木曜日, 5月 16, 2024
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博物館の手話通訳ガイド3人が誕生 筑波技術大が育成支援

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研修成果を報告する手話通訳ガイドになった筑波技術大4年の西野弘二さん

【鈴木宏子】聴覚障害者や視覚障害者が学ぶ筑波技術大学(つくば市天久保)が今年度取り組んだ「博物館の手話ガイド育成支援プロジェクト」で、手話通訳ガイド3人が新たに誕生した。2日、同大でプロジェクトの報告会が開かれ、同大と共にガイドの育成に取り組んだ博物館など3館と、ガイドを目指して研修に励んだ3人が成果を報告した。

誰もが分かりやすい展示と案内によって情報のバリアフリー化を進め、みんなが楽しめる博物館を実現していこうと、同大産業情報学科の生田目美紀教授(感性科学)の研究室がクラウドファンディング(資金調達)を実施し、約150万円を集めて6月から約半年かけて取り組んだ(7月24日付)。

ガイドになった3人はいずれも聴覚障害者で、上野の国立科学博物館などで約2カ月間、研修を受け、同館スクールプログラムの手話通訳ガイドになったつくば市に住む同大4年の西野弘二さん▽千葉市科学館で研修を受け同館のガイドになった千葉市に住む宮崎有佐さん▽アクアワールド県大洗水族館で研修を受け、同館のガイドになった那珂市の小林裕美さん。3人は今後、利用者から要望があれば、それぞれの博物館などで手話通訳ボランティアとして活動する予定だ。

「子供たちの視野広げるきっかけになる」

2日の報告会では、ガイドになった西野さんと宮崎さんらが、3館の担当者と共に研修内容や課題などを報告した。

このうち国立科学博物館で研修した同大4年の西野さん(22)は、同館が小中高校や特別支援学校の児童・生徒向けにもともと用意している体験学習プログラムの一つを活用して手話通訳に挑戦した。ばらばらになった骨で人体模型を組み立てるという体験プログラムで、西野さんは、同館に通って実際にプログラムを体験したり、自分で骨について調べ専門用語をあまり使わずに説明する方法を考えた。同大は、手話だけでなくタブレット端末を見せながら説明する画像などを新たに用意した。約2カ月間の研修後、聾(ろう)学校の生徒を対象に同博物館で手話通訳ガイドを実践した。

福井県出身の西野さんは子供の頃、親に連れられてよく県立恐竜博物館に足を運んだという。しかし視覚的情報しか得られず「見て『すごいなー』と感じて終わりだった」。親はその後、何度も、西野さんを恐竜博物館に連れて行ってくれたが、西野さん自身は毎回「すごい」と感じただけで終わりで、そのうち疲れてしまったと振り返った。

一方、今回、手話通訳ガイドとして国立科学博物館で体験プログラムの案内をしたことで、人の骨について学んだ聾学校の生徒が、動物の骨格と人の骨格を比べたり、なぜキリンの首は長くなったのか興味をもつようになったなど「すごいと感じて終わりでなく視野を広げられるようになった」と感じた。西野さんは「聴覚に障害のある子供たちが、自分で調べる姿勢を育むきっかけをつくることができれば」と話す。

同大は来年度、手話ガイド導入を検討している博物館や水族館、動物園などと、手話を生かして活動したい個人をつなぐ活動を続ける予定だ。生田目教授は「両者をつなぐお手伝いをして、施設がより親しみやすいものになれば」と話す。

小さな芸術品「蔵書票」を展示 再開したつくばの古書店

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店内のショーケースに展示された18点の蔵書票=つくば市吾妻3丁目、古書店ブックセンター・キャンパス店内

【橋立多美】つくば市の古書店、ブックセンター・キャンパス(同市吾妻)で、「紙の宝石」と言われ収集の対象になっている蔵書票を紹介する「日本の蔵書票展」が1日から始まった。

蔵書票は本の見返し部分(表紙の内側)に貼って、その本の所有者を記す小紙片のこと。木版や銅板、石版などが用いられ、著名な芸術家が制作を手掛けている。単なる紙片ではなく、版画技法で制作された趣のある小さな芸術品だ。

木版画家・斎藤清の蔵書票を持つ岡田さん=同

日本に蔵書票が広がったのは1900年ごろ。当時の文芸雑誌「明星」が西洋の蔵書票を紹介したのがきっかけ。それまでは本の持ち主を示すものとして朱肉による蔵書印が用いられていた。現在では書物に貼るという本来の目的よりも、小版画としてコレクターの間で交換による交流が行われている。

店主の岡田富朗さん(83)は「蔵書票は本の所有者が作家の得意な絵柄に任せて依頼し、数百枚単位で作成されていたと思う。一色刷りからカラフルな多色刷りまであるが、いずれも趣のある作品ぞろい」と話す。当初の大きさは、切手大からシガレットケースほどだったが、人気が出てからは大きなサイズの蔵書票が見られるという。

同店は会津の木版画家斎藤清(1907ー1999)、版画や彫刻など多彩に活躍した池田満寿夫(1934ー1997)など、高名な作家45人による382点の蔵書票を所蔵している。今展では12人の作家の木版と銅版18点を見ることができる。

前身は古書店街の1軒

岡田さんは、筑波研究学園都市の形がほぼ整った1990年代初め、同市天久保にあった古書街の1店舗を経営していた。5店の古書店が軒を並べ、文系、理系、美術系の古書がそろい、学生と多くの市民でにぎわった。

その後、岡田さんの店は閉店。4店舗のうち残った1店舗が昨年3月に閉店して、つくばから古書店街は姿を消した。

家族の勧めもあり、岡田さんは「つくばに古書店を再び」と思い定めた。今年、新刊本を売っていたブックセンター・キャンパスで20年ぶりに店舗営業を再開した。広さ約160平方メートルの店舗に江戸や明治、大正、昭和期の古書数万冊が顔をそろえている。

◆「日本の蔵書票展」の会期は12月30日(月)まで。営業は午前10時~午後4時、火曜日定休。同店はつくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い)。店舗の裏に駐車場有り。電話は029-851-8100。

数万冊の古書が並べられた店内=同

だれもが利用できるUDタクシーに 障害者が運転手に通達手渡す つくば駅前

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タクシー運転手にチラシを渡す川端さん(手前)=つくば駅前

【山口和紀】車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーの普及が進む一方、車いす利用者に対する不当な乗車拒否が全国で相次いでいる問題で、つくば市の障害者支援団体「つくば自立生活センター ほにゃら」メンバーの障害者らが11月30日、つくば駅前で、タクシー運転手一人ひとりに「不当な乗車拒否は道路運送法に違反する」などの国交省通達が書かれたチラシを直接手渡した。

UDタクシーは、車いすの障害者や足腰の弱い高齢者、ベビーカーを使う親子連れなどが乗りやすいよう設計された新しいタクシー車両で、運賃も通常のタクシーと変わらない。国が認定制度を設け普及を推進している。

