月曜日, 5月 12, 2025
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高安招き 2年ぶり豆まき 土浦 宝積寺

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豪快に豆をまく高安(左から2人目)と田子ノ浦親方(左端)

立春の3日、土浦市木田余の宝積寺(飯山孝之住職)で2年ぶりの節分会が催され、同市出身の元大関 高安と田子ノ浦親方らが豪快に豆まきした。節分より1日遅れての開催となった。

灰色の着物姿の高安らが本堂の舞台に上がり、「福は内」の掛け声と共に、福豆や福銭、菓子、おひねりなどを勢いよくまいた。境内には地域住民や地元 真鍋小の児童、相撲ファンなど約200人が集まり、歓声を上げながら笑顔で福豆などに手を伸ばしていた。

豆まきに手を伸ばす地域住民ら

同寺の節分会は伝統文化を子どもたちや地域住民に体験してもらおうと、木田余地区区長会、同子ども会育成会、同資源保存会が始め、毎年の恒例行事となっていた。ここ数年はコロナ禍のため開催を見送っていた。

飯山住職は「地域の皆さんや、団体の方の協賛で無事、節分会を開くことができた。今年の開催時間では5年生、6年生がまだ下校してないので、もっと子どもたちに集まってもらうため、来年は開催時間を後にしたい」と述べた。

近くの同市大岩田から来た大の相撲ファンだという酒井和夫さん(75)は「宝積寺の節分会に来たのは2回目。市内で、こんなに近くから高安関を見ることが出来てとてもうれしい。今場所は勝ち越したので、とても良かった。今年高安関も35歳になるので、長く相撲がとっていられるよう見守っていきたい」と話した。(榎田智司)

自動運転バス購入、ユースクリニック開設 つくば市25年度当初予算案

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市議会予算決算委員会で新年度予算案について説明する五十嵐立青市長(左端の起立者)=つくば市役所

7年連続過去最大を更新

つくば市の五十嵐立青市長は3日、2025年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初と比べ13.9%増の1273億2500万円、特別会計などを加えた総額は同比9.6%増の1933億7400万円で、7年連続で過去最大を更新する。

主な新規事業として、2027年度の定常運行を目指し自動運転バスを購入などする(実証事業負担金1億4800万円)。中高生から20代までの若者が、体や心、性の悩みなどを保健師や助産師にオンラインや電話、対面で相談できる「若者のためのユースクリニック」を市大穂保健センターに開設する(設置費120万円)。ほかに地域に開かれた新しい学校施設の在り方として旧谷田部庁舎跡地の利活用や近接する体育館、市民ホールの複合化の検討を含めた谷田部小学校建て替えの基本構想と基本計画を策定する(1680万円)。

ほかに主な事業は、市内に道の駅を2カ所整備するための基本構想を策定(4600万円)、旧上郷高校跡地に陸上競技場を整備するため校舎解体と設計を実施する(4億9200万円)。旧岩崎保育所用地は茎崎給食レストランと貯蔵庫を整備するための設計などをする(1300万円)。廃校となった旧田水山小学校は2026年度オープンを目指し芸術文化創造拠点として校舎改修などをする(3億9600万円)。

予算規模が過去最大を更新する要因として、児童手当が昨年10月から所得制限の撤廃や高校生までの支給延長など大幅拡充されたことに伴い前年度比25%増の67億8700万円を計上すること、2年目となる中根・金田台地区小学校建設事業が前年度の約2倍の40億5800万円になること、市役所庁内のネットワーク基盤整備費事業に8億8200万円を計上することのほか、子育てや福祉など民生費、国の人事院勧告に伴う市職員の人件費の引き上げ、物価高による材料費や資材費の増加などが予算規模を押し上げているとしている。

市債残高見通し過去最大に

歳入は、人口増などに伴い個人市民税7.9%増、法人市民税が26.8%増、固定資産税5.1%増を見込む。市税収入が歳入全体の44.6%を占め、自らの税収で財政をまかなっていけるとされる不交付団体となる見込みだ。不交付団体は2016年度から10年連続。一方、中根・金田台地区小学校の建設、香取台小学校拡張用地の取得(13億7500万円)などに市の借金である市債を発行する予定で、2025年度末の市債残高見込みは過去最大の1321億6000万円になる見通し。

新年度当初予算案は、13日開会の市議会2月定例会議に提案される。(鈴木宏子)

知事選の年、つくばの県立高問題は動く?《吾妻カガミ》201

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茨城県庁(左)とつくば市役所

【コラム・坂本栄】一昨年は洞峰公園問題で茨城県とつくば市の間にバトルが起きましたが、今年は県立高校問題で一波乱ありそうです。つくば市は人口増に伴い中学卒業者が増えているのに、県教育委員会の高校対策が場当たり的だからです。教育環境の良さが売りのつくば市にとっては放置できない問題です。

定員プラスはTX沿線だけ

昨年秋のつくば市長選挙の10日前、県教育委は「県立高等学校の今後の募集学級数・募集定員の見込み試算」というタイトルの資料を公表しました。この中で教育委は県内を12エリアに分け、各エリアの2030年の募集定員を試算しています。これによると、24年との比較で生徒募集がプラスになるのは「つくばTX沿線」エリアだけで、他エリアはすべてマイナスになっています。

