火曜日, 9月 16, 2025
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除草中に小石跳ね 割れたガラスで幼児がけが つくば市

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つくば市役所

つくば市流星台、桜庁舎跡地で2日午後3時ごろ、市の委託業者が除草作業中、小石が跳ね、隣接の市子育て総合支援センターのガラス3枚が破損し、割れたガラスの破片で2歳の男児がけがをする事故が発生した。3日、市が発表した。

市公共資産利活用推進課によると、業者が肩掛け式草刈り機で、同支援センターから約2メートルほど離れた場所の草を刈っていたところ、小さな小石が複数個跳ね、同支援センター内の一部ガラス張りの部屋のガラス3枚が破損した。ガラスは1枚の大きさが高さ2メートル、幅80センチの強化ガラスで、3枚にひびが入り、ひびの一部が細かく粒状になって床に落ち、近くにいた市内に住む2歳男児が足の裏に長さ約1センチの切り傷を負った。男児は破損したガラスが当たったか、踏んだかしてけがをしたと見られている。

男児はこの日、母親と同支援センターを利用していた。事故後、母親が病院に連れて行き、男児はけがの治療を受けた。

市こども政策課によると、事故があった部屋は、未就学児と保護者が自由に遊べる「子育て親子のつどいの場(けやき広場)」という部屋で、事故当時、子ども18人と保護者13人が利用していた。

事故原因について市公共資産利活用推進課は、除草作業中、委託業者は飛び石防止ネットを使用することになっているにもかかわらず、事故時、業者は南側の道路側にしかネットを使用しておらず、同センターがある北側ではネットを使用していなかったためとしている。市はけがをした家族に謝罪、今後、業者が被害者への補償と施設の修繕を行うという。

ガラスが割れた箇所は現在、板が張られている。同つどいの場では、床に落ちた粒状のガラス片の清掃が実施されているほか、室内にあるマットやおもちゃなどにもガラス片が付着している恐れがあるため清掃作業を実施し、3日から5日まで利用を停止する。一方、つどいの場以外の一時預かりやラウンジ、他の部屋は引き続き利用できる。つどいの場は6日から利用を再開する。強化ガラスは納品でき次第、設置するが、特殊な製品であることから日数がかかるという。

五十嵐立青市長は「利用者の方にけがを負わせてしまい深くお詫びします。他の利用者の方にもご迷惑をお掛けしました。再びこのような事故を起こさぬよう、除草業務受託者に対して作業時の安全対策の徹底と再発防止を強く要請しました」などとするコメントを発表した。

紙を折って月に行こう《続・気軽にSOS》164

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【コラム・浅井和幸】やりたいこと、やらなければいけないことがたくさんあるのに、ダラダラしてしまう。人生を変えるような大きなイベントがなぜ自分には起きないんだと思う。やる気を出すにはどうすればよいのか、自分のやる気スイッチの場所を知りたいと悩む人もいるでしょう。

そこまでやりたいことではないんでしょ?とか、やらなくていけないことをやらなくても支障がないんでしょ?という突っ込みは、今回は置いておきます。

今回は、素晴らしいこととか、大きなことを成すための動きはやる気が出てからという発想の、逆の方法を試してみてはいかがだろうかという提案です。その方法の一つは、やる気のあるなしではなく、それをやる構造を作る方法です(やらない構造を外す)。二つ目は、大きなまとまりではなく、小さく区切るという方法です。

やる気というのは、何か行動をしてからついてくるものです。大掃除をしようとしても、面倒だし時間もないし、体力も使うしと、行動しない理由が先に出て、掃除は後回しになってしまうものですが、机の上をちょっとだけ拭こうと動いたら、別の汚れも気になって広い範囲の掃除をしてしまうというようなことです。

これを一つ目で言うと、部屋のあちこちにごみ箱や掃除用具を置いておくことです。二つ目では、その掃除用具のある周りを少しだけきれいにするということです。

これだけで、普段見もしない奥の方に掃除用具を閉まっているよりも、ずっと掃除をする習慣がつきやすくなります。ギターの練習をしたい時は、いつも座っているところの脇にギターを置きすぐ触れるようにして、ちょっとだけでも触る構造をつくるというものです。

ダイエットのためにポテトチップを食べないという行動をするのであれば、食べないという行動がしやすいように目の前にポテトチップを置かないこと。手の届かない、取るのが少し面倒な棚の中にしまうだけでも、効果はあります。

ささいなことの積み重ねが大事

理論上、紙を42回折ると月に届くそうです。0.1ミリの厚さの紙を42回折ると、38万キロメートル(地球と月の間隔)を大きく超える暑さになる計算です。もちろん、そんな大きな紙もなければ、そんなにたくさん紙を折り返せないなど現実的には不可能なことらしいです。

今回伝えたいのは、ほんのささいなことの積み重ねが大きな変化になるということです。バットの素振りをする、絵を描く、小さな善行を行う、ささいな工夫をする、笑顔を向ける、知識を得る、筋トレをする、お金をためるなど、ほんのささいなことを続け積み上げることで、どれだけ大きな成果が得られるかは、はかり知れません。

宝くじに当たるなどの明確な大きな一回は感じやすいのですが、ささいなことの積み上げは感じ取りにくいので、ほとんどの人は行いません。ほとんどの人が行っていない、気づいていないからこそ、ささいな積み重ねを長年行うと大きな成果、特別な人というところに到達できる大きな要因になるのです。

不健康になる、不幸になる、嫌な人間になる、そんな積み重ねはしないようにしてくださいね。(精神保健福祉士)

下水道使用料引き上げなど提案 つくば市 水道料金に続き2年連続

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つくば市役所

9月議会が開会

つくば市議会9月定例会議が2日開会。五十嵐立青市長は、来年4月から下水道使用料を平均18.1%引き上げる条例改正案など議案32件、認定6件、報告12件の計50件を提案した。

下水道使用料の引き上げが議会で可決されれば、2006年8月以来、20年ぶりの引き上げになる。一方、同市では今年4月、水道料金が平均15%引き上げられたばかり(24年7月30日付9月3日付10月4日付)。市民は水道料金と下水道使用料を2カ月ごとに合算して支払っており、2年連続で上下水道料金が引き上げられることになる。

7月30日に市上下水道審議会(会長・白川直樹筑波大システム情報系准教授)から五十嵐市長に下水道使用料の引き上げを求める答申が出され、答申通りの額が議会に提案された。

引き上げ額は、利用者全世帯が一律で支払う「基本使用料」が現在の550円から3.4倍の1870円に引き上げられる。使用水量に応じて支払う「従量使用料」はこれまで三つの区分だったが、1人世帯など小口利用者の負担増を緩和するため10立方メートル以下の区分を新たに設けて区分を四つにし、1立方メートル当たりの従量使用料を10円ずつ(税抜き)引き上げる。

世帯別の引き上げ後の下水道使用料の目安は、1人世帯が2カ月分で現在の1980円から38.9%値上げとなる2750円、2人世帯が3410円から25.8%値上げの4290円、3~4人世帯が6270円から17.5%値上げの7370円になる見通しだ(いずれも消費税込み)。

同市では2024年10月に中長期の経営基本計画「市下水道事業経営戦略」を策定し、将来にわたり安定的に事業を継続していくため、26年度に平均20%、31年度に17%下水道使用料の引き上げを行うとしていた。

実際の引き上げ額の検討については25年1~7月に市上水道審議会を開催し、経営戦略の値上げ計画通り、来年4月からの値上げを答申した。ただし平均引き上げ額は経営戦略の20%から18.1%になるという。

市下水道総務課によると、2024年度の下水道事業の1年間の経営成績である収益的収入は105億1000万円、それに対し収益的支出は98億2000万円と6億9000万円の黒字だ。市によると黒字なのは、総務省が定める基準を超える6億9000万円を市独自に一般会計から繰り入れているためで、6億9000万円の基準外繰入金のうち5億円を削減したいとする。基準外繰入金の内訳は、汚水以外の雨水や地下水など不明水の処理費が4億4000万円、雨水施設の建設負担金等が2億5000万円。一方、下水道施設への投資である24年度の資本的収入は37億2000万円なのに対し、資本的支出は55億3000万円と、借金である企業債に頼っている状況があるという。

