水曜日, 9月 9, 2026
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自転車乗せてようやくの船出 霞ケ浦広域サイクルーズ

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自転車とともにホワイトアイリス号に乗り込むサイクリストたち=土浦港(土浦市川口)

【伊藤悦子】霞ケ浦のクルージングとつくば霞ケ浦りんりんロードの湖畔サイクリングが一緒に楽しめる「霞ケ浦広域サイクルーズ」が3日、土浦港(土浦市川口)発着で行われた。コロナ禍で開催が先延ばしになっていたが、ようやくの船出に待ち望んだサイクリストらが遊覧船ホワイトアイリス号に乗り込んだ。

サイクルーズは今シーズン、新たな寄港地に歩崎桟橋(かすみがうら市)が加わり、玉造桟橋(行方市)、潮来港(潮来市)と合わせ3カ所を周遊するコースとなった。遊覧船を運行するラクスマリーナ(土浦市川口)の高野利夫さんは、「3月頃から新型コロナの影響でずっと開催できなかった。今日やっとできてようになって待ちに待ったという感じ」と語った。

土浦港の出港は午前9時半、サイクリスト29人が愛車とともに乗船した。乗船中はスタッフ、客ともマスクを着用、乗・下船のたびにアルコールスプレーで手指を消毒するなど、新型コロナ感染対策を行った。船内にはサイクルスタンドが設置されるなど輪行仕様になっている。

サイクルーズでは各寄港地まで乗船して自転車で各地に向かったり、逆に寄港地まで自転車で行き船で土浦港まで戻ったりと、体力に合わせた好きな楽しみ方ができるのが特徴だ。歩崎桟橋は今年7月22日に開所したばかりで、サイクルーズの遊覧船が寄港するのはこの日が初めて。新しい桟橋にも数人のサイクリストが降りたった。

桟橋に停泊中のホワイトアイリス号=歩崎桟橋(かすみがうら市)

潮来港から乗船してきた都内在住の女性(31)は、JR東日本千葉支社が運行しているサイクリスト専用電車「B.B.BASE(ビービーベース)」を利用して、両国駅(東京)から潮来まで来た。「サイクルーズの動画を見て、楽しそうだと友人と申し込んだ。今日は土浦駅に隣接したホテルに泊まる。土浦は初めてなのでとても楽しみ」という。

快晴無風、絶好のサイクリング日和を満喫した一行は午後1時に土浦港到着。自転車を持っていない人でもレンタルサイクルで楽しめるのがつくば霞ケ浦りんりんロードで、サイクルーズの寄港地でも利用可能だ。オンライン予約は「RingRing広域レンタサイクル予約システム」から。

サイクルーズは完全予約制。土浦港から潮来港が1回乗船1000円(税込み、小学生以下は半額)その他の区間は1回乗船500円(同)。今後の日程は次の通り(いずれも土曜日)。10月17日、31日、11月14日、28日、12月12日、来年1月23日、2月6日、20日、3月6日、20日。問い合わせはラクスマリーナ(電話029-822-2437)

【気分爽快りんりんロード】5 レンタサイクルの楽しみ 伊藤孝二さん

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サイクリングサポートデスクの伊藤孝二さん=福島・磐梯山を背景に撮影

【田中めぐみ】一度はりんりんロードを走ってみたいが車しかない、輪行できるような自転車は持っていない、そんな人におすすめなのが、りんりんポート土浦(土浦市川口)で借りられるレンタサイクルだ。茨城県と土浦市、つくば市など8市町で構成する水郷筑波広域レンタルサイクル事業実行委員会のサイクリングサポートデスク、伊藤孝二さんに話を聞いた。

りんりんポート土浦は、自転車と車と船をつなぐ交通拠点として昨年3月にオープンしたスポット。敷地内をりんりんロードが通っており、およそ100台の無料駐車場に、無料Wi⁻Fi環境のある休憩スペースやシャワー室、自転車のメンテナンススペースを完備している。1階はガラス張り、屋上からは霞ケ浦を望める開放的な施設だ。

伊藤さんは新潟県の出身で、全国のサイクリングロードに詳しいサイクリストだ。JCF(日本自転車競技連盟)の審判員やサイクリング・インストラクターの資格も持つ。2011年に早期退職して自転車関連の仕事を始めた。広島・岡山両県にまたがるサイクリングロード「しまなみ海道」には、出張とプライベートを合わせ、年に10回、10年間通ったという。

「サイクリングの魅力は、四季折々の風を感じられることでしょうか。レースには出ませんが、一時期ロードバイクでストイックに自分を追い込み、峠や長い距離を走ったりもしていましたが、やはり気の合う仲間と走ったり全国各地をめぐるサイクリングが一番楽しいですね」2014年からは茨城県のサイクリング事業に携わり、サイクリングのPRや安全教室など自転車活用推進活動を行った。現在の広域レンタサイクル事業には2015年から携わっている。

2019年度のレンタサイクル利用台数は3024台に達した。サイクリングサポートデスクの仕事は、毎日30件以上あるレンタサイクル利用者の予約、問い合わせなどのメールを整理して自転車の配置計画を立てること。また、その計画に従って利用者の希望する施設へ自転車を配送、回収したり、自転車のメンテナンスを行ったりしている。常にワゴン車で移動しているため、デスクにいることはほとんどないという。

6車種がレンタル可能

レンタルできる車種は6種類で、1日1500円から4000円(無料ヘルメット付き、税込み)。車種によって料金が異なる。どんなところでも走りやすいクロスバイクは万人におすすめだ。ミニベロ(小径車)は小回りが利くので街乗りに適しているという。

体力に自信のない人や、初心者だが経験者に同行したい人などには、電動アシスト付きのクロスバイク「Eバイク」が便利。いわゆるママチャリの電動自転車は充電が早々に切れてしまうが、貸し出しているEバイクはスポーツバイクと同様の設計でバッテリーの容量も大きい。りんりんポート土浦から筑波山まで往復したり、霞ケ浦一周したりしても充電が切れる心配はないという。

用途に応じ、様々な種類のレンタサイクルが用意されている=ラクスマリーナ(土浦市)敷地内倉庫

2人乗り用のタンデム自転車もある。レンタサイクル事業は、TXつくば駅のつくば総合インフォメーションセンターを含むりんりんロード沿い11カ所の施設で行っており、乗り捨ても可能。(タンデムのみ乗り捨て不可)利用日の3日前までの予約が必要で、つくば霞ケ浦りんりんロードホームページ「RingRing広域レンタサイクル予約システム」からオンラインで予約ができる。これから自転車を始めようというなら、購入前にレンタサイクルで乗り心地を試してみる利用法もありそうだ。

