金曜日, 11月 7, 2025
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雌と雄の特徴備えたカブトムシ つくば市内で発見

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展示されている雌雄モザイクのカブトムシ

27日まで 豊里ゆかりの森で展示

雌と雄の特徴を備えた「雌雄モザイク」のカブトムシがつくば市内で発見され、27日まで同市遠東の市豊里ゆかりの森昆虫館で生きたまま展示されている。発見したのは、同市東光台で寿司屋を営む小倉秀正さん(51)。今月15日夜、市内数カ所にカブトムシを採りに行き、翌日仕分けをした際に分かった。数万匹に1匹の珍しいものだという。

体長は約5センチで、前足の形や背中の表面にうぶ毛が生えている雌の特徴と、頭角と胸角を備えている雄の特徴を同時に持つ。細胞分裂の異常や、性染色体の脱落などが原因で起こるといわれ、子孫は残せない。19日から27日まで同館で展示し、その後はく製にして再展示する予定だ。

発見した小倉さんは、目の赤いカブトムシの繁殖も行っており、普段からたくさんのカブトムシを見ている観察眼が発見につながった。今後は地域産のレアなカブトムシで地域活性化を行いたいそうだ。

昆虫館で生きたまま展示されているミヤマクワガタを見せる豊里ゆかりの森職員の山本雄一朗さん

豊里ゆかりの森の山本雄一朗さん(38)は「雌雄モザイクは一生のうちに一度ぐらいしか見られない珍しいもの、展示している間に是非見にきてもらいたい」と話し、「昆虫館では生きているミヤマクワガタを展示しているなど、数を増やし、充実した内容になってきた。今後は子供向けの講座なども考えているので、期待してほしい」と来館を呼び掛ける。

カブトムシは土の中で半年以上過ごし成虫になってからの寿命は1~3カ月ぐらいと言われる。成虫はクヌギやコナラの樹液を好み集まる。ゆかりの森(12ヘクタール)のクヌギ林でもカブトムシが観察でき、昆虫採取もできる。(榎田智司)

夏の夜に里山で開かれる饗宴《宍塚の里山》126

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ニイニイゼミの羽化

【コラム・森本信生私たち「宍塚の自然と歴史の会」では、宍塚の里山を舞台にして、さまざまな観察会を開催しています。毎月第1日曜日(原則)には、専門家を招いた「テーマ別観察会」が開かれます。植物、野鳥、昆虫に加え、粘菌、プランクトン、種と実、きのこ、モグラ、遺跡など、多岐にわたるテーマで自然の魅力を探ります。

また、季節の移り変わりを体感できる「土曜観察会」は、毎週土曜日の午前中に実施。子どもたちには、遊びや体験も取り入れた「子ども探偵団」も用意しています。

ユニークなのが「夜の観察会」です。夜になると、昼間はひっそりと静かにしていた生き物たちが闇の中でうごめき、まるで別世界のような光景が広がります。春はカエル、夏は昆虫、秋は鳴く虫をテーマに、昼間とは全く異なる夜の里山に分け入ります。

ニイニイゼミの羽化

7月21日に行われた夜の観察会では、セミの羽化が圧巻でした。夕方、長い年月を土の中で過ごした幼虫たちが一斉に地上へ這い出してきます。今の時期に多いのはニイニイゼミ。成虫の大きさは20~24ミリ程度と小さく目立ちませんが、その鳴き声は特徴的で、梅雨明けと夏の訪れを感じさせてくれます。

ニイニイゼミの幼虫は、殻のまわりが泥で覆われているため、見分けやすいのが特徴です。水分の多い土を好むことや、体の表面に泥がつきやすい性質があるのかもしれません。幼虫はゆっくりと木を登り、背中が割れ、殻から抜け出し、今にも落ちそうなほどに背中を反らせ成虫が姿を現します。そして、徐々に羽の模様が現れます。

羽化の瞬間は、まさに生命の神秘を感じさせますが、同時に外敵に狙われやすい、最も危険な時でもあります。4年もの歳月を経てようやく地上に出てきた幼虫が、バッタの仲間であるウマオイにガチガチと食べられてしまう無残な場面にも遭遇しました。自然の美しさと同時に、その厳しさも痛感させられます。

ホタルといえば、水辺で成虫が飛び交うゲンジボタルやヘイケボタルを思い浮かべる方が多いと思いますが、陸生で幼虫の時に光るホタルも存在します。懐中電灯を消して雑木林の闇に身を置くと、木々の間に神秘的な青い光が点滅しているのが見られ、幻想的な気分に包まれます。

観察会では、宍塚大池の堤防に明かりを灯し、光に集まってくる虫たちの観察も行いました。夜の空気に溶け込むように虫たちの息づかいを感じることができます。

カラスウリの花びら

秋になると赤く熟すカラスウリの実。その花は、夏の夜にレースのような白い花びらを開き、翌朝にはしぼんでしまいます。闇夜に白く浮かび上がるその姿は、一夜限りの、まさに“夏の饗宴”と呼ぶにふさわしい光景です。

日中の暑さが厳しいこの時期、昼間の外出はためらわれるかもしれませんが、夏の夜には、静けさと神秘に満ちた別世界が里山に広がっています。夕涼みがてら、宍塚の里山に足を運んでみてはいかがでしょうか。(宍塚の自然と歴史の会 理事)

霞ケ浦、準決勝で力尽きる【高校野球茨城’25】

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3回表霞ケ浦2死二塁、大石の適時打で荒木洸史朗が生還

第107回全国高校野球選手権茨城大会は25日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝2試合が行われた。第2試合では霞ケ浦が2-7で明秀日立に敗れ、土浦つくば勢はトーナメントから姿を消した。

25日 準決勝 第2試合 ノーブルホーム水戸
霞 ケ 浦  001010000 2
明秀日立 22000111× 7

3回表霞ケ浦2死二塁、大石が左前へ適時打を放つ

霞ケ浦は序盤の4失点が最後まで重く響いた。先発の三浦颯介が初回4四死球と1安打で2点を失い、2回にも中前打と中堅への三塁打でさらに1点を失ったところで降板。「序盤からボールが上ずってコントロールできなかった。決まったときは相手を押せていただけにとても悔しいし、3年生に申し訳ない。来年はもっと力強い球を投げられるようになりたい」と三浦。

霞ケ浦の先発、三浦

高橋祐二監督によると1年生投手三浦の先発起用は、前日まで悩み抜いた結果だという。「市村(才樹)であと2つ勝ちたいが、さすがに18回は頼れない。いままで先発を任せてきた稲山(幸汰)も調子がいま一つ。三浦は今大会初登板だが、3回頑張ってくれればと思い、子どもたちにも相談して起用を決めた」

ところが皮肉にもこの日の市村は良かった。三浦に代わってマウンドに上がると、6回まで明秀日立打線を散発2安打に抑えた。「プレッシャーはなくチャレンジ精神で行った。春に負けている相手だが意識し過ぎず、力を抜いた結果がいいピッチングにつながった」と市村。

2回途中からマウンドに上がった市村

後は点を取るだけだが、6回を除く毎回走者を出しながら、なかなか思うように得点に結びつかない。4回は2死満塁としたが村上聖が二ゴロに倒れ、5回は無死満塁の好機にも、奪ったのは暴投による1点だけだった。

5回表霞ケ浦無死満塁、相手投手の暴投で三走・鹿又嵩翔が生還

特に5回途中から登板した相手の3人目投手、中岡誠志郎を打ちあぐねた。投球モーション中に足をぶらぶらと振り子のように振ったり、上手にクイックモーションを使ったりして、タイミングを狂わされた。