こうした状況から、市の下水道事業の課題として①経費の回収率が98.5%で、汚水処理費を下水道使用料でまかなえてない原価割れの状況がある②汚水処理は利用者の使用料でまかない、雨水処理は公費でまかなうという原則を超えて、汚水処理を一般会計からの繰入金に依存している➂施設への投資を企業債に依存しており、30年後には企業債残高が現在の350億円から2倍以上の766億円になるーなどの課題があり、今後さらに下水道未整備地区への敷設や、管路の老朽化対策などが求められることから、課題を解消するために引き上げが必要だなどとしている。

引き上げられれば、つくば市の下水道使用料は県内47団体(市町村ほか)のうち、10㎥の使用料は43番目だったのが28番目に高くなり、20㎥は9番目から4番目に高くなる。40㎥は21番目から6番目に高い使用料となる。(鈴木宏子)

ひろしまのピカ《くずかごの唄》151

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丸木夫妻のサイン

【コラム・奥井登美子】私が宝物にしている絵本がある。丸木位里さんと丸木俊さんの、2人のサインの入った「ひろしまのピカ」だ。

「私には子供がいないから孫もいません。でも、これは、孫たちへの遺言なのです。描いたり、消したり、破ったり、ずいぶん長い間かかってしあげました。丸木俊」と、後書きにある。

丸木位里さんの故郷は広島市。広島に原子爆弾が落ちたという報道で、やっと手に入れた汽車の切符で、ふるさとについたとき、広島市は文字通り死の街となってしまっていた、という。

1945年8月6日。世界で初めての原爆は、想像を絶する放射性熱線と爆風によって、広島市民35万人のうち10万人以上の命を奪った。

一般の市民は、戦争中のあくどく強い報道規制で、写真機など、報道につながるものを持って行けなかった。カメラを持っていただけで、警察に連れていかれてしまう。

焼け焦げた残骸だらけの街。何もない中、放射線の熱線を浴び、心臓は細々と機能しているのに皮膚がベロベロに焼け、垂れ下がってしまっている人たち。顔の皮膚、手の皮膚、皮膚がたれ下がったまま、よたよたと歩いている人たち。

放射線を浴びた人間の究極の姿を、丸木位里・俊夫妻は、現実に、自分の目で見てしまったのだ。写真などない中、位里さんはやや抽象的な水墨画、俊さんはそれを油絵に描いた。

うちの2階で丸木位里・俊展

2人はその絵をぐるぐる巻きの巻紙にして、世界中を回って歩いた。土浦にも来てくださった。薬局2階の画廊で、「丸木位里・俊展」。お2人は我が家に泊まり、楽しい時を過ごすことができた。人間の究極の悲劇を見てしまった人の深い優しさは、格別の味がある。

私が霞ケ浦湖岸の葦(アシ)を刈り取って、その繊維で作った粗末な和紙をお見せしたら、俊さんが河童(カッパ)の絵を画いてくださった。私のコラムのイラストの元絵は、この河童たちなのである。(随筆家、薬剤師)

筆者提供

市役所の壁突き破り「つちまる」現る 土浦駅前

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つちまるのトリックアートのそばでポーズをとる大学生=土浦駅前

新たな撮影スポットに

土浦駅西口前の市役所1階の壁を突き破って1日、同市のイメージキャラクター「つちまる」が現れた。駅前の新たな撮影スポットにしてもらおうと描かれたトリックアートで、高さ3.2メートル、幅3.5メートルのつちまるが、壁を突き破って出てきたかのように描かれている。

トリックアートの制作で知られる企画制作会社エス・デー(栃木県那須町)のアートディレクター、赤塚博文さんが描き、1日お披露目された。赤塚さんは昨年、市役所1階のシャッターに、つちまるがシャッターを持ち上げているようなトリックアートを描いた。今回は2作品目で、つちまるは昨年の2倍の大きさ。駅前のバスターミナルや駅と市役所を結ぶペデストリアンデッキからも見ることができる。事業費は55万円。

中心市街地の活性化に取り組んでいる同市は2016年から、高校生らが空き店舗のシャッターに絵を描く取り組みを実施し、これまで5作品が描かれた。今年1月にはTBSテレビ「プレバト!!」の番組企画で、同市川口のショッピングモール「モール505」の空き店舗のシャッターに芸能人らが絵を描き、テレビ放送され「相当な人が見に訪れた」(市商工観光課)。

安藤真理子市長は「プレバトで芸能人の皆さんがモール505に描いたスプレーアートや、土浦駅前通りに高校生が描いたシャッターアートと併せて、駅前のつちまるのトリックアートを楽しんでほしい」と話す。

列車に乗るため駅に着き、完成したつちまるのトリックアートを見た市内に住む女子大学生は「つちまるがちゃんと飛び出しているように見える。かわいい」と話していた。

筑波大・図書館情報系講師の大庭さん《ふるほんや見聞記》8

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展示内容をチェックする大庭さん

【コラム・岡田富朗】筑波大学の図書館情報メディア系講師を務める大庭一郎(おおば いちろう)さんは、図書館情報大学(現・筑波大)大学院・図書館情報学研究科(修士課程)を修了後、海外での経験も経て、筑波大の教員として教壇に立ち、「図書館情報学」という領域の教育と研究に携わっています。

大庭さんと図書館との出合いは、熊本で通っていた小学校でした。そこには珍しく2つの図書館があり、紙の書籍だけでなく、教育番組などを収録したカセットテープの音声資料も収蔵されていました。本を読むことも好きでしたが、それ以上に、さまざまな資料にアクセスできる図書館という場所に興味を持ちました。

大庭さんは現在、「記録による知識共有の重要性」を理解し、「知識共有の制度や技術」に熟知した人材養成をしています。共著に、『図書館情報学を学ぶ人のために』(世界思想社、2017)、『読書教育の未来』(ひつじ書房、2019)などがあります。

壺井栄『二十四の瞳』展

「戦後80年 壺井栄『二十四の瞳』」展示

軽井沢タリアセン内の旧朝吹山荘「睡鳩荘(すいきゅうそう)」で開催された特別展「戦後80年 壺井栄『二十四の瞳』~図書館情報学の世界から~」(6月28日~8月31日)は、大庭さんの企画・資料協力により実現しました。

戦争と平和を見つめる文学作品として、親から孫の3世代にわたり読み継がれてきた壷井栄(1899~1967)の小説『二十四の瞳』(1952)を、図書館情報学の視点で収集された網羅的コレクションによって、多角的に紹介。壺井栄は1956年に中軽井沢に山荘を建てて以降、晩年まで毎年5月から11月ごろまで山荘で仕事をしていた、軽井沢にゆかりの深い文学者です。

この企画では、①直筆原稿(複製)②作品の初出掲載雑誌③初版本から各種の単行本・全集・児童書④研究書・研究論文⑤映画化・テレビ番組化された映像資料⑥映像資料の脚本・シナリオ・スチール写真⑦海外で翻訳出版された図書⑧『二十四の瞳』に関する観光グッズ―などの資料が一堂に展示されました。

昨年秋に同会場で開催された展覧会「石井桃子とクマのプーさんの世界」は、大庭さんの貴重なコレクションの提供を受けて実現しました。

ヴォーリズが設計した山荘

展示会が開かれた「睡鳩荘」は、軽井沢別荘建築史の中でも最上質なものとされています。1931(昭和6)年にW.M.ヴォーリズの設計により建てられ、帝国生命や三越の社長をつとめた朝吹常吉の別荘であったのち、常吉の長女でありフランス文学者でも有名な朝吹登水子が夏場を過ごすための山荘としてこの建物を引き継いで使用しました。2008年に軽井沢タリアセンに移築され、現在一般公開されています。(ブックセンター・キャンパス店主)

ライバル4書店が力合わせ 第1回つくば本推しコンテスト 

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好きな本や人に薦めたい本の帯やポップなどを作成し優秀賞を受賞した(左から)中山ほのかさん、藤本桃依さん、篠内結衣さん、小栗綾華さん、納田莉里花さん

中高生の帯やポップを店頭で紹介

読書離れが言われる中、子どもたちに本に親しんでもらおうと、つくば市内にある四つの書店が力を合わせて「第1回つくば本推しコンテスト」(書店4店と市が共催)を開催し、31日、同市吾妻のつくば文化会館アルスホールで表彰式が催された。