一方で、車いす利用者の乗車拒否が全国各地で相次ぎ、障害者の当事者団体「DPI日本会議」が10月に行った全国調査では、調査に参加したおよそ4分の1の32人が乗車を断られた。

こうした事態を受けて国交省は11月19日、全国ハイヤー・タクシー連合会に対し通達を出し、電動車いす利用者であることや、乗降に時間がかかることを理由として乗車を拒否することなどが、道路運送法に違反するとはっきり示した。

通達を広く知ってもらおうと、タクシー運転手にちらしを手渡す活動に参加したのは、いずれも車いす利用者で、つくば市在住の川端舞さん(27)、川島映利奈さん(37)、鶴岡信也さん(23)。つくばエクスプレス(TX)つくば駅ロータリーで客待ちをしているタクシー運転手に話し掛け「このような通知が出ていますので、お時間のある時にお読みください」と約1時間半にわたって計15社の運転手にチラシを配った。

参加者した川端さんは自らの体験を振り返り「スロープを使って車いすで乗り込むのは、慣れてない運転手だと時間がかかる。乗り込むまでの時間を運賃に上乗せされた経験がある。それはやっぱりおかしい」と話す。

川島さんはUDタクシーに乗ろうとして断られた経験がある。つくば市内のタクシー会社に予約の電話をしたところ「UDタクシーを扱える運転手が一人しかいない。その日は出勤していないので無理」と言われたという。同じく川端さんも「前に乗ったことのある会社だったのに、電話をしたら『UDタクシーはない』と言われ断られた。おかしな言い訳だ」と語った。つくば市でも正当な理由なく乗車拒否が起きているのが現状だという。

川端さんは、運転手の研修が十分に行われていないことも問題だと指摘する。「障害をもった私たち当事者を研修に呼んでほしい。例えば関東鉄道バスは、当事者を交えた研修を行うようになってから対応がとても良くなった。声を掛けてもらいたい」と呼び掛ける。

川島さんによると、UDタクシーは「車いすのまま乗れる、介護タクシーと違ってタクシー会社がやっているから24時間いつでも利用できる、料金も通常のタクシー運賃と同じ」なのが利点だという。鶴岡さんも「駅に着いてすぐに(UDタクシーに)乗らせてもらえるのが一番いい。営業所などにわざわざ連絡しなくてはいけないはおかしい。普通にタクシーに乗りたい」とだれもが利用できるUDタクシーの在り方を訴えた。

チラシを手渡す活動をした3人=同

台風に負けない新そばデビュー 土浦・小町ふれあいまつり

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「スジがいい」とほめられながら手打ちに挑むそばまつり参加者=土浦市小野「小町の館」

【相澤冬樹】茨城県南きってのソバ産地である土浦市新治地区で30日、令和初の新そばを振る舞う「小町ふれあいまつり」が開かれた。台風19号で県北地方を中心に収穫直前のソバ畑が浸水し、壊滅的な被害が出た県産ブランドの「常陸秋そば」だが、新治地区では大事に至らず収穫出来たそう。会場の同市小野、小町の館にはもみじ狩りの行楽客も駆けつけて、地元のそば愛好会による手打ちそばなどに舌鼓を打った。

11回目を迎えたふれあいまつりのメーン行事が「そばまつり」。同市農業公社が新治地区で契約栽培する「常陸秋そば」を初めてお披露目する機会にしている。この日は好天に恵まれ、地元JAの農産物や加工品販売もあって、朝10時の開会を待ちきれないように車列が会場周辺を埋めた。

新治地区の下坂田、大畑の両そば愛好会が新そばを持ち込み、茹であげ、天ぷらそばなどにして販売するほか、そば打ち体験イベントや「小町の水車」の石臼挽きデモンストレーションなどが行われた。そば店には仕込み作業中から行列ができ、各店300~400食のそばを早々に売り切った。

新そばの常陸秋そばに舌鼓を打つ参加者=同

同公社は新治地区で15軒の生産者と契約し、加工したそば粉を販売している。その作付面積は73ヘクタールに及ぶ。矢口勉事務局長は「昨年一昨年と台風被害で契約数量が調達できない不作をこうむっていただけに、今年の台風19号には心配させられた。しかし花の時期が終わっていたため何とか被害を免れて、実のしっかり入った出来のいいソバの収穫ができた」という。

そば打ち体験イベントを催した下坂田そば愛好会のメンバーは「新そばは香りが大事。今年は打っていても香りが違うし、ややグリーンがかった色合いもいい。いいそばが打てそうだ」と評価する。体験イベントには毎年のように参加する常連が少なくない様子だが、「新そばは水加減が難しい」と言いながら手でこね、のし棒に巻き付けて延ばす作業に励んでいた。

新たに9品をブランド認定 筑波山地域ジオパーク

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今年度新たに認定された9商品=つくば市役所

【鈴木宏子】筑波山や霞ケ浦、関東平野などで構成される「筑波山地域ジオパーク」をPRする同ジオブランド認定商品として29日、ワインやクッキー、しょうゆなど7事業者の9商品が新たに認定された。

いずれも同ジオパーク地域内で採れた食材を使ったり、地域内で製造された食品で、食を通じて同ジオパークを発信することが期待されている。認定は昨年度に続き2回目。昨年度の認定商品11事業者13商品と併せ、認定商品は計22商品となった。

今年4月から6月まで公募し、応募があった8事業者10商品の中から選ばれた。29日、つくば市役所で認定証授与式が催され、同ジオパーク推進協議会会長の五十嵐立青つくば市長から7事業者に認定証が手渡された。

筑波山地域ジオパーク推進協議会会長の五十嵐立青つくば市長(中央)と記念撮影をする認定事業者ら=同

同ジオブランド審査委員会の田中牧子委員長は「各ゾーンのお土産がだいたいそろった。今後はグルメツアーを考えたり、販売方法を検討したい」と語り、五十嵐市長は「おいしいものがジオパークにつながっていることを知っていただく機会になる。各地で商品を宣伝していきたい」と述べた。

今回認定を受けたジャムファクトリー代表の大類由美子さんは「梅畑の隅に受粉木として植えられている小梅を使ってジャムを作った。認定をきっかけに、さらにいろいろな人に知ってもらえたら」と話していた。

認定商品は、筑波山ジオパークの公式ロゴマークを商品に付けて販売できる。各店の店頭やジオパーク関連イベントなどで購入できるが、現在、認定商品を一堂に展示・販売している店舗はないという。

