水曜日, 4月 2, 2025
ホーム ブログ ページ 177

海外サイトで県が販路開拓 技術の粋集めた県産品10点

0
茨城県庁

【山崎実】茨城県は20日から、米国EC(電子商取引)サイトを活用した県産品の販売を開始する。コロナ禍で世界的に市場規模が拡大している海外のECサイトを活用し、県産品を生産する県内事業者の海外販路開拓を支援する。

販売商品は公募の中から10商品を選んだ。いずれも日用品、装飾品などだが、技術の粋を集めた県産品の海外販売だけに、県も意欲的に取り組み、成果を期待している。

販売するECサイトは、米国小売りEC市場の売上シェア4割を占める最大手の「アマゾン」と、売上シェア3位で衣料品から伝統工芸品まで幅広い商品を掲載している「イーベイ(eBay)」。

現地での検索サイト広告や、SNS・動画サイトで、一般ユーザーの投稿と同形式で広告を掲載するなど、販売プロモーションを行う。

米国ECで現地販売する県産品は次の通り。価格はいずれも消費税込み。

▽ハンドメイドによる高級囲碁・将棋盤「囲碁盤」(茨城木工、神栖市、国内価格5万7200~11万5500円)=囲碁・将棋盤の国内シェア8割以上を占める信頼のメーカーによる新カヤの無垢材を使用した高級碁盤
▽風鈴にヒントを得た銅合金製オリジナル打楽器「ミニ凛1オクターブ8音セット」(大塚製作所、水戸市、3万3000円)=精密機械加工技術で銅合金を鐘に加工、シンプルで小さく独特な澄んだきれいな音色と長く続く余韻が特徴
▽世界で唯一の金属製蝶ネクタイ「Metal Butterfly(メタル・バタフライ)」(日青工業、河内町、2万7500円)=精密板金加工の技術をファッションアイテムに応用、実在のチョウをモチーフに1枚のアルミ板から製造
▽Eスポーツ向け本格マウスパッド「ステンレス製マウスパット」(稲見精密、筑西市、1万3000~5万2000円)=特殊表面加工により摩擦を軽減、高級感あるステンレス鋼を使用し耐久性や耐摩耗性がある
▽洗濯洗剤を不要にするマグネシウム製品「洗濯マグちゃん」(宮本製作所、古河市、7590円)=マグネシウムと水の反応を利用し洗濯機に入れるだけで洗剤を使わず洗濯ができる、洗濯槽やホースの美化にも効果あり
▽はすの花をイメージした綿100%風呂敷「風呂敷Lotus(ロータス)・フラミンゴピンク」(プラネッツ、常陸大宮市、3575円)=「風呂敷デザインコンペ2009」で大賞を受賞した呉服店による風呂敷
▽ブラシ専門製造者によるこだわり製造のブラシ「タワシブラシ」(橋本ブラシ製作所、美浦村、2000円)=ねじりブラシ専門製造業者として熟練職人の手と技術で作られた、密度と洗浄効果が高いブラシ
▽広げても折り紙の形に戻る形状記憶レンズクリーナー「PetiPeto(プッチペット)」(南海プリーツ、牛久市、1760円)=折り紙をモチーフにした眼鏡やスマートフォン用ポリエステル製クリーナー、プリーツ加工のため広げても元の折り紙の形に戻る
▽オーガニック100%のこんにゃくで作られた肌ケア用スポンジ「つるりんころりん」(袋田食品、大子町、800円)=コンニャクを素材とし細やかな編み目のためとても滑らかな使い心地
▽世界で唯一のパイプクリーナー機能も持つ洗剤「環境配慮型洗剤 緑の魔女ランドリー」(エーベル・バイオクリーン、龍ケ崎市、大667円、小391円)=環境や健康に配慮、バイオの力でパイプをきれいにする効果もある

《法律かけこみ寺》25 かけこみ寺の功績

0
土浦市神龍寺(本文とは関係ありません)

【コラム・浦本弘海】法律かけこみ寺も早いものでいよいよ最終回、今回で連載18回から前回までを振り返りたいと思います。

〈18 特別法のある金曜日〉

検察庁法改正という時事ネタにからめ、「上位の法は下位の法を破る」、「特別法は一般法を破る」、「後法は前法を破る」という制定法相互間の優劣に関する3つの原則を紹介しました。

見出しは赤川次郎『上役のいない月曜日』より。

〈19 とある会社の消滅時効〉

民法に非常に大きな改正が行われ、2020年4月から施行されています。そこで、この改正でも特に重要と思われる、消滅時効の部分がどのように変わったかを取り上げました。

見出しは鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』より。

〈20 大量の雨が―おお!おお!おお!〉

ネタに困ったときは身近なトラブル。この回は隣地から雨水が流れ込んだときの法律関係として、民法の条文を紹介。ロシアのことわざに「家を買うな、隣人を買え」とあり、中国の故事に「百万宅を買い、千万隣を買う」とあるのもうべなるかな。

見出しはコードウェイナー・スミス『黄金の船が―おお!おお!おお!』より。

〈21 法律トリビアの泉〉

法律トリビアとして、一番短い法律を紹介。なんと、条文にしてわずか1条、法律全体の文字数がたった12文字! その法律とは、「陪審法ノ停止ニ関スル法律(昭和18年法律第88号)」。

見出しはTV番組『トリビアの泉』より。

〈22 登記にかける症状〉

登記には公信力がない、つまり登記簿上、所有権の権利者(所有権者)とされている者が(法律上の)真の所有者とは限らないという話。

見出しは映画(大林宣彦監督作品)『時をかける少女』より。

〈23 大いなる(負の)遺産〉

遠戚の遺産を相続するかしないかという話。最近は負の遺産の場合もあり、相続放棄にフォーカスして紹介しています。

見出しはチャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』より。

〈24 いつつのかい〉

連載第13回から連載第17回までを振り返った総集編。前回と今回で、1年分の連載をあっという間に読めるお得な回。

見出しは加納朋子『ななつのこ』より。内容はもちろん装画も素晴らしい逸品です。

〈25 かけこみ寺の功績〉

今回です。

見出しはロバート・バー『ヴァルモンの功績』より。内容的に「功績」というのは諧謔(かいぎゃく)で、どれだけ皆さまのお役に立てたか分からないこのコラムの締めくくりには、もってこいの作品と申せましょう。

ご愛読、ありがとうございました!(弁護士)

《邑から日本を見る》77 大飯原発設置許可取り消し判決の波紋

0
畑で餌をついばむハクチョウ=那珂市下大賀

【コラム・先﨑千尋】今月4日、大阪地裁は関西電力大飯原発3、4号機の耐震性を巡り、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は違法だとした。この裁判は、福井県や近畿地方の住民が、同発電所の設置許可を取り消すよう求めていたもので、「原子力規制委員会の判断に看過しがたい過誤、欠落があり、設置許可は違法」という内容。一審の判決なので、確定ではないが、東海第2原発など各地で起こされている原発再稼働差し止め裁判に影響を与えよう。「琉球新報」は「再稼働のよりどころ否定。再稼働を推進してきた国や電力会社に与える打撃は大きい」と書いている(5日付け)。

争点となったのは、関電が算出した耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の値や、これを基に設置を許可した規制委の判断が妥当かどうかだった。関電は、新基準に基づき、大飯原発の基準地震動を福島原発事故前よりも引き上げて856ガル(ガルは加速度の単位)と算定し、規制委も了承した。

