木曜日, 11月 6, 2025
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屋根の銅板ごっそり盗まれる 筑波山麓 飯名神社

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拝殿裏手の剥ぎとられた屋根を見上げる鮏川さん=つくば市臼井

【相澤冬樹】初巳(はつみ)の「だるま市」で知られるつくば市臼井の飯名神社(八木下健司宮司)が、とんだ夜盗の被害に遭った。先月末、神社の本殿、拝殿、社務所の銅板葺(ふ)きの屋根が何者かによって半分近く剥がされているのが見つかった。神社は氏子総代と連名でつくば署に通報、被害届を出し、実況検分を受けた。

被害の一報は2月29日、氏子総代の同所、鮏川修さん(65)に入った。集落のはずれ、筑波山神社方向に上る林道脇に鎮座する同神社を散歩コースにしている住民が屋根に異常を発見した。参道になっている石段の下から見上げる角度からでは分かりにくい位置の屋根の銅板がごっそり、抜き取られるように無くなっていた。回り込むと、拝殿の大屋根のほぼ半分が野地板をさらす状態になっていた。

神社の西側に回ると屋根の右半分が野地板をさらしていた=同

同神社は、「すそみ」と呼ばれる筑波山麓の集落道路から300メートルほど山に分け入った木立の中に建つ。手前から社務所、拝殿、本殿の並びだが、いずれも目につきにくい位置の屋根が狙われた。薄板の銅板は馳(はぜ)という連結部で留められるよう並べられているが、次々と抜きとるように盗まれていた。

本殿の屋根からは脇にせり出した銅板葺きの屋根材は全面的に剥がされていたが、上部のトタン葺きの屋根材は触れた形跡だけで手つかずに残っていた。銅は現在、1キロ500円程度で取引されるという。

「まさか ひっぺがしていくとは」

実況検分に立ち合った鮏川さんによれば、境内には軽トラック2台分のタイヤ痕が残っていたそうで、4人程度のグループが深夜境内に忍び入ったとみられる。「普段ひと気のないところで、さい銭荒らしの被害はあったが、まさか屋根をひっぺがしていくとは」、巧妙かつ大胆な手口に「あきれるばかりだ」という。つくば署に届け出たものの、足取りなどの手掛かりは一切得られていない。

早急な修理が必要なため、被害額の算定を進めているが、火災に備えた建物共済で盗難保険に入っており、臼井地区に約200軒ある氏子世帯への新たな負担は回避できそうな見通し。鮏川さんは「監視カメラだけは何としても設置したい」と対策を講じる構えでいる。

飯名神社は、創建時期などは不明だが、神の山、筑波山に古くからある社(やしろ)の一つ。祭神は保食神(うけもちのかみ)、市杵嶋姫命(いちきしまひめ)と伝わり、新年の「だるま市」のほか、木彫細工の壮麗な本殿やその裏手にある巨岩、銭洗い弁天で知られる。屋根は1983年の改修で、それまでの茅葺きから銅板に葺き替えられた。

【震災9年】福島に入り猫救出を経験 つくばで地域猫活動のリーダーに

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地域猫活動に用いる捕獲器を洗う重松聖子さん=つくば市松代

【橋立多美】つくば市在住の重松聖子さん(71)には9年経っても忘れられない光景がある。住む人を失った家の中に猫の骸(むくろ)が2体並んでいた―。巨大地震、津波に続いて福島第1原発が爆発し避難指示が出された。「すぐに帰れると思い、猫が外に出ないように鍵をかけて行ったんだと思う」

2010年、県南を中心に活動している動物愛護団体のボランティアとして啓発や犬猫の保護譲渡に取り組んた。翌年3月11日に東日本大震災が発生。厳冬期を迎えようとする10月、同団体に所属する3人で福島県東部の太平洋に面した浜通り地域の警戒区域に、置き去りにされた猫の救出に向かった。

早朝に福島県に入り、富岡町の施設で防護服に着替えて線量計を首から下げた。帽子と上着、ズボン、手袋、マスクが渡された。手袋は3重、靴は2重のビニールで覆った。

双葉町や大熊町、楢葉町、浪江町など大地震でインフラや建造物の倒壊が相次いだ被災地で、とり残された猫を探し回った。犬はほかの愛護団体が保護した。

「枯れた草の中に猫が隠れていないかと分け入る度に線量計の針が大きく振れた。自分の被ばく線量より生きている子を助けたいという思いが強かった」と振り返る。震災から半年以上空腹に耐えてまちをさまよった猫たちの体は、汚れてやせ細っていた。

街灯を流された被災地は明かり一つない。午後4時過ぎに活動を打ち切った。この日保護した猫は10匹だった。車に積んでいった100キロの餌は、救出できなかった猫が命をつなぐために、先に被災地に入った動物愛護団体が作った30カ所の餌箱に入れてきた。

シェルターで受け入れた猫たちと(2013年2月撮影、重松さん提供)

土浦のシェルターで世話

所属していた団体が福島で被災した犬猫を保護するシェルターを11月に土浦に設置し、猫舎に約40匹、犬舎に20頭ほどを受け入れた。猫の世話を担当した重松さんは「どうしても懐かない3匹がいて、ケージの隅から動かず目はうつろだった。飼い主に捨てられた、何も信用しないと抗議しているようだった」。

ところが、懐かないのを承知で里親になってくれた家に引き取られると、生き生きして顔つきまで変わった。「家族として迎えられたことで人への信頼を取り戻したと思う。猫は家につくといいますが人につくんです」と重松さんは話す。

心ならずも、ペットを家に置いて逃げなければならなかった飼い主も辛いだろうと、猫たちの写真を、保護した町の避難所に掲示した。3組の飼い主が猫の好物を持ってシェルターに会いにきた。連れ帰ったのは1組。2組は避難所暮らしで飼えないと後ろ髪を引かれつつ福島に帰っていった。

震災時の体験が動物愛護への気持ちをより強くした。犬猫の殺処分数は減少傾向だが全体の80%を猫が占めていること、野良犬を見かけることはなくなったが野良猫が増えて全国的に問題になっていることから、地域の野良猫に不妊去勢手術などをする地域猫活動を推進する「Team.ホーリーキャット」を17年に発足させた=2019年7月17日付

「飼い主は万一に備えて」

重松さんは「3月11日は震災を思い起こす日。想定外の自然災害が起こっているだけに飼い主には万一に備えてほしい」という。

首輪に迷子札を付けて写真を携帯するほか、フードや猫用の散歩ひもを入れたリュックとキャリーバッグはいつでも取り出せる場所に置く。またペット同伴の避難所が開設されるようになったことから、自治体のハザードマップで避難所の位置を確認しておくことを薦める。

