火曜日, 6月 24, 2025
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道路が陥没 下水道管損傷か 土浦

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市道が陥没した現場に矢板を打ち込む作業員ら=14日午前、土浦市西真鍋町

土浦市西真鍋町で12日朝、市道が長さ3.9メートル、幅3.4メートル、深さ2.5メートルにわたって陥没しているのが確認された。市道路管理課の発表によると、市道に埋まっていた下水道管が損傷した可能性が高いという。

12日午前8時50分ごろ、市道を車で通行した運転手から市に通報があった。現場の市道は14日現在も通行止めになっている。

陥没した道路。市職員が現場到着時の状況(土浦市提供)

陥没した市道に埋設されている下水道管は直径60センチのヒューム管で、地面から4.4メートルの深さに埋まっている。市は下水道管の内部をカメラで撮影するなどして原因を調査している。

さらに陥没箇所が拡大するのを防ぐため、陥没箇所に矢板を打ち込んだり、大型の土のうを設置し仮埋め戻しを実施している。その後、掘削作業を行い、損傷箇所の確認と復旧作業を行うとしている。復旧の時期は未定という。

現場は、水田やハス田が広がり住宅が点在している地域で、近くには保育園もある。陥没箇所は住宅の目の前の市道だった。現場から200メートルほど離れたところに住み、現場近くに草刈りに来た自営業の男性(73)は「ここは長く住んでいる人が多いが、こんなことは初めてでびっくりしている。詳しいことは何も聞いてないので分からないが、近所の人から、軽自動車が通った直後に道路が陥没したと聞いた」と話していた。(鈴木宏子)

テラス空間や屋根付スペースなど検討 中央公園改修へ つくば市が基本計画案

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噴水やロケットを眺めることができる中央公園の池に面したエリアの現在の様子(左)と、テラス空間整備イメージ図(イメージ図はつくば市提供)

22日まで意見募集

つくば市が、つくば駅前の中央公園(つくば市吾妻、3.8ヘクタール)にテラス空間や屋根付きスペースを新設するなど同公園をリニューアルする基本計画案を策定し、市民から意見を募集している。リニューアル案は、池に面し噴水やつくばエキスポセンターのロケットを眺めることができる場所にテラス空間を整備する、芝生広場の一部に屋根付きスペースを整備する、つくば駅に隣接する南入口にロゴモニュメントを設置するーなど。

南入口に近い芝生広場の一部に設置が検討されている屋根付きスペースのイメージ図(同)

中央公園はTX開業後の2010年に、つくば駅に近接する南入口エリアが改修され、ノーベル賞受賞者の業績とメッセージに触れることができる科学モニュメント「未来への道」が整備された。今回のリニューアル案は2010年に次ぐ大規模改修になる。

ノーベル賞受賞者のモニュメントが配置されているつくば駅に隣接する南入口の現在の様子(左)と、ロゴモニュメントや園路が再整備されたイメージ図(同)

整備計画案は①つくば駅に近接する南入口エリアについて、フォトスポットともなるロゴモニュメントを設置する、つくば駅からの最短ルートとして本来の園路ではない場所に通り道ができ滑りやすくなっていることから園路を再整備する、ノーベル賞受賞者のモニュメントを再配置し、休憩や待ち合わせのための座れる場をつくる。

芝生部分と樹木部分の間に座れる場を設置するなど緩やかに区切られたイメージ図(同)

②芝生広場については、整備を検討している屋根付スペースは小規模な催しができるよう電源設備を検討する、芝生部分と樹木部分の間に座れる場を設置し緩やかに区切る③図書館や美術館向かいの遊歩道に面した木陰の空間については座れる場を整備する。

座る場所の設置などが検討されている、図書館や美術館向かいの遊歩道に面した現在の木陰空間

④池に面した南側のエリアについては、噴水とロケットを同時に眺めることができる公園で一番のビュースポットであることからテラス空間を整備する⑤市民ギャラリーがあるレストハウスは、本館は展覧会等が開催されない日は休憩場所として開放する、本館室内から池の景色を眺められるよう窓際のパネルを可動式に変更する、隣接の別館はチャレンジショップや懇談会開催などさまざまな市民グループが使用できるレンタルスペースとし、使用されない日は休憩スペースとして開放する。

現在のレストハウス本館(左)と別館

⑥つくばエキスポセンター向かいの池東側は、低木を伐採したり最小限にして座れる空間を広くする⑦江戸時代後期の古民家を移築したさくら民家園はさらなる利活用を促進する仕組みを検討するーなど。

ほかに、サインや標識、照明はこれまで随時、修繕したり追加設置してきたためデザインがばらばらであることから、統一したデザインにする、植栽は視認性や安全性向上のため中低木は伐採し高木は保全する、トイレはだれもが使いやすいよう改修する、などが計画されている。

市民の意見を聞きながら進める

リニューアルについて同市学園地区市街地振興課は、22日まで市民の意見を募集し、市民の意見を聞きながら進めていきたいとしている。

今後のスケジュールは、今年度中に基本計画を策定、2026年度に基本設計や実施設計をし、27年以降順次、工事を実施する予定だ。工事期間や事業費がいくらになるかについては、まだ計画内容が定まっていないため現時点で未定という。

科学万博の40年前に開園

中央公園は、広い水面や森をイメージする緑、明るい芝生など周辺の文化施設と調和した広がりを感じさせる空間として計画され、つくば科学万博が開催された1985年に開園した。開園から40年経ち、老朽化部分への対応のほか、時代と共に変化する市民ニーズに対応するため、24年度にリニューアルに向けた調査を実施。今年1月、リニューアルに向けた基本的な考え方を公表した上で、基本計画案をまとめたとしている。

同公園では現在3期目の五十嵐立青市長が就任してからこれまで、2018年と19年に社会実験としてバーベキュー(BBQ)とカヌー体験を実施(18年8月3日付)。18年度は事業費約900万円で8月に14日間開催し、BBQは175組925人(1日平均12.5組66人)、カヌーは355人(同平均25.3人)の利用があった。19年は事業費約660万円で8月に17日間開催し、BBQは120組635人(同平均7組37.3人)、カヌーは190 人(同平均11.1人)の利用があった。20年8月には活性化と水質浄化を目的に約3760万円で池に噴水を設置した(20年8月25日付)。(鈴木宏子)

◆中央公園リニューアル基本計画案は市ホームページで公表し、22日(日)まで市ホームページで意見を募集している。13日(金)から19日(木)午前10時から午後4時まで中央公園内レストハウス本館でオープンハウスを開催、市職員に質問したりアンケートを出すことができる。

難民支援へ連帯 つくば市役所を青色にライトアップ

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青色のライトが点灯しライトアップされたつくば市役所=12日午後7時

6月20日は世界難民の日

国連が定めた「世界難民の日(6月20日)」を前に12日夜、つくば市役所本庁舎東側壁面が4灯の青いライトで照らされた。ライトアップの期間は12日から29日まで、毎日夜7時から10時まで点灯される。

