火曜日, 1月 19, 2021
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2月の初午に「すみつかれ」 民俗学会若手が収集呼び掛け

【相澤冬樹】「すみつかれ」あるいは「しもつかれ」は、栃木県から茨城県の一部で食べられている郷土料理。この埋もれがちの食文化を掘り起こし、採集・調査に取り組む若手が茨城民俗学会(飯村保会長)に現れた。稲敷市在住の古山菜摘さん(31)、「平成」を特集テーマに取り上げた最新の機関誌「茨城の民俗」58号に、論文「すみつかれと小池夫妻との出会い」を寄稿して、さらなる収集への協力を呼び掛けている。

古山さんによれば、「すみつかれ」は茨城県の県西・県央地域を中心に、2月の初午(はつうま)の日に食べられている料理。鬼おろしと呼ばれる道具で大根をおろし、節分の残りの炒り大豆を加え、家庭によってニンジン、油揚げ、酒粕、正月の残りの塩サケの頭などを混ぜ合わせて作る。煮込んだり、熱は加えなかったり、酢やしょう油の加え方もまちまちだ。

似たような料理に「しもつかれ」がある。栃木県内から茨城の鬼怒川流域にかけては、この名がポピュラーで、パック入りのものがスーパーで売られていたりする。さまざまな料理法を分類して、「すみつかれ」と「しもつかれ」の分布と境界を明らかにしたいと、つくば市在住の小池英治さん(46)、容子さん(43)夫妻と日本すみつかれ楽会を立ち上げた。

「しもつかれ」との分布図作る

古山さんは筑波大学芸術専門学群出身のイラストレーター。障害児を「福子」と呼びならわし、家族や周囲に「福」をもたらす存在として大事に扱ってきた地域共同体のありように興味を覚えたのがきっかけで、卒業後民俗学の世界に関心を広げた。

そんなとき出会ったのが小池さん夫妻。毎月つくば市大角豆でコミュニティーマーケット「まめいち」を開催している。東北出身の夫妻はかつて居住していた下妻市(旧千代川村)の農家ですみつかれに出合い、カルチャーショックを受けたそうだ。つくばに移って自分で作るようになり、古本市の打ち上げに持ち込んだところ、同席していた古山さんが目を丸くした。「これは何だ!」、正直おいしいとは思わなかったが、衝撃的だったという。

「茨城の民俗」を手に古山菜摘さん

古山さんは今春、民俗学会に入会。最年少の会員には、8月締め切りの機関誌に用いるイラストの作成と特集「平成」の原稿を書くよう注文が届いた。時間がないことから「すみつかれ」をテーマに選んだが、内容は小池英治さんが収集した記録がベースとなった。それらを食材や調理法によって再整理し、分布を地図上に配置して体系化してみた。

今回収集できたのは宇都宮市(栃木県)の2点と茨城県内8点。つくば市や土浦市、石岡市に分布したが料理に明らかな地域特性は認められなかった。英治さんは「民俗学的アプローチは、疑問はふくらむけど結論が導き出されることはない。ひたすら聞き取りを続け収集するのが大事になる」と励まし、古山さんに続報の執筆を求めた。

来年2月に「サミット」開催

新年の初午は2月9日。「まめいち」では2月16日に、6回目となる「すみつかれサミット」を開催する。すみつかれ楽会は、食べ比べ企画を拡大したい考えで、新たな参加や情報提供を求めている。古山さんは「今度は自分で作ってみたい」と意欲的だ。

◆茨城民俗学会は電話029-350-3310

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