船や電車の輪行便 3日スタート

りんりんポート土浦に隣接するラクスマリーナ(土浦市川口)が運航する「霞ケ浦広域サイクルーズ」は、自転車を乗せられるクルージング。今季は3日のスタートとなる。土浦港午前9時30分発で、湖内の歩崎桟橋(かすみがうら市)、玉造桟橋(行方市)、潮来港(潮来市)を回り、土浦港に午後1時に戻ってくる。

今夏お目見えした歩崎桟橋(かすみがうら市坂)までレンタサイクルで行き、土浦まで船で戻ってもいいし、潮来港から半周するプランなら霞ケ浦一周より気軽に挑めそうだ。土浦港-潮来港が1回乗船1000円(税込み、小学生以下は半額)、その他の区間は500円(同)。来春まで土曜日に11回の運航が予定されている。完全予約制。電話029-822-2437(ラスクマリーナ)

身長に合わせて自転車を選ぶことができる。サポートデスクの伊藤さん=りんりんポート土浦

3日はまた、自転車をそのまま電車内に持ち込んで移動できるサイクルトレイン、房総バイシクルベース(通称B.B.BASE)が佐原・鹿島コースの運転を開始する。3日、4日と11月7日、8日の土日の期間限定で、鹿島線の鹿島神宮駅、潮来駅に停車する。潮来着は往路が午前10時07分着、復路が午後5時06分発だ。JR東日本千葉支社がサイクリスト向けに企画した。

通常、電車内に自転車を持ち込む際は折りたたんで輪行袋に入れなければならないが、B.B.BASEには専用ラックが備え付けてあり愛車をそのまま持ち込むことができるという。「霞ケ浦広域サイクルーズ」と組み合わせれば、潮来駅から一気に房総方面まで遠征できる、と伊藤さんのおすすめ。前日までの予約が必要で、計画する際は注意したい。

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コロナ禍 上半期4割減 県内の観光客

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客足の途絶えた春休みの筑波山神社門前通りの様子

【山崎実】コロナ禍に見舞われた今年の上半期(1~6月)に茨城県の観光地などを訪れた観光入込客数(延べ人数)は、前年同期と比べ58.7%(41.3%減)の1812万3000人にとどまったことが分かった。

県観光物産課が速報値として、県内の観光地175地点と、行祭事・イベント103件などの入込客数を合算した。昨年上半期は3088万人だった。1275万7000人の減となる。

月別の推移状況をみると、新型コロナウイルス感染拡大の影響が如実だ。2月の入込客数は前年同期比11.1%増の338万8000人だったが、全国で新型コロナウイルスの感染拡大が顕在化した3月は37.6%減の287万2000人と一気に下落した。ゴールデンウイークをはさんだ4月と5月に至っては、4月が76.2%減の136万7000人、5月が76%減の159万5000人に落ち込んだ。いまだに回復の兆しは見えない。

昨年は台風で消費額大幅落ち込み

また同課は昨年1年間(19年1~12月)の観光客入込状況をまとめた。観光地点などの入込客総数は6443万4000人、増加した主な観光施設(地点)は、酒烈磯前神社(ひたちなか市)41万人増、いきいき茨城ゆめ国体(全市町村)77万人増、常陸大津の御船祭(北茨城市)20万人、神峰神社大祭礼(日立市)19万人増ーなど。

しかし観光消費額は、那珂川や久慈川が氾濫した台風19号の影響で10~12月期の消費額が大幅に落ち込み、前年比2.7%減の248億9500万円だった。

《続・気軽にSOS》70 つらくなったときに誰を頼るか

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【コラム・浅井和幸】Aさんが自らの命を絶つしか方法が思い浮かばない―その不安感、恐怖感、絶望感は、そうでない立場に立つBさんには想像を絶するものです。BさんがかつてAさんと「同じ状況」を経験していても、それは「似た状況」であって「同じ状況」ではありません。

他の人の苦しさを簡単に推し量ることは誰にもできません。苦しさの最中にいる本人でも、分からないこともあるものです。「視野が狭くなっている」と表現することも可能な苦しい状況ですが、その「視野の狭さ」が当人には感じることのできる世界の全てなのです。

AさんとBさんには何ができるでしょうか。まずBさんですが、ある日、突然Aさんのような苦しい状況に陥るかもしれません。そのときのために、Bさんは普段から信頼できる複数の人間関係をつくっておきましょう。何かにつけて、その人たちに相談する習慣をつけておくとよいです。

つらくなったときには、誰を頼るか、どこに連絡を取るかなどを、日ごろからメモしておくのもよい方法です。これは、普段から避難訓練をしていたり、「119」「110」などの電話番号を意識したりしている方が、いざ火事や事故のときに行動がとりやすいのと同じです。

信頼できる人と時間を共に

そして、渦中にいるAさんはどうすればよいでしょうか。まず「死にたい」と考えてしまう状況は、充分に医療に頼る理由になるということを覚えておいてください。

熱が出てフラフラのときに内科を受診して服薬で症状を緩和したり、消化のよいものを食べてゆっくり休むように、精神科や心療内科を受診して服薬やカウンセリングで症状を緩和すること、睡眠などで休養をとることが大切です。「死にたい」は疲労がたまり過ぎた状況です。

信頼できる人と時間を共にしてみましょう。気持ちに余裕が出たら、アドバイスも聞いてみてください。アドバイスには絶対に従わなければいけない訳ではなく、別の考え方もあるということの確認する程度で構いません。無理なアドバイスは聞き流します。

Bさんが持つとよいAさんに対する心構えも、とても難しい問題です。緊急な場合は救急車を呼ぶということになります。緊急を要しないときは、Aさんに寄り添い、空間や時間を共にすることから始めてください。

Aさんに余裕があるように感じられ、できそうと判断できれば、少しアドバイスをしてみてください。アドバイスができそうもなければ、Bさんが専門家に相談してみてもよいでしょう。

アドバイスをしたら、Aさんが余計につらそうにしていれば、無理強いせずに、また寄り添ってあげてください。つらい理由が何かを無理に聴かず、Bさんの正当性を押し付けず、そっと隣にいてあげてください。Aさんが明日に希望を持てたら理想的ですが、そうでなくとも、そこに居てよいという安心感を感じられるようになるために。(精神保健福祉士)

県障害者権利条例5周年 差別根絶に向けて関係団体がパレード

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県障害者権利条例5周年パレードの様子=つくば市内(撮影・柴田大輔)

【川端舞】県障害者権利条例の施行5周年を記念し、「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)が1日、つくば市内をパレードした。参加した障害者らは、障害者差別のほか、新型コロナウイルス感染者や医療従事者に向けた差別など、全ての差別を根絶しようと訴えた。

障害者の生きづらさを訴える

パレードには、「―をつくる会」のメンバーである障害者や支援者、つくば市議会議員など約40人が参加した。例年は4月に権利条例を周知するためにパレードを開催していたが、今年は新型コロナの影響で延期になっていた。

