土曜日, 5月 10, 2025
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【震災7年】牛久駅前集会268回に 脱原発訴え5年半

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小雨の中行われた「金曜日牛久駅前反原発集会」=9日、JR牛久駅東口前

【崎山勝功】JR牛久駅東口前で2012年9月から始まった、脱原発を訴える「金曜日牛久駅前反原発集会」が今月9日で通算268回目を迎えた。都内の首相官邸前脱原発集会に連動する形で毎週金曜午後6時から行われている。

集会では主に東海第2原発(東海村)の再稼働反対や廃炉などを訴える。昨年11月下旬には子ども連れの主婦(32)=つくばみらい市在住=が飛び入り参加するなど、常時20人前後の市民が集まっている。

「震災当時は守谷市に住んでいた」という主婦は、「当時は放射能の知識が無かったけれど、夫から『茨城にいたら危ない』と言われ、親せきのいる(東京都)八王子市に3週間逃げた。それがきっかけで放射能の影響を調べるようになった」と話した。子どもの習い事で牛久駅前を通るので、以前から気になっていた集会に飛び入り参加したという。

主催者の森川辰夫さん(82)=牛久市=は、福島第1原発事故が発生したので、東海第2原発は2~3年で廃炉になると期待していたという。だが「今晩(3月9日)で268回目。集会を100回やれば済むと思っていたのに長引いてしまった。予想外だった」と事故から7年を振り返った。

その上で、今年で運転開始から40年を迎える東海第2原発の再稼働問題について、「再稼働は経営的に無理だろう」との思いを話した。理由として立憲民主党や共産党など野党4党が共同で国会に提出した「原発ゼロ法案」の存在や、東海第2原発から半径30km圏内の避難計画が整備できていないことなどを挙げ「大井川知事はそんなリスクを負う人ではない」と期待を寄せる。

県内では、取手駅前(西口と東口で交互に開催)でも脱原発金曜集会が現在も続けられている。主催者の「くらしと平和を守るネットワーク取手」事務局の根本和彦さん(64)は、昨年の県知事選投票所のNHK出口調査で有権者の76%が「東海第2原発の再稼働反対」と答えたことを挙げ「県民世論は『東海第2原発は再稼働すべきではない』が圧倒的。取手はホットスポットになったという点でも(再稼働に)市民は不安を持っている」と話した。

家路を急ぐ牛久駅利用者に向けて演説をする森川辰夫さん=同

【震災7年】 消えたキーワード「放射性物質」

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アサザ基金の飯島博代表=牛久市内

【鈴木宏子】「放射性物質については、一つの分科会のキーワードに明示する方向で議論しております」。10月に、つくば国際会議場で開かれる第17回世界湖沼会議に関して、主催者の県が2017年3月9日付けで環境保護団体、NPOアサザ基金(牛久市、飯島博代表)に出した回答だ。しかしその後発表された9つの分科会のキーワードに「放射性物質」の文字は無かった。

もう一人の主催者、国際湖沼環境委員会も16年12月28日付けで同NPOに同様の回答をしていた。「放射性物質については一つの分科会のキーワードに明示する方向で議論が行われております。東日本地域での湖沼では、原発事故による放射性物質についての調査研究が多く行われていることから、これらについての発表は基本計画等で示される枠組みの中で行うことができるものと考えております」。

分科会のキーワードどころか「発表されている同会議の開催案内書のどこにも放射性物質の文字が一切見られない」などとして、同NPOは2月13日と15日、県と国際湖沼環境委員会にそれぞれ要望と質問書を提出した。

飯島代表は「世界中の人が福島原発事故に衝撃を受け、経過を注視してきた。原発事故は霞ケ浦を始め東日本の湖沼に影響を及ぼした」とし、「今回の湖沼会議は原発事故の影響を受けた地域で初めての開催となる。原子力災害や放射性物質の文言が一切無いとしたら、かえって不自然で、都合が悪いから意図的に議論を避けたと解釈されてしまう恐れがある」と指摘する。

その上で「事故直後に水環境を保全するために行政はどのような対策をとったのか、霞ケ浦や流入河川のモニタリング手法は適切だったのか、今後霞ケ浦をどう管理していくのかなど、湖沼会議は教訓を共有する場として開催されるべきで、きちんと議論することが行政や研究者の姿勢を世界に示すことになる」と強調する。

これに対し、主催者の県環境対策課・世界湖沼会議実行委員会事務局は「専門委員会の中で先生方に議論していただいた結果、分科会の文言(キーワード)そのものには明示しなかった。しかし放射性物質を取り上げないということではなく、第5分科会(流域活動と物質循環)の化学物質というキーワードの中で討議したい」としている。

湖内はほぼ横ばい

霞ケ浦の放射性物質は現在どういう状態なのか。環境省と県が昨年11、12月に実施した最新の霞ケ浦と流入河川の放射性物質モニタリング調査結果によると、霞ケ浦湖内8地点の放射性セシウムは底泥1㎏当たり50~350ベクレル(最大地点は西浦・玉造沖)、平均は304ベクレルとほぼ横ばい傾向、流入河川56河川は不検出~649ベクレル(最大は土浦市の備前川)、平均は157ベクレルと減少傾向で推移している。

アサザ基金は、事故翌年の2012年3月から15年3月まで年2回、独自に霞ケ浦・北浦に流入する56河川で放射性セシウムを調査した。特に備前川、新川、小野川、清明川では数百m間隔できめ細かく調査し、流入河川にたまった放射性セシウムが霞ケ浦に流れ込んでいった実態を明らかにした。10月の世界湖沼会議では、これまでの調査をもとに「原子力災害と湖沼環境」について発表したい意向だ。

