水曜日, 11月 12, 2025
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《県南の食生活》13 新茶の季節

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畑の縁に植えられた茶の木:手前

【コラム・古家晴美】茨城県でもようやく緊急事態宣言が解除されましたね。油断は禁物ですが、ホッと一息、新茶を楽しまれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今年の八十八夜は、5月1日とのことです。緑茶はよく飲むけれど、茶葉は購入するという方がほとんどだと思います。しかし、昭和30年代ごろまでは、どこの家でも家庭で飲む茶葉を自給していた地域がありました。

ここで取り上げるのは、牛久市下根(しもね)・東猯穴(ひがしまみあな)・島田地区の自家用茶の栽培と製造です。5月上旬に1日がかりで1年分の茶を摘みます。隣近所の人々とユイ(労働交換)で互いに協力しながら行うこともありました。

茶の木の上の部分の新芽は腰をかがめて摘むことができましたが、下の方は座らねばなりません。その際は、俵(たわら)の側面の円形部分のわら細工をお尻に敷いたこともあったとか。摘んだ新芽はチャブカシという竹で編んだ蒸籠で蒸してから、ホイロ(焙炉、紙製やトタン製などの乾燥炉)の上にあけ、下から間接的に加熱しながら、茶葉が針のように細くなるまで手で揉(も)みあげるという、気の遠くなるような作業が必要でした。

その後に乾燥させて仕上げるのですから、一連の工程は、夜明け前に始めても終わるのは日暮れ後という、非常に手間のかかるものでした。特に茶を揉んでほぐす作業は、暑くなり始めた季節に火の前で行わねばならなかったので、大変な重労働だったようです。茶摘みは女性、手揉みは男性の仕事でした。

お茶を飲みながら新緑を眺める

平成に入ってからもしばらく、このような自家用のお茶を栽培していた農家もあったそうです。畑のまわりに植えられた茶の木は、飲用以外に畑の土の飛散防止にも役立っていました。自家用の茶を飲まなくなってからも、茶の木を防風用に残している農家もあります(『下根・柏田・東狸穴の民俗』『島田の民俗』)。

このような自家用の煎茶の栽培・製造は、関東各地で行われていました。しかし、昭和16年に、北海道から沖縄まで全国58カ所で行われた「食集調査」によれば、半数以上の28カ所で自家用の茶を製造していますが、西日本の大半の地域では、自家用の茶としては番茶を製造していました。

地域により若干の違いはありますが、自家用の「番茶」とは、「煎茶」に使う新芽を刈り取った後に出てきた2番茶・3番茶を刈り取り、ホイロを使った丁寧な手もみは行わず、干して保存し、必要なときに煮出して飲むものです。これらの番茶は、飲用以外に茶がゆや茶漬けなどに用いられてきました。

テレワークから徐々に日常生活へと戻りつつあるこの時期、お茶をいただきながら新緑を眺めるのもよいのでは。(筑波学院大学教授)

7世帯に計210万円を重複振込 つくば市 1人10万円の給付金

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つくば市役所

新型コロナウイルスの緊急経済対策として1人一律10万円を支給する特別定額給付金について、つくば市は26日、7世帯に計210万円を重複して振り込んでしてしまったと発表した。同市は25日、7世帯に連絡し謝罪した。今後、返金してもらう。

市総務部臨時給付金室によると、25日、振り込みを受けた1人から、重複して振り込まれていると連絡があった。

調査の結果、受け付けを開始した1日に、マイナンバーカードによるオンライン申請をした7世帯に、二重に振り込んだことが分かった。14~18日の間に1回目を振り込み、25日に2回目を振り込んだ。いずれも、1日に申請を受け付けた後、5月中旬ごろ再び申請があった世帯だという。

オンライン申請をめぐっては、全国各地で重複申請や誤入力などが多発している。申請しても振り込まれるまで日数が掛かることから、再び申請してしまうケースが多発しているとみられる。

重複申請のチェック体制について市は、2日からは表計算ソフトを活用し、チェックできるシステムを整えたが、初日の1日はまだソフトが完成しておらず、目視で照合していたため突合点検に漏れが生じたとしている。初日の1日には計947件のオンライン申請があった。

新型コロナの影響 知的障害者の学びの場にも つくば

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シャンテイつくばの広報誌

【川端舞】知的障害者などに高校卒業後の学びの場を提供する「福祉型専攻科」にも、体験活動の場が限定されるなど、新型コロナの影響が出ている。現状を、つくば市天久保の福祉型専攻科シャンテイつくばのスタッフである磯京子さんに聞いた。

直接会う機会が減る懸念

大学進学率が50%を超える現在でも、知的障害者の高校卒業後の進路は一般的に就職か福祉的就労しかなく、進学という道はほとんどない。福祉型専攻科シャンテイつくばは、高校を卒業した知的障害や精神障害を持つ人に青年期教育や文化的経験を提供する福祉事業。NPO法人茨城の専攻科を考える会(守谷市)が障害者総合支援法に基づく自立訓練(生活訓練)として行っている。

施設は現在、手洗いやマスク着用を徹底したり、今まで学生と一緒にしていた給食の配膳をスタッフのみでしたりするなど、感染予防に努めているが、それでも通学に不安を持つ学生もおり、緊急事態宣言が出た直後は、約15人いる学生の中で5人休んでいた時期もあった。休んでいる学生は家族に手伝ってもらいながら、オンライン通話で授業に参加している。

シャンテイつくばでは、スポーツをしたり、「おしゃれ」を体験したりなど、月ごとの授業の内容を学生たちが話し合いにより決めている。授業内容によっては外部から講師を呼んでいたが、感染拡大後は、外部講師は取りやめ、オンライン通話で授業をしてもらうなど、可能な範囲で対応している。また、卒業後も地域で生きていくために、週に一回、プールなどに公共交通機関を使って行ったり、月に1回は、学生たちが自ら計画を立て、つくば市内や都内の公共施設などに出かけたりする授業もあったが、感染拡大後は公共の場での学習は取りやめている。

「県内は感染が収束に向かったようだが、再度感染が広まって、学生と直接会う機会が減ってしまうと、今まで学生との間に築いてきた関係性が切れてしまわないか不安」と、磯さんは語った。

家族と離れる時間を保障するには

シャンテイつくばに通う学生の保護者でもあり、自身も知的障害者のバスケットボールチームの代表をしている福原美紀さんは「外出自粛の中で、重度の知的障害者はオンライン通話でのコミュニケーションも難しい。ずっと家族だけと接することになり、本人も家族もストレスが溜まってくる」と心配する。その上で、福原さんは「障害者の余暇活動の場を増やすことで、本人と家族が離れる時間をつくることの大切さを改めて感じた」と語った。