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【新型コロナ】筑波山神社「御座替」神幸祭を中止 門前に春遠のく

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日差しはすっかり春めく筑波山神社門前

【相澤冬樹】筑波山神社(つくば市筑波、矢島忠孝宮司代務者)は、4月1日に予定していた春季御座替(おざがわり)祭のうち、坂道登はんで神輿(みこし)が巡行する「神幸祭(じんこうさい)」の中止を決め、12日までに神社のホームページなどで告知した。新型コロナの感染予防措置で、「奉幣祭(ほうべいさい)」「神衣祭(かんみそさい)」については外部の招待者を入れず、規模縮小で行う。

震災直後以来の縮小

御座替祭は毎年4月1日と11月1日に行われる筑波山神社の例大祭で、筑波山で最も重要な行事とされる。夏と冬、親子の神が山頂の本殿と中腹の拝殿で神座を入れ替える形式をとる。まず、男体山と女体山の各山頂にある本殿の神衣を新しい衣に取り替える衣替えの儀式「神衣祭」があり、次いで筑波山神社で舞いをささげる「奉幣祭」が執り行われる。

一般参拝者を巻き込んだクライマックスが「神幸祭」で、「神衣祭」で取り替えられた神衣を神輿に納め、つくば道の一の鳥居から筑波山神社まで、地域の発展と平穏を祈りながら坂道を行列で登る。今回はこの巡行を中止とした。

例年「奉幣祭」には約200人に招待状を出し参列を呼び掛けていたが、今回は取り止め、神社職員と10人いる氏子総代のみの参列で行うことにした。神社によれば、2011年の東日本大震災直後の春の御座替祭でも同様の措置を取ったといい、それ以来の規模縮小となった。「残念でならないが、ここは大事をとって政府方針に従うほかはないと総代会とも一致した」(八木下健司権禰宜)という。

御座替祭で中止になる神幸祭の行列

団体客のキャンセル相次ぐ

筑波山では22日まで第47回筑波山梅まつりが開催中だ。主催の市観光コンベンション協会によれば、「梅の開花が早く、2月は3連休もあって空前の人出が見られた」そうだ。新型コロナ対策で政府が基本方針を発表した先月25日以降も、週末を中心に個人客が筑波山に足を運んだ。28日からは、まつりイベントの中止措置が取られたが「近県の観光客には(中止が)伝わっておらず土日に訪れる人は多い」(筑波山ホテル青木屋)という。

筑波山観光では中国人らのインバウンド利用は元来少ないというが、それでもバス利用の団体客のキャンセルが目立って増えている。「3月中は持ちこたえても企業の研修利用などが増える4月以降のキャンセルが増えると厳しい環境になりそう」(つくばグランドホテル)だと新型コロナの収束を待ちわびている。

梅林は暖かい日差しに花の見ごろを終え、全体に散り始めているが、筑波山に本当の春が到来するのはまだ先になりそうだ。

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【震災9年】双葉町からの避難者 つくばの宿舎で最後の慰霊祭

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祭壇の前で手を合わせる福島県双葉町出身の中村希雄さん(中央)=つくば市並木3丁目の国家公務員宿舎

【崎山勝功】東日本大震災から丸9年を迎えた11日、つくば市周辺で避難生活を送っている福島県双葉町からの避難者が、同市並木3丁目の国家公務員宿舎前で慰霊祭を執り行った。避難者の間では茨城県内各地に転居する動きが進んでいる。今回が同宿舎で開く最後の慰霊祭になるという。

慰霊祭は双葉町出身の中村希雄さん(78)方の宿舎の庭先に祭壇を設け、参列者約20人が1人ずつ線香をあげ、祭壇前で犠牲者の冥福を祈った。

地震発生時刻の午後2時46分ごろには、双葉町の方向に向かい犠牲者に黙とうを捧げた。黙とう後、時代劇「水戸黄門」の主題歌「ああ人生に涙あり」を合唱した。

慰霊祭を主催した中村さんは、11年10月から同市並木の公務員宿舎で避難生活を送り、震災から1年後の12年3月から毎月11日の月命日に宿舎の庭先で慰霊祭を開いてきた。17年3月までは毎月行っていたが、18年からは年1回前後の開催となっていた。今年は中村さん一家が3月中に転居し同宿舎を退去するのに伴い、同宿舎での最後の慰霊祭になる。

中村さんは取材に対し「晴れ晴れして、何か一区切りしたような感じ。こんなにたくさんの方に来ていただいて良かった」と語った。つくばでの日々を中村さんは「いいことづくめ。いじめに遭ったことは無く、みんなで楽しく日々を送ることができた」と振り返った。

慰霊祭には、筑波大体育系の長谷川聖修(きよなお)教授(62)と学生たちも一緒に参列した。長谷川教授らは、体操教室とグラウンドゴルフを通して避難者たちと交流を深めてきた。

長谷川教授は「慰霊祭に参加することで、メディアでは知ることのできない福島の実情、特に原発のことについて知ることができた。原発は自分、皆の未来のために考えなければならない」と語った。その上で「中村さんたちは辛い経験をされているはずだが、いつも明るく、逆に自分が元気をもらっている」と話した。国家公務員宿舎での慰霊祭は今回で最後となるが、体操教室やグランドゴルフへの参加により今後も交流は続くという。

転機を迎える避難者たち

並木の国家公務員宿舎にはピーク時で48世帯が住んでいたが、応急仮設住宅の供与期間が限られていることから、入居者たちの多くがつくば市や周辺市町村などに転居しているという。双葉町からつくば市内に移住した上原滋さん(75)は「あちこち回って、転居が8回目。(つくば市が)最後の住み家になると思う」と語った。

現在、土浦市に住む双葉町出身の新川義隆さん(73)は「土浦に永住する。土浦での生活も慣れてきた。地域の人が受け入れてくれたから」と新天地での生活を語った。新川さんの息子2人は仙台市に、3男は土浦市に住んでいるという。

双葉町の方向に向かい犠牲者への黙とうを捧げる参列者たち=同

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日本語学校の1期生30人が卒業 努力たたえ門出祝う つくば国際語学院

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東郷理事長(右)から卒業証書を受け取るスリランカ出身のラクミニ・ディープティカさん=つくば市松代

【橋立多美】学校法人つくば文化学園「日本つくば国際語学院」(東郷治久理事長)の第1期生の卒業式が11日催され、2年間の課程を終えた30人が巣立った。式典は学院に隣接し、理事長が代表を務めるサンスイグループのつくば山水亭で行われた。

同学院は一昨年の4月20日、つくば市松代に開校した。学生の出身国はウズベキスタンやモンゴル、ベトナム、中国、ネパールなど9カ国に及ぶ。式には学校関係者や保護者、友人らが列席した。

