日曜日, 4月 20, 2025
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筑波大 4月開校のS高で講義やデータ分析 角川ドワンゴ学園と協定

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連携協定を締結した筑波大学の永田恭介学長(左)と角川ドワンゴ学園の山中伸一理事長

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は29日、角川ドワンゴ学園(山中伸一理事長)と連携協定を締結した。同学園は、4月に筑波西中学校跡(つくば市作谷)に開校する通信制高校、S高を運営する。

高校、大学を通じたトップレベルの人材育成や教育・研究活動の充実に資することを目的とした協定で、筑波大教員らは、同学園が運営するS高やN高(本校・沖縄県うるま市)などの教育活動を支援したり学習機会を提供する。さらに、同学園が有するオンライン授業やアスリート及びアーティストの育成に関する大規模データを分析をしたり、双方が蓄積した知見やデータを活用した共同研究などをする。

具体的な協力内容について同大は「S高、N高の生徒に対し、筑波大教員が体育・芸術・情報・教育など専門分野の講義をしたり、反対に、同学園の生徒が筑波大学の研究室や授業を見学するなどが考えられる」とし、「同学園が展開するバーチャルリアリティ(仮想現実)によるオンライン授業に関して、学習効果の分析のほか、eスポーツ(コンピューターゲーム)に関する調査分析を行うことを具体的には想定している」と話す。

角川ドワンゴ学園は2016年に通信制高校N高を開校し、現在1万5000人以上の生徒がいる。生徒らが実際の教室で教師と対面しながら授業を受けるスクーリングの受け入れがいっぱいになることを見越して、つくばに2校目となるS高を開校する。

N高とS高のカリキュラムや学費の違いはない。イベントや部活動の参加に関しても、両校の生徒が同じ場で活動できる。異なるのはスクーリング。日程が両校で異なり、学校ごとに分かれて行う。ときには学校別の対抗試合を行うこともあるという。(山口和紀)

➡S高の過去記事はこちら

地域密着、デジタルクーポンアプリ「TOKTOK」開発 つくばのIT企業

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TOKTOK利用イメージ(TOKTOK提供)

つくば市松代のウェブマーケティング会社、クラッシュが、自社開発によるクーポンアプリTOKTOK(トクトク)の運用をきょう31日から始めた。つくば市内の飲食店や美容・エステ関係など約150店舗が発行するデジタルクーポンを掲載している。利用者はこれらをスマホ1台で管理し、店で提示することで代金割引などのサービスを受けることができる。

最大の特色は地域密着型であること。多くのクーポンアプリがファストフード店やファミリーレストランなど全国チェーンの店を主に扱うのに対し、TOKTOKでは地域の身近で個性的な店を多数掲載しているため、選択の幅が大きく広がる。いつもの店をよりお得に利用したり、いままで知らなかった店を発見したり、知ってはいても行く機会のなかった店を訪れるきっかけにもなる。

アプリにはさまざまな店のクーポンが掲載されている

現在はつくば市内の約150店が参加しており、飲食系や美容系のほか整体・マッサージ、ホテル・宿泊、運転代行、英会話、スマホ修理などさまざまな分野の店がそろう。クーポン内容も料金割引のほか大盛り無料、メニュー1品サービスなど多様で、毎月更新されるため飽きずに足を運べる。参加店や利用エリアは順次拡大し、まずはつくば市内で500店、茨城県内で2000店が目標。その後各地の営業代理店と提携し、全国展開を目指す。

店側にとってのメリットも大きい。クーポン使用後30分ほどで利用者のスマホに届くデジタルアンケートは、回答すると次回同店で使えるクーポンがプレゼントされ、顧客の利用頻度向上が図れる。アンケートの結果は店舗のサービス改善や、スタッフのモチベーション向上などにもつながる。

通常のクーポンとは別に、クラウドファンディングのリターンや株主優待など、ちょっとしたプレゼントに使えるデジタルチケットの発行もできる。また運営母体のクラッシュは、フェイスブックやユーチューブといったSNSを使ったマーケティングや、キャッシュレス決済導入などのコンサルティング業務も行っており、店の経営やサービス提供のデジタル化を進めることも可能だ。(池田充雄)

◆TOKTOKは、顧客側は利用無料で個人情報の登録なども不要。店舗側の利用料は月額プラン4980円、年間プラン40000円。現在オープニングキャンペーンとして、つくば市内の店舗は半年分、市外の店舗は1カ月分が無料になる。導入相談はこちら、アプリダウンロードはiOSAndroid

満開の桜川河口で満月を見下ろす 《土着通信部》45

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29日午後7時22分撮影、土浦市港町

【コラム・相澤冬樹】満月の夜は、土浦駅東のビル屋上に陣取った。ここからだと眼下に桜川河口から霞ケ浦土浦入りまでを見渡せる。河口部には両岸の堤に桜が植わっていて、満開の樹冠越しに月の出が望めるはずだった。

お月さまの写真は毎月のように撮っているが、満月に限ると桜の時期では1年前の4月7日の宵だった。新型コロナウイルスの感染拡大で、ちょうど国の緊急事態宣言が出た日のこと。月の出は午後5時過ぎで、「月は東に日は西へ」太陽コロナも沈む時分だし、お月見ぐらいよろしかろうと勝手な理屈をつけて霞ケ浦畔まで出掛けたのである。

ところがこの日は東の空に低く雲がたれ込め、まさに桜の季節の花曇り。水辺から昇るお月さまは拝めず、雲間から満月が姿を現したのは午後9時過ぎ。自宅からでも見物可能な高みに昇ってからだった。

お月見とはいうが、月の出の時間帯にこだわるようになったのは、二十三夜をはじめとする「月待」の行事に興味をもった(コラム第16回第22回)からだった。中天に昇った月を撮れば天体写真になってしまうが、地表近くなら樹木や水辺の写り込みが逆に興趣を誘う。月の出と同時に空の色調が一変するのをおもしろがった。

そんな話をしていたら、昨春土浦駅東に事務所を構えた知人が「花見の時期においでよ」と誘ってくれた。3階建てのビル屋上から川岸の桜並木を一望できるのが自慢だ。今年は早めに散ってしまいそうな懸念もあったが、満月の3月29日は昨年より1週間以上早く、ぴったり満開のタイミングに合った。

東に開けたロケーション

月の出時刻に合わせて午後6時30分過ぎにビルを訪ねると、知人は「曇ってしまったねえ」と迎えてくれた。屋上に昇ると日はとうに沈み、河口の先、東の方角は点々と街の灯が見える程度で月の気配はない。今年も低く立ち込めた雲に月見を阻まれるのか。