《続・平熱日記》62 ネット授業は苦手 黒板が恋しい

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【コラム・斉藤裕之】ついにネットで授業をする羽目(はめ)になってしまった。羽目という言い方は先生としてどうかと思うが…。まず一度に数百人を相手にするので、双方向のやりとりは無理。生徒の顔も見えないし、反応がない画面に向かって冗談を言う気も起こらない。

思った通り美術という分野はネットに向いていない。テクニックやハウツーを学ぶのにはネットで十分なのかもしれないが、そもそも失敗や工夫をしてなんぼの世界。先生はむしろ絵の上手い隣の〇〇君だったりする。美術の先生はインストラクターではないのだ。というか、私自身が普段特に何も教えていないことがバレてしまう。

学校にいると、いわゆる若者言葉を耳にすることがある。何の意味か分からないまま、特に気にすることもない。ところが、最近珍しく聞いた瞬間に意味が推測できる言葉と出会った。「エモい」だ。もしかして「エモーショナル、感情的」という意味?

学校再開までに「なんでもいいから絵を1枚描いてこい」でいいと思うのだが、昨今の教育は妙に過保護だ。それでも何とか授業をしなさいということなので、高校生に「表現」について一席ぶった。

心が動かされることが表現のきっかけとなる。しかし、それを表現たらしめるには理性的な構築の過程が必要となる。こんな話を、「エモい」とその対語として理性的、合理的なという意味のラショナル、「ラショい」という造語を使って説明してみた。

無観客、完全アウェイな感じ。伝えられないことのもどかしさ。黒板が恋しい。頭の中を南野陽子の「吐息でネット」のメロディーが巡る。当時はインターネットがなかったので、このネットの意味は違うらしいのだが、正直「ネットで吐息」である。

表現のきっかけは「エモい」できごと?

ところが、学校が始まるは始まるで困ったことがある。例えば、間隔をあけて座ると教室に全員入れない。美術室は向かい合わせに座るので、多分使えない。共同で道具や絵具を使うことが困難。ならば外で風景画なら密にならない! しかし、これから梅雨に高温多湿の季節。

天井高のある美術室に足場を組んで、2階建てにして上と下に20人ずつというのはどうだろう…。いや、いっそ9月始業のついでに20人学級にするべし…。新しい生活様式は、学校をも劇的に変えるのかもしれない。

そんなある日の夕方、老犬と散歩していると、ふと道端に咲き乱れる外来種のけしが目に入った。「丘の上、ひなげしの花で…」。アグネスチャンのヒット曲が脳裏に浮かぶ。ひなげしの花びらって4枚? 明らかに占いに向いてない。

同様の発見をもうひとつ。南沙織の「十七才」という曲の発想を得た海は、沖縄でもハワイでもない。作詞家の故郷で私の故郷でもある「富海(とのみ)」というひなびた浜。親父がステテコでマテ貝を掘っていた海水浴場らしい。まさにシーズンオフには確かに誰もいない海だ。表現のきっかけとは、実に些細なエモいできごとなのかもしれない。なんだかばかばかしくて、気持ちが晴れた。

因みに、ネット授業は途中で抜け出してさぼってもわからないらしい。「サボる」はサボタージュからきた、元祖流行りの言葉である。(画家)

ワンチームで感染予防 土浦市消防本部、動画で市民にメッセージ

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左から持丸恒次さん、鈴木消防長、齋藤英雄さん=土浦市消防本部

【伊藤悦子】新型コロナウイルスの感染拡大に備え、土浦市消防本部(鈴木和徳消防長)は、救急隊員の厳重な感染予防対策を行う一方、「市民を元気づけたい」と動画を作成。市民との「ワンチーム」で危機に取り組んでいる。

救急隊員の徹底した感染予防

救急隊では「市民に新型コロナウイルスを広めないことが第一」(鈴木消防長)ながら、普段から感染防止対策をとって活動している救急隊員も最大限の防御を行っている。どのような状況の患者の搬送にも、隊員はN95マスク(米国労働安全衛生研究所認定の微粒子用マスク)、ゴーグル、手袋は2重、感染防護衣を上下身につけている。警防救急課課長補佐救急救助係長の齋藤英雄さんによると、感染を疑われた患者を何人か搬送したが、幸いすべての人が陰性だった。

消防署内では、危険区域と清潔区域をきっちり分けるゾーニングを採用しており、救急車が戻った場合、決まった動線を使う。救急車内はすべて消毒し、救急隊員は、慎重に感染防護衣を脱ぐ。脱衣時が最も危険だからだ。その後シャワーを浴びて、清潔な状態になってようやく建物内に入ることができる。

救急消毒室。救急隊員は、この中で着替え、シャワーを浴びてから建物の中に入る

鈴木消防長は「ゾーニングも、通常より増えている消毒作業も、完全な終息が来るまで続けていく。新型コロナウイルスで怖いのは急速な重篤化。移ってはいけないし、移してはいけないことなので、徹底して行う」という。

動画で市民にメッセージ

一方、土浦消防本部では市民に向けてメッセージ動画を作成、配信している。「こんなときだからこそ一緒にがんばろう」というメッセージで始まる動画は、19日時点で再生回数が2000回を超えている。

動画づくりを発案したのは、鈴木消防長だ。ちょうど外出自粛期間だったので、家で過ごす人が多く、たくさんの人に見てもらうチャンスだと思ったそうだ。安藤真理子市長に動画作成を電話で伝えたところ、すぐ「協力します」という回答をもらえたという。

自然災害では『自助・共助・公助』といわれる。新型コロナウイルスは感染症による災害ととらえる消防本部では「まずは自分たちで身を守る、共に助け合う。私たちが公助を担う」と考える。「感染症で自助は手洗いやうがい、共助はソーシャルディスタンス、そしてマスク。動画で、もうちょっとみんなで頑張ろうということを伝えたい」と語った。

動画は、警防救急課警防係の持丸恒次さんが作成を担当。撮影は、訓練の休憩時間やお昼休みを利用し、出動や勤務に支障のない時間に行った。編集は持丸さんが非番の日に行った。慣れていなかったため大変なところもあったが、「とにかく早く出したかった。市民もストレスが溜まっている状況、明るい話題があまりなかったので、逆手にとって明るく元気づけられればいいと思った」と話す。

フレッシュさを出すため出演する隊員は40歳以下に限定した。最初のうちは恥ずかしそうだったが徐々に慣れてきて、撮影に苦労はなかったという。同本部にはラグビー経験者が多いこともあり、ラグビーボールを隊員たちでパスしながら、「ワンチーム」を表現。動画の最後に組織の中枢である消防長ら幹部から安藤市長にボールをパスし、「土浦市としての統一感」を出したという。