霞ケ浦の流入河川の一つ、土浦市の備前川で底泥の放射性セシウムを調査するアサザ基金のメンバー=2014年4月24日(アサザ基金提供)

ゲーム通しつくば駅前に交流空間 筑波大生が月1回開催

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「つくばテーブルゲーム交流協会」の(左から)亀沢和史さん、代表の高野大さん、福田哲郎さん=つくば駅前商業施設BiViつくば2階つくば総合インフォメーションセンター交流サロン

【鈴木宏子】ゲーム好きの筑波大生が、つくば駅前に新たな交流空間を出現させている。駅前の商業施設BiViつくば2階の交流サロンで月1回開かれているゲーム会だ。まちなかの一角が、見知らぬ人同士、テーブルを囲んでカードゲームなどに興じる空間になる。

筑波大生4人でつくる「つくばテーブルゲーム=メモ=交流協会」が毎月1回、最終土曜日の午前10時30分から午後8時30分まで開催している。参加者は、会場の8つの丸テーブルを囲んで、居合わせた人とカードなどを使ったゲームを楽しむ。毎回40~50人が集まりテーブルはすぐに満杯になる。子ども連れの参加者もいて、市内のほか、水戸、鹿嶋市などからも集まる。

「10年後につくばをテーブルゲームのまちにしたい」と、代表を務める人文・文化学群比較文化学類4年、高野大さん(22)さんが、理工学学群・工学システム学類3年、亀沢和史さん(21)や人文・文化学群比較文化学類3年、福田哲郎さん(22)さんらに呼び掛けて2016年12月に発足させた。

「ルールが簡単なのでだれでもすぐに始められるし、初対面でも楽しめる。子供も、学生も、社会人も一緒に楽しめるし、留学生など日本語がうまくしゃべれない人とも遊べる」と福田さんはいう。

「つくばはいろいろな人が移り住んで、出てゆくまちなので、ゲームを通して人と人が出会えれば」と高野さん。「テーブルゲームはつくばのまちの特性を生かせる魅力的なコミュニケーションツールになる」と強調する。

カードやボードを使ったゲームは100種類ほどあり、自宅からゲームを持参したり、新しいゲームを考案する参加者もいるという。

ほかに同大近くのコワーキングスペース(事務所スペース)「つくばプレイスラボ」や、同大留学生らの宿舎「グローバルビレッジ」などでも開催。市内各所で年間40回ほど開いているという。3月17日にはカスミのフードスクエア学園店(つくば市竹園2丁目)の飲食ができるイートインスペースで初めてゲーム会を開く予定だ。

「将来、銀行や郵便局、病院などの待合室にもテーブルゲームが置いてあって、待ち時間にだれでも楽しめるようなまちになったらうれしい」と高野さんは話す。

※メモ

【テーブルゲーム】参加者がテーブルを囲んで行うゲームの総称で、トランプや絵札などを使ったカードゲームや、盤と駒を使ったすごろくなどのボードゲームなどがある。

2月24日開かれたゲーム会=同交流サロン(同会提供)

障害者らアートへの情熱発信 チャレンジフェス つくば

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「たけとんぼ」によるミニコンサートで演奏に合わせて合唱する来場者=つくば市吾妻、県つくば美術館

【鈴木萬里子】障がいがある人の絵画や造形作品などを展示し、芸術活動を発信する「第17回チャレンジアートフェスティバルinつくば」の作品展示が6日から県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まった。市内28カ所の社会福祉団体による、個人や共同制作作品が広い会場を埋め尽くしている。

立体造形「おばけの森」(NPO法人にっこりの森)のゾンビやカラフルお化けなどは、みんなで楽しんで考え出した。古屋正太郎さんの墨絵「流れ」(アートクラブふぉれすと)は第21回「国際現代」水墨画展こどもの部金賞受賞作品。単色なのにカラー以上の迫力で強く迫ってくる。このほか貼り絵、手芸、習字、ちぎり絵など作品は多岐にわたる。つくば市の友好都市、東京都荒川区から特別参加の絵画も展示されている。

6日のオープニングイベントでは、子育て仲間の友人らで結成した「たけとんぼ」によるミニコンサートが催され、来場者らは演奏に合わせて合唱を楽しんだ。ワークショップ「ペーパーフレームをつくろう!」では講師の伊藤三千代さんの指導で額縁が出来上がった。

社会福祉法人関係者の女性は「この展覧会は障がいのある人が自分を表現できる場となっている。施設の日々の活動の中で作り上げた作品、アートに向ける情熱を感じてほしい」と話した。来場者の女性は「どれも素晴らしい作品ばかり。障がい者、健常者とくくるのではなく、芸術性で見たいですね」と絶賛していた。

主催者で同実行委員会の笹本健一委員長は「素晴らしい作品が多い。関係者だけではなく一般の人にも是非足を運んで見てほしい。障がいのある人とない人が共生する社会への意識を高めて、より素晴らしいまちにしていきたい」と話した。一部の作品は5月頃、常磐道谷田部東パーキングエリアで展示される予定だ。

◆会期は3月11日(日)まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は3時)。入場無料。問い合わせは029・883・1111(つくば市障害福祉課)

