金曜日, 11月 7, 2025
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東京23区の地下を立体的に見る 産総研の「次世代地質図」完成

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ウェブサイト「都市域の地質地盤図」では、東京都心部の地下の地層の3次元的な広がりを、立体図や任意の箇所の地質断面図を描画して閲覧できる=産総研

産業技術総合研究所(産総研)地質情報研究部門(つくば市東)は21日、東京都心部の地下数十メートルまでの地質構造を、3次元で立体的に見ることのできる次世代地質図「3次元地質地盤図~東京23区版」を完成させ、ウェブ上に一般公開した。同部門情報地質研究グループの中澤努研究グループ長、野々垣進主任研究員らが、会見し発表した。

5万地点に及ぶ大量の調査データを独自に開発した3次元モデリング技術で解析することで、東京都心部の詳細な地下地質構造を立体的に可視化した。3次元地質地盤図としては、2018年に千葉県北部地域を公開しているが、中澤さんらは「これほど緻密なのは世界初」としている。

会見に臨む野々垣進主任研究員(左)と中澤努研究グループ長=同

これまでの地質図は、地層の種類ごとに色分けして平面図に表していた。このため平坦な都市部では、地下の地層の分布をわかりやすく表現するのが難しく、地下の断面図もあらかじめ決められた部分だけしか掲載できなかったという。信頼性の高い地下地質構造の解析が得られたことで、今回の完成に至った。

どこでも誰でも使える情報

東京東部の低地には、沖積層と呼ばれる軟弱な泥層を主体とする地層が、最終氷期(最盛期は約2万年前)に海面の低下により形成された谷を埋めるように分布することが知られていた。ボーリング調査データの解析は、この沖積層が埋積する埋没谷の3次元形状を、詳細に描き出すことを可能にした。埋没谷底は、東京湾岸の最も深いところで、深さがおよそ80メートルあった。

山の手の武蔵野台地の地下の埋没谷形状=同

存在する軟弱な地層の分布が詳細に把握できるようになっただけでなく、これまで軟弱地盤がないと考えられていた山の手の武蔵野台地の地下にも、一部で軟弱地盤が広がっていることが新たに分かった。これら軟弱地盤の有無は地震時の揺れ方に影響することから、地震ハザードマップや都市インフラ整備などでの幅広い利活用が期待される。

茨城県南は⁈

研究グループは2024年までに首都圏主要部をカバーし、その後は京阪神など、他の都市域についても作成する予定。

つくば・土浦地区については既に公開している環境地質図のデータがあり、それを用いての3次元化を検討中という。つくば・土浦地区は東京同様、最終氷期の谷に軟弱地盤が広がり、また台地に軟弱地盤が広がっている可能性も否定できないことから、早期の着手が望まれる。

「都市域の地質地盤図」は21日から、産総研地質調査総合センターウェブサイトで公開されている。(如月啓)

オンライン会議での負担軽減 筑波技術大学に手話通訳スタジオ

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オンライン会議で手話通訳している様子。通訳者は大型モニターで参加者の手話を読み取る=筑波技術大学

日本で唯一の視覚障害者・聴覚障害者のための大学である筑波技術大学に2月、新しく手話通訳スタジオが設置された。昨年からのコロナ禍により、学内の会議のほとんどがオンラインになり、手話で発言する参加者がいる会議に配置していた手話通訳もオンラインに移行した。スタジオ設置により、これらの会議で手話通訳の負担が軽減した。

手話通訳専用の大型モニター

現在、同大学の天久保キャンパスには、約200人の聴覚障害学生に加えて、聴覚障害のある教職員も 9 人在籍している。大学の授業では、基本的に担当教員が手話で話したり、スライドなどの視覚的にわかる教材を使用し、学生と直接やり取りする。一方、大学には手話がわからない教職員もいるため、聴覚障害のある参加者がいる職員会議や職員研修などには手話通訳を付けている。

オンライン会議で手話での発言を音声言語に通訳する場合、分割された小さい画面上で手話を読み取る必要があるため、ノートパソコンのモニターでは通訳者の目に負担がかかる。そのため、当初は手話通訳が必要な会議の際は、大型モニターのある部屋を使用し、モニターで会議の様子を見ながら通訳ができるよう、部屋のレイアウトを変えていた。しかし、その都度空いている部屋を探していたため、各部屋の機材に対応する必要があり、準備に時間が必要だった。また、一般の大型モニターを使用していたため、視線が上向きになり、長時間画面を見ていると通訳者の首に負担がかかった。

スタジオができたことで、毎回同じ環境でできるようになり、準備の負担が軽減し、問題点が出てきても、すぐに改善できるようになった。また、手話通訳専用に大型モニターを通常よりも低めに設置し、通訳者が椅子に座った状態でも自然な視線で画面を見られるようにした。

学内の職員研修等で使用するオンデマンド動画に付与する手話通訳も録画できるよう、グリーンバックや撮影用照明、ビデオカメラ等も整備した。

通訳環境が安定し会議がスムーズに

対面の会議でも、手話通訳が話の流れについていけないことがある。会議の担当者と通訳者が別の部屋にいるオンライン会議では、さらに通訳者が会議の様子を把握しづらくなり、通訳が困難になる時も多かった。新しいスタジオは、担当者と通訳者が十分な距離をとりつつ同席することが可能な広さだ。同じ部屋にいることで、担当者も手話通訳の存在を意識しながらゆっくり話すようになり、通訳者もわからない部分を担当者に直接確認することができる。

しかし、同じ部屋で複数のパソコンから参加すると、ハウリングが起きてしまう。それを防止するため、スタジオではそれぞれのパソコンにスピーカーマイクを接続し、機器同士を連結させることで、ひとつのマイクとして認識させるようにした。両手で手話をしていても、ボタン 1 つでオン・オフが操作できるスピーカーマイクを常設している。

大学に手話通訳者として勤務する小貫美奈さんは「手話通訳の環境が安定したことで、発言に対する聞き返しが減少し、会議全体がスムーズに進行できるようになった」と話している。(川端舞)

人権は「やさしさ」なのか 《電動車いすから見た景色》18

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【コラム・川端舞】子どものころ、自分が普通学校に通い続けるためには、常に良い成績をとり、教員のご機嫌をとる必要があると思っていた。そんなことをしなくても、自分にも普通学校に通う権利がもともとあるとは考えもしなかった。

日本の学校教育では、「人権」と「思いやり」「やさしさ」は同じものとして教えられることが多い。私の小学校時代も、毎年12月の人権週間では「友だちにやさしくしよう」のようなスローガンが掲げられていた。もちろん人間にとって「思いやり」「やさしさ」が大切なのは言うまでもない。

しかし、例えば「障害者にやさしくする」と言った場合、「やさしくしよう」と決めるのは障害者の周りにいる人である。周りの人の気持ち次第で、「昨日は時間に余裕があってやさしくできたけど、今日は忙しいから難しい」と言ってしまうこともできる。