マイナス幅が大きいのは「県北臨海」「水戸近郊」「県南北部」「県西南西部」などですが、県全体では24年比で1480人のマイナスになると想定しています。唯一プラスになるTX沿線エリアは120人増(3クラス分に相当)ですから、県全体をにらんで教育行政をしている部局は対応に苦慮しています。

エリア:①県北臨海②県北内陸③水戸近郊④県央臨海⑤鹿行北部⑥鹿行南部⑦県南北部⑧県南東部⑨県南南部⑩つくばTX沿線⑪県西北東部⑫県西南西部

この問題を解決するにはTX沿線に公立高を新設したらよいと私は考えています。118「…学園都市は公立高過疎地」(2021年10月18日掲載)では、県にその気がないのなら市立・県営高を建てたらどうかと提案しました。

既存高クラス増+遠距離通学

私の提案に比べると県教育委のTX沿線対策は場当たり的です。これまでは、つくばサイエンス高(つくば市谷田部)に2クラス増やす(+80人、23年実施)、牛久栄進高(牛久市東猯穴町)に1クラス増やす(+40人、24年実施)ことで対応してきました。筑波高校(つくば市北条)やサイエンス高に進学コースや普通科を設けたのも市民の不満をくんだ対策でしょう。

場当たりの極みは、足りないなら隣接市の県立高に通ったらよいと言っていることです。そして、常総の3校、つくばみらいの1校、守谷の1校、土浦の4校、牛久の2校、下妻の2校を通学先に挙げています。片道1時間の通学は当たり前という発想ですから、つくば市民は冷たく扱われたものです。ちなみに私が自転車で通った土浦一高は自宅から往路10分(上り坂)~復路5分(下り坂)のところにありました。

知事と市長のギクシャク

本サイトにコラムを寄稿している片岡さんは「…本来8学級増」(1月12日掲載)の中で、県の試算はつくばの中卒者のうち県立高に進む生徒の割合を少なめに計算していると指摘し、独自の試算では8クラス(320人分)増やす必要があると主張しています。五十嵐市長も県の試算に異を唱え、「足りていないことを数字で示したい」(1月14日の記者会見)と対県論争を宣言しました。

厄介なのは大井川知事と市長の関係が良くないことです。195「つくば市は孤立?…」(2024年11月4日掲載)では、「洞峰公園問題で知事と市長の間にコミュニケーション不足が生じ、知事が五十嵐氏に強い不信感を抱いた…知事と市長のギクシャクは(昨秋の市長)選挙後も続くだろう」と書きましたが、こういった関係も県教育委の施策に影響を与えているような気がします。

でも今夏には知事選挙があります。つくば市に対する県の冷たい態度が続くようだと、市の保護者は知事に冷たく対応するでしょう。洞峰公園問題(県営公園をつくば市に無償譲渡)同様、県立高問題でも抜本策が示されることを期待しています。(経済ジャーナリスト)

高校受験~学校選びから学校参加へ《竹林亭日乗》25

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2月初の筑波山

【コラム・片岡英明】2月6日から県立高校の出願が始まる。中学生には悩みから決断のときだ。学校での面談が済み、願書提出後も悩み続ける生徒もいる。悩む時間は人生の中で貴重な体験であり無駄ではない。

学校選びで悩むのは当然である。それが止むのは、生徒自身が学校選びから学校参加に舵(かじ)を切れたときだ。高校受験は貴重な学びのチャンスで、その山や谷の中で人間が一周り大きくなる。

霞ケ浦高校に勤めていたとき、大学受験用模試の学校別成績分布の山を時々生徒に紹介した。すると多くの生徒が驚く。分布の形は各学校によって違いはあるが、トップ高も含めて多くの学校の山が重なり合っているのだ。

偏差値によって輪切りにされ、成績は重ならないと思い込んでいたが、実際は相当重なっている。「やればできるかも」と、そんな気になる。高校入試で学力など判定できない。学びは高校入学がスタートで偏差値は参考資料だ。

入学後、自分流の学習スイッチが入れば、中学の学習内容は3カ月ほどで回復できる。それまでの学習や、どの高校かなどはほとんど関係ない。入学後の学習で、各高校の成績分布も大いに変化し重なり合うのだ。

どの高校を選んでも、いや、どの高校に参加しようと決めても、学校には学ぼうとする生徒を支え応援する先生が必ずいる。安心して、高校選びから高校参加への道を進んでほしい。

筑波高・サイエンス高を支援

受験生を地元や行政も支援している。昨年12月、つくば市長との懇談の場で、市も地元高校への応援姿勢を示してほしいと、筑波高校とつくばサイエンス高校への通学支援を要請した。市長をはじめ市の職員の方々も熱心に受けとめてくれた。

市長との懇談の際、事前に高校にも話を聞き、利用者の多い「つくバス」の運行改善を要望した。つくバスや道路整備の担当課とも話し合いを持つことができた。筑波高・サイエンス高の校長先生も、独自につくバスの運行改善を市に要望した。

サイエンス高への通学路改善では、現地の聞き取り調査も行った。市長との懇談では、道路整備は地元区会の要望書も必要と指摘があった。すぐに谷田部地区の区長会の会長と懇談し、地元区会に要請した。その中で、地元区会のサイエンス高への応援の姿勢を感じた。