スーツや民族衣装で式に臨んだ卒業生たちに理事長は「生活習慣や文化が違う異国の地でよく頑張りました。ここからが日本社会への第一歩。初心を忘れずに成果を目指してください」とあいさつした。

在校生を代表して中国出身の女子学生マ・ソウソウさんが「先輩たちに日本のルールを教えてもらって勇気と自信を持つことができました。お世話になりました」と送辞を述べた。

一人ひとり壇上で答辞を述べる卒業生たち=同

卒業生は一人ずつ檀上に上って答辞を述べた。2年前に来日した当時に思いをはせたり、ユーモアを交えて学院での学生生活を振り返るなど、新たな門出に立った若者たちの決意がよどみない日本語で語られた。中国出身のキョ・ジンコさんは「僕は学院で言語より大切な、人とのつながりを見つけた」と語った。

日本語教育事業部の森山英煕本部長によれば、学生のレベルとニーズに合わせて進学と就労を支援しており、第一期生中24人(8割)が大学または専門学校に進むという。

緊張した面持ちで式の進行を見守る卒業生たち=同

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【震災9年】脱原発訴え つくばで市民集会

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集会後「東海第2原発 再稼働反対」などのプラカードを掲げる集会参加者たち=つくば市吾妻のつくばセンター前広場(撮影/筑波大学1年・日ビ若菜)

【崎山勝功】東日本大震災と福島第1原発事故から丸9年を迎えた11日、脱原発と護憲を訴える「3.11から9年 さよなら原発!守ろう憲法!昼休み集会」がつくば市吾妻のつくばセンター広場で開かれた。市民ら約50人が参加し、東海第2原発の再稼働反対などを訴えた。

市民団体「戦争をする国づくりNO@つくば」と「安倍9条改憲NO!市民アクションつくば連絡会」の共催で行われた。

集会で発言する「いばらき原発県民投票の会」の徳田太郎共同代表=同

集会では、東海第2原発の再稼働の是非について県民投票を実施するよう直接請求に取り組んでいる「いばらき原発県民投票の会」の徳田太郎共同代表(47)が発言し、署名集めの現状について「昨日(10日)の時点で(有権者の50分の1の約4万9000筆を超える)約8万筆の署名をいただいている。つくば市では(市内)有権者の5%を越える1万筆の署名をいただいた」と県南地域で関心が高いと話した。その上で「私たち一人ひとりが考え、悩み、選択していく。私たちの民主主義は始まっている」と県民投票の意義を説いた。

集会では「首都圏で唯一の東海第2原発は、稼働40年を超す古い原発で、周辺30キロメートル圏に94万人が住む危険な原発」だとして、再稼働反対などを訴えるアピールを採択した。

新型コロナ影響、デモ行進取り止め

同集会は震災後、毎年3月11日に行われている。例年は集会後、つくば駅周辺をデモ行進するが、今年は新型コロナウィルス感染拡大の影響でデモ行進を取り止め、屋外集会のみの実施となった。今年は感染拡大防止のためマスク姿で参加した市民が多く見られた。

集会後に取材に応じた徳田共同代表は「県南は総じて他の地域に比べ県民投票への関心が高い。何といっても高齢の方の関心が高かった。逆に言うと若い世代に関心を持ってもらうのが今後の課題」だと述べた。

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【震災9年】労組、被ばく対策訴え対立 14日常磐線全線開通

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常磐線特急ときわE657系=土浦市内

【山崎実】福島第1原発事故で福島県双葉町全域に出ていた避難指示が今月4日、駅周辺など一部で解除されたことを受けて、JR常磐線は14日、全線が9年ぶりに運行を再開する。一方、労働組合「動労水戸」は、富岡―浪江間では毎時2マイクロシーベルトもある高い放射線量区域が2キロも続くとして、運転業務員や検査作業員の被ばく対策などを訴えJR側と対立している。

運転再開は避難指示解除が前提だっただけに、全線が開通し、都内と仙台を結ぶ特急列車の運行に合わせた措置ではとの見方も強い。今回の帰還困難区域の解除は、双葉駅周辺エリアなどに限られ、住民帰還は伴わない。

組合側は、常磐線全線開通は悲願としながらも、本来、年間1ミリシーベルト未満が被ばく線量の原則であり、国の20ミリシーベルトは認められないとし、何よりも内部被ばくが無視されていると指摘する。

運転再開に先立って、震災当時に帰還困難区域などを運行し、放射能に汚染された列車の検査・修繕業務を勝田車両センター(ひたちなか市)で行った際も、組合側は、床下機器に直接触る検修作業員、出区点検を行う乗務員の被ばく線量を測定すべきなどと主張していた。

これに対し当局側は、運転再開区間作業員の被ばく線量管理方法については「ガラスバッジ及び個人線量計により管理を行っていく」、車両の放射線を測定し公表すべきとの要求には「富岡―浪江間においてはモニタリングポストを新設する。車両の線量測定を行う考えはない」(2019年8月)と回答。両者の溝は埋まらない。

運転再開区間の必要な除染は終了しており不安は解消している、内部被ばくが発生する状況ではない―とする当局側に対し、組合側は、福島第1原発事故は現状として収束しているとはいえず今後の廃炉作業の危険性が無視されている、今回の全線開通は放射能汚染の拡散につながると譲らず、今年2月14日にも検修社員の内部被ばく対策として、教育の実施のほか、防護服・防護マスク・ゴーグルなどの準備を行うよう申し入れを行った。

避難指示の一部解除、JR常磐線の全線再開は将来への朗報だが、組合と当局の対立は、生活の現場から目をそむけてはいけない課題を突き付けている。

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【新型コロナ】筑波大、卒業式を大幅縮小 代表者のみ出席へ

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筑波大学正門

【山口和紀】筑波大学は10日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、卒業式の規模を大幅縮小すると発表した。大学の各学群・学類、大学院の研究科からの代表者のみが出席し挙行する。家族はもちろん、一般の卒業生・修了生も出席できない形だ。

卒業式は今月25日、同大の大学会館講堂で実施する。2月28日時点で同大は「出席者は卒業生・修了生のみとし、家族等の来場はご遠慮させていただく」と発表していた。しかし、感染拡大の影響で3月10日にこれを変更。感染の拡大状況から、多数の参加者が一堂に会して開催することは困難であるとし、各学群・学類、研究科の総代や副総代など、代表者のみ出席する形を取る。

式次第も大学は学群を2つに分けて別々に実施、大学院と合わせて計3回、卒業式を実施する。同大広報室によると昨年度は大学、大学院合わせて約7500人が卒業式に出席した。今年は計3回の式典を合わせ例年の50分の1の約150人になる見込みだという。