すると市村にも暑さの影響などが見えてくる。6回の失点はエラーと内野ゴロによるものだったが、7回は2安打と暴投、8回は4安打でそれぞれ1点ずつを許した。

8回裏明秀日立1死満塁、霞ケ浦が遊ゴロからのダブルプレーでピンチを脱する

7回表の霞ケ浦にはこの試合3度目の満塁のチャンスが訪れた。まず大石健斗が四球を選び、代打・大橋泰祥の左前打に敵失がからみ1死二・三塁、だが西野結太が見逃し三振、片見優太朗が四球で満塁。ここで原道仁志が代打に立ったが、内野フライに倒れた。

「打ちたい気持ちが先行し、ボール球を振ってしまう場面が目立った」と高橋監督。「特に5回のチャンスが惜しかった。一度追い付いていれば市村ももっと元気を出せた。6回くらいまではボールのキレ、精度とも今季一番だった」と悔やんだ。(池田充雄)

霞ケ浦の応援席

常総学院、準決勝で敗れる【高校野球茨城’25】

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相手校歌を聞き涙を流す常総学院の選手たち

今大会、優勝候補筆頭の常総学院が準決勝で敗れた。第107回全国高校野球選手権茨城大会は25日、ノーブルホーム水戸で準決勝2試合が行われ、常総学院は藤代に2ー4で敗れた。

25日 準決勝 第1試合 ノーブルホーム水戸
常総学院 100000010 2
藤  代 10102000× 4

常総学院はここまでの4戦全てコールド勝ちと、圧倒的な強さで勝ち進んできた。藤代は23日の準々決勝で、茨城大会では47年振りに完全試合を達成したプロ注目の水戸啓明の最速右腕、中山優人を打ち崩し準決勝に挑んだ。

1回1死2塁で常総学院の佐藤剛希がレフト前へ先制のタイムリーヒットを放つ

常総学院は初回に藤代先発のエース斉藤駿介から、先頭の浜崎怜央がセンター前ヒットで出塁。「いつも通りのスイングで低めの直球を振り抜いた」と浜崎。続く渡辺康太がバントで送り、1死2塁で佐藤剛希がレフト前へタイムリーヒットを放ち先制する。

1回佐藤剛希希のタイムリーで生還する浜崎怜央

その裏藤代も、常総学院先発のエース小澤頼人の立ち上がりを攻め、2本のヒットで1死1、3塁とすると、佐々木陸大がレフト前へタイムリーヒットを放ち同点に追いつく。

小澤は今大会初めて失点を許すと、3回には2死後永野快飛にライトオーバーのスリーベースヒット、石岡遼清にレフトへタイムリーヒットを打たれ2−1と逆転され藤代が勝ち越した。

先発したエース小澤頼人

5回、常総学院は浜崎のヒットで出塁すると、渡辺が四球を選び、1死1、2塁のチャンス。しかし続く佐藤剛希がピッチャーランナーで、2塁走者浜崎が飛び出しアウト。チャンスを逃した。

8回1死3塁で小澤頼人がライトへ犠牲フライを放つ

その裏藤代は2点を追加し突き放す。反撃に出たい常総学院は8回1死から柳光璃青がスリーベースヒットで出塁すると、小澤頼人がライトへの犠牲フライで1点を返すものの、9回は水口煌太朗、荒沼暖人と、有川志裕に代わる代打柴田隼里が倒れ、4年ぶりの決勝進出はかなわなかった。

8回小澤頼人の犠牲フライで柳光璃青が生還

藤代は春の大会準決勝で常総学院に敗れたリベンジを果たし、今大会ここまでわずか1失点だった常総学院から9安打、4得点を挙げた。優勝した2014年以来の決勝進出となる。

先発した常総学院の小澤頼人は「調子は悪くなかったが最後の決め球が甘く入ってしまった。辛いこともあったが仲間たちと支えあって出来た。最高の仲間たちだった」と常総学院での野球生活を振り返った。浜崎怜央主将は「初回に先制したが自分たちのペースにもっていけなかった。内容は悪く無かったし力は出し切った。藤代とは春に対戦し苦手意識は無かったが、(藤代先発の)斉藤駿介にしっかりコースを決められた」と話した。

試合終了後ベンチに引き上げる常総学院の選手たち

島田直也監督は「チャンスをものにした藤代の執念が強かった。小澤は最後まで小澤らしいピッチングをしてくれたし悪い球は投げていなかった。今日の試合は紙一重だったがツキがなかった。今年のチームは昨年よりは力がないチームだった。正直ここまで出来るとは思ってなかったが、浜崎主将の、何とかしたいという必死さを感じた試合結果で、高校野球を見せてもらった。負けたのは自分のせいで選手は力を出せた」と涙ぐんで話した。(高橋浩一)

安否確認適切に実施せず つくば市委託の宅配弁当業者 高齢者、自宅で死亡

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つくば市役所

つくば市は25日、高齢者の安否確認を主目的に同市が実施している「高齢者宅配食事サービス事業」で、委託業者が16日、適切に安否確認をしなかったと発表した。高齢者はその日の夜、自宅で死亡しているのが確認された。

弁当を自宅に届け高齢者から応答がなかった場合、委託業者の配達員はただちに会社に連絡し、会社は高齢者本人と緊急連絡先の親族などに連絡することが市の安否確認対応マニュアルで義務付けられている。しかし配達員はただちに会社に連絡しなかった。

市高齢福祉課によると、宅配業者の配達員は16日午後1時20分ごろ、市内の一人暮らしの高齢者宅に弁当を届けたが、インターホンを押しても、電話をしても応答がなかった。配達員はその日の午後4時ごろまで計5回、高齢者に電話連絡したが、応答がなく、職場に戻ってから会社に報告した。

一方、同日、高齢者と連絡がとれないことを不審に思った親族が、高齢者の子供に連絡し、同日午後8時30分ごろ、子供が高齢者の自宅を訪れたところ、玄関のドアノブに弁当が掛けられていた。子供が玄関のかぎを開けると内側にチェーンロックが掛けられ、すべての窓が施錠されていた。子供は警察に通報、その後レスキュー隊が駆け付け、室内に入り、洗面所に倒れている高齢者を発見した。

警察の検死の結果、死亡推定時刻は16日午前中で、死因の特定には至らなかった。高齢者は軽度の認知機能障害があったが、健康状態は良好で、かかりつけ医の定期的な診察を受けていたという。

事態を受けて市は委託業者に対し、経緯報告書と改善計画書の提出を求めたほか、再発防止のため業務委託仕様書と安否確認マニュアルの再確認と、事業の主目的である安否確認を徹底するよう指導したとしている。業者からは経緯報告書と改計画書が提出された。

高齢者宅配食事サービス事業は、安否確認や健康保持を目的に、買い物や調理が困難な高齢者に、希望する日に弁当を手渡す事業で、現在、市内の高齢者約130人が登録し、1日平均50人が利用している。弁当は1食650円で、一般の高齢者は400円で利用でき、差額の250円を市が負担している。宅配事業は土浦市に事業所がある1社が受託している。

視覚障害者の歩行誘導マットなど体験 関彰商事のアスリート社員2選手

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視覚障害者の屋内用歩行誘導マットを体験する山口凌河選手=つくば市二の宮、関彰商事つくばオフィス

車椅子やベビーカーも引っ掛かりなく

関彰商事のアスリート社員でパラリンピック日本代表の山口凌河選手(28)と高橋利恵子選手(27)が23日、大阪のゴム部品メーカーが開発した屋内用 視覚障害者歩行誘導マットなどを、つくば市二の宮の関彰商事つくばオフィスで体験した。高橋選手は「視覚障害者向けの製品がさらに進化していることを知ることができた」などと感想を話した。

2人は視覚に障害があるパラリンピック競技「ゴールボール」の選手で、山口さんは東京パラリンピック日本代表、高橋さんは東京とパリパラリンピック日本代表を務めた。高橋さんは東京パラリンピックで銅メダルを獲得した。体験会には山口選手を応援しているノンフィクション作家の小松成美さんも駆けつけた。