つくば市に在住または在学する中高生に、自分が好きな本や人に薦めたい本の魅力を紹介する「帯」や「ポップ」(メッセージカード)などを作成してもらい、市内の書店4店の店頭や市の図書館などで展示し紹介する取り組みだ。「子どもの頃、出合えてよかった本がたくさんあった。中高生の皆さんにもそんな出合いがあれば」と、土浦一高出身の小説家で弁護士の新川帆立さんがコンテストに協力し、新川さんのデビュー作「元彼の遺言状」(宝島社)の「全帯」(表紙カバー)デザインの公募も実施された。

店長が市長と発案

四つの書店は、イーアスつくば内のアカデミアイーアスつくば店、コーチャンフォーつくば店、ツタヤデイズタウンつくば、イオンモールつくば内の未来屋書店つくば店。

アカデミアイーアスつくば店の伊東愛美店長が、五十嵐立青市長にあいさつする機会を得て、市長に相談したのがきっかけという。伊東店長は日頃、中学生の保護者などから子供が何を読んだらいいのか相談を受けることがあり、市の協力を得て、つくばにゆかりのある作家などに中高生向けの本を推薦してもらって、店内に推薦本コーナーをつくることになった。市内の他店にも呼び掛け、会議を開き企画を練る中、中高生の本推しコンテストをやろうという声が出て、開催に至った。

今年3~4月、まず各書店と市が、つくばや茨城県ゆかりの作家や研究者など18人に声を掛け、中高生に向けた図書45冊を推薦してもらい、各書店で紹介した。続いて5~6月に、本の帯のキャッチコピーと店頭に並べるポップのデザイン、新川さんの著書の全帯デザインの公募を実施した。6月下旬までに中高生から105作品の応募があり、書店4店と市図書館が一次審査を実施して25点を選んだ。7月に投票を実施した結果、5人の5作品が優秀賞に選ばれた。

優秀賞に選ばれたのは▽ミヒャエル・エンデ著「モモ」の帯のキャッチコピーを作成した中学3年の中山ほのかさん(14)▽村田沙耶香著「コンビニ人間」の帯を作成した高校3年の藤本桃依さん(17)▽星野源著「いのちの車窓から」のポップデザインを作成した中学3年の納田莉里花さん(15)▽三上延著「ビブリア古書堂の事件手帖」のポップを作成した高校1年の小栗綾華さん(16)▽新川帆立著「元彼の遺言状」の全帯を作成した中学2年の篠内結衣さん(14)の5人。

藤本桃依さんが作成した「コンビニ人間」の帯は「ただ普通に生きたかった。あなたの普通はどんな姿をしていますか?その普通は本当にあなたのものですか?自分らしさを謳う現代社会を生きるすべての人々へー」。藤本さんは「多様性や自分らしさについて関心が高まった時期にこの本を読み、自分の個性を大切にすることと、社会が求める同調性の葛藤の中で帯のキャッチコピーをつくった」という。

この間、応募があった全105作品は7月から、4店の店頭などに順次展示され、書籍と共にそれぞれ紹介されている。さらに新川さんの「元彼の遺言状」の全帯は、優秀賞を受賞した篠内結衣さんのデザインが今後4店に並べられる本に付けられて実際に販売される。

書店の店頭で順次展示され、本と共に紹介されている105作品の帯やポップ=31日、アカデミアイーアスつくば店内

2回、3回と続けたい

31日の表彰式で、本推しコンテスト開催のきっかけをつくった伊東店長は「本来ライバルである書店が、読書の楽しさを子供たちに広げようと力を合わせた。大人である私たちも本の魅力を改めて感じることができた。1回限りでなく2回、3回と続けていきたい」と話した。

表彰式には作家の新川帆立さんも出席し、優秀賞を受賞した5人と対談会を開催した。「作家は自分を出版社に売り込んだりするのか」との中高生の質問に新川さんは「作家は出版社に売り込んだりはしないが、新人賞をとるなどデビューした後から人としゃべらないと仕事がもらえない。編集者はほめるのは5%、ダメ出しが95%なので、いちいち傷つかないで仕事をするのが大事」だなどと答え、「創作する際、ストーリーが先かキャラクターが先か」の質問には「ストーリーが先。何となくこういう話にしようと決めてその後キャラクターをつくる。『元彼の遺言状』のキャラクターは『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ。当時(贈り物に対してお返しをする義務について書かれた)モースの『贈与論』を読んでいた。あまりにも大きすぎる恩を受けるのは人間にとって負担が大きいので、多額のお金をもらっても負担に思わない人物を主人公にした。自分に近いキャラクターだと自分の延長で楽しくない。自分と違うキャラクターにして追体験する方が楽しい」などと答えた。「アイデアや振り方をどう考えるのか」という質問には「日頃、面白いことがあったらメモっておいたり、SNSに面白い言い回しがあったらスクショするなど、具体的なエピソードを日ごろから集めている」などと答えていた。(鈴木宏子)

優秀賞を受賞した中高生らと対談する作家の新川帆立さん(右から4人目)

アストロプラネッツ3連勝 つくばで福島と対戦

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5回裏、新太郎の三塁打で生還する二走の北川(撮影/高橋浩一)

残り5試合で東地区3位

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは30日、つくば市流星台のさくら運動公園野球場で福島レッドホープスと戦い、6-4で勝利した。茨城はこれで3連勝。通算成績は25勝27敗1分で東地区3位。今季は残り5試合で、2位栃木および4位福島との勝差はともに4.5なので、このまま順位が確定しそうな様相だ。

【ルートインBCリーグ2025公式戦】8月30日、さくら運動公園野球場
茨城アストロプラネッツ-福島レッドホープス
福島 00100012 4
茨城 0100230X 6
(球場規定により8回で試合終了)

先手を取った茨城が終始優位に試合を進めた。「先発の三浦遼大がしっかりゲームを作ってくれた。相手もエース級の藤田涼太郎を立ててきて投手戦が予想されたが、先に点を取れたことが勝利につながった」と巽真吾監督。

茨城の先発、三浦

茨城は2回裏、先頭の5番・草場悠がバントヒットで出塁、暴投と6番・原海聖の外野フライで1死三塁とし、7番・佐藤大和は一塁への内野ゴロ。「打ったのはアウトコース低めのツーシーム。芯を外してボテボテのゴロになったが、いいところに飛んでくれた」と佐藤。この打球を一塁手が弾き、投手のカバーリングがもたつく間に草場が先制のホームを踏んだ。

2回裏茨城1死三塁、佐藤の先制打

3回表はチャンスの後のピンチ。福島に2連打を許し1死一・二塁とされた後、三浦は3番打者をカーブで空振り三振に取り、4番打者には中前適時打を浴び同点とされるも、5番打者のバットをへし折る三ゴロでこの回を終わらせた。「(5番打者には)ファールで粘られたが、外角へ意識を向けさせた後、内角へのストレートで詰まらせることができた。ずるずる行かずに切り抜けられてほっとした」との振り返り。三浦はこの後6回まで投げ、3イニングをいずれも三者凡退で締めている。

3回表福島2死一・二塁、中前への適時打で同点とされる。捕手・草場

福島の先発・藤田は4回ごろから球が荒れだし、茨城のチャンスが広がった。5回裏に2点を追加。先頭の9番・北川柊が右中間を破り無死二塁、1番・新太郎が左越え三塁打でまずは1点、2番・高田龍が左翼への犠牲フライでもう1点という内訳。また6回にも敵失や交代投手の暴投などで3点を加え、大勢を決した。

5回裏茨城無死二塁、新太郎が勝ち越しの適時三塁打を左翼へ放つ

5回裏の適時三塁打でMVPに輝いた新太郎は、前の試合でも三塁打を放っており、最近は1番打者ながら長打でチームに貢献している印象だ。「しっかり振ることを意識し、その結果としての外野オーバー。うまく行けばホームランも狙いたい」と目論む。また盗塁数では30の大台に乗せ、現在リーグ2位の成績。「警戒されている中で思い切ってスタートを切り、こちらも1つでも伸ばしていきたい」と話す。