空高く伸びたはしご車の撮影には、職員の私物であるドローンを使った。メーンは手洗い動画。持丸さんは「時間の関係でカットしている部分もあるが、正しい手洗いの参考にしてほしい」と話す。「ゴールデンウイークからの自粛が続いているため、市民の皆さんには自粛疲れもあると思う。いずれにしても長期戦になる。少しでも明るい形でメッセージが伝われば」(鈴木消防長)

➡動画 土浦市消防本部からの応援メッセージ

《邑から日本を見る》64 すべては1人から始まる

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【コラム・先﨑千尋】この18日、私はまずインターネットで、政府与党は検事総長や検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案の今国会での成立を断念するということを知り、おやと思った。そのとき、とっさに思い浮かべたのは、本田路津子の「一人の手」(One man’s hands)という歌。澄んだ彼女の声が耳元によみがえってくる。

一人の小さな声 何も言えないけど
それでもみんなの声が集まれば
何か言える 何か言える
(訳詩:本田路津子 作曲:ピート・シーガー)

今月8日に30代の女性がツイッターで「検察庁改正案に抗議します」と投稿した。それが瞬く間に広がり、これまで政治的な発言をしてこなかった俳優の小泉今日子さんら芸能人らも加わり、最初はバカにしていた安倍首相も無視できなくなった。

15日と18日には、松尾邦弘元検事総長ら検察OBも反対の意見書を法務省に提出。世論調査でも反対が多く(朝日新聞では反対が64%)、国会での野党の反対の声も大きく、追い込まれた官邸は白旗を上げざるを得なくなった。ツイッターデモが始まってわずか10日のことだ。

「火事場泥棒」

「火事場泥棒」という言葉がある。混乱に乗じて、用心が手薄になったすきに他人の物を盗む輩のことだ。日本だけでなく、世界中が新型コロナウイルスの対策に追われており、いつ収束するか見通せない。ただでさえ対策で後れを取ったと批判されている我が国は、この際患者の救済や感染防止対策に全力を注ぐべきではないのか。そんなときに「不要不急」の法案をぶつけてくる。

そもそものきっかけは、報道されているように、今年1月に安倍内閣が、翌月に定年退官になる黒川弘務・東京高検検事長を8月まで定年延長したことに始まった。安倍首相は、黒川さんを次期検事総長にしたかったから。しかし検察庁法にはその規定はない。

折しも、国家公務員の定年を65歳まで延長する法案が検討され、どさくさに紛れ検察庁法も自分に都合のいいように変えてしまおう、そうすれば黒川さんの件も開き直れる、と安倍官邸が考えたことが混乱の大本である。

公務員の定年延長はだれも反対しない。問題なのは、当初はなかった「検事長などを内閣が認めればそのポストに留まれる」という特例規定が盛り込まれたことだ。時の政権に都合のいい幹部は続投させるというみえみえの「政権への忖度(そんたく)」条項。国会審議では、その基準はこれから作るという答弁しかなかった。

安倍政権は、これまで憲法や法律の解釈を自分に都合のいいように変え、とどめは準司法官と言われる検察官まで意のままに操ろうと考えた。それにストップをかけたのは、1人のツイッターでのつぶやき。本田路津子の歌が現実になった。

文春の衝撃的記事

話はそれで終わらない。21日発売の「週刊文春」は、やり玉にあげられている黒川東京高検検事長が新聞記者と、今月に入って2回も賭けマージャンをしていたという衝撃的な記事、写真を載せている。さらに同誌は、森雅子法相の近くでもきな臭いことが起きている、と伝えている。

安倍政権は末期症状。のたうち回り、悪あがきしているようにみえる。賭博を認めた黒川さんが辞めても、定年延長を強行した安倍首相の任命責任とこれから法案処理をどうするのかが問題として残る。小泉さんらの閣僚は、閣議で何も発言しなかったのかということも知りたい。

私たちも声をあげよう。主権者なのだから。(元瓜連町長)

車いすのまま着付けできます お出かけにフィット、つくばの着物工房

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車いすで着付けてもらう川島さん=4月1日、つくば市天久保「明日櫻」

【川端舞】車いすだと着物を着るのは難しい―との常識を覆す着物工房が2月、つくば市天久保に店舗兼スタジオをオープンした。楽着物工房「明日櫻」(朝倉早苗社長)で、同市の補助金を使ってトイレに手すりを設置するなどし、誰でも気軽に来られるようにしたという。

着付けには長時間立っている必要があるからと、着物をあきらめていた車いす利用者も多い。「車いすに乗ったまま着物を着られる」という宣伝を見て、この日店舗を訪れた川島映利奈さんもそんなひとり。「一回は車いすから降りる必要があるのだろう」と半信半疑だったという。

明日櫻の朝倉さんが、電動車いすに乗った川島さんに「ジャンパーだけ脱いでもらえれば、あとの服はそのままでいいですよ」と話しかける。短時間で着られるように開発された着物の説明をしながら、あっという間に川島さんを着付けていく。

一般の着物を上下2ピースに分けた作りで、下半身は巻きスカートの要領でマジックテープを留めるだけ。上半身は背中側が開いており、体の正面で腕を通し、背中側のファスナーで留めるため、車いすに乗ったまま無理なく着付けできる。背中側のファスナーで留める構造は特許を取得している。介助者と一緒に来店した川島さんだが、介助者の手を借りずに、浅倉さんとアシスタント1人の手によって、たった5分ほどで着物姿に変身した。

車いすでもベッドに寝たままでも着脱できる「早咲羅(さくら)」を開発し、販売・レンタルを始めてから5年。今年2月にオープンした店舗兼スタジオは、トイレもヘアメイクの部屋も車いすで入れるようにした。トイレに手すりを付けるために、つくば市の合理的配慮支援事業補助金も申請した。

この補助金はつくば市独自の制度で、商業者や地域団体が障害のある人に配慮するために必要な費用を助成する。折り畳み式スロープや筆談ボードなどの物品購入では最大5万円、段差をなくしたり手すりを付けたりするなど工事には最大10万円の補助が出る。2018年6月に開始された制度だが、同市によれば、これまで補助金により物品購入をした事業所と工事を施行した事業所が各2件にとどまるという。今年度は100万円を予算化、市のホームページなどで、市内の商業者や団体に制度の周知を呼び掛けている。

手すりを設けた店内のトイレ

店の入り口に段差が一つあるかないかで、車いすで店内に入れるかどうかが変わってくる。浅倉さんは「車いすで入れないお店もまだまだ多いが、車いすでも気軽に行ける場所が増えることで、歩けなくても生活に彩りが出るはず。そんな町の拠点にここがなれたら」と語った。