新たに認定された7事業者の9商品は、▽筑波山麓のワイン畑、ビーズニーズヴィンヤーズ(つくば市)の赤ワイン「オーバードライブ」(750ミリリットル、4000円~4200円)と白ワイン「スパイラル」(同、3800円)▽久月総本舗(土浦市)の帆引き船をイメージした洋菓子アーモンドチュイル「帆引れんこん物語」(10枚入り、1425円)と、県産食材を使ったケーキ「常陸のスフレ」(8個入り、1857円)▽茨城産大豆を2年発酵熟成させた鈴木醸造(桜川市)の丸大豆しょうゆ「筑波山」(150ミリリットル、356円)▽霞ケ浦産のワカサギとエビの佃煮を使用した高月堂(土浦市)のクッキー「霞浦の恵み」(10本入り、2480円)▽小梅を使ったジャムファクトリー(つくば市)のフルーツソース「筑波山麓果実 小梅のフルーツソース」(140グラム、800円)▽北条米と筑波山地域で収獲された野菜と肉を使用した吉屋(つくば市)のつくば道弁当(1000円)▽石岡産甘柿の上品な味を凝縮させた三宝園(石岡市)のドライフルーツ(5袋入り、1500円)。価格はいずれも消費税込み。

「エリザベスって何?」 土浦市展に高校生が新風

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写真部門などに高校生の出品が目立つ土浦市展=市民ギャラリー(土浦市大和町)

【相澤冬樹】第72回土浦市展(同市美術展委員会など主催)が28日から、市民ギャラリー(同市大和町アルカス土浦1階)で始まった。日本画、洋画、書など7部門に作品375点が出展されるなか、高校生の参加が増え、異色作も飛び出して、新風を吹き込んでいる。

市展事務局によれば、今回は写真と書道の両部門を中心に学生層の出展が増えた。特に高校生の参加が目立ち、書道部門では応募が前回の9点から19点に増え、前回ゼロだった写真部門では一気に21点も集まった。県立土浦二高、常総学院高、霞ヶ浦高を中心に出品があった。

1947年にスタートした同市展は、県内で最も歴史がある公募型の展覧会だが、近年は顔ぶれの固定化と老齢化が顕著になっていた。一昨年、会場を土浦駅前の市民ギャラリーに変更したのを機に、若い才能の発掘を意図して、高校生の出品料を無料にするなどテコ入れを図ってきた。

事務局の市教委文化生涯学習課によれば、今回は各校に直接連絡を取るなどして、出展を促す一方、市内の高校10校が参加した「学祭TSUCHIURA2019」の開催などにより、高校生の参加機運も盛り上がったという。

審査で優秀作に与えられる奨励賞にも写真で2人、洋画と彫刻で各1人の高校生が選出された。写真部門の審査では「奨励賞に選んだ内海優菜さんの作品に付けられた『エリザベス』って何なのか審査員の誰一人分からなかった。後でアニメのキャラクターだと分かってあ然とした」そうだ。

2年連続で奨励賞を受賞し、鑑賞に来ていた高橋政男さんは「写真は毎回似た顔ぶれで狭いスペースに押し込められていたのに、今年は広くなった上に2列で展示している。若い人の参加で活気が伝わってくる」と話していた。

土浦市展は12月8日まで。30日、12月1日、7日、8日の土日には、出品作の前で美術展委員らが解説するギャラリートーク企画もある。入場無料。問い合わせは同ギャラリー(電話029-846-2950)

サンタになって子どもたちに笑顔を届けたい つくばのボランティア活動

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チャリティーサンタの活動の様子。これから訪問の準備をする

【山口和紀】クリスマスイブの12月24日、サンタクロースにふんして家庭を訪問し子どもたちにプレゼントを手渡す活動がある。クリスマスの楽しい体験を通じて「子供たちに笑顔を」届けるのが狙いだ。サンタにふんして訪問するだけでなく、活動を通して得られた寄付金で貧困家庭や被災地を支援するチャリティー活動も行う。

この活動はNPO法人チャリティーサンタが取り組んでいる。同つくば支部(岸野史男代表)では、今年のクリスマスイブにサンタクロースに訪問して欲しい家庭と、サンタにふんして家庭を訪問し子どもたちにプレゼントを手渡すボランティアを募集中だ。

同法人は「世界中の子どもたちに笑顔を」というコンセプトのもと、幅広い活動を行う。現在26都道府県で活動しており、これまで1万5000人以上の大人たちがサンタとなって3万人を超える子どもたちにプレゼントを届けた。

市内NPOの活動に参加し子どもたちに絵本を渡している様子

同つくば支部は、つくばみらい市内在住の会社員、工藤咲希さん(25)が、つくば市にチャリティーサンタがないことを知り「子どもたちに、とっておきのクリスマスを届けたい」と2017年に立ち上げた。工藤さんは、大学時代からチャリティーサンタの活動に興味があり、いつか参加したいと考えていた。秋田県立大学を卒業後、つくば市に勤務することになり、そこで「つくばにチャリティーサンタがないのはもったいない。ないなら作ればいい」と思いたち、立ち上げを決めた。

子どもの頃、テレビで貧困の中にある世界の子どもたちのことを見た工藤さんは、クリスマスを前に「私のプレゼントはいらないので、世界の困っているこどもたちにプレゼントをあげてください」と手紙を書いて、家の窓際近くの、手紙が入る大きな靴下に入れたという。結局、その年は、英語で書かれた手紙と共にプレゼントが置いてあった。今思えば「お父さんが慣れない筆記体で書いた手紙だった」が、当時は「本当にサンタさんが来た」と、とてもうれしかったことを覚えているそうだ。

現代表の岸野史男さん(41)はフリーランスのライターでつくば市内に住む。つくば駅などで清掃活動を行う団体「グリーンバード」で活動をしている際に工藤さんからチャリティーサンタに誘われた。初年度からともに活動している。工藤さんは「(岸野さんなら)広い視野で、子どもたちのために何ができるか、どういう大人であるべきかを考えられる」と代表を引き継いでもらったという。

チャリティーサンタの主な活動のひとつが「サンタ活動」だ。申し込みがあった子育て家庭の自宅に、サンタの服装をしたボランティアが訪問し、各家庭が用意したプレゼントを届ける。単に手渡すだけではなく、家庭と事前に打ち合わせをし、一人ひとりの名前を呼びつつ、「頑張ったこと」「応援してほしいこと」などのメッセージを届ける。「(サンタ活動は)むしろ、やっているこちらが感動させてもらえる」と岸野さん。「子どもたちに特別な思い出を届けることができたら」と語る。訪問した家庭の子どもたちから、折り紙の裏に絵が書かれた手紙をもらい、「今でも大切にしている」とうれしそうに話す。

同団体では併せて、経済的な問題を抱える家庭を支援する活動「ルドルフ基金」も行う。訪問した各家庭から寄付金3000円を募り、集まった寄付金をもとに貧困家庭の子供たちにプレゼントを届けるなどの事業に活用している。市内で貧困家庭の子供たちを支援するNPOなどとも協力して活動しており、昨年12月にサンタを招いた団体のスタッフは「子どもたち一人ひとりに絵本を下さった。それも、一人ひとりに合った絵本を選んでくれた。とてもいい経験になったと思う」と感謝を述べる。

岸野さんは「活動には実際にやってみないと分からない魅力がある。少しでも興味があったら気軽に参加をして欲しい」と話す。今年度の「サンタ活動」のボランティアや訪問する家庭は募集中だ。