この日のヒーロー。(左から)新太郎、佐藤、高田

今季の茨城は、4月6日の栃木戦から5月4日の栃木戦まで公式戦7連敗と出足でつまずいたが、6月8日の山梨戦から7月5日の埼玉武蔵戦まで1引き分けを挟んで8連勝というチーム新記録も樹立し、浮き沈みが大きいシーズンだった。「いま最終盤に来て、再びいい形で上がってきている。リーグ戦の残り試合はもちろん、BCリーグ選抜とNPB(日本プロ野球)2軍チームの交流戦も控えている。最後の1日まで気を抜かず野球に取り組んでほしい」と、巽監督はNPBを夢見る選手たちに最後の発破をかける。(池田充雄)

試合終了、勝利のタッチを交わす茨城ナイン

谷川俊太郎をしのぶ つくばでつながった縁きっかけ

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イベントを主催する野口修さん(右)と、コンサート会場でライブペインティグを行うnatunatunaさん=つくば市民ギャラリー

29日から写真展とコンサート

昨年11月に亡くなった詩人・谷川俊太郎さんを追悼する連続企画がつくば市で始まった。29日からつくば市民ギャラリー(同市吾妻)で、谷川さんの詩と写真家 松本美枝子さんの写真による写真詩集「生きる」の写真展が9月4日まで開かれる。9月19日には、谷川さんと多数の作品を生み出してきたフォークシンガー 小室等さんによるコンサート「小室等 谷川俊太郎を歌う『いま生きているということ』」が、つくばカピオホール(同市竹園)で開かれる。演奏は、谷川さんの長男でピアニストの谷川賢作さん、バイオリニストの太田惠資さん、歌手のこむろゆいさん、ドラマーの河野俊二さんら。

主催するのは、1979年から2000年まで同市天久保にあった多目的ライブハウス「クリエイティブハウスAkuAku(アクアク)」を運営した野口修さん(69)らによる実行委員会。アクアクでは1980年代、つくばエキスポセンター・プラネタリウムを使用して谷川さんの作品を上映するなど、3度にわたり市内で谷川さんとイベントを開催してきた。

野口さんは谷川さんの印象について「できるだけ平易に、多くの人に伝えられる言葉を使い、人の人生に関わる言葉を投げかける方だった。アクアクの若いスタッフと交流する際も、ごく普通のたたずまいに優しさを感じた」と語る。

今回写真展を開く松本さんは、2008年に谷川さんとともに写真詩集『生きる』を刊行した。写真展では、写真集のページをめくるように、写真と詩を交互に展示する。現在、茨城県を拠点に国内外で活躍する松本さんが初めて個展を開いたのも、アクアクだった。

写真展では、谷川俊太郎さんの詩と松本美枝子さんの写真が交互に並ぶ=つくば市民ギャラリー

小室等さんは1978年、谷川さんとの共作アルバム「プロテストソング」を発表。その後も谷川さんの詩を歌い続け、亡くなった後も作品を歌い継ぐ活動を行っている。市内の県立並木中等教育学校(旧・県立並木高校)の校歌も、谷川さんと小室さんによるものだ。

私たちの中で詩が生きている

一連の企画について野口さんは「追悼的な企画をやらないといけないと思っていた」とし、昨年12月、谷川さんの逝去直後に都内で開かれた小室さんらのコンサートに参加した際、出演者にオファーしたことがきっかけとなったと語る。

野口さんは「谷川さんが亡くなってから、SNSなどで俊太郎さんの詩が多く共有された。亡くなっても、私たちの中で常に詩が生きていると感じた。俊太郎さんは『詩はむしろ詩作品と読者との関係に潜んでいるはず』とも語っていた。イベントの主催者側の企画意図ではなく、作品を見たり聞いたりすることで感じるものが、来場者の中に残ってくれたらいい。多くの方に俊太郎さんの言葉に出合っていただければ」と思いを語った。コンサート会場では、演奏される曲と谷川さんの詩をもとに、つくば市在住の「絵描き」natunatuna(なつなつな)さんによる即興ライブペイントも披露される。(柴田大輔)

◆谷川俊太郎×松本美枝子写真詩集「生きる」写真展は、つくば市吾妻2-7-5、中央公園レストハウス内 つくば市民ギャラリーで、8月29日(金)~9月4日(木)まで開催。開館時間は午前10時~午後4時30分(最終日は午後3時まで)。会期中の8月30日(土)午後2時から松本美枝子さんによるアーティストトーク、31日(日)午後2時から自由参加の朗読会が開催される。いずれも入場無料。

◆コンサート「小室等 谷川俊太郎を歌う『いま生きているということ』」は、つくば市竹園1-10-1、つくばカピオホールで、9月19日(金)午後7時から。入場は一般5000円、学生・障害者4000円。イベントのホームページはこちら

総合病院の病理科の仕事とは?《メディカル知恵袋》12

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筑波メディカルセンター病院

【コラム・内田温】総合病院の病理科は、患者さんはもちろん、多くの医療従事者にとってもあまりなじみのない部門です。しかし、医療の根幹を支える重要な役割を果たしています。今回は、そんな病理科についてご紹介します。

主な業務

病理科の主な仕事は、「病気を肉眼および顕微鏡で診断すること」です。たとえば、胃や大腸、乳腺などから小さく採取された組織(生検検体)を観察し、悪性かどうかなどを判定する「生検組織診断」、手術で摘出された臓器や腫瘍の診断を行う「手術検体組織診断」があります。

さらに、手術中に腫瘍の良悪性や切除断端の状況などを判断するため、臨床検査技師が作製した凍結切片から病理医が短時間で診断を下す「術中迅速診断」も重要な業務です。

近年では「がんゲノム医療」においても、遺伝子変異の有無やバイオマーカーの評価を通じて、患者さん一人ひとりに最適な治療法を選ぶ手助けをしています。

病理医は希少種

このように重要な役割を果たす病理医ですが、全国的に非常に数が少ないのが現状です。日本全国の病理専門医は2800人弱と、全医師数の1%にも満たない「希少種」と言える存在です。

当院では幸いなことに3名の常勤病理専門医を擁しており、正確で信頼性のある病理診断を提供するため、すべての症例において原則2名以上の病理医が協力して診断を行うダブルチェック体制を構築しています。

臨床検査技師

病理診断を支えてくれている、大切な存在が病理検査室の臨床検査技師です。病理診断のためには、提出された検体から適切な標本を作製する高度な技術が必須であり、このプロセスを担うのが臨床検査技師です。彼らがいなければ、病理医は診断業務を遂行することができません。まさに信頼すべきパートナーであり、常に尊敬と感謝の気持ちを持って一緒に仕事をしています。

病理診断とAI

昨今では、さまざまな分野でAI(人工知能)の活用が進んでいますが、病理診断の分野でも以前からAI技術に関する多数の研究が行われてきました。

有名な研究としては、乳癌リンパ節転移の検出精度を競う国際的なコンペティションにおいて、AIが病理医と同等かそれ以上の診断精度を示した報告があります(Bejnordi et al., JAMA, 2017)。また、胃生検の病理診断支援AIについて、全国10施設の画像を用いた検証で約95%の一致率を記録した日本の研究もあります(Abe et al., Cancer Sci, 2022)。

AIが病理医の仕事を奪うのではないかという懸念もありますが、私個人としては、そのような事態は今後数十年(少なくとも私が現役でいる間)は訪れないと考えています。AIは病理医の「置き換え」ではなく、「診断を補助するための優秀な道具」として、診断の効率化や業務のストレス軽減に貢献してくれるものと期待しています。

なお、当院では現在のところAIシステム導入の予定はなく、リンパ節転移個数測定やバイオマーカー陽性率算出などを含め、地道な業務を当面今まで通り行っていく方針です。

縁の下の力持ち

病理科は表に出ることの少ない「縁の下の力持ち」ですが、診療の根幹を支える極めて重要な存在です。患者さんやご家族の安心、そして正確な治療につながる診断のために、私たちは日々努力を重ねています。このコラムが、病理科について少しでも理解を深めるきっかけとなれば幸いです。(筑波メディカルセンター 病理科 医師)

