金曜日, 1月 28, 2022
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宇宙の最前線に迷い込むハチ 《食う寝る宇宙》86

【コラム・玉置晋】5月の暑い日、僕が常駐するオフィスの窓からハチ君(恐らくアシナガバチ)が迷い込んできて、直上の蛍光灯に止まりました。どうしたものかと、10分ほど様子をみたのですが、動く様子がありません。仕方がないので、部屋のみんなに「電気消すよ~」と宣言しました。部屋を暗くして、ハチを明るい窓際に誘導しようとする試みです。夜、虫たちが電灯に集まるじゃないですか。あれと同じです。

この試みは見事に成功。でも、窓際であと一歩のところで出ていかない。とっさに、脇にあった30センチ×30センチほどの発泡スチロール板であおいだら、板が「ベキ!」と折れて、まるでドリフのコントのよう。新人の方に、「最近で一番大笑いしました」と言われる始末。先輩の面目丸つぶれです。

ちょうどこの日は誕生日だったのにツイてない。でも、ハチ君はびっくりして窓から出ていきました。ちなみに、ここは日本の宇宙開発の最前線の施設。こんな、ほのぼのした日がこれからも続いて欲しいものです。

軽くて丈夫なハニカム構造

さてこのハチ君、宇宙分野でも大いに役に立っているのです。

ハニカム構造とは、ハチの巣(英語でハニカム)のように、正6角形や正6角柱を隙間なく並べた構造です。ハチ君たちはハチミツを効率的に貯蔵する必要があります。どんな形状だと最も効率的か考えてみましょう。すべて同じ形状の組み合わせで面を敷き詰めることができるのは、3角形と4角形と6角形しかありません。それらの外周の長さが等しい場合、最も面積が大きくなるのは正6角形です。

全体の強度の面でみると3角形が最も優れていますが、一方向から力を受ける場合の力の分散からみると、正6角形の衝撃吸収性が最も高くなります。宇宙用の構造物は軽くて丈夫なものが有利です。例えば、ロケットのフェアリング(人工衛星を覆っているカバー)や人工衛星の構体、アンテナにハニカム構造が適用されています。

火星ハチ「Mars Bee

人類が火星で生活するためには、現地で食料となる植物を育てないといけません。植物が実をつけるためには受粉が必要となります。ここで活躍するのがハチ君です。

NASA(米航空宇宙局)が行った実験では、無重力環境でハチ君は上手に飛ぶことができなかったそうです。日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)と玉川大学の先生の航空機を使った実験によると、地球の1/3の重力の火星では、ハチ君たちは飛べる可能性がありそうだということがわかっています。

先日、NASAが火星でドローンを飛ばしたというニュースがありました。2018年にNASAは、「Mars Bee」と呼ばれるハチ型ロボットを飛ばす構想を発表しました。ハチの体にセミぐらいの羽根がついたもので、なんとも不思議な形です。火星にハチ君が飛ぶ日はそう遠くはないと思います。(宇宙天気防災研究者)

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