障害児が普通学校に通うのは権利

障害のない子どもは、原則、少なくとも中学校までは家の近くの学校に行ける。少子化による学校の統廃合はあるが、子どもの数が多いという理由で、特定の子どもを他の学校に転校させることはせず、教員や教室の数を調整するだろう。それは学校側が「やさしい」からではなく、子どもには、家の近くの学校に通う権利があるからだ。

しかし、障害児の場合、支援の手が足りないなどの理由で、家の近くの普通学校ではなく、市町村に数ヵ所しかない特別支援学校に通うことを簡単に提案されてしまう。障害児が普通学校に通うのは、障害のない子どもと同等の権利のはずなのに、「障害があるけど、普通学校に通わせてあげる」という「やさしさ」にされてしまい、学校側に「やさしくする」余裕がなければ、当然のように特別支援学校への転校を提案されてしまう。

障害のない子どもが当たり前に通う普通学校に、障害児も当たり前に通えるのが権利であり、周囲の気持ち次第で変わってしまう「やさしさ」に左右されるべきではない。障害がある子とない子がそれぞれ必要なサポートを受けながら、同じ教室で学べる環境が前提にあって、初めて「やさしくする・される」「やさしくしない・されない」という経験がお互いにできるのだろう。

人間関係を学ぶ上では、時に友達とけんかし、「やさしくされない」経験も必要だが、障害児は友達にやさしくしてもらわないと学校に通えない環境にいる場合、友達と本気でけんかする経験もできなくなる。(つくば自立生活センターほにゃらメンバー)

地区別人数割や農地法違反めぐり紛糾 つくば市農業委員会

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紛糾した第6回つくば市農業委員会総会=19日、市役所

任期満了に伴う改選後初のつくば市農業委員会総会が19日、同市役所で開かれた。農業委員の地区別人数割をめぐって委員の一人が市長に問いただす一幕があったほか、会長選で農地法違反を指摘する発言が出るなど紛糾した。

地区別人数割をめぐっては、改選後の新農業委員の辞令交付式を終えて退席しようとした五十嵐立青市長に、委員の一人が待ったをかけ「(地区ごとの)適正配置に合わせて(農業委員を)選んでほしいと(市農業委員会委員候補者選考会が)答申したのに、(市長が)適正配置に関係なく選ぶとなれば、ゼロという地区も出てしまう」などと問いただした。

一方、農地法違反については新会長選出をめぐり「(3月議会で同意をとる際)議員数人から異議があった。(会長選の候補者は)1月に(農地法違反状態を)訂正しているが、農業委員会の目的から逸脱し、会長としてふさわしくない」などの発言が出た。

理想的な地区別人数を答申

農業委員の選出方法は、2015年の農業委員会法改正により、選挙で選ぶ公選制が廃止され、議会の同意を得て市長が任命する方式に変更になった。

同市では、2018年から市長の任命制が始まった。任期は3年。今年5月の任期満了を前に同市では、任命過程の公正性、透明性を確保するため、昨年12月に同選考会(会長・飯野哲雄副市長)を設置した。15項目の評価基準や配点を決め、35人の候補者の中から定数の24人を選ぶための選考を実施し、同月、市長に答申した。

19日の総会で出された地区別人数については、同選考会で「農業委員会の活動は各地区ごとに、農地の所有権移転や農地転用などの許認可を行っているため、各地区の選出人数は、各地区での活動に支障をきたさないよう、農地面積及び農家戸数に許可申請件数を加味した人数が望ましい」などとされ、昨年12月の市長答申に申し添えられた。

答申を受けて、今年3月議会最終日に五十嵐市長は、任命予定の農業委員24人の同意を求める議案を議会に提案した。ふたを開けてみると地区別の人数は、同選考会が理想的とした人数と比べて、谷田部地区が2~3人少なくなったのに対して、桜地区は1~2人多く、豊里は1人多いという結果になった。今年5月18日までが任期の前農業委員の就任時と比べても谷田部の委員が2人減ったのに対し、大穂と豊里が1人増えた。

農地面積と農家戸数(世帯数)は2020年10月時点。農地法(3条、4条、5条)の許可申請件数は2017年4月から20年10月までの合計

こうした経緯を受けて19日の総会では、谷田部地区の委員から五十嵐市長に質問が出された。

五十嵐市長はこれに対し「よく確認したい。適正配置は大事だと思う。私は、この人がいいとか、あの人がいいとか、一切関わっていない。皆さんのご意見を伺いながらやっていきたい」と述べるにとどまった。

市農業委員会事務局は、24人は選考委員の採点の結果、選ばれたとしている。

候補者5人が農地法に抵触

一方、農地法違反をめぐっては、今回の選考から農地法違反が評価基準の一つになったことを受けて、昨年初めて、候補者を対象に農地転用の調査が実施された。

候補者のうち5人が農地法に抵触している可能性があるとされ、選考会では減点による評価が実施されたが、農業委員の欠格事項にはあたらないとされた。

19日の会長選は、2人の候補者による選挙が行われ、13対11で、農地法違反があったと指摘された委員が新会長に就任した。取材に対し新会長は「農地に砂利を敷き、妹が駐車場として使っていたが、昨年12月、農業委員会に農地転用を申請し、今年1月許可をとった」とし、現在は農地法違反ではないとしている。

総会での紛糾について、市内に住む元農業委員の男性は「農業委員会は農地法違反を調査するのが仕事。会長が農地法違反をしていたのであれば、これから農地法違反を指導しようとしても『会長も違反をしていた』と言い返されてしまう。地区別の委員の数を変更し、ルールを変えることもおかしい」と話している。(鈴木宏子)

自然死に近い理想の死に方 《くずかごの唄》86

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イラストは筆者

【コラム・奧井登美子】犬のミミちゃんの自然死を体験して(5月8日掲載)、私たち夫婦も「どうしたら人間らしく死ねるか」という大問題に突き当たってしまった。

「僕も、寿命がきたら、無理に生かさないでくれよ。自分の部屋で、自然に死んで行きたい。家で、安らかに死んだミミちゃんがうらやましいよ」

「松尾芭蕉の奥の細道は、彼なりの理想の自然死を求めて出発したという説があるけれど、江戸時代ならともかく、今の医療の中で、家で死ぬ自由があるのかないのかわからない」

「入院したら、いろいろな管につながれて管だらけ、犬の鎖と同じだ」

「ミミちゃんも、鎖を外して開放してあげたとき、とてもうれしそうだった」

高齢者に課せられた難しい課題

今、コロナの流行中で、クラスターをふせぐために家族が病院に面会に行っても、直接会わせてもらえないことが多い。臨終という、家族にとっても、本人にとっても、人生で一番大事な最後の時が、なくなってしまっている。

