日曜日, 9月 21, 2025
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筑波の藍甕受け継ぐ 丹羽花菜子さん【染色人を訪ねて】1

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お子さんとすくもの様子をみる丹羽さん

明治時代にはどんな町や村にも存在した染物屋は、衣料品の近代化とともに姿を消していった。染物屋という業種が潰えたわけではないが、その多くは工業化の道をたどっている。そのような現代において、「染」の世界を通してネットワークを築く人々と出会った。つくば市、土浦市で染色を営む染色人を4回にわたって紹介する。

藍は地域の歴史と文化

つくば市神郡で藍染工房・藍染風布(あいぞめふうぷ)を営む丹羽花菜子さん(36)を訪ねた。神郡のような場所で染色ができるのか?という素朴な疑問だったが、丹羽さんの話はまったく逆であった。

「野良着などの需要から、明治以前はどんな小さな町や村にも必ず一軒は『紺屋(こうや)』があったと言われていて、藍染は人々の暮らしの中で身近な存在だったんですよ」

丹羽花菜子さん

丹羽さんの場合、それだけではなかった。神郡を選んだことは偶然だったが、定住してみて藍染との不思議な縁に恵まれたという。

「大学では選択したコースがテキスタイルデザイン(織物・染物のデザイン)に特化していました。私は日本古来の伝統的な染色に興味があったので、4年生の時に東京の青梅市にあった藍染工房にアルバイトで入り、そのまま就職したのです」

それが藍染との出合いで、9年ほど働き、独立した。夫の実家がある常総市で、藍染の原料となる植物・蓼藍(たであい)の栽培を始めたものの、常総市から眺める筑波山の姿に魅せられ、山麓で藍染をしながら過ごせたらいいねという単純な気持ちで土地を探しに出た。

無事だった4甕

「そこで、地主さんの近所に50年ほど前まで藍染をやっていた職人さんがいらっしゃることを聞き、訪ねてみると、藍甕(あいがめ)が残っていたのです。本当はいくつも保管されていたのだそうですが、東日本大震災の際にほとんどが割れてしまい、無事だったものが4甕だったと。それを譲っていただき、偶然にも筑波の藍染を受け継ぐこととなりました」

受け継がれた藍甕

丹羽さんはそれまで、ポリタンクを使って染液の藍建てをしてきた。工程はタンクでも甕でも同じだが、地域に眠っていた歴史を受け継ぐという意味で、丹羽さんは筑波山麓にいざなわれていたのである。

「天然の藍は世界最古の染料とも言われていて、日本では奈良時代以降全国に広まりましたが、明治に入ってから化学合成で合理的、効率的に染色できる技術、俗にいう『インディゴ染』が、地域の藍染を衰退させました。自然界で藍以外に『青い色』を出せる植物は、世界的にも少ないのです。日本では現在、徳島県が蒅(すくも)の一大生産地ですが、少しずつ後継者不足が取り沙汰されるようになっています。でも、かつてはどんな土地でも原料を育て、藍染をなりわいとする人々はいました。筑波の地もそうであったように」

蓼藍の花と葉(丹羽さん提供)

藍染の原料となる蓼藍は一年草だ。収穫して乾燥、適度な水分を加えて堆肥化させたものが蒅だ。これを甕やタンク内で灰汁(あく)、貝灰(かいばい)、日本酒、ふすまを混合して発酵させる。この蒅による藍染は、日本独特の文化だ。

藍染の染液作りで特徴的な部分は、木灰の灰汁によるアルカリ性の発酵によるものだ。強アルカリの環境下でなければ、蒅の中の青い色素の元は還元されず、素材に定着することはない。液に浸した素材を引き上げ、空気中の酸素に触れることで、初めて青色が定着する。

蓼藍からすくもが作られ、染料になる(丹羽さん提供)

「藍染の濃淡は、素材を染料に出し入れする回数で変わっていきます。ただし常に1回の染まり方が同じ、というわけではありません。人間と同じで、体力を使うと疲れてしまい、徐々に染まり方が弱くなります。丸1日染めの作業をしたら、2~3日は染めずに甕を休ませることで、再び染まる力が回復します。こうした染色のサイクルや、青を染料として定着させる技術は、とても繊細で高度です。それらがどんな地域にもなりわいとして根付いていたということに、天然染色である藍への憧れがあります」

今、つくば市を中心に染色を営む人々の横の繋がりができつつあり、丹羽さんも月に一度、作家仲間と交流を兼ねて持ち寄った取り組みの成果を情報交換している。

藍染の様々な濃淡

年が明けると、丹羽さんには2人目のお子さんが誕生する。そのため、個展の開催はしばらく控え、代わりに工房に客を招いて染色体験を企画していくという。

「本心を言うと、伝統技術の継承であるとか、世界最古の染色手法であるとかの、重大な使命を帯びてのことではないんです。神郡に住んで、近隣の皆さんとの交流が生まれ、その優しさやおおらかさで守られています。ならば私のできることで、地域に寄り添って恩返ししていきたい。その一方で、藍染めに取り組みたいという人々にも、これは小さいけれど素敵な産業だということを伝えたい」

藍がもたらす染色の色彩は、古代人が眺めていた空や海の色合いだと丹羽さんは語る。青い色には心の沈静作用があると同時に、孤独感を覚えることもある。それらは人々の遺伝情報にある、古代人の青に対する感情。そのような悠久の想いが、藍で再現され、現代まで連綿と続いているという。(鴨志田隆之)

丹羽 花菜子(にわ かなこ)
1985年 北海道札幌市生まれ
2008年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻卒業
大学在学時より、東京都青梅市の藍染工房壺草苑(こそうえん)で勤務し、2016年、つくば市に移住。2017年、藍染風布として作家活動を始め、2020年、筑波山麓に工房を移転。
藍染風布 https://www.aizome-foopu.com/

「こも豆腐」を作ってみた 《県南の食生活》30

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こも豆腐

【コラム・古家晴美】10月に入っても関東では所々で30度以上になったというのに、近畿地方では23日に木枯らし1号が吹いたそうだ。秋が短くなってしまったのか…。街路樹の木々が慌てて紅葉しているように感じられる。

今回は、かすみがうら市歴史博物館のご好意でいただいた貴重なわらを使い、何か作りたいと思った(当初、納豆のつもりだったが、それは次回のお楽しみ)。 ということで、「こも豆腐(つと豆腐)」を取り上げる。

作り方は、藁苞(わらづと)を作り、そこに崩した豆腐を詰め、豆腐の周囲にわらを均等にめぐらせ、両端を縛る。これを大鍋でゆでた後、水に放して冷やし、わらを剥がす。この後、砂糖、醤油、みりん、酒で煮る。

一見、シンプルに見えるが、実際に作ってみると、苞(つと)に豆腐を入れてうまく形をつけるのが結構難しく、往生した。しかし、思わぬご褒美も手に入れた。ゆでているときに、何気に鍋の上に顔を寄せると、かすかに懐かしい香りがした。何の香りかとしばし頭を抱えたが、それはご飯の炊きあがりのときの湯気を連想させたのだ。