体験した誘導マットはゴム製で表面は平らで柔らかく、車いすやベビーカーなどが行き来しても引っ掛かりなく通行できるのが特徴。視覚障害者は床と誘導マットの材質の質感の違いを足の裏や白杖で感じながら歩くことが出来る。

誘導マットは縦横30センチ、厚さ5ミリ。床面に1枚ずつ両面テープで貼り付けて目的地まで誘導する

錦城護謨(きんじょうごむ、大阪府八尾市、太田泰造社長)が開発した。緑内障を患う男性が通院先の病院に、トイレまで点字ブロックを設置してほしいと頼んだ際、医師から、病院内はストレッチャーや点滴スタンド、車椅子などが行き交うので障害になってしまうと言われたことがきっかけという。他の医療・福祉機器の移動の邪魔にならない誘導ブロックとして開発された。両面テープで簡単に設置できる。

多目的トイレの床に設置できるトイレ誘導ライン

ほかに、多目的トイレの床に設置して便座や洗面台まで誘導するトイレ誘導ライン、視覚障害者がかばんに入れて持ち歩き、必要な時に必要な場所に貼る歩行テープが紹介され、それぞれ体験した。

かばんに入れて持ち歩き、必要な時に必要な場所に貼る「歩行テープ」を手にとって感触を確かめる(左から)高橋利恵子選手と山口凌河選手

多目的トイレの誘導ラインについて山口選手は「多目的トイレの中は配置がわからず、ほとんど使ったことが無かった。誘導ラインがあれば自分も使えると思う」と話し、高橋選手は「多目的トイレを使う場合は、まずトイレ内を時計回りに一周して確認していた」などと話した。

自分で持ち歩き必要な時に貼る歩行テープについて高橋選手は「歩行テープはいろいろなところで使いたい。例えば新幹線でトイレに行く際、自分の座席の目印に通路の床に貼るなどの使い方ができると思うが、社会の理解も同時に広がっていってくれれば」などと話した。

山口選手と高橋選手は今年2月、靴に装着して目的地を足の振動で案内する視覚障害者向け歩行ナビを体験した(2月25日付)。体験会の様子を発信した関彰商事のSNSを見た錦城護謨から山口選手に自社製品も体験してほしいと連絡があり、錦城護謨は日本ゴールボール協会のオフィシャルサプライヤー、関彰商事は同協会のオフィシャルサポーターを務めている縁から、社会貢献活動の一環として関彰商事が体験会を開いた。(鈴木宏子)

残業少ない・休暇取りやすい… つくばのソフト会社 ユースエール認定企業に

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ハローワーク土浦の今野義勝所長から認定通知書を受け取るSmart Solutionsのプレーヴェ・ティル社長(左)=つくば市千現

市内2社目

残業が少ない、休暇が取りやすい、離職率が低いーなど、若者の採用に積極的で雇用環境が整った中小企業を厚生労働大臣が認定する「ユースエール認定企業」に、新たにつくば市千現のソフトウェア開発会社、Smart Solutions(スマート・ソリューションズ、プレーヴェ・ティル社長)が認定され、24日ハローワーク土浦の今野義勝所長から認定通知書が手渡された。

市内の認定企業は、2018年12月に県内で4番目に認定されたソフトウェア開発会社、ペンギンシステム(同市千現、仁衡琢磨社長)に次いで2社目。

認定基準は、正社員の平均残業時間が月20時間以下、有給休暇の取得日数が年平均10日以上、直近3年間の新卒者の離職率が20%以下など。

認定されると、ハローワークの支援拠点などで積極的にPRしてもらえたり、認定企業限定の就職面接会に参加したりできる。自社の商品や広告に認定マークを使用できるほか、総合評価入札を行う行政機関で加点評価などを受けることもできる。

同認定制度は若者雇用促進法に基づいて2015年10月にスタートした。県内の認定企業は28社目になる。

ティル社長によると同社は、従業員が始業時間や終業時間を自由に決めることができるフレックスタイム制で、自分で日々の労働時間を調整できるという。ティル社長は「全員がエンジニアなので、残業して長く働くより、睡眠時間をとって、どう解決するかやいいアイデアを出す方が大事」だという。同社技術営業部の中津留高広さんは「若い人を採用したいと会社のホームページで社員を募集していたが、2021年から3年間は採用できなかった。(6月17日に)ユースエール認定企業に認定されたことをきっかけにハローワークを通じてすぐに応募があり新卒者を採用することができた。こんなにすぐに注目してもらえるとは思わなかった」と話す。(鈴木宏子)

周辺地区商店街でチャレンジショップを つくば市がビジネスプランコンテスト

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昨年度のビジネスプランコンテストで選ばれ、吉沼地区に出店した(左から)原田まゆみさん 鷲尾祥規さん 藤田真一さん

新規出店や新規事業の立ち上げを目指す個人や団体を対象につくば市は、周辺地区商店街の空き店舗などで一定期間、チャレンジショップを出店するためのビジネスプランコンテストを開催する。

選ばれた人は同市吉沼と北条地区で、準備から運営まで行政や伴走者のサポートを受けながら、実際に実店舗の開業と運営を体験できる。独自性や話題性のある出店者を選出するという。ビジネスプランの募集は8月29日まで。

チャレンジショップ事業は、急速に発展する同市の中心市街地などから離れた周辺地区の振興と、新規事業の立ち上げ支援などを目的に2022年から実施している。

出店場所は、同市吉沼の商店街にある「吉沼まちかどテラス」と、北条にあるレンタルスペースの一角を利用した「北条イリアイテラス」の2カ所。業種としては小売業とサービス業を募集し、吉沼は飲食業も可能。利用料は月額1万円。

運営費として15万円の補助を受けることができるほか、行政や伴走者がSNSや市の広報などでPRしてくれ知名度アップを図ることができる。昨年度は、店舗レイアウトのアドバイスや、市役所内での出張販売によるPR支援を受けたほか、チャレンジショップ終了後は5月開催のつくばフェスティバルに出店などした。

審査スケジュールは、書類審査とプレゼンテーションによる最終審査があり、実際に出店が始まるのは10月からとなる。審査に当たるのはアオニサイファーム代表で市議の青木しんやさん、いなりとお赤飯ろはん店主の川渕明日香さん、中小企業診断士でビズシアの高橋寛さん、中小企業診断士でいろどり経営デザイン代表の赤田彩乃さんの4人。

体験後は実店舗やキッチンカーで

昨年度、北条地区に出店した和田紗智さん

昨年度は10人の応募があり4人が選ばれた。吉沼に出店したのは▽カフェ「WASHI no COFFEE」の鷲尾祥規さん▽ベーグル専門店「Dot.Begel」藤田真一さん▽絵本専門店「3Po Books」の原田まゆみさんの3人。北条に出店したのは▽ドライフラワーなどの雑貨店「curly flower shop」の和田紗智さんだ。鷲尾さんは現在同市みどりの東、藤田さんは牛久市で実店舗を経営している。原田さんは車で移動式図書館を運営している。和田さんはつくば市酒丸で実店舗を経営している。

鷲尾さんは「元々実店舗を持つのが夢で、実際に店舗を持つ前にチャレンジしたかった」と述べる。

市周辺市街地振興課の吉田未来さんは「ビジネスコンテストに参加された方には好評で、実店舗での営業体験が大変良かったという声も聞いている。これからは地域の協議会などともうまく橋渡しが出来たら良い」と話す。(榎田智司)

◆ビジネスプランコンテストの問い合わせは、運営事務局のセキショウキャリアプラス(電話029-860-5080、メールcs_tsukuba@sekisho-career.co.jp)へ。

霞ケ浦 つくば秀英に昨秋の借り返す【高校野球茨城’25】

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5回表霞ケ浦無死三塁、荒木の適時二塁打で羽生が生還、チームの祝福を受ける

第107回全国高校野球選手権茨城大会は23日、2球場で準々決勝4試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第2試合では霞ケ浦が9-3の大差でつくば秀英を破り、準決勝へ駒を進めた。