新型コロナウイルス感染予防のため来店は予約制にし、一度に店内に入る人数を制限している。来客の前後に店内をアルコール消毒や換気を徹底している。

➡「明日櫻」ホームページはこちら。電話029-852-9316

《食う寝る宇宙》62 人工衛星運用は大事な仕事

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【コラム・玉置晋】僕は人工衛星運用というちょっと特殊な仕事の近くで働いています。宇宙開発というと、ロケット打ち上げや衛星開発がニュースになりやすいですが、最も継続して絡むのは衛星運用です。

人工衛星運用で一番イメージしやすいのは、地上から衛星に命令を送る人でしょう。他にもいろいろな仕事があって、地上から衛星に向けてアンテナを動かす人、衛星がどこを飛んでいるか難しい計算をする人、衛星が正常に動作しているか専門的な知見をフル動員して確認している人(僕はこれね)、衛星から送られてきたデータを有益な形に加工する人―など、たくさんの人に支えられています。

僕が人工衛星運用という仕事を強烈に意識したのは、2003年10月、太陽で大爆発(太陽フレア)が連発したときでした。ハロウィンの時期に起きたので、宇宙天気界隈では「ハロウィン・イベント」と呼ばれています。このときの日本の衛星の通信途絶のニュースは、僕に衝撃を与えまして、「こりゃあ、宇宙天気的に人工衛星をまもらんといかんなあ」という思いを持って、今に至っております。

現代社会は衛星に大きく依存

人工衛星運用者は、社会の機能を維持する「エッセンシャル・ワーカー(Essential Worker)」です。現代社会は、地球観測や通信・測位をはじめとして、衛星に大きく依存しています。ゆえに衛星の運用体制は、縮小する可能性はあれど、継続させる必要があります。

コロナ禍で社会のみんながリモートワークに移行する中でも、人口衛星運用者は24時間体制でシフト勤務をこなしています。最前線でがんばっている彼らは(そして私も)、実に誇らしい仕事をしていると思います。どうか、みな元気にこの状況を乗り切りましょう。

人工衛星運用。地味だけど大事な仕事の一つとして、みんなに知ってもらいたいですね。(宇宙天気防災研究者)

1人1台端末で実証授業開始 休校中のつくば市義務教育学校

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貸し出された1人1台のパソコンを同時接続して学習する実証授業の様子=22日、つくば市立みどりの学園義務教育学校

【鈴木宏子】休校中のつくば市立みどりの学園義務教育学校(同市みどりの中央、毛利靖校長)で、中学3年生に1人1台パソコン端末を貸し出し、学校と家庭を同時接続して学習する実証授業が22日始まった。

同市では21日から分散登校が始まったが、登校しない日は今後、午前8時15分から教員とクラスの生徒全員がパソコン上で顔を合わせ、朝の会を開いたり、一緒に学習問題を解いたりする。

分散登校が実施された22日、1人1台のパソコンを使って中学3年生による公開授業が実施された。生徒はまずウェブ会議アプリ「ズーム」を使ってそれぞれ自分の顔を写し、互いに健康に過ごしていることを確認し合った。

続いて表現・協働学習支援ツール「スタディノート10」を使って数学の復習をした。数学教員から、パソコン画面に表示された図形を見ながら角度を求める問題が出され、生徒たちはタッチペンを使ってパソコン上に線を引くなどして問題を解いていった。教員の画面には、生徒一人ひとりがどのように線を引いて問題を解いたかが写し出され、解き方を皆で確認し合うなどした。

一方、生徒たちはこの日初めて学習支援ツールを使ったことから、パソコン操作にとまどう生徒もいて、近くにいた教員が教える場面も見られた。

3年生の宮本瑚(ここ)さん(14)は「皆と考えを共有できてよかった。家でも緊張感をもってできると思う。(パソコン操作は)立ち上げ方が難しかったが慣れていけばできると思う」と話していた。

市総合教育研究所の中村めぐみ指導主事によると、これまで授業で使用していたシステムを家庭からでも接続できるようにした。児童・生徒に1人1台パソコンを配備してコンピューターを使った教育に積極的に取り組む文科省のGIGA(ギガ)スクール構想の先取りとしての位置づけとなる。

今後は他の学校にもパソコンを貸し出して実証授業をしていく。生徒一人ひとりの学習履歴がとれるように改良し、教育評価にも利用できるようにして、児童生徒一人ひとりに最適化した学習ができるようにしていくという。

一方、休校中、同校では4月から毎日、各学年3教科ずつ動画を配信している。児童・生徒は自宅で動画を見て、教員から出された課題に取り組んだり、復習ドリルをこなしたりしている。休校中の動画配信は続けるという。

6月8日学校再開へ 夏休みの3週間で授業

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茨城県庁

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染対策で、大井川和彦知事は22日、外出自粛と休業要請を25日からさらに一段階緩和すると発表した。25日以降さらに2週間、感染拡大が抑えられれば、規制を最も緩い段階に引き下げ、6月8日から学校を再開する。休校による授業時間数を確保するため、夏休みを半分に短縮し3週間程度、授業を行う。

県内の新規感染者数が16日間連続でゼロとなっているなど、6つの指標すべてで感染が抑えられているとして、25日から外出自粛と休業要請をさらに1段階緩める。ただし「新しい生活様式」といわれる感染防止対策を常にとることが前提となる

他県への観光も規制せず

外出自粛要請は、一般の人は夜間の自粛要請が解除され規制がなくなる。県外への移動についても東京など緊急事態宣言の対象地域以外は移動自粛を解除する。県外への移動自粛要請については都道府県によって対応が分かれているが、茨城県としては25日以降、他県への観光や帰省なども規制しないという。

ただし感染すると重症化するリスクが高い70歳以上の高齢者や基礎疾患がある人に対しては、あと2週間、外出自粛を要請する。

スポーツクラブ再開へ

休業要請は、スポーツクラブ、ヨガスタジオ、パチンコ店、ゲームセンターなどを休業対象からはずす。スポーツクラブなどに対しては県が感染防止ガイドラインを策定し、再開にあたって順守するよう要請する。あと2週間、休業要請を継続するのは、濃厚接触が避けられないライブハウスや、客同士の距離を1メートル以上確保できないカラオケボックスやスナック、バーなど一部に限定される。

イベント開催について大井川知事は、屋内なら100人以下の規模で収容定員の半分以下の参加人数とする、屋外は200人以下の規模で人と人との距離を2メートル確保できるなら自粛せず、開催してほしいとする。イベントについても県が感染防止ガイドラインを策定した。

