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ミツバチサミット2017
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《土着通信部》10 群れなすニホンミツバチ愛好家
2018年4月3日
【コラム・相沢冬樹】春になれば──、女王は働き者の侍女たちと共に住み慣れた巣を飛び立つ。「分封(ぶんぽう)」という。巣には新しい女王蜂が育っており、雄蜂との婚姻飛行を待っている。働き蜂はすべてがメスで、もっぱら繁殖期に生まれてくる雄蜂は、生殺与奪の権をメスたちに握られている。 昨年秋、ニホンミツバチの特異な習性とそれを飼う愛好家の話を聞いてから、僕は春の分封(分蜂とも書く)を見たいと思った。庭木の枝などに、女王蜂を中心に数千のハチが群がって蜂球(ほうきゅう)を作り、モーター音のようなうなりをあげる。ことさらに刺激しなければ人を襲うことはないそうだ。 数十年前のかすかな記憶があるものの、以来まるで目にしない。ニホンミツバチは近年、個体数を減らしていると聞くが、趣味の養蜂のネットワークは逆に広がっている。昨年秋筑波大学会館で初開催の「ミツバチサミット2017」には、養蜂業者をしのぐ愛好家が全国から集まった。 蜂蜜でいえば、ニホンミツバチによる生産量はセイヨウミツバチの1%にも満たない。果実の受粉にも活躍する後者に比べ、前者の飼養は困難を極める。分封を狙って、一群を捕獲できても、巣箱が気にいらなければメスたちは一晩で逃亡してしまう。つれない野生の手ごわさが、愛好者心理をそそり、情報交換の機会に多くが群がるのである。 地元にはつくば養蜂研究会という愛好家グループがある。2002年に結成され、年6回ほどの例会を開いている。出入りはあるが20人前後の会員数、近県からの参加者もあり、年齢的には定年前後からのリタイア組が中心、女性の姿も見られる。 話を聞くと、ミツバチをめぐる環境は近年悪化の一途をたどっている。セイヨウミツバチがニホンミツバチを駆逐したというのは誤解だが、天敵のスズメバチがミツバチの生息環境を奪っているのはたしかだ。伝染病を引き起こすダニ類の発生などが問題になる一方、花のある蜜源の減少により、蜂場をめぐるトラブルも増加している。 このため、養蜂振興法が改正され、2013年から養蜂業者だけではなく、趣味でミツバチを飼育するものにも届け出が義務化された。茨城県南でいえば、県南農林事務所の農業振興課が窓口で、同所の家畜保健衛生所による原則年1回の検査を受けなければならなくなった。 県南14市町村を所管する同課の集計では、2017年時点で約50件、900群のミツバチが飼われていたということだが、セイヨウ・ニホンは区別されない。群数ではセイヨウミツバチを飼うつくば市の蜂蜜採集業者が大半を占めて、他は数群の届け出にとどまるから、ほとんどが趣味のニホンミツバチ愛好家とみられている。 産業化は難しく、隣近所の理解を得るのも大変そうだが、在宅シニアにはなかなかに奥深く、優雅な趣味に映る。そういえば映画のシャーロック・ホームズは晩年、養蜂家となって「最後の事件」を解決したのだった。(ブロガー)
ミツバチサミット初開催 筑波大で11-12日 研究者、養蜂家ら一堂に 読み聞かせや蜂蜜作りも
2017年11月6日
ミツバチや花粉を運ぶ昆虫に関わる人々が一堂に集まり、意見交換する初の「ミツバチサミット2017」が11、12日の両日、筑波大学(つくば市天王台)大学会館で開かれる。生息場所の減少などミツバチが直面する問題を、研究者や養蜂家、蜂蜜販売会社、農家、一般市民など幅広い人たちが共有し、解決の道を探ることが狙い。ミツバチをテーマにした本の読み聞かせなど子ども向けの自主企画もあり、大人も子どもも楽しめる。 ミツバチに関わる全国の若手研究者らでつくる実行委員会が主催する。ミツバチは生態系の中で重要な役割を果たすだけでなく、食生活など多くの分野で人の生活を豊かにしてくれる。だが、蜜を集める植物が足りなくなったり、生息場所が減っている問題があるという。農研機構生物機能利用研究部門・上級研究員の前田太郎さん(45)は「研究者や養蜂家、蜂蜜業者それぞれが問題意識を共有して話し合うことで、解決に向け新しいアイデアが生まれると考えた」と狙いを話す。 サミットでは、ミツバチに害を及ぼすダニの問題を議論するシンポジウムや、養蜂に取り組む全国の高校・大学生の団体が意見交換する集いなどが開かれる。花粉を運ぶ昆虫について、生物多様性に関する政府間組織のメンバーが意見交換する国際シンポジウムもある。 子どもを対象にした自主企画も多彩に催される。つくば市の「友朋堂書店」や絵本専門店「えほんや なずな」などが主催してミツバチに関する本を紹介する「ミツバチライブラリー」では、ミツバチが登場する昔話や絵本の読み聞かせ会を企画する。またオリジナルブレンドの蜂蜜を作るワークショップや養蜂家の家族を描いたアニメ映画の上映会などもある。 実行委員長で筑波大学生命環境系の横井智之助教(38)は「海外では一般の人も気軽に参加できる学術的な集まりが多くあるが、日本では少なかった」と述べ、「ミツバチや花粉を運ぶ昆虫は、身近なようで意外に知られていない。今回は幅広い人に来ていただける内容なので、楽しみながら理解を深めてほしい」と話した。 また自主企画で絵本の読み聞かせをする「えほんや なずな」の藤田一美さん(56)は「昔話の中のミツバチは弱いものを助ける役割を担っており、昔の人がミツバチの営みを優しい目で見守ってきたことがうかがえる。この機会にもっと深く知ってもらえるとうれしい」と述べた。 (大志万容子) ◆入場料は一般1000円(高校生以下無料)。当日参加も可。詳しくはHPを参照(http://bee-summit.jp/)。問い合わせは℡029-838-6289(ミツバチサミット実行委員会・前田さん)
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