これに対して住民側は、この基準地震動は少なくとも現行の1.34倍の1150ガルになる、規制委の審査ガイドにも「ばらつきも考慮される必要がある」と記載されている、現在の原子炉は耐震性を満たしていない、と主張していた。規制委内部でも、元規制委員長代理の島崎邦彦氏は、この数値は過小評価であると再考を求めていた。

判決で重視されたのはこの「ばらつき」。福島原発事故や熊本地震のときもそうだったが、自然現象には「想定外」がつきものだ。規制委が審査ガイドを作る際、「基準値(計算式)よりも大きな地震が起きることを想定すべきだ」という指摘があったことを踏まえ、数値を上乗せする必要性に言及。森裁判長は「国(規制委)が自ら作った基準通りに従わず、審査すべき点を審査していないので違法」と規制委の審査姿勢を糾弾している。

再生可能エネルギーが世界の主力電源

東海第2原発については、施設が壊れるギリギリを示す原子炉基準値は1009ガル。この数値がどの程度のものなのか、素人の私にはわからないが、先月に開かれた日本原電の住民説明会でも「この数値は過小評価ではないか。この2倍の地震が来ればどうなるのか」という質問に、あいまいな回答しか返ってこなかった。東海第2では、このばらつきの上限はどれくらいなのかを聞いておきたかった。

この基準地震動は他の原発でも大飯原発とほぼ同様の手法で計算しているようなので、審査の土台となる規制基準の妥当性そのものが疑われよう。「日本経済新聞」は「原発安全審査、信頼性に影。福島事故から10年を迎えようとする中、規制の棚卸しが必要な時期」と指摘している(5日付)。また「茨城新聞」は「関電は司法判断を謙虚に尊重し、運転は見合わせるべきだ」と提言している(5日付社説)。

関電幹部は「どこまで巨費をつぎ込めば安定稼働できるのか」と悲鳴を上げているそうだ。再生可能エネルギーが世界の主力電源に向かっている今、安全対策に無限の投資を続けるより、危険極まりない原発の再稼働を止め、別の道を歩くことの方が安全なのではないか。(元瓜連町長)

冬のキッズ工作体験 14日から動画公開 関彰商事と筑波大生がコラボ 

0
筑波大生が考案した工作メニューの一つ、靴下でつくる雪だるま(関彰商事提供)

【山口和紀】地域の文化創造の場として関彰商事(関正樹社長)が運営している、つくば市二の宮のスタジオ’Sが、「冬のキッズアート体験2020-ONLINE(オンライン)」を14日からウェブで開催する。筑波大生が考案した工作のワークショップを動画や画像などで公開する。子供たちが動画を見ながら自宅で工作づくりを楽しめる内容だ。

キッズアート体験は、スタジオ’Sと筑波大生がコラボして毎年、夏と冬の年2回開いている。新型コロナウイルスの感染拡大から今年の夏はスタジオ’S単独の企画として行った。今回は、筑波大生とのコラボが復活した。

ワークショップで紹介する工作は全部で7種類。靴下で雪だるまをつくる工作や、たこ揚げのたこを作る工作など多様だ。オリジナルのクリスマスカードを作ったり、年賀状を作る工作もある。

企画には同大芸術専門学類の学生や大学院生が参加し、7種類の工作を考案した。ワークショップの一つ「靴下で雪だるまをつくろう」を企画したのが大学院1年の横堀玲奈さんたちのチームだ。靴下、綿、飾りつけ用のビーズ等を用意してもらって雪だるまを作る。「子どもたちが楽しめるよう身近なお店で手に入る材料で作れるよう考えたのが『雪だるま』だった」という。

およそ5分の動画で「雪だるま」の作り方を紹介する。内容のほとんどは「雪だるま」の胴体と帽子を作る工程となり、目やマフラーなどの飾りつけについてはあまり触れていない。横堀さんは「飾りつけ部分は子供たちが自分らしさを出せるように動画を短くした。どんな雪だるまにするかは子どもたちが自由に決めて欲しい」と語る。

去年までは子供たちと直接向き合ってワークショップを開催した。横堀さんは「去年は対面で実施された企画に参加し子どもたちと楽しい時間を共有することができた。今年の夏はコロナで一緒に活動できなかったが、今回からこういう形で協力できてうれしい」と話し、子供たちに工作体験を呼び掛ける。

筑波大生が考案した7つのワークショップはいずれもスタジオ’S のウエブサイトで、12月14日から2021年1月末まで公開される。

《食う寝る宇宙》75 「はやぶさ2」を見た子供たちの未来は?

0

【コラム・玉置晋】2020年12月6日未明には、ムクムクっと起き出してテレビをみていたので、寝不足の中で本原稿を書いています。はやぶさ2から分離したカプセルが大気圏に突入し、大気との摩擦熱で発光しながら、帰還する姿にはウルウルしてしまいました。

2014年12月3日に地球を飛び立ってから6年の歳月が経っていました。はやぶさ2の本機はカプセルを分離後、地球を離脱して、次なる目的地に向かいました。

このニュースを見た子供たちの中から、宇宙を目指す人材がたくさん生まれるに違いないと考えています。私の母はこのニュースを見て、母が子供のころに読んだ絵本の話をしてくれました。絵本には「将来、動く歩道ができるだろう」「将来、人類は月に行くかもしれない」と書いてあったそうです。

15年後、母は高校の教員になり、修学旅行の引率で東京を経由した際に、初めてエスカレータに乗ったそうです。1960年代初頭のことだと思います。そして、1969年に人類は月に降り立ちました。今、はやぶさ2のニュースを見た子供たちが活躍する15年後、どの様な世界になっているのか。

どうか、次の15年後にどうなっているのかと、希望を持てる世界であることを願います。

中国は月でサンプルを採取

日本では、はやぶさ2のニュースの影に隠れていますが、2020年12月1日、中国の月探査機「嫦娥(じょうが)5号」が月面に軟着陸し、12月3日、月面の岩石や土壌の採取に成功し、地球に戻るために月面を離陸したそうです。

同じころ、アメリカのNASAは、月の表土サンプルを収集し地球に持ち帰るプロジェクトへの参加企業を募集、日本の企業も選定されたというニュースが流れました。宇宙資源の争奪戦が始まりつつあるようです。

宇宙の真理を追究する時代、違う流れが大きくなっていることを、楽しみとみるか、懸念とみるか、現時点では判断は避けますが、世の中の動きをしっかり見ておきたいものです。(宇宙天気防災研究者)

土浦は自粛要請を継続、つくばは14日から解除 新型コロナで知事

0
茨城県庁(イラストは「いばらきアマビエちゃん」)

新型コロナウイルスの感染状況の深刻化を受け、大井川知事は12日記者会見し、土浦市など3市町は外出自粛と営業短縮の継続を要請すると発表した。これまで土浦、つくば市など13市町を感染拡大市町とし、13日まで不要不急の外出自粛や飲食店の夜10時以降の営業時間短縮を要請していたが、土浦市などはさらに20日まで1週間延長した形。一方、つくば市など10市は解除となり、14日から外出や営業時間の制限はなくなる。

大井川知事は県内の感染者について、11月14日からの2週間は535人の新規感染者があったが、直近の2週間は494人になったとした。直近の2週間のうち、前半の1週間は新規感染者が336人だったのに対し、後半の1週間は158人と、ここ1週間でようやく減少に転じた形で「予断を許さない状況だが、皆の協力で着実に成果はでてきた」と評価した。