「晴れ着を着たかった」

出席できなくなった卒業生の1人は「晴れ着を着たかった。友達や仲間と集まる機会が無くなってしまったことは残念」と話した。

卒業式後のパーティー中止を既に決定している学群もある。大学側も「食事を取りながら懇談を行う祝賀会については、開催を控える」よう通知していた。以前から準備を続けてきた学生は「卒業パーティの中止は残念。皆で集まる最後の機会だった。参加予定者への返金が大変」と話す。

卒業式の会場では、後輩たちが『出待ち』をして卒業する先輩たちを祝うのがサークルの慣例だ。「今年は出来ないと思うと寂しい」と話したのは在校生。今年は「追い出しコンパ」なども大規模には行わないサークルが多いそうだ。

成人式に続きまたしても

晴れ着のレンタルなどをしている同大近くの着物店「明日櫻」(つくば市天久保)の担当者は「卒業式の規模縮小や式次第の変更で『着付けの時間を変更して欲しい』という要望がきている。対応できるかどうか検討しているところ。キャンセルは現時点ではきていない」と話した。同店では、晴れ着での写真撮影のみの依頼も対応しており、他店で着付けをして写真撮影のみ同店のスタジオで行うことも可能だという

今年度卒業するのは「はれのひ」事件が起きた年に成人を迎えた学年だ。新型コロナの影響でまたしても「晴れ着」を着れないという状況になってしまった。

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【新型コロナ】消毒用品不足の不安 医療的ケア必要な人たち つくば

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介助者に痰吸引をしてもらっている川島さん

【川端舞】新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、マスクとともに消毒用品が品薄になっている。医療的ケアのために日常的に消毒用品を使っている人にとって、消毒用品が手に入りにくくなっている状態は深刻な問題だ。

つくば市内のアパートで、介助者のサポートを受けながら生活している川島映利奈さん(37)。川島さんは脊髄性筋萎縮症という進行性の神経難病をもっている。川島さんが生活する上でアルコール消毒液は不可欠という。

川島さんは5年ほど前、病気の進行により、痰(たん)を吐き出す力や食べ物を飲み込む力が弱くなったため、気管を切開した。痰が詰まったときや食べ物を誤嚥(ごえん)した時に、口から吸引するより、喉から直接気管にチューブを入れて吸引した方が、速く異物を取り除くことができ、肺炎を防ぐことができる。川島さんの場合、調子の良い時で1日17回、風邪を引いた時などは1日50回ほど、介助者に吸引してもらう。

また誤嚥により口から食べられる量が少なくなったため、気管切開と同時にお腹にも穴を開けた。その穴からチューブを入れることで、直接お腹に栄養を入れられるようになった。今は1日2回、合計600カロリーを直接お腹に入れている。痰吸引する時やお腹に栄養を入れる時、体にチューブを入れるため、介助者は細菌感染の防止のため、手洗いだけでは不十分で、手をアルコール消毒する必要がある。川島さんはいつも約1カ月間で400ccのアルコール消毒液を使用している。

痰吸引などに必要な消毒液は川島さん自身が購入しているが、2月初旬から消毒液が店頭からなくなり始めた。かかりつけの薬局も消毒液のことを気にしてくれていたが、薬局の在庫もなくなってしまった。介助者に車を運転してもらい、5件ほど薬局を回ったが見つからなかった。自分で行ける薬局には限りがあるため、2月後半には介助者たちに「消毒液を見かけたら買っておいてほしい」と頼み始めた。結果、2月の終わりに業務用の消毒液を購入することができたが、介助者の協力がなかったら、3月中旬に手持ちの消毒液はなくなっていたという。

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イノベーション施設や市民活動拠点など検討 つくばセンタービル再整備

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つくば駅に隣接するつくばセンタービル。建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した建築家、磯崎新氏の代表作の一つ

【鈴木宏子】つくば市が2020年度に本格着手するつくばセンタービル(同市吾妻)のリニューアルについて、市は、現在空き店舗となっている同センタービル1階アイアイモールに、ベンチャー企業を支援するイノベーション施設などを整備し、市と民間によるまちづくり会社を設立して運営することを検討していることが分かった。現在のつくばイノベーションプラザとアイアイモールの一部には新たな市民活動拠点を整備することを検討している。

同市は、開会中の3月議会に提案している当初予算案に、同センタービルを再整備するために必要な機能や配置について検討する基本計画策定費(約990万円)と、まちづくり会社である官民連携中心市街地エリアマネジメント団体の設立出資金(約6000万円)を計上している。

3月議会都市建設委員会での市の答弁などによると、まちづくり会社には6000万円の出資金のほかに、市が所有している同センタービルの区分所有権の一部を現物出資することを検討している。2020年度中に不動産鑑定を実施して価値を算定する予定だ。まちづくり会社は21年3月までに設立予定で、センタービルの区分所有権の一部も市から新会社に移転される。市はその分を株式として持つことになるという。

センタービルのリニューアルではほかに、現在のイノベーションプラザに整備を検討している新たな市民活動拠点は、市の交流センターと市民活動センターや国際交流などの機能を有した新たな拠点という。さらに市の窓口の設置なども検討されている。

「あり方検討報告書」は6機能

一方、情報開示請求し公開された市の「つくばセンタービルあり方検討業務報告書」(19年3月策定)では、今後導入することが好ましい機能として、子育てママ、若者、シニア、ファミリーをターゲットとし、①シェアオフィスやインキュベーション施設などイノベーションのための「クリエイティブビジネス機能」②さまざまな人の趣味や活動を支える新たな「地域のコミュニティ拠点」③子供が遊びながら学べる施設や子育てママを応援する託児機能などを備えたシェアオフィスなど「子育て支援機能」④市役所の窓口など「市民サービス」⑤クッキングスタジオなどカルチャースクール等、市民が立ち寄りたくなる「文化機能」⑥飲食のスタートアップ事業を育てる「食の発信拠点」の6つの機能を導入することが好ましい―などとしていた。

担当する市学園地区市街地振興室は、現在の検討案はあくまでも内部検討案だとしている。19年3月策定の報告書とも異なるという。今後、市民の意見を聞いて基本計画を策定するとしている。

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労働組合員数、つくば市が県内トップ

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茨城県庁

【山崎実】県労働政策課がまとめた2019年の労働組合基礎調査結果によると、県内の労働組合員数20万450人のうち、つくば市が5万446人で全体の25.2%と、44市町村で最も多いことが分かった。