23日 準々決勝 第2試合 J:COMスタジアム土浦
霞 ケ 浦 001022031 9
つくば秀英 100101000 3

霞ケ浦は初回のピンチを最少失点で乗り切り、尻上がりに調子を上げた。つくば秀英はエース中郷泰臣の後を任せられる投手がいなかった。

2回表、つくば秀英の先発・中郷(右)が、霞ケ浦の攻撃を打者3人で退けベンチへ戻る

1回表、霞ケ浦は1番・荒木洸史朗が右前打で出塁し、死球と敵失で1死三塁とするが、5番・花内晴紀の一ゴロで荒木が本塁封殺され好機を失った。1回裏、つくば秀英は1番・芦谷響が初球を中越えの三塁打、2番・吉田侑真が四球で無死一・三塁、3番・知久燿は遊ゴロでダブルプレーとなるが、その間に芦谷が生還し1点を先制した。

4回表霞ケ浦1死一塁、ライナーを捕球したつくば秀英の二塁手が一塁に送球、走者・西野結太が封殺される。一塁手・知久燿

「序盤のチャンスに得点できず、その裏に1点を取られ相手のペースになった。だがあせらず1点ずつ取り返していこうと、自分たちの野球ができた結果が、今日の勝利につながった」と霞ケ浦の鹿又嵩翔主将。

追撃のチャンスは3回表。先頭の荒木が四球で出塁し二盗、これが捕手のけん制悪送球を誘い三進、4番・大石健斗の中前打で生還し同点とした。

霞ケ浦の先発、稲山

だが4回裏、霞ケ浦の先発・稲山幸汰は、3連打を浴び1点を失ったところで早くも降板。1死一・二塁の場面でマウンドに立ったのはエース市村才樹。この後9回1死まで打者19人に対し奪三振5、被安打3、失点1の好投を見せる。

4回途中からマウンドに上がった霞ケ浦の市村

このとき市村と共にグラウンドに出て右翼の守備についたのが羽生伯。打順は9番に入った。今季恒例の交替パターンだが、意外な好循環をもたらした。羽生は4打数4安打、うち3本が長打で2打点を挙げる活躍。そして次打者の1番荒木はこの日3打数3安打2打点、四球も2つ選んで出塁率は100%。この9・1番のコンビが試合後半の大量点の源泉となった。

4回裏つくば秀英無死、知久が右翼へ長打を放つが、霞ケ浦の中継プレーにより三塁で刺殺される。三塁手・村上聖(左)

例えば5回表の攻撃、先頭の羽生が初球を中越えの三塁打。次打者の荒木も初球を左中間の二塁打で羽生が生還。その後、鹿又の右前打で荒木も生還した。「途中から出て、勝ちたい気持ちで全力でバットを振った。荒木につなげば決めてくれると信頼し、つなぐことだけを考えて打った」と羽生。「1死三塁で最低でも犠牲フライが必要な場面、初球からしっかり振れ、チームに貢献できる打撃ができた」と荒木。

これで霞ケ浦は、昨年の秋大会決勝でつくば秀英に敗れたリベンジを果たすことができた。次戦、準決勝の相手は明秀日立。今年の春大会で8回コールド負けの屈辱を味わったチームだ。鹿又主将は「挑戦者の気持ちで挑み、自分たちのペースで守備から流れを作って、さらに上へつなげていきたい」と、次のリベンジに向けて意気込む。(池田充雄)

常総 全てコールド勝ちで準決勝へ【高校野球茨城’25】

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2回、常総の浜崎怜央がタイムリースリーベースを放つ

3試合で50得点

第107回全国高校野球選手権茨城大会は23日、準々決勝4試合が行われた。JCOMスタジアム土浦では常総学院が東洋大牛久を7回コールド9ー0で破り、準決勝進出を決めた。常総はこれで今大会、全てコールド勝ち。ここまで爆発的な打撃力を見せつけ3試合で50得点を挙げた。

23日 準々決勝 第1試合 J:COMスタジアム土浦
常 総 学 院 0503001 9
東洋大牛久 0000000 0

常総学院は今大会、投打がかみ合い、投手陣もわずか失点1に抑えている。東洋大牛久も4回戦で緑岡を延長タイブレークの末6ー5と接戦を制して勢いに乗る。

常総学院は2回1死後に吉岡基喜が死球で出塁すると、横山義賢がライトへツーベースを放ち1死2、3塁とチャンスを広げる。続く水口煌太朗は、東洋大牛久の先発佃大地のチェンジアップに食らいつき、レフトへ先制のタイムリーツーベースを放ち2点を先制。「自分がランナーを返す気持ちで打席に入った」と水口。

2回1死2、3塁で水口煌太朗が先制タイムリーツーベースを放つ

さらに有川志裕の四球後に、浜崎怜央が直球を右中間にタイムリーツーベースを放ち2点を追加。浜崎は「気負うことなく積極的に打ちにいった」 と振り返る。次の渡辺康太は四球を選び1死1、3塁、続く佐藤剛希はベンチからのサイン通り、しっかりスクイズを決めた。常総はこの回に一挙5点を取り、試合の主導権をつかんだ。「プレッシャーはあったが決まって良かった」と渡辺。

4回には1死1、2塁から佐藤剛希、柳光璃青、小澤頼人の3者連続タイムリーで3点を追加。7回には浜口怜央がこの試合2本目のタイムリーでさらに1点を追加し、9ー0と東洋大牛久を大きく突き放した。

常総学院先発のエース小澤頼人は、初回はテンポ良く短い球数で打者を3人で抑え、2回目以降も直球、スライダー、カーブを主体に東洋大牛久打線を6回まで1安打に抑えた。

先発した小澤頼人

7回は2番手箕輪蒼が2死1、3塁のピンチを迎えるが、最後は稲葉康介をファーストゴロに打ち取り、準決勝進出を決めた。

2番手の箕輪蒼

常総学院の島田直也監督は「初回のチャンスに点が取れなかったが、その裏に小澤がしっかり3人で抑えてくれた。2回の5点で流れが来て、こっちのペースで出来た。準決勝でもやることをしっかりやれば結果はついて来る。1試合、1試合に集中してやっていく」と語った。

5点目となるスクイズを決めた佐藤剛希は「次の藤代には、春は勝っているが夏は関係ない。また一からやっていき一戦必勝で勝つ」と気合を込めた。 3打点を上げた浜崎令央主将は「声を掛け合ってベンチワークもしっかり出来ている。次の準決勝でもしっかり力を出し切る」と力強く語った。

常総学院は9年振りの優勝まであと2勝となった。次は、春の大会3位の藤代と、25日ノーブルホーム水戸で対戦する。(高橋浩一)

猛暑の中熱い声援を送る常総の応援団

4人に1人がかかる脂肪肝 専門医が市民講座 東京医科大茨城医療センター

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東京医科大茨城医療センターの池上正副院長(中央)

世界肝炎デーに合わせ日本肝臓学会

日本人の4人に1人以上が罹患しているとされる「脂肪肝」を知るための市民講座が、8月2日、阿見町の東京医科大茨城医療センターで開かれる。世界肝炎デー(7月28日)に合わせて、日本肝臓学会が肝臓がん撲滅を目指して企画した。講座には、肝疾患診療連携拠点病院に指定されている東京医科大学茨城医療センターと日立製作所日立総合病院から5人の専門医が登壇し、病気の基礎知識や予防法を解説する。会場では参加者20人を対象に、超音波を使い肝臓の硬さや脂肪量を測定できる「フィブロスキャン」の無料体験会も開かれる。

今回の企画を担当する同センター副院長の池上正さん(62)は「脂肪肝は20代や30代の若年層にも一定数の患者がいる。肝臓がんの原因にもなりうる病気で、自覚症状が少なく、まだ治療薬がない。正しい知識に基づく予防が大切になる。早い段階で生活習慣を改善するためにも、病気について知ってもらう機会になれば」と話す。

