【伊藤 悦子】江戸時代の建物が残る土浦市中央1丁目、中城通りにある不動院と琴平神社で、ご朱印の頒布を始めた。ご朱印を書いているのは、境内にある元社務所の「井戸端庵」で昨年4月から習字教室を開いている書道家の大関まことさん(42)だ。
中城通りでまちおこしに取り組む「土浦界隈まちづくり研究会」代表の伊藤春樹さん(67)は「新型コロナのことで疲れ、神仏にお参りしたくなる方も多いのでは。外出自粛が一部解除されたこともあり、気分転換や運動不足解消に参拝に来てほしい。城下町土浦の雰囲気をこの機会に味わって」と語る。
中城通りは旧水戸街道の宿場町で、土浦の商業の中心として栄えた。不動院と琴平神社は通りの一角に隣接して建立され、境内は江戸時代後期の地理学者、沼尻墨僊(ぼくせん)が寺子屋を開いた場所として知られる。通りは現在、土浦の歴史散策の観光拠点となっている。
大関さんが井戸端庵で習字教室の指導中、参拝者から「ご朱印はある?」「どこに行ったらもらえるのか」と頻繁に聞かれるようになったことがきっかけ。毎回「わからない」と答えるのが忍びなく、「私になにかできることがあれば」と思い、同地区でまちおこしに取り組む伊藤さんに相談した。
ご朱印ブームということもあり、伊藤さんが不動院と琴平神社に話したところ、直接、対応するのは困難だが「委託という形なら」とOKが出た。そこで大関さんが2月27日からご朱印を担当することになった。
伊藤さんによると、不動院を管理する龍泉寺住職、琴平神社神主からは「ご朱印だけをもらって帰るというのではなく、不動院と琴平神社をしっかり参拝してから受け取ってほしい」と言付かっているという。不動院と琴平神社の由来を知ってもらうため、パンフレットも一緒に渡している。
大関さんが書道教室での指導中は対応できないので、あらかじめご朱印を書いておく「書き置き」という形で用意している。3種類の中から好きなものを選ぶことができる。頒布は、月曜と水曜の午前11時から午後1時までだが、毎月28日の不動院の縁日でも頒布している。
大関さんは「書道の文字を見ると気持ちが落ち着く。不動院と琴平神社に参拝し、ご朱印を記念にしていただければ」と話す。
同市では、コミュニティバス「キララちゃんバス」を運行するNPO法人「まちづくり活性化土浦」(同市中央)が2018年12月から市内の寺院を参拝してご朱印をもらえる「寺院巡り」を開催し評判を集めている。同NPOは、寺院巡りコースに不動院と琴平神社は入っていなかったが、今後検討したいという。
◆ご朱印は1枚300円。問い合わせは大関さん(電話029-899-8568)まで。