調査は労働組合、組合員の産業、企業規模、加盟上部団体別の分布など、県内の労働組合を対象に毎年6月30日現在で実施している。

調査結果によると、県内の労働組合数は891組合で、前年比39組合減(4.2%減)。組合員数は20万450人で、前年比1471人増(0.7%増)となった。推定組織率は14.1%。

組合員数のうちパートタイム労働者は3万4697人と前年比3195人増(10.1%増)で、全労働組合員数に占める割合は17.3%と2割近くになっている。

産業別では「製造業」が7万1575人(全体の35.7%)と最も多く、次いで「卸売・小売業」の4万9980人(同24.9%)、「公務」の1万5390人(同7.7%)と続く。また企業規模別でみると、1000人以上規模が13万3161人で全体の66.4%を占め圧倒的に多い。

上部団体別では、連合茨城が全体の70.8%(組合員数14万1875人)。茨城労連は3.8%(7708人)となっている。

組合の組織状況を市町村別でみると、水戸市が160組合と最も多く、次いでつくば市の101組合、日立市の58組合、神栖市の48組合、土浦市の47組合と続く。組合員数ではつくば市がトップで5万446人(県内組合員数全体の25.2%)。次いで水戸市の3万757人(同15.3%)、日立市の2万947人(同10.4%)、ひたちなか市の1万637人(同5.3%)、土浦市の1万483人(同5.2%)。労働組合も南高北低の傾向にある。

最先端の利用環境をつくばで提供 電子顕微鏡のシェアリング

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ANMICの井上佳寿恵社長=つくば研究支援センター

【相澤冬樹】電子顕微鏡のシェアリングサービスというユニークな業態のベンチャー企業がつくばで動き出した。ANMIC(アンミック、井上佳寿恵社長)で、サービスは5月にも開始する。高額な電子顕微鏡を複数の企業でシェアしつつ、周辺機器を含む技術の刷新に人材育成を含めて対応する構えでいる。

会員制10社で5月スタート

ANMICは、物質・材料研究機構(NIMS)で電子顕微鏡の運用支援に当たっていた井上社長が2019年8月に設立した。電子顕微鏡は半導体、セラミックス、金属のような無機物からプラスチックや生物組織のような有機物まで、電子ビームを当てて材料の微細な構造を観察出来る装置。ナノ(10億分の1)メートルより1ケタ小さい原子レベルまで観察できる分解能を有する。

1号機となる電子顕微鏡「JEM-F200」(ANMIC提供)

今回の装置は、日本電子の電子顕微鏡「JEM-F200」。透過型電子顕微鏡(TEM)の高性能機で、最高加速電圧は200キロボルト、分解能と機能の拡張性に優れる。高速なカメラがついており、加熱した時に金属や半導体などが溶けたり、構造が変化する様子をリアルタイム(1秒間に300フレーム)で観察できるという。

同市千現のつくば研究支援センターの1室を新たに借り、レンタルリース会社所有の電子顕微鏡を借り受け運用する。装置の高さが3.5メートルにもなるため、天井高などを改装、据え付けを4月から開始し、機器の調整を経て、5月半ばにもサービスを開始したい考えでいる。

井上社長によれば、NIMSでは最新の電子顕微鏡を使えたが、開発要素を含まない試験や企業からの委託分析ができないなど使途に制限があった。1台が数億円する電子顕微鏡は高額な装置だが、運用にはさらに付属の機器やソフトウエアを使いこなす必要があり、技術の刷新に追いついていかないと1、2年で陳腐化する。

ANMICは、F200に材料解析のための4D-STEMなどのオプションを付加する予定で、それらがどういう原理で、どういうことが出来るのか、実際に解析できた事例などを大学の専門家らに講演してもらったり、メーカーやエンジニアなどに実演や技術講習をしてもらうことにしている。同型機を持つ企業でもシェアリングに参加することで、新たなソフトウエア導入に際し、使い勝手の検証や技術の習得に役立てることもできる。

サービスの利用は会員制。利用目的でプランを分け、メーカーや研究機関が研究開発用途で利用する場合はベーシックプラン(年会費370万円)、受託解析会社などがビジネス用途で利用する場合はビジネスプラン(同780万円)の料金設定が示されている。研究法人を含む10社程度で1台をシェアし、会員は1日単位で予約して装置を利用する。

井上社長「つくばにこだわりたい」

常総市出身で、東京家政学院筑波女子短大(現・筑波学院大学)の秘書課程で学んだ井上社長は結婚・育児後の復職に際し、つくば市の産総研での秘書業務に就き、NIMSに転じた。その経験と研究者らの後押しにより、ANMIC設立に至ったが、「起業場所としてつくばにこだわりたかった」という。常に最先端装置の利用環境を提供するため、今回を1号機として、2号機以降の展開も構想、その視野もつくばに置いている。

オンラインで自由研究を支援 臨時休校でつくばの研究者ら

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2月開催の「つくばこどもクエスチョン2020」の様子(つくば市提供)。背景はこどもクエスチョンオンラインの画面

【鈴木宏子】新型コロナウイルスへの対応で臨時休校となる子供たちの自主学習を支援しようと、つくば市は、同市で臨時休校が始まる6日から、児童・生徒の自由研究を研究者がインターネットでサポートする「つくばこどもクエスチョンオンライン」を実施する。

市内には約150の研究機関があり約2万人の研究者が働いていることから、臨時休校と春休みの6日から31日までの期間中、つくばの研究者が子供たちの自由研究をサポートする。

インターネットサイト「つくばSTEAM(スチーム)コンパス」のこどもクエスチョンオンライン上で研究者と対話しながら、子供たちが「なんでだろう」と考えたり「これをつくりたい」と思ったりなど、空想して問いや仮説を立て、探究するプロセスをサポートする。

同サイトから、研究者たちが作成した科学の面白さを分かりやすく伝える動画を、動画サイトYouTubeで見てもらう。「見えないものを見る」「原子は何からできている?」「アサガオの花色変化実験」などさまざまなテーマで最先端の科学が分かりやすく紹介されている。

メールで質問、研究者から回答

子供たちには動画を見て研究テーマを考え、自由研究の研究計画を立ててもらうという試み。同サイトから研究テーマシートをダウンロードして、研究を通して何を実現したいか、どうしてその研究をしたいと思ったのか、最初にやる研究は何か、研究をどの順番でどうやって進めるか、研究を進めるために読む本、研究のために行きたい場所などを書き込み、研究計画書をつくる。

さらに、自由研究を進める中で研究者に聞いみたいと思ったことを、同サイトの質問フォームに書いてメールしてもらう。質問に対しては研究者本人がメールで回答する予定だ。

ほかに子供たちから寄せられた質問を、研究者がリアルタイムで回答したり解説するオンライン相談会を計3回、YouTubeで配信する。質問への回答やオンライン相談会には現時点でつくばの研究者約20人と司書らが協力予定で、協力者はもっと増える見込みだという。