知り合いで、「絶対死なないぞ」と言っていたご主人が、救急車で入院し、がんで亡くなってしまった。最愛の人が骨になって帰ってきたあと、奥さんは、臨終に立ち会えなかった寂しさとむなしさでノイローゼみたいになってしまった。

パルスオキシメーターという医療器機がある。指を入れるだけで血液中の酸素が計測できる。私たち世代の人にとっては夢のようなものだ。うちの薬局へ、これを買いに来た人は「医療用の、高価で、いい機械が欲しい」と言う。

コロナ対策として使ったあと、この機械で自分の寿命のあるなしを想定して、善後策を考えるのに使うのだと言う。すごい人だ。

どうしたら人間らしく、その人らしい個性を維持しながら、平和に、あまり人に迷惑をかけないで死ぬことができるか。私たち高齢者に課せられた難しい課題である。(随筆家、薬剤師) 

クレオ3年ぶり再オープン 1階ロピアに長蛇の列

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多くの来店客でごった返した核店舗のロピア=つくば市吾妻

つくば駅前の商業施設「トナリエ クレオ」(つくば市吾妻、日本エスコン運営)1階が19日午前10時、リニューアルオープンした。商業施設のオープンは2018年1月のイオンつくば駅前店撤退以来。1階入り口には長蛇の列ができ、低価格で知られる県内初出店の食品スーパー「ロピア」は大勢の来店客でごった返した。開店直後、隣接のキュート1階通路には1000人を超える行列ができた。

来店した近くに住む30代主婦は「ロピアは安いという話をママ友から聞いて友達と2人で来た。たくさん買った」などと話した。市内に住むパートの30代女性は「人混みに圧倒されてロピアまで行けず、わくわく広場で買い物を済ませた。活気があっていい。頑張ってほしい」などと語った。

長蛇の列ができたキュート1階通路=19日午前10時40分ごろ

事業規模250億円

オープンに先立って同店2階でオープニングセレモニーが催された。記者会見した日本エスコンの伊藤貴俊社長は「つくば駅前はとても整備されているにもかかわらず、西武、イオンの撤退で人の流れが止まってしまっていた。商・職・住一体で地域の人が集まる場所をもう一度つくり直すことができる、駅前の再生が可能であると考えた」と経緯を話した。

トナリエのロゴが付いたトナリエクレオ=19日午前11時ごろ

商業施設としてどう再生させるかについては「大型百貨店などのGMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)を核とする構成から、地域住民の生活に欠かせない食品スーパーを核としたNSC(ネイバーフッドショッピングセンター)に構成を変えていく」とし「地域に密着し、回遊性の高いまちをつくり、その後の地域コミュニティーもサポートできるまちをつくることで、時間が経つごとに魅力が高まるまちをづくりたい」と強調した。

つくば駅前のクレオ、キュート、モグ3施設の取得、マンション建設、商業施設とオフィスの複合施設のオープンなど事業規模250億円の開発となり、同社としても最大規模の開発であることを明らかにした。

2階、3階の商業施設は6月から夏にオープンする予定で、2階には家電量販店のケーズデンキが入るという。

オープニングセレモニーでテープカットをする日本エスコンの伊藤貴俊社長(左)と来賓の五十嵐立青市長

式典には来賓として五十嵐立青市長、小久保貴史市議会議長が出席し、五十嵐市長は「オープンを心待ちにしていた。特にクレオは市民にとって象徴的な場所で多くの人が様々な思い出をもっている。何としてもこの場所をにぎわいのある場所にしていきたいと多くの人が思っている。クレオという名前を残していただいた。新しいエッセンスを加えて今まで以上に魅力的な施設になれば」などとあいさつした。

オープンに合わせて同日、クレオと建設中のマンションの間につくば駅に直結する歩行者通路が開通した。(鈴木宏子)

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土浦とつくばの福祉事業者に「渋沢栄一翁論語と算盤賞」

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ハピネス合同会社代表の荒山千秋さん(左)とハル・スタイル代表の栗山武さん

土浦市で精神障害者の訪問看護ステーションを運営するハル・スタイル(haru style)代表の栗山武さん(40)と、つくば市で障害者就労支援施設などを運営するハピネス合同会社代表の荒山千秋さん(51)がこのほど、「渋沢栄一翁論語と算盤大賞」(渋澤栄一翁報奨委員会=田中直隆会長=主催)を受賞した。

日本資本主義の父といわれる渋沢栄一の著書「論語と算盤(そろばん)」を冠した賞で、経済と道徳を調和させながら経営をする起業家を称える。渋沢栄一の生涯を描いた大河ドラマがNHKで放送されている影響で、全国から自薦他薦を含め月30件ぐらい応募があり、年4回ほど各10件程度を表彰しているという。

看護師の栗山さんは、土浦、つくば市などで在宅生活をする精神障害者約60人の健康管理をしたり、薬の管理をしたり、通院に付き添ったり、24時間対応で悩みを聞いたりする訪問看護ステーションを運営する。

総合病院勤務を経て、不動産会社で働いた経験から、病院を退院した精神障害者が地域で自立生活を送ろうとする際、住まいを探すこと自体が困難であることを知った。看護師と宅地建物取引士の両方の経験を生かしたいと、2019年、訪問看護ステーションを設立し、地域で自立生活を送りたいと願う精神障害者の住まい探しを手伝うことなどもしている。

保育士の荒山さんは、土浦市内で児童の発達を支援する放課後デイサービス施設、つくば市内で障害者就労支援施設を運営する。つくば市内で2003年に認可外保育園を運営、次男が発達障害と分かったことをきっかけに子供の発達支援に関心をもち、14年、放課後デイサービス施設、18年に障害者就労支援事業を立ち上げた。

放課後デイサービス施設は、子供の集中力を高めるため運動や遊びを積極的に取り入れている。就労支援支援は、利用者に合わせて作業の種類を多くしているのが特徴だという。

荒山さんは「利用者の要望を聞いて、地道にやってきた。受賞でき光栄に思う」などと喜びを話した。(鈴木宏子)

「弱虫ペダルチーム」の入部正太朗選手 つくば市を表敬訪問

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表敬訪問した(左から)弱虫ペダルサイクリングチームの佐藤成彦ゼネラルマネージャー、入部正太朗選手と、五十嵐立青市長=18日、つくば市役所

つくば市に活動拠点を置くプロの自転車チーム「弱虫ペダルサイクリングチーム」に所属する全日本チャンピオンの入部正太朗選手(31)と、佐藤成彦ゼネラルマネジャーが18日、同市役所を訪れ、五十嵐立青市長を表敬訪問した。今後、つくば市と力を合わせて自転車のまちを盛り上げる。

人気漫画「弱虫ペダル」の作者、渡辺航さんが立ち上げたチームで、2019年の第88回全日本選手権自転車競技ロードレース大会で優勝した入部選手が今年1月から所属している。