食生活と体質 肝臓がん増加を危惧

脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰に蓄積し、臓器全体がふくれあがる病気だ。放置すると慢性肝炎や肝硬変、さらには肝臓がんに進行する危険がある。男性は30代から、女性は閉経を迎える40代から50代で増加傾向にある。国内の罹患者は約3000万人とされ、将来的に、肝臓がん患者のさらなる増加が予想されると、池上さんは危惧する。

かつて肝臓がんの主な原因は、B型、C型肝炎などのウィルス性肝炎だったが、現在は薬の開発により、ウィルス性肝炎による肝臓がん患者は大幅に減少した。一方で、脂肪肝から進行する肝臓がんは増加している。池上さんはその要因として「西洋化する食生活」と「日本人の体質」を挙げ「お酒を飲まない人でも脂肪肝になることは珍しくない。日本人を含むアジア人は内臓に脂肪をためやすい体質であり、アメリカ人とかヨーロッパ人に比べて脂肪肝により肝臓が悪くなりやすい傾向がある。さらに運動不足など生活習慣の乱れがリスクを高めている」と指摘する。

身長と体重の関係から肥満度を表すボディマス指数(BMI)は22のときに生活習慣病のリスクが最も低いとされるが、日本人は数値が23でも脂肪肝になる例があるという。予防に欠かせないのは、正しい知識を身につけること。「脂肪肝は肥満や糖尿病との関連も深く、生活習慣病の一つとも言える。適切な食事と運動で脂肪を消費することが大切。急激なダイエットは逆に肝臓に脂肪を溜める原因になる」

同医療センターは、厚労省が定める肝疾患診療連携拠点病院として、専門的な医療の提供とともに、医療情報の発信や専門家ネットワークの構築に取り組んできた。

「今回の講座では、さまざまな専門家が集まり多様な角度からこの病気について取り上げたいと思っている。10歳から12歳で脂肪肝になる例もあり、できるだけ早い対策が大切になる。夏休みを利用し、親子での参加もお待ちしています」と呼び掛ける。(柴田大輔)

◆日本肝臓学会 肝がん撲滅運動 市民公開講座「どうする?脂肪肝」は、8月2日(土)午後1時30分から午後4時まで、東京医科大茨城医療センター医療・福祉研究センター(阿見町中央3-20-1)で開催。参加費無料。申し込みは専用サイトから。問い合わせは医療センター総務課の若松さん(代表029-887-1161)へ。

スーパーシティ実証街区へ 開発事業者を公募 つくば駅近く公務員宿舎跡地

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樹木が茂る国家公務員住宅跡地の吾妻2丁目の70街区=つくば駅近く

スーパーシティに指定されたつくば市が、最先端技術を実証する街区とすることを目指しているつくば駅近くの同市吾妻2丁目、国家公務員宿舎跡地の70(ななまる)街区約5.7ヘクタールについて、土地所有者の財務省関東財務局とつくば市は22日、開発事業者の公募を同日開始したと発表した。

公募方法は、スーパーシティの取り組みの青写真をまとめた「つくばス―パ―サイエンスシティ構想」を実現する新しい街とするなどの開発条件をあらかじめ設定し、入札参加者から企画提案を受け付ける。さらに国が設置する審査委員会で企画提案を審査の上、審査通過者による価格競争で落札者を決める。「二段階一般競争入札」という方式で、落札者は同街区の国有地約5.4ヘクタールと市有地約0.3ヘクタールの売却を受ける。

企画提案書の提出期限は来年2月2日。同3月24日に企画提案書のプレゼンテーションを実施し、同5月22日に入札する予定。落札した企業などは土地取得から7年以内に民間資金などで工事を完了する。

スーパーシティ実装センターを整備

街区内にイノベーション拠点と中高層マンションを配置するなどが想定されている。22日明らかにされた開発条件は、街区内に「スーパーシティ実装センター」を設置し、先端技術を使ったサービスを実証したり提供する事業者などが入居するオフィスを12室以上整備して、街区内の様々な施設と連携して最先端技術の実装の場とする。同センター内には、研究者や企業、市民が交流したり、くつろいだりできるスペースを整備する。街区内の各施設、テナント、オフィス、住民などが先端技術の実証に参加するような仕掛けをつくる。街区全体で二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すなど。

住宅については、分譲マンションなどだけでなく、多様なターゲットを想定した間取りの賃貸住宅を100戸以上整備する。分譲住宅を500戸以上つくる場合は20%以上を賃貸住宅などにする。吾妻小学校と隣接していることから建物は小学校の敷地に極力影を落とさない。戸建て住宅をつくる場合は歩行者が車両と交差しないよう工夫する。小学校側の通りに車が集中しないようにする。幹線道路沿いは中高木を主体とした植栽帯を設け、公園やペデストリアンデッキに面した部分は緑地にするなど緑の連続性を確保するなどが条件となっている。

ほかに、駅前のにぎわいをつくる商業・サービス施設を配置し、物販及び飲食の床面積は1500平方メートルを超えるものとする、ペデストリアンデッキ側に商業施設などの出入り口を設置する、近隣住民などが利用する放課後児童クラブまたは地域子育て支援拠点を整備するーなど。

70街区の売却をめぐっては、2021年に関東財務局が同市と共同で民間企業の意向調査(サウンディング調査)を実施(21年10月26日付)。7事業者から提案があり、採算性の観点から厳しい意見も出された(22年3月22日付)。22年8月には市による市民説明会が開かれ、五十嵐立青市長は70街区の開発イメージについて「例えばマンションや商業施設、イノベーション拠点、クリニックなどがあって、マンションに住む方は(街区内の)商業施設のものはスマホで注文ができ、ドローンでベランダまで運んでくれるというようなサービスや、完全自動運転のモビリティが動いて、移動が不自由な方でも自動運転で移動していける。健康状況とか心拍などを提供すると自分に合った食事メニューが届くなど、そういうことを複合的にやる場所にしたい」(22年8月4日付)などと説明している。

サウンディング調査や市民説明会から開発事業者の公募まで3年かかった理由について市学園地区市街地振興課は「国と市とで開発条件の協議調整などを行い時間がかかった」などとしている。(鈴木宏子)

つくばの街づくりを考える《水戸っぽの眼》3

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つくば市竹園の商業施設デイズタウン。地下階へもダイレクトに行くことができるこの建物はつくば駅周辺で最も雑居的と言えるだろう

【コラム・沼田誠】つくばセンター地区では、週末よくイベントが行われている。整った空間に人が集まり、音が響く。しかし、ふと平日の何もない夜に歩くと、そこにあるのは、ガランとした広場、急ぎ通り過ぎる人、そしてムクドリよけの不快な音である。

全国各地で「にぎわいづくり」「活性化」が叫ばれている。しかし、何をもって「活性化」とするかは曖昧で、結局イベントによって歩行者通行量を増やすことに落ち着く場合が多い。だが、催事で人を呼び込めても、それが「街に関わる人」を育てるわけではない。にぎわいが誘致されたものであるうちは、終わった瞬間に人も空気も消えてしまう。

水戸で「街には“雑居”が必要ではないか」という議論を仲間たちとしたことがある。雑居とは、さまざまな用途や人が同じ空間に入り込み、入れ替わりながら共存している状態のこと。飲み屋の隣に美容室があり、近くからは三味線の音が聞こえる。地元の高齢者と移住者がカウンターで隣り合い、時に混じる。そうした「入り乱れ」が、街のにぎわいを日常に根づかせていく。

では、つくば駅周辺はどうだろうか

近年マンション建設が進み、居住者も増えている。にもかかわらず、デッキに面した店舗が入れ替わるなど、にぎわいが定着しているとは必ずしも言えない。これは単に「人口が少ないから」ではない。人はいるのに、街との関係性が薄いのだ。