塚本一也氏第一声 全文文字起こし 県議補選つくば市区

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塚本一也氏=29日、つくば市花畑

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皆様お疲れ様でございます。

今、ウグイスの方からご紹介いただきました、塚本一也でございます。

暑い中、今日は皆さんお集まりいただきましてありがとうございます。

明日が出陣式になりますが、出発に際してですね、一言、皆様にごあいさつを申し上げたいというふうに思います。

3年前ですね、せっかく皆さんにですね、いただいた議席を失ってしまうことになりましてですね、大変申し訳ございません。その後ですね、私も喪中ということもあって、一時、政治活動生活を控えていた時期がございました。

しかしですね、昨年のトリプル選挙、衆議院議員選挙と、つくばでは市議会議員選挙、市長選挙とがございました。その市議会議員の選挙ですね、私どもの従兄弟にあたります、塚本洋二に対してですね、多大なるご支援をいただいてですね、非常に多くの票もいただきました。これはやはり、私ども塚本一族に対する、塚本一族と言ったらちょっと語弊がございますけれども、塚本の政治姿勢に対する期待の現れだというふうに私も受け止めました。もう一度ですね、機会があれば政治に挑んでみようという思いがついたのはその辺でございます。

トリプル選挙においてですね、市長選に出た星田(弘司)先生がですね、私ども地元の先輩議員として星田先生を応援したんですが、あのような結果になって、その後、星田先生とですね、いろいろなお話をさせていただきました。つくばの市政の問題、あるいは県政の将来について。その中でですね、星田先生から、「自分はこれから市の先頭を目指して活動するので県議会には戻らない。塚本さん、遠慮しなくていいよ」というようなことを言っていただきました。

大変ありがたいお言葉でございました。私も何回も落ちておりますが、そんな機会をいただいて、そして、洋ニに対する期待も後押しして、せっかくのこのつくばの代表者として県政に戻るチャンスがあればという思いで、今日に至ったわけでございます。

いろいろとですね、このつくばは発展はしておりますが、発展の中でもですね、いろいろな問題がまだまだございます。そしてつくばの歴史においては、やはり県が強力なサポートをして導いてきたからこその、今日のつくばがあるという風に、私は思っております。

ですから、市と県と国と、この3者が手をつないで、スクラムを組んでこのつくばを発展させることが国の発展につながるということでございますので、私ももう一度その一端を担えるように、今回出馬を決意して、そして、県政の復帰を目指すところでございます。

非常に厳しい選挙ではありますが、何としてでも勝ち抜いて、そして皆様の期待に応えられるような働きをしていきたいというふうに思っています。今日から9日間の選挙戦になります。これから出発をいたしますが、3年前の忘れ物を取りに行ってきます。どうぞ応援よろしくお願いいたします。

山中たい子氏第一声 全文文字起こし 県議補選つくば市区

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山中たい子氏=29日、つくば駅前

➡音声はこちら

お集まりいただいた皆さん、そして駅ご利用の皆さん、こんにちは。

県会議員補欠選挙に立候補いたしました、私、山中たい子でございます。

9月7日の投票は知事選挙と一緒になります。知事選挙では田中重博さんを日本共産党として推薦をしております。ぜひ私と、そして田中重博さんを何としても押し上げてください。まず初めにお願いを申し上げます。

選挙は自民党候補との一騎打ちとなっております。前回失った議席を取り戻すとともに、先ほど江尻県議がお話しいただいたように、県議会での日本共産党の複数議席を何としても回復させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

参議院選挙では裏金問題に反省のない政権与党が過半数割れとなりました。自民党政治に、明確にノーの審判が下されたわけです。そういう下で今回の選挙が戦われております。

知事選挙は自民党が応援する大井川知事、そして、私たち日本共産党を含む多くの政党、団体、個人の皆さんが応援する「いのち輝くいばらきの会」の田中重博さんとの事実上の一騎打ちとなっております。皆さんどちらを選べば私たちの暮らしの願いが届くのか、これはもう言うまでもありません。

田中重博さんは茨城大学で教べんを取られた、地方自治、そして地方財政の専門家です。人権と民主主義、地方自治、憲法を何より大事にして、人権や差別を、人権を守り、差別を許さない、一人一人の、人権、生き方を支えようと、それが田中重博さんです。

無駄な大型開発を止めて、税金の使い方を抜本的に見直していく、こう約束をしています。皆さん、これだけ聞けば、田中重博さんが願います、私は、強く強く田中重博さんを応援しています。どうぞよろしくお願いを申し上げます。田中さんを何としても知事に押し上げていただきたいと思います。

大井川知事は、皆さん、常陸那珂港建設や霞ケ浦導水事業、那珂川と霞ケ浦を43キロ地下トンネルで結んで水をやりとりする、こういう無駄な大型開発事業、莫大な予算をつぎ込んでおります。そしてさらにグローバルな大企業、この茨城に、これまでの2倍の100億円もの補助を市場重視のために予算化しております。そして皆さん、パワハラ、独断専行、トップダウンのワンマン県政です。職員の声も聞かない。皆さん、自民党の議席に、3分の2を持つ県議会に支えられている。本当に無茶振りがひどすぎます。

皆さん、こういう大井川知事、盛んに継続、継続と言っています。私はもう、継続はノーと、そして、田中重博さん、子どもたちの未来と私たちの明日を託したいと、そのためにも田中重博さんを知事に、そして私、山中たい子を県議会へと押し上げてください。どうぞよろしくお願いいたします。

皆さん、この間、大井川知事は、大規模な公共事業に税金を使う一方で、福祉や医療、全国最低クラス。この間、私、どこに行ってもお話するのが保健所問題。それは最近またコロナが増えてきているからです。この感染症対策になるのが保健所。選択と集中の名で、コロナの直前でしたけれども、12カ所から9カ所に減らす。こういうことが行われました。保健師さんの数38番目。看護師さんの数43番目。暮らしと関わる様々な指標が全国最低クラスという状況になっています。皆さんこれらを飛躍的に改善させるためには知事を変える。そして同時に、この田中知事の下で働く県議を増やすということではないでしょうか。

皆さん、私は4期16年間、自民党県政と対決をしてまいりました。そして様々な市民の皆さんと運動に取り組み、その実現のために力を合わせて県政を動かしてまいりました。もう18年前になるんですけれども、つくば特別支援学校はまさに、市民の皆さんと力を合わせてつくった特別支援学校、今では大規模になり過ぎて、これを分離してほしい、こういう声も大きく広がっているところです。私はこうしたことにもぜひ取り組んでいきたいというふうに思っております。

皆さん、私はこれからも力を合わせて、皆さんの願いを真っ直ぐ届けるために働いてまいります。何としても県議会へと申し上げてください。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

皆さん、そして何としても暮らしが大変なわけです。世論調査でも、消費税の減税、廃止を求める声は7割を超えています。いつでも誰でも何でも5%減税、一世帯で年間12万円になります。そうすればインボイスもいらなくなります。皆さん、家計も助かる、そして業者の人も助かる。この消費税減税、廃止の声、そしてインボイス廃止。この声をつくばから大きく上げていこうではありませんか。そのためにも、私、山中たい子を県議会へと押し上げてください。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

また緊急の物価対策として、東京都のように、県として水道料金を引き下げる、つくばでは下水道料金も来年4月から上げようとしておりますから、皆さんと一緒に、こうした暮らしに関わる負担を軽減する。さらには高過ぎる国保税、見直しの度に引き上げられている介護保険料、後期高齢者医療保険料、これも来年4月見直しの時期です。皆さんと力を合わせて引き下げを求めていきたいと思います。

皆さん、そして県立高校問題。大変重要な問題になっています。15の春を泣かせない。そのためにも今、つくば市に住む大人の責任で、そして、沿線開発を進めてきた国や県の責任で、この高校問題、解決しなければならないと思っております。粘り強い市民運動の中で着実に身を結んでいるのが、この問題です。県政を確実に動かしております。筑波高校に進学コース。牛久栄進高校には1クラス増やす、また谷田部にあるつくばサイエンス高校には普通科を3クラスつくると。しかしまだまだ足りないというのが多くの皆さんの率直な声であり、運動団体、市民団体の皆さんと引き続き、幅広い、党派を超えた運動でこれを何としても実現したいと思います。