しかし10分も経つと、対岸上空の一点ににじむような赤みが差し、やがて月の色だと分かる。昇る月はいつだって深紅の色合いなのだ。

「あれは雲じゃなく霞。霞ケ浦特有の春霞ですよ。じきに満月が見えるはず」と解説するそばから、桜並木を越えたあたりでこうこうと輝きだした。手前の桜と望遠でのぞく満月、いずれかにしか焦点は合わないが、構図をいろいろ探してシャッターを押した。

「春霞 かすみの浦を 行舟の よそにもみえぬ 人をこひつつ」藤原定家

霞ケ浦のおかげで、高いビルに昇らずとも東に開けた展望を持つ土浦は、月の出見物に格好のロケーションをもっている。平坦な地形で、家屋や電線・電柱にさえぎられることもあまりない。ビューポイントに月の出の時刻と方角を表示する掲示板を設けたり、月光サイクリングを仕掛けたり、観光資源としてもっと活用できるはず。月々の月見のたびに思うのである。(ブロガー)

アライグマ対策追い付かず 捕獲数13年で166倍超、防除は住民任せ

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つくば市金田地区の民家で捕獲されたアライグマ(「衛生害虫獣駆除サービスたいじ屋」渡辺一之さん提供)

茨城県の「第2次アライグマ防除実施計画」が31日に期限を迎える。特定外来生物に指定されるアライグマは、「生態系への被害防止のため最終的には野外からの完全排除を目標として防除を行う」とする県の説明の一方で、防除対策は住民に任され増加に歯止めはかかっていない。次年度以降の対策はどうなるのか。県は「4月中旬頃を目安に正式な公表を予定」していると説明する。

9頭が1499頭超に

2月末の段階で、今年度に県全体で捕獲されたアライグマは1499頭。増加傾向が顕著になった2007年度は、わずかに9頭だった。茨城で初めて野生のアライグマが観測されたのが1994年。個体数の増加とともに生息域も広がった。

国により2009年「特定外来生物」に指定されたアライグマは、生態系への影響が強く危惧され、対策の緊急性が高いことから、2016年には「緊急対策外来種」のリストにも載った。県内ではつくば市、土浦市を含む12自治体が、最もアライグマが定着しているとの想定から「重点防除対応地域」になっている。「防除」とは、「予防と駆除」を同時に行うことを意味する。

県によると農業関連の被害額は、2019年度が約855万円。被害が顕著なイノシシによる被害額が9000万円であることに比べるとまだ少ない。全国的には2000年に3600万円だったものが、2018年は3億7500万円に増えている。

県は2010年、アライグマ防除実施計画を策定し対策を進めてきた。2016年には改めて5カ年間の「第2次アライグマ防除実施計画」を再策定した。その間も、捕獲された個体数は増加の一途をたどっている。

「科学的データが不足」

「防除計画」の課題として、県自然環境課自然・鳥獣保護管理グループは取材に対し、個体数を減少させるための科学的データが不足しており、引き続き防除と情報収集に努めると回答した。また今後の改善点として、行政の取り組みを充実させるとした上で、「住民自らによる捕獲と予防管理の実施」について、地域住民へ一層の周知拡大を図るとする。さらに「従来からの捕獲従事者の養成等を継続し、防除の体制の整備拡充を進めたい」と展望を述べた。

アライグマ駆除には狩猟免許が必要ないが、捕獲するには「防除作業従事者」になる必要がある。県が例年7月ごろに開催する講習会へ参加し、安全確保の講義やわなの組み立て実習などを経て、市町村の「従事者」として防除作業に臨むことになっている。

行政は捕獲用の檻を貸し出し、捕獲した個体を引き取る程度の役割で、捕獲自体は市民の自主性に任されている現状がある。

市街地からも駆除依頼顕著に

日本で野生化したアライグマが最初に確認されたのは1962年。全国的な広がりのきっかけは、1970年代に放映されたアニメによるペットブームだという説がある。以降、2006年までに全都道府県で確認されている。

アライグマやハクビシンの被害を受けたことがある岩瀬明さんの農地=つくば市内

つくば市の猟友会桜支部長、岩瀬明さん(72)は、アライグマを含めた野生動物増加の要因を、農村部の高齢化と人口減少、社会構造の変化が関連し合うと話す。手入れの行き届かない山林や耕作放棄地が増え、野生動物が住み着いた。それにより獣害が増えることで、さらに離農する人が増えるという悪循環を指摘する。

水戸市を拠点に活動する「衛生害虫獣駆除サービスたいじ屋」の渡辺一之さん(57)は、駆除依頼ケースの変化を話す。高齢化により家主を亡くした空き家に住み着く野生動物への依頼が増えているのだ。依頼は農村部だけでなく、市街地からも顕著になっている。また、駆除現場からの実感として、増加する「餌」の存在も指摘する。空き家敷地内に放置される樹木に実る柿や栗などの果実、農地に積み上げ遺棄される農作物などがある。

アライグマ対策は、県の防除計画をもとに市町村が現場に応対する。自治体によって対応に「熱量の差」があると渡辺さんは指摘する。アライグマは生後1年で、4月ごろから複数の子どもを出産する。このため、春から夏の捕獲圧を上げることが生息数を減らすのに効果的とされるが、講習会の開催時期が7月ごろで適切なのか。捕獲許可申請の迅速さ、担当職員の情報収集力など、行政の当事者意識が、多角的な対応を必要とするこの問題解決の鍵になる。(柴田大輔)

➡イノシシ被害の記事はこちら

高校生の進学情報格差なくしたい 筑波大生らオンライン塾立ち上げ

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代表の長谷川弘貴さん=23日、筑波大学石の広場で撮影

筑波大学の学生らが昨年、無料のオンライン塾を立ち上げた。高校生らの学習や進路の指導を行う「学び舎栄智(まなびやえいち)」だ。活動の大きな目標は、地方と首都圏の高校の間にある大学進学に関する情報格差をなくすことだ。代表の長谷川弘貴さんは、同大理工学群数学類1年で、地方出身。団体を立ち上げた経緯とこれからの展望について話を聞いた。

―活動のきっかけはなにか。

長谷川 高校生の頃から大学進学に関する「情報格差」に大きな関心を持っていた。自分が通っていた高校は、授業料は払っているのに自分が望んだような情報が得られないという状況だった。そういう環境の中で進学の情報格差というものには大きな関心を高校時代から抱いていた。

行動に移すきっかけは新型コロナで時間の余裕が出来たこと。昨年、入学していきなりコロナ禍が直撃した。春学期(前期)が完全にオンライン授業になってしまって残念だったが、時間的には余裕が出来た。「時間だけはあるので何かをやってみよう」という気持ちになって、活動をスタートさせた。

―「学び舎栄智」はどんな活動をするのか。

長谷川 活動をスタートさせたのは昨年の4月から5月。将来的には有料の塾を運営したいと思っているが、今はその前の段階。高校生の学習指導や進路相談などを無料で行なって、市場調査をしているところ。団体の構成員としては、筑波大の学生が7人、茨城大学が2人、山形大学が1人の計10人で活動をしている。