わらとご飯。稲を介しての結びつきは当然といえば当然だが、なぜか、少し胸が熱くなった。写真のこも豆腐は味付けをする前のもので、薄茶色は、わらの色だ。

ほのかなわらの香りと特徴的な形

こも豆腐が茨城県内全域で作られていた、とする資料もあるので、県南地域に特定し資料を探してみた。しかし、残念ながら私見の及ぶ限りでは見つけ出すことができなかった。もし、県南地域で、召し上がった経験がおありの方がいらっしゃったら、ご一報いただきたい。こも豆腐は、主に県央地区で冠婚葬祭の機会に出されたハレ食だ。

ほのかなわらの香りと、藁苞の形を残した特徴的な形状。そして、何よりも多くの手間が日常食にはない特別な存在感をもたらす。食べたときには、香りとなめらかな食感が印象的だった。

自家製の大豆を味噌や納豆に加工することは、多くの家庭で行われてきたが、豆腐作りとなると戦前でも散見する程度で、豆腐屋から購入することが多かったようだ。さらに、それに一手間かけたこも豆腐は、やはり特別だったろう。

ところで、コンバインの導入後、わらの入手が困難になり、それまで手作りだった正月のしめ縄を購入したり、ホームセンターでわらを購入するという話を聞く。こも豆腐や手作り納豆の減少も、農業の機械化の影響を少なからず受けているといえる。(筑波学院大学教授)

バドミントン女子団体で日大中等が優勝 土浦市中学校新人大会  

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個人戦シングルス優勝の矢吹さん

2021年度土浦市中学校新人体育大会が26日から4日間の日程で開催されている。バドミントン競技は26日、土浦六中体育館で女子の団体戦と個人戦が行われ、団体戦では土浦日大中等教育学校が初優勝を果たした。個人戦シングルスは矢吹優来さん(日大中等2年)、ダブルスは久家悠里さん・秋元優菜さん(新治学園2年)が優勝した。

団体戦は土浦四中、土浦六中、日大中等の3校がリーグ戦を行い、日大中等が2勝を挙げて優勝を決めた。「毎年最下位だったので一つでも上の順位が取りたかった。コロナ禍で全く練習できず、一発本番でむちゃくちゃ緊張した」と主将の矢吹さん。「2試合とも相手チームの方が人数が多く、応援のパワーに押されそうになった。また団体戦は初めての子もいて、最初はみんなに迷惑をかけたくないと緊張していたようだが、だんだん自分の力を出せてきた」と話す。

チームの自慢は、中高一貫校なので高校年代の先輩と一緒にハードな練習に取り組んでいること。「シャトルランやフットワークなど、みんなが嫌いなトレーニングをみっちりやる。技術面はノックを中心に基本を徹底的に反復。初心者が多いが練習についてきてくれれば上の大会を目指せる」と顧問教諭の佐藤創一さん。

団体戦優勝の土浦日大中等チーム

個人戦は3校および新治学園からシングルス22人、ダブルス20チームが出場。予選リーグおよび決勝トーナメントで勝敗を競った。シングルス優勝の矢吹さんは「今年がチャンスと思い練習を続けてきたので、優勝できてめちゃくちゃうれしい。緊張で震えが止まらず精神統一できなかったが、よく動けたし凡ミスも少なかった」と振り返った。

市中体連バドミントン専門委員長の張替浩明さんによると、ここ数年バドミントンの人気は高まり、入部者の数も年々増えているという。(池田充雄)

個人戦ダブルス優勝の久家・秋元ペア

吾妻70街区にイノベーション拠点など誘導 財務省とつくば市が土地活用意向調査

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イノベーション拠点を誘導することが検討されているつくば市吾妻2丁目70街区の国家公務員宿舎跡地

つくば駅近くの、つくば市吾妻2丁目70街区の国家公務員宿舎跡地約5.7ヘクタールの土地利用について、土地所有者の財務省関東財務局は26日、つくば市と共同で、70街区全体を対象とした民間事業者の意向調査(サウンディング型市場調査)を実施すると発表した。市学園地区市街地振興課によると、市内の公務員宿舎跡地の売却でサウンディング調査を実施するのは初めて。

市内で公務員宿舎跡地の処分が進む中、70街区はつくば駅に近接する大街区であることから、つくば市は中心市街地まちづくり戦略で、住宅だけでない複合的な都市機能の誘導を目指し「研究学園都市の研究成果や人材の集積を生かした交流の場や、新モビリティサービス、住民サービスのデジタル化など最先端の技術を街区単位で実現できる社会実装の場となるようなイノベーション拠点の形成など、様々な誘導施策を検討する」と位置付けている。

イノベーション拠点などを70街区に誘導することを検討するにあたって、民間事業者から意見を聞き、意向を把握した上で、民間のアイデアやノウハウを生かして事業化を目指す。

今回の調査は、土地活用の実施主体となる意向がある事業者または事業者グループを対象に実施する。つくば市の計画ではイノベーション拠点の整備を検討すると位置付けているが、市の計画にとらわれず広くアイデアを募集する。

70街区の土地処分の方法は、売却、定期借地いずれの場合も、今回の意向調査結果をもとに開発の条件をあらかじめ設定する。さらに入札参加者から土地利用の企画提案書を提出してもらい、国が設置する審査委員会で開発条件との適合性を審査した上で、審査通過者による価格競争で落札者を決定する「二段階一般競争入札」とするという。ただし意向調査結果によっては入札方法を変更する場合もある。

意向調査の参加申し込み受け付けは26日から12月10日まで。土地活用の方針、活用方策、事業者が参加しやすい仕組みなどについてアイデアを受け付ける。その後、12月13日から22日まで参加事業者から直接聞き取りなどを実施し、来年2月から3月に調査結果を公表する。土地売却をいつ実施するかなど、その後のスケジュールは現時点で未定という。

70街区は、吾妻小学校西側の西大通りと中央通りに面した街区。現在は第一種中高層住居専用地域などに指定されているが、開発にあたっては市が地区計画などを策定する。約5.7ヘクタールのうち、国有地が5.38ヘクタール、市有地は0.29ヘクタール。(鈴木宏子)

岸田首相がつくば駅前で応援演説 衆院選

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国民の声を書き留めてきたノートを掲げて自民党候補の応援演説をする岸田文雄首相=26日、つくば駅前

自民党総裁の岸田文雄首相が26日、接戦が伝えられている衆院選茨城6区の自民党候補者の応援のためつくば市を訪れた。つくば駅隣接の商業施設クレオ前で演説し、集まった支持者らにコロナ対策や経済政策などを訴えた。

岸田首相は「日本の未来を選ぶ選挙。皆さんの信任をいただき日本の明日を切り開いていきたい」と述べ、コロナ対策について「皆さんの協力のお陰で今(感染者数が)低く抑えられているが、引き続き最悪の事態を想定しながら準備しておかなくてはいけない。病床数を用意し、ワクチン接種の拡大、検査体制の充実、治療薬の開発を進めていく」と述べた。

