今はアシスタントコーチらが付き、選手の状態を逐次把握している。

これらの成果が出始め、弘山監督は「今年は明らかにチャンスの年」と手応えを感じていた。1月の第95回箱根駅伝では、相馬が関東学連の一員として5区を走り、その姿を見た選手たちの間にも「ここで自分たちのタスキをつなぎたい」との機運が高まった。だが、実際に戦えるチームになるまでには、まだ大きな壁もあった。(㊦に続く)

13日からミツバチサミット つくば国際会議場で3日間

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ミツバチサミット実行委員長の横井智之筑波大学助教

【相澤冬樹】2年ぶり2回目となるミツバチサミット2019が13~15の3日間、つくば市竹園のつくば国際会議場で開かれる。主催は同サミット実行委員会(委員長・横井智之筑波大学助教)。「環境・食の未来を考える」をテーマに、ミツバチに関わる研究発表や情報交流のワークショップがあり、展示や販売も行われる。

横井実行委員長(40)は「ミツバチは産業になったり趣味になったり、生態が様々に解き明かされてきた。これからの環境と食を考えるうえでも興味深い生き物といえる。専門家たちの情報交換にとどまることなく、特に高校生や子供たちに魅力的なミツバチの世界に触れてほしい」という。

第1回の会場風景=2017年11月、筑波大学

2017年開催の第1回は筑波大学構内で2日間の開催だったが、延べ1000人近い参加者を集めた。今回は会期を1日延長し、つくば駅にほど近い国際会議場に会場を移した。茨城、つくばが特にミツバチや蜂蜜の産地というわけではないが、同大学や農研機構などあるつくばは研究者らが交流しやすい条件だった。

研究発表や「蜜蜂と遠雷」朗読会も

前回はセイヨウミツバチ、ニホンミツバチの養蜂関係者の姿が目立ち、飼養に関わる知識や技術情報の交換に多くの人だかりができた。今回は有料エリアを4つに区分して、「参加者の興味に応じて立ち寄れる構成にした」そう。①キッズ(子供たち向けのサイエンスカフェなど)②サイエンス(シンポジウムやポスターセッションなど研究発表を中心)③フェスタ(セミナーやワークショップなどイベント企画)④プロフェッショナル(農家や養蜂家に役立つ講習会など)の-4エリア。

日程を追うと、13日午後が基調講演「日本のミツバチ・研究・養蜂環境:最近の動向」佐々木正己さん(玉川大学名誉教授)の後、5つのシンポジウムが開かれる。全ゲノムが解読されたミツバチの“設計図”を読み解くなどがテーマだ。

14日には午後から特別講演「農薬の生態リスク評価最前線」五箇公一さん(国立環境研究所)の後、全国から集まった高校生、大学生による研究発表「全国学生養蜂サミット2019」がある。元NHKアナウンサー岩井正さんらが恩田陸著「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎刊)などを読む朗読会(入場無料、先着50人、整理券配布)も予定されている。

15日は午前中、つくば養蜂研究会などによる第1回ニホンミツバチの会全国大会「ミツバチ保護活動を考える」など。3日間で10のシンポジウム、50のポスター発表が予定されている。

入場料は高校生以下無料、一般は1日券1500円、3日券3000円(税込み)。蜂蜜や蜂蜜酒を販売するマルシェやブックカフェなど無料エリアも設けられる。イベント等詳しくは公式ホームページで。

➡ミツバチサミット既報はこちら

地元団体が観光案内所オープン つくば市小田の空き店舗に

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観光案内所「TAMARIBAR」を運営する(左から)ツックラの副代表で米国出身のコーツ・アンさん、代表の大類裕幸さん、副代表の磯山茂さんら=開店準備中の店内

【鈴木宏子】小田城跡や宝篋山(ほうきょうさん)に近いつくば市小田の旧市街地に15日、地元団体が運営する観光案内所「TAMARIBAR(タマリバ)」がオープンする。

空き店舗を改装し、地元産食材を使った軽食を提供したり、地元野菜や加工品を販売したり、観光案内をする。イベントを開催したり、土産品を開発したり、移住希望者向けに空き家の紹介をしたり、月に1度はこども食堂も開催する予定だ。