学校再開後は毎朝検温、マスク

学校は25日から2週間は週3~5日の分散登校とする。ただし給食は提供されず、部活動も実施しない。

25日からさらに2週間、感染が抑えられた状況が続いた場合、県立高校は6月8日から再開する。小中学校も同様に対応するよう市町村に要請する。これにより3月に突然始まった臨時休校は6月7日までで一段落する。8日からは通常授業となり、給食も出され、部活動もできるようになる。

学校再開にあたって県として感染防止ガイドラインを策定した。毎朝検温する▽マスクを着用する▽こまめな手洗いをする▽教室は2方向の窓を常時開ける▽教材は使う前に消毒する▽給食は会話を控え対面を避ける▽部活動は接触を避けるーなどで、各学校に順守を求める。

夏休みの半分の3週間、授業を実施することについては、昨年度までに県内すべての公立小中学校、高校の普通教室にエアコンが整備されたため問題ないとした。

オンライン授業の取り組みは続ける。大井川知事は、第2波、第3波への備えも含め「これからの授業は、オンライン教育とリアル(な対面の授業)の組み合わせになる」との見通しを示した。

一方で第2波、第3波がきた場合、再び休校とするかについて知事は、10代の感染者が少なく、子供のクラスターの発生はほぼないというEUや中国の調査報告を紹介し「科学的な知見の蓄積をみながら、学校が一番脆弱かどうか、科学的知見に基づいて考えていかないといけない」との見解を示した。

東京圏への移動、6月18日まで自粛を

一方、国が25日、緊急事態宣言を全面解除し、移動やイベントなどのガイドラインを出したのを受けて、大井川知事は同日、県外への移動について国の方針に合わせるとし、31日まで県外の移動、特に東京圏への移動を自粛するよう要請した。

6月1日以降は、東京、千葉、埼玉、神奈川と北海道の5都道県に対して同18日まで引き続き移動自粛を要請し、それ以外の府県は全て移動可能とするという。6月18日以降は改めて判断する。

解体工事始まる 日本財団 軽症者病床計画のつくば研究所跡地

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18日から解体工事が始まった日本財団つくば研究所跡地=21日午後

【鈴木宏子】日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)は、つくば市南原、つくば研究所跡地(約5万7000平方メートル)で、研究施設などの解体・撤去工事を開始した。8月上旬まで工事を実施し、さら地にする。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、同財団は同跡地に9000床の軽症者向け病床を整備すると発表している。

同財団広報チームによると、解体工事は5月15日から準備を開始し、18日から具体的な作業に入った。敷地内には角水槽棟、回流水槽棟、重油タンク、管理棟などがあるが、すべて解体し、8月上旬までにさら地にする。工事は毎日、午前8時から午後6時まで予定し、日曜日は近隣への配慮のため、極力、音を出さない作業をするという。

当初計画(4月5日付)では、つくばで7月末から受け入れを開始するとしていた。同財団は、軽症者向け9000床の施設を整備する計画に変更はないが、整備時期などについては「茨城県は緊急事態宣言が解除されているため、開設時期については感染状況を勘案し、運営主体も含めて見極めていく」とし、今後の第2波、第3波の感染拡大状況を見て開設時期や運営主体などを決めていくが、準備は進めるという立場を示した。

一方、地元の五十嵐立青つくば市長は「市民から多くの不安の声が寄せられている」などとし「現在の計画は受け入れることはできない」と受け入れに難色を示している。これについて同財団は「つくば市長には直接、話を伺い、懸念については承知している」とし「地元への説明等については、今後の感染状況などを勘案し方針を見極めてから検討したい」とする。

船の科学館は病床設置始まる

軽症向け施設は東京都品川区の船の科学館に、先行して1200床を整備する計画。同科学館ではすでに工事が始まっており、5月中旬にパラアリーナに100床、下旬に駐車場に大型テント1張(60床)を整備し、6月末には敷地内に個室型のプレハブハウスを140室完成させる計画だ。同財団が全費用を負担して整備し、同科学館は東京都が運営主体となる。今後の都内の感染状況や病床の使用状況によって同科学館の増床を積極的に検討するという。

《宍塚の里山》63  いのち湧きいづる季節

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キアゲハ(上段)、アカボシゴマダラの幼虫(下段左)、ヘビの卵(下段中央) 、陸に上がりたてのアカガエルの子ども(下段右)

【コラム・及川ひろみ】目にまぶしい若葉。生き物にとっては食べごろな美味しい若葉。たくさんの種類のチョウやガの幼虫が若葉に食らいついているのが見られ、チョウやカミキリムシが花の蜜をちょうだいし、ときにはキリギリスの幼虫が花を食べるのが見られます。

しかし、植物は種類によっては若葉のときには葉の表面にふわふわの毛を持ち、昆虫はこの毛が邪魔で葉を食べることができません。また、植物はすべて毒があると言われるほど、やすやすとは食べられない仕組みになっていますが、爆発的に生き物が見られるのがこの季節です。

たくさんの生き物は野鳥にとっては格好な餌(えさ)。小鳥たちはこの豊かな生き物の季節に雛(ひな)を育てます。親がせっせと運ぶエサで育つ雛。ときには巣から早く出たいと焦るあまり、落ちることもしばしば。まだうまく飛べない雛。そんな雛を見つけても、かわいそうだと持ち帰ってはいけません。落ちた近くには母鳥が雛を見守っているのです。そして餌を運び、巣立を助けます。

アマガエルやシュレーゲルアオガエルがにぎやかに鳴く谷津の田んぼの畔(あぜ)や湿地の縁では、陸に上がったばかりの小さなアカガエルがぴょんぴょん、踏んでしまいそうなほどたくさん見られるのもこの季節です。

平穏そうなカエルたちですが、サギなどの仲間やヘビ、トカゲは虎視眈々(こしたんたん)と彼らを狙っています。そして、そのトカゲやカエル、ヘビを狙ってタカ、サシバが声高らかにピッィウィーと鳴きながら上空を飛んでいるのも見られます。彼らの子育てには欠くことができない生き物たちです。

里山の作業は3密と関係なくできます

今年は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、観察会や子ども探偵団など、会の行事は自粛していますが、親子で、夫婦で、カップルで、宍塚の里山にやって来る人が大勢います。子どもたちは釣りをしたり、虫取り網を振りまわしたり、ときには泥ケーキを作ったりと、実に楽しそうです。

草木が勢いよく育つこの季節。管理を怠れば散策路、堤防、田の畔(あぜ)、農園周りなど、日当たりのよいところならどこも、またたく間に草に覆われます。初めて宍塚を訪れた方が気持ちよく過ごせるようにと、散策路、堤防、里山内の広場、畦、どこも会員が草を刈り、場所によってはベンチ代わりに丸太を置くなど、毎週のように10名近い人が里山の管理作業を怠りなく行っています。作業は3密などとは関係なく行えます。(宍塚の自然と歴史の会代表)