一方、医療提供体制はこの3週間で重症病床の稼働率が37.3%、コロナ病床全体の稼働率も50%を超えており、ひじょうに高い稼働率が続いているとした。ただし直近の数日は、若干下がりつつあるとし、現在、県内全体で316床あるコロナ病床を、今月下旬までに順次416床まで拡大できるとした。

3市町の飲食店に協力金を支給

外出自粛や営業短縮要請が継続となるのは土浦市のほか、つくばみらい市、利根町の3市町。6日から12日まで1週間の人口1万人当たりの新規陽性者数は、3市のうちつくばみらい市が県内で最も高く、2.94人、次いで利根町が2.66人で、両市は国の指標で、爆発的な感染拡大が起き医療提供体制が機能不全に陥ることを避けるための対応が必要な「ステージⅣ」に相当する状況だ。

土浦市は同2.03人で、感染拡大市となった11月27日時点では国指標のステージⅣ相当だったが、12日時点では「ステージⅢ」に一段階下がった。

外出自粛などの要請が14日から解除となるつくば市の人口1万人当たりの新規感染者数は1.10人に下がった。

営業時間短縮の延長を要請する土浦市など3市町の飲食店については協力店に対し、14日から1週間、1店舗あたり14万円(1日2万円)の協力金を支給する。

さらに3市では、福祉施設従事者に緊急抗原検査を実施する。土浦市についてはすでに11月30日から65施設、2500人を対象に一斉検査を行い、陽性者1人が確認されたという。今後は、つくばみらい市と利根町の福祉施設15カ所の従事者440人全員を対象に12月中旬から下旬に抗原検査を実施する。

大井川知事はその上で、職場や家庭での感染がひじょうに増えているとして、職場で通常マスクをしていても昼休みや休憩時にちょっと油断してマスクを外して会話をしてしまったことが感染拡大のきっかけになるとして、マスク着用を意識して注意してほしいとした。

さらに、忘年会や新年会は県の追跡アプリ「いばらきアマビエちゃん」の登録店舗を利用すること、少ない人数で短時間の開催とし、大声を出したり、回し飲みをしたり、箸の共用をしないこと、会話をするときはマスクを着用することなど、最大限の注意を払うよう求めた。年末年始の帰省については、休暇を分散取得したり、体調に異常がある場合は帰省を控えるよう呼び掛けている。

水辺のまち土浦をカヌーで遠足 来春始動へ ラクスマリーナ

0
11月に新川で実施されたカヌー遠足のモニターツアーに参加した子供たち

【鈴木宏子】水辺のまち土浦で、市内を流れる川をカヌーで巡り、自然体験や観光に生かそうという新たな試みが始まっている。コロナ禍、野外で、親子や小グループでも楽しめる旅行商品づくりでもある。

霞ケ浦で遊覧船を運行するラクスマリーナ(同市川口、社長・栗原正夫土浦市副市長)が企画した「カヌー遠足」で、来春の商品化を目指している。

ガイドが付き添い、遠足気分でカヌーを楽しんでもらおうという企画だ。市街地を流れ、両岸に約200本の桜並木が続く桜の名所、新川を水面から巡る「新川遠足」や、夏にはハスの花が一面に広がる日本一のハス田を巡る「霞ケ浦レンコン田遠足」などが企画されている。

企画は、県の筑波山・霞ケ浦広域エリア観光連携促進事業「アウトドア層向け新商品企画開発」の開発部門で入賞し、11月から来年2月まで計5回のモニターツアーが実施される。

モニターツアーで子供たちが新川巡り

初のモニターツアーは11月に実施され、つくば市研究学園の総合型地域スポーツクラブ、NPO法人Next one(ネクスト・ワン、井上真理子代表)の小学1年から5年生約20人が、新川のカヌー遠足に参加した。初めてカヌーに乗るという参加者もいた。

午前10時、霞ケ浦・土浦港のラクスマリーナを出発、霞ケ浦から新川河口に入り、常磐線の鉄橋など計9カ所の橋をくぐって、桜並木が途切れる真鍋橋上流まで上り、Uターンする往復4キロを巡る約2時間のコースだ。真鍋橋では、川岸に立地するコンビニに上陸してトイレ休憩。子供たちはコンビニ店で一人200円ずつ渡され、それぞれ好きなおやつを買うなど遠足気分を盛り上げる演出もあった。

参加したつくば市の小学3年、女子児童は「いろいろな景色が見えて面白かった」、同市、同3年の男子児童は「流れが強いところがあって岸にぶつかりそうになったけど楽しかった」などと話していた。

同NPOアシスタントマネジャーの河田萌さん(28)は「子供たちは自分たちの力で進んで、仲間と協力しながら乗り越えることを体験できたと思う」と語った。

ツアーのガイドには、土浦港で年4回実施されているカヌーやヨット体験イベント「誰でも楽しもう霞ケ浦」を支えるボランティアらが参加し、子供たちの安全を見守った。「誰でも楽しもう」は2005年から開催され、障害者も高齢者も子供も、だれでも霞ケ浦を楽しんでもらおうという催しだ。ツアーにガイドスタッフとして参加した筑波大出身で埼玉県春日部市の会社員、木村穂高さん(53)は「子供たちは、ぐらぐらする水面や非日常を楽しんでくれたと思う」と話す。

カヌー遠足を企画したラクスマリーナ取締役の秋元昭臣さんは、自転車愛好者がつくば霞ケ浦りんりんロードを自由に行き来して楽しんでいるように、水面ではカヌーが行き来し、誰でも気軽に楽しめるようになることを目指したいとし、「霞ケ浦には56本の流入河川がある。皆が水に親しむようになれば、川もよりきれいになるのでは」と話す。

◆カヌー遠足は「新川遠足」が片道1.3キロ、往復90分で参加費は大人4500円、子供(小学4年生以上)2500円、「霞ケ浦レンコン田遠足」は片道650メートル、往復90分で、参加費は大人3500円、子供2000円。料金はいずれも税込み。詳しくは電話029-822-2437(ラクスマリーナ)。

《遊民通信》6 バンプ・オブ・チキンと寅さん―芸能人の結婚―

0

【コラム・田口哲郎】

前略
今回はコロナを離れて閑話休題といきましょう。この間、人気バンドのバンプ・オブ・チキンのニュースを目にしました。ボーカル藤原基央氏の結婚です。おめでとうございます。さて、世間を驚かせたのは、未婚だと思われていた他のメンバー(直井、増川、升各氏)が実は既婚者だった、という続報です。事務所関係者談というのですから穏やかではありません。

プライベートですから、結婚を非公開にすることにもちろん問題はないです。しかし、なぜ結婚を非公表にしたのでしょう? ファンがそう望むだろうから、という答えが返ってきそうです。ロックバンドとはいえ、あれほどの人気があれば、アイドル的といえるでしょう。

アイドルはファンみんなのものです。某女性アイドルグループは恋愛禁止をうたっていますね。確かに好きなアイドルが誰かの恋人、妻、夫なのは面白くないでしょう。疑似恋愛だとしても、不倫みたいで嫌だと心の底で思うのでしょう。人間は思ったよりも道徳的で潔癖な動物なのかもしれません。

人気者は孤独をまとう

映画「男はつらいよ」シリーズの寅さんを思い出しました。寅さんは全国各地の露店を回る渡世人です。行方定めぬ旅人は遊民に似ていて親しみを覚えます。

さて、寅さんは毎回登場するマドンナにほれますが、結局恋仲になる前に玉砕して、また旅に出ます。もし寅さんが名うての色男でマドンナを次々とものにしたら、あの映画は国民的映画になり得たでしょうか? 長寿シリーズたりえたのも、寅さんが万年失恋独身男だからだと思います。