古民家の再生に携わってきた地元在住の建築士、大類裕幸さん(69)が代表を務める住民団体「TSUKKURA(ツックラ)」(NPO法人申請手続き中)が運営する。同会は、つくばで歴史や文化、自然を生かした暮らしを楽しむことを手助けしようと2018年に発足し、これまで筑波山麓の古民家でジャズライブなどを開催してきた。

空き店舗が増え、地元住民同士が交流する場だった店先がだんだん少なくなっていることから、人やものが集まり、語らいが生まれる場をつくりたいと、新たに住民同士が交流したり、観光客に地元情報を発信する観光案内所をつくる。

2011年に閉店した旧磯山商店の1階約40平方メートルを改装してオープンする。同店は雑貨と電気製品を販売し、駄菓子なども扱っていたため、かつては地域の子供たちのたまり場だったという。

開店準備をするスタッフ=9日、つくば市小田

大類さんが、同店3代目の磯山茂さん(66)に声を掛け、「地域のためになるならば」と磯山さんが応じた。大類さん、磯山さんなど小田地区の住民を中心に計約20人のメンバーで運営に当たる。

店の奥にある和室も開放し、地域のお年寄りや子供たちにも自由に出入りしてもらって、地域のたまり場になることを目指す。観光ガイドの養成にも取り組み、登山客や観光客、サイクリストを対象に、地元の宝篋山の登山コースを案内したり、中世の城跡がある小田地区の街歩きスポットを紹介などする。

大類さんは「子供がいて、お年寄りがいるたまり場をつくりたい。山登りの帰りに寄ってくれる人がいたり、いつでもだれか人がいる場所になってくれればいい。そのためのイベントも開催して長く続けられるようにしたい」と話す。

◆TAMARIBAR つくば市小田3094-2 土曜、日曜、祝日のみ開店。時間は午前8時~午後3時。

15日に「牛久の会」年間活動報告会 入管施設収容の外国人

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牛久の会の田中喜美子代表=つくば市高野

【崎山勝功】牛久入管センター(牛久市久野町、法務省出入国在留管理庁東日本入国管理センター)に収容されている外国人の処遇改善に取り組んでいる市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」(つくば市)の年間活動報告会が15日午後1時30分から、つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザホールで催される。

同会の田中喜美子代表は「外国人の人権を守ることが、日本人を含む全ての人たちの人権の保障につながる」と訴える。

同会では、昨年から今年にかけて同センターの被収容者がどれくらいの期間収容されているか調べたところ、収容者全体の約90%が6カ月以上の長期間収容されており、被収容の外国人たちは肉体的にも精神的にも疲弊しているという。

田中代表によると、今年の5月10日から1人のイラン人被収容者が長期収容に抗議してハンガーストライキ(ハンスト)を始めたのを皮切りに、同センターではハンストを行う外国人が続出した。大村入国管理センター(長崎県大村市)で6月24日にナイジェリア人の被収容者が拒食症になり餓死した事件が発生。牛久でも同様の事件が起きることを危惧した出入国在留管理庁側は7月上旬ごろから「ハンストを始めて約10日以上、体重が約10キロ以上減少」のハンストを行う被収容者に対して「仮放免を認めるからハンストを止めてほしい」と持ち掛け、仮放免を認めるようになった。

しかし、仮放免の期間が通常は1カ月で更新のところを2週間に短縮して、東京入管に仮放免の更新に訪れた仮放免中の外国人を次々と収容したことから事態は悪化。ハンストを行う被収容者が増えた上に、2週間の仮放免後に再度同センターに収容された外国人の中には、精神を病んで排尿コントロールができなくなったり、居室を大便で塗る行為をするなど、精神崩壊を起こしたケースが出てきたという。

田中代表は「雰囲気は最悪。今までに経験したことがない。誰にとっても厳しい状況」と明かした。

集会では、同センターでの1年間の面会活動報告をはじめ、難民申請者に対する処遇の違いを英国、韓国を例に挙げて報告する。著書「となりの難民」出版記念として、著者の織田朝日さんが、品川入管での面会活動やクルド人難民の子どもたちとの交流を含めた講演を行うほか、クルド人の子どもたちによる寸劇も披露される。会場では、同センター内で被収容者が描いた絵画や風刺画も展示される。