世界難民の日は、難民の保護と支援に世界的な関心を高めることを目的に2000年12月4日に国連総会で決議された。各地の建物を国連のシンボルカラーである青色でライトアップすることは、難民支援への連帯を示す。世界約130カ国で難民支援などに取り組む国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の駐日事務所が、この日に合わせて呼び掛けた。

県内ではつくば市役所のほか水戸芸術館(水戸市)が参加している。ほかに札幌市時計台(札幌市)、鶴ケ城天守閣(福島県会津若松市)、都庁第一本庁舎(東京都新宿区)、東寺(京都市)、熊本城天守閣(熊本市)など全国67カ所が青色にライトアップされる。また期間中は、国連大学(東京都渋谷区)やの佐賀県庁旧館(佐賀市)など全国6カ所で「世界難民の日こいのぼり」が掲揚される。

つくば市は今年5月、UNHCRが進める国際キャンペーン「難民を支える自治体ネットワーク」に加入し、5月18日に市内で行われた科学と国際交流イベント「つくばフェスティバル2025」内で同ネットワークへの加入署名式が行われ、UNHCR駐日主席副代表代行の桒原妙子さんと五十嵐立青市長が同ネットワークへの賛同表明文に署名した(5月19日付)。昨年、同市は世界難民の日に合わせて、2021年に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」に参加した難民アスリートの活躍やヒューマンストーリーを収めた「難民アスリート写真展」や、市国際交流協会主催の国際理解講座「世界お茶のみ話」で「難民ワークショップ」を開催するなど、難民支援への理解啓発に取り組んできた。

企画を担当する同市国際都市推進課は「今回の企画を通じて多くの市民が難民問題に関心を持つ機会につなげたい」とし、「つくば市には多様な国や地域出身の方が暮らしている。誰にとっても暮らしやすい街にしていきたい」とする。一方で「他の国々には、さまざまな環境の中で現地に留まらざるを得ない方々もいる。そういった方々へ、UNHCRを通じて今後も支援をしていきたい」と思いを語った。今回のライトアップにかかる事業費はライトの設置費など約50万円という。(柴田大輔)

スズメの親子《鳥撮り三昧》2

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写真は筆者

【コラム・海老原信一】今回は前回(5月8日掲載)触れました「スズメの親子」への思いを話します。22年前、那須高原の観光施設の一角に土木用重機が置かれており、その傍にスズメの親子がおりました。姿勢を低くして近づき、数枚を撮影。内心、良いのが撮れたぞとの思いでした。

その後も空き時間は野鳥撮影に費やす日々が続き、野鳥を撮影することに専念すべく、56歳でそれまで勤めていた会社を退職。体力はまだ十分ありましたから、その後3年間、毎日、野鳥の撮影に走り回っていました。そんな日、ふと「野鳥の写真を撮るって彼らの生活の中に踏み込むってことかな」との思いが湧きました。

スズメの親子の画像を撮り、自分では良いのを撮ったぞと思っているけど、本来なら逃げてしまっても不思議ではないはずだ。逃げなかったのは、親から子に食べ物を受け渡す最中であったからで、逃げるという選択肢は無かったからなのだ。やはり彼らの生活の中に踏み込んでいたのだ。

撮れたぞと思っていたけど、撮らせてもらえたと言うべきなのだ。改めて野鳥との関わり方を考えさせられることになりました。それからは、彼らの生活に入り込む以上、彼らの許してくれる距離以上には極力踏み込まないように気を付けてきました。すると面白いことに気づきました。

人とスズメの間の難しい関係

決定的瞬間には程遠いけれど、彼らの普通の表情が見られるようになってきたのです。もちろん、いつもという訳にはいきませんが、私の中での大きな変化でした。そんな時は「ありがとう」とつぶやいています。健気なところを見せてくれる彼らの姿に、彼らを知ることの楽しさを知って欲しいとの気持ちから写真展を開催しようと決めました。

親子の写真一枚が自分の心持ちを変えさせ、個展を開催しようと決めるインパクトを持つとは思いもしませんでした。たかが「スズメの親子」、されど「スズメの親子」でした。来月7月には50回目を迎える個展ですが、「親子」にも出てもらいます。

スズメのことをもう少し話します。昨今、スズメが少なくなったとの話を聞くことが増えました。70歳代の私が知っている限り、子供のころはうるさいほどいました。それからすれば確かに少ない。スズメは人の近くで生活し、人けのない所には棲まない。人家のない所には居ない。要は、家などの隙間を利用して営巣するからで、スズメが少なくなった理由の一つに最近の住宅の造りによるとの説も。近ごろの家は熱効率アップのために隙間がない。スズメが巣を作れないからではないかと。

だとすれば、人とスズメの間にはなかなか難しい関係がありそうですね。人家に営巣するツバメにとっても同様の悩みごとがあると聞きます。(写真家)

華やかに「花の産地つちうら」をPR 市役所など3カ所に展示

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グラジオラスやアルメリア、ヤナギ類など土浦市が特産の切り花が華やかに展示されている市役所本庁舎1階ロビー=土浦市大和町

父の日に贈って

「花の産地つちうら」をPRし、15日の父の日には花を贈ってもらおうと、土浦市は11日から、市役所本庁舎1階エスカレーター付近と、江戸時代の蔵を改装した市の観光拠点まちかど蔵大徳(同市中央)、サイクリングの休憩所りんりんポート土浦(同市川口)の3カ所に、土浦産のグラジオラスやアルストロメリアなどの切り花を展示している。17日まで。

同市は北部の今泉地区などを中心に花き栽培が盛んだ。特にグラジオラスは全国有数の産地で、1990年に花きでは初めて県の銘柄産地に指定された。別名ユリズイセンと呼ばれユリを小さくしたような色鮮やかなアルストロメリアは銘柄推進産地に指定されている。ほかにヤナギ類や小菊、バラ、カーネーション、フリージアなどが生産されている。

2020年の市内の花き農家は54戸で、産出額は5億8000万円だった。2024年度にJA水郷つくばに出荷されたグラジオラスは約233万だったという。

市役所1階にはグラジオラス、アルメリア、ヤナギ類などが華やかに飾り付けられている。まちかど蔵大徳とりんりんポートはグラジオラスとアルストロメリアなどが展示されている。花はJA水郷つくばから購入した。飾り付けの委託費などを含め事業費は約30万。

12日、市役所を訪れた女性は「土浦でグラジオラスを作っているとは知らなかった」「華やかできれい」などと感想を話していた。

市農林水産課の岡野礼奈さんは「市役所ロビーは、華やかになるようにと依頼し業者に委託して飾り付けを行った。ほかの2カ所は職員が展示し、グラジオラスとアルストロメリアが市内で作っている花だと知っていただき、親しんでいただきたいという思いで飾った」と語った。同課の薬師寺尚哉さんは「土浦は花の栽培が盛ん。花の産地として認知度がもっと上がり、父の日に土浦市で生産された花を贈っていただけたら」と話す。(伊藤悦子)