立体造形「おばけの森」=同
右から2つ目が第21回「国際現代」水墨画展こどもの部で金賞を受賞した墨絵「流れ」=同

ネットで投票して! 茨城応援マスコット

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公式サイトで投票を募っている地域応援マスコット候補3体

【大志万容子】茨城を応援するために、地域の人々がアイデアを出し合ってマスコットをつくる「プルプルたまごプロジェクト」が、マスコットの投票を公式サイトで募っている。候補は3体。同プロジェクトは「それぞれのキャラ設定にも注目して選んでほしい」と呼びかける。投票は20日まで。

候補は、A=相方の「スケ」「カク」を車輪にした原付きで諸国を漫遊する「茨城を愛するワンダフルボーイ」▽B=ガマリュックを愛用する「茨城の魅力をしりたがり!ばあちゃん」▽C=わらづと納豆の髪型をした「いばらき食の伝道師 Yo-sei!」。

同プロジェクトはサッカークラブ「つくばFC」(つくば市稲岡)が、茨城を盛り上げようと昨年11月に立ち上げた。120人以上が参加した3回のワークショップを通じて、茨城を応援するマスコットにふさわしいキーワードを集め、生い立ちや物語などのキャラクターを設定。実用性や長く愛されるかどうかなどの視点から3体に絞り、つくば市のイラストレーターふるやまなつみさんがデザインした。

マスコットのプロフィールやキャラ設定についてはサイトで詳しく紹介している。同プロジェクトメンバーの藤井志保さんは「ワークショップで地域の皆さんと作り上げたマスコット。じっくり目を通して選んでほしい」と述べた。

投票で1番になったマスコットは、21日に「いばらき応援マスコット」としてデビュー。県内のご当地マスコットにそれぞれの地域のインタビューを行ったり、地域の企業や団体を紹介したりと、茨城の魅力アップのために幅広く活動する予定。藤井さんは「投票後のマスコットの活躍にもぜひ注目して」と話している。

▼投票は下記サイトで開催中。
https://sites.google.com/view/purutama

昨年11月に開かれた第1回ワークショップ=つくば市吾妻の筑波学院大学

平安時代にタイムスリップ 「ひな人形になったよう」 土浦

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十二単を体験する藤野紀子さん㊧と束帯の神保弘さん=土浦市桜町1丁目のすがた美容室

【谷島英里子】平安貴族の正装とされる女性の十二単(ひとえ)と男性の束帯(そくたい)の着付けを実演するひな祭りのイベントが3日、土浦市桜町のすがた美容室で行われ、みやびな世界に包まれた。

衣紋者(えもんじゃ)と呼ばれる特別な技術を持つ着付けの木村恵子さんらが、来場者の目の前で、五衣(いつつぎぬ)、上着、唐衣(からぎぬ)、裳(も)まで、衣を一枚一枚重ねていく様子を披露した。

体験した埼玉県の藤野紀子さん(61)は「タイムスリップしたような気分。ひな人形になったようでうれしい」。千葉県の神保弘さん(41)「ずっしりとした重量感があった。ちょうどひな祭りの3日に着ることができて感無量です」と話していた。

木村さんは、歴史ある土浦で和文化を継承したいと、毎回、一般から参加を募って無料で体験会を開いている。今回の十二単と束帯の体験のほか、5歳になるころ健やかな成長を祈って行われる「着袴(ちゃっこ)の儀」、平安時代の成人式「着裳(ちゃくも)の儀」と「加冠(かかん)の儀」の着装実演も行っている。

十二単と束帯の後ろ姿=同

マリンウイーク優秀活動に 「誰でも楽しもう霞ケ浦」

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「誰でも楽しもう霞ケ浦」でカヌーやヨットを楽しむ参加者=2016年5月、土浦市川口、土浦港

【鈴木宏子】土浦港のヨットハーバー、ラクスマリーナ(土浦市川口)で年4回程度開催されているカヌーやヨットなどを体験するイベント「誰でも楽しもう霞ケ浦」が、日本マリーナ・ビーチ協会(東京都千代田区)の2017年度マリンウイーク優秀実施団体に選ばれた。8日、パシフィコ横浜で開かれる「ジャパンインターナショナルボートショー」で表彰される。

障害者も、健常者も、初心者も、だれでも水上スポーツを楽しめるイベントとして2005年にスタートした。地元高校のヨット部OBや、ヨット愛好者ら約60人のボランティアが、自分のヨットやカヌーなどを無料で貸し出し、漕ぎ方を教えたり、参加者の安全を見守るなどしてイベントを支えているのが特徴だ。県内のほか東京、千葉、埼玉など首都圏から毎回50~300人近くが参加している。

セイラビリティー土浦(代表・秋元昭臣ラクスマリーナ専務)が主催する。ヨットハーバーのバリアフリー化に取り組んでいた同マリーナが、初心者でも操縦できる転覆しないヨット、アクセスディンギーの存在を知り、障害者にも水上スポーツを楽しんでもらおうと導入したのがきっかけ。イベントを通して、水上スポーツのバリアフリー化のノウハウを一つひとつ蓄積している。

これまで10年以上継続して開催されてきた活動が「多くのボランティアの支えで、国籍、年齢、性別、障害の有無にかかわらず、幅広い市民や子どもたちにマリンスポーツの楽しさを伝えている」として評価された。17年度の表彰団体5団体のうちの一つ。

秋元代表は「毎回60~65人のボランティアが来てくれる。そういう人たちに支えられてやってこられた。その人たちに感謝すると同時に、今後もだれでも水に親しめるイベントとして続けていきたい」と話している。