◆資料代500円。問い合わせ先は、牛久の会公式サイトで。

英語の読み書きを応援 クラウドファンディングで出資募る つくば

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これまでの「RISE英語罫線ノート」

【橋立多美】つくば市で不登校児を支援するNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所が、英語の読み書きへの苦手意識を軽減する「RISE(ライズ)英語罫線ノート」の改訂と普及を目標に、プロジェクト「英語学習のつまずきを防ぐノートを日本中に広めたい」を始動。ノート製作の資金をクラウドファンディングで募っている。

同研究所は、2000年から元教師らが不登校や学習障害(LD)児のための学びの場「ライズ学園」=5月29日掲載=を運営。子ども一人ひとりに応じた学習支援を実践しつつ、子どもが感じている困難さに耳を傾け、発達障害などへの対処法や成果をまとめ、独自の教材として販売している。

プロジェクトは、光過敏(まぶしくて見にくい)への配慮に重点を置くなど、既存の英語ノートにさらに工夫を重ねる。判型はA4判、小学校高学年から中学3年の利用を想定している。

目のちらつきを抑えて正しく文字を書くために4線内は目に優しい色をつける。また文字と文字の間隔を適切に空けて書けるように4線上部にドット記号を配置したり、語彙(ごい)を増すための学習のポイントを記すなど、つまずきを回避して学び取る力をつける工夫がされている。

公立中学の英語教諭を辞して同研究所を設立し、ライズ学園で英語を指導する小野村哲さんは「これまで出会った子は『みんな自分と同じように見えていると思っていた』と言う。目に見えない困難は当人さえも自覚できず、数学は100点なのに英語は0点というつまずきを生じてすべてに自信を失うこともある」と話す。

また「英語に限らず、入門期はとても大切です。転ばぬ先の杖として当研究所が開発した英語ノートを活用してほしい」と言葉をつないだ。

プロジェクト「英語学習のつまずきを防ぐノートを日本中に広めたい」のクラウドファンディングは目標金額は50万円、募集期間は来年2月27日まで。詳しくはこちら

◆認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(つくば市千現1-13-3)ホームページはこちら

地元出身の2投手に期待 BCL 茨城アストロプラネッツ入団会見

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2人で競い合い、学び合って来季の活躍を目指す大場㊧、井上両選手=つくば市二の宮

【池田充雄】プロ野球独立リーグのルートインBCリーグ(⇒メモ)で活動する、茨城アストロプラネッツの新入団選手発表会見が8日、つくば市二の宮の関彰商事つくば本社で開かれた。新入団選手7人のうち4人が県内生まれで、土浦市から常総学院高出身の井上真幸投手、つくば市から霞ケ浦高出身の大場駿太選手が入った。2人とも大卒ルーキーの22歳で、高校3年時の甲子園大会が大きな経験になっているという。

井上投手は小学生のとき土浦駒津ヤンキースで野球を始め、常総学院高に進むと2年時から頭角を現し、3年春のセンバツで全国デビュー。2回戦の今治西戦に4番手として登板、2/3回を無安打1三振で勝利に貢献した。「甲子園のマウンドは自分に合っていて投げやすく、思ったより緊張せず落ち着いて投げられた」と当時を振り返る。

神奈川大学では登板の機会に恵まれなかったが、186センチ85キロの恵まれた体格を生かしたダイナミックなピッチングは、即戦力候補との呼び声高い。スリークオーター気味のフォームで、最速150キロ近くのストレートと、120キロ台の切れ味鋭いスライダーを投げ込む。

「自分の売りはまっすぐ。スピードでバッターをねじ伏せる投球で、1つでも多くの勝ちに貢献できる選手を目指す。できるだけたくさんの試合で投げ、いち早くファンの人に顔を覚えてもらえるようにしたい」と話す。

大場投手は小学生のとき谷田部ジュニアスターズ(つくば)で野球を始めた。高崎中から霞ケ浦高へ進むが、同学年に綾部翔(元DeNA)ら好投手がそろっていたため、当時は野手としてプレー。3年夏にチームは甲子園に出場したが、大場はスタンドで応援団長を務めた。「自分ももう少し頑張ったら、このグラウンドでプレーできていたという悔しさが、その後のモチベーションになった」という。