―活動のきっかけとなった「情報格差」とは具体的にどういうものか。

長谷川 やはり大きな問題は地方と首都圏の大学進学情報の格差だ。地方に住んでいる高校生は、そもそも大学に通うイメージをもてなかったり、大学の情報を集めるということが難しかったりする。まずはそういう情報格差を出来るだけ埋めていきたいと思っている。

活動に協力してくれている大学生は地方出身の子が多い。彼らは地方と首都圏の間にある情報格差を実際に体感していて、栄智の活動方針に共感してくれている。具体的な活動としては、大学生がオンラインで大学生活について話す活動や、公式サイトで大学生活の様子などを書く活動をやっている。

活動をサポートしてくれている地方出身の学生は、そうした情報格差という問題意識を共有していると思うし、団体としてのモチベーションにつながっていると感じる。

―普段どのような活動を行っているのか。

長谷川 活動の主軸はオンラインでの学習指導。応募してきてくれた高校生とオンラインで面談をして、希望する進路に近い学部や学科の学生が個別で指導をしている。

今のところ、栄智に集まってきてくれている高校生は「現在の所属学年よりも進んだ範囲を予習しておきたい」と希望する子が多い。授業の予習をオンラインで支援しているという言い方が良いかもしれない。

その他としては、ブログで筑波大学のすごい学生を紹介したり「大学で役に立つ積分」と銘打って数学の解説を書いたりしている。

公式サイトで現役の学生に対するインタビューを公開している

―ほかの個人塾との違い、栄智ならではの特徴は。

長谷川 大学生がやっているということがあって、生徒と年齢が近い。面談をしながらお互いに指導の仕方を模索している。押し付けるのではなく、生徒と一緒に指導の方法から考えていくところが他にはない強みだと思っている。

―活動する上で苦労しているところは。

長谷川 やはり指導する講師とのマッチングが難しい。高校生の生徒は、一人ひとり求めているものが違うので、要望に合うような講師を充てることに苦労している。

今いるメンバーは、理系大学生に偏っているところがある。生徒は理系だけではないので、文系科目の指導には今は弱みがあるように思う。それも含めて自分としては楽しくやっている。一人ひとりに合った講義をするというのが強みであり、難しさだと感じる。

―今後はどのように活動していきたいか。

長谷川 今はその段階に向けて頑張っている最中だが、将来的にはお金をとってやっていきたい。それは教える方の責任にもなるし、「お金を払っているのだからきちんと受けよう」という生徒の姿勢にもつながる。まだ始めたばかりなので、そこまでいくのはまだ先だとは思っている。

そうして活動の質を上げていくなかで、高校生に情報を届けていくことが出来たらうれしい。

(聞き手・山口和紀)

◆栄智のホームぺージはこちら。公式ツイッターはこちら。活動に関わってくれる大学生を募集している。

料理を作る楽しみ 《食とエトセトラ》11

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ハヤシ卵

【コラム・吉田礼子】料理作りに目覚めたのは小学3年のころと記憶している。その年、中耳炎の治療で通院するために、仙台に住んでいた伯母の家に10日ほど泊めてもらうことになった。大分よくなったころ、伯母が通っていた料理教室について行った。そのときのメニューは、缶詰めのサケとみじん切りのタマネギをマヨネーズであえたものを、くり抜いたトマトに入れる、「トマトのファルシー」だった。

あまりのおいしさに、家に帰ってから自分で作り家族に食べてもらった。そのときの家族の驚きと「おいしい」の連発を思い出すと、幸せな気持ちになる。その経験が料理作りのスタートだったと思う。もちろん食いしん坊で、母が料理をしているのを見て、手伝うのも大好きだった。

私の故郷は宮城県の鳴子温泉。母は「(9月の)温泉祭りのときに、初物のマイタケを食べるんだよ。雨が降ったら虫が入るから、水にトウガラシを入れて虫出しをするんだよ。マイタケのある場所は親兄弟でも教えないんだよ」と言っていた。

人はほめて伸ばす

料理修業の最初のころ、ダイコンの千切りはハードルが高い。冷し中華作りのときに、キュウリが切りやすいことがわかり、たくさん練習をした。最初は不器用な自分が情けなかったが、少しずつできるようになり、料理の喜びが分かるようになった。そして、新しいアイデアも出てくるようになった。

小学4年のとき、私は初めて創作料理を考えた。「ハヤシ卵」である。オムレツに乗せるのは、ケチャップ派、ソース派があると思うが、ケチャップとソースの合わせ技も。フライパンに直接入れ、卵が半熟の状態で混ぜると、口の中で三種一体となっておいしい。

ケチャップとソースを合わせるとハヤシライスの色になるので、この料理を「ハヤシ卵」と命名した。小4担任の先生はよく覚えていて、母と会うと、その話に花が咲いたと言っていた。くじけずにできたのは、母や先生の励ましがあったからこそ。「人はほめて伸ばす」を信条に育ててくれた母に感謝している。(料理教室主宰)

密を避け生活を満喫する 《ひょうたんの眼》35

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石岡市湯袋峠の岩割り桜

【コラム・高橋恵一】4カ月後に予定されている東京オリンピックに、外国からの観客を受け入れないことが決まった。選手も、選手村と競技場以外の行動は制限されることになるようで、オリンピック誘致の決め言葉「おもてなし」は、空振りになってしまうようだ。

オリンピックの経済効果を期待し、特にインバウンドの復活に期待し準備していた業界は、戦術を再構築せざるを得ない。早速、コロナ感染収束の状況も見えないうちから、「GOTOキャンペーン」の再開を言い出したりしているが、慌ててさらなる深みに落ちないように考えるべきだ。

観光とは、文字通り光輝くすばらしい景色、宝、イベントなどに接し、自らの体験を豊かにすることであろう。観光を提供する側も、最大に感動してもらうための「おもてなし」を用意するはずだ。しかし、近年のインバウンド客やGOTOキャンペーン実施時の報道を見ていると、渡月橋に大行列ができたり、浅草や鎌倉の食べ歩きなど、おおよそ日本を満喫する行動とは言えないだろう。観光地では、観光客も観光の対象でもあるのだ。

ホテルや旅館での食事や接待にしても、合宿の朝食でもあるまいし、美しい盛り付けの郷土色豊かな配膳で日常との差別を楽しめてこそ、「おもてなし」なのだと思う。宿泊については、インバウンド対応で「民泊」が登場したが、ホストファミリーとの交流を前提とした昔からのホームスティとは異なる。簡易な宿泊だけなら、ビジネスホテルの利用を進めるべきだろう。