ワクチン接種については「2回目接種率が70%に乗った。アメリカ、フランス、ドイツに比べても上回っている。12月から3回目の接種をスタートさせる」とした。検査体制は、無料のPCR検査体制をつくり、薬局で検査キットを購入できるようにするなどと述べた。治療薬については「自宅で飲める治療薬をつくる体制を、年内の実用化を目指して努力していきたい。自宅で飲める治療薬が実用化されたら、検査で陽性が分かったらすぐ薬が飲める、不安に思ったらどんどん検査しようと思う、重症化を防ぐことにつながる、平時の社会を取り戻す一歩になる」と強調し、「治療薬が実用化されるまでは皆さんに協力をお願いするが、皆さんの仕事を守るための大型の経済対策を用意させていただく」と話した。

経済対策については「平時の生活を取り戻した先に再び経済を動かしていかなくてはならない」とした上で、「新しい時代の経済は、競争や市場原理に任せると強い者がどんどん強くなって、大きな企業、大きな都市がどんどん強くなる、成長の果実を強い者が独占するのではなく、一人一人の給料を引き上げる経済政策を進めていきたい」などと訴え、支持を求めた。

アリガトウ サイトウギャラリー《続・平熱日記》96

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【コラム・斉藤裕之】昨年から作品を入れる箱型の額を自作し始めた。手頃な角材とアクリル板を使って作る簡単な大工仕事は、ステイホームの1日などにはピッタリの単純作業だ。だからというわけでもないが、調子に乗って来年の分まで収納できるくらいの数は作ってしまった。

作った額に、今年描いた小さな絵を入れていく。今年も恒例の個展「平熱日記」展が近づいてきたのだ。相も変わらず同じような絵を描いていると思えば、今年我が家にやって来た白い犬や初孫の絵もある。

こんな絵を描いたっけ?というのもあるし、描きかけのものもたくさんあって加筆をして仕上げていく。それから、描きはしたものの長年ほったらかしになっていた絵も、この際作った額に入れていくことにした。一番古いのは、17年前の長女が中学入学する時の制服姿のものだった。

絵描きというのは、人前には出たくないくせに描いたものは見せたいというあまのじゃくなところがある。それから、描いたっきり誰にも見せないというのでは絵としての役目も意味もない。かといって、ぜひ飾ってくれという話もないのだが、唯一我が町のサイトウギャラリーで個展を開かせてもらっている。

しかし残念なことに、今年いっぱいでこのギャラリーを閉めるという。20年もの間、多くの作家や作品が行き交った場がなくなるのは寂しいが、これも時の流れ。メインのコーヒー屋さんに専念なさるそうだ。

11月2日から「平熱日記展 Vol.11

というわけで、サイトウギャラリーでの平熱日記展は、今回をもってひとまず終了ということになる。とりあえず、来年はコロナ禍で延期した故郷山口の粭島(すくもじま)にある「ホーランエー食堂」で絵を置いてみようと思うが、その後はどうしようか。

しかし、強気に売り込みをするほどのシロモノでもなく、ただコンパクトでポータブルではあるので、ギャラリーでなくとも、食堂とか直売所とか散髪屋とかお寺さんとか誰かさんちとか、ご迷惑のかからない、ほどよい場所で展示するのもいいなあと呑気(のんき)に考える。

随分前からネット(金網)上に平熱で絵を描いてきたのは先見の明があってのこと? AIが幅を利かせる未来や、ポストコロナの新しい生活スタイルというものが、私にどう関わって来るのかよくわからない。例えば、ネット空間で作品が鑑賞できたり売買されたりすることに違和感はない。

しかし、なじみの商店やレストランがあるように、ギャラリーや画廊がある方がいい街に決まっている。かつて知り合いの絵描きさんがこんなことを言った。「その街の文化のレベルを知るためのバロメーターは、古本屋とギャラリーの数」だと。

サイトウコーヒー併設のギャラリーでは最後となる「平熱日記展 Vol.11」は、11月2日から2週間の予定で開かれる。アリガトウ サイトウギャラリー マタアウヒマデ。(画家)

コンタクト空ケースの回収運動展開 筑波大2年 織田くれはさん

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コンタクトレンズ空ケースの回収運動を実施した織田くれはさん。右はカスミ筑波大学店入り口に設置し回収された空ケース

コロナ禍のボランティア模索

筑波大学医学群看護学類2年の織田くれは(20)さんが、使い捨てコンタクトレンズ空ケースのリサイクル運動を実施した。回収ボックスを学生食堂や学生宿舎など大学構内13カ所に設置し、9月下旬まで約2カ月半で計2372個を回収した。

空ケースはリサイクル業者に買い取ってもらい、収益は角膜移植を普及啓発する「日本アイバンク協会」に寄付される。ほかに、空ケースのシールをはがすなどのリサイクル作業を、コンタクトレンズ販売チェーン「アイシティ」の障がい者部門に割り当て障害者の就労・自立支援に繋げたり、再資源化推進による環境保全につなげたりする。

織田さんが立案した企画は「アイシティecoプロジェクトinつくば」。「コロナ禍であっても、人同士の接触を避けながらできるボランティアはないだろうか」という思いから、大学が支援する「つくばアクションプロジェクト(T-ACT)」に企画を提案した。

高校時代から織田さんは障がい者施設などに出向きボランティア活動に親しんできた。「ボランティアというのは自分が相手に与えているようで、実は相手から与えてもらっていることが多い」という気づきを得ると共に、何かから解き放たれるような感覚を覚えた。

ボランティア活動に魅了される中、筑波大学入学前に手にした大学パンフレットで大学が学生の活動を支援する機関の存在を知り、入学後は T-ACT に携わろうという気持ちを強めたという。

しかし織田さんを迎えたのは、新型コロナと共にある大学生活だった。コロナ禍では満足にこれまでのようなボランティア活動はできない。そこで思いついたのが今回のプロジェクトだ。

今年2月に初めてT-ACTに企画を提案し、そこから実際に企画が終了するまで、約8カ月間奔走した。

実施にあたって厳しい感染対策が求められたばかりか、コミュニケーションの手段がオンラインであるなど様々な理由から、活動をアドバイスしてくれる大学のコンサルタントや協力してくれる仲間に自分の想いやコンセプトを「伝える」ということの難しさを感じる場面も多くあった。

加えて今回の企画は一企業であるコンタクトレンズ販売店「アイシティ」の活動に参画するというもの。大学内で実施するため、企業感を出さずに学生主体のボランティア活動であるということをしっかりとアピールすることや、貸し出された回収ボックスの管理を慎重に行うことが必要となるといった点で、様々な工夫を求められた。

一方で、企画に参加してくれた仲間との出会いや、回収BOX設置場所の提供といった協力を周囲から得る経験を通して「自分がやりたいと思ったことに周りの人も興味を持ってくれている」、「ボランティアというものは、色々な人の支えがあってこそ成り立っているのだ」という実感を得たことは、とてもうれしいものだったという。