サイエンス高校は今年から普通科3学級が併設され、新しい「学び」を提案している。生徒の進学希望にも応えるこの学びに地元も期待している。また、筑波高では地域とつながり、地区のお祭りにも参加している。筑波高は北条地区の街づくりの核で、地域の支援や期待も高い。

高校受験生への応援活動

1月29日、私たちの会は、県に土浦一高の高入6学級体制と竹園高2学級増などを求め、教育委員会の担当者と懇談した。加えて、私たちは、つくばエリアの県立高定員枠改善のため、筑波高4学級、サイエンス高普通科5学級も視野に入れ、受験生を応援している。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

「がんに皆で向き合う」8日 つくばで応援ウオーク 家族や当事者トークも

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イベント用に作ったタオルを掲げる照井さん。自宅には、小児がんと闘った次男の善高さんの写真が飾られている=つくば市内

がん啓発イベント「みんなで向き合う がんロコモウォーク」が8日、つくば市内で開かれる。主催するのは小児がんの当事者や家族を支援する市民団体「ヒスターズナウつくば」(照井美穂代表)。3回目の開催で、過去2回は洞峰公園で開催した。

イベントでは、がん患者が治療を受けるつくばメディカルセンター、筑波大学附属病院と、つくば駅前の中央公園を往復する「応援ウオーク」を開催する。さらに中央公園に設置する各ブースで、がん患者の家族や当事者によるトークイベント、支援団体による啓発企画などを開く。代表の照井さん(43)は「つくばには、がん治療のために市内外から訪れる多くの患者や家族がいる。治療は孤独。応援する人がたくさんいるし、頼れる場所があると知ってもらいたい。少しでも安心につなげられたら」と思いを語る。

我が子ががんに 感じた孤独

照井さんは、病室から見た風景を忘れられない。

2020年、照井さんは小児がんの治療を受けるために入院中の次男に付き添い、筑波大学附属病院6階の病室にいた。外に目をやると、車が行き交う道路に歩く人の姿は見えない。

「我が子がこんなに辛くて大変な思いで治療しているのに、誰にも気づいてもらえない、知ってもらえないという気持ちになり、すごく辛かった」

当時2歳だった次男の善高さんに腫瘍が見つかったのは2020年3月。脳幹組織に悪性腫瘍ができる小児脳幹グリオーマと診断された。同時に医師からは余命を宣告された。「やれることをやり切りきろう」。そう決意した照井さんは休職し、病院に泊まり込んでの看病が始まった。

「息子の病気は誰も助けられない状態。コロナ禍で外部との接触が限られている中、どうにか助けを得ようと訪ねた市役所でも支援団体を紹介してもらうことができなかった。本当に辛かった。こんなに頑張っている我が子を助けてくれる人はいないのかと、孤独でした」と、当時を振り返る。

「応援してくれる人がいるだけで希望がもてる。『頑張ってるの、知ってるよ』と、あのとき、誰か一人でも声を掛けてもらえていたら、私はもっと頑張れたんじゃないかと思うことがある。がん治療に臨む当事者や家族がいる病棟から見えるところでイベントをしたいと考えていた」と、今回の応援ウオーク開催への思いを話す。

毎週月・金曜日に市内のカフェで行う家族交流会で相談に応じる照井さん(中央)=つくば市二の宮「ひふみ杏 つくるひとcafe」

レモネード販売し100万円を寄付

2021年5月に誕生した「ヒスターズナウつくば」は、レモネードを販売し、売上金を小児がんの治療研究費に役立てる「レモネードスタンド」を県内各地で開催している(22年6月10日付)。昨年7月までに52回を企画し、100万円を超える寄付金を「NPO法人日本小児がん研究グループ」に寄贈した。地域の製菓店や飲食店の協力も受けて、入院する子どもに付き添う家族に食事を提供したり、院内の売店で使えるクーポン券を発行したりするなどの「院内家族サポート」や、イベントを通じた啓発活動にも力を注ぐ。

がんロコモウォークは今回で3回目。がんロコモとは、病気や治療がきっかけで、筋肉、神経などに障害が起き運動機能が低下すること。病気による二次障害も、ウォーキングをするなど対策をすれば防ぐことができる。イベント名には「がんをきちんと知ってほしい」という願いを込めた。

「2人に1人が、がんにかかる時代。がんは怖い、悲しい、治らないんじゃないかというイメージが強い。でも、きちんと知ることで、自分や周りががんになった時にどうすればいいのか、皆で考えることができる」と照井さん。

国は2023年3月に策定したがん対策推進基本計画で、がん予防、がん医療、がんとの共生を3本柱とし「だれ一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」との目標を掲げている。

照井さんは「まずは予防。がん検診を受けてほしい。もしがんになっても社会復帰できる時代。治療を受けて、いかに社会復帰を早められるかも重要。不安を感じて落ち込み、ふさぎ込んでしまうと、運動機能の衰えが元で社会復帰を遅らせてしてしまうことがある」と言い、こう呼びかける。