その背景には、通勤や買い物を郊外で済ませる生活習慣とともに、駅前空間が「用がある人」向けに整備され、「なんとなく歩きたくなる」「ふらっと寄りたくなる」余白が少ない、ということもあるのではないか。あるいは、余白をつくる取り組みも、建物や特定の人の中だけで完結すれば、エリアとしての広がりは生まれない。

実際に、徒歩数分圏内で商売をする人たちからは「声が掛からない」「どう関わればいいか分からない」との声も聞いている。

これは、声の拾い方の問題ではないか

行政が市民の声を聞こうとする際、商店会やNPOなど組織化された団体を通すことが多い。その方が制度や予算とも接続させやすいからだ。しかし街を支えているのは、そうした団体に属さない個人の営みであることが少なくない。常連との会話の中に、街の課題と可能性が詰まっている。記録に残らない、だが確かな「地の声」がそこにある。

だからこそ、「耳を使う」姿勢が必要

職員が意識的に街を使い、街の一部として過ごす。仕事終わりに一杯飲みに行き会話する。マルシェやイベントに来場者として足を運び、主催者や出展者と話を交わす。そうした日常の中で、声は自然と耳に入ってくる。それは単なる「親しみやすさ」ではなく、現場感覚を持った政策形成の、最も確かな土台となる。

そうした小さな積み重ねが、“雑居の土壌”を耕し、つくばセンター地区をにぎわいのある街へと育てていくのではないだろうか(そうした職員を見つけたら大事にしてあげてほしい)。(元水戸市みとの魅力発信課長)

霞ケ浦 延長11回 熱戦に決着【高校野球茨城’25】

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延長11回、ライト羽生伯からの好返球でホームタッチアウトする霞ケ浦の捕手 片見優太朗

第107回全国高校野球選手権茨城大会は21日、4回戦4試合が行われた。ひたちなか市民球場では昨年の覇者、霞ケ浦が鹿島学園と対戦、延長11回タイブレークの末3−2で破り、霞ケ浦が準々決勝進出を決めた。 

21日 4回戦 第1試合 ひたちなか市民球場
鹿島学園 00020000000 2
霞ケ浦  01000001001×3


霞ケ浦は2回1死後、5番西野結太が鹿島学園先発の東原大知のチェンジアップを捉えてレフト芝生席に本塁打を放ち先制。

2回レフトへ先制ソロホームランを放った西野晴紀

霞ケ浦の先発稲山幸汰は3回まで鹿島学園を1安打に抑えるが、4回に4安打、2四球で逆転を許す。「3回までは自分のペースで投げられたが4回はストライクが取れず高めにいってしまった」と稲山。

先発した霞ケ浦の稲山幸汰

逆転を許した霞ケ浦は、前回の下妻一との試合でノーヒットノーランを達成したエース市村才樹が、5回無死1塁から2番手として登板。市村は、真っすぐ、カットボール、カーブ、フォークを上手く使い分け鹿島学園を無失点に抑える。

稲山をリリーフした市村才樹

その後は両チームともに走者を出すものの、あと1本が出ない。鹿島学園1点リードで迎えた8回、霞ケ浦は1死後、鹿又嵩翔が内野安打と盗塁で1死2塁とし、大石健斗の内野ゴロで鹿又が3塁に進み、西野結太が死球で2死1、3塁とする。花内晴紀の代打吉田麗矢がライトへタイムリーツーベースを放ち同点に追いついた。

8回2死1、3塁、代打吉田麗矢がライトへ同点のタイムリーヒットを放つ

試合は延長タイブレークに入り、11回、鹿島学園1死2、3塁、田野球司郎のライトフライでホームにタッチアップする3塁ランナーの石島士竜を、霞ケ浦のライト羽生伯が好返球しホームで刺しタッチアウト。

流れを呼び寄せた霞ケ浦はその裏、バントと死球で1死満塁とした。鹿島学園は先発の東原大知から宇多津晴匡がマウンドに上がるが、霞ケ浦の原道仁志がセンターへサヨナラヒットを放ち、3時間を超える熱戦に決着をつけた。

延長11回1死満塁でセンターへサヨナラヒットを放つ原道仁志

霞ケ浦の高橋祐二監督は「試合は(接戦になると)想定できていた。稲山をリリーフした市村は経験値が高く慌てないピッチングが出来る。一層いろんな意味でひと回り、ふた回りも成長した」とエース市村を評価した。 

原(左から3人目)を祝福する霞ケ浦の選手たち

好リリーフした市村才樹は「流れを渡さずに0点でいけたのが良かった。低めの真っすぐは良かったが、変化球が高めだったので今後調整したい。次のつくば秀英は、昨年秋の新チームになってから勝ててないので、いいピッチングをして勝ちたい」と語った。鹿又嵩翔主将は「1点の重みを感じた厳しい試合だったが、全員野球で勝ってうれしい」と安堵した様子で話しながらも「つくば秀英には秋の決勝で負けているので、厳しい試合にはなるが、リベンジして相手より1点多く取って全員野球で勝つ」と力強く語った。

猛暑の中、スタンドには昨年の霞ケ浦の市川晟太主将らが応援に駆けつけ「昨年の夏を経験した選手がいるので、県大会を一つ一つ勝って優勝してほしい。(自分たちは)甲子園で1勝しか出来なかったが、全国制覇してほしい」と後輩たちに熱いエールを送った。スタンドには応援団、チアリーダー、吹奏学部員など約150人が駆け付け、熱い声援で選手たちを後押しした。

後輩たちの応援に来た市川晟太さん(前列右から2人目の緑のシャツ)らOBたち

ベスト4を決める準々決勝は23日2球場で4試合が行われ、霞ケ浦はJ:COMスタジアム土浦でつくば秀英と対戦する。(高橋浩一)

湖上に白い帆広げる 観光帆引き船運航開始 土浦 霞ケ浦

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大きく帆を広げた帆引き船に手を振る見学客ら=霞ケ浦土浦沖

霞ケ浦でワカサギ漁が解禁となった21日、土浦沖で観光帆引き船の運航が始まった。土浦帆曳船保存会の操業により、同市所有の七福神丸と水郷丸Ⅱの2艘(そう)が、穏やかな風を受けて白く大きな帆を広げ霞ケ浦に浮かんだ。

帆引き船を見ようとこの日土浦港(同市川口)から、ラクスマリーナ(同市川口町)が運航する遊覧船ホワイトアイリス号に約60人が乗船した。湖上に帆が広がると、船内のあちこちから大きな歓声が上がり、乗船客は帆引き船に向かって手を振ったり。写真を撮るなどしていた。

常総市から、5歳と3歳の2人の子どもを連れて乗船した小島志保さん(37)は「帆が大きくて驚いた。初めて見て、言葉にならないくらい感動した。いい天気でよかった」と感想を語った。

白い帆を広げた観光帆引き船=同

かつて900艘が行き交う

帆引き船は霞ケ浦のシラウオやワカサギを獲るための船で、新治郡佐賀村(現かすみがうら市)の漁師、折本良平が1880(明治13)年に帆引き網漁を考案した。大きな1枚の帆で風を受け、風の力を利用して網を引く。

帆の大きさは高さ9メートル、幅16メートルで畳にすると90畳分になる。風速3メートル程度が適しているとされるが、風が吹かないと帆が広がらないため進めず、強風では転覆の危険があった。明治から昭和40年代まで湖上を行き来し、最盛期には900艘ものが行き交ったとされ、かつて霞ケ浦の風物詩ともいわれた。1967(昭和42)年に動力船によるトロール漁が始まると姿を消したが、1971年に観光帆引き船として復活し、現在は観光という形で操業技術が継承されている。2018年3月には霞ケ浦の帆引き網漁の技術が、民俗技術では県内初の国の無形民俗文化財に選定された。