皆さん、そして学校給食の無償化。今、県内半数の自治体で無償化、実現しています。住民運動に応えた市町村の努力で行われております。しかし、これまた東京都のように、県段階を動かして、そうすれば全市町村で実施することができます。2歳までの子どもの保育料、そして子どもの国保税均等割、負担ゼロなど子育てにかかる負担の軽減、これは県予算のわずか1%で実現することができます。皆さんご一緒に実現しようではありませんか。そのためにも私、山中たい子に議席を与えてください。よろしくお願いいたします。

皆さんそして、なんと言っても東海第2原発、再稼働をストップさせなければなりません。私は14年前の原発事故避難者の方から、今すぐ近くにもそういう方がたくさん住んでおられます、ふるさとに帰りたくても帰れない。その苦しみは本当に推し量ることができません。皆さん、再びこんなひどい原発事故を起こさせないためにも、再稼働をストップさせる、古くて危険な東海第2原発再稼働ストップ、党派を超えてこの声を大きく広げようではありませんか。どうぞよろしくお願いいたします。

皆さん、今年は戦後80年。私の父は、福島に生まれ、沖縄戦に参加をして、命からがら帰り、私たち6人に命がつながりました。皆さん、日本共産党は、党をつくって103年。侵略戦争に命がけで反対をし、一切の差別も暴力も許さない。そして、平和のために戦い続けている、そうです、皆さん、この日本共産党だからこそ、企業や団体の献金も受け取らない。だからこそ、皆さんの願いにまっすぐ応えることができるわけです。そのために働くことができるわけです。どうぞよろしくお願いいたします。

皆さん、選挙は自民党中心の県政、このまま続けていいのか、そのことが問われております。大井川県政から、安心して生き続けられる県政をつくるためにも、知事は田中重博さん、そして県議補選では、私、山中たい子を議会へと押し上げてください。どうぞよろしくお願いいたします。

一週間お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

元職2氏が届け出、一騎打ちに 県議補選つくば市区告示

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候補者の第一声を聞く支持者ら

知事選と同日の9月7日投開票で行われる県議補選が29日告示され、つくば市区(欠員1)にはいずれも元職で県議4期を務めた党県常任委員の山中たい子氏(74)=共産=と、県議一期を務めたタクシー会社社長の塚本一也氏(60)=自民=が立候補を届け出て、元職同士の一騎打ちになった。投票は9月7日午前7時から午後7時まで市内76カ所で行われ、即日開票される。有権者数は20万1700人(28日時点)。

皆さんの願いにまっすぐ応える 山中氏

山中たい子氏=29日、つくば駅前

山中氏は、午前10時からつくば駅前で第一声。共産党の江尻加那県議が水戸から駆け付け「山中たい子さんを再び県議会に戻していただきたい。どんな問題でも、市民の願いがそこにある限り、実現するまで決して諦めず繰り返し何度も議会で質問をぶつける、それが山中たい子さん」などと話した。山中氏は「今回の選挙は自民党中心の県政をこのまま続けていいのかが問われている。大井川知事は大規模な公共事業に税金を使う一方で、福祉や医療は全国最低クラス。これらを改善させるためには知事を変え(候補者の)田中重博知事と働く県議を増やすこと」などと訴えた。さらに「今年は戦後80年。私の父は沖縄戦から命からがら帰った。共産党は党をつくって103年。侵略戦争に命がけで反対し、一切の差別も暴力も許さず平和のために戦い続けている。共産党だからこそ皆さんの願いにまっすぐ応えることができる」と支持を求めた。

山中たい子 74 政党役員 共産 元④
【公約】①国保税、介護保険料、後期高齢者医療保険料の引き下げ②児童生徒数増に見合う県立高校新設とクラス増設を進める③危険な東海第2原発の再稼働をストップし廃炉に
【略歴】福島県小野町出身、日本大学Ⅱ部法学部新聞学科卒。千葉県商工団体連絡会に勤務。つくば市に転居後、1984年から旧桜村議・つくば市議を4期を務め、2003年から県議を4期。前回2022年12月の県議選は次点。現在、共産党県常任委員など歴任

市と県と国がスクラム組み発展を 塚本氏

塚本一也氏=つくば市花畑

塚本氏は、午前10時から同市花畑の選挙事務所で第一声。出馬の動機として、昨年行われた衆院選、つくば市長選、市議選のトリプル選挙の際に、市議選に当選した従兄弟の塚本洋二氏のトップ当選を挙げながら「塚本(家)の政治姿勢に対する期待の表れと受け止め、もう一度政治に挑んでみようと思った」とするとともに、昨年の市長選に出馬し県議を失職した星田弘司氏から「遠慮しなくていい」との声掛けもあったとし、「私も何回も落ちておりますが、せっかくのこのつくばの代表者として県政に戻るチャンスがあればという思いで、今日に至った」と述べた。また、「つくばの歴史において、県が強力にサポートし導いてきたからこその今日のつくばがある。市と県と国の3者が手をつなぎ、スクラムを組んでつくばを発展させることが、国の発展につながる。もう一度、その一端を担いたい」と支持を訴えた。

塚本一也 60 タクシー会社社長 自民 元①
【公約】①国や県との連携を重視する中でつくばの成長産業の育成②TX沿線No.1の教育環境の実現③高齢者、障がい者、育児家庭が暮らしやすい社会の構築など
【略歴】つくば市出身。県立土浦一高、東北大学工学部建築学科を卒業後、筑波大学大学院環境科学研究科修了。1991年にJR東日本に入社し、2006年に大曽根タクシー社長に就任。18年から県議一期を務めた。現在は同社社長のほか、茨城県ハイヤー・タクシー協会会長などを務める。

(柴田大輔、鈴木宏子)

元職同士の一騎打ちか あす告示 県議補選つくば市区

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知事選と県議補選のポスター掲示板=つくば市吾妻、中央公園前

知事選と同日の9月7日投開票で行われる県議補選があす29日、告示される。つくば市区(欠員1)には、いずれも元職で自民党公認の塚本一也氏(60)と、共産党公認の山中たい子氏(74)が立候補を表明しており、元職同士の一騎打ちになりそうだ。同市区の有権者数は20万538人(6月2日現在)。

塚本氏

橋渡し担いつくば市をけん引 塚本氏

塚本氏は「つくば市を力強くけん引する県政を」をスローガンに掲げる。「県が主導し仲介することで、国や世界的な企業を誘致できる。県とつくばの橋渡しの役目を担う」とし、①国や県との連携を重視する中でつくばの成長産業の育成②TX沿線ナンバー1の教育環境の実現③高齢者、障がい者、育児家庭が暮らしやすい社会の構築など7つの政策を掲げる。

これまで自身の政策を記したリーフレットを市内全域に2度ポスティングなどで配布し、市内各所でのあいさつや街頭演説、SNSや動画共有サイトへのメッセージ動画配信を重ねる。「堂々と論陣を張り、有権者の判断を仰ぎたい」と語る。出陣式は30日午後2時から同市小野崎のホテル東雲で、支持者を集めて開催する。

山中氏

政治変え切実な声が届く県政に 山中氏

山中氏は「県議会にこれ以上自民党の議席を増やしても県民の暮らし向上にはつながらない。共産県議の議席復活こそ県政への厳しいチェックにつながる」などと訴え、「自民党政治を変えて願いかなういばらきに」をスローガンに掲げる。①国保・介護・後期高齢者医療保険料引き下げ②県立高校新設・クラス増設➂学校給食無償化・地場産品活用のほか、東海第2原発の廃炉などを訴える。

これまで市内70カ所以上で街頭演説をしてきたほか、知事選に無所属で立候補している田中重博氏のつくば市での街頭演説や個人演説会でもあいさつする。29日は午前10時からつくば駅前で第一声、同日午後4時30分から同党の岩渕友参院議員と大清水公園前で街頭演説をする。

「つくば市1市が水戸・日立エリアに匹敵、改善を」 2038年の中学卒業見込数

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県高校審議会宛ての要望書を手渡すつくば市の小中学生の高校進学を考える会の片岡英明代表(左)