ファンはバンプ・オブ・チキンのメンバーには寅さんであって欲しかったのです。藤原氏は孤独や生きる不安を詩に込めて唄い、他メンバーは抒情的旋律を奏でますから、彼らからは、成就する恋愛を想像しにくいのです。

そういえば寅さん役の渥美清氏はプライベートを一切明かさないことで有名でした。山田洋次監督でさえ家も家族も知らなかったそうです。渥美さんは大衆が寅さんに何を求めるのかよく分かっていたのでしょうね。そういう意味ではバンプ・オブ・チキンのメンバーの姿勢はたたえられるべきです。ファンの独占欲と道徳心を満たすために、プライベートをひた隠してロック界の寅さんを演じていたのですから。ご苦労さまです。

孤独はアーティストにとって軽視できない要素です。自分に対するイメージのみならず、創作の本質としても。『変身』で知られるカフカは結婚まで考えた恋人と結局別れました。結婚すると孤独ではなくなり、小説を書けなくなると考えたからです。

『叫び』で知られるムンクは独身時代に暗く強烈な絵を描きました。しかし、幸せな結婚をして、同じ画家の作品かと驚くほど画風が明朗になりました。さて、かく言う私は孤独な遊歩者ですから、哀しいかな、何も隠すことはありません。気楽ですが、少し寂しいです。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

史上最長! ナノサイズのネコジャラシ 物材機構など合成に成功

0
ボトルブラシポリマーの合成法(物材機構・理研)

【相澤冬樹】物質・材料研究機構(NIMS、つくば市)は9日、理化学研究所と共同で、史上最長のボトルブラシポリマーの合成に成功したと発表した。イネ科植物エノコログサの花穂「ネコジャラシ」 に似た形状の高分子材料で、従来の合成で致命的欠点だった長さや化学的性質の多様性の制約を大きく改善した。これにより、柔軟性と低摩擦性を有する高分子材料などへの応用が期待されるという。

今回の成果は、NIMS機能性材料研究拠点の山内祥弘独立研究者と理研創発物性科学研究センターの石田康博チームリーダーらの研究チームによる。

史上最長といっても、その長さはナノメートル(μm=10億分の1メートル)オーダー。カーボンナノチューブに代表される1次元ナノ材料は、サイズや性質の調整など合成上の課題があった。従来の合成法では原料となるモノマーの反応性や微量不純物の混入などの課題があったため、伸長可能な長さは1μm強が限界で、数μm長の合成法が求められていた。

そこで研究チームが注目したのが、ボトルブラシポリマーという新たな高分子材料。モノマーが多数結合した高分子のことをポリマー(重合体)と呼ぶ。ボトルブラシポリマーは1本の主鎖と複数の側鎖からなり、それぞれの構築用に2種類の重合体を用意、側鎖の選択によって様々な化学組成を持った高分子の設計が可能となる。

この合成により出来上がったネコジャラシは長さ7μmまでに到達、これまでの最長値と比べて約3.8倍の長さに相当した。さらに2種類の重合法を組み合わせることで、主鎖の長さは維持しつつ4種類の側鎖を持つボトルブラシポリマーを作り分けることにも成功した。

今回の成果は、長さや直径サイズや化学的性質の制御された様々なボトルブラシポリマーの合成を可能にする。ボトルブラシポリマーは、表面にコーティングすることで低摩擦面を実現し、例えば機械可動部の摩擦によるエネルギー消費の削減に繋がると期待されている。今後、ボトルブラシポリマーの長さを生かしながら、3次元網目構造にすることで、安定かつ柔軟な材料としてソフトコンタクトレンズや人工軟骨への応用が期待できるという。

NIMSの山内祥弘研究者は先に、ハリセンボンに発想を得た高耐久超撥水材料の開発も手掛けている。

スーパーシティ構想応募へ つくば市が連携事業者を募集 

1
スーパーシティの構成(内閣府のホームページより引用)

【鈴木宏子】国が進めるスーパーシティ構想への採択を目指しているつくば市は、7日から連携事業者の募集を開始した。スーパーシティ連携事業者は企業や大学、研究機関などが対象で、パートナーとして市の構想や実行計画の企画立案を共に行う。

スーパーシティは、AI(人工知能)やビッグデータなど先端技術を活用し、複数の分野でデータを共有して、行政手続き、移動、医療、教育などさまざまなの分野で暮らしの利便性を向上させる未来型の都市づくり。内閣府が全国の自治体などを対象に12月を目途に公募、来年春ごろ全国で5カ所程度が採択される見通し。

選ばれれば、スーパーシティの区域会議を立ち上げ、住民の合意をとった上で、データを共有できる基盤をつくり、パートナーとなる企業や大学、研究機関などが自治体と連携してサービス開発やインフラ整備などに取り組む。実現に向け国は、関係省庁の事業を集中投資する。公募に先立って今秋、国が自治体からスーパーシティのアイデアを公募したところ、10月末時点で57自治体からアイデアが出されている。

一方、県とつくば市は昨年6月、大学や研究機関、企業などと共同で、つくばスマートシティ協議会を設立し、さまざまな実証実験を実施している。バイタルデータから生理的異常を検出した際に登録先に連絡したり、電動車いすに取り付けたタブレットに信号機の情報を表示したり、顔認証でバスに乗降したりするなどだ。

提案締め切りは28日

今回の連携事業者の募集は、スマートシティ協議会の取り組みとは別に実施するが、同協議会で実証実験に取り組んできた企業や大学、研究機関などから連携事業者としての応募があれば、受け付けるという。

スーパーシティの要となる、多分野のデータを共有するデータ連携基盤については、新型コロナの地方創生臨時交付金約5000万円を市が同協議会に交付し、行政や企業などのさまざまなデータを共有し、用途に合わせて組み合わせて利用するための情報連携システム基盤やアプリを開発中。スーパーシティに選ばれた場合も、今回、同協議会が開発しているデータ連携基盤を使うことになるという。

連携事業者の公募にあたって市は、市の課題として、①都市部と郊外の二極化②多文化共生のための対応③技術と生活の融合④研究学園都市の老朽化-の4つの課題を挙げ、課題解決のほか、都市機能の向上、市民の暮らしやすさの革新などのアイデアの提案を求める。

事業提案の締め切りは28日。来年1月に連携事業者を決定し、市独自のスーパーシティ構想や実行計画などをつくって応募する。

【スーパーシティの事例】中国・杭州市では、世界最大のネットショッピング、アリババ系列会社が行政と連携して、カメラ映像のAI分析を活用し、信号機の点滅を自動で切り替えて渋滞を緩和したり、交通違反を取り締まったり、顔認証でキャッシュレスの無人コンビニを展開している。スペイン・バルセロナ市では、市内に設置した約1万2000のセンサーのデータやGPS測位データなどを利用し、駐車場の空き状況やバスの運行情報、ごみ収集など都市インフラの最適化を行っているほか、市民自らが政策の閲覧や議論がでるようにしたり、オープンデータをもとに地域社会の課題を見つけ出し解決策を生み出すコンペを開いたりするなど、国際的にはスーパーシティに向けた動きが急速に進展している。一方、カナダ・トロントでは、グーグルの系列会社が、あらゆる場所、人、物の動きをセンサーで把握し、ビッグデータを活用した街づくりを計画したが、個人情報の活用に住民から懸念が出て、今年5月、新型コロナで採算が取れないことを理由に、会社が事業から撤退したなども起こっている。