作成した研究計画書はメールや郵送でつくば市役所に送ってもらう。研究結果に対してではなく、研究の道筋をどのように作ったかを審査し、優れた研究計画書に「つくば研究者賞」を授与する。

研究者への質問や研究計画書の応募はつくば市内の小中学生でないとできないが、同サイトから科学の面白さを伝える動画を見たり、研究テーマシートをダウンロードして書き込むなどはだれでもできる。

同市では今年2月、子供たちが研究者のサポートを受けながら研究プランを作る科学教育体験イベント「つくばこどもクエスチョン2020」を市役所で開催した。同イベントでの体験を生かし、臨時休校中に子供たちの自由研究をオンラインで支援する。

【新型コロナ】「一律にいかない」 休校に戸惑うつくばの学校現場

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整列して登校班で下校する茎崎第三小学校の児童たち=つくば市小茎

【橋立多美】新型コロナウイルス感染症対策から小中学校の休校が6日に始まるつくば市で、最後の登校日となった5日、市立茎崎第三小学校(同市小茎)の鮏川誠校長に休校に向けた取り組みを聞いた。

低学年の保護者ほど登校希望多い

政府が3月2日から全国すべての小中高校などを臨時休校するよう要請したのに対し、つくば市は5日まで通常登校による準備期間を設けた。鮏川校長は「限られた4日間で休校に対処し、どう6年生を送り出すかと苦労した」と話す。突然の臨時休校の決定に戸惑いつつ、全学年で授業の終わっていない教科に時間を割くなど、授業の穴埋めを新年度に持ち越さないよう対応したという。

その一方で教師らは休校中の宿題のプリント作りに追われた。校長は「長期の休校が児童にとってプラスになるよう、一律ではなく児童のレベルに応じた宿題になるよう配慮した」とも。

休校中、保護者の仕事の都合などで児童の面倒を見ることが困難な場合は学校が受け入れる。授業は行わないが自主学習となる。保護者に登校の有無を問う「調査票」を配布した結果、同校は全校児童215人中、67人が登校を希望した(31%)。6年生4人に対し、1年生は12人で低学年ほど登校を希望する保護者が多いという結果だった。

「核家族で働いている保護者が多い。低学年の子どもほど保護者は心配する。その表れでしょう」と校長は推測する。市教育局教育指導課まとめで、同市の公立小学校で登校を希望した児童数は7,034人(47.3%)、中学校は740人(12.5%)だった。

地区ごとに臨時登校班を編成

自主学習は朝8時過ぎから午後3時まで。教師は休校中も通常通り勤務し、自主学習を支援する。学年ごとのクラスとし、感染防止のために机の間隔を広くとって手洗い対策を徹底する。また図書室での読書や外で体を動かすなど、息抜きに心配りをするそうだ。

通常、登校は8時前後の25分間だが自主学習の登校は8時からの10分間に絞った。通学路を1人で歩いて事件に遭遇しないよう集団で登校する登校班が機能しないためで、地区ごとに臨時登校班を編成してボランティアに登下校時の見守りを依頼した。下校は午後3時から速やかに行われる。

6年生の最後の授業が終わり、教室に入った校長は「卒業式は簡素化されてゆっくり話す時間がない」とした上で、「学校生活が急変したが困難を乗り越える経験はプラスになる」とエールを送った。

小4と中2の子どものいるが休校中の登校を希望しなかった会社員の女性(43)は「休めば同僚に迷惑をかける。家に子どもがいれば食費も暖房代もかかるし火事などの心配もあるが、感染リスクを考えて家にいさせることを選んだ」と複雑な思いを話した。

給食費の扱いも細大漏らさず

混乱は学校現場だけではない。給食に関わる事務を担当する市健康教育課も、前例のない事態に直面している。

給食費は6日以降の登校を希望した場合は月額とされ、希望しない場合は2日から5日までの日額で徴収される。が、3月の給食費は2月分と一緒に金融機関から引き落とされており、登校しない場合は返金される。

児童の年齢によって摂取量が違うため学年で給食費は異なる(小1、2年は月額4100円、1食単価240円)。またアレルギーや宗教に配慮した給食費にも違いがある。同課の職員は「ミスは許されない」と気を引き締める。

同市教委によると、市内の小学校は18日、中学校は12日に卒業式を行い、小中学校とも修了式は24日に行う予定。卒業式は飛沫感染が心配される合唱などは行わず、在校生は出席しない。修了式は各教室で全校放送で実施され、担任から修了証(通知票)を受けとる。

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【新型コロナ】土浦で臨時休校始まる 高校入試も緊張高め

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友達と間隔を空けてすわり、自主学習をする1年生=土浦市立真鍋小学校

新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を防ぐため、土浦市の公立小中学校で4日、臨時休校が始まった。同日、県立高校入試が予定通り行われ、マスク着用の受験生が試験に臨んだ。

登校は8%、真鍋小

【鈴木宏子】市立真鍋小学校(土浦市真鍋、小林知永校長、児童数838人)では1~4年生69人が登校し自主学習をした。

初日に登校したのは全校児童の約8%。保護者が共働きなどで日ごろ放課後児童クラブを利用している175人のうち4割で、5、6年生の登校は無かった。

自主登校する児童は、朝、体温を測定し熱がないことを確認する、保護者が送迎する、弁当を持参するなどが必要になる。同校では「(児童クラブ利用者のうち登校しなかった児童は)子どもの面倒を見てくれる祖父母や親戚などが見つかったのかもしれない」と話す。

登校した子供たちは全員がマスクをして、学年ごとに十数人が特別教室などに集まり、友達と間隔を空けて席にすわり、持ってきた漢字ドリルや計算ドリルなどを広げて自主学習した。

子供たちが飽きないようにと、クラスごとにローテーションを組み、図書館を利用したり、校庭で遊んだりする時間も設けられた。

休み時間の10分間は窓を開けて教室を換気、図書館に行ったり、校庭で遊んで教室に戻ってきたときは必ず手洗いをするなどの対策も徹底された。品薄のため店頭でマスクが購入できなかった児童にはマスクが用意された。

小林校長は「休校の間、子供たちには健康に十分に気を付けて、卒業式や修了式で元気な姿を見せてもらえたら」と話していた。

9日からは放課後児童クラブを利用してない希望者も受け入れるため、自主登校する児童は増えるとみられる。

受験生全員が着席して試験前の注意を聞く=土浦一高体育館

マスクし約450人が受験

【相澤冬樹】県立高校入試の4日、土浦一高(土浦市真鍋、植木邦夫校長)では全日制、定時制合わせ約450人が受験した。

試験に先立ち受験生全員が体育館に集められ、注意事項の説明を受けた。マスクを持参できなかった受験生も少数いたが、改めて支給され全員が着用して話を聞いた。携帯電話の持ち込みなどをチェックする手続きだが、例年と異なり椅子席が用意され着席で行った。受験生同士が近づき過ぎるのを避けるための配慮という。

