火曜日, 9月 8, 2026
ホームつくば「活性化はエスカレーターでは解決できない」 つくばセンタービル改修めぐり市民団体討論

「活性化はエスカレーターでは解決できない」 つくばセンタービル改修めぐり市民団体討論

プリツカー賞を受賞した磯崎新氏の代表作といわれるつくばセンタービルに、つくば市がエスカレーターを設置するなどの改修を計画している問題で、「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」と題した市民団体による講演とシンポジウムが27日、同ビル内のつくばイノベーションプラザで開かれた。講演した鵜沢隆筑波大学名誉教授は「広場の活性化はエスカレーターでは解決できない」などと指摘した。

市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)主催し、約50人が参加した。センター広場にエスカレーターを2基つくる計画をめぐっては、市が22日、2基のうち1基をとりやめる方針を議会に示したばかり。

鵜沢名誉教授は、つくば市が計画しているリニューアルに対して「磯崎新氏の意匠を評価するとうたいながら、十分に評価したものになっていない」と批判した。

ポストモダン建築の代表作と世界的に評価されているつくばセンタービルの特徴を示した上で、センター広場について「広場に降りる目的がない人はあえて通る必要がない設計になっている」とし、「広場の活性化はエスカレーターをつくるかつくらないかの問題ではない」と指摘した。

磯崎氏の設計の意図については「1階の広場と2階のペデストリアンデッキの視線の交差、劇場広場のようなものとしてつくったと理解できる」とし、建設当初は、広場に引用されているミケランジェロ設計のカンピドリオ広場の床のパターンや流れる水、噴水などが、ペデストリアンデッキから見られる対象だったが、時間が経つと新鮮さがなくなって、主役が不在になっているという。

シンポジウムの様子=同

その上でセンター広場の活性化について「(現在のやり方は)まちづくり会社が提案し、実施して、市民が享受する図式になっているが、図式を変えて、コンペを開いて市民からアイデアを募り、つくば市やまちづくり会社が市民のアイデアを実践し、享受するのは市民としたらどうか」と提案した。

具体的には、欧米の各都市の取り組みを例に挙げ、段ボール迷路、ヘッドフォンを付けて楽しむ野外映画会やサイレントディスコなどを提案した。さらに「中央広場にクラシックカーを置いても日常と違う風景になる」とし、「改修計画では4メートル幅の通路が2メートルになるが、中央広場の活用のためにはルートの確保が重要だ」と強調した。

水戸芸術館にはキューレーター

続くシンポジウムでは、筑波大学の加藤研助教が、つくばセンタービル建設時の磯崎氏のコンペ案を紹介し、つくばセンター広場がローマのカンピドリオ広場を反転した空洞の形になっていることについて「国家がつくった都市の中心をあえて空洞にしたのは、痛烈な筑波研究学園都市批判があった」と話した。

神奈川大学の六角美瑠教授は、同じ磯崎氏が設計した水戸芸術館とつくばセンタービルを比較し「水戸はプログラムを運営する組織ができあがっている。つくばは市民のアイデアを引き上げるキュレーターが必要」だなどと話した。

主催者の冠木共同代表は「(市のリニューアル計画に対して)話し合う場がない、意見を言う場がないことが問題。本来、こういう場は、つくば市がつくるべき」だなどと述べた。

「市民の文化度に対する挑戦状」

参加者からは「体の不自由な人がいる。エスカレーターはあった方がいい」という意見が出て、鵜沢名誉教授は「体の不自由な人には、エスカレーターよりエレベーターの方が安全」と説明し、「屋外にエスカレーターを付ける場合、雨天時に滑らないよう屋根を付けることが必要になる。エスカレーターの屋根が現状の景観になじみにくい」などと話した。

市のリニューアル計画を磯崎氏がどう受け止めているのかの議論もあった。鵜沢名誉教授が「つくば市が公開している磯崎氏のインタビューをみると、ベラスケスの絵画『ラス・メニ―ナス』を引用するなど難解な話をあえてして、ノーともイエスともとれる言い方をしている」と話すと、参加者から「磯崎さんがはっきり言ってないのは、つくば市民の文化度に対する挑戦状だと思う」「拙速にリニューアルをやる必要があるのか」などの意見が出た。

鵜沢名誉教授はその上で「あと10年ほどで登録有形文化財になるのに、大がかりな改修をするとその資格すら手放すことになる」「筑波研究学園都市は世界的にもまれな国家プロジェクトがつくられ、研究機能が根付いている。1987年に世界遺産になったブラジリア(ブラジルの首都)は規模は大きいが、貧困や犯罪などの問題が内部にある。つくばセンタービルは筑波研究学園都市の中心にある象徴的な建物。その辺も射程に入れてリニューアルを考えるべき」だなどと話した。(鈴木宏子)

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