「がんにかかると治療に先が見えず、先の見えない不安を感じるかもしれない。子どもがかかれば家族は『今頑張んなきゃ』と一生懸命になる。体調を崩してして付き添えなくなり自分を責めてしまい、心が折れる家族もいる。そんな時、孤独にならずに、いろいろな支援団体があると知ってほしい。応援したい人とのつながりをつくるのが私たちの役目。みんなでがんに向き合っていきましょう」(柴田大輔)

◆「第3回 みんなで向き合う がんロコモウォーク」は2月8日(土)午前11時から午後3時、つくば市吾妻2-7-5、市中央公園などで開催。イベントの詳細は「ヒスターズナウつくば」のホームページへ。応援ウォークの参加は専用フォームから事前申し込みが必要。問い合わせは、がんロコモチャレンジいばらき実行委員会(メールganlocomo.ibaraki@gmail.com)へ。

古流武術家 早坂義文さん《ふるほんや見聞記》1

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早坂義文さん
岡田富朗さん

【コラム・岡田富朗】早坂義文さん(66歳)は「龍ケ崎光道館」という道場を開設しています。根岸流手裏剣術第七代宗家でもいらっしゃいます。この道場では、琉球王朝時代の武術、根岸流手裏剣術、無比流兵杖術、山本流居合術などの武術を伝え、現代武道とは異なり、競技武道は一切行わない古流の武術を伝えています。 

道場には、日本のみならず世界中から門を叩(たた)きに武道愛好家が訪れます。訪問した日も、ドイツから沖縄古武術の稽古に来た方がいらっしゃいました。空手人気から始まり沖縄の武術は世界中に1億を超える愛好家がいるとも言われています。

しかし、世界中で現在人気を得ている空手は、沖縄の伝統的な空手を基に、剣道のしない競技を参考に寸止めなどをルールに取り入れ普及したもので、王朝時代の武術とは異なります。近代空手を沖縄から本土に広めたのは富名腰義珍氏で、嘉納治五郎の支援を受け慶応大学から始まりました。

茨城県の鹿島地方は古来、大和朝廷の東国経略の拠点として重要な地政を占め、常陸国一の宮・鹿島神宮を中心に栄えてきました。千葉県香取市の香取神宮と並んで、鹿島神宮の祭神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)に象徴される、文字通り武道発祥の地であり、室町後期には、剣聖・塚原卜伝や松本備前守尚勝が世に出て一層武の里の名を高めました。

筑波大学の武道学研究室

また、筑波大学には武道学研究室があり、筑波大学の前身である東京教育大学に武道学科が設置されるに伴い、武道論講座が始まりました。武道論講座は、昭和44年(1969)に渡辺一郎助教授が専任として加わり「武道史概説」「武道伝書演習」「武道資料購読」の講義を開始したことにより、講座としての体裁が整えられていきました。 

武道に関する貴重な資料も多数お持ちの早坂さんですが、早坂さんにとって大切な本をお伺いしたところ、今村嘉雄先生の「武道歌撰集」(第一書房)や「日本武道体系」(同朋舎出版)などをご紹介して頂きました。今村嘉雄先生も東京高等師範学校や東京教育大学で教授としてご活躍された方です。

今村嘉雄先生の「武道歌撰集」

他にも、渡辺一郎先生の「日本武道学研究」(島津書房)なども繰り返し手に取ってきた1冊として挙げてくださいました。筑波大学には、渡辺一郎先生の旧蔵書398冊を収めたコレクションがあり、その中には近世武芸に関する貴重な史料がたくさん含まれています。これらの本は、武道学や日本学の研究において非常に貴重な役割を果たしています。

今回は、武道の世界で12歳から柔道を始め、15歳で沖縄の武術に出会い、今では武芸百般に通じる早坂義文さんにお話を伺いました。(ブックセンター・キャンパス店主)

【おかだ・とみお】古書店主。駒込、巣鴨(庚申塚)、赤羽西口、旧軽井沢などで店舗営業をしたのち、現在、筑波大学近くにある古本屋「ブックセンター・キャンパス」(つくば市吾妻3丁目)を営業。88歳、つくば市在住。

「お見送り現象」ご存じですか?《看取り医者は見た!》35

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写真は筆者

【コラム・平野国美】死を迎える瞬間、その人の心にはどのような情景が広がっているのでしょうか? それは、なかなか確認ができないものです。また、ご本人が説明できない状況(例えば危篤状態)にあり、自分の言葉で解説できないことが多いため、ブラックボックスになっているのです。しかし、一部を想像することは可能です。

「お見送り現象」という言葉をご存じでしょうか? 死期が近づいた人の頭に、既に亡くなった大切な人やペット、風景などが現れるという現象です。私はこれまで3000人以上の最期に立ち会ってきました。そこでよく経験するのが、この現象です。

これはオカルトな話ではありません。天井の一点を見つめて誰かと話していたり、昏睡(こんすい)の中で実在しない誰かと話している患者さんの姿をよく拝見します。ほとんどが、亡くなった母親や配偶者の方と話しているようです。多くの場合、にこやかで楽しそうに見えます。

この現象は一種の幻覚や幻想なのかもしれませんが、死に対する恐怖を和らげ、穏やかに旅立つための心の準備とも言われています。

脳内ホルモンが関係?