観客200人募集し避難訓練 つくばカピオで27日

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避難訓練コンサートが開かれるつくばカピオ=つくば市竹園

【谷島英里子】コンサート中に火災が発生した―と想定した「避難訓練コンサート」が27日、つくば市竹園のつくばカピオホールで実施される。観客200人を募集し、演奏者やスタッフと一緒に避難する。観客が参加する避難訓練は同施設で初めて。

カピオを管理するつくば文化振興財団が実施する。スタッフの危機管理対応能力の向上と、観客にも災害時の心構えや行動を考えてもらうことが目的。同財団によると、今回は火災を想定するが、大地震や弾道ミサイルの落下・通過に伴う全国瞬時警報システム(Jアラート)など緊急事態にも役立てたいという。

訓練は、つくば市消防音楽隊=メモ=のコンサート中に火災が発生したという想定。演奏が中断され、観客はスタッフの誘導に従い、屋外に避難する。その後ホールに戻り、消防の講話を挟んで演奏が再開される。コンサート終了後には水消火器や煙体験なども行う。

参加費無料。2日時点ですでに約150人の申し込みがあるという。参加申し込みは、つくばカピオの窓口かファクス029・851・2851。問い合わせは電話029・851・2886まで。

※メモ
【つくば市消防音楽隊】1990年結成、隊員31人。火災予防の普及と消防隊員の士気の高揚、市民に愛され親しまれる音楽隊を目指し、市内のイベントに出演している。

事業手法や採算性調査へ、大手会計事務所を選定 筑波大アリーナ

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筑波大学アリーナ建設予定地の同大学職員宿舎=つくば市吾妻2丁目

【崎山勝功】筑波大学は、スポーツの試合やイベント開催などを行うアリーナの建設をつくば駅近くの同市吾妻2丁目、同大職員宿舎敷地に計画している。同大は2月28日、事業手法や採算性などを調査・検討する民間事業者(アドバイザリー業務事業者)に、大手会計事務所「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社」(東京都千代田区)を選定したと発表した。

同大によると、アドバイザリー業務事業者を公募したところ4事業者から応募があった。各事業者の企画提案書を元に同大の選定委員会で審査が行われ決定した。契約期間は2月23日から7月31日までの約半年間。予算は3000万円。

アリーナを活用した新たなビジネスモデルの創出、地域経済の活性化など同大の事業ビジョンを実現させ、さらに民設民営など民間出資を可能にする同大と民間事業者の連携方法の開発など、具体的な事業の枠組みについて調査・検討を行い、ビジネスモデルの判断資料を作成する。

同大財務部は「どのような事業手法がいいのか、今年の7月までに報告書を出してもらう」と述べ、アドバイザリー業務報告を踏まえて学内で事業について検討を行い、18年秋ごろに結果を公表したいとしている。

建設予定地の職員宿舎は敷地面積約3.34ha。18年度末に廃止し、19年度に解体する予定。つくば駅に近く中心市街地の活性化が期待されるものの、一方で周囲に住宅が多く、騒音や来場者の車による交通渋滞が懸念されている。同大は「駐車場の確保や騒音規制なども含めて調査検討していく」としており、「事業推進に変わりはない」とアリーナ事業を進める方針を示した。

アリーナは、大学スポーツやプロスポーツの試合、イベント開催など多目的に使用でき、収容規模は7000~8000人。20年度のオープンを目指している。

女子学生にわいせつ行為 准教授を懲戒解雇 筑波大

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筑波大学正門=つくば市天王台

筑波大学(つくば市天王台)は1日、女子学生にわいせつ行為をしたとして60代の男性准教授を懲戒解雇処分にしたと発表した。

同大によると准教授は2017年3月、学生らと学外での調査活動を実施した。調査を終え、帰りに女子学生と2人になり、准教授が所有する別荘に2人で宿泊した。それぞれ別々の部屋で就寝したが、その後、准教授が女子学生の寝ている部屋に行き、体を触るなどのわいせつ行為に及んだとされる。

数カ月前、女子学生から大学に相談があり発覚した。准教授は事実関係を認めているという。同大教員のセクハラによる処分は2013年12月に50代男性教員が諭旨解雇処分を受けて以来。今回の懲戒解雇は最も重い処分という。処分は2月28日付。

永田恭介学長は、准教授の行為は重大なセクハラであり女子学生に多大な精神的苦痛を与えたとして「学生を教育・指導する立場にある教員がこのような事態を起こしたことは極めて遺憾で被害学生並びに関係者に心からお詫び申し上げます」とするコメントを発表した。「事態を真摯(しんし)に受け止め、教職員に対しハラスメント防止研修の一層の充実・強化を図るなど再発防止に向けた啓発活動を行い、学生の修学環境及び大学の社会的信頼の維持・向上に努める」などとしている。(ラヂオつくば)

【震災7年】参加者減、支援の在り方模索 筑波大生が福島避難者交流会

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完成した「ありがとうの木」=つくば市松代の松代交流センター

【崎山勝功】東日本大震災から7年を迎えるのを前に、福島第1原発事故による福島県避難者交流会が25日、つくば市松代の松代交流センターで開かれた。被災地支援に取り組む筑波大学の学生団体「Tsukuba for 3・11」が主催し、避難者や筑波大生など約20人が参加した。筑波大生からは、7年経ち支援の在り方を模索しているという声が聞かれた。

「ありがとアート~日常へ感謝をこめて」と出した交流会で、避難者が身の回りの出来事や感謝のメッセージを折り紙などに書いて、貼り絵のように大きな木の形をつくる「ありがとうの木」作りと、使用済みの食用油でつくったロウソクを用いた「エコキャンドル」作りが行われた。