「密」を追いかけてきた日本

この際、「観る側」ファーストを考えてみよう。スポーツやコンサート、観劇などは、会場が一体化して、感動を共有することも素晴らしいのだが、テレビの方が細かい動きや周囲にかき消されていない音声で解説などもあり、理解しやすく満喫できる。

美術品や文化財などは、展示会の混雑の中で鑑賞するより、図録の方が判りやすい。鳥獣戯画やゴッホのひまわりを立ち止まらないで見ることは無理だ。阿修羅像や飛鳥大仏とは、何時間も向き合って語り合いたい。渡月橋では、途中でたたずみ、桂川の流れの音に触れたい。

コロナ感染防止で「密」を避けるように要請されているが、今日の日本は、「密」を積極的に追いかけてきたのではないだろうか。大量生産、大量消費、一極集中…。限りなく競争を求め、行き着くところは、資本と権力の集中だろうか。

密を避けて生活を満喫する。改めて日本人に求められている生き方かもしれない。(地図好きの土浦人)

「知識」と「知恵」の違い 《食う寝る宇宙》82

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【コラム・玉置晋】高校教員をしていた亡き父のアルバムを整理していたら、切り抜きが出てきました。卒業する生徒に向けたメッセージかと思います。

「高校の勉強が完成するとは、『知識』が『知恵』に高められることだ、という人もいます。(例えばボク)。それでは、『知識』とか、『知恵』とは何でしょう。ボクはこう考えています。『知識』とは、ある物事についての明確な理解、認識を持つこと。つまり、簡単にいえばオボエルこと、だね。『知恵』とは、物事の理(ことわり)を考え、判断し、処理する心の働きのこと。つまり、簡単にいえば、『オボエテイル』ことを使って、頭を『ハタラカセル』こと、だと思うね」

父が教壇に立っていた30年前と比べて、世の中は大きく変わりました。インプットされる情報量も何十倍となっています。人間の頭に格納する知識の価値は下がり、替わりに外部記憶(例えばインターネットの情報)にいかに効率よくアクセスできるかが重要視されています。しかし、知恵(「オボエテイル」ことを使って頭を「ハタラカセル」こと)はどんなに時代が変わっても、大事なことに変わりありません。わが父ながらよいことを言った。

寝坊したのは太陽フレアのせい?

先日、岩手県大船渡市に住む地球防衛隊(コラム25参照)の仲間から、スマートフォンのアプリを開けなかった、太陽フレアの影響ではないか?と連絡がありました。もちろん冗談なのですが、この手のネタは2017年の秋からSNSで見かけるようになりました。

きっかけは、2017年9月に「通常の1000倍の大型太陽フレアが観測」されたと関係機関からプレスリリースが出たことによります。当時、カリブ海では大型ハリケーンの被害を受けて、その救援活動の最中に、大規模な電波障害が生じたという報告がありました。(日本では大きな影響はありませんでしたが)

そのため、何だかよくわからない脅威である太陽フレアは、「寝坊したのは太陽フレアのせい」といったジョークの恰好の餌食となりました。この反応は「宇宙天気防災研究者」としては懸念材料でして、よかれと思って発信した情報がオオカミ少年になってしまわぬように注意を払わないといけません。(宇宙天気防災研究者)

<3分宇宙天気>2021年3月22日、太陽の北半球で巨大なプロミネンス(紅炎)が見られました。ガスの塊(CME:コロナ質量放出)が噴出され、地球方向に向かっています。3月25日以降、到来する可能性がありますので、宇宙旅行ご予定の方は宇宙天気をウォッチ!

市職員2人が新型コロナ つくば市

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つくば市役所

つくば市は27日、市職員2人が同日、新たに新型コロナウイルスに感染していることが判明したと発表した。

市ワークライフバランス推進課などによると、2人は市役所本庁舎2階に勤務する非常勤職員と、小田城跡歴史ひろば案内所に勤務する非常勤職員で、いずれも職場に濃厚接触者はいないという。

2人が勤務する部署はいずれも消毒作業を行い、通常通り業務を実施する。

2人に症状があったかや、いつまで勤務していたかなどは公表できないとしている。

第1期巣立つ つくば・みらいのもり保育園で卒園式

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保護者に向けて書いた手紙を読み上げる園児=みらいのもり保育園

社会福祉法人関耀会(筑西市、関正夫理事長)が運営する、つくば市鬼ケ窪のみらいのもり保育園(川上美智子園長、園児数85人)で27日、第1回卒園式が催され、第1期生となるくじゃく組の年長児4人が巣立った。昨年4月に開園したが、コロナ禍で入園式を開催できなかった。

式典で川上園長は「4人は憧れの年長さんで、園のリーダー的役割を立派に果たしてくれました。4月から小学1年生になります。たくさんのお友達と楽しく元気に過ごしてください。皆さんの成長を先生たちは遠くからいつも温かく見守っています」などと式辞を述べた。

卒園生4人は「毎日優しく見守ってくれて、先生方、ありがとうございました」などとお別れの言葉を述べ、参加した父母に向けて「毎日おいしいご飯を作ってくれてありがとう。大好きです」などと書いた手紙を読み上げて手渡した。

1年間の思い出を振り返る映像が流れると、胸がいっぱいになり、すすり泣く保育士らの姿が見られた。

同園は「自分らしさと自ら伸びる力で未来を生きる自信と意欲を育てる」を保育理念に掲げ、筑波大学と連携して園児たちの個性を引き出すアート体験なども行っている。

プロチームを次々撃破 アルボラーダ(つくば) 3×3日本選手権で準優勝

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表彰式で男子の部準優勝のアルボラーダ(写真提供:アルボラーダ)

3人制バスケットボールの日本一を決める第6回3×3(スリーバイスリー)日本選手権大会(日本バスケットボール協会主催)のファイナルラウンドが3月22、23の両日、新宿住友ビル三角広場(東京都新宿区)で開かれ、男子の部で茨城県代表のアルボラーダ(ALBORADA)が準優勝した。戦い終えて、代表の中祖嘉人さん(3×3日本代表サポートコーチ)や選手たちに話を聞いた。

気合を入れる4人。左から改田、小澤、山本、石渡(写真提供:日本バスケットボール協会)

ファイナルラウンドの相手はいずれもプロチーム。1回戦は唐津レオブラックス(佐賀県)を21-13、2回戦は八戸ダイム(青森県)を21-15と相次いで撃破。準決勝ではウィル(東京都)と対戦、点の取り合いから延長21-19で勝ちきった。メンバーの山本陸は「相手は1対1に自信を持つチームで、タイトな守備が必要。自分たちが重視する攻撃から守備への切り替えで、パスアウトのカットを狙うとか、リバウンド時のポジション取りなど、タフでハードな守備を心掛けた」と振り返る。