「モーカフェ」を運営する光畑さん《日本一の湖のほとりにある街の話》33

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】つくば市の、大通りから少し入った静かな住宅地の一角、屋上に柔らかな草が茂る印象的な建物が建っています。エントランスに一歩足を踏み入れると、間仕切りなくゆるやかに奥へと続く、中庭に開かれた開放的な空間。天井にはゆったりとドレープ(ひだ)を描いて張られた布、中庭にはたくさんの丸ガラスがはめられた大きな青色のドーム。不思議でありながら、じんわりと心地よさがこみあげてきます。

ここは、授乳服の製作・販売を行う「モーハウス」が運営する「モーカフェ」(つくば市山中480-38)。画期的な授乳服をはじめ、乳児同伴で働く「子連れ出勤」などの先進的な取り組みで、女性の生活をより快適にし続けてきた同社について、代表の光畑由佳さんにお話を伺いました。

モーハウスの授乳服は、巧みにスリットを入れた構造により、赤ちゃんが母乳を欲しがった1秒後には授乳できる優れもの。しかも、はた目には赤ちゃんを抱っこしているようにしか見えません。この素晴らしい衣服を生み出した光畑さんですが、そのキャリアのスタートはアパレルからではありませんでした。

大学卒業後、大企業で美術展企画などに携わる中、転機となったのが、生まれて間もない我が子と電車に乗っていた際、お腹が空いた赤ちゃんが泣き出してしまったこと。やむを得ず、電車の中で周りの視線を浴びながら授乳せざるを得なかった体験から、「着られる授乳室」があればと思いたち、どこでもすぐに授乳できる服を作り始めたのだそうです。

光畑さんご自身が使ってみて、あまりの使いやすさと快適さに驚いたという商品は、しかし、当初の売れ行きは芳しくなかったそうです。ですが、「赤ちゃんが欲しがったらすぐに授乳できる」「肌が露出せず、周りを気にせず授乳できる」といった独自のポイントを示すための「授乳ショー」の開催などにより、当時は存在しなかった「外出時に着られる授乳服」の認知も高まり、売れ行きも向上。

デリケートな妊産婦さんの肌に心地よいようつくられた製品は、高齢者や乳がんを患った方にも広く受け入れられるようになっていきます。また、乳児同伴で、抱っこしながらの勤務スタイル「子連れ出勤」が様々なメディアで紹介され、製品と共に、女性の新しいワークスタイルを示すフロントランナーとして脚光を浴びてきました。

お母さんが快適になれる授乳服

時は経ち、2025年の現在。モーハウスが創業した1997年から約30年間で、日本の育児環境は、少しずつではあれども変化してきました。そうした変化についてお考えを伺うと、「教育や医療の無償化など、制度的な部分の改善は進みました。ただ、それで子育てが楽しくなっているか、疑問に思う部分もあります」と光畑さん。

「今は、子育てがスマホのアプリで行われ、授乳時間まで『管理』されるものになってしまいました。ですが、子どもの不確実性は『管理』という考え方にはなじまないものです。数字、データをつければつけるほど、お母さんたちは『母親はこうあらねば』と苦しくなってしまいます」

光畑さんの「女性を快適に」という思いの先は、女性だけでなく男性にも向けられます。「女性がより快適に生活するために、女性自身の中の『こうしなければならない』という思いをなくしていきたい。そして、そこで重要な役割を担うのが男性です」

「日本のお母さんは、真面目でガマンしてしまいがち。自分が快適になれる授乳服を見ても、『もったいないからいらない』となってしまいます。そこで、『楽になるなら、ぜひ買えばよい』と背中を押せるのは、むしろ男性なのです」

そうして、妻が楽になり機嫌がよくなれば、夫もうれしく楽しい。「女性が、より自分らしくいられるように」。一貫した思いで貫かれている光畑さんの取り組みは、女性だけでなく男性も包み込み、皆が笑顔でいられる道を指し示しています。(土浦市職員)

<注>本コラムは「周長」日本一の湖、霞ケ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

➡これまで紹介した場所はこちら

集中豪雨に台風並み強風加え 極端気象を再現 つくば防災科研

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豪雨と暴風を合わせてリアルな暴風雨環境の再現が可能となった大型降雨実験施設。右が暴風装置の吹き出し口

自然の降雨状態を再現する装置としては世界最大級という防災科学技術研究所(つくば市天王台、宝馨理事長)の大型降雨実験施設に、毎秒20メートルを上回る強風を人工的に発生させる機能が新たに追加され、台風レベルの暴風雨環境を体感できる実験が11日に報道陣に公開された。

大型降雨実験施設は、豪雨を原因とする自然災害の防止・軽減を目的に、1974年から運用している防災科研ご自慢の施設。局地的に大雨をもたらすゲリラ豪雨に対する社会的な関心の高まりに応じ、2013年度には降雨強度を1時間に300ミリまで再現できるように機能強化を図った。

バケツをひっくり返したような雨、叩きつけるような雨を再現して、わが国では他に類例のない実験施設となったが、線状降水帯など極端な気象現象がみられるようになった近年、「風」を加えた暴風雨環境の再現が求められていた。

今回大型降雨実験施設内に設置されたのは、最大風速毎秒20メートルを上回る強風を人工的に発生させる装置。大型送風機を4機内蔵し、幅3メートル、高さ3メートルの吹き出し口に集中させ、秒速1〜25メートルの風速で稼働する。さらに降雨装置を同時に稼働させることで、台風レベルの暴風雨環境の再現を可能にした。

11日の公開実験では、今までに日本で記録された10分間雨量の最大値相当である50ミリ(1時間当たり300ミリ相当)の雨と同時に、毎秒25メートルの風を吹かせた状況を再現した。横殴りの雨、強風装置の吹き出し口には容易に近づけない極端気象の環境となった。

防災科研の酒井直樹大型降雨実験施設研究推進室長は「線状降水帯の場合、積乱雲が急速に発達することで雨も大粒になり強くなる、さらにダウンバーストという風も起きるので、一緒の環境を再現してみないと防災研究の観点からは不十分といえる」という。

大型降雨実験施設ではこれまで、大型模型斜面を用いた土砂災害軽減研究、土砂浸食に関する研究、「耐水害住宅」の実物大建物浸水実験の研究など、基礎から応用まで幅広い研究が進められている。施設は5つの実験区画と移動降雨装置などから成り、散水面積は44×72メートルの広さ、天井部に総数2176個の降雨ノズルがあり、粒径0.1から6ミリで調整した雨滴を16メートルの高さから落下させている。

防災科研によれば、この機能強化により今後、民間企業等と協働して従来の豪雨災害のための実験に加え、暴風雨環境下でも稼働が可能なドローンや自律走行が可能な車の実現などに寄与することが期待されるとしている。(相澤冬樹)

左足の骨折から4カ月《ハチドリ暮らし》50

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写真は筆者

【コラム・山口京子】左足の骨折から4カ月が経ちました。治ってきたものの、体力、気力、筋肉の低下に驚いています。歩ける距離が短くなりました。歩き方はゆっくりというか、オタオタというか。以前は重たいと感じなかった掛け布団が重く感じられます。疲れやすくもなりました。これらはフレイル(虚弱)の症状ではないかと不安になっています。