「ありがとうの木」は4グループに分かれ、チラシなどを使って貼り絵をしたり、折り鶴を貼るなど制作に取り組んだ。さらに葉っぱの形に切った折り紙に感謝のメッセージを書いて模造紙に張り付けた。完成した「木」は、3月1日から4月下旬まで筑波大学第3エリアA棟1階に展示される。

午後に行われたエコキャンドル作りでは、さいの目に切られたさまざまな色のロウソク原料が用意され、参加者らは空き瓶や卵の殻に詰めてロウソクを自作した。エコキャンドルは例年3月11日、土浦市の震災イベントで点灯されてきたが、今年は主催者の都合により開催されないため、参加者が各自持ち帰った。

参加した福島県南相馬市出身の主婦(62)=つくば市在住=は「ありがとうの気持ちを手作りのもので表現できるのは素晴らしい。私たちはいろいろな人のお世話になって現在まできている」と話した。南相馬市にあった自宅はすでに解体し、つくば市に永住する予定という。

学んだこと「日常は当たり前じゃない」

同団体メンバーの池田花於里(かおり)さん(19)=同大1年=は「3・11から学んだことは、日常は当たり前じゃないということ。参加者と一緒に日常を振り返り、何に感謝しているか、何に感謝すべきかを改めて確認するイベントにした」と狙いを語った。交流会のコンセプトを決める際「復興支援を手伝っているが、震災から7年も経って復興支援と言い続けることに疑問を感じた」という意見が出たことから日常を振り返るイベントにしたという。一方で「避難者の参加が減っている。どういう方向で進めていったらいいか悩んでいる」と話し、支援のあり方を模索していると述べた。

代表の小林彩香さん(20)=2年=は、7年経ったが移住先の環境になじめずに周囲から孤立する避難者がいるとした上で「震災から時間が経っていくと、逆に心の傷や、福島に帰れないという思いが募って、交流会に出てこられなくなってしまう面があるのかなと思う。どこまで避難者を支援していけるのかがこれからの課題」と話した。「震災から7年も経つのにふるさとに帰る目途が付かない、帰るに帰れないので、つくばに永住しようか迷っている人もいる」と避難者の複雑な心境を明かし、「当事者に寄り添う姿勢を大事にしていく」との姿勢を改めて明確にした。

「ありがとうの木」制作に取り組む避難者と大学生たち=同
エコキャンドル作りに取り組む避難者と大学生たち=同

妻の竹島由美子さん、出版引き継ぐ STEP廃業2年

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『邑から日本を見る』㊧とSTEPが発刊した『筑波の友』
竹島由美子さん=つくば市松代

【橋立多美】NEWSつくばのコラムニストの一人、先崎千尋さんが1月に出版した書籍『邑(むら)から日本を見る』は、『筑波の友』で知られた「STEP」(つくば市松代)が発行所になっている。創業した竹島茂さんが他界し、2016年12月に会社を廃業したが、妻の由美子さんが装丁と発行を引き受けた。

出版業界から退いたことで書店へ出版物を流通することはできなくなった。同書は限定800部の自費出版で流通ルートに乗せる必要のないことから、校閲などを通して親交のあった先崎さんからの依頼に応えた。

同書は、暮らしに直結した事柄を題材に、40年間自らの考えや情報収集を交えて元常陽新聞に連載した記事やコラムをまとめてある。増え続ける遊休農地と農村の過疎化、後継者問題など、農政の在り方をしぶとく「おかしい」と表明し続けている。

由美子さんは「巻頭を飾った元美浦村長市川紀行さんの贈る歌、前東海村長村上達也さんの序文に、先崎さんとの共通点が読み取れて興味深い」と語る。

「STEP」は科学万博開催の1985年、東京生まれの速記者・竹島茂さんが創業した地域出版社。翌年には月刊誌『筑波の友』を発刊。研究学園都市として変貌する自然環境や人々の営み、まち、歴史を切り取り、多くの問題を提起した。一方、筑波山や霞ケ浦に関する書籍の出版やこの地に住む人々が著した本の刊行にも尽力した。地域のオピニオン誌を目指した『筑波の友』は03年6月発行の201号を最後に休刊となり、12年8月に竹島さんが他界した。廃業後は在庫のある同社出版物の注文に応じている。

「STEPが稼働したころは研究者や芸術家、営農者たちが集う異業種交流会が盛んで、生きざまに感銘を受ける人たちとの出会いがあった。新天地を求めてつくばに来た竹島にとって良い巡り合わせだったと思う。あれから30年余り経ち、住宅地とマンションの無味乾燥なまちになってしまった」と振り返る。そして「編集を介して知りあったり廃業を惜しんで下さる人たちとの縁は続いている。竹島は社会との繋がりという遺産を残してくれた」と由美子さんは語った。

 

 

街全体で子育て支援、仕掛け作りへ50人がアイデア つくばで意見交換会

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ワークショップで活発に意見を出し合う参加者=つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザ

【大志万容子】つくばの子育てを支援者や親が共に考える「つくば子育てコミュニティワーク キックオフ・イベント」が24日、つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザ大会議室であった。約50人が参加して、同市の子育てに関する課題や提案について「自分たちで何ができるか」という視点から熱心に意見を出し合った。

初めに「NPO法人せたがや子育てネット」代表理事の松田妙子さんが講演。子育て当事者や支援者、行政がフラットな立場で話し合う「区民版子ども子育て会議」など、東京都世田谷区で子育ての課題解決に向けて実践するさまざまな取り組みを紹介しながら、「直接支援には限界があり、街全体を温かくウェルカムな場所にしなければ。そのためにも、街の中で小さな仕掛けを作ることが大切」と呼びかけた。