同市要にクラブハウス、春日に合宿所がある。入部選手は1カ月ほど前に市内に転居し、現在、6月に広島で開催予定の全日本選手権連覇を目指し、筑波山や霞ケ浦などで練習を重ねている。

一方つくば市は今年4月、自転車施策を推進するサイクルコミュニティ推進室を立ち上げ、シェアサイクル事業や旧筑波東中のサイクリング拠点整備に向け準備を進めている。

こうした中、市とチームが力を合わせて何か活動できないかと、表敬訪問が実現した。

入部選手は、全日本チャンピオンだけが着ることができる、胸に日の丸が付いたジャージを着用して来庁した。つくばについて「サイクリング環境の良さにびっくりした。関東でも人気のサイクリングスポットなので、もっと盛り上げて、自転車のまちをアピールすることに貢献したい」と話した。

五十嵐市長は「何かご一緒にできる機会があればいいと常に思っていた。市民が自転車に親しむ機会をつくり、チームを応援する流れになっていけば」とした。

具体的には、弱虫ペダルチームの選手が指導する、小中学生を対象とした自転車交通安全教室の開催などを検討しているという。(鈴木宏子)

制度化なるか? 重度障害者の就労時の介助 つくば市議会で議論

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介助者にパソコン入力をしてもらいながら、会議資料を作成する川島映利奈さん

重度障害者が働くと受けられなくなる公的介助サービスについて、つくば市議会で市民団体からの提案をもとに、実施に向けた議論が進んでいる。厚生労働省は「地域生活支援事業」の対象に、通勤・就労時の身体的な介護を加え、昨年10月から市町村の任意事業として提供できるようにした。

厚労省によると、昨年8月時点で全国13市町村が実施予定とした。市民団体「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)の調査によると、今年4月時点で、県内で「利用希望に応じて検討したい」とした市町村は数カ所あったものの、「実施予定」とした市町村はひとつもなかった。

「働いている」のに賃金もらえず

従来の制度では、公的介助サービスは通勤時や就労時は利用できないため、介助が必要な障害者は、働く能力があっても就労が難しかった。昨年から国の地域生活支援事業の中で始まった「雇用政策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」で、国と県から補助を受けて、市町村が職場等における介助や通勤の支援を行えるようになった。

重度身体障害を持つ川島映利奈さん(38)は、障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」代表として活動する。自立生活センターでは、地域で生活する障害者に介助者を派遣する事業を行っていて、川島さんは介助者の採用面接や研修、勤務シフト表作成に関わる。また、障害者や家族からの相談に応じたり、障害のある人とない人が交流できるイベントの企画もしている。平均週20時間、活動している。

しかし、ほとんどの活動に賃金は発生しない。川島さんは障害のために痰(たん)を吐き出す力が弱く、多い時で30分に1回、介助者に痰吸引をしてもらう必要がある。また全身の筋力が弱く、会議の資料を作成するためのパソコン入力や、初対面の人との名刺交換など、活動するために必要な動作のほとんどを介助者にサポートしてもらう必要があるため、常に介助者がそばにいる。公的介助サービスを使っている時間は就労できないため、どんなに活動しても賃金はもらえない。

唯一、月に一度の役員会議の時間だけは役員報酬を受け取っている。その時間は公的介助サービスを利用できないので、痰吸引など必要な介助は自立生活センター事務所が負担している。しかし、川島さんが活動しているすべての時間、介助を自立生活センター事務所が負担することは難しい。つくば市で就労中も公的介助サービスを受けられるようになったら、活動している時間は賃金をもらいたいと川島さんは話す。

川島さんはつくば自立生活センターで活動する以前、筑波大学大学院に在籍していたころ、一般企業に就職したいと思い、障害者向け合同企業説明会に参加したこともあった。しかし、興味のある大手企業の説明を聞きにいったところ、介助者同伴で来た川島さんを見て企業側は驚いた様子だった。生活に介助が必要な重度障害者が参加することは想定されていなかった。

企業の概要説明はしてくれたが、「トイレ介助や食事介助、パソコン入力など、仕事中に必要な介助を企業側で提供するのは難しい。介助者が必要なら、自分で用意してほしい」と言われた。つまり、介助者を雇うお金がなければ働けない。「大手企業でもそのようなことを言われてしまう。こんなに勉強しても働けないと分かり、悲しかった」と川島さんは振り返る。

公開質問状でつくば市にも動き

昨年10月のつくば市長・市議会議員選挙で、市民団体「障害×提案=住みよいつくばの会」は各立候補予定者に、政策提案型の公開質問状を渡したが、その中に「就労中の重度障害者への公的介助サービスの実現」も含まれていた。昨年の12月議会一般質問で、川村直子議員がこの政策提案の実現に向けての具体的な予定を聞いたところ、つくば市は「先行して実施している自治体の事例等を参考に調査を進めていく」と回答した。

5月13日現在、市障害福祉課によると、「昨年度の他市町村における実施状況を、県や国に問い合わせ、国からの報告を待っているところ。県内で実施している市町村はなかったが、再度、国に照会し、調査を進める予定」だそうだ。今後の動向が注目される。(川端舞)

草刈り作業中また石跳ね 民家の窓ガラス破損 つくば市

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小田城跡歴史ひろば

つくば市は17日、市有地の同市小田、国指定史跡小田城跡で、市の委託業者が草刈り機3台で草刈り作業中、小石が跳ね、近くの民家の窓ガラスを破損する事故が発生したと発表した。

同市では12日にも、同市平沢、平沢官衙(かんが)遺跡歴史ひろばで、業者が芝刈り機で作業中、小石が跳ね、散策していた女性が頭部にけがを負う事故が発生したばかり。五十嵐立青市長が安全対策を徹底すると表明した矢先だった。

市文化財課によると、小田城跡で、15日午前8時から午後5時まで、委託業者の作業員5人がハンドガイド式草刈り機1台と肩掛け式草刈り機2台を使用して草刈りをした際、小石が跳ね、民家1階の窓ガラスに当たった。ガラスは表面が破損し、直径2センチくらいくぼんだ状態になった。

5人の作業員のうち3人が機械で草刈りをし、1人が周囲を監視、1人が刈った草を集める作業をしたが、石跳ね事故を防止する衝立(ついたて)やフェンスなどは使用していなかった。小田城跡で作業をした業者は、平沢官衙遺跡とは別の業者だという。

17日、民家の住民から連絡があり分かった。同日、業者が現地確認し、住民に謝罪、破損した窓ガラスを補償することを伝えた。

五十嵐市長は「先日の事故を受け、全委託事業者に注意喚起及び飛び石防止等の安全対策を徹底していたところ、再びこのような事故が発生したことを深くお詫びします。再度このような事故を起こすことのないよう指導を徹底し再発防止に努めます」とするコメントを発表した。

石跳ね事故が相次いで発生したことを受けて市は、草刈り作業の仕様書を全庁的に見直したいとしている。

「ペニーレインつくば店」 《ご飯は世界を救う》35

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】コロナウイルスがちょっと落ち着いたころ、イオンモールつくば(つくば市稲岡)内の「ペニーレインつくば店」のレストランに。このお店が10年ほど前にできたとき、友人と行ったのを思い出し、行ってみました。

「ペニーレイン」という名前が不思議だったのですが、今回判明。レストランの中は、ビートルズがいっぱい。「ペニーレイン」とは、イギリスのリバプールにある道路の名前。ビートルズは、その道路名の曲を作ったのだそうです。

そして建物正面左には、ビートルズゆかりの地「アビイ・ロード」をレコードジャケットにしたもののリメイク壁。そこには、フォルクスワーゲンが半分壁に突っ込んでいました。どこまでビートルズがお好きな経営者なんなのでしょうね!