だんだんと老いるのか、病気やケガをきっかけに急に老いが進むのか。年をとるほど健康状態の個人差が開くのが分かります。普段の暮らしを持続させるため、意識的に体のことを考えないといけないと…。体力や筋肉を取り戻すには、まずは歩くこと、食事をしっかりとることでしょうか。

昨年は65歳以上の高齢者が3625万人になったそうです。要介護認定を受けた人が約700万人。長生きすればするほど、介護が必要になる人が増えます。その原因は、認知症、脳血管疾患、骨折・転倒、高齢衰弱、関節疾患などです。

一番多い認知症ですが、昨年、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、新しい認知症観が提起されました。「認知症になっても、一人ひとりが個人としてできることややりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間などとつながりながら、希望を持って自分らしく暮らし続けることができる」ことを掲げています。

そして7つの基本理念のもとに、認知症本人の意思を尊重することを地域や家族に求めています。認知症と診断されても症状は多様ですし、軽度から重度まで幅広く、一人ひとりに寄り添った対応が大事になるでしょう。

親や連れ合いの認知機能が衰えた場合、間違ったことを言ったとしても否定しない、急かさない、話を合わせ、できるだけ落ち着いてもらう。そして、できることは続けてもらう。それが本人も家族も穏やかに暮らせるヒントかなと…。

平均寿命、平均余命、死亡ピーク

自分は何歳まで生きるのかしら?と思ったとき、厚生労働省が出している2023年簡易生命表の概況を見ました。

平均寿命(ゼロ歳の赤ちゃんがこれから生きるであろう寿命)は男性が81歳、女性が87歳です。平均余命は、例えば70歳の人なら、男性はあと15年、女性はあと19年生きるそうだと。80歳であれば、男性はあと8年、女性はあと11年生きるそうです。死亡ピーク年齢は男性が88歳、女性が92歳となっています。

まだまだ山あり谷ありのことでしょう。大事なのはこれからの人生をどうしていくかという心構えでしょうか。(消費生活アドバイザー)

茨城町の「秋葉犬」《続・平熱日記》181

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】久しぶりに愛犬パクの育った茨城町の古道具屋を、野暮用で山口から来ていた弟と訪ねてみることにした。実はここの御主人は一昨年、はるばる山口までトラックでやって来たことがある。以前何度か、この欄にも登場した粭島(すくもじま)の古屋に不要な家具があるという話をしたところ、ちょうど広島に引き取るものがあるから山口まで行くというのだ。その時に弟が現地で世話をしたこともあって、弟とはそれ以来、緩くつながっている仲。

しかし残念なことに、弟はよんどころない用事が出来て急きょ山口に帰ることになって、仕方なく私ひとりで訪ねることとなった。

車の荷台には不要な椅子を三脚と古い電灯を積んだ。捨てるには忍びないオンボロだけど、お店に置いていただければどなたかが引き取ってくれるだろう。看板もないお店は木々に囲まれたお社の様な雰囲気の場所にある。無造作に青く塗られた扉を開けると、犬たちがほえ始めた。

ここの御主人は仕事の傍ら保護犬のお世話もしていて、パクもここで私と出会った。私はご主人に山口のワサビ漬けを渡し、弟が来られなくなった旨を伝えるとご主人は残念がっていた。それから、犬たちとも会ってくれというので店の奥に行くと、そこにはパクと一緒に暮らしていた3頭と、新入りの犬が1頭いた。

「そういえばテレビで野良犬のニュースをやっていて、偶然にもこの茨城町と私の故郷である周南市の野良犬問題がいつも出るんですよね…」と私。「茨城町に秋葉というところがあって、そこに野良犬の群れがいるんですよ。この新入りもそこの野良犬で…」とご主人。「ところが、その犬たちが性格もよくてほえないし、人気が出ちゃって、秋葉にいるから『秋葉犬』というように呼ばれ始めて、今やちょっとしたブランドになっているんです…」

うちのパクは高貴な犬?

犬を飼っていると言うと、「何犬?」と聞かれる。「種類なんかないよ。犬だよ犬!」と言うと「雑種?」と聞かれるから、意地になって「だから犬だって」と答えてしまう。そもそも、生物学的には全ての犬は同じ種というではないか。普段、野良犬の姿を見かけることはなくなった。それはいいことだと思う。ただペットショップで犬を買うというのもなんかちょっと…。

先日、奈良県桜井市で卑弥呼と暮らしていた?という犬の復元模型が公開された。骨が出土した遺跡の名を取って「纏向(まきむく)犬」と言うそうだ。その纏向犬、色こそ違え、大きさ、形は我が家のパクにそっくりではないか(友人のマヨねえさんはパクのことを気品があるだの高貴な気がするだのと言っていた)。「まあ何犬だろうといいんだけどね」。パクはそう言いたげに今日も犬らしく我が家の一風景となっている。(画家)

免許失効したまま公用車など運転 つくば市職員 今度は7カ月間

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つくば市役所

つくば市は9日、市教育局の職員が昨年10月末から約7カ月間にわたって、自分の運転免許証が失効したまま、公用車や自家用車を運転していたことが分かったと発表した。

今月6日、本人が自分の運転免許証を確認し、昨年10月26日で失効していることに気付き、所属長に報告したという。

職員は今後、免許センターで早急に運転免許証の更新手続きを行うとしている。再発防止策として市は全職員に対し、運転免許証の有効期限の確認を徹底するよう通知し再発防止に努めるとしている。

同市では今年1月にも別の市職員が、運転免許証を失効した状態で約1カ月間、自家用車を運転していたことが発覚した。その際市は、全職員に対し運転免許証の有効期限を確認するよう注意喚起し再発防止に努めるとしていた(1月24日付)。

今こそ日本の食と農を守ろうー東京で緊急総会《邑から日本を見る》183

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東京で開かれた百姓一揆の緊急集会

【先﨑千尋】今から100年以上も前の1918(大正7)年に起きたホンモノ(?)の米騒動。米不足と日本軍のシベリア出兵に伴う投機で米価が高騰し、富山県魚津町での騒動が全国に波及し、一部では地主や米穀商への打ち壊しなどが行われ、軍隊も出動、死者も出た。

では「令和の米騒動」はどうか。騒動と言うけれど、どこでも騒動は起きていない。小泉農相の一声で始まった価格破壊の備蓄米放出で、5キロ2000円の米を買うのに朝早くから行列。買えた人は喜び、買えなかった人は落胆する様子がテレビで放映されている。喜んだり悲しんだりするのではなく、怒るべきではないのか。国民はなぜ怒らないのか。

「米作り農家は、時給10円では生活できない」と、3月に東京など全国14か所で「令和の百姓一揆」が繰り広げられたが(コラム181)、その後も米価は下がらず、日米関税交渉で農産物の輸入拡大が焦点になってきている。これは大変だと、百姓一揆実行委員会と日本の種子(たね)を守る会、農協有志連合の呼びかけで、6月4日に東京の参議院議員会館で緊急集会が開かれ、全国から100人が集まった。

生産者の声を聴いて!