また他の地域のチャリティーサンタは学生が中心となりサークルのような形で行っていることが多いが、最初に始めた工藤さんが社会人だったこともあり、同団体を運営するスタッフは社会人を中心に5人。「筑波大学や筑波学院大学の学生など、若い力を貸して欲しい」と、学生の運営スタッフも同時に募集する。夏には被災地の子どもたちと自然体験ツアーを行うなど、クリスマスだけでなく1年を通じてチャリティーサンタの普及活動をしている。

サンタになりたい人、サンタを呼びたい家庭の申し込みはNPOチャリティーサンタHPへ。

「地域」を撮ったコレクション つくば「夢工房」所蔵品展

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「東京を撮る」のコーナー前で、自作について語る塚田さん=つくば市「夢工房」

【池田充雄】つくば市豊里の杜のギャラリー「夢工房」で、所蔵品展が開かれている。12月1日まで。ギャラリー主宰の塚田幸子さんがコレクションした写真・陶芸・彫刻や、賛助作家によるミニ写真展、塚田さんと仲間による「東京を撮る」の特設展示など、幅広い作品を見ることができる。

最終日にはトークショーも

壁面構成の大部分を占めるのは写真の展示だ。柳下征史さんの「ひだまりの茅葺(かやぶ)き民家」6点は、大子町など県内の古民家を、地域の風土や生活とともに捉えたもの。柳下さんはこのテーマを20年ほど撮り続けており、ほかに金砂郷(常陸太田市)の磯出大祭礼の記録集などでも知られる。

篠崎隆さんは「黎明(れいめい)の筑波嶺」「追憶ふるさと点描」の計6点。「追憶―」シリーズは、桜川市の神事や民俗行事を収めたもの。テレビ局などを活動の場としてきた映像作家で、「映画を作る合間に撮った」というが、作品性とともに記録的価値も高い。

写真ではほかに清水雅之さん「足尾探求」、英伸三さん「里の農の記憶」、金瀬胖さん「日本橋」など。それらの間に市村緑郎さん、井上壽博さん、一色邦彦さんらの彫刻や陶器が、要所を押さえるかのように配されている。これらは塚田さんが「そのときどきに出会い、惹かれたもの」であり、やはり県内作家の作品が多い。

いままで個展を中心としてきた同ギャラリーとしては、新たな試みとなった。「これだけのスペースでも、1つのタイトルだけで展示をまとめるのは大変な作業。年に一度くらいはこのように、さまざまな人に参加していただければ、それも一つのやり方かな」と塚田さん。次の展開としては、筑波山麓の自然と暮らしが息づく写真展などを考えているという。

開廊は午前10時30分~午後4時、入場無料。12月1日午後1時30分からは、篠崎隆さんの映像作品「常陸国風土記」上映会とトークショー(コーヒー付き2000円)がある。

◆Cafe&Gallary夢工房(つくば市豊里の杜2丁目2-5、電話090-4676-9623)

バリアフリーな演奏を楽しんで 土・日にカスミつくばセンターで音楽祭

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「ムシカヒストリア音楽祭」公演チラシ

【田中めぐみ】カスミつくばセンター(つくば市西大橋)で30日と12月1日の2日間、「ムシカヒストリア音楽祭」が開かれる。クラッシック音楽を通し、楽しみながら音楽の歴史を学ぶ体験型コンサートで、茨城県にゆかりのある演奏家を中心に2日間で約60人が出演する。0歳から大人まで年齢を問わず参加できるという。

振動で音を感じるインターフェースの装着体験も

30日には、箏(こと)や尺八、バイオリン、ピアノなどの演奏のほか、県立下館工業高校のジャズバンド部総勢25人が登場する。また、観客に楽器を持ち込んでもらい、舞台で一緒にパッヘルベルのカノンを演奏する体験型コンサートも行う。

12月1日には、聴覚障がい者にも音楽を楽しんでもらえるよう、音を振動で感じることのできる富士通のインターフェース装置「Ontenna(オンテナ)」20台を貸し出す。髪にクリップで装着して使用するもので、貸し出しは聴覚障がい者優先だが、健常者も体験が可能。オンテナ使用のコンサートは市内では初という。障がいの有無にかかわらず、全ての人にコンサートを楽しんでもらいたい考えだ。

12月1日に出演するVOJA-tensionの3人(左から)つくば市出身の榊原暁さん、日立市出身の朝日さん、林夏葵さん

また、7人のゴスペルユニットVOJA-tension(ボジャ・テンション)から榊原暁さん、朝日美貴さん、林夏葵さんの3人が出演。榊原さんはつくば市、朝日さんは日立市の出身。つくば市在住のフリーアナウンサー、鈴木もえみさんによる「くるみ割り人形」の朗読も行われる。

「自由・平等・友愛」がテーマ

音楽祭を主催する音楽通史ムシカヒストリアの代表小又史江さんは、クラッシック音楽をもっと気軽にリラックスした雰囲気の中で楽しんでほしい、と昨年からつくば市内でコンサートを企画し、開催している。小又さんは、「来年は自由・平等・友愛の理念に共感した音楽家、ベートーベンの生誕250周年に当たる。今回も自由・平等・友愛をテーマにして、演奏家と観客の距離の近いコンサートを目指した。障がいのある人も無い人も平等に音楽を楽しんでもらえるように工夫した。一つの価値観ではなく、いろんな感じ方で自由に音楽を楽しんでもらえたら」と話す。

イベントは、食品スーパーのカスミ(つくば市、石井俊樹社長)の「第27回『わたしの企画』応援します!」に採択された企画。同日にはXmas Town(塙千佳子代表)が主催するクラフトマーケットと音楽フェスティバル「Xmas Townつくば」の同時開催。2日間で約130店が出店するほか、屋外ステージでのライブも行われるという。

◆ムシカヒストリア音楽祭2days

30日(土)午前10時~午後5時、12月1日(日)午前10時~午後4時半。会場はカスミつくばセンター(つくば市西大橋599-1)。入場料は100円(中学生以上、福祉事業に全額寄付)当日は研究学園駅から無料シャトルバスが運行される。

問い合わせは、カスミ環境社会貢献部(電話029-850-1824)

助産院に180万円返還請求 つくば市産後ケア、契約通り実施せず

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つくば市役所

【鈴木宏子】つくば市が民間医療機関や助産院などに委託して実施している産後ケア事業について、委託先の一つである市内の助産院が、昨年8月から今年8月までの間、契約通りに事業を実施しなかったとして、同市は助産院に対し、委託料など計180万7500円全額を返還請求すると発表した。12月3日開会の市議会12月定例会に同和解案を提案する。

市健康増進課によるとこの助産院は、同市が産後ケア事業をスタートさせた昨年5月に市と委託契約を結んだ。その後、昨年8月から今年8月までの間、12組の母子に計48回産後ケアを実施した。