おいしいって幸せな時間

でも建物はとてもスタイリッシュ。前庭から正面入り口の導入までお花が一杯です。ちょっとしたミニ公園風。そして、建物右側には、ワンちゃんと一緒に食事ができるコーナー、ドッグランもあります。

新しいお店に行く場合、ネットで事前にいろいろ調べます。場所はもちろん、「何を食べようか」「何が人気あるか」。そして、注文。今回は連れ合いと一緒で、チーズフォンデュとハンバーグ。この注文だと、パンが食べ放題。

お店の方が、カゴにいろいろな種類のパンを持って、お店の中を回っています。おいしいので、つい追加を頼んだら、お腹がいっぱいに。

帰りには、レストラン隣のパン屋さんで、人気のブルーベリーブレッドのハーフを購入。パン屋さんは大人気で、レジまで長蛇の列。リタイアしようかと一瞬迷いましたが、根気だして並びました。お腹いっぱいのはずなのに、オウチでパクパク。おいしいって幸せな時間です。(イラストレーター)

初日9000人以上が予約 つくば市でワクチン予約始まる

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終日電話が鳴りっぱなしだったつくば市コールセンター=つくば市役所コミュニティ棟1階

65歳以上の高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの接種予約が17日、つくば市で始まった。電話で予約を受け付ける市コロナワクチン接種対策コールセンターには予約が集中し、インターネットでの予約も合わせると、初日の1日だけで9000人以上が接種の予約をした。

同市の65歳以上の高齢者は約4万7000人。接種会場となる市内約100のクリニックのうち、半数は市コールセンターで予約を受け付け、半数は各クリニックで直接予約を受け付ける。ほかにインターネットでの予約受け付けもある。初日の予約者数は、市コールセンターとインターネット予約を合わせて9000件弱で、クリニックに直接予約した人も含めるとかなりの高齢者が初日に接種日程の予約をしたとみられる。

市役所コミュニティ棟1階に設けられた市コールセンターでは18人のオペレーターが対応したが、予約開始の午前9時前から電話が鳴り続け、終日、電話がつながりにくい状態が続いた。

市コールセンターでは5月いっぱいまで20人体制で電話予約を受け付ける。6月以降も状況を見ながら、予約が落ち着くまで、20人体制を維持するとしている。現時点で予約できる日程は7月末まで。

5月末までに約7万回接種分を確保

一方、ワクチンの確保については、5月末までに同市で計6万9420回分確保される見通しだという。すでに4月17日に1950回接種分、5月2日に7800回分、16日に2万8080回分が届いた。31日にも3万1590回分が届く予定だ。

同市は7月末までに65歳以上の全員が2回接種できる量のワクチンが確保できる見通しだとし、市新型コロナウイルス接種対策室の板倉邦明室長は「ワクチンは十分にあり、接種を受けられないことはないので、安心して、急がず、予約してください」と呼び掛けている。

接種は24日から市内約100カ所のクリニックや病院で実施される。当日キャンセルが出るなどしてワクチンが余った場合の対応については、各クリニックごとにキャンセル待ちリストを作成し、リストの順番で連絡する。それでもワクチンが余った場合は、保育士や学校の教職員に接種できるとする県の通知があることから、市は保育士や教職員に接種をお願いすることになるとしている。(鈴木宏子)

◆18日以降の市コールセンター(電話029-883-1391)の接種予約は午前8時30分から午後5時15分まで。インターネットの市新型コロナワクチン予約サイトからは24時間予約できる。現時点で市内で接種できるワクチンはファイザー社製のみ。接種費用は無料。

土浦市を感染拡大市町村に再指定 部活は県外との練習試合自粛を

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茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナウイルスの県内の感染状況が再び急速に悪化しているとして、大井川和彦知事は17日、土浦市などを5月20日から6月2日までの2週間、再び感染拡大市町村に指定すると発表した。つくば市は指標を下回ったとして20日から指定を解除する。

一方、高校や大学の部活動でクラスターが発生していることから、県外との練習試合は自粛するよう要請した。さらに県内の感染拡大市町村にある学校との練習試合は慎重に判断するよう呼び掛け、練習試合を実施する場合は自校を含め2校以内、試合に参加する生徒は2週間前から健康管理を徹底するよう求めた。

20日以降の感染拡大市町村の指定は土浦市のほか、かすみがうら市、阿見町、牛久市など計20市町村になる。土浦市は12日まででいったん解除となったが、1週間で再び再指定となる。

土浦市の人口1万人当たりの新規感染者数は10日時点が1.38人だったのに対し、17日時点は1.88人と上昇している。つくば市も同0.89人から1.49人と上昇しているが、1.5人以上という指標を下回ったため解除となる。

感染拡大市町村のすべての飲食店に対して、午後8時から午前5時までの時短営業などが要請される。協力金は売上高に応じて、1店舗当たり1日2.5万円から7.5万円が支給される。

5割が変異株、20代中心に拡大

県内の感染状況について大井川知事は、20代を中心に40代までの感染が広がっているとし、5割が変異株だったことを明らかにした。ゴールデンウイーク前の変異株の割合は3割だった。医療提供体制の負荷も高まっているとした。

こうした状況を受けて国に対し、まん延防止重点措置の適用を要請するとした。申請は3度目。2度とも適用が見送られている。

市民に見せる顕微鏡の世界 つくば開催の学会が体験機会

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電子顕微鏡で拡大していくと、驚きの構造がわかる=学術講演会事務局提供

2012年以来9年ぶりのつくば開催となる日本顕微鏡学会(幾原雄一会長)の第77回学術講演会で、顕微鏡の世界を直接のぞける市民向けイベントが6月13日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で行われる。市民公開講座と顕微鏡体験ワークショップの2プログラムで、参加登録、申し込みを受け付けている。