《映画探偵団》38 中心市街地で運動公園問題を考える

1
イラストは筆者

【コラム・冠木新市】12月6日。ある市議と出会ったので、つくばの中心市街地を運営する予定の「まちづくり会社」について、どうなっているのか尋ねてみた。すると市議は「他の市民からも聞かれているが、自分もまだ市から知らされていない」と答えた。そして、「最近では『まちづくり会社』に疑問を持つ市議が増えている」とも教えてくれた。

同日午後1時。TBSテレビ『噂の!東京マガジン』を見た。「つくば市総合運動公園」の特集だったからだ。約20分の構成は、5年前に運動公園計画に反対し住民投票で白紙撤回させた「つくば市民の会」代表2人への取材と、その後の経過報告。次に東京ドーム10個分の運動公園予定地跡をどうするのか、市議へ質問。①土地売却と活用案の併用②条件付き売却③防災拠点活用案―の意見が紹介された。

そして、番組コメンテーター清水国明氏が、つくば市にRVパーク(キャンピングカーで車中泊ができる場所)を造ったらと提案し、防災拠点にもなると語った。その後リモート出演した市長は「一部は防災倉庫に活用して残りは民間に売却したい」との考えを話した。

これらの話を聞くうちに、私には、中心市街地で行われたイベントの記憶が蘇ってきた。2018年、中央公園の雑木林での「手ぶらでバーベキュー」。2019年、中央図書館隣の空き地での「つくばVAN泊」(キャンピングカーが集まった)。

あのときは、他にいくらでもよい場所があるのに、どうして中心市街地でやるのか不思議だった。しかし、今回のテレビ番組で謎が解けた。これまでの企画は、「総合運動公園跡地利用」への宣伝効果を狙ったものだと考えると一本の線でつながるからだ。

初めて知った「防災拠点=RVパーク」(?)計画と「売却」が悪いのではない。中央メディアで発表する前に、市議や市民へ知らせるべきではなかったかと言いたいのだ。だから私には、土地とキャンピングカーとテント用品などを売るビジネス計画に見えてしまった。

『猿の惑星』シリーズ

12月に入って、映画『猿の惑星』オリジナルシリーズ5部作(1968∼1973)と新シリーズ3部作(2011∼2017)を見直した。第1作『猿の惑星』(1968)は『2001年宇宙の旅』と同時期に公開され、それまでゲテモノ扱いされていたSF映画が一躍1級ジャンルへと昇格するきっかけになった作品である。また未来への不安をかきたてる先駆けとなった作品でもあった。

地球に帰還するロケットに乗った宇宙飛行士テイラーが事故で不時着する。ゴツゴツした赤茶けた岩山と砂漠が広がる惑星。そこは、ゴリラの軍団やオランウータンの行政官やチンパンジーの学者たちが人間を支配する猿の惑星だった。

テイラーは猿のまちで獣の扱いを受ける。そして、猿に抵抗したテイラーはノバという女性を連れて猿たちが恐れる禁断地帯へと足を踏み入れる。すると、テイラーは砂浜を叩いてわめきだす。目の前には、腰の辺りまで砂浜に埋まった自由の女神像があった。猿の惑星は核戦争で滅んだ未來の地球だった。テイラーは猿にも劣る人間を罵倒していたのだ。

中心市街地つくばセンタービルと総合運動公園跡地の森が一本の線で結ばれていると考えると、色んな思いが湧いてくる。センタービルは遺跡であるから老朽化などしない。エレベーターは3基あり、車イスで広場に入れる場所は5カ所もあるから、弱者用をアピールするエスカレーター2基は必要ない。

むしろ、センタービル改造資金を総合運動公園跡地や学校建設関連に回す方が得策だと思う。猿知恵と皆から笑われるだろうか。私はテイラーの気持ちがよく分かる。サイコドン  ハ トコヤン サノセ。(脚本家)

コロナ禍の牛久入管この1年 13日に市民活動報告会

0
昨年の活動報告会の会場で展示された、東日本入国管理センター内の様子を描いた絵画の一部

【崎山勝功】東日本入国管理センター(牛久市久野町、通称・牛久入管)に収容されている外国人の処遇改善に取り組む市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」(つくば市、田中喜美子代表)の年間活動報告会が13日午後1時30分から、同市吾妻のつくばイノベーションプラザホールで開かれる。牛久入管は、法務省出入国在留管理庁の収容施設の1つで、難民申請する外国人の長期収容は国際的な非難の対象ともなっている。

集会では、牛久入管での1年間の面会活動報告を中心に、外国人の人権問題に最前線で取り組んでいる「全国難民弁護団連絡会議」の駒井知会弁護士の講演、クルド人の子どもたちによるステージ発表が披露される。今年はコロナ禍での開催のため、会場では消毒や検温を徹底して感染防止対策に万全を期す。

牛久の会の田中喜美子代表=つくば市高野

田中代表は、つくば市内で生活する外国人を念頭に「私たちの生活は日本人とか外国人とか区別をするような時代ではないくらい、外国籍の方が多く生活している。入管の問題はとても大事な問題。ぜひいろいろな方に知っていただきたい」と訴える。

牛久入管ではコロナ禍の今年、政府の緊急事態宣言(4月7日)を受けて、感染対策の「3密の解消」を名目に、収容していた外国人被収容者たちに仮放免を許可した。コロナ禍前は300人前後の外国人が収容されていたが、現在では約100人程度までに減少した。

しかし被収容者たちは「退去強制令書」が出ている状態での仮放免のため、就労は禁止、他都道府県に行くには入管当局の許可が必要、国民健康保険に加入できないなど、生活は困窮の度を加えた。仮放免中の外国人の生活を支援するために、様々な市民団体がカンパなどで支えているが、田中代表は「長く続くコロナ禍での仮放免では到底生活に間に合うものではなくて、非常に困窮している」と強調する。

仮放免中の外国人からの電話相談では「どうやって生きていけるか分からない」や「帰国するにも飛行機の便が無い」などの悩みが寄せられる。仮放免中の外国人以外でも、外国人技能実習生や特定活動で働きに来ている外国人、留学生なども厳しい状況に晒されているという。

報告会で、田中代表は「日本の入管政策、外国人政策について考えていきたい」としている。資料代500円。問い合わせ先は、牛久の会公式サイトで。

《土着通信部》42 福島第1原発事故から10年が迫る町

0
双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館と伊沢史朗町長(円内)

【コラム・相澤冬樹】東京電力福島第1原発事故に伴う住民避難が続く福島県双葉町を先月末、約6年ぶりに訪ねた。環境省が現地で開いた「福島再生・未来志向シンポジウム」に参加を申し込んだ。原発の隣接地に設けられた「中間貯蔵施設」への現地見学を希望してのGoToだった。

東日本大震災から10年となる来春に向けての情報収集という意図が働いた。そのせいか、取材メモは数字を書きとる作業に終始しがちだった。

たとえば中間貯蔵施設では、毎日約2800台のダンプトラックを受け入れているという話を聞いた。「ペースカー」と呼ばれる10トントラックには1台6~7個のフレコンバッグが積まれているそうだ。