参加者は、つくばメディカルセンター病院(同市天久保)前からつくばカピオ(同市竹園)までの歩道を、1時間ほどかけて行進した。

参加者が持つプラカードには、「子供扱いされました」「バリアフリーの物件ない」など障害者の生きづらさを訴える言葉や、「仕事をしたくても制度利用中、仕事できません」のような社会制度の改善を求める言葉が書かれていた。さらに今年は、新型コロナ感染拡大のなか介助を続けてくれる介助者への感謝の言葉や、患者や医療従事者への差別にも反対する「NO差別 一切の差別にNO!」という言葉が書かれたプラカードもあった。参加者は、お互いに距離を保ち、プラカードの言葉をコールしながら行進した。

コロナ禍のなかの新たな差別

「―をつくる会」共同代表の生井祐介さん(42)は、「条例ができて5周年だが、県内の障害者や支援者でも条例のことを知らない人がまだまだ多い。障害者が住みやすい町にするためには、地域のお店などにも条例について知ってもらう必要がある。毎年パレードを開催し、条例を多くの県民に知ってもらうことは大切だ」と語った。

新型コロナの感染防止のためにパレードの中止も考えたという。しかしコロナ禍で、患者や医療従事者への差別的言動など、これまで見えなかった差別が浮き彫りになるなか、条例の周知は意義のあることと考え、パレード開催に踏み切った。

参加したメンバーの1人は、「条例制定から5年経って、少しずつ合理的配慮が広がっている。私たちが目指している共生社会に進んでいっているのがうれしい」と話した。また、障害者らと一緒に行進したつくば市議会議員は、「このような機会で多くの人に障害者のことを知ってもらうことは大切だ。市議会でも障害者福祉などに関する議論を深めていきたい」と語った。

障害の有無にかかわらず「住みなれた地域で共に歩み幸せに暮らすことができる社会の実現」を掲げる県障害者権利条例は、国の障害者差別解消法に先立って2015年4月に施行。障害のある人やその家族が暮らしやすいよう、環境や考えを変えていく「合理的配慮」が明記された。

市議選は16人超の44人出席 つくば市立候補予定者説明会

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つくば市長選・市議選立候補予定者説明会の様子=1日、つくば市役所コミュニティ棟

【鈴木宏子】任期満了に伴って18日告示、25日投開票で行われる、つくば市長選と市議選同日選挙の立候補予定者説明会が1日、同市役所で開かれた。市長選は3陣営、市議選(定数28)は16人超の44陣営関係者が出席した。有権者数は18万6896人(9月1日現在)で、4年前の前回より約1万2000人増えている。

市長選はいずれもすでに立候補を表明している、現職の五十嵐立青氏(42)と、新人の富島純一氏(37)の陣営関係者が出席した。市選管によると、もう1人の出席者は本人の希望で氏名非公表という。

市議選は出席した44陣営のうち42人が氏名を公表した。42人の内訳は現職23人、新人18人、元職1人。現職5人が引退する見通しだ。氏名非公表の2陣営は本人の希望。

4年前の市議選は定数28に対し10人超の38人が立候補した。今回は前回をさらに上回る激戦になりそうだ。

市議選の立候補予定者説明会出席者42人は以下の通り(敬称略、受付順)

新 伊藤 栄
元 飯岡 宏之
現 久保谷 孝夫
現 山本 美和
現 木村 修寿
現 小野 泰弘
新 鶴田 真子美
現 五頭 泰誠
現 神谷 大蔵
新 木村 芳美
現 滝口 隆一
新 藤岡 輝子
現 小久保 貴史
現 鈴木 富士雄
現 木村 清隆
現 浜中 勝美
現 小森谷 さやか
新 中村 重雄
現 橋本 佳子
新 川久保 みなみ
新 浅野 英公子
新 中山 道世
新 野友 翔太
新 川村 直子
新 宮本 たつや
現 須藤 光明
新 加藤 純子
現 塩田 尚
現 金子 和雄
新 佐藤 大輔
現 長塚 俊宏
現 黒田 けんすけ
新 三島 裕子
新 下神納木 かえ
新 小村 政文
現 高野 文男
現 山中 まゆみ
新 福田 恵
現 皆川 ゆきえ
新 仲村 健
現 塚本 洋二
現 ヘイズ ジョン

《ことばのおはなし》26 しおりひものおはなし

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【コラム・山口絹記本についているひもには名前がある。あれはしおりひもというのだ。新しい本には、ひもがくるんとまるまってページに挟まっている。それをピンと伸ばして最初のページに挟むところから、おはなしは始まる。

しおりというのは、そのおはなしの中で自分がどこに立っているのか、迷子にならないための目印だ。これがあるから、安心しておはなしの中を好き勝手に歩いていられる。しおりひもがついていない本には、自分の好きなものを挟んでおけばよい。

しかし、本の外の世界にはしおりがない。だから、気を抜くと自分が今どこにいるのかすぐにわからなくなる。どこにでも置いておける、消えないしおりがあればいいのにな、と、ときどき思う。走りすぎて自分の居場所がわからなくなっても、気がついたら知らない場所にいても、怖くない。

何をしおりにしたらいいのだろう。大切な人だろうか。自分の家? よく行く喫茶店? 残念ながら違う。人も、家も、喫茶店も、いつかはカタチを変えて、無くなってしまう。それではしおりにはならない。そういうものたちは、しおりではなく、本でいったら文章だからだ。自分のおはなしに登場するものを、しおりにしたって仕方がない。

私にとってのしおりとは、何だろう。今まで過ごしたおはなしと、今現在、そしてこれから先に紡がれるおはなしのなかで、ゆるぎない目印になるもの。目に見えるものでは駄目なのかもしれない。カタチがあるものではいけないのかもしれない。

自分のおはなしのしおりは“ことば”

小さいころから考えていたこの問題の答えを見つけたのは、大学の卒業式の日だった。

式から帰ってくると、4年間お世話になった教授からメールが届いた。そのメールには、祝辞とは少し違うことばがあった。これから生きていくなかで、人生の指標になるような、支えになるような、とても力強くて、優しいことばだった。

そのメールを読んだとき、自分のおはなしのしおりは、“ことば”なのだということに気がついたのだ。少し不思議なおはなしだ。本のしおりはことばに挟むものなのに、私のおはなしのしおりは、“ことば”なのだ。でも、それはとても自然に、ひらりひらりと落ちてきた桜の花びらが、すっと肩に乗るくらいに、音も無く私の心の中に落ちて落ち着いた。実はもう、たくさんのしおりを持っていたのだ。

だから、ある日突然、失語で自分の中からことばが消えたことは、私にとって明確な理由を持って、事件だった。私はことばと同時にしおりをなくしたのだ。同時に、1秒たりとも迷わず、ことばを取り戻すために努力ができた。面白いものだな、と思う。