髪の毛の太さの40万分の1まで見ることができる透過型電子顕微鏡=同

学会は日本の顕微鏡研究者の集まりである公益社団法人。顕微鏡学に関連する話題を取り上げ、最新の研究成果を発表し討論する場として、毎年学術講演会を開催している。今回は6月14日から3日間、同国際会議場で開催する。テーマは「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代の顕微鏡サイエンス&テクノロジー」。

コロナ禍の学会らしく、発表や参加はオンサイト・オンラインを併用するハイブリッド開催となるが、会期前日のプレイベントは開催地域の市民が足を運べる内容で構成した。

観察体験のワークショップ

特に「顕微鏡体験ワークショップ」では、顕微鏡製造会社の協力で走査型電子顕微鏡(SEM)、光学顕微鏡を使って、実際にミクロの世界を観察する機会を提供するという。13日午後2時から4時の日程。先着30人(小学生の場合は保護者同伴)で受け付け中。

これに先立ち午後1時からは公開講座がある。山梨大学名誉教授の大野伸一さんの「人間の血液中の赤血球の形について顕微鏡で調べた話題」、タイニー・カフェテラスの永田文男さんの「顕微鏡で見る昆虫や植物の巧みな構造」の2講演が予定されている。

学術講演会事務局では「つくばには数多くの研究機関や大学が存在し、そこには必ずと言っていいほど数多くの顕微鏡が設置されており、最新の研究に欠かせないものとなっている。新型コロナウイルスに立ち向かう有力なツールにもなっている顕微鏡の世界を、この機会にぜひのぞいてほしい」という。

講演会、ワークショップともに参加は無料。事前登録は日本顕微鏡学会第77回学術講演会ホームページから。(相澤冬樹)

つくば中心地区再生 出だしでつまずき 《吾妻カガミ》106

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくば市の中心市街地再生事業が動き出しましたが、その仕事を担う「まちづくり会社」への資本金払い込みが一部滞っているとか、センター広場に設けるエスカレーターは要らないとの意見が議会で出ているとか、出だしのつまずきを伝える記事が本サイトに載っています。今回はこれらの問題に目を通したあと、事業策定プロセスでの「手抜き」について点検します。

本サイトの記事「(まちづくり会社の)資本金2900万円少ない」(4月30日掲載)には笑いました。市が中心になって設立したこの会社には、地元の3社が3000万円ずつ出資することになっていたのに、うち1社の設立時払い込みが100万円だけだったという話です。同社はその理由は市に聞いてくれと逃げ、市は「分割で構わない」と弁解しています。新会社に注目していた市民は、さぞ拍子抜けしたことでしょう。

もう1つのつまずきは「(市議会で)エスカレーター設置をめぐり論戦 」(4月27日掲載)に出ています。この事業の目玉、エスカレーター2基設置について、2基とも要らない、1基だけでいい、2基あってよい―と、議会で論争になったという話です。深地下のTX秋葉原駅にはエスカレーターが絶対必要ですが、センター広場にはどうでしょうか。

総額10億超なのに大型事業でない?

問題含みで始まったこの案件、10億円超の経費が投入される大プロジェクトです。ところが市の策定作業では、市民・識者の声の収集や市議との対話が十分でありませんでした。上の2つのつまずきも、この辺に遠因があったようです。

前市長の運動公園計画に反対する運動の熱量を引き継いで市長になった五十嵐さんは、2018年秋、「大型事業の進め方に関する基本方針」をまとめました。前市長時代の大型事業計画を批判的に検証、総事業費10億超の大型事業を進める際には「民意の適切な把握」「議会への適切な報告」などが必要と、執行部のひとりよがりを戒めたのがポイントです。

中心市街地再生事業費は、基本設計費979万+出資金6000万+実施設計費6300万+工事費9億500万=10億3779万円ですから、計10億円超の大型事業になります。ところが、本サイトのコラム「映画探偵団」の筆者、冠木新市さんもたびたび指摘しているように、市による「民意の適切な把握」はおざなりで、基本方針で定めた手順がお留守になりました。

この点を議会で質問した市議、飯岡宏之さんによると、五十嵐市長は「リニューアル事業だから大規模事業評価には当たらない」「6000万の出資金はリニューアル事業費ではない」と答えたそうです。

つまり、再生事業は10億円超でも大型事業に該当しない→だから民意の把握は形だけでよい、仮に再生事業を一般事業に分類するとしても事業費ではない出資金をマイナスすれば10億円以下→だから大型事業に該当しない―ということです。大型事業の定義(総額10億円超、ただし再生事業は対象外)を盾にした2段構えの理屈ですが、追求をかわすための言い訳のように聞こえます。(経済ジャーナリスト)

追記:この原稿を書き終えたあと、「つまずき」どころか「大転び」を予感させるニュースが入りました。中心市街地再生事業について「18人が住民監査請求」(5月12日掲載)という記事です。市民の関心度が高いこの案件、議会論議にとどまらず市民運動にまで広がってきました。

ロボッツB1昇格決定! 3年前の雪辱果たす

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勝利の瞬間、抱き合って喜ぶ選手たち(撮影/高橋浩一)

男子プロバスケットボールB2リーグのプレーオフ準決勝、茨城ロボッツはホームのアダストリアみとアリーナ(水戸市緑町)で仙台89ersと対戦。15日の第1戦は73-56、16日の第2戦は81-78で連勝し、悲願のB1昇格が確定した。プレーオフ決勝は5月22日から太田市運動公園市民体育館で、群馬クレインサンダースとB2王座を懸けて戦う。

「待ってろB1」このスローガンをついに現実のものにした。仙台と互いに死力を尽くして戦った準決勝第2戦は、わずか3点の差で、茨城が勝利をもぎ取ることができた。

第4クオーター残り3分24秒の段階で茨城のリードは7点。ここからここから仙台は3点シュート2本とフリースローで追い上げ、ついに追い付く。残り1分9秒。たまらず茨城はタイムアウトを取り、グレスマンヘッドコーチが選手を鼓舞する。

タイムアウト明けの最初のプレー、チェハーレス・タブスコットのジャンプシュートはリングにはじれるが、マーク・トラソリーニがリバウンドで押し込み、さらにその際の相手ファウルでバスケットカウントを獲得、これも決めて3点のリードを奪った。

ほとんど出ずっぱりでチームを牽引した平尾主将(同)

残り50秒、仙台も後がない。渡辺のインサイドアタックは平尾充庸が止めるもののファウルを取られ、フリースローを与えてしまう。シュートモーションに入る渡辺に対し、スタジアム中の観客が足を踏み鳴らしてプレッシャーをかける。これが功を奏したか、渡辺は2スローとも失敗。

最後残り6秒、起死回生を狙う渡辺は3点シュートを放つが、大きくはじかれる。リバウンドを取ったのは平尾。前線の小林大祐にパスを送ると、ここでブザー。小林はボールを高く投げ上げ、ベンチから選手たちがコートへ飛び出してくる、誰もが待ちに待った勝利の瞬間だ。