同高は21年度から中高一貫校になるため、これだけの人数を集める最後の受験機会となった。

グランプリは審査員長絶賛のコメディー作品 つくばショートムービーコンペ

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グランプリ作品「ストレスフルスイング」の1シーン

【池田充雄】つくばからの文化発信と次世代の才能発掘を目指す短編映画祭「つくばショートムービーコンペティション2020」(つくば市、筑波学院大など主催)の審査結果が3日に発表された。応募総数165作品の中から「ストレスフルスイング」(監督/制作・山村もみ夫。)がグランプリに輝き、賞金10万円を獲得した。

グランプリ作の「ストレスフルスイング」は、ストレス解消のためバッティングセンターに来た男のストレスがどんどんたまっていく話。山村監督は「キャスト、スタッフ全員の力で取った賞だと思います。今後も見てくれた方の娯楽になれるような作品を作っていけたらと思います」とコメントした。同作品はつくば市の姉妹都市であるフランス・グルノーブルで開催の「第43回グルノーブル屋外短編映画祭」に出品され、渡航費が補助される。

つくば市長特別賞作品「おもいでの町」の1シーン

つくば市長特別賞を受賞したのは「おもいでの町」(監督・日原進太郎、制作・おだのこ)。旧小田小学校で開かれたワークショップ「こども映像教室~小田のまちを撮ってみよう!」から生まれた。同作品は市施設の大型ビジョンで定期上映される。当初は賞金5万円が予定されていたが、制作者の4人が小学生のため映画鑑賞券に変更された。副賞はつくば市名産品。

筑波学院大学長賞は「適度なふたり」(監督/制作・柴田有麿)。遠距離で暮らしていた新婚夫婦の初めての共同生活を通じて、夫婦になるとはどういうことかを描いた。アニメーション作品が対象のウィットスタジオアニメーション賞は「PIANOMAN」(監督・児玉徹郎、制作・ECHOES)。ショートショート部門賞は「惣菜」(監督/制作・野村穂貴)。高校生対象のワコムスチューデント賞は「蝉の声、風のてざわり」(監督/制作・﨑村宙央)。

佳作は、▽「Share the Warmth」(監督・村田朋泰)▽「LIFE」(監督・設楽馴)▽「Stability Place」(監督・福井優太)▽「裸の男」(監督・井上喜介)▽「つくばランタンアート」(監督・長浜貴男)の5作品(制作者名は省略)。市民審査員賞は今回、上映会の中止により該当なしとなった。

同コンペは10分以内の短編映像作品が対象で、映像ジャンルは自由。つくば市で撮影したカットを含む「つくば部門」、自由なテーマでオリジナリティある作品を作る「自由部門」、3分以内の作品を対象とする「ショートショート部門」からなる。一次審査を経て、2月29日に上映会と表彰式を含む最終審査会を開く予定だったが、新型コロナウイルス感染症予防対策のため中止され、審査会のみ非公開で実施された。

審査員は映画「奇跡のリンゴ」「殿、利息でござる!」などで知られるつくば市小田出身の中村義洋監督、アニメ「進撃の巨人」などで知られつくば市内に制作拠点を持つウィットスタジオ、五十嵐立青つくば市長、望月義人筑波学院大学長、つくば観光大使が務めた。

至福の時間を過ごせた

中村義洋審査員長の話 どの作品も愛にあふれ、そこに「創る意味」を見出すことができ、至福の時間を過ごさせていただいた。グランプリの「ストレスフルスイング」は脚本良し、芝居良し、編集(テンポ)良し、大いに笑わされ、第1回から個人的にこだわってきた「映画が好き! 楽しませるのが好き!」という選出基準を存分に感じさせてくれた。「惣菜」と「蝉の声、風のてざわり」は、これが高校生の作品かと驚かされた。

日原進太郎監督の話 子どもたちと一緒に制作した作品が、ワークショップ内の上映会に留まらず、賞を頂けたことが大変うれしい。子どもたちが作文に書いた思い出も、切り取った風景も、彼らの私的なものに過ぎません。しかし、人々の些細な思い出が詰まった町だからこそ、守り、残して行かなければならない。その想いを踏まえ「おもいでの町」を制作しました。このテーマはどの町にだってある普遍的なもの。小田を越えて、ぜひ多くの人に見てもらいたい。

【新型コロナ】土浦の小中学校で学年最後の授業

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担任から臨時休校中の家庭学習などについて説明された6年生の学級活動

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を防ぐため、土浦市の公立小中学校が4日から臨時休校となるのを前に、市内の小中学校で3日、学年最後の授業が行われた。同市では全国より2日長く準備期間を設けた。

「子供たちに委ねることになってしまった」

市立土浦小学校(同市大手町、児童数626人)では3日朝、小島勝則校長が放送で全校児童にメッセージを送り「生活のパターンを決め、時間を有効に使ってほしい」と呼び掛け、「特に不特定多数が集まる場所、換気の悪い場所、人が密集する場所には行かないで」などと話した。

小島校長は「本来なら3月はこれまでの学習と生活を振り返り、次への準備をするはずだったが、中途半端になってしまい、この部分を子供たちに委ねることになってしまった」と語った。

この日は学年ごとにそれぞれ、授業をしたり、学級活動をしたり、レクリエーションを実施した。6年生は、時間短縮や規模縮小のため例年とはスケジュールが大きく変わる19日の卒業式に向けて練習した。子供たちには、授業で実施することができなかった課題やテストなど、たくさんのプリントが配られた。

「信じられないような3日間過ごした」

6年生の学級活動では担任の高田淳平教諭が「本来ならきょうは最後の校外学習に行っていた日。(政府による臨時休校が発表されから)信じられないような3日間を過ごした」と子供たちに語り掛け、「これから家で過ごす時間が長いので、1日の中で学習時間を決め計画的に学習してほしい。中学生になる準備期間としてしっかり過ごしてほしい」と呼び掛けた。その上で、臨時休校中にどのような学習をすべきかを教科ごとに説明し、毎日、学習した内容や学習時間を書き込むことを促した。

さらに「(臨時休校は)君たちのせいじゃないが君たちも社会の一員。新型コロナウイルスがこれ以上、社会に広がらないようにしっかり過ごしてください。家族の一員として、家族を助けてください」などと話した。