日々、光陰矢のごとしと過ぎていく日常の中で、今この瞬間に必死になっていると、ついいろいろなことを忘れてしまう。いつも一緒にいた大切な人、好きだった場所、よく聴いていた音楽、そういったものがあっという間に過ぎ去って、薄れていく毎日だ。だからこそ、大切なことばを心に刻んで、しおりにして生きていく。(言語研究者)

1日から県伝統工芸品展 イーアスつくば

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第39回茨城県伝統工芸品展のちらし

【山崎実】匠の技が集結する「茨城県伝統工芸品展」(同展実行委員会主催)が10月1日から4日まで、つくば市研究学園のイーアスつくばで開かれる。

茨城の風土と暮らしの中で育まれ、受け継がれてきた伝統工芸品を一堂に集め、製造者の意欲高揚と、工芸品に対する県民の認識を深めることを目的にしたもので、今年で39回目を数える。

知事指定の特に優れた伝統工芸品は現在40品目(4月現在)あり、2017年には時代への継承を目指し、高度な技術を保有する製造者を「茨城県伝統工芸士」として知事が認定するなど、社会的声価を高める施策を推進している。

今回出展される伝統工芸品は笠間焼、結城地方の桐下駄など16品目。イーアスコートでは伝統工芸体験ワークショップとして、桐小物入れづくり、総桐小たんすづくり、桐のリースづくりの3種類が行われる。また製作実演として、ミニ下駄ストラップづくり、ひな人形づくり、杉線香づくりが披露される。

会期中、会場でのアンケート協力者に先着で笠間焼のレンコン箸置きがプレゼントされる。

会場はイーアスつくばのメインコート・イーアスコート。問い合わせは県産業政策課地域産業振興室・同実行委員会事務局(電話029-301-3585)

展示・販売される16品目の伝統工芸品

・笠間焼
・結城地方の桐下駄(げた)
・結城桐箪笥(たんす)
・水戸やなかの桶(おけ)
・石岡府中杉細工
・石岡の桐箱
・茨城藤工芸
・西ノ内和紙
・本場結城紬
・水海道染色村きぬの染
・常陸獅子
・水府提灯
・桂雛
・線香
・真壁石燈籠
・霞ケ浦帆引き船模型

《食とエトセトラ》7 子ども時代に本物に触れる

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宮城県知事賞を受賞した29歳のころの作品

【コラム・吉田礼子】つくば市にあるノバホールで、劇団四季のミュージカル「王様の耳はロバの耳」を観たのは、娘が小学1年のころでした。舞台上の子どもたちの熱気、歌詞、メロディーは今でも鮮やかによみがえります。

当時、劇団四季は、日本中の子どもに本物の舞台芸術を伝えたい、とりわけ地方の子どもたちに届けたい―と、高い理想を掲げていました。日本財団の賛同もあり、格安のチケットを入手でき、プロのミュージカルを観ることができました。

娘のピアノ発表会も同じステージでできたことは、貴重な思い出 です。子ども時代に「本物」に触れることは、美しいものを感じる心、真贋(しんがん)を見極める目を育てます。幼い時のことを覚えていなくても、豊かな心の財産になります。

親としても、豊かな経験が一緒にできるのはありがたいことです。また、子どもと共通の趣味の持てるようになったのはうれしいことです。大人は種をまく人、子どもは自ら育つ力を持つ存在と言えるでしょう。

なぜ『百本しんにゅう』を書くのか

私は30年ぐらい、子ども書道教室を主宰していました。小学1~2年生にとって、毛筆は初めての経験。筆の持ち方、道具の扱い方、筆の入れ方、横画、縦画、丸、点、はね、はらいなどを、一生懸命覚えます。

毎回お手本を書くことは大変です。まずお手本を見て学んでもらいますが、お手本通りに書けることは到着点ではありません。ある技術を習得するための一つの目安に過ぎません。はるか遠くの高みにある、美しいものを美しいと感じる感性の世界を目指します。いわば同門の志のようなものです。

書道も技術だけではなく、「道」が付くものは修養が肝心です。子どもだからと手加減してはいけません。小学6年の子が「低学年のとき、百本ノックのように『百本しんにゅう』をなぜ書くのか意味が分からなかった。でもこのごろ分かってきた」と漏らしたことがあります。成長の姿には心を打たれました。(料理教室主宰)

茨城県の最低賃金851円に 2円引き上げ

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茨城県庁

【山崎実】茨城県の最低賃金が10月1日から時間額851円に引き上げられる。既に官報に公示され、県内の事業所で働く常用、臨時、パート、アルバイトなど、すべての労働者に適用される。

新型コロナ禍の影響で厳しい経済情勢の下、大井川和彦知事は7月、茨城地方最低賃金審議会(田中泉会長)に経済にかかわる諸指標を数値化した総合指数は全国11位なのに対し、最低賃金は16位で近隣県と比較しても低く、栃木県との4月の差は過去6年間変動しておらず、このままでは本県の労働力確保はさらに困難になるーと引き上げを要請した経緯がある。

審議会は8月、現行の時間給849円を2円引き上げて(引き上げ率0.24%)851円に改正することが適当と答申し決定した。

近県の状況は、栃木県が現行の853円から1円引き上げて854円、群馬県が835円から2円引き上げて837円に、東京都は1013円のまま据え置かれた。

一方、働き方改革の推進に伴い、中小企業は2021年4月からパートタイム・有期雇用労働法等により、同一労働同一賃金が適用される。このため働き方改革推進支援センター(フリーダイヤル0120-971-728)は周知徹底を図るべく、「同一労働同一賃金・テレワークセミナー」を実施している。

なお、中小企業や小規模事業者における最低賃金の引き上げに関連する各種助成金の活用、無料相談窓口など支援措置に関する相談は、茨城労働局雇用環境・均等室(電話029-277-8294)

《令和楽学ラボ》9 茨城の和紅茶づくり

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高安園の城里和紅茶

【コラム・川上美智子】「古内(ふるうち)茶の紅茶ができたので1つ持っていってください」と、9月の茨城県議会の折に加藤明良議員から声をかけられました。水戸光圀(みつくに)が愛(め)でた古内の在来種の茶葉100%を原料にした紅茶は、きれいにパッケージされ、高安園の城里和紅茶と名付けられていました。

「昨年、この紅茶を銀座の茨城県アンテナショップ『Ibaraki Sense(イバラキ・センス)』に出品したところ、お客様から台湾の東方美人(オリエンタル・ビューティー)の香りがすると言われたんですよ」と、うれしい報告もありました。

東方美人は知る人ぞ知る最高級の赤烏龍(うーろん)茶です。100グラム〇万円もする高価なお茶で、現在ではなかなか手に入りません。今から25年前にその香りを分析する機会を得、マスカットのような独特の香りが、2,6-dimethyl-3,7-octadiene-2,6-diol(2,6-ジメチル-3,7-オクタジエン-2,6-ジオール)と本物質が脱水したHotrienol(ホトリエノール)の2つの化合物に起因することを突き止めました。