看護師や家族が病室に訪れたとき、誰もいないはずの部屋で、患者さんが誰かと会話している場面に遭遇したという話も聞きます。その姿を見て心配になり、電話をかけてくる家族の方もいらっしゃいます。

そのとき私はこう話します。「もう、患者さんは苦しいところを通り越して、気持ちの良い状態に入っています。最期のときは近いですが、そっと付き合ってあげてください」。まれに、亡くなる数日前に「おじいちゃんが来たよ」とほほ笑む患者さんの姿は、私たちに何を伝えようとしているのでしょうか。

「お見送り現象」のメカニズムについて、科学的には完全には解明されていませんが、脳内ホルモンが関係しているという説があります。エンドルフィンやセロトニンといったホルモンはリラックス感をもたらし、痛みやストレスを軽減しますが、死期が近づくと、これらのホルモンが増えて心の安らぎや安心感が生じ、「お見送り現象」が起きるのではないかという考えです。

他にも多くの要因が絡んでいると考えられます。文化背景的なもの、あるいは身体にたまっていく二酸化炭素といったものも関与しているのかもしれません。人の体は最期までうまくできているようです。次回はこの話をします。(訪問診療医師)

ロボッツ最下位脱出、連敗11で止める

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19得点10リバウンドと「ダブルダブル」の活躍をした茨城ロボッツのジェイコブセン(青のユニフォーム)=撮影/高橋浩一

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは29日、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで仙台89ersと対戦、93-76で勝利し連敗を11で止めた。これで茨城の通算成績は8勝25敗。仙台とは勝率で並んだが得失点差で1ポイント上回り、東地区7位に浮上した。この日は「つくば市PRデー」と位置付けられた。

2024-25 B1リーグ戦(1月29日、アダストリアみとアリーナ)
茨城ロボッツ 93-76 仙台89ers
茨城|30|27|19|17|=93
仙台|15|23|15|23|=76

果敢にシュートを放ち、ジェイコブセンに並ぶ19得点を挙げた平尾

茨城は立ち上がりこそ仙台に5点の得点を許したが、久岡幸太郎の連続得点や中村功平の3点シュートなどですぐさま追い付く。第1クオーター(Q)後半には平尾充庸の3点シュートやエリック・ジェイコブセンのバスケットカウントなどでみるみる点差を広げ、第2Q以降はおおむね20点差程度を保ったまま試合を支配した。

立ち上がりからチームを牽引したフランクス

「選手たちがゲームプランをしっかり遂行してくれた」とクリス・ホルムヘッドコーチ(HC)。特に守備は、失点を75点以下に抑える目標をほぼクリア。ロバート・フランクスやジェハイブ・フロイドらがゴール下で相手のビッグマンにボールを渡さず、攻撃でも試合のリズムを支えた。平尾らガード陣はターンオーバーを4に抑えながらアシスト数は18と奮闘した。

フロイドは第2Qにも、空中でキャッチしシュートするアリウープを豪快に決めた

特に大きかったのはジェイコブセンのけがからの復帰だ。この日は19得点10リバウンドと攻守にわたる活躍。第3Q終盤にはフロイドへのアリウープパスも決めてみせた。ホルムHCは「コート上で選手に声を掛けられることも重要。小さいことだがチームの穴を埋めてくれた」と、精神的支柱になったことも讃えた。

平尾もこの日は出場時間を23分25秒に伸ばし、切れ味良いパスやドリブルを披露。3点シュートは8本中4本を決めている。「少しずつコンディションも上がり、そろそろ本来の力を発揮しなくてはと積極的にプレーし、シュートも思い切り打つことができた」と振り返り、今後に向けては「今日は勝った上で反省できたことが一番の収穫。これからも変化を恐れずにプレーしていきたい」とコメントした。

市長と観光大使がつくばをPR

セレモニーで挨拶するつくば市の五十嵐立青市長(左)と同観光大使の宮本真理子さん

「つくば市PRデー」の催しとして、試合前のオープニングセレモニーで五十嵐立青市長とつくば観光大使の宮本真理子さんがコートに立ち、2月8日から始まる筑波山梅まつりを観客にPRした。1階コンコースには同市のPRブースが設けられ、梅まつり期間中に登場する期間限定スイーツなどが販売された。ブースを訪れた水戸市から来た家族連れは「水戸の梅も有名だけど、つくばの梅まつりも面白そう。行ってみたい」と興味を示していた。

観光大使の宮本さんは、ロボッツダンスチームRDTの元メンバーでもあり、初代キャプテンも務めていた。「久しぶりにコートに立つのがうれしく、すごく楽しみにして来た。新しいアリーナになって、ダンスや衣裳もますます華やかになったようだ」とこの日の印象を話し、「梅まつりでは毎週土日に、私たち観光大使のお出迎えもあるので、ぜひいらして下さい」と呼び掛けた。特に初日の2月8日は、6人の大使全員が勢ぞろいするそうだ。(池田充雄)

PRブースでは梅スイーツが好調な売れ行きだった

障がいのある子のアート展《令和楽学ラボ》33

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第12回アールブリュット展のチラシ

【コラム・川上美智子】ロータリークラブに入会して15年目を迎えた。まだ、大学の教育や研究、そして学部や大学院の改革で忙しい最中だったころ、ほんの気楽な気持ちで新たに水戸市内に誕生する女性会員だけのクラブに入会した。国際ロータリーが運営する厳しい基準やルールに縛られることも知らずにスタートしたロータリーの奉仕活動であったが、女性が活動しやすい形に少しずつ改善し、今に至っている。