報告する常陸農協の秋山組合長

集会では、常陸農協の秋山豊組合長ら9人が、現地からの報告や消費者からの提言を行った。秋山組合長は「米不足だというのに、現在でも農家は35%の減反を強いられている。そのことを消費者は知らないでいる。米の価格が急騰したのは異常気象により政府の需給見通しが狂ったからなのにもかかわらず、それを政府は認めず、転作を緩めなかったからだ。

政府が備蓄米を放出しても、7月から9月までの絶対量は57万トンも足りない。米作り農家が生産を維持できる適正価格は、玄米60キロ当たりで2万4000円、消費者価格では5キロ3420円(いずれも税抜き)。消費者価格をそれよりも下げるには政府の対応が必要になる」と、現状とこれからの見通しを述べた。

静岡県の米農家 藤松泰通さんは「周りでは耕作放棄地が増えている。また、大規模農家や米の業者の倒産、廃業も続いている。肥料などの生産資材や石油、種子などは大半が輸入に頼っており、それが入らなくなったら日本の農業はアウトだ。食料も海外依存。止められたらどうするのか。それでいいのか」と、怒りをあらわにしていた。

新潟県の石塚美津夫さんは「かつては水路や農道の整備は集落ぐるみで行っていたが、ムラ社会が崩壊し、それができなくなっている。政府はスマート農業や大型の圃場整備を進めているが、その補助金はメーカーや土木業者に行くだけではないか」と訴えた。

その他、「消費者もマスコミも価格だけに目が向き、生産者の顔や声が見えない、聞こえない。輸入米を増やす話があるが、農薬漬けで恐ろしい。食べ物は水や空気と同じで、商品ではない。米の問題は農政ではなく、生産者、国民に対する社会保障政策と考えるべき。EUやアメリカなどのように生産者への所得補償政策を進めなければ、農業生産は維持できない。5000億円の予算があればできる」などの声が出された。

最後に、令和の百姓一揆実行委員会代表の菅野芳秀さんが「百姓一揆の行動はこれからも連続して続ける。有史以来の危機なので、命がけで行動しよう。国会議員も一緒にやろう」と呼び掛けた。(前瓜連町長)

裏方で国際貢献 土浦市消防本部が資機材洗浄など支援

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資機材の作業をするJDRの職員と土浦市消防本部の隊員ら

ミャンマー中部地震の救援活動で使用

土浦市消防本部(土浦市田中町)で5日、6日の2日間、ミャンマー中部地震の被災地で救援活動を終えた国際緊急援助隊(=JDR)の資機材の洗浄などメンテナンス作業が行われている。JDRの職員約20人と消防本部の職員10人が参加。自治体と連携してJDRの資機材メンテナンス作業が実施されるのは国内で初めて。

JDRは海外で発生した災害にいち早く支援を届ける日本政府による支援チームで、国際協力機構(JICA)が事務局を担う。捜索救助を担う救助チーム、被災者の医療ケアを担う医療チーム、被災者の医療ケアを担う医療チームなどがある。2023年のトルコ南東部地震にも派遣された実績がある。消防、海上保安庁、警察の混成隊員で構成される。消防では全国77の隊員らが派遣に備え、県内では水戸市と南西広域の2消防が待機状態となっている。

被災地の救援活動で使用した資機材は、JDRの現地での活動終了後、日本に返送し、次の派遣に備え、いち早くメンテナンスを行う。資機材の点検、故障した機材の修理、洗浄、補給、梱包などで、こうした作業をどこで行うかが大きな課題となっていた。

海外の被災地での救援活動について説明するJDRの飯村学事務局長

土浦市消防本部では森田大地救命救急士(31)が4月、ミャンマー大地震の被災地にJDRの一員として現地に派遣された。こうした縁から、地域の消防機関として市消防本部が支援することになった。成田空港から比較的近く、作業のための広い場所が確保できる、消防本部の施設であることから水が使えるなどの利点もあった。資機材の洗浄、点検などの作業は救援活動の重要なプロセスで、今後の迅速な国際支援活動の継続、発展を下支えする意義ある協力と位置づけられることから、市は今回、作業場所を無償提供した。

市消防本部で洗浄などが実施されているJDRの資機材は、大きな被害があったミャンマー中部にあるマンダレー市で4月2日から16日にかけて1次隊32人、同12日から26日にかけて2次隊37人の総勢69人の医師や看護師、医療関係技師が使用したもの。地震でけがをした人やがれきから救い出された人の手当てなどに使われ、5月23日にJDRの保管庫がある成田に到着した。

資機材の点検作業などをするJDRの職員と消防隊員ら

資機材の種類は全体で10万種以上あり、専門スタッフが感染対策にも十分配慮し、丁寧に洗浄・点検・保管する。汚れた机、椅子、ケース、テントなどは水洗いし天日で乾かす、コンテナの中のきちんと整理された資材をすべて取り出しチェックし再梱包するなどの作業が必要になる。被災地では仮設の総合病院を作るため、X線撮影機、超音波測定器、ヘモグロビン測定器など精密機器や検査用品などもあり、稼働状態を確かめたり、関連部品の整理など細かい作業を実施する。

今回、洗浄などのため成田から土浦市消防本部に運ばれた資機材は約3トンで、ミャンマーから返送された全体の3分の1という。市消防隊員らも水洗いに協力、メンテナンスを終えた資機材は、再び成田に運ばれる。

安藤真理子土浦市長(左端)と話す市消防本部の森田大地さん(左から2人目)、JDRの飯村学さん(同3人目)と菊田智子さん(右端) 

JDRの飯村学事務局長(56)は「ミャンマーはクーデーターによる軍事政権の下での活動で、難しいところもあったが、現地は比較的協力的だったので助かった。土浦は成田から比較的近く、水がふんだんに使える環境で仕事ができるので大変ありがたい」と述べた。

JICA国際緊急救助隊事務局から放射線技師として参加した土浦市在住の菊田智子さんは「当初事務員ということで現地入りしたが、放射線技師の資格があったので、現地では技師としての仕事をした。テントの中は温度が47度にもなり暑くて機材が使えず。カルテなどは手書きだった」と苦労を語った。

ミャンマーで救援作業を経験し帰国した市消防本部の森田さんは「普段の仕事でも準備80%と言われるが、リカバリー作業がとても大事、活動を支えているのは縁の下の力持ちがいるからだと思う。今後も機会があれば(救援活動に)参加していきたい」と語った。(榎田智司)

つくば市内県立高の説明会で生まれた希望《竹林亭日乗》29

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5月18日に行われた「第6回高校進学を考える市民の集い」の様子(写真は筆者提供)

【コラム・片岡英明】5月18日、つくば市役所コミュニテイー棟で行われた「第6回高校進学を考える市民の集い」(つくば市の小中学生の高校進学を考える会主催、つくば市・市教育委員会後援)には会場いっぱいの120人が参加した。第1部のつくば市内4つの県立高校の校長先生による自校の魅力紹介が圧巻だった。その説明を聞きながら、生徒や保護者に高校説明会の開催に強い希望があると感じた。