今後については、外部団体と連携しながら行う活動ならではの苦労を乗り越えた経験を活かして、企画を立ち上げる学生のサポートをしていきたいと語る。

ネギ・レタス王国 岩井農協 《邑から日本を見る》98

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岩井農協管内のレタス収穫(JA岩井提供)

【コラム・先﨑千尋】10月初め、坂東市にあるJA岩井を訪ねた。同農協は未合併。なぜなのかを知りたかった。また、ネギ、レタスの生産では他の産地の追随を許さない王国の実態を見たかったから。風見晴夫組合長(JA茨城県中央会副会長も兼務)や担当職員らの話を聞き、昨年完成した新予冷センターを見て、農協はこうあるべしと納得した。

風見組合長は自ら水田150ヘクタールを耕作している。野菜農家がネギやレタスの生産に専念できるように田んぼを任され、いつの間にかそれだけの面積になったという。八木岡努JA茨城県中央会長もイチゴの専業農家。今は専業農家で組合長になる人は珍しい。組合員に信頼されているからだ。

「食は人間が生きていくには欠かせないもの。戦争で日本が負け、アメリカの食文化が入り、小麦がコメに代わった。日本人の体質に合った食文化が忘れ去られている」「メディアは野菜がちょっとでも高くなると大騒ぎする。下がった時には報道してくれない。そこがおかしい。農家の苦労を知ってほしい」

農に対する情熱が、語る口からほとばしる。はるか昔、この地で反乱を起こした平将門のことが脳裏に浮かぶ。

農協合併が進んでいるが、どうして岩井は合併しないのか。「合併しなくていいというのが組合員の意向。農業で食べていくにはどうすればいいのか組合員が判断し、決める」。当たり前のことだが、なんともすっきりした話だ。ほとんどの農協は総代会制度を取っているが、ここではずっと全組合員が参加する総会で農協の方針などを決めている。

昨年度の販売高は62億円

岩井地区は利根川に面し、東京まで50キロ。以前から野菜作りが盛んで、東京の市場まで直接運んでいた。消費者が求めているものをつかみ、経営(作付け)に活かす。その結集が今日のネギとレタス。昨年度の販売高はネギが38億円、レタスが23億6,000万円で、1戸平均の販売額は1,700万円を超える。

耕作面積は75アールだから、県の平均よりも少ない。「先人たちの苦労、努力が今日の成果につながっている」と風見組合長はさりげなく話す。

国は今年になって「みどりの食料戦略システム」を打ち出し、有機農業に取り組むことにしているが、同農協では、20年以上前から土にこだわり、栽培にこだわり、いいものを作りたいという農家の考えに従って、発酵鶏糞や豚糞、有機70%の肥料を使い、「野菜名人」というブランドまで作り上げたという。農協の職員は、組合員の考え、願いを実現するために働くという姿勢がうかがえる。

昨年完成した鵠戸(くぐいど)の新予冷センターを見せてもらった。農家が運んできたネギやレタスなどを急速冷却し、全国の産地に届ける。札幌へは飛行機で運ぶ。予冷は鮮度の保持と品質管理に役立ち、消費者の手に届くまで品質を保つことができる。コロナの影響で外食産業の打撃は大きいようだが、いずれは回復するという期待を持ちながら、同農協を後にした。(元瓜連町長)

成果高い施策に重点化 最終年度の森林湖沼環境税

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セーリングの帆が湖面に映える霞ヶ浦

茨城県独自の県民税として2008年度から徴収し、県内の森林保全・整備や霞ケ浦など湖沼・河川の水質保全事業に活用しててきた森林湖沼環境税が今年度で最終年度を迎え、開会中の県議会で与野党の論戦を呼んでいる。

すでに県内の林業や浄化槽など水質保全関係業界などから「継続」を求める陳情書が提出され、県議で構成する県森林・林業・林産業活性化促進議員連盟も歩調を合わせている。

同税は県民均等割超過課税方式により、県民1人当たり年間1000円を徴収(県民税均等割が非課税者は除く)している。08年度から今年度当初予算までの税収は約235億円となり、基金により他の税収と区分して管理している。

県議会の質疑応答の中で大井川和彦知事は、同税は当初、間伐など森林整備・管理の推進などに重点を置いていたが、知事就任後の18年度から方針を転換し、経営規模の拡大に意欲的な林業経営体への支援等を通じ、森林経営の集約化を推進してきた、結果、集約森林は17年度末の約2300ヘクタールから20年度末には約1万ヘクタールまで拡大した、自立に向けた規模拡大が進む成果がいわれてきていると、成果を強調している。

一方、湖沼、河川の水質保全では、特に霞ケ浦の水質浄化に関連し、高度処理型浄化槽の設置、下水道・農業集落排水施設への接続などに、重点的に活用したと強調。さらに小規模事業所の排水対策として、基準超過に対し罰則や改善命令ができる水質保全条例を改正、今年4月1日の条例施行前に、霞ケ浦沿岸の小規模事業所を立ち入り検査による指導で強化し、霞ケ浦のCOD(化学的酸素要求量)値は税導入前の1リットル当たり約9ミリグラムから約7ミリグラムに低下したとしている。

しかし近年は横ばい状態にあり、知事自ら「従来の枠組みにとらわれず、成果の高い施策にさらに重点化が必要なのではないか」と問題提起している。

このため、農林水産部、県民生活環境部など関係部局間で現在、事業や施策の具体的内容を検討中で、同税の継続か否かを含め、改正案の骨子がまとまり次第、県民の意見を聞きながら「第4回定例会(12月県議会)に改正条例案を提案したい」としている。(山崎実)

市町村から延長求め要望

一方、市町村からは同税の延長を求める要望書が提出されている。霞ケ浦流域の21市町村でつくる「霞ケ浦問題協議会」(会長・安藤真理子土浦市長)は15日、本年度で期限が切れる茨城県森林湖沼環境税の期間延長を求める要望書を、大井川和彦知事に提出した。安藤会長らが県庁を訪れ、大井川知事に要望書を手渡した。

同税は森林や湖沼・河川などの自然環境の保全を目的に導入され、現在は第3期課税期間。要望書では、霞ケ浦の水質浄化の目標達成には今後とも継続的な水質浄化対策が必要と指摘した上で、▽課税期間の5年間延長▽霞ケ浦に係る湖沼水質保全計画に位置付けられた、各種事業の着実かつ速やかな推進-などを求めた。

安藤会長は「霞ケ浦の水質浄化には時間がかかるため、長期的な視点での対策が必要。安定的な財源が確保されるよう、課税期間の5年延長を要望する」と述べた。

宇宙天気防災戦略 《食う寝る宇宙》96

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【コラム・玉置晋】災害は忘れたころにやってくる。地球物理学者の寺田寅彦先生の言葉と言われておりますが、宇宙天気による災害は忘れるどころか、経験したことがある方はほとんどおりません。