女性だけのクラブという特色を生かし、身近な子どもの育ち、子育て、女性をテーマに、奉仕活動を行ってきた。

水戸市子育て支援・多世代交流センター「わんぱーく・みと」の玩具の清掃と寄付、水戸日赤乳児院や小児がんなど難病の子どもとその家族のための総合支援センター「アフラックペアレンツハウス」への物資などの寄付、「水戸市こどもフードパントリー」ではお子様がいる準要保護家庭の希望者に食品・食材や生活用品を配布している。

クラブ奉仕活動の中心になってきたのが「障がいのある子のアート展」である。水戸市内には盲学校、聾(ろう)学校を含め6つの茨城県特別支援学校があり、そこに通う幼児・小中高校生を対象に年1回、作品の展覧会を開催してきた。茨城県、県教育委員会、水戸市、市教育委員会、水戸芸術館、NHK、茨城新聞社などの後援と企業の協賛をいただき、子どもたちの学びの励みになればと数多くの賞を出している。

2月下旬、水戸京成百貨店

県教育委員や市教育委員を拝命しているころには、数多くの特別支援学校を視察し、児童生徒の美術の取り組みを見る機会があった。指導される先生方は、さまざまな障がいをもつ子どもたちに、その子がやりたいと思うアートの手法を選び、マンツーマンの体制で、子どもの感性のままの一筆ひとふでをサポートし、共に喜び、子どもの満足する表情や姿を確認し対応されている。

それが、一つの大きな作品となり、応募されるのだと思うと、託され受け取る側も選定や展示の仕方に力が入る。美術や担任の先生には、子どもたちのそれぞれの作品への取り組みの思いや背景を書いていただき、脇に展示している。毎年、本当に見応えがある力作が集まり、我々も楽しませてもらっている。

今年は2月21日~27日、水戸京成百貨店8階に30点余りが展示される予定で、多くの皆様に見てほしいと思っている。負担が多くかかる会員からは準備が大変で、見直しの声もあるが、意義ある活動として今後も継続して行きたいと考えている。後期高齢者の自分にとって、ロータリー活動は、社会と接点をもち、社会に小さな貢献する大事な機会になっている。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事アドバイザー)

延伸計画には慎重姿勢 TX 8月に開業20周年

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開業20周年で車両に取り付けられるヘッドマークを持つ渡邊良社長。左上が20周年記念のロゴマーク、左下が記念トレインとして装飾されるTX-2000 系車両、右はデザインが発表された新マスコットキャラクター

つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(本社・東京都千代田区)の渡邊良社長は28日、つくば市内で記者会見し、今年8月24日に迎える開業20周年記念の特別企画について発表した。安全・安定・安心の運行で沿線価値を高めてきたと20年間を総括。秋葉原から東京駅、つくばから土浦の両方向で立ち上る延伸論議には慎重な姿勢を崩さなかった。

利用者増も借入返済道半ば

TXは2005年8月に開業、20年間で累計21億人を運んだ。1日当たり利用者数は2023年度で38万人超、24年度は40万人を超えると見られ、コロナ禍で27万人台にまで減少した20年度から立ち直った。

渡邊社長は、沿線の人口増もあったが、自治体や企業・法人、利用者と鉄道事業者との「共創」によって沿線価値を高めてきた結果で、「今後も地域と情報交流、意見交換をするコラボレーション型での発展の方向をめざしたい」とした。

「TXは開業時こそ最新鋭の高速鉄道だったが、20年も経つと経年劣化から設備の更新、車両の更新が求められる。特に混雑緩和のため車両を6両から8両編成にする計画で北千住駅のホーム改修などに取り組んでいる」のを優先課題に挙げた。

順調な利用者増で当初計画より早く単年度黒字を実現したが、資金状況を依然険しくしているのが借入金の返済負担だ。同社によればTXは総事業費約8000億円で建設され、うち6000億円は借入金。無利子だが、毎年200億円を鉄道・運輸機構に返済している。今後20年以上続く見通しという。

このため新たな投資には慎重だ。秋葉原駅から東京駅まで延伸させる「臨海地下鉄」の構想があり、沿線11区市が参加する事業化促進期成同盟会も設立されている。具体化は国の運輸政策審議会の結論次第だが、渡邊社長は進展を見極める必要があるとした。「資金的に債務過剰にならないか、株主である沿線1都3県の自治体としっかり検討していきたい」

また茨城県で検討されているつくば駅からJR常磐線土浦駅(土浦市)への延伸については「茨城県が交通体系をどうされるのか、その検討結果を受けてTXは対応を考えるという立場だ」と述べるにとどまった。

ロゴマークと新キャラ発表

開業20周年の特別企画としては記念のロゴマークと新マスコットキャラクターが発表された。ロゴマークは都心部や緑の多い地域、マンションが立ち並ぶ居住区などのさまざまな場所と、走り抜けていくTXを組み合わせ、沿線の街や人々と共に成長してきた20年をイメージしたビジュアルに仕上げた。