また同時期に、マスカットフレーバーが特徴であると言われるインド・ダージリンのセカンドフラッシュの紅茶試料も手に入り、分析を行うことになりました。この紅茶も、他の紅茶に比較し2化合物の含有比が高いことがわかり、ダージリン紅茶の特有香になっていることを明らかにしました。

そして、赤烏龍茶とダージリン紅茶の共通点を調べているうちに、どちらもウンカ芽(昆虫のウンカの加害を受けた茶芽)を原料にしていることを突き止めました。学会で加害を受けて生成する化合物の発表をしたところ、海外の科学者たちは色めき立ち、最終的に中国の著名な茶の研究者が、2,6-dimethyl-3,7-octadiene-2,6-diolは、加害を受けた茶芽がウンカの天敵の昆虫を呼び寄せるために作り出した化合物であることを明らかにしました。

ウンカの加害を受けた二番茶で

昨年5月、城里町で茶の香気研究の講演を依頼され、茶業者の方々にこのウンカ芽の話をさせていただきました。その折に、紅茶づくりはウンカの加害を受けてからの二番茶を使うとマスカットフレーバーが付与するので、「紅茶づくりは二番茶で」を強調させていただきました。それを忠実に実行して出来上がったのが城里和紅茶だとうかがい、本当にうれしく思いました。

ずっと以前に、静岡の茶業者への講演でも二番茶を使った紅茶製造をお奨めし、和紅茶づくりの火付けとなりましたが、この茨城でお役に立てることは研究者冥利(みょうり)に尽きます。近年、奥久慈や猿島でも和紅茶がつくられるようになりましたが、新参の古内のおいしい和紅茶をぜひお試しください。(茨城キリスト教大学名誉教授)

土浦の学校を爆破予告 36校で警察と巡回点検へ

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土浦市役所

土浦市は28日、市内の小中高校、大学を29日爆破し、市役所を銃で襲撃するなどの予告が、28日午前0時過ぎ、市ホームページのお問い合わせフォームにあったと発表した。

市危機管理室によると、予告内容は「29日午後0時30分より、市内の小中学校、高校、大学を爆破し、その混乱に乗じて児童・生徒を数名誘拐する」、さらに「29日午後1時30分ごろに市役所を銃で襲撃する」など。併せてビットコインを要求しているという。

予告を受けて市は28日に土浦警察署に通報、さらに市内にある小中高校と特別養護学校、短大、大学の計36校に通知し状況を説明した。

予告日の29日は朝から、警察官が市内の各学校に行き、学校職員と共に校内や周辺の点検やパトロールを実施する。

さらに市役所は、正午から午後2時まで、各階の出入口を1カ所のみに制限し、入り口に警察官と市職員が立って警備する。

同市は「同様の予告は全国の自治体で確認され、これまで被害が実際に発生した報告はないが、市民の安全を第一に考え万全の体制で対応する」としている。

自治体などに対する爆破予告は最近、全国で相次いでおり、県内では常総市や鹿嶋市、つくば市などに爆破予告があったばかり。

※土浦市は29日、学校及び市役所いずれも異常は確認されなかったと発表した。

就職・進学への不安 新しい生活様式に生きる留学生 筑波大学

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筑波大学石の広場

【竹田栄紀】新型コロナウイルスの感染拡大は、留学生の生活を一変させたといわれる。身近に頼れる人が少ない留学生は孤立してしまうことも多い。つくばには多くの外国人が暮らす。10月から秋学期が始まる筑波大学(つくば市天王台)で、留学生の生活の現状を探った。

アルバイト収入ゼロに

筑波大大学院生命科学研究科修士2年の中国人留学生、楊逸暉さん(27)は来日4年目。来年、日本の製薬会社に就職予定だ。新型コロナの影響で来日時から志望していた観光業の新卒採用が滞ってしまい、志望業種の変更を強いられた。

筑波大大学院修士課程で学ぶ楊逸暉さん

楊さんは「留学生の枠はもともと限られており、そこに新型コロナによる混乱、新卒採用見送りなどが重なって苦しい就職活動となった」と振り返る。

「親からの仕送りで生計を立てている。親が公務員ということもあって仕送り額に影響はなかったが、アルバイトは大学の補助員をしていたため、仕事がなくなり収入はゼロとなった」

精神面への影響も大きいという。「長期休暇には毎回、帰省をしていたが、次にいつ帰れるか分からない。SNSのWeChat(ウィーチャット)で週に何回か連絡して寂しさを紛らわせている」と嘆く。

大学のサポートに高評価

人文・文化学群のモンゴル出身女子留学生(20)は10月から3年次に進級予定だ。卒業後は大学院への進学を考えている。

「生入は主にアルバイトと奨学金。アルバイトは幸いシフト減の影響は受けなかった。モンゴルと日本は物価差が大きく、元々自力でやりくりしていた。日本は奨学金も見つけやすいし、大学のサポートもしっかりしている方だと感じる」と語った。

大学は、オンラインで基本情報登録をした留学生全員に12万円の支援を実施した。日本人学生への支援金1万5000円~3万円と比較しても、より手厚く支援する形をとった。「申請しやすかった」と留学生からの評価は高い。

公的支援分かりにくい

しかし、2人や周囲の留学生は共通して、国や市町村などの公的機関の支援の申請の仕方や条件の分かりにくさを指摘した。特に文科省の「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』は、留学生に対する条件が曖昧だと感じた。必要書類も多いため、日本語が不得意な場合、申請しにくいという。「存在も知らなかった」と語る留学生も多い。

大学留学生相談室アドバイザーの安婷婷助教によると「筑波大の留学生は2019年度までは増加傾向だったが、今年は新型コロナの影響で日本語学校からの留学生以外ほとんど入国できず、入学者数は少ない」そうだ。

「筑波大は日本語、英語、中国語の3言語に対応しており、さらには心理専門の相談員がおり、全国的にみて専門性も高い方だと感じる。留学生はコミュニティーが狭くなりがちで孤立してしまう場合が多い。相談室では進学・進路、対人関係、心身健康などさまざまな面から相談に乗ることができる。積極的に大学のリソースを活用して困難を乗り越えて、成長して欲しい」

同相談室では7月1日から条件付きで対面による相談を再開している。秋学期も引き続き、経済面・精神面への手厚いサポート体制が大学には求められる。(筑波大学2年 ドットジェイピーインターン生)

《邑から日本を見る》72 安倍政治を検証する(2) 私たちの暮らしとアベノミクス

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【コラム・先﨑千尋】浜矩子(はま・のりこ)同志社大学教授が「アホノミクス」と揶揄(やゆ)したアベノミクスは、私たち国民に何をもたらしたのだろうか。私たちの暮らしは、安倍政権の7年8カ月で、それより前に比べてよくなったのだろうか。