市民団体が高校審議会に要望書

2027年度以降の県立高校の統合や学科の再編など高校教育改革の方向性を検討する「県高校審議会」(委員長・笹島律夫常陽銀行会長)が7月29日にスタートしたのを受けて、つくば市やTX沿線に県立高校の学級増や新設を求めている市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は26日、同審議会の笹島委員長と同専門部会の中村麻子部会長(茨城大副学長)などに、つくばエリアの子供増に見合った県立高校の学級増の答申を出すなど改善を行うよう求める要望書を出した。

同審議会は県教育委員長(柳橋常喜委員長)の諮問機関で、2027年度以降の県立高校の適正配置や適正規模、学校や学科の魅力づくりなどについて審議する。今年12月に答申を出す予定で、県教育委員会は答申に基づいて2027~33年度の次期県立高校改革プランを策定する。

人口増加が続くつくば市やTX沿線地域の生徒数の見通しについて、県教育庁が7月29日に同審議会に示したエリア別中学校卒業者見込み数によると、2038年3月の中学卒業者見込みは、県全体では1万7826人と今年3月の2万5192人より7366人(29%)減少するのに対し、つくば市の2038年3月の中学卒業見込み数は3392人と、すでに県立高校不足が問題になっている今年3月の2652人よりさらに740人(28%)増える。今後も児童生徒数の増加が続くつくば市1市のみの2038年の3392人は、今後児童生徒数が減少する「県北臨海エリア」(日立市など3市)と「水戸近郊エリア」(水戸市など4市)の2038年3月の中学卒業見込み数を合わせた3429人に匹敵すると推計されている。

考える会の片岡代表は「県が高校審議会に出した資料で、2038年のつくば市1市の中学卒業見込み者数が、水戸近郊エリア(水戸市など)と県北臨海エリ(日立市など)の卒業見込み者数の合計に匹敵することが推計されている。水戸と日立の2つのエリアには全日制の県立高校が合わせて18校103学級ある。これまで改善してこなかったツケが、県の資料からも明らかになっている」と指摘し、つくばエリアの県立高校を県平均水準に改善することなどを改めて要望した。

26日要望書を受け取った、県教育庁高校教育改革推進室の片見徳太郎室長は「要望書はお預かりしたので、きちんと委員長と専門部会会長、専門部会の委員の方々にお渡ししたい」と述べるにとどまった。(鈴木宏子)

➡県高校審議会に出された児童生徒数の推計資料はこちら

阿見町に残る旧軍の掩体壕《日本一の湖のほとりにある街の話》34

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】阿見町の、陸上自衛隊霞ケ浦駐屯地前を横切る県道203号線から、少しそれた道沿い。通りを進んでいると、不思議な存在感を放つコンクリートの量塊(りょうかい)がチラと視界の隅に入ります。これは、戦時中に軍用機を隠すためのシェルターとして、各地の基地周辺に建造された「掩体壕(えんたいごう)」という戦争遺跡。

戦時中、霞ケ浦周辺には阿見町だけでも21基の壕が存在していたそうですが、現在では鹿嶋市の「桜花公園」のほか、阿見町のこの1基のみとなっています。今回は、町指定文化財ともなっているこの「霞ケ浦海軍航空隊有蓋(ゆうがい)掩体壕」について、同町生涯学習課の鯉沼さんにご案内いただきました。

終戦後、民間に払い下げられた壕は、そのほとんどが終戦後の鉄不足を背景として、中の鉄筋を取り出すために解体されたと言います。間近で見る壕は、軍事施設だけあって、すでに建造から80年以上を経ているにもかかわらず、重厚そのもの。一部露出している鉄筋を見ると、今日の住宅などに使用されるものより明らかに太く、なるほど、1基から取り出せる鉄筋の量は相当なものでしょう。

一時はピアノ練習教室に利用

今残っているこの壕の最初の所有者である山本さん(仮名)は、内部を人が住めるように整え、住まいとして大切に扱ったのだそうです。その後、家族の変遷とともに用途は移り変わり、ある時は物置に、またある時はピアノ教室として用いられたこともあったのだとか。

山本さんは、掩体壕を「家の歴史そのもの」として強い愛着を持っており、保存に熱心に取り組まれました。その熱意は、当地の戦時中の歴史を伝えるものとして実を結び、町の文化財の指定を受けることとなったのだそうです。

現在、再び倉庫として使用されている壕の前には、まぶしい日差しをうけ、夏野菜が青々とした葉を茂らせていました。終戦の日を思わせるような青い夏空の下、戦争の中をたくましく生き抜いてきた市井の人々の歴史に、静かに思いをはせる取材となりました。(土浦市職員)

<注> 本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。今回の史跡は民地内にあるため、一般の見学はできません。

<参考> これまで紹介した場所はこちら

8月の平和事業 水戸、土浦、つくばを比較【水戸っぽの眼】4

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今年のまつりつくば(筆者撮影)

【コラム・沼田誠】かつて水戸市役所で平和事業を担当していたことがあります。当時は、水戸空襲など戦争を体験した語り部と若者をつなげる「ぴ〜すプロジェクト」、平和作文コンクール、折り鶴プロジェクトを組み合わせた小中学生平和大使の広島派遣、さらに平和記念館を拠点とした展示・資料保存を三本柱に据えた、市民参加型の事業を展開していました。現在も、基本的にはこの枠組みで続いています。

しかし、担当していた際、「平和事業が8月の定番行事になってしまっていて、参加者が受け身になっていないか」「高齢化する語り部に依存し続けてよいのか」という疑問を抱いていました。参考になる事例を調べる中で、アウシュビッツでは現在ガイドに直接の体験者はいないこと、唯一の日本人ガイドを務める中谷剛さんが、過去の悲劇を現代社会に引き寄せて考えるべき、と主張されていることを知り、こうした企画ができないか、上司とも議論していました。

その後転職してしまったので、私の手でこのような企画を実現することはできませんでした。しかし、少しずつ平和をどう伝え、主体的に考えていくのか、ということについて、水戸市役所内で議論が進んでいることを感じています。8月26日に戦場カメラマンの渡部陽一さんの講演が水戸で企画されているのはその一例でしょう。

隣接する土浦市でも、市民団体が主導する「原爆と人間展」や講演会を行政と協力して展開し、若い世代を巻き込んでいると聞きます。土浦市立博物館が発行する「戦争の記憶マップ」も手元にありますが、戦争について学ぶ教材としてとても優れていると思います。

つくばは規模も内容も控えめ

では、つくば市の平和への取り組みはどうでしょうか。

五十嵐市長は8月15日のFacebookで「今日8月15日は平和の尊さをあらためて心に刻む日です」と訴え、市内中学生を「青少年ピースフォーラム」へ派遣していることを紹介しながら、「核武装が安上がり」といった議論を批判し、「歴史に学び、未来への責任をもって共有」すべき、と強調されています。

その姿勢は、戦災の有無を超えて平和であることを軽視しないという強い意思を示していると思います。

一方、つくば市として行う平和事業は、青少年ピースフォーラムの派遣やパネル展にとどまり、水戸市や土浦市と比べ、規模も内容も控えめに映ります。これは、地域の中で戦争中に直接大きな被害を受けなかった、という歴史的事情が影響しているのかもしれません。しかし、同時に、「科学のまち」として多様な外国人が暮らし、国際的な課題と接点を持つ都市だからこそ、慰霊や回顧にとどまらない、独自の立ち位置での平和に向けての発信ができるのではないでしょうか。

つくば市の可能性のひとつとして、五十嵐市長の発信が単なる追悼の言葉に終わらず、未来志向の取り組みへと発展していくことを期待したいと思います。(元水戸市みとの魅力発信課長)