ただ、2003年のハロウィンの時期に宇宙業界で働いていた方は、痛い目に遭われたと思います。同年10~11月の地球周辺のプラズマ環境の悪化は、日本の人工衛星1基の息の根を止めるとともに、動いていたミッションの総点検が入ることになり、日本の宇宙開発が止まる事態となりました。

ただでさえ就職氷河期であった上に、宇宙業界の採用がほぼなくなり、当時、就職活動を控えていた僕は翻弄(ほんろう)されたものです。だから、僕はハロウィンが嫌いだし、宇宙天気を甘く見るのも嫌いです。宇宙天気は因縁の相手だと思っています。

英国の宇宙天気準備戦略

9月に英国で「UK Severe Space Weather Preparedness Strategy(英激甚宇宙天気準備戦略)」というドキュメントが出版されました。出版したのは英ビジネス・エネルギー・産業戦略省です。

英政府は2015年に宇宙天気戦略を発表して、それに基づき様々な分野で宇宙天気災害に対する準備をしています。今回はそのアップデート版で、2021~25年の5カ年計画となっています。同様の戦略は米国でも2015年に発表され、昨年、アップデート版が出版されました。

英国の戦略には、評価、準備、対応と復旧―の3つの柱があります。評価の柱は、激甚宇宙天気とその影響および予報能力に対する理解を深めることです。特に、航空機、公衆衛生、測位システムの安全を含む分野に焦点を当てます。

準備の柱は、重要インフラのサービスのレジリエンスを高めることです。行政や事業者が激甚宇宙天気に対する強固な対応計画を持ち、定期的な防災演習を実施するそうです。

対応と復旧の柱では、宇宙天気災害からの迅速な復旧を保証することに焦点を当てます。このように、国がトップダウンで宇宙天気防災戦略を練っているわけです。

日本では政権が新体制となりました。宇宙分野では内閣府特命担当大臣(宇宙政策)というポストがおかれました。どのような仕事をされるか、注目しているところです。新大臣には、宇宙天気防災戦略を検討するイニシアチブをとっていただくよう期待しています。(宇宙天気防災研究者)

自国の文化、価値観など語る 筑波学院大オンライン学園祭で海外出身教員

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クロスカルチャーフォーラムを主催し、あいさつする筑波学院大の池口セシリア教授

筑波学院大学(つくば市吾妻、望月義人学長)の学園祭、第30回KVA祭が23日、「No Rain, No Rainbow」(ノーレイン、ノーレインボー=雨が降らなければ虹は出ない)をテーマにオンラインで催された。学院大の池口セシリア教授らによる国際交流委員会主催のクロスカルチャーフォーラムでは「グローバル世界に必要な新常識の発見」をテーマに、海外出身の大学教員がそれぞれの国の文化や価値観について英語と日本語で話した。

ベルギー出身で筑波大学教員のヴァンバーレン・ルートさん、カナダ出身で茨城キリスト教大学教員の沼館ジェニーさん、ネパール出身で筑波学院大教員のパンダ・ボーラさんの3人がそれぞれ話した。

ヴァンバーレンさんはベルギーについて、公用語がフランス語、オランダ語、ドイツ語と3つあり、それぞれの地方の方言もあって、ポスターや道路標識も複数の公用語と方言で表記されているなどと紹介。その上で、常識とは何かについて話し「日本人はかぜをひくとマスクをするが、ベルギーではかぜをひいてもマスクをしない。しかし新型コロナでベルギーの人もマスクを着けるようになったり、日本ではコロナ禍でハンコを押す押印文化が変わりつつあるなど、常識は変わる」などと話した。

沼館さんはカナダについて「平等主義で、多文化、多様性をすごく大事にしている国。同性婚を2005年から認めている。多文化主義を法律で定め、守っている」などと紹介し、カナダ人について「カジュアルだが、日本と似ていて礼儀正しい」と話した。「毎年30万人近くの移民があり、いろいろな人、いろいろな文化があるので互いに尊重、尊敬しないとうまくいかない」「消費税は13%と高いが、学校や医療は無料」などと紹介した。

視聴した学生からは「ベルギー、カナダ、ネパールに将来行きたい。お薦めの場所を教えて」「ベルギーはサッカーが強い印象があるがサッカー以外で人気のスポーツは何か」などの質問が出た。

KVA祭ではほかに、部活動を動画で紹介したり、黒板アートを制作するイベントや、アニメ声優のトークショーなどが催された。

動き出す次世代がん治療法「BNCT」 10年目のつくば国際戦略特区

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BNCTについて講演する熊田准教授=2019年、つくば市内

つくば国際戦略総合特区事業の1つ、次世代がん治療法「BNCT」(ホウ素中性子捕捉療法)の開発実用化プロジェクトで、筑波大学と高エネルギー加速器研究機構は11月から、いばらき中性子医療研究センター(東海村白方)に設置した照射装置・実証機で非臨床試験を開始する。

同特区事業は2011年12月にスタートしており、プロジェクトは10年目にして、ようやく装置の薬事承認申請を行うために必要となる「治験」の前段階にたどりついた。iAc、ステラファーマ、日立製作所、千代田テクノル、NAT、新日本科学の関連各社が協力する。

コンパクトな加速器、安全性確保に腐心

BNCTは、がん細胞に選択的に集まる特性を有するホウ素薬剤をあらかじめ患者に投与し、中性子線を照射して、がん病巣を選択的に破壊する放射線治療。がん細胞内のホウ素は中性子と核反応を起こして、アルファ線などを発生する。発生した粒子は人間の体の中では10マイクロメートル(細胞1個分の大きさ)以下しか飛ばないため、ホウ素を取り込んだがん細胞だけが破壊され、正常細胞は温存されるという原理による。

難治性の頭頸部(とうけいぶ)がんや悪性脳腫瘍などの治療法として有力視され、長年研究されてきた。2011年3月以前は中性子の発生源に、東海村にあった実験用原子炉などが用いられたが、実用化に向けては病院にも設置できるよう、小型化と安全性が求められた。特区事業では加速器ベースの中性子源の導入が図られた。

リニアック(線形加速器)で陽子を加速し、標的にぶつけて中性子ビームを発生させる。設計の段階から開発に携わったのが、筑波大学陽子線医学利用研究センター、熊田博明准教授(医学医療系生命医科学域)だ。加速器を一式組み立ててから、非臨床試験に使える状態まで改良した装置は、つくば型BNCT用照射装置・実証機(iBNCT001)と名付けられた。

エネルギー8メガ電子ボルト、平均電流約2ミリアンペアで陽子を加速し、厚さ0.5ミリのベリリウムに照射して中性子を得る。加速管のサイズは長さ約8メートル、直径は1メートル以下で、設置面積は40平方メートルに満たない。中性子ビームは別室で生体に照射される。

つくば型BNCT 用照射装置・実証機iBNCT001 の概要=筑波大学提供

このコンパクトな加速器は、同じ東海村にあるJ-PARC(大強度陽子加速器施設)のリニアックよりも3倍以上も大きい平均電流のビームで稼働させることになる。大電流化と安定性を同時に確保するため、高度化と調整に多くの時間が費やされたそうだ。さらに、治療に伴う装置等の放射化(治療に伴い装置そのものが放射線を出すように変化すること)を低減し、患者や医療者に対する安全性にも配慮している。

