【山崎実】海のエビに比べ、殻ごと食べられる淡水のテナガエビはカルシウムが多く最近、人気の食材になっている。茨城県の沿海と霞ケ浦・北浦部門の製品を一堂に集めた今年度の「茨城県水産製品品評会」で、霞ケ浦・北浦産のテナガエビを原料にした「大えび赤煮」(大輪水産、行方市)が農林水産大臣賞を受賞した。テナガエビでの大臣賞受賞は。2009年以来10年ぶり。
茨城のテナガエビ生産量は253トン(2018年)と全国一を誇り、続く青森の25トン、北海道の12トンを引き離している。今回の受賞を契機に改めて消費者の関心を集めることになりそうだ。
品評会は水産加工業の発展と品質の向上を目的に1963年から毎年行われており、今年度は沿海部門が113点、霞ケ浦北浦部門が250点の計363点(昨年度は365点)が出展された。
全般的には丸干しや開き、佃煮など伝統的な製品を基調にしながら、消費者ニーズに対応するため、そのまま食べられる調理の手間が少ない製品や、洋風の味付け製品もあった。沿海部門では、シラス、サバの塩干品のほか、豊漁のメヒカリ、ツブガイ、ハナダイなど地魚の加工品が目立ったのが特徴。
特に注目されたのが初めて農林大臣賞に輝いた「大えび赤煮」。5センチ前後の大きなエビだけが使われ、鮮度を保ち、煮くずれがなく「調味に白しょうゆを使用することで『柔らかくて甘い香り』や『上品な味』などのおいしさを併せ持つ製品」(講評)と高い評価を受けた。
沿海、霞ケ浦北浦部門で農林水産大臣賞を受賞した製品は、来年開かれる全国農林水産祭・天皇杯の受賞候補になる。今年度の品評会の主な受賞製品は次の通り。
〈沿海部門〉▽農林水産大臣=北海蒸し蛸(樫寅、ひたちなか市)
〈霞ケ浦北浦部門〉▽農林水産大臣賞=大えび赤煮(大輪水産、行方市)▽水産庁長官賞=はぜ佃煮(中村商店、かすみがうら市)、若さぎ甘露煮(山澤水産、潮来市)▽県知事賞=白魚煮干(貝塚忠三郎商店、かすみがうら市)、くるみちりめん(はしもと、行方市)、海老の佃煮(箕輪名産店、土浦市)