第3Q、仙台のビッグマン2選手に囲まれながら、難しいシュートを決めるタブスコット。トラソリーニと共にチームトップの19得点を挙げた(同)

試合後コートにしゃがみ込み、挨拶では涙を見せた平尾は「今季主将としていろんな人の思いを背負いながら戦い、一つの目標を達成したことで、張り詰めたものが報われた。最後の方は覚えていないほど、こみ上げてくるものがあった」との心境を、会見で語った。

2018年5月には破竹の17連勝を遂げながら、福島ファイヤーボンズとのリーグ最終戦に敗れ、プレーオフを逃した「いわきの悲劇」(18年5月7日付)。この試合で平尾は一人で34得点を挙げてチームをけん引したが、4点差で勝利に届かず、試合後に涙をあふれさせた。

試合後に挨拶する山谷社長(同)

その姿はブースターも覚えている。「みんなで流した3年前の悔し涙を、今日は歓喜の涙に変えてもらった。それもホームの水戸で叶えてもらい、本当にうれしい。最後の場面はドキドキしたが、選手が折れずにこらえてくれた」と話すのは、試合後に「ありがとう」のプラカードを掲げた栗田光子さんらのグループ。5年来のロボッツファンで、3年前のいわきにも足を運んでいる。

チームは一つの偉業を成し遂げたが、これで終わったわけではない。山谷拓志社長は「目標はあと2つある。ファイナルに勝ちB2優勝を手にB1へ乗り込むこと、そしてB1で優勝し日本一になること。今はまだそのステージに立った段階でしかない。何年かかるか分からないが、必ず頂点を目指す」と次の目標を見据える。(池田充雄)

オンラインで語学交流 日本語学校の留学生講師に つくばフェスティバル

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オンラインで韓国語を指導するイ・ハンギルさん(左)とチョ・ヨンヒョンさん=つくば市松代の日本つくば国際語学院

オンラインで開催中の「つくばフェスティバル2021」に15日、日本語学校「日本つくば国際語学院」(同市松代、学校法人つくば文化学園運営)で学ぶ留学生が出演し、市民向けオンライン語学講座の講師として中国語や韓国語を教えた。

午前に中国語、午後に韓国語講座が各1時間、オンライン会議アプリZoomを利用して無料で開かれ、語学に関心のあるつくば市民など20代から60代の約10人がそれぞれ参加した。

手作りカードで中国語講座

中国語講座のテーマは「中国料理のお店で、中国語で注文してみませんか?」。講師を務めたのは同学院2年のワン・ヤンさん(29)と、卒業生のマ・ソウソウさん(32)。

2人は、チャーハンやマーボー豆腐などの日本人になじみのある料理名や、「この料理は辛いですか?」「ありがとう」など、食事でよく使われる言葉の中国語表記と発音を、手作りのカードを使いながら教えた。

講座を終えたワン・ヤンさんは「日本人と一緒に勉強できてうれしい」と話した。

中国語を教えたワン・ヤンさん(左)とマ・ソウソウさん。後ろに掲示してあるのはオンライン講座で使用した手書きのカード=同

「韓国人の僕よりうまい」

午後の「韓国人と自己紹介をして友達になろう!」の講師は同2年生のチョ・ヨンヒョンさん(27)と1年のイ・ハンギルさん(30)。「アンニョンハセヨ」など基本のあいさつや、自己紹介によく使用する表現を中心に教えた。

2人は「今の発音はよかった」「この発音は少し口を閉じて」など、画面を通して熱心に指導した。参加者の発音を聞いて「韓国人の僕よりうまい」と盛り上げる場面もあり、和気あいあいとした雰囲気で講座を終えた。

チョ・ヨンヒョンさんは「楽しかった」と笑顔で話し、今年1月に来日したばかりというイ・ハンギルさんは「(緊張で)頭が真っ白になった」と感想を述べた。

参加者からは「楽しかった」「また機会があったら受けたい」など好評だった。

同学院教務主任の杉本和昭さんによると同フェスティバル主催者から「外国語交流をしませんか」と参加依頼を受け、関心のある留学生が参加したという。「昨年のフェスティバルは新型コロナで中止だったが、今年はオンラインで参加できてよかった」と話した。

つくばフェスティバルは世界各国の食と文化、科学を楽しむイベントで、今年は1日から31日までオンラインで開催されている。同学院留学生による講座は、29日にも、タジキスタン、メキシコ、ペルー出身学生による日本人向け講座「私の特別な日」とスペイン語講座がオンラインで開催される。参加費無料。申し込みはつくばフェスティバル2021公式サイトへ。(伊藤悦子)

正岡子規『水戸紀行』追歩(7) 《沃野一望》27

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恋瀬川から見た筑波山

【コラム・広田文世】
灯火(ともしび)のもとに夜な夜な来たれ鬼
我(わが)ひめ歌の限りきかせむ とて

明治22年、水戸在住の友人を訪ね、東京から水戸へ徒歩で向かった正岡子規は、土浦を過ぎ、意地っ張りを貫き通し、千代田町、ではなく今や「かすみがうら市」の水戸街道を北上した。

令和追歩組も、6号国道を石岡へ向かう。ゆったりした下り坂の先に、常磐自動車道千代田石岡ICへの誘導路が分岐する。上を常磐高速が横切り、下を6号国道、くぐったすぐ脇へ旧水戸街道が左手から合流してくる。合流点には、旧街道時代の一里塚が、気ぜわしく行き交う現代の車列をひっそりと見つめている。子規は、この一里塚を、くたびれきって通過していったにちがいない。

恋瀬川への坂を左カーブで下り、恋瀬橋の付け替えにともない設置された休憩施設が、恋瀬川ロードパーク。子規の時代に整備されていたら、子規先生、どんなにか喜び、足をもみさすったことか。

恋瀬橋を渡るとすぐに石岡市街。石岡駅への分岐の先で、JR常磐線の渡線橋をこえる。子規はその日、石岡泊とした。令和版は、まだ日も高く、両足からの不平信号も届かず、快調に歩を進める。

小美玉市に入る。園部川にかかる園部橋から西を遠望すると、筑波山の男体山、女体山の二峰がちょうど重なり、ひとつの鋭角三角形に見えてくる。子規は、土浦を過ぎたところで道標を見落とし筑波山へ立ち寄れなかったが、訪ねてみたかった無念が行間にうかがえる。

6号国道は、大曲を過ぎる。千貫桜という地名がある。水戸藩二代藩主光圀が、街道沿いの桜の名木を褒賞した由来にちなむ。子規も、桜について記している。「この辺の街道は松縄手にあらずして路の両側に桜の木を植う。木のたち皆のびのびとして高さ十間もあり」と、まだ咲かぬ三月の桜の枯れ枝を見上げている。