この集いでは、初めに篠塚英司つくば市副市長があいさつし、五十嵐立青市長のビデオメッセージがあった。続いて、4人の校長先生がそれぞれの学校の魅力を力強く語った。

今年着任した竹園高校の桜井良種校長は進路状況を説明した後、自分が撮った生徒の主体的な学びの様子を映しながら、学園風景を新鮮に語った。

筑波高校の鈴木恒一校長は映像を用いて、3学級の高校での細やかな指導と地元とつながる「つくばね学」を通した生徒の伸びる可能性を丁寧に語った。

つくばサイエンス高校の石塚照美校長は、科学技術科と普通科の2学科制の可能性、設備が充実した教育環境、生徒の活躍の姿を豊かに語った。

茎崎高校は担当教諭が3部制フレックス高校の7つの特徴を説明の後、𠮷田真弘校長が手厚い教育的取り組みと地域に開かれた高校の魅力を熱く語った。

校長先生の説明はライブ感いっぱいで、多くの参加者の学校理解が進み、感動していた。そして学校説明会で地元高校を知ることは、高校が地域に根づく懸け橋にもなった。

以前は、中学校ごとに生徒と保護者向けに、卒業生の進学者が多い県立・私立高校を呼んで高校説明会が行われていた。受験する可能性のある高校の話を幅広く聞き、比較対照しながら、生徒は自分の受験校を絞った。

最近、その高校説明会はなくなり、各自が夏休みに高校の説明会に参加する形になった。そのため、受験校の全体をとらえずに個別学校の説明会に参加している。夏休み前に受験校がある程度絞られていない生徒にとっては、不安が高まる高校研究の流れである。

高校が一堂に会する「場」に期待

確かに、つくば国際会議場などでも、いくつかの団体などが企画する高校説明会はある。しかし、これらは個別対応で、人気校には長い行列ができ説明が聞けない状況だ。生徒が各校の個別研究に入る一歩前の全体の学校説明の段階が必要である。

今回の説明会は、生徒と保護者が必要な基本的情報を直接入手し、受験生の学習スタートにもなると分かった。

中学3年の6月には部活動がほぼ終わり、保護者や教員は生徒が受験モードに入ることを期待するが、実際は切り替えできない生徒が多い。そのような生徒のためにも、高校説明会という「場」が必要である。

受験生を励まし、学びのスタートを切るためにも、今回の集いで行った県立高校の試験問題の解説や学習法と組み合わせた高校説明会を、ぜひ中学や地域などで夏休み前に開いてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

ごみ出し支援スタート つくば市 高齢者や障害者対象に

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つくば市役所

高齢化が進み高齢者のみの世帯が増える中、自宅からごみ集積所にごみを運ぶことが困難なお年寄りや障害者を支援しようと、つくば市は5日からごみ出し支援事業をスタートさせる。週1回決められた曜日に市指定のごみ収集業者が、自宅の玄関先などにごみを回収しに来る。

要介護の認定を受けているお年寄りや身体障害者、精神障害者のうち、家族や親族、ヘルパーなどの協力を得ることができない世帯が対象で、無料で利用できる。

週1回の収集日に燃やせるごみ、燃やせないごみ、プラスチック製容器包装、ペットボトル、缶、びん、古紙、古布などを一括して回収する。それぞれ分別し、燃やせるごみなどは指定のごみ袋に入れて出すことが必要になる。

3~4年前から、ケアマネジャー、民生委員、医療関係者などが集まる市の地域ケア会議で「ごみ出し支援ができないか」などの意見が出て、検討してきた。

市地域包括支援課によると、ごみ出しが困難な世帯はこれまで、近所の人がごみ出しを手伝ったり、ホームヘルパーがごみ出しの時間に合わせて訪問したり、親族がごみを持ち帰ったりするなどそれぞれ対応しているが、収集日にごみを出すことが困難な世帯もあったという。

市は今年度、100人の利用を想定してごみ出し支援に1132万2000円を計上した。スタート時の5日時点では民生委員やケアマネジャーなどから申請があった高齢者など4世帯が利用する。本人のほか、親族、ケアマネジャー、民生委員、相談支援員などから随時申請を受け付け、利用者を増やしていく。

複数回にわたりごみが出されない世帯があった場合は、市が安否確認を行う方針だ。

ごみ出し支援事業は2023年度時点で県内44市町村のうち25市町村ですでに実施しているが、対象や方法などはそれぞれ異なっている。土浦市の場合、2012年度から単身の視覚障害者を対象にごみ出し支援を行っており、週1回、市職員が無料で回収している。現在5人が利用しているという。(鈴木宏子)

有名な昆虫博士との出会い(2)《看取り医者は見た!》41

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昆虫博士がオケラと出会った長野県松本の学校(写真は筆者)

【コラム・平野国美】疎開先の長野県松本で捕まえた1匹のオケラから、この少年の物語は始まります(コラム40)。それからは山を歩き回り昆虫を捕まえる日々でした。夜は、それらを観察しながら遊ぶ日々。授業中も校庭に出て虫を探す日々。不思議なことに成績は良く、母の助言もあり昆虫学を究めていくのです。

大学院を出て、それからはつくば市の研究所の日々。海外へも視察に出かけ、虫と戯れる日々。若いころの博士を知る人に尋ねると、「仕事と趣味が一致していて、あんな幸せそうな人は見たことがない」と。学術的なことは分かりませんが、博士が執筆した一般向けの新書を読むと、虫に対する愛情とウイットに富んだ表現が魅力的です。

こんなやり取りもありました。「博士、生まれてくるのが早かったですね。あと50~60年遅かったら、昆虫のかぶり物を着て『こんちゅう君だよ!』ってテレビに出るか、YouTubeで人気が出たかも知れませんね」。「私は4本の手足しかありません。昆虫になるには6本が必要です。最近の虫を擬人化する動向には賛成できません」とお怒りになりました。

奥様によると、定年後、研究仲間の逝去を聞くと、気力が落ちていくのが分かり、見ていて辛かったそうです。最近の診察に際しても、その寂しさを嘆いていました。

博士を信じる母、支える奥様

「悠仁さまも筑波大に御入学されたわけで、お呼びがかかるかも知れません。授業の準備でもされたらどうですか」と聞くと、現役時代に皇室に何度か出向かれ、皇室の方がつくばに視察に来られたときにもお話をしているそうです。奥様は「菊の御紋の入った盃(さかずき)をいただいたこともあります。夫はあまり関心を示しませんでしたが、姑(しゅうとめ)が涙を流して喜んでおりました」と話していました。

この姑さんが博士の母で、夫が原子力や医学分野への進学を進める中、息子が昆虫の道に進むことを勧めた方です。博士が大成したのは、彼を愛して信じる母と、その後を支える奥様の愛情が重要なのだと思われます。