今回実施する非臨床試験は、小動物(マウス)に対する照射試験により、iBNCT001が発生する中性子ビームの生体に対する安全性とホウ素薬剤と組み合わせたときの安全性や有効性を確認する。1週間のうちに数十匹のマウスに対する照射を複数、条件を変えて行い、その後、マウスを飼育して経過観察を繰り返す形となる。11月から開始し、2022年3月末に完了する計画だ。

その結果を踏まえて、装置の薬事承認申請を行ううえで必要となる臨床データを取得するための「治験」段階に移り、実際の患者に照射を実施する臨床試験を行う。

熊田准教授は、「物理工学分野の人間としては、まずは医療用装置として、発生する中性子ビームが設計通りに生体に対して安全であることをみたい。当時の設計が適切であったことを生物学的に確認できれば良いと思っている」とコメントしている。(相澤冬樹)

里山保全とコロナ禍対策 《宍塚の里山》81

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田んぼの学校での稲作

【コラム・佐々木哲美】新型コロナ禍で旅行などの自粛もあるのか、宍塚の里山で散策する方が格段に増えました。近隣の方が多く、近くにこんないい所があったのかと感嘆の声も多く聞かれます。我々も、改めて里山の価値と保全活動の重要性を知る機会になりました。

10月1日、政府によるにコロナ禍自粛要請が解除になりました。今後も自治体による制限は続きますが、新たな局面を迎えました。認定NPO「法人宍塚の自然と歴史の会」でも、観察会や一般参加の行事を再開します。

当面は、参加人数を制限して事前予約制で行います。飲食を伴う行事は、当面の間は自粛します。東京の大学生サークルも長らく学校から活動が禁止されていましたが、解除になり来ることになりました。第6波は必ず来るものと考えて、対応していかなければなりません。

今後、自粛解除になったことで、個人ごとの感染防止対策の意識の違いが、より明らかになってくると思います。

娘や甥とのコロナ認識の違い

個人的な話で恐縮ですが、10月2日、法事で郷里の岩手県盛岡市に帰省しました。法事は樹木葬で行われ、掘った穴にお骨を埋葬して20分程度で終わりです。親族は現地に集合し、終了後は食事も何もなく、そのまま解散です。久しぶりに会ったので、数十分は駐車場で立ち話をして、名残惜しそうに皆その場を後にしました。

盛岡に住む娘も一緒でしたので、立ち寄って孫の顔を見て帰りたかったのですが、コロナを心配して会わせてくれません。食事でも一緒にと誘いましたが、勤務先から禁止されていると応じてくれませんでした。コロナが始まり、2年以上も会っていませんでしたから娘も辛かったと思います。

兄嫁の弟が事故で東京の病院に入院していることから、月に1回くらい見舞いというか、医師との面談に来ています。帰ると、空き家になっている実家で2週間経過しないと、自宅に息子が入れてくれないと嘆いていました。甥(おい)にやり過ぎじゃないかと注意したら、本気で怒られました。私などと娘や甥のコロナ禍の認識の違いを改めて知りました。岩手県でのコロナ患者の少なさが分かったような気がしました。

私は、里山保全活動でのコロナ禍対策に意識を高くして臨まなければならないと反省させられました。(宍塚の自然と歴史の会 副理事長)

女子大生アイドルコピーダンス決定戦で日本一 筑波大学Bombs!

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会場観客票1位、オンライン観客票1位を獲得した筑波大学 Bombs!のパフォーマンス=東京・新宿ReNY(Bombs!提供)

筑波大学のアイドルコピーダンスグループ「Bombs!(ボムズ)」が、大学対抗の女子大生アイドル日本一決定戦「UNIDOL2021 Fresh~Berry~(ユニドル2021フレッシュ・ベリー)」で1位に輝いた。12チームが出場し、6日に東京・新宿で開催された。

UNIDOLは、「ユニバーシティー(大学)アイドル」の略。今回の大会は、新チームや1年生などを中心に大会出場の経験がない大学生を出場条件とした。

Bombs!は今年加入した1年生など新メンバーをはじめ、コロナ禍で出場することができなかった昨年加入のメンバー総勢17人で挑んだ。人数が他チームよりも多かった一方、振りやフォーメーションがそろっており、一体感があった点が高得点につながった。

出場したのは、青山学院大学、早稲田大学、明治大学など、ソロで参加したチームもあった。

大会に向け、Bombs!が練習を始めたのは夏休み前の7月。パフォーマンスする曲を決めることや、各メンバーの立ち位置決め、振り付けを覚える、統一感を出すなどやることは山積みだった。

この大会でリーダーを務めた2年生のさくらさんは、練習の中で「人数がそろわなかったこと、マスクを外しての練習ができなかったこと」が大変だったと語った。「夏休み期間で免許合宿に行くメンバーや授業で忙しいメンバーがいて、17人という大人数がそろうのは大変でした。全員で練習できたのは本番前2回だけ。ダンスの大会ではなく、アイドルダンスのコピーをする大会なのでアイドルらしい表情も大切になります。そこを感染症対策のマスクのせいであまり全体では練習できなかった」

こうした状況の中でも、メンバー間で「もう少し笑顔の方がいいよ」などアドバイスをし、高めあった。時には先輩が練習に来て、「歩幅がみんな違うからそろえた方がきれいだよ」など的確なアドバイスをしてもらえた。

UNIDOL2021 Fresh~Berry~で優勝の筑波大学 Bombs!、メンバー17人勢揃い

メンバ―のかなさんは「時には不安や焦りを感じることもあったが、楽しむことを忘れずに練習に励んだ」と話す。あおちゃんは「17人の力だけでなく、先輩方や衣装や映像を作ってくれた裏方のメンバー、そして応援してくださった方全員でつかんだ優勝だ」と振り返る。

リーダーのさくらさんは、今回の結果について「素直にうれしい。応援してくださった全ての方に感謝を伝えたい」と話す一方、「(総合点は1位だったが)審査員の点数の順位が数点の差で2位だったことが悔しい。次の大会では完全優勝を狙いたい」と語った。

Bombs!は2019年3月結成。現在のメンバーは、裏方を含め筑波大学1年生から大学院修士2年の総勢44人。様々なアイドルグループのコピーを行っている。昨年からは新型コロナの影響で活動場所や活動時間を制限された中での練習に取り組んできた。夏の大会の参加や、都内で行われるイベントなどにも積極的に参加している。2022年3月9日にはつくばカピオで単独公演を行う予定だ。(ドットジェイピー茨城エリアつくば支部インターン生、筑波大学1年 本間琴理)

【おことわり】本記事では氏名表記にステージネームを用いました。

ボーイフレンドと一緒にどんぐり人形 《くずかごの唄》96

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】暑さと寒さの気温の差が激しい。血圧が上がったり、下がったり、気をもんでいる患者さんがやたら多い。植物の世界も、昆虫の世界も、人間の血圧と同じように、寒暖の差と雨の降り方の急激な変化についていけなくなってしまっている。