今年度中に市の文化財に

土浦市では帆引き網漁を民俗技術として保存しようと、かすみがうら市、行方市と3市共同で2020年度から24年度まで総合調査と記録映像の撮影を実施してきた。さらに今年度中に土浦市の無形民俗文化財への指定を目指しており、3市足並みをそろえて保存に向けた取り組みを推進していくとしている。(伊藤悦子)

■観光帆引き船は7月21日(月)~10月13日(月・祝)までの毎週土・日曜・祝日に操業する。雨天や強風、無風の時などは運航しないこともある。見学方法は午後1時30分に土浦港の遊覧船乗り場(土浦市川口2-13-6)を出航するホワイトアイリス号に乗船して見学できる。遊覧船の乗船料金は大人1570円、12歳未満780円(税込み)。問い合わせは土浦市観光協会(電話029-824-2810)、またはラクスマリーナ(電話029-822-2437)へ。

8月25日開校 筑波山麓の廃校にインターナショナルスクール

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旧筑波小に8月25日開校するワン・ワールド・インターナショナル・スクールつくばキャンパス。まだ工事中で校舎は7月末までに改修工事を終える

2018年に廃校になった筑波山麓のつくば市国松、旧筑波小学校に8月25日、インターナショナルスクールが開校する。都内でインド系のインターナショナルスクールを展開する会社が、世界各国の大学入学資格を得られる国際的な教育プログラム「国際バカロレア」に沿って英語を基本に授業を行う。一部日本語の授業もある。当初計画から1年半遅れての開校となる(22年9月27日23年3月3日付)。

初年度の25年度は、主につくば市内に住む2歳半から小学5年生までの子どもたち35~40人がスクールバス2台で通学する予定。日本人が70%を占め、他にモンゴル人10%、中国人10%など。地元の秀峰筑波義務教育学校からも1人の入学が決まっているという。その後受け入れを拡大しながら、高校生まで400人規模とする。

開校に向け改修が進む校舎の廊下。見学者からは「かわいい」という感想が出た

初年度は教職員15人でスタートし、生徒数の増加に応じて教職員を増やす。教員は現在、全員が外国籍で、国際バカロレアの教育プログラムに豊富な経験を有するという。

同校は敷地面積約7500平方メートル、3階建て校舎と校庭、体育館などがある。校舎は当面1、2階を利用する。教室は普通教室を分割し、最大20人前後の少人数とする。校舎は現在、改修中で7月末までに工事を終える。学校前の駐車場は8月中旬に完成予定。校舎の3階部分と体育館は将来的に改修するが現時点では未定という。

大阪キャンパスに続き2カ所目

開校するのはシンガポールに本社があるグローバル・スクールス・ファウンデーションの日本法人であるグローバル・インディアン・エデュケーション株式会社。同社は現在、インドのカリキュラムを基本にした「グローバル・インディアン・インターナショナル・スクール(GIIS)」を東京都内に4キャンパス、国際バカロレアプログラムを提供する「ワン・ワールド・インターナショナル・スクール(OWIS)」を2023年8月から大阪で運営している。旧筑波小に開校するOWISつくばキャンパスは大阪に続いて国内2カ所目となる。現在インターナショナルバカロレア(IB)候補校申請の準備を進めている。

外国企業誘致施策の一環で県が誘致した。旧筑波小での開校に向けては、2022年に地元住民との意見交換会が開かれた。23年夏頃につくば市と賃貸借契約を締結し、同社が校舎や校庭などの改修工事を実施してきた。

学校運営は教育の枠にとどまらず、地域資源を活かした国際的なまちづくりへの貢献を視野に入れ、地域と連携しながら、持続可能な形での地域の価値を高めることを目指した運営を行うとしている。

地域住民に向けては、地域の文化・スポーツ活動を支援するため、校庭や体育館の地域開放を予定する。教室は投票会場や地域の会合場所としても開放。地域雇用を推進し、学校施設の清掃、警備などでの雇用を予定している。当初ヨガなどのカルチャースクールが計画されていたが、現在は予定してないという。

19日、地域住民を対象に最後の説明会が開催され18人が参加した。参加者からは「学校の前は道が狭いので心配」「工事の騒音が気になる」「将来生徒数が増えた時は混雑するのではないか」「放課後児童クラブは開設するのか」などの意見が出た。地元から説明会に参加した堤正則さん(79)は「地域が良くなっていくのは良いし、子供たちにとって新しい施設が出来ることは素晴らしいと思う。ただ元々道が狭いので、地元として心配するのは交通の問題」と話した。教室の見学では、かなり仕上がった内装に参加者から「かわいい」という感想が出された。(榎田智司)

定年後の計画《短いおはなし》41

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イラストは筆者

【ノベル・伊東葎花】

ずっとずっと未来の話です。

「定年退職したら、旅行でもしようか」

「いいわね。宇宙旅行がいいわ。私、行きたい星があるの」

「うーん、宇宙か。この前、宇宙船がブラックホールに吸い込まれる事件があったな」

「あんなのまれよ。100年に1回の大惨事だわ」

「それもそうだな。地球にいても危険なことはあるしな」

「そうよ。この前、宇宙生物にかまれて入院した人がいたわ」

「簡単にペットを捨てる時代だからな」

「ねえ、いっそどこかの星に移住しない? 地球は暑すぎるわ」

「それもいいな。人工じゃなくて、本物の海がある星がいいな」

「高いわよ。退職金、たくさん出るの?」

「そりゃあ出るだろう。98年も働いているんだぞ」

「昔は定年が60歳だって聞いたけど、早いわよね。残りの100年、どうやって過ごしたのかしら」

「寿命が違うだろう。そのころは100年生きれば長寿って言われた時代だ」

「100歳なんて、働き盛りよね」

「おっと、ボスから呼び出しだ。出かけてくる」
「気を付けてね。スカイハイウエイ、事故渋滞みたいよ」

「AIの誤作動によるあおり運転だろう。迷惑なことだ」

「行ってらっしゃい」

  *

「ボス、お呼びですか?」

「ああ、君、すまんが来月からポンコツ星の工場に出向してくれんか」

「え? 私、もうすぐ定年ですが」

「それなんだが、定年を120歳から130歳に引き上げることにした」

「えええ~」

「政府からの要請だ。人生150年と言われて久しいが、今や160歳、170歳はザラにいる。どうせなら働いて、税金を納めてもらおうというわけだ」

  *

「ええ! ポンコツ星に単身赴任?」

「そうなんだ。家族は連れていけないんだ。体制が整ってないらしい」

「わかったわ。寂しいけど待ってる」

「10年もすれば帰れるさ」

「10年後か。まあ、そのぶん退職金も増えるし、定年後の計画を考えておくわね」

「うん。よろしく頼むよ」

〈10年後〉

「ただいま。単身赴任がやっと終わった」

「あなた、おかえりなさい」

「ようやく定年だ。旅行の計画を立てよう」

「それがね、あなたがポンコツ星に行っている間に法律が変わってね、定年制度が無くなったのよ。生きている間はずっと働くことになったのよ」

「そ、そんな! じゃあ、退職金はどうなるんだ」

「あなたが死んだ後に出るらしいわ。遺族がいない場合は国の物になるらしいの。だから私あなたより10年以上は長生きするわ。アンチエイジングジムと、若さを保つサプリメント。元気で長生きして、絶対に宇宙旅行に行くわ」

死ぬまで働きたくは…ない。

(作家)

投票用紙を誤交付 つくば市 市外に転居の有権者に

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つくば市役所

参院選

つくば市選挙管理委員会は20日、同日投票が行われた参院選の投票所で、つくば市から他市町村に転居した有権者1人に対し、誤って選挙区の投票用紙を交付し、投票させてしまったと発表した。その後誤りに気付き、比例代表の投票用紙は投票前に返してもらった。投票が行われた茨城選挙区は1票として扱われる。