一方、契約では、助産院を経営する助産師の女性のほかに、助産師2人が産後ケア事業に従事するとなっていたのに、実際は助産師2人は勤務実態が無く2人の名前が無断で登録されていた。さらに、産後ケアの実施場所として市内のクリニックで通所型と宿泊型サービスを実施するとされていたにもかかわらず、48回のうち39回は、自身が経営する助産院や経営者宅のゲストハウス、利用者の自宅などで通所型と宿泊型のケアを実施していた。ケアの実施時間も、通所型は午前10時から午後4時までと規定されているにもかかわらず、午後2時までで打ち切るなど、スタッフ体制、ケアの提供場所、時間帯について、契約通り実施しなかったとされる。

今年8月、サービス提供場所として登録されていた市内のクリニックから市に対し「(同クリニックでは)5月までで(産後ケアを)やらなくなったのに、市から郵便物が届いている」などの問い合わせがあり発覚した。一方で利用者から苦情などは無く、利用者アンケートの満足度も「良かった」「まあまあ良かった」という回答だけだったという。

発覚を受けて市は同助産院への委託を8月に取り止めた。市によると、助産院経営者は契約不履行を認め、市に対し「勝手に解釈し、契約と少しぐらい変更があってもいいと甘く考えていた」などと話しているという。返還請求する約180万円の内訳は、市が事業者に支払った委託料が約164万円、利用者が負担した額が約16万円。

再発防止策として同課は、来年度から予告なしの立ち入り検査を実施するほか、従事したスタッフが署名し押印をする形式に、用紙の書式を変更するとしている。

産後ケア事業は、出産後、産後うつになるなど心身に不調をきたしたり、育児に不安がある母親を対象に、生後6カ月までの乳児の育児相談に乗ったり、授乳やもく浴の指導をしたりする事業。同市では今回、委託を取り止めた助産院を含め市内外の医療機関や助産院計6事業所に委託している。通所型(市の委託料は1回2万2500円、利用者負担は同2500円)と宿泊型(委託料は1回5万円、利用者負担5000円)があり、1人7回まで利用できる。18年度は5月以降、26人が117回利用、19年度は9月末までに47人が60回利用したという。

サンガイア(V2)開幕5連敗 巻き返しに布陣整うも

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ホーム開幕戦に臨むサンガイアの選手たち=霞ケ浦文化体育会館(土浦市大岩田)

【池田充雄】バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイアは23日、2019-20シーズンのホーム初戦として、土浦市大岩田の霞ケ浦文化体育会館でヴォレアス北海道と対戦。セットカウント0-3で敗れた。つくばは開幕から5連敗したが、24日は同会場で兵庫デルフィーノと対戦し、3-0で勝利。この結果、順位を12チーム中8位に上げている。

つくば 0 - 3 北海道
19-25
22-25
21-25

チームの勢いの差が結果に出た。北海道はVリーグ加盟3季目で、今季V2初挑戦ながら無敗で首位を走る。対してつくばはここまで上位陣との試合が続き、その中で結果が伴わず苦しんでいる。この日も各セットの序盤はつくばが先手を取りながら、サーブミスなどで自ら流れを切ってしまい、北海道に逆転を許すという展開が続いた。

第1セット、北海道の多彩な攻撃に苦しむ

「チームの強みである攻撃力を出しきれなかった。相手の多彩な攻撃や高さのあるブロックに対し、守りきることができず、思うようにされてしまった」と都澤みどり監督。「ホームの力を借りて連敗をストップさせたかったが、できなかった悔しさがある。負け続けると自信がゆらいでくるが、練習でやってきたことに間違いはない。それを信じて明日の試合も頑張りたい」と浜崎勇矢主将。

収穫は若手成長株

戦力的には昨季を通じて大幅に厚みを増し、特に若手は成長株が揃っている。加えて今季は、廣瀬優希がV1のジェイテクトSTINGから加入。日立市生まれ、霞ケ浦高出身の26歳のミドルブロッカーだ。経験を生かして早くもコートの内外でリーダーシップを発揮しており、浜崎主将も「廣瀬が入ってくれて自分の負担が軽減された。チームの雰囲気も明るい」と喜ぶ。

新加入選手、ミドルブロッカーの廣瀬優希

ポジションの流動化も進んだ。奥村航はミドルブロッカーに加えオポジットもこなし、さらに攻撃力を発揮できるようになった。曹海倫はミドルブロッカーとしてその高さを守備にも生かす。こうした采配の妙が、今日の試合でも後半に拮抗した場面を作り出していた。

上位陣との対戦が一通り終わった今が、仕切り直しのチャンスでもある。「これまでの試合でも手応えは感じている。あとは勝ちきること。勝ち方を覚えればポンポンといけると思う」と都沢監督。浜崎主将も「今は個々のスキルに頼るバレーになっている。チームで展開を運べたら強いチームになれる。全員バレーで勝ちに行きたい」と巻き返しを誓う。

殻ごと食べられる霞ケ浦・北浦産のテナガエビ 加工品が県品評会で農水大臣賞

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農林水産大臣賞を受賞した大輪水産の「大えび赤煮」(茨城県水産物開発普及協会提供)

【山崎実】海のエビに比べ、殻ごと食べられる淡水のテナガエビはカルシウムが多く最近、人気の食材になっている。茨城県の沿海と霞ケ浦・北浦部門の製品を一堂に集めた今年度の「茨城県水産製品品評会」で、霞ケ浦・北浦産のテナガエビを原料にした「大えび赤煮」(大輪水産、行方市)が農林水産大臣賞を受賞した。テナガエビでの大臣賞受賞は。2009年以来10年ぶり。

茨城のテナガエビ生産量は253トン(2018年)と全国一を誇り、続く青森の25トン、北海道の12トンを引き離している。今回の受賞を契機に改めて消費者の関心を集めることになりそうだ。

品評会は水産加工業の発展と品質の向上を目的に1963年から毎年行われており、今年度は沿海部門が113点、霞ケ浦北浦部門が250点の計363点(昨年度は365点)が出展された。

全般的には丸干しや開き、佃煮など伝統的な製品を基調にしながら、消費者ニーズに対応するため、そのまま食べられる調理の手間が少ない製品や、洋風の味付け製品もあった。沿海部門では、シラス、サバの塩干品のほか、豊漁のメヒカリ、ツブガイ、ハナダイなど地魚の加工品が目立ったのが特徴。

特に注目されたのが初めて農林大臣賞に輝いた「大えび赤煮」。5センチ前後の大きなエビだけが使われ、鮮度を保ち、煮くずれがなく「調味に白しょうゆを使用することで『柔らかくて甘い香り』や『上品な味』などのおいしさを併せ持つ製品」(講評)と高い評価を受けた。

沿海、霞ケ浦北浦部門で農林水産大臣賞を受賞した製品は、来年開かれる全国農林水産祭・天皇杯の受賞候補になる。今年度の品評会の主な受賞製品は次の通り。

〈沿海部門〉▽農林水産大臣=北海蒸し蛸(樫寅、ひたちなか市)