我が家の庭の木の実も、今年はチトおかしい。ギンナンはいつもの年の大きさの半分以下。アズキを少し大きくしたぐらいの大きさなので、煎って殻を割って、中の緑色の玉を指で引っ張り出せない。秋の味覚、緑色に輝く初物のギンナンを諦めざるを得なくなってしまった。ここ50年以上、ギンナンの実がこんなに小さかったのは初めての体験である。

さて、この食べられない小さなギンナンをどうすればいいか、困ってしまった。「登美子さん、いる? ドングリで人形を作ろうよ」。私の年下のボーイフレンド、晃太郎が週に1回やってくる。今年も、コロナ禍で昆虫観察会は中止になってしまったが、5歳の彼は「どんぐり山」で拾ってきたクヌギのドングリが丸くて大きいので、おもちゃ代わりにいじっていた。

雛人形やバレリーナ人形

そのうち、虫が中に入ってしまって穴の開いたドングリが気にいったらしい。その穴を口に見立て、目玉を張り付けて、ドングリ人形を作ったり、穴にひもを通して、パパとママにネックレスを作ってプレゼントしたりしているうちに、ドングリ細工にのめり込んでしまった。

レンコンのハスの実の干した花托(かたく)の上に、クヌギのドングリを張り付けて、独特の形をしたクヌギの帽子をかぶせてみたら、あら不思議、バレリーナ人形になってしまった。彼は曲がった枝を張り付けて、足まで付けてしまった。この人形はレンコンの新しい細工品になるかも知れない。小さくて食べられなくて困っていたギンナンも、ストローの先につけて、雛(ひな)人形に変身させた。

彼は来年小学生。あと2~3年したら、ドングリで遊んだことなどケロッと忘れてしまうに違いない。しかし、幼い時に遊んだドングリを通して、地球環境問題の中で自然の木の実の生きる厳しさを知ってほしい。(随筆家、薬剤師)

救援用トロッコが車いす運ぶ TX異常時総合訓練を実施

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異常時総合訓練で、車いす利用客を専用トロッコ「救援用搬送トロ」に乗せて運ぶ訓練をする駅員たち=つくばみらい市筒戸のつくばエクスプレス総合基地

つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区)は21日、つくばみらい市筒戸の同社総合基地でTX異常時総合訓練を行った。同社社員やつくば市消防本部、常総広域消防本部など、関係機関の職員たち約180人が参加した。総合訓練の実施は今年を含め計13回目。

訓練は、同日午後1時21分ごろ、TX秋葉原駅発つくば駅行きの下り区間快速列車がATO(自動列車運転装置)で運転中、軌道に隣接する道路で交通事故が起き、トラックから鉄骨が軌道内に落下して架線と線路を損傷した、快速列車は非常ブレーキをかけたものの、線路内に落ちた鉄骨に衝突し列車は脱線、車いす利用者を含め複数の乗客に負傷者が出たーとの想定で行われた。

乗客役の参加者たちは指示に従い、先頭車両の非常用ドアから軌道敷に下りて避難する=同

訓練では、乗務員や列車に乗り合わせた同社の社員たちが、乗客や自力で歩ける軽傷者を非常用ドアから軌道敷に下ろして、避難を誘導した。列車内にいる外国人乗客に対しては、避難を呼び掛ける日本語を英語などの外国語に翻訳する「多言語メガホン」を使って誘導した。事故現場に駆け付けた消防隊員たちが負傷者や重傷者を救出し、車いす利用客は車輪をレールに合わせた専用トロッコ「救援用搬送トロ」に乗せて運んだ。

救助活動が終了した後も、社員たちが鉄骨の撤去や切れた架線の修理、脱線した車両を線路に元通りに戻す復旧作業に取り組んだ。事故発生から約2時間で、列車は運転を再開した。

訓練で、脱線した列車を線路に戻す作業を行う首都圏新都市鉄道の社員たち=同

同社の中山登介安全総括部長(63)は「(異常時総合訓練の)『総合』という言葉が極めて重要」と述べた上で、社内の複数の部署や消防・警察など関係機関が連携して事故対応に当たる重要性を説明した。

TXは、列車乗務員が運転手1人のワンマン運転のため、「お客様が乗っているから乗務員がパニックになってはいけない。冷静な対応が必要」(中山部長)と改めて訓練の必要性を説いた。(崎山勝功)

みんなが協力しての文明生活 《遊民通信》27

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【コラム・田口哲郎】
前略

以前から、今の生活水準を維持するのに必要な文明の利器は何だろうか?と考えていました。それは電力、水道、気密性の高い住居、空調、温水洗浄便座だと思います。電力と水道水さえあれば、たとえこの地上にたったひとり取り残されても、家にこもればなんとかなりそうです。空調と温水洗浄便座はぜいたく品でしょうが、一度使ったら空調・温水洗浄便座以前には戻れません。科学技術が人間生活を快適にしましたが、その基盤は電力と水道水が築いたものです。でも、人はたったひとりでは、どうにもなりません。

ヒストリーチャンネル制作の「人類滅亡 Life after people」という番組があります。コンセプトは人類が突然消滅した想定で、その後の都市の様子をシミュレーションするというものです。なんとも不気味な設定ですが、いろいろ考えさせられる内容でもあります。

人類消滅の翌日からさまざまな変化が起こり、自然が都市を侵食し始めます。植物がはびこり、ペットが野生化し、かつての都会は動植物王国になる。そして消滅後50年後あたりからランドマークが次々と崩壊します。たとえば、ロンドンだとビッグベンやロンドン橋が、ワシントンだとホワイトハウスが、フランスだとエッフェル塔が無残にも崩れ落ちるのです。

現実にはあり得ないことが次々に映し出され、目が離せません。最後はだいたい人類消滅後300年後の街がただの森林になってしまうという結末です。CGがリアルでまるでそこにいるような感覚になります。

人はひとりでは生きられない

人間がいなくなってまず起こることは、停電です。その停電に復旧はありません。これは大問題です。明かりがなくなります。とりあえず、発電機を確保するでしょうが、近くのガソリンスタンドは電力がなければ燃料補給の役に立たないでしょう。

水道も止まります。スーパーマーケットをはしごして水や食料を得ることで当面はしのげると思います。でも住む場所を移していかねばなりません。10年もすると川にかかる橋は崩落するでしょう。すると移動もできなくなります。定住して農業をすると言ってもノウハウがありません。野犬やイノシシにおびえながら暮らすのです。

絶対の孤独の中で、沈む夕日を眺めながら思うことでしょう。みんながいての自分なのだと。見知らぬ人が電気をつくり、水をつくり、科学技術を発展させてくれているからこその今の生活です。