フレコンバッグには、福島県内の除染に伴い発生した土砂や廃棄物などが詰め込まれている。6年前には地表を剥ぎとられた田畑や原野に、膨大な量の土のう袋が野積みされていた。あの黒い袋の現時点の回収地点が、中間貯蔵施設ということになる。

施設は、原発を取り囲むように、双葉、大熊両町にまたがって6号国道から海側の約1600ヘクタールの地域を占めている。ここに汚染土を最終処分までの間、安全に集中的に貯蔵すべく、環境省が設置、中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)が運営する事業が2015年から行われてきた。

輸送対象となる福島県内の汚染土は約1400万立方メートルに達するとされ、11月までに約7割の965万立方メートルが同施設に運びこまれた。21年度中には完了の見通しということである。

こんな数字ばかりをメモしていると、逆に現場にいることのリアリティーを失いかける。目の前では、集めてきた土を、放射線量の最も高い原発隣接地の地面の中に埋め立てるという風変わりな作業が展開されている。しかも、これはあくまで中間処理でしかない。法律では「45年3月12日までに同施設から全ての廃棄物を搬出し、県外最終処分しなければならない」と定められている。地中のアンダーコントロールを、どこまで信じたらいいのか。

まだだれ一人戻っていない

結局、2日間のシンポジウム日程で、一番印象に残った数字は双葉町の伊沢史朗町長による「町にはまだだれ一人戻っていない」だった。

県内自治体で唯一全町避難が続いていた双葉町だが、3月に一部の地域で避難指示が解除された。JR常磐線双葉駅周辺の帰還困難区域と、町北東部の避難指示解除準備区域。ただ、産業団地への企業誘致や住宅整備などを進めるための「先行解除」で、居住は想定していない。

町長は2022年春の特定復興再生拠点の解除を目指し、双葉駅周辺に役場や住宅、商業施設などを集約するコンパクトな町づくりを掲げる。住民が帰還した際の雇用の受け皿になるよう産業団地が整備され、県内外の12件17社と立地協定を結んだ。

3月に常磐双葉インターチェンジが供用開始、常磐線は全線での運転が再開され、町へのアクセスは向上した。9月には解除区域に飲食店が入る産業交流センターや東日本大震災・原子力災害伝承館がオープンした。農地再生を目指し、営農再開に向けた実証実験も始まった。

しかし町長の前には冷たい数字が横たわる。震災・原発事故以前の2011年2月末の人口7100人は、ことし11月30日現在5798人まで減少した。住民意向調査では、「戻りたいと考えている」との回答は約1割にとどまり、「戻らないと決めている」が6割を超える。住民帰還への道のりは険しい。(ブロガー)

「農業の魅力を伝えたい」 JA水郷つくば大使に安達勇人さん

0
池田正組合長(左)と安達勇人さん=JA水郷つくば営農経済事業本部(土浦市田中)

【伊藤悦子】いばらき大使で俳優、声優として活躍中の安達勇人さんが、JA水郷つくば大使に任命された。8日、土浦市田中の同JA営農経済事業本部で任命式が行われ、今後はレンコンをはじめとした生産物のPR役を担う。

安達さんは桜川市生まれ。畑と田んぼ、山に囲まれて育ったという。土に触れる大切さを伝えたいと、ファンと農業体験ツアーや畑を主役としたイベントも開催している。

今年は新型コロナ感染拡大の影響で、ツアーがすべて中止になったが、茨城を盛り上げようと、軽トラックの荷台に乗って、県内の畑や田んぼなどを会場にする野外ライブを行った。

安達さんは「名誉ある大使に任命されてうれしい。農業体験型のPRや、農家や販売している人たちを主役にしたPRで農業の魅力を伝えたい。地域密着のマーケットも作れたら」とし、「任命されたからには安達勇人にしかできないことをやる。自分が持っているものを全部出して、JA水郷つくばの方たちと協力してやっていきたい」と抱負を語った。

池田正組合長は「大使をお願いしたのは、人気があるから、かっこいいからだけではない。農業が大好き、レンコン大好き、軽トラックの荷台でライブをするなど、農業と密接な人。人柄も含めてJA水郷つくばとマッチングできると思った」という。「JAには食料自給率を高め、農産物をしっかり提供する使命がある。安達さんの力を借りて進めていきたい。軽トラックのライブもJAの広場でやってもらえたら」と期待を込めた。

農業と同じように長く続けてほしいという趣旨から、大使の任期は特に定めていないという。安達さんは「おじいさんになってもやっていたい」と意気込みを語った。

第1回大賞に医療相談アプリ「リーバー」 いばらきイノベーションアワード

0
左からロックガレッジ(岩倉大輔社長)、アークメディスン(田中圭悟社長)、大井川知事、リーバー(伊藤俊一郎社長、大北慧さn)

【山崎実】今年度、県が創設した「いばらきイノベーションアワード」の大賞に、つくば市のベンチャー企業、リーバー(伊藤俊一郎社長)の医療相談アプリ「リーバー」が選ばれた。優秀賞には同じくつくば市のアークメディスン(田中圭悟社長)の新薬候補化合物の提供技術と、古河市のロックガレッジ(岩倉大輔社長)のドローンAIシステムが選ばれた。

つくば開催のシンポジウムで紹介

21日につくば国際会議場(つくば市竹園)で開かれる「Soiety(ソサエティ)5.0シンポジウム」で受賞者が紹介され、製品・サービスが展示される。大賞のリーバーには賞金100万円が授与された。

イノベーションアワードは、先端技術を活用した新製品、新サービスを表彰することで、より一層の製品化や、地域経済を支える新産業の成長、促進を図るのが目的。県内企業が概ね3年以内に発売した製品やサービスなどが対象となる。

公募には26件の応募があり、外部有識者などによる審査の結果、大賞と優秀賞が選ばれた。

大賞、優秀賞の新製品・新サービスの主な内容は以下の通り。

【大賞】
▽リーバー「医療相談アプリ『リーバー』」=自動対応問診で、患者と医師双方に負担をかけない医療相談サービスを実現した。月額350円(プレミアム会員料金)で相談できる。全国で導入が拡大中。スマートフォン一つで利用でき、今年のコロナ禍にも対応した製品開発が評価された。

【優秀賞】
▽アークメディスン「創薬合成技術『HiSAP(ハイサップ)』による新薬候補化合物の提供」=HiSAPは世界で特許を取得した技術で、製薬企業では自社発の新薬候補化合物が枯渇しているため、薬剤として優れた特徴を有する新薬候補化合物を短時間で提供するサービスの技術が期待されている。筑波大学との新薬創出の共同研究が進行中。
▽ロックガレッジ「ドローンAIシステム『ハリスホーク』」=リアルタイム映像をもとに、災害時などの捜索者の位置をAI技術で検出し、その情報を関係者が即時共有できるようにする。AIが学習するデータを変えることで、獣害調査や自動車等の交通状況、不法投棄・漂着ごみ等の検出・監視に応用できる。高額な専用設計ドローンではなく、普及している市販のドローンを使ってシステムを動かせるため、導入のハードルが低い利点がある。

問い合わせは県科学技術振興課(電話029-301-2532)

《続・平熱日記》74 シャツのシワに想う

0

【コラム・斉藤裕之】先日新聞を読んでいて目に留まったのは、最低賃金の算出にアイロン代を入れるべきか否かという議論。つまり、働くためには最低限シワのないシャツが必要だというお話。この一見バカバカしいとも思える話はコロナとも無関係ではなく、営業悪化のツケは結局非正規の社員やアルバイトに回ってくるということらしい。