つくば市が第2弾の緊急経済対策 家賃補助や商品券給付など9億円

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第2弾の緊急経済対策について説明する五十嵐つくば市長=21日、つくば市役所

【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染拡大による第2弾の緊急経済対策などとして、つくば市は21日、計9億2430万円の支援策を実施すると発表した。最大月20万円の家賃補助▽18歳以下と70歳以上の市民に1人5000円の商品券給付▽ひとり親世帯などに3万円支給▽帰省を自粛している大学生などに3000円分の食料品詰め合わせ配布—など、中小企業と高齢者・子育て世帯などへの支援を盛り込む。

同日、市議会全員協議会を開いて説明した。28日、臨時議会を開き、補正予算案を提案する。総額1億6400万円の第1弾に続く支援策となる=4月21日付。財源として市の一般財源約5億8200万円と国の地方創生臨時交付金3億4230万円を充てる。

中小企業への支援として、現在検討されている国の家賃補助の対象とならない、売り上げ15~30%減の店舗や事務所などの家賃を最大で月額20万円、3カ月分の補助するテナント賃料助成事業を実施する。420件を想定し事業費2億3340万円を計上する。

景気が減速していることから、新型コロナウイルスの影響で失業したり、休業している市民を新規に雇用する市内の事業者に最大20万円を助成する。200人分を想定し、事業費2100万円を盛り込む。

市民生活を応援し、併せて物産事業者を支援することを目的に、実家に帰省せず市内にとどまっている県外出身の大学生と、つくば市出身で都内など県外にとどまっている大学生、さらに経済的に厳しく就学支援を受けている子育て世帯の先着計5000世帯に、地元の食料品3000円分を詰め合わせたセットを贈る(事業費2400万円)。詰め合わせする食料品の中身は今後、検討するという。

ほかに第1弾の支援策である、食事のテイクアウトを実施している飲食店に一律10万円を交付する事業の申し込み飲食店が当初予定の500件を超えたことから、290店分を増やし、事業費3000万円を追加計上する。感染収束後、市内の宿泊施設に泊まった人に1人2000円の食事券を交付する事業については1万人分の計2000万円を予算化する。

文化芸術の支援策として、文化施設などでの発表の機会を失ったアーティストに、オンライン上での活動の場を支援し、ポータルサイトを整備してアーティストが企画したワークショップの動画を掲載する文化芸術プラットフォーム創造事業(950万円)を実施する。

高齢者にマスク1人3枚配布も

高齢者や子育て世帯の支援事業は、70歳以上の高齢者約3万7000人と18歳以下の約4万6000人に、市内で使用できる5000円分の商品券(総額5億700万円、28日の臨時議会ではなく6月議会に提案)を配る。高齢者にはさらに、敬老大会中止の通知に同封して、不織布マスクを1人3枚郵送する(400万円)。

景気が悪化し、ひとり親世帯などから生活困窮の相談が寄せられているなどから、児童扶養手当や就学援助を受けている約1780世帯に、市独自に1世帯3万円を支給する。18歳以下の子供がいる子育て世帯の6%ほどが対象になるという。

学校が臨時休校になりオンラインによる学習動画配信などが各校で始まっている一方、市の4月の調査で、家庭にインターネット環境がない小中学生が約700人(約3%)いることが分かったことから、700人全員にインターネットが利用できるパソコンを1人1台、9カ月間貸し出す(2200万円)などの支援策にも取り組む。

「イーアス」1カ月半ぶり再開 つくばの日常少しずつ戻る

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入り口前に並び、開店と同時に次々に入店する来店客=21日午前10時、つくば市研究学園、イーアスつくば

【鈴木宏子】国の緊急事態宣言解除と県の休業要請緩和を受けて、つくば市研究学園駅前の大型商業施設「イーアスつくば」が21日、1カ月半ぶりに再開した。食料品を販売するカスミを除いて、4月9日から臨時休業していた。

新型コロナウイルスの感染防止対策をとりながらとなるが、1カ月半、立ち入りができなかった館内にようやくにぎわいが戻り、つくばの日常が少しずつ戻ってきた。当分の間、営業時間を短縮しての再開となる。

開店前、入り口には全員マスクをした来店客が列をつくり静かに再開を待った。午前10時に開店すると来店客は、入り口に置かれた消毒液を手にとり手指消毒をして入店し、お目当ての専門店などに向かう様子が見られた。入り口の一部には体温を測定するサーモグラフィーが置かれた。

1カ月半ぶりに再開すると知り、7歳と0歳の子供を連れて来店した市内に住む産休中の30代会社員女性は「駐車場にもう車がいっぱいなのでびっくりした」と話した。

3歳の子供と来店した市内の30代会社員女性は「子供専用の美容室がここにしかない。予約をとるため電話を掛けたがなかなかつながらないので、直接、予約を取りにきた。再開してよかった。うれしい」と語った。

大学生の息子とつくば市を訪れ、食事をしに寄ったという守谷市のパート50代女性は「再開してありがたい。ワクワクします」と話していた。

感染防止対策として店内には、客同士の間隔を空けたり、少人数による短時間の買い物を呼び掛けるポスターがあちこちに掲示された。

レジに透明なビニールカーテンが張られ、床に客同士、間隔を空けるよう促すシールが貼られた専門店もあった。

飲食できるフードコートは、テーブルやいすの数が少なくなり、客同士が対面して座らないよう呼び掛けるシールがテーブルに貼られた。ベビカーの貸し出しも当面の間、休止される。

◆当面の間の営業時間は、専門店などが午前10時から午後7時まで、レストラン街は午前11時から午後8時まで。

《くずかごの唄》61  精神安定剤としてコロナのお守り

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【コラム・奥井登美子】東京にいる娘が、ガラス製の赤い派手なペンダントをくれた。よく見ると、花のような、きれいな円が散らばっている。

「ウイルス模様のペンダント、装飾品を扱っている友達につくってもらったの」

「いわれてみるとウイルス模様だわ、5種類のウイルスがいる」

「ママは家にじっとしていない。飛び回っていて、コロナが心配なので、友達に頼んでコロナのお守りをつくってもらったの」

「これ、お守りなの?」

「そうよ。これを首にかけて,コロナの防災と真剣に向き合って下さい」

彼女は医療機関でアルバイトをしている。PCRコロナ検査のボランティアをやりたいといっていたくらいだから、ウイルスというものがどういうものかよく知っているはずである。「お守り」という江戸時代のようなクラシック発想がおかしくて、私は大笑いしてしまった。