新マスコットキャラクターは、力強く純粋で幸運を呼ぶと言われているユニコーンをモチーフにした。未来につながる鉄道であるTXを体現し、共に駆けていく思いを込めた。3月にもネーミング投票を開始する予定だ。(相澤冬樹)

◆開業20周年記念特設サイトはこちら

➡渡邊良社長の記者会見の様子

冬の洗濯物と器《続・平熱日記》174

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】嫌いなこと。そのひとつが冬の洗濯物の長袖下着の袖に手を突っ込んで引っ張り出すこと。冷たい袖に手を入れると、やり場のない(誰の仕業かは明らかだけど)怒りがこみ上げてくる。寒さや冷たい水が年々苦手になってくるのは、歳(とし)と共に脂っ気が抜けてきたからかもしれない。

「氷河期を生き延びたのはポッチャリらしいわよ」とは、永遠のダイエッターである友人のマヨねえさんの言い分。ポッチャリかどうかは関係なく、人間が氷河期を生き延びたというのは本当だろうか。どう考えても、氷の世界をダウンジャケットも暖房もない人間が生き延びたとは私には考えられない。

そこまで遡(さかのぼ)らずとも、例えば、ちょっと昔の日本の家屋で冬を過ごすことさえ私には耐えられそうもない。そんなことを思いながら朝、薪(まき)ストーブに火を入れる。

さて昨年の春のこと。ある若い女性が古い家を買ってご主人と直して住むというので、その庭木の伐採と処理を引き受けた。その家は私の住まいからほど近いところにあって、大きな石の配してある庭に平屋の母屋が建っていた。敷地には槙(マキ)、ヒバ、モッコク、山茶花、カエデ、サルスベリなどの庭木が植わっている。

女性はその数本を残してほとんどを伐(き)ってほしいという。庭木程度と軽い気持ちで引き受けてしまったが、軽トラの荷台に山積みの枝を何度も運ぶことになった。結局、春から始めて、終えたのは夏前のこと。

「さいとうさんちで絵と器」展?

今、この家を暖めてくれているのはその庭木たちだ。普通は薪などにしない種類の木もあって、例えば金木犀(キンモクセイ)は意外に火の付きがよかったり、ゴツゴツ・クネクネの梅は火持ちがいい。月桂樹は乾くと軽かった。ストーブの中で揺らぐ火を見ていると、あの暑い中、汗をかいてヘトヘトになったことを思い出す。

そして、あのとき体から出て行った体温が回りまわって、今ストーブの中で燃えて体を温めてくれているような気がする。

先日、まだ置きっぱなしの残りの薪を取りにうかがうと、ご夫婦で風呂場の造作中。実はこの女性、大学の後輩の陶芸家で、今年はこの界隈(かいわい)で作品を発表したいという。そういえば…。10年以上前に我が家で自分の絵を展示したことを思い出して、「我が家でいかが?」と誘ってみたところ、まんざらでもなさそうだ。我が家の枯れ具合は器を並べる器として悪くないらしい。

ちなみに、器という字の真ん中はもともと「犬」という字だそうで、ご存じのように我が家には名(迷)犬パクもいるし、私の絵も飾って「さいとうさんちで絵と器」展なんてやってみようかという気になっている。

最近、家族内のグループメールを作った。その昔、洗濯機のふたに「袖出せ!」と殴り書きして貼ったことを思い出すが、メールには「袖はきちんと出して洗濯機へ」と書いてみた。

全く器の小さい人間だと自分でも思うが、そんな憂鬱(ゆううつ)も、苦手なパーカーのフードもカラッと乾かしてくれる薪ストーブの包容力に助けられている。(画家) 

筑波山地域ジオパークが再認定 課題の改善が実る

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「再認定」の決定を喜ぶ五十嵐市長

日本ジオパークの認定審査が27日、日本ジオパーク委員会(中田節也委員長)で実施され、筑波山周辺6市にまたがる「筑波山地域ジオパーク」が再認定された。2021年に続く2度目の再認定となる。

理由として同委員会は「筑波山地域サイトの見直し、拠点施設『つくばジオミュージアム』の完成と活用、地元の石材遺産の活用などを通して、ボトムアップ形式の活動や各市の連携強化などの効果を生み出している」と評価。今後に向けては「多様な教育の推進、ツーリズムの推進、パートナーシップの強化、新しいサイトの案内・解説看板の整備等に取り組み、地域内ネットワークを強化しながら地域の持続可能な発展に結びつけることを期待する」と、4年後の審査に向けた更なる改善への期待を述べた。

審査は4年ごとに行われ、前回の審査時には委員会から、運営体制の在り方や部会員間の相互連携など8項目の課題を指摘されていた(24年11月28日付)。

地域経済の発展につなげたい

「再認されました!」

午後4時16分。日本ジオパーク委員会から審査結果を知らせる電話がつくば市役所庁議室で鳴る。電話を受けるのは筑波山地域ジオパーク推進協議会会長を務める五十嵐立青市長。結果を周囲に伝えると、関係者の表情が安堵した様子に変わった。

