火曜日, 9月 21, 2021
ホーム 暮らし ワクチンなど4つの取組が成果 殺処分 最新集計を検証する㊦

ワクチンなど4つの取組が成果 殺処分 最新集計を検証する㊦

【コラム《晴狗雨dogせいこううどく》特別編・鶴田真子美】かつて全国最多だった茨城県動物指導センターの殺処分数はなぜ大幅に減少したでしょうか?

理由の第1は、パルボワクチン接種です。

2015年6月以降、常総市の野犬保護の取り組み時に、センターに収容された野犬が感染症のパルボウイルスに罹患したのを契機に、センターのパルボ撲滅を強く要望しました。このときセンターは、パルボを抑え込んだ千葉県のセンター等に視察に行かれ、全頭接種が鍵であることを聞かれたそうです。間もなく茨城県動物指導センターでも、パルボワクチンがすべての収容犬に接種されるようになりました。

それまでセンターに蔓延していたパルボウイルスにより、健康な犬たちも収容されてすぐに罹患し、血便と嘔吐で弱り、ガス室に入る前にはすでに衰弱していたというのがセンターの状況でした。殺処分前提で収容が行われていたからです。

しかし2015年夏から現在、ワクチンにより、ウイルスから個体を守ることができるようになったため、ボランティアが安心してセンターから犬を引き出せるようになりました。犬の殺処分を減らせた大きな契機はワクチン接種の実現でした。

残念ながら子猫にはまだ充分にワクチン接種がなされておらず、センターでも猫パルボが発生しております。パルボさえ抑え込めたら子猫の収容中死亡率も下がり譲渡が進みます。

これを防止するのは、幼齢の子猫への仮ワクチンの接種です。小さいからワクチンは打てないのでは、パルボウイルスにより命を落としてしまいます。パルボウイルスの体内増殖と競うように1日も早く抗体をあげるには収容時点での速やかなワクチン接種が必要です。

さらに、センターでは環境整備が課題となるかと思われます。子猫は一カ所に集めず、センター内外に小さなスペースを用意し、きょうだいごとに隔離収容することができたら、罹患したひと腹の兄弟猫と、健康体であるひと腹の兄弟猫とを一緒にせずに、より安全に助けられると思います。

また、センターに入れる前に、子猫を預けられるミルクボランティアさんの登録と養成も、猫の延命率を上げるのに有効でしょう。

条例制定で財源確保

なぜ殺処分が大幅に減少したのか? 理由の第2は、茨城県犬猫殺処分ゼロ条例の制定による財源確保です。

2018年12月、茨城県で犬猫殺処分ゼロ条例が施行され、これにより、収容犬猫へのワクチン接種や避妊去勢手術、地域猫活動に予算が下りることになりました。

2015年に常総市で野犬保護問題に取り組んで四苦八苦していたとき「待ってろよ、いまに犬猫を生かすための条例を作ってやるからな」と県議に言われました。保護犬の公示期間も2週間に延長されました。

2019年にはプレハブ猫舎が2棟建設され、古墳ドッグランが出来ました。

また、2020年にはドッグトレーナーが採用され、9月には雑居房にエアコンが入りました。

茨城県動物指導センターに2019年に整備されたドッグラン

センターが直接、一般譲渡

なぜ殺処分が大幅に減少したのか? 理由の第3は、センターが直接、一般譲渡に踏み出したからです。

2019年3月までセンターは、犬猫が欲しい県民を門前で断っていました。必ず登録ボランティア団体を通して譲渡を受けることが義務付けられており、県民は犬猫がほしくてもセンター登録団体をみつけて交渉するか、ペットショップに走るしかありませんでした。

2019年度からはセンターから一般の方に直接譲渡ができるようになりました。

センターが直接一般譲渡する犬が待つ「ふれあい犬舎」

保護団体が毎週引き出し

なぜ殺処分が大幅に減少したのか? 理由の第4は、当会CAPINが、殺処分平均数である週4匹を毎週、センターから引き出す活動を続けているからです。これは県内外のボランティアさんの頑張りによります。