お祭りにも「疫病退散」の願いが

1858年に「コレラ」が流行し、江戸だけで10万人の死者。1862年には「はしか」が流行し、はしか除けの「はしか絵」がよく売れたという。

疫病の歴史を考えると、疫病がはやるたびに、人々はどう対処していいかわからずに、神様に祈祷し、病気よけの「お札」「お守り」「まじない」などをしたりして、心の安定を図ってきた。地域のお祭りの中にも、最初は「疫病退散」を願ったものが多い。

コロナウイルス報道も、家にいてテレビばかり見ていると、心が滅入ってしまう。医者にかかるほどの不安ではないが、何かが怖い。目に見えないウイルスにおびえている。

こういうときは、気の合った友達と会食でもして、「あ、は、は」「お、ほ、ほ」、くだらないおしゃべりをすると、いつのまにか発散してしまうが、その会食もおしゃべりも禁止となると、どう発散したらいいのかわからない。精神安定剤としての「お守り」が現代にあってもいいかと思う。(薬剤師)

自粛緩和、街歩きはいかが 土浦の中城通りでご朱印頒布

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不動院と琴平神社入り口=土浦市中央、中条通り

【伊藤 悦子】江戸時代の建物が残る土浦市中央1丁目、中城通りにある不動院と琴平神社で、ご朱印の頒布を始めた。ご朱印を書いているのは、境内にある元社務所の「井戸端庵」で昨年4月から習字教室を開いている書道家の大関まことさん(42)だ。

中城通りでまちおこしに取り組む「土浦界隈まちづくり研究会」代表の伊藤春樹さん(67)は「新型コロナのことで疲れ、神仏にお参りしたくなる方も多いのでは。外出自粛が一部解除されたこともあり、気分転換や運動不足解消に参拝に来てほしい。城下町土浦の雰囲気をこの機会に味わって」と語る。

中城通りは旧水戸街道の宿場町で、土浦の商業の中心として栄えた。不動院と琴平神社は通りの一角に隣接して建立され、境内は江戸時代後期の地理学者、沼尻墨僊(ぼくせん)が寺子屋を開いた場所として知られる。通りは現在、土浦の歴史散策の観光拠点となっている。

ご朱印を書く大関さん

大関さんが井戸端庵で習字教室の指導中、参拝者から「ご朱印はある?」「どこに行ったらもらえるのか」と頻繁に聞かれるようになったことがきっかけ。毎回「わからない」と答えるのが忍びなく、「私になにかできることがあれば」と思い、同地区でまちおこしに取り組む伊藤さんに相談した。

ご朱印ブームということもあり、伊藤さんが不動院と琴平神社に話したところ、直接、対応するのは困難だが「委託という形なら」とOKが出た。そこで大関さんが2月27日からご朱印を担当することになった。

伊藤さんによると、不動院を管理する龍泉寺住職、琴平神社神主からは「ご朱印だけをもらって帰るというのではなく、不動院と琴平神社をしっかり参拝してから受け取ってほしい」と言付かっているという。不動院と琴平神社の由来を知ってもらうため、パンフレットも一緒に渡している。

大関さんが書道教室での指導中は対応できないので、あらかじめご朱印を書いておく「書き置き」という形で用意している。3種類の中から好きなものを選ぶことができる。頒布は、月曜と水曜の午前11時から午後1時までだが、毎月28日の不動院の縁日でも頒布している。

大関さんは「書道の文字を見ると気持ちが落ち着く。不動院と琴平神社に参拝し、ご朱印を記念にしていただければ」と話す。

同市では、コミュニティバス「キララちゃんバス」を運行するNPO法人「まちづくり活性化土浦」(同市中央)が2018年12月から市内の寺院を参拝してご朱印をもらえる「寺院巡り」を開催し評判を集めている。同NPOは、寺院巡りコースに不動院と琴平神社は入っていなかったが、今後検討したいという。

◆ご朱印は1枚300円。問い合わせは大関さん(電話029-899-8568)まで。

《ご飯は世界を救う》23 飯村牛の「いいむらや」のお弁当

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【コラム・川浪せつ子】茨城県は緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ自粛生活は続いています。そんな中、テイクアウトで、心も胃袋も、そしてお店の方も、ちょっと一息。

こちらの「いいむらや」さん(つくば市二の宮)は、平常時もテイクアウトをやっているお店です。私が行くときは、ほぼ店内で。お弁当(牛丼、ステーキ、ハンバーグなど)から、コロッケ、メンチといろいろ。それがすべて、「飯村牛」が入っているので、めっちゃ美味しいのです! 店内で食すときは、サラダバー、コーヒーが無料でいただけるのもうれしいです。

飯村牛はつくば山麓の幻の牛と言われて、850頭しか飼育されていないそうです。洞峰公園の横のマンションの1階にあるのですが、少し奥まっている場所で、あまり目立たず、気が付きにくいです。でも、口コミで、美味しさが広まっているみたい。私は、たまたまお店の前を通ったとき、ステキなミドルエイジの女性が入っていたので、勇気を出して行ってみました。大正解でした!

今回は、自粛生活ということで、テイクアウトしたものを描いてみました。そろそろ外食も?なんて思いますが…、まだもう少し、テイクアウトで楽しもうかなぁ。

友達と「絵でメール」交換日記

こんな自粛事態になり、いろいろな変化。「こんなになってる~」を、わたしの生活目線で。

▽新聞折り込み激減。スーパーの折り込みがなくなって、お店のレジ終わりに、目玉商品の広告をもらいました。

▽テレビ番組、再放送ばっかり。でも過去の番組が、けっこう面白かったり。番組はコロナばかり。今までCMのときはチャンネル変えていたのに、なぜかホッとして見てしまう。CMって案外面白いのね。

▽月1ぐらい、コレステロールの薬をもらいにかかりつけ医院に行っています。予約を取るのに電話したら、「少々お持ちください。電話診察、医師とつなげますので」。電話でいつものお薬の処方箋を出していただき、いつもの薬局に取りに行きました。

▽ウツウツとした気持ちが少しでも晴れるようにと、たまに散歩はしますが、今ほど庭のありがたさを感じたことはありません。植物の成長とお日様に癒されています。

▽絵のお友達と毎日「絵でメール」。交換日記みたいな。これが思いのほか楽しい。

巣ごもり生活。シンドイことも多々ありますが、その中でも小さな楽しみ、小さな幸せを見つけて、収束を願いながら暮らしています。(イラストレーター)

21日から分散登校 つくば市小中学校 1学級20人程度ずつ

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つくば市内の義務教育学校

【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染拡大による国の緊急事態宣言が解除され、県の外出自粛要請が1段階緩和されたのを受けて、つくば市内の公立小中学校は21日から、1クラス20人程度ずつ分散登校を開始する。