〈霞ケ浦北浦部門〉▽農林水産大臣賞=大えび赤煮(大輪水産、行方市)▽水産庁長官賞=はぜ佃煮(中村商店、かすみがうら市)、若さぎ甘露煮(山澤水産、潮来市)▽県知事賞=白魚煮干(貝塚忠三郎商店、かすみがうら市)、くるみちりめん(はしもと、行方市)、海老の佃煮(箕輪名産店、土浦市)

「温かさあふれる市政」実現へ 安藤市長が初登庁 土浦

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初登庁し支持者や女性職員から次々と花束贈呈を受ける安藤真理子市長(中央)。「たくさんの人たちが来てくれて本当にうれしく、選挙中のことが頭をよぎった」という=土浦市役所前うらら大屋根広場

【鈴木宏子】土浦市長選に初当選した安藤真理子市長が22日初登庁した。同市初の女性市長。安藤市長は市幹部職員を前に、選挙戦で公約に掲げた「温かさあふれる市政」を実現したいと強調し、「可能な限り市民や市職員の意見に耳を傾け、話し合いながら市政に取り組みたい」と抱負を述べた。

午前8時過ぎ、市役所1階ロビーとうらら大屋根広場には約500人の支持者や市職員が集まり、拍手で初登庁を出迎えた。安藤市長は、選挙戦で着用したピンクのスーツとは異なり、シックなスーツ姿でワゴン車から降り、支持者や女性職員から次々と花束を手渡された。

続いて市幹部職員約70人を前に訓示。①市民の暮らし満足度ナンバーワンの実現②子育て支援と女性の活躍の場所づくり③市財政の健全化ーなど7つの公約を改めて強調し、「すべての市民に寄り添った『温かさあふれる市政』を実現するため7つの公約は必要不可欠」「県議としての経験を生かし企業誘致や土浦ブランドセールスの先頭に立って財源確保に努める」などと強調した。

さらに「公約実現には職員の皆さんの力が必要。市民のいろいろな声を形にするため、スピード感をもって課題に取り組み、職員にも積極的にアイデアを出してもらい、国、県と連携を図って土浦市のために全力を尽くしたい」と話した。「市民サービスの向上には職員の明るい笑顔が何より大切。明るく生き生きと職務に励んで市民を温かくお迎えする雰囲気づくりをしてほしい」などとも言い添えた。

続いて行われた記者会見で、副市長人事について質問が出たが、安藤市長は「いろいろな人の意見をお聞きし協議したい。具体的に話ができる段階ではない」とし、12月議会の会期中には新たな副市長人事を提案しない見通しを示した。

中川市長、五頭副市長が退任 土浦市

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花束贈呈を受け退任のあいさつをする中川清市長(手前左)と五頭英明副市長(手前右)=土浦市役所1階ホール

【鈴木宏子】土浦市長を4期16年務めた中川清市長(74)が21日、任期満了を迎え退任した。2期目から11年間、中川市政を支えた五頭英明副市長(74)も中川市長と共に同日付けで退任した。

同日午後5時15分から、市役所1階ホールで退任セレモニーが催された。中川市長と五頭副市長は女性職員から花束贈呈を受け、約500人の市職員や市民らに拍手で見送られた。

集まった市職員らを前に中川市長は「16年間、皆さんのお陰でつつがなくやってこられた、いろいろ仕事をやってきたつもりなので、これから実が大きくなって花が開く。後の人がしっかりやってくれることに期待したい」と話した。

五頭副市長は「50年間、土浦市に奉職できたのは皆さんのお陰。今土浦市はサイクリングという明るい話題が出ており、この機を逃さず民間の人と力を合わせてサイクリングの街にしていってほしい。一市民としてできることはやっていきたい」などと話した。

拍手が鳴りやまない中、市役所1階ホールに集まった約500人の市職員や市民らと笑顔であいさつを交わす中川清市長(中央)=同

退任セレモニーの後、市役所前のうらら大屋根広場では、駅西口や東口をイルミネーションで飾る「第27回土浦ウインターフェスティバル」の点灯式が催された。中川市長は五頭副市長と共に、最後の公務として点灯式を行い、16年間の公務を終えた。

10日投開票が行われた市長選で、中川市長は5期目を目指したが、新人の安藤真理子氏に敗れた。

市職員出身の五頭副市長は2005年4月に市長公室長から収入役になり、中川市長2期目途中の08年7月から副市長に就任した。来年6月の任期満了を待たず職を辞した。

【カレーのまち土浦】給食の思い出たどり 高校生がツェッペリンの歴史ひもとく

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亀城プラザにあるツェッペリン伯号の模型近くに立つ高校生ライターの酒井明日香さん

「第16回土浦カレーフェスティバル」が23、24日の2日間、J:COMフィールド土浦(川口運動公園)で催される。土浦のご当地カレーといえば「ツェッペリンカレー」だ。学校給食にも出されていることから今や土浦の子供たちのソウルフードにもなっているという。今年は、世界最大級の飛行船ツェッペリン伯号が土浦に寄航してちょうど90周年に当たる。カレーフェスティバルを前に、土浦日大中等教育学校の5年生(高2)3人が、ツェッペリンカレーの歴史をひもとき、土浦がなぜ「カレーのまち」と呼ばれるのかを探った。

給食のツェッペリンカレー。盛り付け方は子どもたちの自由(土浦第一給食センター提供)

【高校生ライター/酒井明日香、笠倉斗真、石田日菜子】土浦では2004年から毎年、カレーフェスティバルが開催されている。今年は市内のレストランや飲食店28店のほか、全国各地から計50店が出店して、土浦をカレーの街として盛り上げる。

カレーを通じたまちおこしは、老舗料亭「霞月楼」の専務、堀越雄二さんらによって取り組まれた。堀越さんによると、ツェッペリンカレーの名称は、当時世界最大級のドイツの飛行船「ツェッペリン伯号」に由来している。

90年前の1929年8月、ツェッペリン伯号は世界一周の途中で、霞ケ浦海軍航空隊(現在の阿見町と土浦市)の飛行場に寄航した。第一次世界大戦に勝利した日本はベルサイユ条約に基づき、ドイツから飛行船用の格納庫を押収し霞ケ浦飛行場に移設した。その飛行船用格納庫があったこと、近くに湖畔があり見晴らしがよく風が穏やかなことから寄港地となった。その格納庫は長さ240メートル、間口73メートル、高さ35メートルもある巨大なもので「押収格納庫」と呼ばれていた。

全長236.6メートル、最大直径30.5メートルもある巨大な飛行船に、県内だけでなく東京などからも見物客が押し寄せた。ツェッペリン伯号を見るために4日間で30万人の見物客が集まり、「君はツェッペリンを見たか」という言葉が合い言葉のように広くに知れ渡ったといわれる。