当会CAPINでは、センターから毎週4頭ずつ、野犬、老犬、怖がり犬を中心に引き出してきました。2019年1月から21年5月までの合計で犬398匹となります。

飼い主に返還は少ないまま

センターに収容された後、飼い主に無事返還された数はどうなっているでしょうか。

犬は2016年から20年まで、順に152匹、122匹、128匹、149匹、133匹が返還数です。収容数そのものの減少を考慮しても、相変わらずの返還率の低さです。収容頭数と比べると2016年は7%、20年は12%です。

猫の16年から20年までの返還数は、1匹、6匹、2匹、2匹、9匹という少なさです。負傷していない限り成猫は原則引き取らないセンターに、居なくなった猫を探して足を運ぶ方も少ないようです。

返還率の低さは、個々の猫の飼い主さんに、終生飼養や逸走防止の心得、完全室内飼育が当たり前という意識が育っていないこともあるでしょうが、行政側からの畜犬登録指導や鑑札迷子札の装着徹底の啓発が進んでいないことが背景にあります。

狂犬病予防法に基づく人命救助の観点からも、飼い主不明の犬がこれほどたくさん徘徊していること自体が深刻な問題です。狂犬病予防接種と畜犬登録は市町村の業務であり、市町村も飼い犬の迷子札装着や逸走時の予防線として犬の情報をつかむことが必要と思われます。

迷子や遺棄は後をたたず、収容犬猫は県内外の譲渡ボランティア団体の努力で何とか殺処分を減らしているような現状では、真の解決は遠いと思われます。

水戸市の動物行政は独立

 なお2020年度から、水戸市は中核市として動物行政を独立させ、水戸市動物愛護センターを開設しました。水戸市独自で収容と譲渡を行っているので、こちらの統計は水戸市を除いた数となっています。

水戸市では現在まで殺処分は行われていません。(犬猫保護活動団体CAPIN代表)

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
名前はあるけど市民
3 months ago

皆さん頑張ってますね!

何かお手伝いできることありますか?

市内の陽性確認者数

直近30日の感染者数推移

このグラフは土浦市・つくば市の過去30日の陽性確認者数を表しています。

これまでの推移(つくば市)

このグラフは初の陽性確認者が出た日から取得した最新日までの推移を表しています

これまでの推移(土浦市)

このグラフは初の陽性確認者が出た日から取得した最新日までの推移を表しています

コンピュータプログラムによる自動取得です。正確性を保証するものではありません

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

「合理的配慮」義務づけに民間向け助成 障害者差別解消法改正でつくば市など

今年5月に改正された障害者差別解消法の学習会が18日、市民団体「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)主催でオンライン開催された。障害者への「合理的配慮」を民間事業者にも義務づけたことを受け、参加者からは「民間事業者が合理的配慮を提供することを支援する制度がつくば市にもある。うまく活用してもらえれば」という意見が聞かれた。 市民団体がオンライン学習会 学習会には県内の障害者や支援者、県議会議員、つくば市議会議員など、約50人が参加した。内閣府障害者政策委員会の委員長である石川准さんが、障害者差別解消法の改正点や残された課題について解説した。 今回の改正では、民間事業者も「合理的配慮」を提供することが義務化された。合理的配慮とは、障害者が他の者と同等の生活を営むために必要な環境の調整である。例えば、車いすでも店に入れるように、入り口にスロープを付けたり、聴覚障害者に筆談で対応すること。2016年施行の障害者差別解消法で、行政機関等は、過重な負担でない限り、合理的配慮を提供することが義務化されたが、民間事業者は努力義務とされていた。 改正法が実際に適用されるのは「3年以内」という。自治体や事業者の準備期間が必要との理由だが、民間事業者は配慮の必要な範囲を見定め、計画的に進める対応が求められる。 合理的配慮を提供するには、スロープや筆談ボードの購入などの設備投資が必要だ。「―つくる会」では2018年に、当時から民間事業者等の合理的配慮提供にかかる費用を助成する独自制度があった兵庫県明石市の職員を呼び、内部向け学習会を行った。その後、加盟する障害者団体が各市町村に呼びかけた結果、2018年につくば市で民間事業者等への合理的配慮助成制度がつくられたのを皮切りに、現在は県内5市で同様の助成制度が実施されている。