子供時代のさかなクンと母の関係について、こんな話を聞いたことがあります。学校の先生が「もっと授業に集中してもらいたいです」と母に伝えても、母は「いや、うちの子は魚が好きで、絵を描くのが大好きなので、それでいいのです。みんな勉強ができて、みんな同じように育ったら、ロボットみたいじゃないですか」と言ったそうです。

ここまで言える母親はなかなかいませんね。私には教育に口を出す資格はありませんが、現代の金太郎飴(あめ)を製造するような教育は、限界にきているのではないでしょうか。(訪問診療医師)

つくばに避難中のウクライナ出身チェロ奏者 7日にチャリティーコンサート

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ウクライナ出身チェロ奏者のグリブ・トルマチョブさん(左)とピアニストの村田果穂さん=つくば市吾妻、アルスホール前

東日本大震災の被災地 岩手県山田町とウクライナを支援するチャリティーコンサートが7日、つくば市吾妻のアルスホールで開かれ、ウクライナからつくば市に避難中のチェロ奏者、グリブ・トルマチョブさん(31)が出演する。「山田町に届け!ウクライナ支援 チャリティーコンサート 第20弾」と題した復興と平和を願うコンサートになる。

妻の姉を頼りつくばに避難

グリブさんはウクライナ北東部のハルキウ出身。つくば市に住む妻の姉を頼り2023年、同市に避難してきた。チェロを始めたのは6歳のとき。かつてヨーロッパ最高のユース交響楽団と認められたこともあるスロボジャンスキー ユース・アカデミック交響楽団の首席チェリストを務めていた。ウクライナではプロとして12年間、積極的に演奏活動に取り組み、各地のフィルハーモニー管弦楽団で演奏したり、多くの著名な指揮者やソリストと協演してきた。

つくばについてグリブさんは「若々しく活気があり、多くの学生がいる素晴らしい街。故郷のハルキウも学術と文化が息づく街で、つくばとの共通点が安心感をもたらしてくれる」と話し、「今回のチャリティーコンサートに招待されることは大変光栄。音楽を通じて人々が集う意義深いイベントの一員になれることに心から感謝している」と意気込みを語る。

細く長く支援続ける

コンサートを主催するのは、つくば市在住の中島千春さんが代表を務めるチャリティー実行委員会。中島さんは東日本大震災後、長年「山田町に行って状況を見てから、必要なものを確認し、募金で購入して現地に届ける」活動を続けてきた。山田町支援に限定するのは一地域に集中して細く長く支援活動を行うためだ。

これまで山田町への支援をベースに、熊本地震の被災地なども支援してきた。第20回となる今回はウクライナ支援が初めて加わる。グリブさんが中島さんに裏千家茶道を学んでいることが縁となった。

強い思いに感銘

コンサートではブラームスの「チェロソナタ第1番」、サンサーンスの「白鳥」などを演奏する。ピアノはつくば市在住で同市出身のピアニスト、村田果穂さん(33)が演奏する。グリブさんとはつくばで知り合い、1年ほど前から「(チェロとピアノの)音を合わせる」友人だという。村田さんはグリブさんから誘いを受けて今回の出演を決めた。

村田さんは「震災の記憶を風化させず支援を続けていくという中島さんの強い思いを知って感銘を受けた。今回はさらにウクライナ支援も加わり、復興と平和を願うコンサートになる。演奏会を通じて、思いが多くの人の心に届くことを願っている」と話す。

リハーサルを行うたび村田さんは「グリブさんの多彩なアイデアに驚く。2人で意見を出しながら本番への準備を進めている。本番が楽しみ」という。

平和、共感、希望を感じて

グリブさんは「音楽には言葉を超えて人々をつなぎ、団結させる力があると信じている。私の演奏が観客の心に響き、平和、共感、希望を感じてもらえることを願っている」と来場を呼び掛ける。

中島さんは「東日本大震災などさまざまな災害があり、これからも起こると考えられる。災害を風化させないためにもコンサートを開催している。コンサートで豊かな音楽を聴きながら、被災地に思いをはせてほしい」と語る。

コンサートでは山田町向けとウクライナ向けの募金箱を設置する。コンサートの収入は全額をグリブさんがウクライナ支援のために使う予定だ。出演者の交通費や謝礼はチャリティー実行委委員会が負担する。ウクライナ支援については後日報告会を開いてグリブさんが何に使ったかを報告するという。(伊藤悦子)

◆「山田町に届け!ウクライナ支援 チャリティーコンサート 第20弾」は7日(土)午後6時30分から、つくば市吾妻2-8 つくば文化会館アルスホールで開催。開場は午後6時15分。入場料は当日大人3500円、前売り3000円。学生・子どもは当日2500円、前売り2000円。問い合わせはチャリティー実行委員会(電話090-7714-0518=井上さん、Eメールyamada2todoke@gmail.com)へ。

お好み焼きとジャガイモ、それからビール②《ことばのおはなし》82

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】この記事は前回コラムの続きなのだが、台湾人の旧友と、その旦那さんであるドイツ人と私で、なぜか日本でお好み焼きを食べている状況ということだけわかっていていただければよいと思う。

ビールを運んできた店員さんにアレルギーの有無を聞かれたので、私が「あ、大丈夫です」と答えると、彼女が食い気味に「今の大丈夫は、OK? No Thank you? どっちの意味? なんで正反対の意味に使うの?」と乗り出してきた。

「文脈によるけど、今のは大丈夫の意味」と答えると、「日本語のそういうところが難しい」と彼女は言いながら座り直した。「そんなこと言ったら時制のない中国語も大概だと思うよ。ドイツ語の複合名詞も勘弁してほしいけど」と旦那さんに話を振ると、「日本語も中国語も名詞は雑にくっつくし、単語の間にスペースもないじゃないか」と旦那さん。

全員、お互いの言語を中途半端に理解しているために、いろいろと思うところがあるのだが、なんだかんだと私たちはお互いの言語の違いを愛しているという共通認識がある。

ドイツ人の漢字の名前

ところで、と私が話を変える。「旦那さんはビール以外飲まないの?」「ビールだけだね」ときっぱり。わかりやすいドイツ人で好印象である。「私はあなたのおすすめにチャレンジするわ」と、それを尻目に彼女が言うので、私は電気ブランをおすすめする。漢字が読める彼女に「電気を使って作るの?」と問われるが、私にもそんなことはわからない。たぶん使っていない。

目の前で調理されるもんじゃ焼きをじっと観察していた旦那さんが思い出したように、「そういえば自分にも漢字の名前があるんだ」と言い出した。ポケットからメモ帳とペンを取り出して渡す。漢字上級者の台湾人と日本人に監視されながら漢字を書くドイツ人、という構図がなかなか面白い。

書かれた漢字とドイツ語の元の名前を見比べて、なるほどねと彼女を見ると、いいでしょ?と表情だけで返される。彼女が名付けたのだろう。元の名前の音を生かしつつ意味が込められている名だった。漢字は複数の音と意味を持つので面白い。四半世紀前に私と彼女の唯一のコミュニケーション手段だった筆談は、今も現役で役に立つのだ。(言語研究者)