堀越雄二さん(左)に土浦のカレーの歴史を取材する高校生ライターの石田日菜子さん(中央)と笠倉斗真さん(右)=土浦市中央、霞月楼

乗組員にカレーふるまう

当時、飛行船の乗組員を歓迎し、カレーを振る舞ったという。当時のレシピを探し当て再現した堀越さんは「少し粉っぽくて、今の人の口にはあまり合わなかった」と振り返る。右籾でとれたジャガイモ、霞ケ浦のシラス、川魚などが入っていた。ただし当時のレシピは紛失してしまい、今はもう「幻のカレー」だという。

その逸話をもとに、土浦商工会女性会が現代風にアレンジしたツェッペリンカレーを考案し、2004年から「食のまちづくり検討委員会」が組織され、カレーによるまちおこしの取り組みが始まった。

現在ツェッペリンカレーは土浦名産のレンコンなどを使うルールになっている。レトルトとしても市販されており、地元野菜と茨城の銘柄豚肉ローズポークが入っている。

学校給食で大人気

学校給食で出されているツェッペリンカレーについて管理栄養士の御代彩乃さん(中央)らに取材する高校生ライターの酒井さん(左)=土浦市下高津、土浦第一給食センター

土浦市の小中学校では2006年2月からツェッペリンカレーが小中学校の給食の献立にも登場する。土浦の歴史に親しみながらおいしく食べてほしいと、現在は年に3回給食に出る。土浦生まれの記者も小学校の時に食べたことがあり、楽しみにしていたメニューの一つ。

給食とはいえ、具材には土浦産のレンコンで作ったレンコンチップス、ブロッコリー、ジャガイモが添えられている。ライスはターメリックライスで、仕上げにはガラムマサラと本格的なカレーだ。

土浦第一給食センターの管理栄養士、御代彩乃さんによると、ツェッペリンカレーを初めて給食に出した時は多少辛かったそう。これを子どもの口に合うようにフルーツチャツネの量を増やして何度も改良を繰り返した。そのかいあってか今ではとても人気のメニューとなっており、残飯もほとんどないという。

給食に出されることになった理由は、ツェッペリン伯号についてカレーを通して楽しく学べて、土浦の歴史をたくさんの子どもたちに継承できるからだそうだ。

亀城プラザに20分の1の模型

現在、亀城プラザにツェッペリンの20分の1の模型、「まちかど蔵 野村」の蔵の一つにツェッペリンの資料が展示されている。堀越さんが所属する「土浦ツェッペリン倶楽部」が作成、収集した。堀越さんは現在同倶楽部の広報担当として活動する。

同倶楽部は飛行船による街づくりをテーマに結成された。模型は市制施行60周年を記念して製作した。20分の1とはいえ全長12メートル、最大直径1.4メートルと巨大だ。設計図をドイツから取り寄せ約2カ月かけて完成させた。

堀越さんは今後の同倶楽部の活動について「(まちかど蔵 野村の)蔵での資料充実や紙芝居の読み聞かせなどを発展させ、たくさんの人にツェッペリンカレーを知ってもらえるように活動していきたい」と語った。高校生も交え土浦の街づくりを盛り上げていきたい。(土浦日本大学中等教育学校5年)

「まちかど蔵 野村」の蔵の一つに展示されている資料。「土浦ツェッペリン倶楽部」が作成、収集した=土浦市中央

給食のツェッペリンカレーを再現

土浦第一給食センターで作り方を教わり、高校生が、給食のツェッペリンカレーを再現した。

動画制作は古城聖也さん(土浦日本大学中等教育学校 報道サークル)

いっぱい読んでしおりをもらおう つくばの小学校で秋の読書まつり

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熱心に本を読む児童でいっぱいになる図書室=つくば市小茎の第三小学校

【橋立多美】読書週間(10月27日~11月9日)にちなみ、つくば市立茎崎第三小学校(鮏川誠校長、216人)で「よんで&あつめてスタンプラリー」と副題を付けた「秋の読書まつり」が開かれている。スタンプを集めるとしおりがもらえる特典付きだ。

同校図書室の蔵書は5908冊。歴史や自然科学、芸術、産業などの書架のほか、絵本、クイズ、実話、教科書に出てくる本などを集めたコーナーが設けられている。図書室の運営と管理は、司書教諭補助員の戸川美紀さんと、4年生から6年生までの図書委員22人が行っている。

戸川さんによると、今年5月の1カ月間に貸し出した図書数は887冊で児童1人当たりの月平均読書冊数は4冊。もっと本を読んでほしいと戸川さんと図書委員が企画したのが、10冊を読破するスタンプラリーの読書まつりだ。

図書委員手づくりのしおり=同

委員たちがしおり制作を担当し、短冊形にカットした色画用紙にイラストを描いたり折り紙を付けたり工夫を凝らした上にラミネート加工を施した。

低・中・高学年別に配られたスタンプ用紙は、高学年だと「歴史の本をよみましょう」からスタートして、怖い本、宮沢賢治が書いた本など、指定された分野の本を順番に読んでそれぞれ1個スタンプを押してもらう。スタンプが10個になるとラリー達成となり、しおりがプレゼントされる。

休み時間になるとスタンプラリーの用紙を持った児童たちで図書室はにぎやかになり、貸し出しカウンターに行列ができた。バーコードを活用してパソコンで図書を管理するシステムが導入されており、図書委員の児童が簡単に貸し出しを行う姿が見られた。

司書教諭補助員の戸川美紀さん=同

図書委員で4年生の西村懸命さんは「しおり作りが楽しかった」。6年生の北田恵さんは「図書委員になっていろんな本に興味を持つようになり、今は歴史の本が面白い」と話してくれた。

19日現在でしおりを入手した児童は3人。戸川さんは「読書まつりは28日まで。まだ時間があるので普段読まないジャンルの本でもチャレンジして、しおりを手に入れてほしい」。そして「本との出合いに遅過ぎることはない。親は『うちの子は本は読まない』なんて決めつけず、子どもが本に触れるきっかけをつくってあげてほしい」と言い添えた。

万博記念公園で秋を満喫 愛犬の撮影にも人気 つくば

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色づいた科学万博記念公園のイチョウ並木=つくば市御幸が丘

【橋立多美】秋が深まり、つくば市の科学万博記念公園のイチョウが見頃を迎えた。澄んだ青空に映える黄色のイチョウの下を散歩する人や、犬友達のグループが愛犬の写真撮りをする姿が見られた。

同公園は1985年に開催されたつくば科学万博会場跡地に造られた。面積約6万平方メートル。現在は緑豊かで芝生が広がる公園となり、万博当時から「ぽっちゃん池」という愛称で呼ばれていた水辺には多くの生き物が生息する。中でも秋色に染まる科学万博記念公園のイチョウ並木は人気のスポットだ。

秋を切り取る撮影スポットは愛犬家たちにも知られ、色づいたイチョウを背景に愛犬を撮影しようという女性たちのグループが次々にデジタルカメラを肩にかけ、小型犬を抱いて公園に現れた。