また中止された土浦の花火を考える 《吾妻カガミ》116

【コラム・坂本栄】11月第1土曜日に予定されていた土浦全国花火競技大会が中止になりました。コロナ禍の収束が読めない今、2カ月先の催事にGOは出せないとの判断です。昨年もコロナ禍を受けて中止。2年前と3年前は事故で途中取り止め。花火好きの私にとって、中止はもちろん事故も残念です。大音量スピーカーで来観者に挨拶できない土浦市長もさぞ残念でしょう。 桟敷で観るのが正しい作法 中止に至った経緯については「無念の中止決定 土浦の花火 第90回記念大会」(9月6日掲載)をご覧ください。土浦の花火は、地域住人の秋の娯楽であるとともに、全国の花火ファンに楽しんでもらう観光事業であり、煙火会社の意匠と技術を競うコンテストでもあります。競技花火は、伊勢神宮の花火(三重県伊勢市、8月上旬)、大曲の花火(秋田県大仙市、8月下旬)もありますが、土浦大会に参加する会社が最も多く、競技花火の締め役を担っています。 大相撲や歌舞伎と同じように、私は土浦の花火を家族や知人と桟敷席で観るようにしています。日本酒とウイスキーを持ち込み、重箱に詰めた肴(さかな)をつまみながら、大音をお腹に感じ、大声で讃(さん)を送る。これが正しい作法です。 湖面にも映る霞ケ浦打ち上げ

企業経営で意識しておきたい3つの流れ 《地方創生を考える》20

【コラム・中尾隆友】これからの企業経営では、3つの大きな流れを抑えておくことが欠かせない。 1つめは、「人口減少」だ。日本のマーケットは縮小に向かうわけだから、そのことを想定してビジネスを展開しなければならない。たとえば、国や地方自治体が将来の人口推計を公表しているので、自社のビジネスにいつごろ、どのような影響が及ぶ可能性があるかをイメージしてほしい。 2つめは、「デジタル化」だ。AIによる自動化と言い換えてもいいかもしれない。図らずもコロナ禍で注目されて加速することになったが、たとえパンデミックがなかったとしても、国や企業の基本方針として着実に進展していくはずだ。 3つめは、「地球温暖化」だ。世界が脱炭素実現へギアを上げる中、企業も環境保全をはじめとする持続可能性を強く意識した経営が求められる。2030年や2050年の具体的な成果に向けて、国内外のルールや法制度も段階的に刷新されていくだろう。 危機は新ビジネスのチャンス 実は、この内容は過去数年、全国の企業経営者の前で話し続けていることだ。コロナ前でもコロナ後でも、企業経営にとって変わらない本質的な話だ。(今年は茨城県経営者協会でも講演させていただいた)

黄色のリュック型も選択可能に 土浦市 新1年生にランドセル贈呈

土浦市では、市立小学校や義務教育学校に入学する子どもたちのために、1976年から毎年、入学祝品としてランドセルを贈呈している。来年度から、従来の赤と黒のランドセルに、黄色のリュックサックタイプが加わり、3種類の中から選べるようになった。 従来の赤と黒のランドセルは人工皮革で、重さ約1キロであるのに対し、黄色のリュックサックタイプは850グラム。軽量化のニーズに応え、選択肢を増やした。 同市教育委員会学務課の担当者は「実際に背負い比べた子どもたちは軽いと言う。子どもにとって150グラムの差は大きいのではないか」と話す。 ファスナーを開いた状態のリュックサック=同 黄色のリュックサックタイプは、ポリエステル製。出し入れしやすいようにファスナーが大きく開き、教科書やノート類は、中のベルトで固定できる。 背中は汗をかいてもべたつきにくいメッシュ仕様。背負いひもにはランドセルと同様にフック(ナスカン)があり、防犯ブザーを付けることができる。