ビューティフルネーム《短いおはなし》42

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イラストは筆者

【ノベル・伊東葎花】

敬老の日に、嫁が食事に誘ってくれたの。
孫たちに会うのは久しぶりよ。楽しみだわ。

「お義母さん、いらっしゃい」

「今日はお招きありがとね」

「わーい、おばあちゃんだ」

「おばあちゃん、こんにちは」

「まあまあ、孫たちも大きくなって」

孫は全部で5人いるの。
高校生を筆頭に、一番下はまだ3歳。
みんなかわいいわ。
だけどねぇ、年のせいかしら。名前がなかなか覚えられないのよね。

「ええ~と、一番上のあなたは確か、月ちゃんだったかしら」

「違うよ、おばあちゃん。わたしは月の姫と書いて、月姫(かぐや)だよ」

「ああ、そうだった。かぐやちゃんね。2番目のあなたは、大ちゃんだったかしら」

「違うよ、おばあちゃん。僕は大きい河と書いて、大河(ナイル)だよ」

「あ、ああ、ナイルくんね。3番目のあなたは、真くんよね」

「違うよ、おばあちゃん。僕は真珠の星と書いて、真珠星(スピカ)だよ」

「あ、ス、スピカくん…。そうだったわ。4番目のあなたは、鈴ちゃんだったかしら」

「違うよ、おばあちゃん。わたしは鈴の音と書いて、鈴音(べる)だよ」

「ああ、そうそう、べるちゃんね…。え~っと、一番下の子は?」

嫁の後ろから、可愛らしい女の子が顔を出した。

「お義母さん、すみません。この子、人見知りで」

「会うのは初めてだもの。仕方ないわ。それで、名前は、雪ちゃんだったかしら」

「違いますよ、お義母さん。この子は雪の女王と書いて、雪女王(エルサ)です」

「ああ…エルサちゃんね。ああ、もう、みんな難しい名前で覚えられないわ」

「ねえ、おばあちゃんの名前は何ていうの?」

「おばあちゃんの名前は簡単よ。だってひらがなだもの」

「ふうん。じゃあ、紙に書いて」

孫たちが持ってきた紙に、私は大きく名前を書いた。

「ほら、これがおばあちゃんの名前よ」

『ゑゐ』

「え? 何、この字?」

「ひらがな?」

「何て読むの?」

「ゑゐと書いて、ゑゐ(えい)よ」

「えええ~、おばあちゃんの名前がいちばんスゴイ!」

「おばあちゃんの名前、すごいキラキラネームだね」

「月姫(かぐや)も大河(ナイル)も真珠星(スピカ)も鈴音(べる)も雪女王(エルサ)も、みんな素敵な名前よ。おばあちゃん、ちゃんと覚えたからね。今度、俳句仲間に自慢するわ」

「おばあちゃんの名前も、カッコいいから学校で自慢するね」

「あらうれしい。長生きはするものね」

こんなに名前をほめられるなんて、親に感謝ね。

 (作家)

TXが開業20年 「多くの方に支えられ成長できた」 

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1日駅長を務めた4人の小学生

24日 秋葉原駅で記念イベント

つくばエクスプレス(TX)は24日、開業20周年を迎えた。TXを運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、渡辺良社長)は同日、東京・TX秋葉原駅で記念イベントと、特別ラッピング列車「ユニール号」(23日付)の出発式を行った。渡辺社長は20周年を迎えた感想を「多くの方に支えられ、成長できた20年間だった」と述べた。

イベント会場では、ユニコーンをモチーフとした新マスコットキャラクター「ユニール」がお披露目され、同社のプロモーションパートナーであるJ1柏レイソルからサッカー日本代表に選出された垣田裕暉選手らが登壇、大勢の鉄道ファンらがステージを囲んだ。

記念イベントでの記念写真。前列中央は首都圏新都市鉄道の渡辺社長

出発式では、約1500人の応募者の中から選ばれた4人の小学生による1日駅長が「出発進行!」と合図。午前11時30分、ユニール号がつくばに向けて出発した。

1日駅長を務めた東京都府中市の光井駿仁さん(7)は、祖父母が暮らす茨城県那珂市を訪ねる際にこれまで5回ほどTXを利用した。今回の応募は、電車が大好きな駿仁さんのことを思った那珂市の祖母が、募集案内を見つけて知らせてくれた。「1500人の中から選ばれてすごくうれしかった。3歳くらいから電車が大好き。TXは形やデザインがかっこいい。出発式では自分たちの合図で『出発進行』した。駅長さんの大変さを知った。夏休みのいい思い出になった。今日のことは日記に書きたい」と笑顔を見せた。

TX秋葉原駅のホームに入るユニール号

「沿線と共に発展させたい」

首都圏新都市鉄道の渡辺社長は今後について「20年、30年先を見据え、沿線の方々と共に鉄道と沿線を共に発展させる中で、安全、安心、サービスの向上を引き続き最優先にしていく」と語った。沿線の人口増加で課題となっているラッシュ時の混雑の対応については「現在進めている車両の8両編成化事業をできるだけ早期に運用開始できるよう取り組む。ホーム延伸化工事の推進に加え、通勤通学時間帯に集中する利用の分散も呼び掛けていきたい」と話した。

インバウンド対策については「海外から観光に来る方にも沿線を楽しんでもらえるようトリップウォーク(ウオーキングイベント)を毎年開催していきたい。改札でのQRカード方式や、クレジットカードのタッチ方式であれば海外の方もそのまま利用できる。対応できるサービスを充実させ、通勤通学を基本にしつつ、土日や日中の利用も促進していきたい」と展望を示した。TX延伸については「交通政策審議会で『秋葉原から東京へ』の位置づけがあるが、整備主体・運営主体は未定。茨城県内の延伸を含めて、現段階でコメントできる立場にない」とした。(柴田大輔)

◆「ユニール号」は、8月24日から2026年3月下旬までの期間で運行し、25日(月)は午前5時台から午後11時台までの間に、上下線で計19本の運行が予定されている。詳細は首都圏新都市鉄道の公式ホームページで確認できる。

➡TX20年の過去記事はこちら(7月31日付6月2日付4月12日付2月26日付1月28日付

“雑草”にも栄枯盛衰はあるのか《文京町便り》43

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土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】猛暑が続いている。線状降水帯の局地的な襲来はあれど、全国的には、継続的な高温、降水量の不足などで、各地のコメ、果樹、農作物の収穫が減り、食料品価格が全般的に値上がりの可能性が出ている。そんな中で一人気を吐いているのが“雑草”である。

植物学者・牧野富太郎博士の言葉「雑草という草はない」を待つまでもなく、この世の一木一草に至るまで生命の神秘が込められているので、地球上のあらゆる生命体には敬意を払わなくてはならないのだが、正直、“雑草”には悩まされる。道路際・駐車場隅の植え込みばかりか、わずかな隙間を突き破って立ち上がってくる生命力・繁殖力には舌を巻く。

拙宅の狭い庭先にも、しっかりと繁茂してくる。表門から玄関先にかけては何とか刈り取るのだが、1時間程度の暑さと屈み込み作業に音を上げて切り上げると、2週間程度で同じような光景が再現する。要するに、きりがないのである。

高温下で雨量が少ないためか、他の庭木はあまり元気がないが、“雑草”だけはお構いなしに繁茂してくる。そこでふと気づいたのだが、いわゆる一般的な庭木や食糧作物(コメ、果樹、農作物)と“雑草”は、氏素性が違うのではないか。

われわれは、植物を一括して天然・自然そのものだと思い込んでしまうが、庭木や食糧作物は人間の活動・生活に適するように手を加えられた植物である。要するに、動物でいえば家畜(牛、馬、豚、鶏など)に似ている。

対して、“雑草”は、そうした人間の活動・生活を活用し潜り抜けて勝手に、したたかに生き延びてきた植物である。したがって、多少の環境・天候変化に対しても、それを物ともせずに生き延びてしまう生命力が、遺伝子に組み込まれているに違いない。より野生に近い生命体である。

道路・交通事情も影響?

改めて、拙宅の“雑草”に目をやると、そこには十年一日のごとく同じタイプの“雑草”も繁茂しているが、10年前とは少し異なるタイプの“雑草”もあるようである。

私にはこうした植物の名称や種別・系統には何の知識のないのだが、こうした意図せざる変化(繁茂・分布の拡大・交流による栄枯盛衰)は、天候・気象条件の変化だけではなく、道路・交通事情によってもたらされている可能性があるのではないか、と愚考する次第である。交通量の激化や交通インフラの充実などが“雑草”の繁茂あるいは栄枯盛衰の、前提条件あるいは促進剤になっているのではないか。

われわれは、至便な交通事情を享受する以上、こうした負の影響(“雑草”の繫茂・栄枯盛衰)も受け止め、対処する必要がありそうである。(専修大学名誉教授)