お手てのシワと違って、シャツのシワを合わせてもシワヨセがくるということだ。例えば、フランスの銀行にはスーツを着てないどころかラフな格好にピアス姿のあんちゃんが普通に窓口にいる。日本人の清潔感や礼儀正しさは美徳だと思うけれど、少しばかり過包装に感じることもある。

学校や会社での面接でも、きちんとしているから優秀とも限らない。リクルートスーツなんてのも、考え直した方がいい。ちなみに、おカネがなくてヨレヨレのシャツを子供に指摘された経験を持つ私としては、「シャツにシワあるのは自然素材を着ている証!」という詭(き)弁?でごまかしてきたのだが…。

このごろやっと世間が追い付いてきたようで、つまりあれだ! SDGsとか言っている人はまず地球にやさしくないクリーニングやアイロンはやめて、シワシワのシャツで会議に出なさい!ってことだ。

世の常識は「日雇い」の身には負担

話はガラリと変わるが、このコロナ禍で私のツブヤキが予言の如く現実となっているのだが、あまり自慢できることでもない。例えば、オリンピックはもう少し質素にとか、修学旅行や学校の行事の在り方や、働き方の見直し―など。先の国勢調査で自治会の意味も問われたとか、国民放送の映らないテレビを発売することなども話題に上がっているようだ。つまりはコロナのせいで本質が見えてきたのか、建前が通じなくなってきたということか。

それから、マイナンバーカード。4桁の暗証番号が必要だというので、窓口のご婦人に尋ねた。「あなたご自分の番号覚えておいでですか?」って。怪訝(けげん)な顔をされたが、顔写真まで付いた自分を証明するカードにまた数字の証明がいるとは。予想通り、定額給付金の支給でこの暗証番号がわからなくなってしまった人が役所に殺到した。

とはいえ、予言者のパラドクスは自分の未来を予言できないということ。私も日銭を稼ぐために、週に何度かはシワのない(できない)シャツを着なければならないのだが、1本しかない折り目のある夏物のズボンをまだ履いていて、さすがにスースーすると思ったらもう12月だ。

慌てて引っ張り出した冬物のズボンが、太ったらしく入らない。そもそもズボンに折り目が必要なのか。そもそも夏物とか冬物とか気にしたこともなく、綿のズボンを年中履いていたのだが。

シャツのシワだけではなく、私の経験からもサラリーマンを基準にした世の中の常識が、日雇いの身には結構な負担になることが多々あった。ちなみに、ネクタイはかの美浦村にて子供の柔道大会の参加賞でもらった中央競馬会の青いヤツを1本きり、今でも使っている。日雇いに出掛けるときは、それをシワシワになった首に巻く。(画家)

市選管、当選無効申し立てを棄却 「勝手につくば大使」通称認定問題  

11
10月25日投開票があったつくば市議選の選挙ポスター掲示板

【鈴木宏子】10月25日投開票が行われたつくば市議選で、「勝手につくば大使」が通称として認められたのは違法だとして、同市の横井美喜代さんら5人が11月9日、市選挙管理委員会(南文男委員長)に当選無効を申し立てた問題で、市選管は7日、申し立てを棄却する決定を出した。

「選挙人は十分に知り得る状況にあった」

決定書によると「選挙長から通称を認定された以上、『勝手に…』と記載してある投票は有効」で、「多少軽薄な響きがあるとしても、不真面目な、侮蔑、嘲弄の意を含んだ言葉とまでは認められない」とし、「選挙人の意思が最大限尊重されるべき」だとした。

さらに「(『勝手に…』のメンバーの)人数は別として、小村政文氏が『勝手に…』として約5年前から活動している」こと、「ビラやポスター、選挙公報に『勝手に…』が掲載され、投票記載所に掲示されたのだから、選挙人は『勝手に…』が小村氏であることを十分に知り得る状況にあり、選挙人の意思は尊重されるべき」だとした。

公選法施行令で通称の使用は、本名以外の呼称が本名に代わるものとして広く通用している場合、選管に申請し認められれば使用することができるとされる。選管が通称を認定する基準については、立候補届け出時に提出された資料からみて、選挙区域全域で本名がほとんど使用されておらず、本名に代わって通称申請した呼称が広く使用されていると認められる場合に限り、通称として認定すべきとされる。

申し立てで、横井さんらは「『勝手に…』は本名に代わるものとして広く通用しているものではなく、事業体のチーム名、グループ名であるから、通称と認められるものではない」「『勝手に…』は、2人で活動しており小村氏を指すものではない」などと主張していた。

市選管の決定に対し、横井さんらは「決定書には、通称が本名に代わって広く通用していることを検討した記述がなかった。『勝手に…』が複数で集団活動をしていたことを認める記述があり、小村氏が代表を務める事業のチーム名またはグループ名であることを示唆している」とした。その上で「つくば市選管の決定は納得がいかず、市選管には今後も通称認定基準の明確化を求めたい」と述べた。決定に不服がある場合は、21日以内に県選管に不服申し立てができる。横井さんは「今後どうするかについては改めて検討したい」としている。

一方、『勝手に…』を通称申請した小村さんは「今日の結果を受けてさらに身を引き締め、今まで通り頑張っていく」としている。

《吾妻カガミ》95 つくば市長の「上から目線」

9
つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】民間会社の場合、株主や顧客に業績や商品について理解してもらう仕事を広報と呼び、企業活動にとっては大事な分野です。公の市政の場合、その対象は市民になりますが、10月に再選された市長の五十嵐さんは、選挙活動の中で市政への理解不足を痛感したらしく、2期目では広報に力を入れるそうです。

その意気込みについては、11月の会見記事「発信の在り方 根本から検討」(11月5日掲載)をご覧ください。理解不足の例として、①市のかなりの取り組みを知らない市民が多かった②対抗候補も市の基本的な取り組みすら知らなかった③市政について相当いい加減なことを書く人もいた―などを挙げ、「市民が必要としている情報をどうやって届けられるか、あらゆる手段を考えたい」と述べました。

広報の充実はメディアも大歓迎です。でも、市民の理解不足を嘆き(平均的な市民が市政の詳細を知るのは無理)、対抗候補を見下す(彼らは無投票を避けようと急な準備で出馬を決断)ような、「上から目線」はいただけません。また、観察者(開示情報を基に市当局とは違った視点でチェック)を煙たがるようでは、度量が狭すぎます。

施策を立案・実施する市長がその内容に精通しているのは当たり前ですから、自分との比較で、①②③の方々の理解度にブツブツ言うのはいかがなものでしょうか。

広報は「自然体で」「虚偽はダメ」

経済記者が長かった私は、上場会社の広報責任者から広報の在り方についてよく相談されました。旧財閥系企業の広報コンサルタントが主催するセミナーでも、よく講演させられました。そういった際には、「自然体で対応する」「ウソをつかない」ことが大事とアドバイスしたものです。別の言い方をすれば、装飾や虚偽はいずればれる、そのとき会社は信用を失い、経営が危機に至るケースも―ということです。

行政広報と企業広報は同じではありませんが、「自然体で対応する」「ウソをつかない」は受け手が誰であろうと同じです。そして大事なのは、「広報の方法」ではなく、「広報の中身」であることは言うまでもありません。テクニックにこだわると宣伝臭くなり、信用されなくなります。