大正大で本格的にピッチャーを始め、4年秋に4勝を挙げて東都大学リーグ3部優勝に貢献。東農大との入れ替え戦では第2戦に先発し、8回を投げてチームの2部昇格の原動力となった。

武器は140キロオーバーの直球に変化球を織り交ぜ、直球を生かすタイプ。テークバックが小さいため、打者からはタイミングが取りづらいという。「茨城でもう一度野球ができることが嬉しい。今季の目標はチーム優勝と日本一。そこで貢献できて初めて、個人としての夢も開けてくると思う」と話す。

お互い競い合う存在に

同じ時期に茨城の高校球界で、それぞれに歩んできた2人の道がここで交わった。互いにどのような思いを抱いているのだろうか。

井上「常総学院高と霞ケ浦高は、いつも県内で競い合い、高め合ってきた関係。その相手と一緒に野球ができることは、いい影響があると思う」

大場「井上くんはセンバツで見て、球が速いピッチャーだなという印象だったが、4年後に同じチームになるとは思わなかった。自分より経験を積んでいると思うので、それを学んでいきたい」

新入団会見に並ぶ7選手。前列左から大場、坂本俊輔、井上。後列左から板津上総、瀧上晶太、海老根拓弥、松浦大知の各選手=同

【メモ】ルートインBC(ベースボール・チャレンジ)リーグ
北信越5県と関東4県、東北1県、近畿1県を活動地域とするプロ野球の独立リーグ。東西それぞれ6、5チームの11球団で構成され、茨城は19年リーグ東地区6位(最下位)だった。

土浦消防は5位 県民駅伝 雨の中 選手ら力走

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【県民駅伝・職域対抗の部】雨の中、一斉にスタートする選手たち=ひたちなか市佐和の笠松運動公園陸上競技場

【崎山勝功】第36回県民駅伝競走大会(県体育協会主催)が7日、ひたちなか市佐和の笠松運動公園陸上競技場の周回コースで開かれた。職域対抗の部(50組エントリー、48組参加)で一昨年まで3年連続優勝し、昨年は3位に甘んじた土浦消防Aチーム(土浦市)は今年、首位返り咲きを狙ったが、総合タイム51分57秒で5位入賞となった。優勝は日立水戸A(水戸市)で48分52秒。

レースは、同公園の周回コース1周約3㎞を、走者5人がタスキをつなぎ、合計タイムを競った。雨天で路面状態が悪い中での競技となった。

土浦消防Aは、序盤の混戦状態から、2区走者の中泉英行が5位に躍り出た。その後もチームは上位をキープしつつ力走を見せるも、首位チームを追い抜くには至らず5位にとどまった。

【県民駅伝・職域対抗の部】5位でゴールした、土浦消防A・5区走者の中嶋和也=同

市町村対抗の部は表彰逃す

市町村対抗の部(22組、各チーム走者7人)には、県南から土浦、牛久、龍ケ崎市の3チームが出場した。土浦市は健闘及ばず総合タイム1時間14分13秒で9位と表彰対象外だった。龍ケ崎市は総合タイム1時間13分50秒で8位入賞。優勝は日立市Aの1時間08分30秒だった。

土浦市は、レース序盤に出遅れたものの、3区走者の宮代和騎(竜ケ崎一高)の力走で6位に浮上。その後も抜きつ抜かれつの展開を見せたが、表彰対象の8位までに入ることはできなかった。

【県民駅伝・市町村対抗の部】土浦市・4区走者の中島瑠七(左)にタスキを渡す、3区走者の宮代和騎=同

➡県民駅伝の過去記事はこちら

イルミネーションプロ部門全国9位に 県フラワーパーク

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県フラワーパークのイルミネーション(県観光物産課提供)

【山崎実】今年で5年目を迎える県フラワーパーク(石岡市下青柳)のイルミネーションが、夜景観光コンベンション・ビューロー認定「第7回イルミネーションアワード」のプロフェッショナルパフォーマンス部門で、全国第9位のランクインを果たした。

