水曜日, 4月 21, 2021
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《続・平熱日記》62 ネット授業は苦手 黒板が恋しい

【コラム・斉藤裕之】ついにネットで授業をする羽目(はめ)になってしまった。羽目という言い方は先生としてどうかと思うが…。まず一度に数百人を相手にするので、双方向のやりとりは無理。生徒の顔も見えないし、反応がない画面に向かって冗談を言う気も起こらない。

思った通り美術という分野はネットに向いていない。テクニックやハウツーを学ぶのにはネットで十分なのかもしれないが、そもそも失敗や工夫をしてなんぼの世界。先生はむしろ絵の上手い隣の〇〇君だったりする。美術の先生はインストラクターではないのだ。というか、私自身が普段特に何も教えていないことがバレてしまう。

学校にいると、いわゆる若者言葉を耳にすることがある。何の意味か分からないまま、特に気にすることもない。ところが、最近珍しく聞いた瞬間に意味が推測できる言葉と出会った。「エモい」だ。もしかして「エモーショナル、感情的」という意味?

学校再開までに「なんでもいいから絵を1枚描いてこい」でいいと思うのだが、昨今の教育は妙に過保護だ。それでも何とか授業をしなさいということなので、高校生に「表現」について一席ぶった。

心が動かされることが表現のきっかけとなる。しかし、それを表現たらしめるには理性的な構築の過程が必要となる。こんな話を、「エモい」とその対語として理性的、合理的なという意味のラショナル、「ラショい」という造語を使って説明してみた。

無観客、完全アウェイな感じ。伝えられないことのもどかしさ。黒板が恋しい。頭の中を南野陽子の「吐息でネット」のメロディーが巡る。当時はインターネットがなかったので、このネットの意味は違うらしいのだが、正直「ネットで吐息」である。

表現のきっかけは「エモい」できごと?

ところが、学校が始まるは始まるで困ったことがある。例えば、間隔をあけて座ると教室に全員入れない。美術室は向かい合わせに座るので、多分使えない。共同で道具や絵具を使うことが困難。ならば外で風景画なら密にならない! しかし、これから梅雨に高温多湿の季節。

天井高のある美術室に足場を組んで、2階建てにして上と下に20人ずつというのはどうだろう…。いや、いっそ9月始業のついでに20人学級にするべし…。新しい生活様式は、学校をも劇的に変えるのかもしれない。

そんなある日の夕方、老犬と散歩していると、ふと道端に咲き乱れる外来種のけしが目に入った。「丘の上、ひなげしの花で…」。アグネスチャンのヒット曲が脳裏に浮かぶ。ひなげしの花びらって4枚? 明らかに占いに向いてない。

同様の発見をもうひとつ。南沙織の「十七才」という曲の発想を得た海は、沖縄でもハワイでもない。作詞家の故郷で私の故郷でもある「富海(とのみ)」というひなびた浜。親父がステテコでマテ貝を掘っていた海水浴場らしい。まさにシーズンオフには確かに誰もいない海だ。表現のきっかけとは、実に些細なエモいできごとなのかもしれない。なんだかばかばかしくて、気持ちが晴れた。

因みに、ネット授業は途中で抜け出してさぼってもわからないらしい。「サボる」はサボタージュからきた、元祖流行りの言葉である。(画家)

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