決勝の相手ビーフマン(高知県)は、保岡龍斗(3×3日本代表候補、B1秋田ノーザンハピネッツ)、湊谷安玲久司朱(元B1横浜ビー・コルセアーズ)らを擁する強豪。チーム平均身長189センチと、体格差の大きい相手にゴール下で押し込まれ、14-21で敗れた。「シュートファールからフリースローを与え、楽に点を取らせてしまった。ファールにならない守備が必要だった」と改田拓哉。

生え抜き選手で挑む

アルボラーダは2013年につくばで結成された、3人制と5人制バスケのクラブチーム。中祖代表にとって今回の日本選手権準優勝は、昨年のチームつくばを率いての優勝に続く2年連続での決勝進出。だがその価値は昨年とは全く異なるという。

「チームつくばは、つくばから世界を目指すというコンセプトで、元B2茨城ロボッツの大友隆太郎(現B1滋賀レイクスターズ練習生)ら、プロ選手を集めて作ったチーム。それに対し今年は、子どものころから一緒に練習してきた生え抜きの選手たちで挑んだ」

決勝戦、体格差のある相手と競り合う石渡(左から2人目)と山本(右端)(写真提供:同協会)

メンバーは小澤峻(つくば市、土浦二高出身)、山本陸(牛久市、土浦日大高出身)、石渡優成(牛久市、藤代高出身)、改田拓哉(我孫子市出身)の、いずれも20代前半の4人。平均身長は177センチで、出場チームの中では格段に小さく、身体能力でも突出したものは持っていない。それでも3×3のU-18日本選手権では、2017年の第3回大会優勝など、3年連続で上位入賞を果たしてきた。オープンカテゴリーの大会は今回が初めてだが「優勝しかない」との意気込みで臨んだ。

次に続く選手らの目標に

道のりは厳しく、県予選では最終戦を延長で制し、東日本予選では11チーム中5位というギリギリの成績で勝ち抜いた。ただしその中にはプロリーグ「3×3エグゼプレミア」の今季優勝チームであり、小林大祐(茨城ロボッツ)ら日本代表候補2人を擁する宇都宮ブレックス(栃木県)を破るなどの快挙もあった。

「残念ながら優勝は逃したが、ここまで勝てたことが本当にうれしかった。彼らのことは子どものころから見てきた。体が大きくなり技術も上達したが、それ以上に人間としての強さ、メンタル面での成長が感じられた」と中祖代表。

準決勝戦、ドリブルで切り込む山本(写真提供:同協会)

「彼らはいわゆる普通の選手ばかり。中学や高校でも目立ったキャリアはないが、時間をかけて努力し、正しいトレーニングを積むことで、日本のトップと渡り合えるまで成長できた。後に続く選手たちに希望を与えられる存在」と小山涼コーチ。彼らの活躍を見て、一緒に練習してきた小中学生らのモチベーションがいま、非常に高まっているという。

4人は今大会を一つの区切りとして、今後はそれぞれ次のステージへ進む。改田はプロチームから日本代表や世界での活躍を目指す。指導者として後輩の育成に携わる山本は「高校生や大学生のメンバーを伸ばし、次は彼らに日本一をつかんでもらいたい」と目標を語る。(池田充雄)

オオシマザクラのはなし 《令和楽学ラボ》12

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日立市かみね動物園のオオシマザクラ

【コラム・川上美智子】今年は桜の花の開花が早く、各地から垂れ桜やソメイヨシノの花便りが届いています。ここ茨城県でも既に桜が満開になっているところもあります。

今から10年ほど前、桜の名所である日立市の依頼で、大学の研究室では「オオシマザクラ」の研究に取り組みました。オオシマザクラは、日本に自生するサクラ野生種の1つで、日本の固有種とされ、交雑しやすいため多くのサクラ栽培種の原種となっています。

例えば、明治初期に誕生したソメイヨシノも、DNA解析からオオシマザクラを父に持つことがわかっています。また、オオシマザクラを母種とするサクラも多数あり、これらはサトザクラ群と言われています。原木は木炭や浮世絵の版木、茶筒などに使われてきました。葉は滑らか、無毛で食べやすいところから、桜餅の葉として利用されてきました。花びらは白色でソメイヨシノよりやや大きく、4月ごろ、新葉が出る時期に咲くのが特徴です。

日立市のオオシマザクラは、日立銅山の歴史と深い関係にあり、新田次郎原作・松村克弥監督の映画「ある町の高い煙突」にそれが描かれています。明治後期、銅の製錬による煙害(2酸化硫黄の発生)が大きな問題となり、煙害に強い樹木としてオオシマザクラが採用され、植樹が始められました。

大正4年(1915)に大煙突が建てられるまで、数万本のオオシマザクラの苗木が伊豆大島から移植され、さらに耐煙樹種研究のために作られた農場では、苦心の末、120万本の苗木栽培が行われたと言います。その後、オオシマザクラの苗木にソメイヨシノの苗木の接ぎ木も行われ、日立市全体がサクラの町になって行きました。

「桜香るうどん」の開発は断念

研究室では、特有のかぐわしい香りをもつサクラの花と葉を利用した商品づくりを試みました。手始めに、サクラの葉と花の揮発性成分について分析したところ、強い樹木であるだけに、葉からはクマリンやベンズアルデヒドなどの芳香をもつ抗菌成分と猛毒の青酸(シアン化水素)などが見つかりました。

クマリンは抗菌作用のほか、抗血液凝集(ぎょうしゅう)作用などがありますが、大量摂取すると肝毒性、腎毒性をもたらします。シアン化水素はミトコンドリア中で酵素チトクロームオキシダーゼと結合し、細胞呼吸を阻害して呼吸困難や窒息を引き起こします。生葉よりも乾燥した葉で、これらの成分の含有量が高まるため、サクラの葉粉末を練り込んだ「桜香るうどん」などの開発を試みましたが、商品化は断念しました。

ちなみに、クマリン自体も食品添加物としては認められていません。と言うことで、サクラは花を愛でることに留めた方がよさそうです。(茨城キリスト教大学名誉教授)

土浦お花見さんぽ 《私家版吾妻カガミ》

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霞ケ浦総合公園=土浦市大岩田

霞ケ浦総合公園

26日(金)午後、うちの奥さんと2人で霞ケ浦総合公園(土浦市大岩田)に出かけました。この公園は自宅から歩いて10分と近く、毎早朝、豆柴犬と散歩しているところです。ですから、どこにどんな桜の木があるか、開花の度合いどの程度か、知り尽くしています。それでも、天気予報でこの日は20℃を超えることを知り、「昼、花見に行こう」となりました。幼稚園や小中学校が春休みに入ったこともあり、平日にもかかわらず子どもたちでいっぱい。上の写真は、公園のシンボルでもある風車を桜越しに撮ったもの、土浦市の桜まつり旗を桜とセットで撮ったもの、周回路沿いの桜と奥さんの後ろ姿を撮ったもの、です。