続くワークショップで、参加者は数人ずつのグループに分かれて、つくばの街についての課題や、「こんな街になったらいい」理想の姿、そのために何ができるかについて活発に意見を出し合った。卓上の模造紙には「高齢者や子育てママが集う月1回の『みんなのリビング』」「学校の通学路で立ち寄れる場所」など、さまざまなアイデアが集まった。

参加した県地域活動連絡協議会会長の谷川原奈都子さんは「グループワークでは、自営業などふだん出会えない方の声も聞けて支援者として有意義だった。いろんな団体と手を取り合って支援を届けるためにも、このような場が必要」と感想を述べた。30代の母親は「異なる世代の方も同じ思いを持っていることに気づけたことがよかった」と話した。

同イベントは、子育てに関わる人や団体がつながり、協働できる場をつくりたいと、同市の子育て支援者や助産院院長、市議、大学准教授ら10人が実行委員会を立ち上げ、昨年夏から準備を進めてきた。実行委員長を務めた筑波大学の飯田浩之准教授は「予想以上に和気あいあいと活発な話し合いができた。それぞれの子育てに関する『気づき』を、具体的な『築き』につなげるきっかけづくりの場として今後も継続していきたい」と話した。

世田谷での取り組みを紹介する松田さん=同

消える小学校 「小田祇園祭は残す」

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大きな歓声を上げながら大獅子を高く持ち上げる子供たち=つくば市小田、小田小学校

【鈴木萬里子】3月末で閉校となるつくば市立小田小学校(土田雅一校長、児童数104人)で24日、閉校記念のお別れの会が催された。学校は閉校になるが地元の祭りは残していきたいと、地区住民らが校庭で地区祭り「祇園祭」を再現し、子どもたちが祭りを体験した。

小田小は明治7(1874)年に創立、143年の歴史を刻む。つくば市北部の2中学校と7小学校が統廃合し、つくば市北条に今年4月、小中一貫の秀峰筑波義務教育学校が開校するのに伴って閉校となる。

24日午後、校庭には地元、東部囃子保存会の「神輿(みこし)」、中部大獅子保存会の「大獅子」、西部青年同志會の「山車」が勢揃いし、小田八坂神社の「小田祇園祭」が再現された。

子どもたちは3グループに分かれ順番に祇園祭を体験した。大獅子を支える竹ざおを高く持ち上げ、大人顔負けの大きな歓声を上げながら、伝統行事の「顔合わせ」を楽しんだ。

PTA会長で東部お囃子保存会の山田吉広さん(47)は「学校は閉校になるが小田祇園祭は残していきたい。今日は子どもたちと一緒に祇園祭を再現して、地域の人たちに恩返しがしたい」と話した。

見学していた男性(36)は「小田小には祖父から私の子どもまで4世代が通った。閉校になるのは寂しいが、新しい学校で子どもたちの世界が広がるのも良いと思う」と感慨深げだった。自宅が近所で孫が通っているという80代の女性は「子どもたちの声が消えると寂しくなる。4月からスクールバスで通うことになり朝が早いので心配」と話していた。

お別れの会は学校とPTAが合同で主催した。午前中は子どもたちが学年別に4ブロックに分かれ合唱や合奏を披露した。菊地勇二教頭は「地域やお世話になった方々の協力があって素晴らしい学校となった。新しい学校、新たな未来に期待や希望を持って歩んでほしい」と子どもたちにエールを送った。

高さを競い合う大獅子と神輿=同
3月に閉校になる明治7年創立の小田小学校

蜜蝋画の魅力に触れて 幼稚園美術館で個展 龍ケ崎

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子どもと蜜蝋画の作品を見る母親ら=龍ケ崎市羽原町の竜ケ崎幼稚園

【鈴木萬里子】牛久市の画家、上野素美子さんの個展「蜜蝋(みつろう)の声を聞く」が龍ケ崎市羽原町の竜ケ崎幼稚園内「幼稚園美術館」で開かれている。

上野さんはつくば市内の高校で美術教諭を長く務める傍ら、美術展や銀座の画廊に出品するなど活躍している。牛久市ひたち野東の自宅1階に「アートスペースある・る」を開廊し、画廊オーナーでもある。

会場には150号の油彩の大作「風景」の2連作が壁面いっぱいに飾られている。田植えの前に水がひたひたに入った風景を表現している。全部で20点展示され、上野さんは「これだけ蜜蝋画を一堂に集めたのは初めて。自分の雰囲気、スペースになったのではないかと思う。今の季節の、はっきりしない感じを出した」と話した。

蜜蝋はミツバチの巣から作られる自然素材で、いろいろな画材と合わせやすく加工もしやすい。 上野さんは「蜜蝋を溶かすことで画面に予期しない様々な表現が現れることに驚き」、2013年より本格的に蜜蝋画を発表している。

友人の紹介もあり「子どもたちや保護者に蜜蝋画との出合いがあれば」と幼稚園での個展を引き受けた。竜ケ崎幼稚園は「育ちの時期に、子どもたちの五感を刺激し、子どもたちが五感をフル回転することを願って幼稚園美術館活動に取り組んでいるという。入り口の事務所に声を掛ければ、だれでも見学が出来る。

◆会期は3月2日(金)まで、開館は午後1時~6時。問い合わせは0297・62・0573(竜ヶ崎幼稚園)、またはhttp://www.arles.jp(アートスペースある・る)