全国約5542人の夜景鑑賞士(検定の有資格者)を対象に、「実際に行ってみて良かった」国内施設アンケートを行い、得票ポイントでランキングを決定する。フラワーパークが初めてベスト10入りを果たした部門は、専門性、演出性の高い「光の演出」が特に評価の対象になる分野。

「『恋人の聖地』の夜が輝きだす」を今年のテーマに、昨年同様、約100万個のLED電球が、約100メートルの光のトンネル、広大な丘を彩る一面の光、輝くブーケの園(ダリアの園)など、園内が所狭しと飾り付けられている。

フィナーレの来年1月11日から13日までの3日間は、レーザーとイルミネーションの競演が楽しめ、「恋人の聖地にふさわしい大切な人と過ごしたい場所をアピールしていきたい」という。

県フラワーパークは電話0299-42-4111。

➡県フラワーパークの過去記事はこちら

食べきれないお歳暮は「きずなBOX」へどうぞ

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「きずなBOX」が設置されている市民活動センター=つくば市吾妻1丁目

【橋立多美】年の暮れが近づき、台所の片づけをしたら賞味期限を過ぎていないが使わないと思われる食品が出てきた、なんてことありますよね。そんな時はNPO法人フードバンク茨城(牛久本部)が設置している食品収集箱「きずなBOX(ボックス)」に寄付しよう。

企業やスーパー、農家、個人などからまだ食べられる食品を無償で提供してもらい、生活困窮者や福祉施設、こども食堂などに無償で届けて食の支援をするフードバンク。「もったいない」精神を追い風に、2011年に設立されたフードバンク茨城を含めて17年時点で全国80カ所以上でフードバンク活動が行われている。

社会的弱者の命を支える「きずなBOX」は、多くの人が利用する公共の場所に設置され家庭からの提供を待っている。県内ではフードバンク茨城が回収し、種類や賞味期限に基づいて仕分けして食品を必要とする家庭や施設などに届けている。

同茨城によると、きずなBOXを設置したいという協力申し出は年々増えており、今年10月時点でつくば市内8カ所、土浦市内13カ所を含め、県内で108カ所に設置されている。

18年度の同BOXでの受け取り量は約11トンで、前年より約3トン増えた。企業や団体からの寄付も含めた昨年度の受け取り量は県全体で109トン(約6500万円相当)。昨年12月から、企業が廃棄食品をフードバンクに寄付する場合、損金扱いできるようになったなどから、さらに増える傾向にある。

一方、企業からの寄付は飲料水など福祉施設向けのものが多く、レトルト食品や缶詰などすぐに食べられる食品を必要としている生活困窮世帯は、個人からの寄付が集まるきずなBOXが役立っている。

理事の田中健一さんは「年末の時期は、お歳暮をもらっても消費しきれず、たまってしまう家庭もあると思うので、食べきれないギフト食品はきずなBOXに入れていただけば」と話している。

ただし、寄付できる食品は▽未開封の食品▽常温可能な食品▽賞味期限が2ヵ月以上残っている食品に限られる。要冷蔵や冷凍、野菜やくだものは受け付けない。特に必要とされるのが缶詰や市販の米や玄米、カレーなどのレトルト食品、インスタント麺、うどんなどの乾麺だという。

◇つくば市の「きずなBOX」設置場所は次の通り。
市社会福祉協議会(筑穂1-10-4)/市役所1階レストラン前(研究学園1-1-1)/市民活動センター(吾妻1-10-1)/竹園交流センター(竹園3-19-2)/市民ネットワーク事務局(二の宮2-1-3)/並木交流センター(並木4-2-1)/ふれあいプラザ(下岩崎2164-1)/茎崎窓口センター(小茎320)

◇土浦市の「きずなBOX」設置場所は次の通り。
市役所1階福祉の店ポプラ(大和町9-1ウララビル)/市社会福祉協議会(大和町ウララ2ビル4階)/一中地区公民館(大手町13-9)/二中地区公民館(木田余1675)/三中地区公民館(中村南4-8-14)/四中地区公民館(国分町11-5)/上大津公民館(手野町3252)/六中地区公民館(烏山2-2346-1)/都和公民館(並木5-4824-1)/新治地区公民館(藤沢982)。