5月21~22日の間に1回、25~29日の間に週2回程度、6月からは週3~5日の分散登校を実施する。ただし午前中、3時間程度の登校とし給食は提供しない。正式な授業は実施せず、これまで出していた課題の説明などをするという。休校中の登校日という扱いで、欠席しても欠席扱いとしない。

一方県は、感染拡大が抑えられている今の状況が続けば、早くて6月8日から県立高校を再開するとしている。小中学校の通常登校をいつから開始するかは、県の判断をみて市として改めて決めるという。

休み時間ごとに手洗い

登校が始まっても、感染防止対策をとることが求められることから、市は15日に分散登校ガイドラインを策定した。ガイドラインに基づいて学校生活を行う。

子供たちは毎朝、自宅で検温し健康観察表に記入する。常にマスクを着用する。登校時は昇降口で手指の消毒をする。登下校時に昇降口に密集しないよう1メートル以上間隔を空ける、などだ。

教室での授業は1クラス20人程度で行い、机やいすの配置は1メートル以上間隔を空ける。換気のため常に対角線上の窓を開けておく。近距離で組み合ったり、接触する場面が多い運動や、狭い空間での歌唱指導、調理実習などは当面、見合わせる。

休み時間は、洗い場が密集しないようにして毎回必ず手洗いを行う。子供たち同士が近距離で会話したり、教室で大声を出すことも控えてもらう。

施設については、階段の手すりやドアノブなどは1日3回程度殺菌消毒するほか、トイレは通常の清掃のほか、電気のスイッチ、蛇口、ドアノブ、床を1日3回殺菌消毒し記録するなどとしている。

休校が解除となり学校再開となる場合、県は、通常授業を実施し、給食も提供するほか、部活動も再開するとし、22日に学校再開の考え方を示すとしている。通常登校に戻った場合の小中学校の感染防止対策について市は、改めて検討するとしている。

《法律かけこみ寺》18  特別法のある金曜日

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土浦市神龍寺(本文とは関係ありません)

【コラム・浦本弘海】今回は時事のニュースにからめ、ちょっとマジメな法律マメ知識を。法律相互間に矛盾するルールが定められている場合、どちらを適用すればよいのでしょうか?

この点に関し、今年5月15日に、検察OBが検察庁法改正案に反対する意見書を法務省に提出したというニュースがありました。

ことの発端は(法律的には)、

1.国家公務員法は、一定の要件のもとに国家公務員の定年延長を認めている(国家公務員法81条の3)。

2.検察庁法は、検事総長の定年を65歳、その他の検察官の定年を63歳と定めており(検察庁法22条)、定年延長の規定はない。

検察官の定年延長は、現行法上許されるかという問題です。

この問題について、制定法相互間の優劣に関する3つの原則

1.上位の法は下位の法を破る

2.特別法は一般法を破る

3.後法は前法を破る

―があります。

法律そのものに書かれているわけではありませんが、この原則を否定する法律家はいないと思います。以下、3つの原則について説明します。

特別法は一般法を破る

1.上位の法は下位の法を破る

法にはいわば「格」があって、格が上の法が優先的に適用されます。格付け的には、憲法>法律>政令>省令です。

具体例を挙げますと、

日本国憲法(昭和21年憲法)>児童福祉法(昭和22年法律第164号)>児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)>児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)です。したがって、たとえば憲法に反する児童福祉法の規定は適用されません。

2.特別法は一般法を破る

一般法とは、ある分野について適用対象がより広い法、特別法とはある分野について適用対象がより狭い法です。特別法の方がその分野に特化しているので、優先的に適用されます。

たとえば、

商法(明治32年法律第48号)>民法(明治29年法律第89号)です。民法は私人の関係について広く定めておりますが、商法は私人の関係でも特に商売に関して定めています。

検察OBが提出した意見書に「『特別法は一般法に優先する』との法理に従い、検察庁法に規定がないものについては通則としての国家公務員法が適用されるが、検察庁法に規定があるものについては同法が優先適用される」とあるのはこの点の指摘です。

意見書は、検察官の定年延長は現行法上許されないという立場です(そして、検察庁法の改正について「検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動き」として反対しています)。

3.後法は前法を破る

前にできた法と後にできた法では、後にできた法が優先されます。現状に即しているのは後にできた法なので、当然といえば当然かもしれません。

ちなみに後法ができると、前法は廃止されるか、削除、改正されますので、この原則については出番がほぼありません…。(弁護士)

筑波山観光再開 ホテルは休業続く

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1カ月ぶりに運転を再開した筑波山ケーブルカー=18日午後1時50分ごろ

【鈴木宏子】国の緊急事態宣言解除と県の休業要請緩和を受けて筑波山観光が18日再開した。一方、筑波山中腹の土産品店や飲食店約40店のうち、18日に再開した店は半数ほどにとどまり、観光ホテルや旅館は休業が続いている。

4月22日から閉鎖されていた中腹の市営駐車場4カ所(計470台)が18日、ほぼ1カ月ぶりに一斉に再開し、筑波山観光案内所も開館した。筑波山ケーブルカーとロープウェーも運行を再開し、筑波山つつじケ丘駐車場も利用ができるようになった。

一方、18日は雨模様の天候も重なり、筑波山神社周辺を歩く人の姿も、駐車場を利用する車もまばらだった。

再開したものの利用する車が少なかった筑波山市営駐車場=18日午後1時ごろ

ケーブルカーやロープウェーは、密集を避けるため乗車定員を6割減らし、車内の手すりなどを頻繁に消毒したり、走行中も窓を開けたままにして運行を再開した。運行する筑波観光鉄道によると、18日の利用客は例年の5月の平日と比べても少ないという。

登山道も再開された。つくば市の50代女性は「(緊急事態宣言の)前は、月2回くらい、筑波山や宝篋山、土浦の小町山に登っていたので、山登りは1カ月ぶり。今日はすれ違う登山客は少なかった。これから東京の緊急事態宣言が解除されて登山道が密になるのが心配」などと話していた。

筑波山神社前で、土産品店と飲食店を夫婦で経営する石浜豊子さんは「商売上はお客さんに来てほしいが、ゴールデンウイーク中、首都圏ナンバーの車を見掛けたので、来たら来たで心配もある」と複雑な心境を話した。

一方、首都圏からの利用が多いホテルや旅館は5月いっぱい休業を続ける。つくばグランドホテルを経営する東郷治久代表は6月以降について「6月、7月は(現時点で)予約がほとんどなく、あっても数件程度で、見通しが立たない状況」だという。ホテル青木屋は「東京の緊急事態宣言が解除されないとお客さんがこちらに来ることはない。先が見えない状況」だと語る。

半数ほどの土産品店がまだ休業したままで人影がまばらな筑波山神社周辺=18日午後1時過ぎ