京大教授が特別講演 地質探査の知識学ぶ つくばサイエンス高

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ギターを持って講義する京都大学の林宏一教授

県立つくばサイエンス高校(つくば市谷田部、石塚照美校長)で2日、京都大学防災研究所の林宏一教授(57)を招いて防災をテーマにした特別講演と実習が行われた。科学技術科の2、3年生が取り組む課題研究の一環で、防災に関わる地質調査や微動探査について学んだ。

科学技術科では2年次から、ロボット、情報、建築、化学生物の4つの領域に分かれて実習や研究活動を行っている。防災をテーマにした課題研究は、情報領域を学ぶ生徒が昨年から取り組んでおり、地質調査会社、応用地質(東京都千代田区)との課題研究活動として行われた。林教授は同社の物理探査技術者として長年、地質の調査、解析方法を開発してきた。2024年から同大防災研究所 斜面未災学研究センターに勤務する。

特別講演と実習は2年次、3年次それぞれ行われた。林教授は「防災の観点から地質や地質の歴史を調べることは重要」と述べ、「(同高がある)この地域は10万年前は海だった。低地は柔らかく、筑波山などの高地は固い。土は年月とともに固くなり、最終的には石になっていく」などと話した。地震波を説明する際は、持参したアンプ内蔵ギターを弾き、「弦が短いと高い音、長いと低い音が出る。これと同じ論理で振動の伝わり方を説明することができる」と分かりやすく話を進めた。

特別講演を聞く情報領域の生徒たち

応用地質技術本部の三枝優布花さんは「林先生の前職は応用地質なので今回の講義が実現した。会社は地球科学の知見と技術で、インフラ整備や防災、環境、資源エネルギーの領域で地質に関連したさまざまな活動を行っている。現在、人材を募集しているので、将来の仕事にしてはどうか」生徒に投げ掛けた。

実習では、3年の松島春吉さん、梅田颯斗さん、根田大樹さんの3人の生徒が「セーブ・ザ・ライフ(SAVE THE LIFE)」)というプロジェクトを立ち上げ、地すべりモデルを作り、砂の水分量を測ることによって、災害を察知しようという研究を行っている。

松島さんは「(モデルの)パーツの説明書が英語で書かれていたりして難しかったが、苦労して完成し、達成感があった」と感想を述べた。この作業は機械的な作業を松島さん、情報を梅田さん、デザインを根田さんが担当し、分業化も試されたという。

SAVE THE LIFEの地すべりモデルを作った梅田颯斗さん(左)と松島春吉さん

石塚校長は「これからも社会的な課題に目を向けていきたい。今回は情報領域の生徒が対象だったが、ほかの領域でもやってみたい。さらに一般の人をいれた講演会もやれたら」と語った。(榎田智司)

何のために悩んでいるのか?《続・気軽にSOS》161

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【コラム・浅井和幸】悩みは人それぞれ。悩む目的も人それぞれ。自分がより良く生きるために悩むのか。それとも周りの人を笑顔にするために悩むのか。自分の苦しさを増やすために悩むのか。それとも相手を苦しめてやろうと悩むのか。

悩み方も人それぞれ。心身の調子を崩して悩んだり。悩むこと自体を楽しみに悩んだり。「どうしてこんなにつらいんだ」という言葉を繰り返しているだけの悩みだったり。嫌な人や物事を思い続ける悩みだったり。

悩んでいる部分も人それぞれ。自分ができる選択肢で悩む人がいる。自分ではどうすることもできない遠い世界のことで悩んでいる人がいる。自分がほとんど影響を与えられない物事で悩んでいる人もいる。

どうしてそんなに悩んでいるの?と聞くと、こんなにひどい環境なんだから悩んで当たり前だろうと回答がある。何を目的に悩んでいるの?と聞いても、目的なんてない、苦しいから悩んでいるんだと返ってくる。

つまり、目的があって悩んでいるのではなく、苦しいから悩んでいるのだという人が多くいるということ。それでも相談室にわざわざ来て料金まで払って来るのだから、苦しさの緩和とか楽しさの増加とかを望むのではないかと決めつけるのは浅はかなこと。

不幸になるために悩んでいる?

多くの人は、苦しくて悩んでいることが悪いことではなく、当たり前のことだ、普通のことだ、一般的なことだ、正しいことだという証明、そのままでよいという許可が欲しいということが、短期的な目的ということも多いものだ。

もちろん、その短期的ということについて、当人は「最終目的」だと感じている。その「最終目的」を達成した後に、時には次の目的が生まれてくることがある。それが、苦痛の緩和や喜びの増加のための悩み。

言葉にすると反発されやすいが、不幸になるために悩んでいるのではないかと感じられる悩み方をしている人は多い。追い詰められると「~するしかない」という口癖とともに、さらに苦しむ時間を増やすループにはまりやすい。

事実を見つめ、できれば喜びという目的に近づく、増やすような手伝いをしたいと考え、思い悩む日々なのです。1人でも多くの人が、今よりも少しだけ力を発揮して、今より少しだけ明日に希望の持てる時間と空間を増やせることを願わずにはいられないのです。(精神保健福祉士)

1日40万人超え過去最高に TX 乗車人員 コロナ前の水準に

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つくばエクスプレス

2024年度営業実績

今年8月開業20周年を迎えるつくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道(東京都千代田区、渡辺良社長)は2日、2024年度(24年4月-25年3月)の営業実績を発表した。1日平均乗車人員は前年度比5.3%増の40万3000人と40万人を初めて超え、過去最高となった。これまで過去最高だった19年度の39万5000人を超えるなどコロナ禍前の水準に戻り、記録を更新した。

同社は、沿線の人口増加が寄与したとしている。2024年度の年間乗車人員は1億4598万3000人。

コロナ禍で大きく落ち込んだ2020年度、21年度から徐々に回復し、コロナ前の水準に戻った

利益剰余金、過去最高に

24年度決算は、乗車人員の増加に伴い運賃収入など本業で稼いだ営業収益は前年度比6%増の479億4100万円、一方、本業にかかった経費である営業費は、人件費やレールの交換など鉄道施設の修繕工事経費などが増加したことから同比4.4%増の382億4000万円になった。

この結果、本業で稼いだ営業利益は同比12.7%増の97億100万円、通常業務で得た経常利益は同比14.5%増の71億9500万円となり、当期純利益は同比1.2%減の59億9400万円と3期連続の黒字となった。ここ10年間ではコロナ禍の20年度、21年度の2年間を除いて黒字経営が続いており、利益剰余金残高は過去最高の136億600万円となる。

一方、鉄道・運輸機構からの借入金である総事業費8000億円の建設資金のうち、24年度は194億円を返済する予定。これにより同機構に対する借入金の残りは3968億円になる。

同社は、乗車人員の増加に伴う混雑緩和のため車両を6両から8両編成にしたり、鉄道設備や車両の更新など経年劣化対策に取り組んでおり、「今後も安全輸送を徹底すると共に、充実したサービスの提供や経営基盤の強化に取り組む」としている。(鈴木宏子)