4日からは原則、自宅学習となるが、親が仕事などで面倒を見られない場合は午後2時までは学校で、2時からは学校敷地内の放課後児童クラブで受け入れる。自宅で過ごす子どもたちについては、臨時休校中、担任が家庭を訪問するという。

「学校にいたかった」

臨時休校について6年生の女子児童は「もっと学校にいたかった」と話し、男子児童は「中途半端な感じて終わってしまった」などと述べた。

小学3年生の子どもをもつ母親は「パートを休もうかどうしようか、今まだ悩んでいる。今週は隣町に住む母親が子どもの面倒を見に来てくれるが、父親に持病があるので感染させてしまわないか心配がある。放課後児童クラブに入ってない子も学校で預かってくれるということなので、こちらも考えたい」などと話した。別の母親は「感染を防ぐために(臨時休校は)仕方ないと思うが、共働きの家庭は大変だと思う」などと語っていた。

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4月から屋内全面禁煙へ 県が改正法周知を徹底

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茨城県が作成の全面禁煙ちらし

【山崎実】受動喫煙防止を柱とする改正健康増進法が4月1日から全面施行されるのに伴い、飲食店などが原則、屋内禁煙になるため、茨城県は法改正の周知徹底に取り組んでいる。

同法では昨年7月、学校、病院、保育所・子ども園など児童福祉施設、行政機関の庁舎などでの敷地内禁煙が実施された。

4月からはオフィスや事業所、ホテル・旅館、理・美容室、公衆浴場、百貨店、飲食店、娯楽施設など、昨年7月に実施された以外のすべての施設で原則、屋内禁煙となる。

受動喫煙防止対策が法律で義務化されるわけだが、一方で一定の条件を満たせば、「喫煙専用室」「加熱式たばこ専用喫煙室」、経過措置として「喫煙可能室(店)」などを設置することができる。さらに「喫煙室」には標識掲示が義務付けられる。

これは▽望まない受動喫煙を無くす▽受動喫煙の影響が大きい子供や患者などに特に配慮する▽施設の類型・場所ごとに対策を実施するーことが目的。

一方、改正法の全面施行を前に、不況感や人手不足、新型コロナウイルスなど課題は山積している。隣の福島県では県議会最大会派の自民党議員会が、受動喫煙防止を目的とする条例策定の検討に着手した。改正法施行をめぐる動きは茨城県もこれからが本番だが、各業界関係者からは「経営的に厳しくなる」という声が強い。

支援策として国が、喫煙室の設置など技術的な相談窓口や、財政・税制上の支援制度を設けている。問い合わせは次の通り。

▽受動喫煙防止対策助成金の問い合わせ=厚労省茨城労働局・労働基準部健康安全課(電話029-224-6215)
▽受動喫煙防止対策に関わる相談支援=日本労働安全衛生コンサルタント会(電話050-3537-0777)

県関係では、県保健福祉部健康・地域ケア推進課、県内保健所・健康増進課が改正法の啓発、周知活動を行っている。

るるぶ「つくば国際会議場」発行

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るるぶ「つくば国際会議場」

【山崎実】つくば国際会議場(つくば市竹園)は、首都圏などでの新規顧客の開拓と創出を目指し、従来のパンフレットに加え、新たに「るるぶ特別編集『つくば国際会議場』」を作成した。会議場のようなコンベンションホールやアリーナなどの類似施設が「るるぶ」を作成するのは全国で初めての試みという。

主な掲載内容は、同会議場のホール&会議室ガイドのほか、周辺観光スポット、グルメスポットの案内などで、同会議場ガイドは、会議場がどのような施設で、どのようなことができるのか、会議場にあるホールや会議室などの具体的な利用例を写真を交え、分かりやすく紹介している。

周辺観光スポット「サイエンススポット巡り」は、JAXA筑波宇宙センターをはじめ国立科学博物館・筑波実験植物園、産業技術総合研究所・地質標本館など最新の科学を堪能できる施設を盛り込んでいる。

さらには、つくばに初めて来た人たちのためのグルメスポット(つくばラーメンなど)や、人気の土産品までを網羅し、紹介している。

同会議場は1999年の開業以来、昨年のG20茨城・つくば貿易デジタル経済大臣会合や国際会議、イベントの舞台として、県内外の大学、研究機関、企業などから利用されてきた。新たな局面への事業推進の一環としてガイドパンフレットを作成した。

今後は、JTBの協力で全国90支店での営業活動に今回のパンフレットを活用するという。問い合わせは同会議場(電話029-861-1205)

木造公共施設の整備拡大 森林湖沼環境税を活用

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2018年度に採択され建設されたつくば市春風台の木の家住宅博つくばセンターホール。住宅博終了後は地区集会所となる

【山崎実】茨城県が2008年度から導入した森林湖沼環境税を活用し、木造公共施設の整備促進を図る「いばらき木づかいチャレンジ事業」が県内市町村に浸透して好評だ。今年度も土浦市の認定こども園など4市が同税による補助を受け、県産材の需要拡大に取り組んでいる。

つくばの地区集会所、土浦の認定こども園舎を県産材で

同税は県民1人当たり年額1000円で、県内の森林や湖沼・河川などの自然環境を保全する財源として導入された。18年度からの第3期・森林関係では、林業経営による適切な森林経営と木材利用の推進、森林に関する県民意識の醸成を図ることが目的。

中でも、木づかいチャレンジ事業は、地域材の需要拡大を推進するため、その使い方(非住宅分野)をPRし、木材利用のモデルとなる建築物の木造化・木質化に対する支援制度で、補助額は2分の1(上限1000万円)。

この制度を活用し、18年度はつくば市の木の家住宅博つくばセンターホール(春風台地区集会所)、牛久市の市立第一幼稚園、かすみがうら市の診療所メドアグリクリニックかすみがうらなど、県内6市の事業が採択された。

19年度の事業実施箇所は▽土浦市(もみじ第二こども園、木造2階建て、地域材使用量31.63立方メートル)▽ひたちなか市(はなのわ幼稚園、木造平屋建て、同67.70立方メートル)▽笠間市(すみれこども園、木造平屋建て、同43.51立方メートル)▽常陸大宮市(研修施設、木造平屋建て、同34.04平方メートル)―の4施設。

幼稚園やこども園では、原木に近い丸太をダイナミックに組む丸太組み工法を採用することで、子供や保護者が木の魅力を感じることができる施設になるなど、木の利用のこだわりに人気があるという。

森林湖沼環境税の第3期・森林関係ではこのほか、間伐が3000ヘクタール、再造林220ヘクタール、海岸防災林の機能強化・植栽面積72ヘクタール、森林・林業体験学習の参加5万人ーなどが計画されている。