市民会館を大規模改修 土浦市新年度予算案

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新年度予算案を発表する中川清市長

【鈴木宏子】土浦市の中川清市長は23日、2018年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初と比べ5.1%減の510億8000万円。主な事業として、老朽化している市民会館の大規模改修を実施するほか、土浦港周辺にサイクリング愛好者向けの拠点施設を整備する。

特別会計を合わせた総額は同6.2%減の909億6000万円。市立図書館、川口運動公園野球場、新治学園義務教育学校建設など大規模事業が一段落したことによる減額という。

歳入は市民税は1.3%の増加を見込んだが、3年に1度の固定資産税の評価替えなどから市税全体では同比0.2%減とした。10月からスタートする家庭用ごみ袋の有料化により、ごみ処理手数料収入を2億2500万円計上する。17年度がピークだった市債(借金)は、大規模事業の完了により減額に転じるという。

新年度の主な事業は、1969年に建設された市民会館の耐震補強と大規模改修を実施し、大ホールの座席幅を広げるほか、エレベーター設置、トイレ改修などを実施する。完成は2019年度で全体事業費は23億円。合併特例債の活用可能額167億6000万円のうち残り1億800万円を財源の一部に充て、使いきる。

土浦港周辺の拠点施設は、2010年にプロパストから取得し暫定広場になっている「つくば霞ケ浦りんりんロード」沿いの用地に、総額2億3000万円でサイクリング拠点施設とイベント広場、100台分の駐車場などを整備し、民間参入の呼び水とする。土浦駅ビルに3月オープンするサイクリング拠点施設「りんりんスクエア土浦」は鉄道利用のサイクリング愛好者向け、土浦港周辺はマイカー利用者の拠点になるという。

ほかに、今年10月6日に開催予定の土浦全国花火競技大会のブランド化を図ろうと、土浦駅前のビル壁面に花火を題材にした映像を投影するプロジェクションマッピングを実施するほか、東京・品川駅自由通路44面で花火大会の映像を上映する(1600万円)。

老朽化した第1・第2給食センターを統合して新治庁舎跡地に建設する学校給食センターは18年度に着工する。完成は20年度で全体事業費は37億2900万円になる。

女子プロ野球入団の岡田桃香さん 東風高でネット確定申告を体験

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パソコンでの確定申告を体験し完成した申告書の見本を見せる岡田桃香さん=かすみがうら市上土田のつくば国際大学東風高校

【崎山勝功】土浦市出身で4月から女子プロ野球球団・レイア(京都府)に入団する岡田桃香さん(17)=つくば国際大学東風高校3年=が21日、かすみがうら市上土田の同校で確定申告を体験した。インターネットでの確定申告(e-Tax)普及促進のため、土浦税務署が岡田さんを「e-Tax推進大使」に委嘱し実施した。

岡田さんが「プロ野球選手として収入を得た」との想定で、事業所得を申告する確定申告書の作成を体験。税務署職員から操作方法を教わりながら、パソコン上で確定申告書を作成した。体験した岡田さんは「(職員に)聞きながらだったけど、ワンクリックでどんどん進めるし、自分で計算しなくても(確定申告が)できる」と感想を話した。

塩田義道署長は「わざわざ申告会場に来なくても、自宅のパソコンで24時間いつでも申告ができる」とメリットを説明した。

3月21日、名古屋ドームでデビュー

岡田桃香さんは、3月21日にナゴヤドーム(名古屋市)でのリーグ開幕戦でデビューする。

同校男子硬式野球部に所属し、17年夏の高校野球県大会の開幕式に参加。同年11月のプロテストに合格し、女子プロ野球球団に入団を決めた。レイアは選手育成が目的の球団で、優秀な成績を収めると現在3球団ある女子プロ野球のトップチームのいずれかに所属できる。岡田さんは身長163㌢、右投げ左打ち。同球団では背番号36番で内野手を務める。

岡田さんは「これからプロになって、まずはけがをしない身体を作り、トップチームの球団に入って、新人王と三冠王を取りたい。女子プロ野球の普及に努めたい」と抱負を述べた。

塩田署長は「岡田さんには子どもたちの『憧れの的』になって、女子プロ野球を大いに盛り上げていただきたい」とエールを送った。

◆自宅パソコンで確定申告をする「e-Tax」の方法は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして申告書を作成する。申告書の提出方法は①作成コーナーから「e-Tax」でデータ送信(事前にマイナンバーカードと電子情報を読み込むICカードリーダライタが必要)②プリンターで印刷して税務署に郵送(マイナンバーカードやICカードリーダライタが無い人向け)―の2種類がある。同署によると、2017年分の確定申告では全申告者の49・1%がネットでの確定申告(郵送での提出含む)という。2019年1月からはIDとパスワードがあればe-Taxを利用できるようになるという。

壁一面に春呼ぶ手作り作品 アートカフェでひな祭り つくば

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館内はあでやかなつるしびなでいっぱい=つくば市天久保のサンゴミズキ

【鈴木萬里子】つくば市天久保のアート&カフェ「サンゴミズキ」でひな祭りが開かれている。館内は春を呼ぶ手作り作品が所狭しと飾られている。中でも12点の大きなつるしびなが壁一面に飾られ、ひな祭りを盛り上げている。

つるしびなには古布を縫い合わせて作った小物が飾られている。草履(ぞうり)は早く歩いてほしい親心、トウガラシは虫がつかないように、ネズミはくるくる働けるようにという由来があり、女の子の成長を願う親心を託しているという。