岸田首相が所信表明演説で「早く行きたければ1人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」ということわざを引用しました。先達が築き上げてきた快適な生活のありがたさをかみしめつつ、人間が厳しい自然の中で生きていくこととは何か? 人間が集団で社会を築く意義は何か? を考えることは、今こそ大切なのかもしれません。我々は、普段気にしていませんが、実はとてももろい文明の中で生きているのです。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

コミュニティーバスの新顔「つちまる」 土浦市に発車

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20日運行が開始された「つちまるバス」=常磐線荒川沖駅前

土浦市の新たなコミュニティーバス「つちまるバス」荒川沖駅ー霞ケ浦医療センター線が20日、運行を開始した。バス路線が廃止され公共交通不便地域となっていた中村南・西根南地区と、近隣の病院や商業施設、公民館などを結ぶ路線で、市南部の常磐線荒川沖駅から中心部の霞ケ浦医療センターまで約15キロを午前8時から午後5時45分まで1日10便運行する。

同市のコミュニティーバス(コミバス)は、NPOまちづくり活性化土浦が運行し中心市街地を巡回する「キララちゃんバス」の3路線に続いて4路線目。新路線のつちまるバスは、市の地域公共交通活性化協議会(会長・岡本直久筑波大教授)が運行主体となり、関東鉄道に運行を委託する。

バスは定員8人のワゴン車で、グレーの車体に「つちまるバス」の文字などが貼ってある。運賃は1乗車に付き大人200円、小学生100円、障害者は半額。キララちゃんバス(大人150円、小学生80円)より少し高めだ。乗車人数の目標は1便4人程度、年間1万4780人を目標にしている。今年度の運行委託費は準備期間も含め7月から来年3月までで約780万円。年間では約1600万円という。

運行拡大、市長選の争点にも

高齢化が進み2010年をピークに人口が減少に転じている土浦市は、バス路線の休廃止が許可制から届け出制になった2001年以降、40路線以上が廃止となっている。荒川沖駅と土浦駅を結ぶ路線バスは2004年と13年に2路線が廃止となった。

これに対し市は、駅やバス停から遠い地区を公共交通不便地域と定め、各地区にコミュニティー交通の導入を促してきた。2011年10月には地元商工会などが運営委員会などを組織してコミバス「新治バス」を試験運行したが、地元負担3割という条件の下、利用がふるわず2年半で廃止となった。

その後も市は、バス路線がない地域にコミバスの導入を働き掛けたが地元負担3割が壁となって導入が進まず、2019年11月の市長選ではコミバスの運行拡大が争点の一つになった。

改選後の2020年から市公共交通活性化協が新たなコミバスの導入に向けて検討を始め、公共交通不便地域の7地区を対象に、住民アンケート調査、高齢者の割合など地域の状況調査、バス利用の意向調査などを実施した。

調査結果をもとに7地区を順位付けし、バス導入の必要性が最も高い中村南・西根南地区から運行することを決めた。さらに地区長との懇談会、地元説明会などを開き、どこに立ち寄ってほしいかや停留所をどこに設置するかなどのアンケート調査をとり、路線や停留所を選定した。

残り6カ所の公共交通不便地域は、バス導入の必要性が高い順に、②右籾③乙戸南④並木・板谷④木田余東台⑥中高津・永国台・永国東町⑦神立中央・神立町の順。地元の意見を聞きながら順次、コミバスの導入を検討していく。(鈴木宏子)

「わんわんメモリアルパーク」新設へ つくばに県内最大のペット葬祭場

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地鎮祭で鍬入れをするサンスイグループの東郷治久代表=20日、つくば市沼田

桜川水害から2年を経て着工

犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田)敷地内に、ペットの葬祭場「わんわんメモリアルパーク」が新設される。2019年10月の桜川増水で冠水し、火葬炉が使用できなくなっていた。水害から2年経ち着工する。県内最大のペット葬祭場になるという。

20日、わんわんランド南側の予定地で筑波山神社神職による地鎮祭が執り行われ、関係者が工事の安全を祈った。完成は来年3月の予定。

わんわんランドは筑波山の麓を流れる桜川沿いに立地し2019年10月の台風19号による増水で園内のほとんどが冠水した。敷地内にあった葬祭場と霊園「ペットメモリアルパーク紫峰苑」も浸水し、火葬炉が故障して使用できなくなった。その後も新型コロナの影響が続き、葬祭場は営業を中断していた。

新設するペット葬祭場は、火葬場と納骨堂があり、敷地面積約1000平方メートル、建築面積約140平方メートル。火葬場は、大型犬も火葬できる大型の火葬炉を導入する。納骨堂は300基納骨できる個別棚を整備するなど水害前の6倍の規模となる。

わんわんメモリアルパーク完成予想図(サンスイグループ提供)

水害前、敷地内の紫峰苑にあった火葬場と納骨堂を約500メートル移転して建て替える。予定地はわんわんランドに隣接する南側の駐車場だったところで、地盤を1メートルかさ上げした。

わんわんランドやつくば国際ペット専門学校を運営するサンスイグループ(東郷治久代表)が新設する。一般向けのほか、わんわんランドで活躍した犬や猫も供養するという。720区画ある墓地は移設せずそのまま。

東郷代表は「県内最大、日本でもトップクラスの葬祭場になる」とし「わんわんランドは開園25周年になり、つくば国際ペット専門学校は全国でも5本の指に入る学校になった。(桜川の冠水で)葬祭場がネックだったが、さらに高みを目指し、ペット関連日本一のペット総合企業を目指したい」と話した。

お友だちと「高倉町珈琲」《ご飯は世界を救う》40

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【コラム・川浪せつ子】コロナが少しずつ減少してきたこともあり、ウイットネスクラブの友人からお茶のお誘いを受けました。一緒に住んでいない家族や友人などとは、ずいぶん長い間、一緒に外食をしていません。ちょっと迷いましたが、前々から行ってみたかったお店「高倉町珈琲」(つくば市小野崎)でもあり、ご一緒させてもらいました。

このお店が開店して間もなくに訪問したときは、入口で名前を書いて順番を待ちました。ですが、その際はなかなか順番が来ないような感じなので、諦めて帰りました。

今回は、コロナ禍ということもあったのでしょう、待っている方はなく、スムーズに入れました。スイーツとコーヒーのセレクション。どれもおいしそうで、迷う、迷う。1品のボリュームも食べごたえ満点。以前だったら、2人で1個ずつ頼んで、シェアするんだけどなぁ~。それはコロナ禍の下、できないので、大き目サイズを注文した、食いしん坊の私です。

ステキなカフェがいろいろ開店

友人とは、なんと! 2時間も粘ってしまいました。まぁ、話の内容は井戸端会議的なたわいもない話。でもそれが、楽しいのね。そして、すごく癒されちゃうのです。普通に、おいしいものを食べながら、気の合った友人とおしゃべりする。そんな何でもない時間が、宝物のようでした。

最近、つくば周辺には、ステキなカフェがいろいろ開店。友人とは、「今度はあそこね!」と言ってお別れ。「今度」が、早く来るといいなぁ。そのためには、コロナが落ち着いてくれていますように!(イラストレーター)