「足がすりきれるまで」歩く

茨城町に入り、6号国道は、ひときわ立派なバイパスへ分岐する。バイパスに歩道はなく、歩行者は立ち入れない。やむなく歩道の残る旧6号へ迂回する。

涸沼川を渡る。バイパスの開通のとばっちりで歩行者は、渡線橋を越えたり側道を上がり下りして、大回りのあげくに旧水戸街道=現在の国道50号へ出る。子規の時代は、かえってすっきり歩けたはず。

ここまで来れば、あとはひたすらまっすぐ進み、水戸は偕楽園の脇をとおり千波湖へ、さらにもうひとふんばりで水戸駅のはず、と目標が見えてきたとたん、足やら腰やら肩までが、ストライキのシュプレヒコールをあげはじめる。

もう少しだ、もう少しだ。となだめすかしながら歩くと、バス停の粗末なベンチを発見。バスに乗るわけではないが、ありがたい休憩ポイントとさせていただく。子規の「足がすりきれるまで」の述懐に、思わず納得。とはいうものの、休んでいてはいつまでも到着できないことは自明の理。

最後のふんばり。「どっこいしょ」と立ち上がる一歩が辛い。(作家)

筑波大、流経大に完敗 2年ぶり茨城ダービー

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【筑波大―流経大】後半17分、流通経済大ゴールに向けてシュートを放つ筑波大MF田村(水色のユニホーム)=千葉県東金市の東金アリーナ陸上競技場

第95回関東大学サッカーリーグ1部前期第6節の筑波大―流通経済大(流経大)戦、通称「茨城ダービー」が15日、千葉県東金市の東金アリーナ陸上競技場で行われ、筑波大は1-3で流経大に敗れた。コロナ禍により茨城ダービーの開催は2019年以来2年ぶり。

第95回関東大学サッカーリーグ1部前期第6節 5月15日 東金アリーナ陸上競技場
筑波大1ー3流経大
前半0-2
後半1ー1

両校は、今月9日にひたちなか総合運動公園陸上競技場(ひたちなか市)で行われた天皇杯県代表決定戦の決勝戦で対決し、延長戦の末、筑波大が流経大に2-3で惜敗した。筑波大は雪辱を期して臨んだが、流経大に返り討ちに遭った格好となった。

筑波大は、前半6分に流経大DF佐久間駿希(4年)にシュートを決められ失点を許した。同35分にも流経大FW満田誠(4年)にシュートを決められ2失点。巻き返しを図ろうとするも得点を決められず0-2と流経大優勢のまま前半を折り返した。

ハーフタイムに交代した筑波大MF田村蒼生(1年)が後半17分に1点を決めて1-2に持ち込み、流経大に一矢報いたが、同21分に流経大FW齊藤聖七(3年)に3点目を決められた。

筑波大は最後まで奮闘するも、放ったシュートが流経大ゴールポストの上をかすめるなどチャンスをものにできない場面が散見され、流経大優勢の流れを変えるには至らず試合終了となった。

試合終了後一礼する筑波大の選手たち=同

流経大は2019年の茨城国体で県代表チームに選手14人が参加し茨城県の優勝に貢献。有力選手を国体に出した影響で同年の関東大学リーグ1部で最下位(12位)となり、2020年は2部に降格した。しかし同年のリーグ2部で優勝を果たし、わずか1年で1部に復帰した。

「実力通りの差が出た」

筑波大の小井土正亮監督は「先週9日も流経大と天皇杯(県代表決定戦決勝)で対戦して延長戦まで行って負けてしまっているので、選手の中ではかなりリベンジを期するものがあり、メンタルでもやる気があった、戦術的にも特に困っているところがあった訳ではない。その中で負けたのは、実力として完敗。実力通りの差が出た」と振り返った。

一方、流経大の中野雄二監督は「ウチの学生はのびのびしていたと思う。筑波大の方が上手くいってないというか、早いうちから失点してしまった。中6日で『(流経大に)リベンジしたい』という強い気持ちで臨んだとは思うけど、前半6分の先制点が筑波大の気持ちを沈めたと思う。それくらい貴重な先制点だった」と勝因を話した。(崎山勝功)

導水運用し霞ケ浦、利根川下流の水資源を有効活用 東京2020渇水対策で国交省

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利根川上流ダム群の補給に先駆けて、霞ケ浦や利根川下流部に集まった水資源を北千葉導水路や利根川連絡水路を運用して有効利用するイメージ図(国交省「東京オリンピック・パラリンピック渇水対応行動計画素案」より転載)

国交省関東地方整備局は、東京2020オリンピック・パラリンピックに備えた4月の渇水対策協議会で、渇水対応行動計画を改定した。

前回、東京オリンピック直前の1964年(昭和39)夏に、最大給水制限率50%で昼間の断水等、厳しい制限を余儀なくされたことから、これを教訓にダム群の貯水量の温存に努め、水の安定的供給に万全を期す。

渇水対応行動計画の主な改定内容は、利根川・荒川水系等で3対策(武蔵水路等の新たな運用、既存施設の徹底活用など)を新たに追加したほか▽洪水期のダムの弾力的管理は「八ッ場ダム」(2020年3月末完成、4月以降は本格的な運用開始)、「渡良瀬遊水地」を追加し計11ダムで実施する▽継続的な確保対策上、水不足の段階になった場合には外国人観光客等に対し、外国語で節水を呼び掛ける―ことなども行い、対策を拡充、強化し、渇水に備えたいとしている。

前回の1964年夏とは異なり、現在は東京都の水源として多摩川に加え、利根川、荒川の2水系が加わり、2020年3月末には八ッ場ダムも完成した。

このため首都圏のダム総利水容量は、八ッ場ダムを含め洪水期で当時の約4.5倍の12億4500万立方メートル、非洪水期で5.1倍の16億9100万立方メートルとなっているが、近年の猛暑などから首都圏の主要な水源である利根川・荒川水系では、取水制限を伴う渇水が発生している。

オリンピック・パラリンピック開催の今年も大きな懸念材料になっている。

水行政の情勢下、期待されているのは八ッ場ダムの運用で、完成後は新たに非洪水期(10月6日~6月30日)で9000万立方メートル、洪水期(7月1日~10月5日)で2500万立方メートルの利水容量に貯留した水が活用できるという。

また利根川上流ダム群の補給に先駆けて、北千葉導水路など下流利水施設を活用し、霞ケ浦や利根川下流に集まった水を江戸川に供給する連絡水路、利水施設の運用を強化する。運転日数、導水量を強化することで、ダム補給量を抑制し、ダム貯水量の温存を目指すとしている。

渇水諸対策(流況監視、利水施設の導水量決定、河川流量予測、ダム補給量の決定・指示など)のコントロールセンターとして、同整備局では、「首都圏水資源統合運用本部」が、その指揮を執る方針だという。(山崎実)