同カフェで開かれている講座の一つ「和物」(糸賀幸子講師)の生徒が1年間かけて作り上げた。糸賀さんが京都まで出向いて仕入れ、時には色染めもした古布を縫い合わせた。今年はつるしびなのほか、運をかき込む縁起物の熊手を制作した生徒らもおり一角に展示されている。サンゴミズキのオーナー五十嵐とし子さん(75)が毎年作りためたつるしびなもある。

土浦から初めて訪れたという70代の女性2人は「知人に勧められて初めてこちらに来た。すてきな空間につるしびながあでやかで、見るだけで楽しくなる」と感心していた。五十嵐さんは「生徒さん達が丹精込めて作った作品をたくさんの人に見てほしい。見てもらうことは作る楽しみになる。作品を見るだけで春が来る感じがしますよ」と笑顔になった。

同カフェにはレンタルスペースが併設され、専門の講師が和裁のほか、カリグラフィ、陶芸、油絵など14の講座を教えている。

◆雛祭りは28日(水)まで。午後1~4時、入場無料。「和物」教室は第1,3木曜午後1時から。問い合わせは090・4548・9740(五十嵐さん)http://sangomizuki.tsukuba.ch/

熊手などの作品=同
サンゴミズキ入口

歴史的緑空間36ha URがつくば市に無償譲渡 中根・金田台 当面樹林地のまま保全

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市に無償譲渡されることが決まった樹林地=つくば市中根・金田台

【鈴木宏子】つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の一つ、つくば市中根・金田台地区内の歴史的緑空間用地=メモ=について、開発事業者のUR都市機構が今年末までに、市に約36haを無償譲渡することがわかった。市は当面、現状の樹林地のまま管理・保全していくとしている。

21日開かれた市議会全員協議会で市が報告した。3月末までに譲渡契約書を締結する。

同地区では絶滅の危機にひんするオオタカやサシバの営巣が確認されている。市は36haの管理・保全方法について①立ち入りを制限する「オオタカ生息環境保全ゾーン」と、市民が散策できる「保全散策ゾーン」の二つに分ける②散策ゾーンは将来、散策路などを整備し隣接の国指定史跡、金田官衙遺跡などと連携して活用を検討していくとの方針を示した。

URと市が13年12月に締結した合意書などに基づいて無償譲渡する。当時は「無償も含め」譲渡するとされていた。

「地域の財産として保全を」UR委員会が市に提言

一方、オオタカなどの営巣が確認されている同地区についてURは、08年3月「中根金田台地区貴重動植物生態系調査委員会」(委員長・山形耕一茨城大名誉教授)を設置し10年間にわたって生態系調査と保全活動を実施してきた。

今回、市に無償譲渡されるのに合わせて、URはオオタカなどの保全活動を終える。URの生態系調査委員会は今年2月、譲渡先の市に対し「(同地区は)今なお貴重な動植物が多く生息・生育する自然豊かな地区」だとして「近隣外周部も含め、地域の市民と連携し、保全に取り組むことが望まれる」「当地区の自然環境の重要性を地域の財産として保全していく」べきなどとする提言書を提出している。

※メモ

歴史的緑空間用地は、同地区東側の国指定史跡、金田官衙遺跡周辺の約16haと、今回無償譲渡される北側の約36haを合わせた計約52haある。そのうち国指定史跡など約16haは市がURから47億5200万円で21年度までに順次購入する予定になっている。今回無償譲渡される約36haのうち約19haにも埋蔵文化財があるという。

華やかに早春の書展 「華の会」つくば教室10周年

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華の会を主宰する和泉竹華さん=筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリー

【鈴木萬里子】書道「華の会」(和泉竹華さん主宰)つくば教室10周年記念となる書展が、19日からつくば市竹園、筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで開かれている。

主宰する和泉さんは取手市在住の書道家。和泉さんの作品と、和泉さんが指導するつくば教室で学ぶ生徒5人のほか取手市の教室の生徒も加え、22歳から90歳までの計15人による20点の力作が展示されている。

和泉さんの「春逐鳥聲開(はるは ちょうせいを おって ひらく)」は中国秦の時代に用いられた隷書(れいしょ)体で書かれた作品。早春の書展開催に合わせた華やかさが感じられる。

会場入口には甲骨文字の「戌」のポスターが展示されている。和泉さんが1年かけて広告ちらしを集め、色彩を選んで作った年賀状用の作品だ。干支の作品は毎年好評だという。

生徒の作品は行書体で書かれたものが多く見られた。つくば市吾妻から来場した60代の女性は「漢字の行書を万葉仮名風に書いてあって、苦心のあとが見えます。白と黒だけの世界なのに、とても華やかさを感じさせます」と感心した面持ちで、1点1点丁寧に見て回っていた。

和泉さんは、書道を通して長年、ハンガリーとの交流を続けている。滞在していたハンガリーの書店でオリガミクスの本を見つけ、作者がつくば市在住だったことから、折り紙に手紙を記した「オリガミックスと手紙展」をつくばで開催した。これが縁で10年前につくば教室を開いた。和泉さんは「人と人との出会いが不思議な縁を生みますが、出会いを受け止める力、エネルギーが必要。書を書いているとエネルギーが自分にぶつかってくるのが感じられる」と語った。

◆書展は26日(月)まで、入場無料。つくば教室は第1・3土曜日午後2時30分~4時30分。問い合わせは090・8643・2037(和泉さん)

来場者に書の説明をする和泉さん㊨=同