同選管事務局によると、この有権者は投票所の入場券を郵送する基準日より後に転居したため、つくば市から入場券が郵送された。20日午前7時15分ごろ、同市栗原、桜第14投票所で、投票事務従事者の市職員がこの有権者の投票を受け付けた際、選挙人名簿の別のページに記載された別人と勘違いした。さらに投票用紙を手渡す際、別人の名前を声に出して確認したところ、この有権者が「はい」と答えたことから、投票用紙を渡してしまったという。その後市職員は、選挙人名簿の生年月日を確認、見た目の年齢と違うのに気づき、誤交付が分かった。

同市は、有権者が多い地区の投票所では、投票受付の際パソコンで選挙人名簿を照会し、転居して別の市町村の選挙人名簿に登録された有権者は、つくば市で投票できないシステムになっている。桜第14投票所は有権者数が少なく、照合はパソコンではなく紙の名簿で実施していた。

誤交付を受け市選管事務局は20日、各投票所に注意喚起を実施し、疑義が生じた場合は複数で対応したり、選管事務局に確認するよう通知した。

今後の対応策として同事務局は、投票受付の際は、必ず本人の入場券であることを確認し、名簿と照会する際、番号のみではなく氏名と照合欄についても確認した上で投票用紙を交付するようマニュアル等に記載するとしている。

他の市町村に引っ越した場合、転入届けを出した日から3カ月が過ぎると、転入した市町村の選挙人名簿に登録され、転入先で投票ができる。一方、引っ越し前の市町村では、転出日から4カ月を過ぎるまでは選挙人名簿に登録されているため、投票所の入場券が郵送される。その間に、転入先の市町村で選挙人名簿に登録されると、転出前の市町村に通知され選挙人名簿からはずされる。誤交付があった有権者は、転入した市町村の選挙人名簿に登録されたため、つくば市の名簿からはずされていた。

常総学院 5回コールド29安打29得点で勝利【高校野球茨城’25】

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本塁打を放ちホームで仲間に迎えられる柳光(左端)

第107回全国高校野球選手権茨城大会は20日、2球場で4回戦4試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第2試合では常総学院が大子清流に29-0で5回コールド勝ちを収めた。

20日 4回戦 第2試合 J:COMスタジアム土浦
常総学院 275312 29
大子清流 00000 0

常総学院は今大会、3試合連続の2ケタ得点とコールド勝ち。恐ろしいほどの強さを見せつけている。今日の試合では41打数29安打、四死球4、3犠打2犠飛、7盗塁という数字を残した。「勝ててよかった。とにかくチャレンジャーの意識で1戦1戦大事に行く、相手に関係なく自分たちの野球をする。そうでないと思わぬところで隙を突かれることになる」と島田直也監督のコメント。

得点に沸く常総学院応援席

先制点はまさに電光石火。1番・浜崎怜央が二ゴロで出塁すると、2番・渡辺康太の2球目に二盗。3球目で渡辺が送りバントを決め、送球がそれる間に浜崎が本塁を駆け抜けた。2死後、5番・吉岡基喜の左中間三塁打で1点を加えた。

2回は8番・水口煌太朗から吉岡まで7連打。出た走者をすぐ次の打者が返すという連チャン状態。6番・横山義賢の中犠飛も加え、この回7得点。

3回も2回に続いて打者一巡。先頭の水口が左前打で出塁すると9番・佐々木智滉が送り、浜崎から横山まで6連打で5得点。

3回表常総学院2死一塁、柳光が右翼席へ2点本塁打を放つ

6連打の中には4番・柳光璃青の2点本塁打もあった。打球は滞空時間の長いアーチを描き、本人が二塁ベースに達する手前で右翼席へスタンドイン、右腕を高く掲げた。「今大会初ホームラン。春は不調で苦しんだが、ここに来て調整がうまく行き、とてもいい一発になった。今日も第1打席は消極的になってしまったが、2打席目から自分のスイングができ、いい流れで勝てた」と柳光。

5回表常総学院2死三塁、柴田が左翼席へ2点本塁打を放つ

5回は打者17人で12安打12得点。4回から1番に入った柴田隼里の2点本塁打もあった。「1、2打席目はバットがボールの下に入っていたので、バットを若干上に入れようと、しっかりイメージを持って振り抜いた。ちょうど相手投手も変化球が高めに浮いてきたところだった」と柴田。

本塁打を放ちホームで仲間に迎えられる柴田(中央)

投手は先発の佐々木が3回を投げ、その後は野口龍馬と大木投哉が継投。最終回はエース小澤頼人が打者3人に対し2三振で締めた。

常総学院の先発、佐々木

「投手は全員投げさせることができた。(2四死球を出した)野口以外は及第点。佐々木は一回りをしっかり3人ずつで抑え、大木は走者を背負った場面で持ち味を発揮してくれた。小澤も自分のピッチングができていた」と島田監督。「次からは総力戦。全員で戦う。ここまで来たら気持ちが大事。やるべきことをやれば結果もついてくる」と意気込む。

常総学院の次戦、準々決勝の相手は、あすの東洋大牛久-緑岡戦の勝者。23日にJ:COMスタジアム土浦の第1試合で対戦する。(池田充雄)

つくば秀英 圧勝し準々決勝進出【高校野球茨城25】

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4回、石井清太郎のタイムリーで生還するつくば秀英の石塚大志(右)

第107回全国高校野球選手権茨城大会は20日、4回戦が行われた。J:COMスタジアム土浦の第1試合はつくば秀英が守谷と対戦、7回コールド7-0で昨年夏ベスト4の守谷に圧勝し、準々決勝進出を決めた。

20日 4回戦 第1試合 J:COMスタジアム土浦
つくば秀英 0104020 7
守   谷 0000000 0

2回1死1塁、ライトへ先制のタイムリー3ベースを放つ稲葉煌亮

つくば秀英は11安打を放ち効率良く得点を重ねた。2回1死後、つくば秀英は石井清太郎がセンター前ヒットで出塁、続く稲葉煌亮がライトへタイムリー3ベースを放ち先制した。「ランナーを進めることを考えて右狙いを意識して打った」と稲葉。

4回1死1、2塁、レフトへタイムリーヒットを放つ石井清太郎

4回には松尾優斗、石塚大志、石井清太郎の3連打で2点を追加すると、投手の中郷泰臣もレフト前へタイムリーを放ちさらに2点を追加、守谷を突き放した。

6回1死1、3塁、中郷泰臣が今日2本目となるタイムリーヒットを放つ

6回にも中郷が「自分でもビックリした」という今日2本目のタイムリーを放つと、芦屋響の犠牲フライでダメ押しの2点を追加した。

6回芦屋響の犠牲フライで生還する河嶋玲凰

つくば秀英は、投げては先発の中郷泰臣が守谷打線を6回3安打無失点に抑え、「自分のピッチングをすることを心掛けてマウンドに上がった。調子が悪いなりにも粘り強く投げられた」と振り返った。

投打に活躍したつくば秀英先発投手の中郷泰臣

7回からは安光駿太が打者2人、知久耀が打者1人を抑え、守備でも無失策と完璧な守りでDシードの守谷を倒した。

吉田侑真主将は「つなごうという意識が点につながった」と語り、先制タイムリーを放った稲葉煌亮は「ベンチも盛り上がっていい状態になっている。先は長いので、次の試合も一戦必勝で打線をつなぎ、守る方もしっかり守って隙のない野球で勝つ」と意気込んだ。

つくば秀英の桜井健監督は「試合前に『楽に勝てる試合はない。勝つためには自分たちで勝ちにいかなければならない。打つためには自分たちで打ちにいかなければならない』と話した。中郷はしっかり修正して試合をつくってくれた。捕手の稲葉も昨年の夏を経験し怖さを知っている選手なので、投手陣をまとめ上げしっかりと0点で抑えてくれた。次の試合は厳しい試合になるが、うちの選手も夏の雰囲気には慣れてきているので、しっかり準備してベストを出させてあげればいいゲームが出来と思う」と話した。(高橋浩一)