そのことを検証するには数字を見ればわかる。8月31日の「東京新聞」が「数字で見る生活の変化」を出しているので、それからいくつかを引用する。

平均月給は横ばい、消費者物価指数は5%上がり、実質賃金指数は11%下がった。エンゲル係数は23.5%から26.9%に上がり、非正規労働者比率も2ポイント上がった。日経平均株価は1万円から2万3千円と2.3倍になり、年収1千万円以上の人が172万人から249万人と45%も増えた。企業の内部留保も273兆円から470兆円と1.7倍に増えている。

これらからわかることは、私たち庶民の暮らしは落ち込み、大企業や株に投資できる一部の人たちが潤った。国民が1年でつくる富の生産量は一定だから、富の分配の段階で格差が広がったことを示している。

安倍政権が打ち出したアベノミクスは、経済の好循環、財政再建と経済成長の両立を目指し、大胆な金融政策、機動的な財政政策、投資を喚起する成長戦略の3本の矢を柱とした。異次元の金融緩和の行きつくところはゼロ金利。そのことにより、地方銀行など金融機関の多くは本来の金融事業で赤字になり、頭を抱えこんでいる。

財政では、日銀の輪転機をフルに回し、国債を大量に発行し、それを日銀が抱え込む。国と地方が抱える借金残高は1100兆円を超え、政権の発足時から250兆円近く増えた。日銀が抱える国債の割合は13%から44%になってしまった。

「実を結ばずに散るあだ花」

アベノミクスを実現する政策は、地方創生、働き方改革、女性活躍社会、1億総活躍社会、人づくり革命(人生100年時代構想)と、目くらましのように、検証もせずに次々に新しい看板を出し続けてきた。経済産業省官僚の発想でしかない。資本主義社会での経済活動は本来自由だ。しかし放っておくともうからない分野の仕事は誰もしないし、新たな発明や発見をした人たち、巨大企業が潤うことになってしまう。

そうしたことを是正するために国家があり、税があり、経済政策や社会政策が講じられる。経済政策は、国民の幸せを実現し、弱者が傷まないような配慮をする。自分の力だけではどうにもならない人たちがいる。勝ち組の頭を押さえ、負け組を助ける。それが「公助」だ。

しかし、安倍政権がやってきたことはそれとは真逆。大企業の利益を最優先し、弱者は自己責任、自助努力が足りないと切り捨ててきた。当初、富める者が富めば、貧しい者にも自然に富がしたたり落ちるという「トリクルダウン」が言われていたが、最初に挙げた数値でわかるように、そのようなことは起きなかった。

結局、アベノミクスは一般庶民にはほとんど恩恵をもたらさず、「実を結ばずに散るあだ花」だったということだ。揚げ句の果て、高齢化、人口減少が進む中で、将来への負担転嫁がますます大きくなってしまった。その罪はとてつもなく大きい、と言わざるを得ない。(元瓜連町長)

9世帯の家主が意見交換 つくば「もん主の会」初会合

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「もん泊仕様」に改修する計画が進む塚本さん宅の長屋門=つくば市大

【鴨志田隆之】NPO法人つくば建築研究会(つくば市台町、小玉祐一郎理事長)が主催する第1回もん主の会が27日、つくば市大の塚本康彦さん宅で開かれ、長屋門への民泊機能を付加する「もん泊プロジェクト」の趣旨説明が行われた。会合には研究会の坊垣和明副理事長をはじめ、古民家研究の筑波大学・山本幸子准教授、オブザーバーとしてつくば市都市計画部・大塚賢太次長が出席。家主側では塚本さんほか市内在住の9世帯11人が参加した。

「もん泊プロジェクト」は、古い農家に点在する長屋門を利活用し、イベント会場としての提供や貸店舗展開などを経て、最終的に宿泊機能を実現させることが目的。坊垣副理事長は「関東地方の農家や商家独特の様式である長屋門を地域資源として活かし、文化交流や経済活動を掘り起こすことがねらい。つくば市内には217軒の長屋門が現存しており、江戸末期から大正時代の建築など幅広い歴史的価値が眠っている。これらを改修して維持・宿泊運営するためのビジネスモデルを模索中だが、まず家主の皆さんに主旨を理解していただき、賛同を得なくてはならないと考えている」と述べた。

長屋門の利活用について現状が語られた「もん主の会」

家主側からは現在の長屋門の維持状況がそれぞれ説明され、多くの建物が物置扱いであるか、老朽化が進み維持していくこと自体が負担になっている実態が紹介された。もともと古い建築である上、2011年3月の東日本大震災で大きなダメージを受けたことが老朽化を加速させているという。

「次の代に相続させるとしても、使い道の無い状態では税負担も馬鹿にならない」「土台をなんとか保たせ、何か良い活用のアイデアがないかと年月を消費している状況」といった声が出る中、塚本さんからは「一足飛びに問題が解決できるわけではない。もん主だけでなく、地域との相互理解も必要だと思う」との意見もみられた。

塚本さん宅の長屋門をモデルケースとして「もん泊仕様」に改修する準備を進めている研究会では今後、プロジェクトに参加している建築家や地元工務店の協力を経て、改修内容や費用概算を見積もることにしている。もん主の会については今後も機会を見て継続する考え。11月1日には市民シンポジウムも開き、ビジネスモデルとしてどんなケースが実現可能かなどの討論を行う予定だ。

《食う寝る宇宙》70 新たな太陽活動サイクルが始まった!

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【コラム・玉置晋】2019年12月より新たな太陽活動サイクルに突入していたことが公式発表されました。太陽活動には活発な時期(極大期)と静かな時期(極小期)があります。この欄(コラム67)で「間もなく、新たな太陽活動サイクルの始まりが宣言されることでしょう」と述べましたが、アメリカの航空宇宙局(NASA)からプレスリリースが出ましたので、その一部を抜粋して紹介します。

NASAプレスリリース

太陽サイクル25がここにある。NASA、NOAAの科学者はそれが何を意味するのか説明する。

第25太陽活動サイクルが始まった。火曜日(9/15)のメディアイベントで、NASAと米国海洋大気局NOAAの専門家は、新しい太陽周期に関する分析と予測、そして宇宙天気の活発化が地球上の私たちの生活と技術、そして宇宙の宇宙飛行士にどのような影響を与えるかについて話し合った。

NASAとNOAAが共催する国際的な専門家グループであるソーラサイクル25予測パネルは、2019年12月に太陽の極小値が発生し、新しい太陽周期の開始を示したと発表した。我々の太陽はとても可変なので、このイベントを宣言するには実際の数ヶ月後までかかることがある。科学者は太陽周期の進捗(しんちょく)状況を追跡するために太陽の黒いシミ(黒点)を観測する。黒点は太陽活動に関連しており、太陽フレアやコロナ質量放出などの巨大な爆発の起源として、光、エネルギー、太陽物質を宇宙に噴出す可能性がある。