桜川堤

土浦市を流れる桜川の堤には、霞ケ浦の河口部から、上流の学園大橋まで桜の木が植えられています。何本あるか知りませんが、相当な数になります。いつ植えたかも知りませんが、相当な古木です。土手下の河川敷に椅子を持ち込み、うちの奥さんと豆柴犬とで、近くで買った弁当を食べるのが例年の花見でが、今年はその時間が取れず、26日(金)午後、弁当なしの花見になりました。下の写真は、コロナ禍を心配する市の看板、堤の桜の古木を撮ってみました。

桜川堤=土浦市生田町ほか

慢性腎臓病患者への生活食事指導は費用対効果に優れる 筑波大学 戦略研究で示す

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筑波大学付属病院=つくば市天久保

1人の健康寿命を1年延ばすためには、追加でいくら必要になるかを、慢性腎臓病(CKD)重症化予防から明らかにした研究が24日、筑波大学(つくば市天王台)から発表された。慢性腎臓病が進行すると必要になる透析療法には1人当たり年間約500万円の医療費がかかり、社会的な負担も大きい。そこで、かかりつけ医と専門医が連携し、患者への生活食事指導を普及させることで、社会全体で支払う追加の費用は1人当たり年間14万5593円に抑えられることが分かった。

発表は筑波大学と新潟大学の連名。研究代表者は筑波大学医学医療系の大久保麗子助教、近藤正英教授が務めた。同医学医療系の山縣邦弘教授らによって2006年から行われてきた慢性腎臓病重症化予防のための戦略研究(FROM-J研究)を引き継ぐ研究という。

1人年間500万円が15万円弱に

慢性腎臓病は、たんぱく尿の存在や腎臓の機能低下などが3カ月以上続く状態を指す。慢性腎臓病が進行すると末期腎不全や心血管疾患の危険因子となるとされる。透析療法が始まると、一生続ける必要があり、これに要する医療費(1人当たり約500万円)は、社会的にも負担となっている。このためFROM-J研究では、かかりつけ医、腎臓専門医、コメディカル(看護師、栄養士など医師以外の医療従事者)の協力による医療システムの有効性、有用性を検証してきた。

今回、研究グループは生活食事指導を取り入れた経済モデルを構築した。かかりつけ医と腎臓専門医の診療連携を強化する「介入」を行った場合の費用と効果を分析した。ここでの「介入」は、慢性腎臓病患者に対する生活指導、服薬指導、食事指導、受診促進の全てを含めた生活食事指導のことを指す。

CKD患者の予後を推計するための経済モデル(プレスリリース)

その結果、生活食事指導による介入の増分費用は年間1万6164円、その費用効果比は質調整生存年(QALY※メモ参照)当たり14万5593円と評価された。これが国民1人の健康寿命を1年延ばすために追加的に社会全体で支払う費用と見積もられる。日本の評価基準の閾値(しきいち)となっている500万円(1人当たりの透析医療費と同じ額)と比較すると、極めて小さい値が算出された形だ。

国内に約1300万人と推計される慢性腎臓病患者を腎専門医だけで管理、加療することは不可能。社会負担の軽減には、腎臓を専門としないかかりつけ医、看護師、栄養士からなるチーム医療で、対応していく必要があるとした。研究グループは、この介入を普及させるためには、受診勧奨を含めた生活食事指導に関する診療報酬の改定や、CKD診療ガイドラインへの追加などが重要と考えている。

【※メモ質調整生存年】(QALY:Quality-Adjusted Life-Year) 生存年数を生活の質(クオリティーオブライフ)の値で重み付けしたもの。完全な健康状態は「1」、死亡状態は「0」、病気や障害がある状態のときには「0と1の間の値」で表現する。完全な健康状態で生存する1年間の寿命の価値が1QALY となる。

食うか食われるかを目の当たりに 《宍塚の里山》75

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大池で見られるオオバン(下段左から)ウシガエルのオタマをくわえる、オタマジャクシを横取りされる、草の実を探す、特徴的な脚

【コラム・及川ひろみ】秋から春にかけて、宍塚大池では、白いおでこが目立つ水鳥、オオバンが見られます。1994年までは来たり来なかったりでしたが、それ以降は毎年見られ、数も年々増えています。オオバンは全国的に増えている野鳥です。繁殖地の調査などが行われていますが、その理由は分かっていません。

オオバンはオオタカなどに比較的捕まりやすく、池の縁で羽根をむしられたオオバンを見ることも少なくありません。オオタカがオオバンを仕留めたときには、池の中にオオバンを力ずくで沈めて窒息させ、その後、岸に引き上げます。タカの脚の強さは想像以上!

今年、仕留めたオオバンの羽をむしり始めたところで、哺乳動物に横取りされた現場を見ました。宍塚では中型哺乳類が生態系の頂点であることが分かります。(この哺乳動物、アライグマ、タヌキ、キツネ、ハクビシン…、何なのか残念ながら分かりません)

オオバンが水草や陸の草の実などをついばむ姿をよく見ますが、実は結構な動物食。ウシガエルのオタマジャクシ、アメリカザリガニもよく食べます。オオバンは潜るのが得意で、カモたちよりこのような獲物が手に入りやすく、冬の間、よく食べていました。

しかし、カモたちにとって、これらの獲物はよだれが出るほどうらやましいのか、そっと近づき、オオバンがくちばしにくわえたオタマジャクシなどをひょいと横取りします。しかし、オオバンは捕られても何事もなかったかのように、また水に潜り、生き物探し。時に、口に入らないほどの大きなものを捕り、水面に何度も打ち付け、食べやすいサイズにしてのみこみます。

オオバンはクコの葉が好き

こんな姿が見られるのは真冬で、春が近くなってくると、動物食から植物食になるようです。

オオバンが好きなのはクコの葉です。クコの枝は細く、登って小さな葉を食べるのは一苦労ですが、落っこちそうになりながら徹底的に食べます。よほどの好物のようで、クコの群落の葉が丸坊主になります。以前飼っていた鶏はクコの葉が大好物でした。

クコは長寿の薬ともいわれていますが、これを知っているかのようです。私も春先、クコの若い芽を摘み、ゆで、ゴマあえなどでいただきます。結構いけます。(ゆでてから時間がたつと青臭くなるのでご注意)

里山の生き物を丁寧に観察していると、生き物同士の、食うか食われるかの関係が見えてきます。生態系という言葉の重みが実感できます。オオバンはカモより遅くまで見ることができます。(宍塚の自然と歴史の会 前会長)

桜の樹の下の卒業式 筑波大から4384人巣立つ

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式を終えたり開始を待つ卒業生たち=学生会館前で午後2時ごろ撮影