散歩で知り合った「犬友だち」が公園で落ち合って撮影し、インスタグラムに投稿するのだという。よりかわいい写真を撮るために熊手(落ち葉をかき集める)やシャボン玉、上から撮るための脚立などの演出用具を持ち込む。ドッグウエアは着替えまで用意するそうだ。

撮影場所を探していた3人のグループは40代後半の主婦たち。最初の写真撮りはドラえもんの衣装と決めていたそうで、3頭はタケコプター付きのお揃いの衣装を身に着けていた。「いい記念になるしインスタ映えする写真を撮りたい」と話した。

おそろいのドラえもんの衣装をまとった犬たち=同

同市は筑波山はもちろんのこと、筑波研究学園都市地区に植樹されている街路樹の多くが落葉樹であることから、秋にはまちが赤色や黄色に彩られる。市内各地の都市公園でも美しい紅葉を楽しむことができる。

510人が色づく筑波山麓走る ナショナルサイクルルート指定記念

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大井川知事の号砲で先頭グループがスタート=土浦市川口、J:COMスタジアム陸上競技場

【相澤冬樹】ナショナルサイクルルート指定記念と銘打った茨城県の「つくば霞ケ浦りんりんサイクリング」が17日、土浦市のJ:COMフィールド土浦(川口運動公園)をスタート・ゴールとする57.4キロのコースで行われた。土浦青年会議所主催の「霞ケ浦サイクルフェスティバル2019」と同時開催された。

りんりんサイクリングは土浦を出発、つくば市沼田、かすみがうら市上土田を経由して、途中4カ所に設けられたエイドステーションでご当地の味覚を楽しんでもらう企画。ビギナー歓迎で参加者募集をしたところ、510人もの応募があった。東京都から155人、千葉県から77人と、茨城県の75人を上回る参加者を集め、4分の1が女性、30%はオフロードは初めてという構成になった。

募集時にはまだ指定されてなかったナショナルサイクルルートが7日に決まって、県は指定記念やロゴマークを入れた横断幕やのぼりを作成して開催に間に合わせた。開会式で大井川知事は「ナショナルサイクルルートという国のお墨付きを得たわけで、大いにアピールしたい。知名度ランキング7年連続最下位なんかぶっとばせ」と気勢を上げた。

五十嵐つくば市長も私費で参戦。スターターを務めた知事の合図で20人ほどのグループを作り、順次車列を組んでサイクリングに繰り出した。

今回のコースは、序盤こそ旧筑波鉄道の廃線跡を走る平坦なコースだが、筑波山の登山口で折り返してからは山麓に沿う一般道を走ってかすみがうら市方面に抜ける。高低差は小さいもののアップダウンが繰り返しあって、初心者にはそれなりにハード。色づき始めた山並みの景色を楽しみながら、好天の山麓コースを思い思いのスピードで駆け抜けた。

つくば霞ケ浦りんりんロードを走る参加者

東京・練馬から来たという新藤美紗子さん、遠藤友理さんの2人は、快調に飛ばして第2エイドステーションになっているつくば市平沢の官衙遺跡公園に到着。「1度目は北海道を走って、今日は2度目。いいお天気で気持ちよかったけど、脚はもう一杯いっぱい」と提供された常陸牛しぐれ煮おにぎりをほおばっていた。

エイドステーションになっている平沢官衙遺跡で提供されたおにぎりを広げる東京からの参加者=つくば市平沢

➡ナショナルサイクルルートの過去記事はこちら

清掃活動15年 「ごみ箱撤去以来きれいに」 土浦 霞ケ浦総合公園

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お孫さん連れで稲敷市から来たという参加者も“ごみ探し”で公園散歩=土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園

【相澤冬樹】水郷桜イルミネーションの点灯式から一夜明けた17日、土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園で、第15回を迎えた「クリーン・ザ・パーク霞ケ浦総合公園」の清掃活動が行われた。主催は明るい社会づくり筑浦協議会(村上和雄会長)で、土浦ライオンズクラブ(飯田晃久会長)などと実行委員会を作って開催した。

同市やつくば市などから約130人が参加、午前8時から始まった開会式で、矢口幸一実行委員長は「普段はドングリの実を拾って育てる運動など、地域でボランティア活動を展開してきた皆さんが年に一度集まる機会がクリーン・ザ・パーク。元気な顔で令和最初のごみ拾いに集まれたことを喜びたい」とあいさつした。会には長年活動に参加して、一週前の土浦市長選で初当選した安藤真理子さんも駆けつけ当選の報告をした。

参加者はごみ袋を手に、同公園の水辺から運動広場まで広がって清掃活動に励んだ。風車広場周辺は点灯式前に一旦整えられていることもあって、前夜のごみもほとんど見当たらないクリーンさだった。公園全体で40リットルのごみ袋に換算して50袋に満たない回収量で約30分の活動を切り上げた。

15年間、活動に携わっているという木村清さん(80)は、「土浦の花火大会の後の清掃にも参加しているが、昔と比べると随分きれいになった。公園ではごみ箱の撤去以来、目に見えてごみが減った。ごみは持ち帰り、きれいに使おうという意識が定着しているみたいだ」という。

開会式に集まった参加者=同

水郷桜イルミネーション点灯 土浦 霞ケ浦湖畔

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点灯した水郷桜イルミネーション=土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園

【鈴木宏子】土浦の冬の風物詩「水郷桜イルミネーション」が16日夕方、霞ケ浦湖畔の同市大岩田、霞ケ浦総合公園風車前広場で点灯した。高さ25メートル、直径20メートルのオランダ風車が光で彩られ、花火、ハス田、帆引き船、桜など土浦の風物が計約24万5000球のLEDで浮かび上がった。

今年で8年目。市民と企業有志でつくる「水郷桜イルミネーション推進委員会」が毎年実施している。今年は新たに、色合いが刻々と変化する1000輪のバラのアーチが風車南側にお目見えした。

同日午後5時から点灯式が催され、同推進委の広瀬英敏共同代表は「今年で8年目となるが、土浦自慢の地域資源をモチーフに湖畔を彩る水郷桜イルミネーションは、いまや土浦の冬の風物詩として定着している。霞ケ浦総合公園がより魅力的になり足を運んでいただければ」とあいさつした。

点灯のスイッチが押されると、詰め掛けた大勢の市民から「すごい」「きれい」などの歓声が次々に上がった。

点灯式前に催された、声優でいばらき大使の安達勇人さんのライブを見に、笠間市から長女と2人で訪れたパート窪田真由美さん(60)は「子供たちが小さい頃、風車を見に来て以来25年ぶりに来た。イルミネーションがこんなすごいとは思わなかった。来てよかった。感動」などと話し、光のアートに見入っていた。

水面に浮かびあがった帆引き船やハス田=同

同イルミネーションは来年2月16日まで点灯する。点灯時間は午後5時~9時。事業費は同推進委の協賛金約505万円と市の補助約640万円の計1145万円。

21日からは「土浦ウインターフェスティバル」が催され、土浦駅西口周辺や東口でもイルミネーションが点灯するれる。同フェスは来年1月31日まで。