茨城県畜産課は、野生イノシシに免疫をつけることで豚熱(CSF)感染を防止するため、今月19日から6月10日まで、国や市町村、猟友会などと連携し、野生イノシシに対する経口(餌)ワクチンの野外散布を実施している。
散布市町村は、栃木県境寄りにあり野生イノシシが生息している大子町、常陸大宮市、城里町、笠間市、桜川市、石岡市の6市町と、渡良瀬遊水地から利根川沿い河川敷の古河市、境町、五霞町、坂東市の4市町。
さらに豚熱感染個体が確認された守谷市、取手市、常陸太田市の3市など、県下全域に及ぶ。
経口ワクチンはイノシシが生息する山林等の土中に埋める。トウモロコシなどを材料としたビスケット状の餌の中にワクチンを封印したもので、国の食品安全委員会で安全評価された成分や食品でできているという。
既に県内では野生イノシシに豚熱感染個体が確認されている。このため県は、豚飼育施設に入る予定があり、山林に入った場合は、山林から出る際、消毒液などで靴底等に付着した土を洗い流すなどの防止策を講じてほしいと呼び掛けている。(山崎実)
経口ワクチン散布市町と作業スケジュールは以下の通り。
▽守谷市=5月19日(餌付)、27日(散布)
▽常陸太田市=5月25日と27日(餌付)、6月1日と3日(散布)
▽大子町、常陸大宮市、城里町、笠間市、石岡市、取手市、桜川市、古河市、境町、五霞町、坂東市=6月1日、3日、8日、10日(いずれも散布)
【豚熱】豚やイノシシが感染する病気で、伝染力が強く、致死率が高い。人には感染しない。国内では2018年9月、岐阜県の養豚農場で26年ぶりに感染が確認された。現在、国内で感染が拡大しており、県内では昨年6月、取手市内で感染した野生イノシシが初めて確認された。その後、守谷、常陸太田、常陸大宮市、大子町で12例の野生イノシシの感染が確認されている。一方、県内の養豚場では現在まで感染は確認されていない。