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)の卒業式が25日、行われた。新型コロナの影響で、今年度は卒業生のみが参加でき、家族や在校生らはライブ配信で遠隔参加した。昨年度は「代表180人のみが出席」する形式で行われたため、学生が式典会場に集まる形では2年ぶりとなる。20年度の卒業および修了予定者は4384人。

大学会館で行われた式典では例年通り、学位記や卒業証書の授与、学生の表彰などが行われた。会場の大きさと学生数の関係から、式は学群生が2回、大学院生が2回の計4回に分けられた。永田学長は式辞で「皆さんが旅立つのはグローバル社会。そのことを新型コロナウイルスが実感させてくれた。個々のコミュニティーには境界が無く、感染症はどこまでも広がっていった。皆さんが学んだこの筑波大学も留学生比率の特に高い大学の一つ。グローバル社会で活躍するための力は得たはずだ。社会に羽ばたいても頑張っていってほしい」と激励した。

筑波大学の卒業式。壇上は永田学長=同大大学会館(提供:筑波大学

式の開始を待ったり、終了した学生には会場脇の大きな枝ぶりの桜が格好の記念撮影スポットになった。一部散り始めた樹の下で、卒業袴でマスク姿の女子学生らがスマホに収まった。人間学群障害科学類4年の男子学生は卒業について「コロナ禍で精神的に辛い1年間だった。ここまで来られたのは、そうした状況のなかでも仲間達とオンラインでコミュニケーションが取れたことが大きいと思う」と話した。

お寒い謝恩会、追い出しイベント会場

しかし、コロナ禍の影響も大きい。例年ならば、卒業式のあとには教員らに感謝を伝える謝恩会が各学群・学類ごとに開催されるが、今年度は多くの学群・学類で中止を余儀なくされた。「1年前から大学近辺のホテルを会場に抑えていたが、キャンセルすることになってしまった。緊急事態宣言の解除がいつになるかという問題などもあり、年明けくらいまで開催の可否も決めかねていた」と人間学群の謝恩会担当者は話した。

卒業生らの「追い出し」イベントの自粛は、学内食堂の経営にも大きく響く。大学の厚生会担当者は「学生食堂の多くは春の新入生歓迎イベントや卒業生の追い出しコンパで収入のかなりの部分を得ていた。それらが中止されるとなると、経営上の影響は大きい」と語る。

4月5日に予定されている2021年度の入学式典も、新入生のみが現地参加する形式で、家族らはライブ配信での遠隔参加の形式をとる予定だ。(山口和紀)

◆詳細は筑波大学の特設ページ。ライブ配信は筑波大学公式YouTubeチャンネルで。

コロナ禍、働くスタッフの励みに 筑波メディカルで写真展「病院のまなざし」

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写真に見入る職員=つくばメディカルセンター病院

筑波メディカルセンター病院(つくば市天久保、軸屋智昭院長)で開催中の写真展「病院のまなざし」が、新型コロナ対応で疲弊した病院スタッフはじめ患者や関係者たちの励ましになっている。4月末までを予定する会期は残りひと月あまり、「コロナ禍で一般に見てもらえないのが残念」とSNSを通じた発信を強化した。

被写体はすべて病院職員 手術道具の技術者も

被写体はすべて病院で働く職員だ。緊張した面持ちの医師、笑顔で患者に接するリハビリ療法士などさまざまな表情をとらえた写真71点が、病院1階廊下のメディカルストリート180メートルにわたって展示されている。

職員の仕事内容により、①患者さんを迎える②治療を支える③命と向き合う④患者さんを見守る⑤病院を支える―の5セクションに分けられている。

医師や看護師、事務員、管理栄養士だけでなく、清掃職員や病院内のコンビニエンスストアのスタッフも映っている。普段は職員も患者も接する機会が少ない、手術器具をメンテナンスする技術者たちを撮影することで、病院がさまざまな人によって支えられていることをあらためて知るきっかけにもなっているという。

撮影が行われたのは昨年8月の6日間。日程と時間をあらかじめ各部門に伝え、許可を得たうえで行われた。カメラを趣味とする看護師の須藤ゆみさんとカメラマンの石附雅代さんが撮影にあたった。石附さんは、コロナ禍の医療従事者にお弁当を届ける「セーバーイーツ茨城」活動(2020年5月14日付)で同病院を訪れたことが縁で、今回の企画に参加したという。

須藤さんは「職員の真剣な表情と、温かい人間性も写真で引き出したいと思い撮影前に話をすることを心がけた」と語る。2人が撮影した写真は約1400枚。メンバーらで1カ月かけて71点に絞り込んだ。

新型コロナで疲弊した職員を励ましたい

病院は2006年からアート・デザイン・プロジェクトに取り組んでおり、写真展はアートやデザインで医療支援を行うNPO法人チア・アート(つくば市天王台、岩田祐佳梨理事長)の協働で実現した。アート・デザインコーディネーターとして岩田理事長と水畑日南子さんが活動中で、今回も企画・運営面を担った。2人は「コロナ禍で疲弊している病院職員を元気づけたい、患者さんには職員に親しみや安心感を得てほしい」と企画意図を語っている。

チア・アートの岩田祐佳梨理事長(左)と水畑日南子さん=同

写真展を見た職員にアンケートを取ったところ、回答した379人のうち75パーセントが写真展の取り組みを「良い」「とても良い」と感じているという結果になった。自由記述では「自分たちが一丸となって病院を支えていると実感できた」「仲間の笑顔に癒された。頑張ろうという気持ちになった」などの感想が集まった。

患者からは職員への感謝やねぎらいの言葉のほか、「リハビリで廊下を歩くのが楽しくなった」という感想も寄せられているという。

筑波メディカルセンター広報課主任の遠藤友宏さんは「4月末まで展示する予定だが、コロナ禍で面会禁止のため一般の方に見てもらえないことが残念だ。病院のホームページやフェイスブックでダイジェスト動画を見ていただき、雰囲気と取り組みを知ってもらえたら」とアピールしている。(伊藤悦子)

筑波メディカルセンター病院ホームページの「病院へのまなざし」はこちら フェイスブックはこちら

救いの歌詞物語① 貧しさと諦めと平穏と《遊民通信》13

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イラストは筆者

【コラム・田口哲郎】
前略

「羽根のついた靴」で味をしめて、歌詞を書くようになりました。いつか誰かに歌ってもらえることを密かに待ち望みながら。

コロナ禍で満員通勤電車はめっきり減りましたが、つい2年前まではスシ詰めの列車が大量の人間を都心に送り込んでいました。大学に再入学する前は私も都心に通勤していましたので、毎朝の満員電車はとてもつらかったです。

ある日、乗っている電車が大きな河にかかる鉄橋を渡っているときに、詩の断片が浮かびました。またある日、マザー・テレサのドキュメンタリーを見ているときに、また断片が浮かびました。マザー・テレサはコルカタの路上生活者に手を差し伸べた聖女ですが、私は思いました。(マザーはなぜ、わかりやすい貧しい人々を救うのだろう? ここに家の中でひとり苦しむどうしようもない私がいるのに…)

そのとき、ハッとしました。私は路上生活者を無意識に差別していたのです。彼らとは違う自分を必死に探していました。でも、それは間違いです。私こそが貧しいのです。マザーの救いを求めているのは私だったのです。私は知らぬ間に欲望優先の競争社会で生き、他人をx顧みない習性が染み付いてしまっていました。満員電車に押しつぶされる私こそが哀れで、救われたい。この気づきが詩の断片をつなぎました。

歌詞「平穏(セレニティー)」

鉄橋架かる大きな河
水面に映る満員電車

わたしは急いで運ばれる

どこへ?