「NEWSつくば」は5月、市長と日本財団理事長の面談録(新型コロナ軽症者施設を市内の同財団敷地に設置する件)を開示するよう市に請求しました。6月9日付の回答は「存在しない」でしたが、25日にその旨を記事にしたところ、30日になって「発見された」と修正してきました。虚偽がばれると思ったのでしょうか? その詳細は本サイトの記事(7月29日掲載)をご覧ください。

五十嵐さんは市長選の討議資料で、1期目を「9割以上の公約が達成もしくは順調」と自己採点しています。これに対し、本コラム(10月19日掲載)では「総合点は60点以下」と判定しました。選挙向けとはいえ装飾はいけません。市報でも、市HPでも、SNS発信でも、報道対応でも、広報は虚偽と装飾を排し、自然体でお願いします。(経済ジャーナリスト)

コロナ禍の師走 学生らに食料支援 つくば

0
野菜やコメ、缶詰、日用品などが並べられた支援テントで必要な分を選んで持ち帰る学生ら=6日、つくば市松見公園

コロナ禍の師走、アルバイトが減って生活が苦しくなった学生や母子家庭などを支援しようと、つくば市内各地で、学生などに食料を無料で配布する支援活動が展開されている。

市民団体が松見公園に支援テント

つくば市天久保の松見公園に6日、支援テントが張られ、野菜やコメ、缶詰、日用品などが訪れた学生らに無料提供された。市民団体「学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)」(冨山香織代表)が初めて実施した。

代表の冨山さん(39)は天久保で飲食店を経営する。「お店は、お客さんもバイト生もメーンは筑波大生。コロナ禍で学生が困っているという話を聞き、少しでも助けられればと開催した」と話す。

口コミやSNSで支援物資を募り、約20人が家庭にある食品や日用品を提供してくれた。カンパも5万円ほど集まり、マスクやカップ麺などを購入し、並べた。野菜は農民運動茨城県連合会(茨城町)が大根、白菜、ブロッコリー、ほうれん草、キャベツなどを寄付してくれた。わずか1週間ほどで100品目以上、段ボール20箱分が集まった。

無料配布の案内は、ツイッターで告知したほか、筑波大生が多く住む天久保地区周辺のアパートにちらしを1000枚配布した。当日は約20人のボランティアが無料配布を手伝った。

配布開始の午前11時から午後0時30分まで1時間半の間に、筑波大生や親子連れなど計約130人が訪れ、テントに並べられた野菜や日用品などを必要な量だけ持ち帰った。

筑波大4年の女子学生(22)はアパートに入っていたちらしを見て友達を誘って参加し、大根やブロッコリーなどの野菜を持ち帰った。「今年は前の年に比べてバイト収入が3割くらい減っている。これからも無料配布があればいい」と話した。

主催者の冨山さんは「こんなにたくさんの人が来てくれて驚いている。少しでも喜んでいただければいい」と語る。要望が多ければ年内にもう一度開催したい意向もあるという。次回の開催日時は、学生応援プロジェクト@つくば-PEACE-のツイッターで案内する。問い合わせはメールpeaceoftsukuba@gmail.com

お餅の無料配布 22日から障害者団体

障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)は22日から、近隣に住む大学生や住民に、お餅の無料配布を行う。

障害のある人とない人の交流を目的に、同センターが開催してきた様々なイベントは今年、コロナ禍でほとんどが中止となった。1年最後の交流の場となる餅つき大会も断念したため、地域とのつながりを保ちたいと、年末にお餅を無料配布することにした。

センターの障害者メンバーは「この年末は帰省できない大学生も多いと聞く。お餅を食べて、少しでも正月気分を味わってもらえれば」と話す。

9月には市内の子ども食堂「竹園土曜ひろば」が主催した大学生対象の食品配布会に、同センターを会場として提供するなど協力した。コロナ禍でアルバイトの収入が減少した学生らがコメやインスタント食品を受け取った。

今回は、障害者らがついた餅をのして数日寝かせたものを配布する予定。配布日は22日から数日間。受け取り希望者は14日までに同センター(電話029-859-0590、メールcil-tsukuba@cronos.ocn.ne.jp)に申し込む。先着50人。

食事補助券2000円分支給 筑波大

筑波大学(つくば市天王台)では希望する学生に、学内の食堂などで利用できる食事補助券を2000円分支給した。当初は1000円分を支給する予定だったが増額した。カレー店やパスタ店を含む15の食堂などで利用できる。

食事補助券の配布は日本学生支援機構が行っている「新型コロナウイルス感染症対策助成事業」から交付された助成金(上限120万円)を活用した。他大学ではオンライン授業環境構築のため機器を購入した学生120名に1万円ずつを支給したり、一人10万円ずつ数名に給付したりするなどしている。他大学に比べ筑波大は、より多くの学生が恩恵を受けることのできる支援を選んだ形だ。

初回の申請期間では上限に達しなかったため追加募集が行われ、人数の上限に達した。筑波大学厚生会のホームページ「食事補助券支給者一覧」によれば、およそ600人に給付が行われた。既に支給は始まっており、学内ではチケットを受け取って喜ぶ学生の姿も見られた。

《介護教育の現場から》2 介護における外国人労働力

0
介護の実習

【コラム・岩松珠美】現在日本で働く外国人介護職は4つに分類される。第1分類は経済連携協定(EPA)事業の一環で、インドネシアやフィリピンなどから受け入れているEPA介護福祉士候補者。第2分類は日本の介護福祉士養成校を卒業した在留資格「介護」をもつ外国人。筆者が勤務する専門学校の学生がこの区分に該当する。

さらに、第3分類は技能実習制度を活用した技能実習生、第4分類は在留資格「特定技能1号」を持つ外国人である。いずれも、5年の日本滞在中に国家資格「介護福祉士」を取得できれば、永続的に日本で介護職としての就労が可能となる。

実際、来日の時点での日本語能力や介護知識・技術については、大きなバラツキがある。第2分類の学生たちは日本語学校で、半年から1年学び、それから介護福祉士の養成校に進学し、2年間、日本の生活文化や介護について専門的に学ぶ。

これらの学生たちに比べると、EPA候補者、技能実習生、特定技1号職は、日本語や日本文化、介護の専門的知識・技術を学ぶ時間が短く浅い。日本の日常生活に不自由しない力と介護に必要な基礎的技能に求めるラインをどこに引くのか―教育と技能訓練に対する考え方の違いに現れているように思う。

外国人介護労働力は欠かせない

茨城県労働局の調べ(2019年)によると、県内で働いている外国人労働者は約3万7千人で、茨城は全国11位である。うち医療福祉分野で働く人は670人いる。

また千葉県の外国人労働者受入施設への調査(2018年)によると、これまでに外国人介護労働者を受け入れた施設は34.1パーセント、1施設当たり1.8人。これらの数字をみると、地域での外国人介護労働力は欠かせない存在となっている。

最近訪問した土浦市内の特別養護老人ホームの施設長はこう話している。

「私たちは、EPAや技能実習での介護スタッフを採用して、衣食住環境を整え、日本語研修講座への送迎までやっています。受け入れ仲介組合に手数料や事務費を支払うと、日本人を雇用する場合の1.5倍くらいコストがかかります。施設を経営する立場では、今後どんどん外国人雇用を進めようとは思えないのが現状です」

身近な生活圏で、外国人介護職員が当たり前のように働く時代がまもなくやってくる。そういった流れの中、お互いの文化や考え方を大切にしながら、介護を受ける共生社会づくりをどう進めたらよいのであろうか。(つくばアジア福祉専門学校校長)