NASAとNOAAは、連邦緊急事態管理局やその他の連邦機関や部門と共に、国家宇宙天気戦略とアクションプランに協力して、宇宙天気の準備を強化し、宇宙天気の危険から国を守る。

宇宙天気予報は、アルテミス計画の宇宙船や宇宙飛行士を支援するためにも重要である。この宇宙環境を調査することは、宇宙飛行士の宇宙放射線被ばくを理解し、軽減するための第一歩である。ゲートウェイから行われる最初の2つの科学調査は、宇宙天気を研究し、月軌道上の放射線環境を監視する。科学者たちは予測モデルに取り組んでいるので、気象学者が地球上の天気を予測するのと同じように、いつか宇宙天気を予測することができる。

「悪天候というものはない、あるのは準備が悪ことだ」と、NASAの有人探査・作戦ミッション総局の主任科学者ジェイク・ブリーチャーは言った。「宇宙天気とは何か、我々の仕事は準備することである」。

僕らもしっかりウォッチ

アメリカの宇宙天気防災に関する取り組みは本気です。僕らもしっかりウオッチしていきたいと思います。(宇宙天気防災研究者)

天候不順にイノシシ被害、コロナ禍にもめげず 筑波山麓で稲刈り

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鎌を手に稲刈りする参加者たち=つくば市神郡

【相澤冬樹】稲刈りシーズンも最終盤、つくば市神郡の「すそみの田んぼ」で26日、NPO法人つくば環境フォーラム(田中ひとみ代表)による体験学習会「谷津田と森のガイドツアー」が開かれ、市民参加の稲刈りが行われた。筑波山麓の山すそに開かれた田んぼは今年、天候不順やイノシシ被害に悩まされた上、コロナ禍から市民参加による活動もままならず、悪戦苦闘の中、収穫の秋(とき)を迎えた。

学習会で多様な生態系をアピールする田中代表=同

すそみの田んぼは「生きものと共存するコメ作り」を掲げ、同フォーラムが2006年から取り組んでいる谷津田再生事業。例年秋には多くの家族連れを集め、収穫祭を兼ねての体験学習会を開いてきたが、今回は新型コロナ対策から大人限定で呼びかけ、約10人の参加で行われた。

細草川上流の「田んぼ」には、ホタルやカエル、タガメなど水生生物をはじめとする生きものが多数生息する。乾田化することのない谷津田は、多様な生態系を維持する環境だが、大型の農業機械が入らず手間がかかるため、農業者の高齢化に伴い全国的には耕作放棄が広がっている。同フォーラムでは約0.8ヘクタールの田んぼを隣りの山林と合わせて借り、あぜ道を作り、耕起した上で、主に手植えや手刈りによる稲作を行ってきた。田んぼボランティアや田んぼオーナーなど市民参加で通年プログラムを運営している。

今季はコロナ禍で、5月上旬に行う田植えイベントから縮小を余儀なくされ、栽培スケジュールが間延びした。全面無農薬栽培による稲作を実現できたが、天候不順、特に7月の長雨、日照不足が生長に大きな影響をもたらした。稲穂の実入りが思わしくないという。

加えてイノシシの出没時期が例年より早まり、8月から活動が見られるようになった。山側からの進入に備えて鉄製のフェンスを張り巡らしたが、今季は川側から二度にわたり侵入された。特に古代米の被害は甚大という。台風の直撃がなかったことで、倒伏イネは少なかったが、天候不順とイノシシ被害から、「作況指数でいったら50に満たないのでは」(スタッフの永谷真一さん)という最悪の状況になった。

それでも小雨混じりの天気のなか集まった参加者は、稲刈りをそれぞれに楽しんだ。一株ひと株を鎌で刈り取り、イネを束ねて稲木に掛け天日乾燥させる「おだがけ」作業まで取り組んだ。前後に学習会や自然観察、食事会など盛りだくさんのメニューを用意したため、短時間の稲刈り体験になってしまったのが残念な様子。

阿見町から参加の中山広子さん(70)は「小学生時代から約60年ぶりの稲刈り、おもしろくてもうちょっとやりたかった。来年は田植えから参加したい」と汗をぬぐった。

【気分爽快 りんりんロード】4 ヒルクライムに熱中 志賀旭さん

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りんりんロードを走る志賀旭さん

【田中めぐみ】筑波学院大3年の志賀旭さん(21)は、昨年4月、兄の大海(ひろみ)さんに誘われたのがきっかけでつくば霞ケ浦りんりんロードを走り始めた。休日の早朝、つくば市内の自宅から出発して土浦駅まで行き、りんりんロードに入って平沢官衙遺跡(つくば市平沢)まで走る。そこから、つくば市と石岡市の境にある標高294メートルの不動峠、筑波山南東の尾根に位置する標高412メートルの風返し峠、つつじが丘駐車場に上るヒルクライムコースが特にお薦めだそうだ。

坂を上りきる達成感

「ヒルクライムはとにかく体力勝負。余った体力を坂にぶつけている。頂上まで上り切った時の達成感が最高」と志賀さん。「ギアを軽くして上る人もいるが、自分は軽くせず、一度も止まらずに強い踏み込みで上っていく。動いている、確かに前進していると感じられるのがヒルクライムの楽しさ」と顔をほころばせる。

不動峠の平均勾配は7%。途中10%を超える急傾斜もある。風返し峠を過ぎると標高は500メートルになる。兄の大海さんと、どちらが早く着くか競い合うこともあるそうだ。

つつじケ丘駐車場から筑波山神社に向かいダウンヒルで下りてきた後、りんりんロード沿いの筑波休憩所近くにある「松屋製麺所」(つくば市沼田)で食べるラーメンは感動の味だそう。「サイクリスト向けに駐輪用の自転車スタンドが置いてあり、席数もメニューも少ないが、安くてめちゃくちゃおいしい」

お薦めの松屋製麺所でラーメンを食べて休憩する志賀さん=つくば市沼田

バイトしクロスバイク購入

志賀さんが初めてクロスバイクを手に入れたのは昨年10月。大学に進学してから物流倉庫で荷物を仕分けするアルバイトを始め、貯めたお金で購入した。同時にヘルメット、スパッツ、シューズと、ペダルを固定するクリートという器具なども購入し、本格的に自転車に取り組み始めた。

クリートを使ってペダルにシューズを固定すると、ペダルを引き上げたり回したりする動作が安定し、ヒルクライムでもダウンヒルでも効率的な走りができるようになった。しかし、ペダルから足を外すのにコツがあり、慣れないうちは足が外れず何度も転んでけがをした。転びながらコツを覚え、今では自在にペダルを操れるようになったと話す。