みんなそんなに強く押さないで
どうしよう
思ったよりも 心は脆い

あれはもうすぐわたしが昇るビル
うしろ髪をひかれて
目を瞑(つむ)りながら

街路にできた水たまり
水面に映る遠いビル

わたしは彷徨(さまよ)い続ける

どこへ?

犬よ そんなに顔を舐(な)めないで
大丈夫
思ったよりも 心は静か

あれはもうすぐわたしが昇る空
思い残すことなく
微笑(ほほえ)みながら

緊張と不安と競争で疲れ切った心を休ませるときかも知れません。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

センバツ初のタイブレーク制す 常総学院が1回戦突破

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勝利の瞬間、選手たちを拍手で讃える=土浦市中村西根の常総学院高

阪神甲子園球場で開催中の第93回選抜高等学校野球大会は、大会5日目の24日、常総学院(茨城)が延長タイブレークの末、9-5で敦賀気比(福井)を破り、1回戦を突破した。土浦市中村西根の常総学院高では学校応援が行われ、吹奏楽部や陸上部、剣道部などの生徒約110人が甲子園へ向けて熱い声援を送った。

校内に陣取る吹奏楽部、迫力の応援

試合は2回表、常総学院が1死満塁から敵失と暴投、さらに伊藤琢磨の2点適時打などで4点を先制。8回表には秋本璃空の中前適時打で1点を加えた。対する敦賀気比は後半に得意の粘りを見せ、7回に3点、8回に2点を返し、5-5の同点で今大会6度目の延長戦に入った。

延長戦で常総学院は8回からマウンドに上がった2人目の大川慈英、敦賀気比は9回からこの日2回目の登板となった今井がそれぞれ尻上がりに調子を上げ、互いに得点を許さない。13回から選抜大会では初のタイブレークに突入した。

13回表の常総学院の攻撃は無死一、二塁の場面から始まり、まずは秋本が右前適時打で勝ち越し、さらに1死満塁から太田和煌翔と田中隼人の連続適時打で3点を加え、敦賀気比を大きく引き離す。その裏を3人で抑え、結果9-5で勝利を決めた。

今大会、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、球場では録音した音源をスピーカーで流すのみで、生の演奏や声を出しての応援は禁止となった。このため吹奏楽部は校内のホールに集まり、モニターで試合を観戦しながらさまざまな応援曲を演奏。チームが得点機を迎えると、その迫力と盛り上がりは、アルプススタンドにいるのと寸分変わらぬほどになった。

感極まって抱き合う生徒も=同

試合を終えて、吹奏楽部の田所千央部長は「選手たちの努力が実ってよかった。この勝利に気を緩めずさらに勝ち進み、たくさんの人に勇気を与えてほしい」と話した。またクラスメートでもある秋本、伊藤らの活躍には「学校や野球で頑張る姿を身近に見てきた。甲子園で胸を張ってプレーしているのを見て、さらに勇気をもらった」という。

指揮者として腕を振り続け、選手たちと共に13回を戦い抜いた飯野峻太朗さんは「腕はぱんぱんだが、この演奏が選手に届いてくれるなら疲れはない」と喜びの声。クラスメートである大川の活躍には「追い付かれても頑張ってくれると信じていた。持ち味の速球で、何度もピンチを乗り越えてくれた」と感慨深げだった。(池田充雄)

組織開発推進室など新設 つくば市人事異動

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つくば市役所

つくば市は19日、4月1日付人事異動を内示した。異動総数は全体の20.7%の262人で、前年度に引き続き業務の継続性を重視し、必要最低限の移動となる。組織改編は、組織開発を全庁的に行うため総務部人事課に組織開発推進室を新設などする。

3月末の定年退職は52人、普通退職は32人、4月1日の新規採用は57人で、4月1日付けの職員数は1970人と前年度と比べ3人減少する。同市では、2018年度と19年度に市職員数を大きく増やし、内示時点の4月1日付け職員数は、17年度の1833人に対し、18年度は前年度比82人増の1915人、19年度は同56人増の1971人だった。20年度は前年度とほぼ同数の1973人。前年度より職員数が減るのは過去5年間で初めて。

女性の管理職(幼稚園長・保育所長を除く)の割合は16.7%で前年度より0.3%増える。人事交流では文科省出身者を引き続き政策イノベーション部長に配置し、国、県などに実務研修生8人を派遣する。任期付き職員としてプロモーションのプロを配置する。定年退職後の再任用職員は125人(前年度比3人増)で、原則、2級下の職で任用する。

組織再編で新設する組織開発推進室は、新年度予算に盛り込まれたコーチング研修を含め、組織全体のモチベーションを上げ、組織としてどうあるべきかなどを検討していくという。

ほかに、根拠に基づいた新たな政策立案を推進するため政策イノベーション部企画経営課に統計・データ利活用推進室を設置する。スマートシティの推進に重点的に取り組むため、スマートシティ戦略室をプロジェクトチームから科学技術振興課の課内室に変更する。

市民部は、市民活動センターの管理運営が指定管理者でなくなるため、同センターを行政組織として位置付ける。陸上競技場の整備計画を含め、スポーツ施設の整備・管理に総合的に取り組むためスポーツ振興課にスポーツ施設整備室を設置する。

保健福祉部は、新型コロナ対策により増加する業務に対応するため、保健福祉部を福祉部と保健部に分ける。

都市計画部は、業務量の縮小に伴い、市街地振興課と沿線開発整備室を廃止し、都市計画課に編入する。中心市街地と周辺市街地の振興に重点的に取り組むため、学園地区市街地振興室と周辺市街地振興室をそれぞれ、学園地区市街地振興課と周辺市街地振興課に変更する。

地域経済の牽引事業を促進するため開発指導課に地域開発振興室を設置する。自転車を活用したまちづくりなどに取り組むため総合交通政策課にサイクルコミュニティ推進室を設置する。

再編後の組織は、現在の19部72課24室から、新年度は20部73課25室となる。(次ページに続く