どこにでも行ける自由さが魅力

元々自転車で走ることが好きだったという志賀さん。小学校から高校時代まで自転車で通学していた。自宅から高校までは片道およそ13キロあり、自転車通学で基本的な体力が付いたという。

りんりんロード付近には様々な史跡があることから、地域の歴史に興味を持つようになり、在籍する筑波学院大の社会貢献活動「オフ・キャンパス・プログラム(OCP)」では、文化財を案内するボランティア活動を行った。

「自転車で行動範囲が広がると同時に自分の世界も広がったように感じる。自転車さえあれば自分でどこにでも行ける、その自由さに取りつかれてしまった」

観客席2倍、付帯施設も つくば市が陸上競技場たたき台

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つくば市陸上競技場整備基本構想策定検討会議第2回会合の様子=24日、同市役所

【鈴木宏子】陸上競技場の規模や立地場所などを改めて検討する、つくば市陸上競技場整備基本構想策定検討会議(座長・萩原武久つくば市スポーツ協会会長)の第2回会合が24日、同市役所で開かれ、事務局の市スポーツ振興課から施設規模のたたき台が示された。

上郷高校跡地を想定した昨年2月の案と比べ、観客席を2倍の4000席にするほか、付帯施設として雨天走路(室内走路)、多目的広場、セミナーハウスを整備する案が示された。

たたき台は、8レーン(直線は9レーン)の400メートルトラックを整備し、内側のインフィールドは天然芝とする、観客席はメーンスタンド2000席と芝生スタンド2000席の計4000席とするなど、日本陸上競技連盟の施設基準で第3種公認相当規模の整備をする。駐車場収容台数は400~500台程度とする。

一方、昨年の上郷高校跡地案は、トラック内側のインフィールドは人工芝、観客席は計2000席程度、駐車場台数は190台程度だった。

ほかに付帯施設として、3レーンの雨天走路を整備する案のほか、競技場の周囲に、出場選手がウオームアップできる多目的広場、市民が散策できるジョギングコース、遊戯空間を整備する案が出された。さらに会議室や研修室を備え、地元企業と連携した物販などもできるセミナーハウスなどの整備案も盛り込まれた。避難場所とし、防災備蓄倉庫の整備案も示された。市によると、全体面積や総事業費などは次回以降示すという。

委員からは、付帯施設について「サブトラック(多目的広場)を備えた競技場は大きな規模の競技会を誘致しやすい」「雨天走路がある競技場は少なく付加価値が高まる」など好意的に受け止める意見が相次いだ。

一方、施設の公認基準を第4種(加盟団体の大会・記録会に使用)とするか第3種(加盟団体等の対抗競技会等に使用)とするについては委員から「3種でも4種でもやれることが一緒であれば税金なので4種でいい」「4種をとって後から3種に格上げするのはコストがかかるので市民の理解を得るのは難しい」などの意見が出て、事務局が改めて検討することになった。

次回第3回会合は11月上旬に開かれ、規模や立地場所などが検討される予定。

利用想定は年2日?

【取材後記】陸上競技場はだれが、どれくらい利用するのか。24日の会合で市から具体的に示された利用想定は、中学校の記録会(小学校の記録会は取り止め)と、つくば陸上競技選手権大会の年2日間だけだった。委員からは、規模の大きい競技会誘致の期待が語られたが、大会名は出ず、具体的検討はなかった。一方、稼働率について市スポーツ振興課から、大会・イベント開催を月2回として年間10万人の集客が最大目標という考えが示されたが、想定の根拠は明らかにされなかった。

住民投票に至った総合運動公園問題の反省を経て、市が18年9月に策定した大規模事業の進め方には「民意の適切な把握を行い、事業の必要性、妥当性等について、市民や専門家からの意見等を求めた上で、慎重に事業の対応方針を決定する」とある。陸上競技場計画の進め方は、総合運動公園問題の反省がどう生かされるかの試金石だ。注意深く監視したい。

➡同検討会議第1回会合はこちら

《ひょうたんの眼》30 土浦、茨城から始まった地域ケア

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地域ケアの概念図

【コラム・高橋恵一】1987年4月、茨城県の高齢福祉課に高齢化社会対策企画室が設置された。当時、日本の人口の高齢化は、急激に進行しつつあった。全国的には、その現象を単なる老人福祉問題としていたが、県では、高齢化社会問題として考え、新しい組織を設置したのであった。

高齢化社会の行政課題を検討・抽出し、それらの対策の方向をまとめたのが「茨城わくわくプラン」(1988年3月)、茨城県高齢化社会対策である。施策は、高齢者の健康福祉対策から、住宅・交通環境など多岐にわたり、竹内(藤男)県政では唯一といえる、福祉部が主導したソフト政策であった。わくわくプランについては、別の機会に譲りたい。

高齢化の進行で、特に深刻な問題が老人介護であった。有吉佐和子の小説「恍惚(こうこつ)の人」で問題提起されたことが、現実になっていた。そのような状況下で、国内各地でモデル的に老人医療・福祉サービスに取り組んでいる事例があった。その一つが、国立霞ケ浦病院(現霞ケ浦医療センター、土浦市)で整形外科部長の関先生が中心となって取り組んでいた「地域医療カンファランス」である。

足を骨折した老人が、手術治療をして退院しても、帰宅後のリハビリが充分でないため、歩くことができなくなってしまった事例があり、病院スタッフが相談をして、当時、訪問看護が認められていない中で、看護師さんが無償でリハビリ、生活指導に当たった。

治療は、病院だけでなく、家庭や地域と連携しなくては完成しないとして、関係者のカンファランスを始めたものである。参加者は、土浦市内の他の病院や診療所の医師や看護師、リハビリ技術者、保健師や市福祉課の職員、社会福祉協議会の職員など、全員時間外に無報酬の参加であった。先日まで、このNEWSつくばでコラムを執筆していた室生勝先生は、カンファランスの創設メンバーの1人である。

「土浦市ふれあいネットワーク」

茨城県では、この取り組みをシステム化・事業化し、対象者一人ひとりについて、それぞれの在宅ケアチームを組み対応する仕組みとした。

さらに、対象者とチーム活動の状態を常に把握し支援するコーディネーターを配置した。事業主体は市町村とし、事業の核となるコーディネーターの人件費を県が補助することとした。1988年度、地域ケアシステムモデル事業を開始し、土浦市は対象市町村となり、「土浦市ふれあいネットワーク」の事業名で今日まで継続している。

県の地域ケアは、2000年度の介護保険制度のスタートに当たって、介護サービスのモデルとなり、さらに、国は2025年を目標に「地域包括ケアシステム」の構築を目標としている。

掲載したイラストは、30年前の手書きの茨城地域ケア概念図である。国の包括ケアの概念図に酷似している。自助ではなく、30年前から土浦や茨城が目指してきた、一人ひとりの高齢者の自立を支援するシステムとして充実するよう期待するところである。(地図好きの土浦人)