「再認定」の知らせに安堵する関係者たち

五十嵐市長は「(この結果が)地域経済の発展につながっていくことが望ましい。広域で連携しながら市民と共に様々な活動を展開していくことで、より自律的な活動になることが望ましい」とし「各自治体に事務局支部を置いたことで、これまでよりはるかにやり取りができるようになった。役割分担が進んでいる」と述べた。課題として「認知度不足」を挙げる。「五感で味わうのがジオパークの魅力。多くの人に実際にジオサイトに足を運んでもらえるよう、さらに努力していきたい」と語った。

ジオサイトを組み直し

筑波山地域ジオパークは、つくば、石岡、笠間、桜川、土浦、かすみがうらの6市にまたがるエリアで構成されている。一帯にある筑波山、霞ケ浦、平野を流れる河川が生み出す独特の地形や地質とともに地域に根ざした営みが評価され、2016年に日本ジオパークに認定された。4年前の再認定審査の際は、学校教育との連携、ジオツーリズム、運営体制の在り方、関係機関間の相互連携など8項目の課題を指摘されていた。

今回の審査を前に同推進協議会では、ユネスコ世界ジオパークが再定義したガイドラインに基づきジオサイトを新たに組み直した。2021年から専門員を雇用し各学校で出前授業を実施した。中核拠点施設として同市北条の廃校に「つくばジオミュージアム」(23年10月31日付)を整備するなど、指摘された課題の解決に取り組んできた。昨年7月には筑波山塊の花こう岩が、国際地質科学連合により「ヘリテージストーン(天然石材遺産)」に認定され、自然遺産と地域の新たな連携も生まれている。

同協議会の伊藤祐二事務局長は「地域にある課題を克服していくことがこの仕組み。一つ一つ解決するために、地域との連携を大事にしながら活動を進めていきたい」と話した。

今回の審査では、伊豆大島(東京)、箱根(神奈川)、立山黒部(富山)など10カ所が再認定され、蔵王(宮城)が新規認定を得た。現在までに48地域が日本ジオパークに認定されている。(柴田大輔)

笠間で写真家 柳下征史さんの遺作展《邑から日本を見る》176

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作品の解説をする柳下知彦さん(中央)

【コラム・先﨑千尋】一昨年10月に亡くなった記録写真家・柳下征史さんの写真展が、笠間市の日動美術館で開かれている。会場には、柳下さんが残した県内各地に残る茅葺(かやぶ)き屋根の家や、今では見られなくなった農村風景、日常の行事、茅葺き屋根を題材にしたこれまでのカレンダーなど84点が展示されている。

柳下さんの業績については、このコラム148「茨城の原風景を撮り続けた柳下さん」(2023年11月27日掲載)でも報じた。1月11日には会場でギャラリートークが行われ、三男の知彦さんが征史さんの歩んできた道や作品の解説を行い、約30人が写真を見ながら熱心に説明を聞いた。

柳下さんは1940年、東京都渋谷区で生まれ、疎開により和紙で有名な久慈郡諸富野村(現常陸大宮市)西野内に移った。日立製作所時代から写真に興味を持ち、県北地方を中心に写真を撮り続けてきた。世界的な写真家、ユージン・スミスとの出会いもあった。

1975年に会社を辞め、ひたちなか市に写真工房を開き、写真家として独立した。独立後、柳下さんは「何か形のあるものを残したい」と考え、日本人の生活の源といえる草屋根の家が近代化の影響を受け、ものすごい速さで消えていることに着目。記録は生活の基盤である「家」を中心にすべきだと、ひたすら県内のワラ葺き、茅葺き民家を撮り続けた。

その成果が結実し、1994年に『ひだまりのワラ葺き民家』(八溝文化社)を発刊。東京・銀座の「富士フォトサロン」で企画展を開くことができた。あとがきに「初めての土地で気に入ったワラ葺き民家に出会ったとき、私の心を打ったのは、周辺の風景とともに永い日々の風雪に耐え続けてきたその存在感である」と書いている。

2007年には、同書のタイトルと構成を変え、『ひだまりの茅葺き民家-茨城に見る日本の原風景』(八溝文化社)を発刊した。笠間日動美術館では、全国の民家を描いてきた洋画家の向井潤吉作品展との共催も実現している。

2003年、常陸太田市の西金砂神社、東金砂神社が72年に一度という磯出大祭礼を実施したが、柳下さんはその公式記録の撮影を依頼されている。

茨城県北地域の原風景を写す

「茅葺き屋根のある風景を撮り続けてきた私は、ある日、写真を核として『人間の生から死までの所業』をあらわしたいと思った」。

その思いは、柳下さんの写真を見た俳人の今瀬剛一さんが俳句を作り、その俳句を書家の川又南岳さんが書にし、『おまえ百まで、わしゃ九十九まで』(八溝文化社)として結実した。最も古い写真は1965年、新しいものは2013年と、50年にわたって農山村の生から死までの日常の暮らしを写し取った。本書に収められた写真の多くは現在では見られない光景で、単なる写真集ではなく、「茨城県北地域の原風景」として後世に残る作品となっている。同書は、県内の図書館や小中学校の図書室に備えられており、ひたちなか市のヤギ写真工房や笠間日動美術館で購入できる。

柳下さんの写真展は3月9日まで開かれており、2月8日午後2時から、再度、知彦さんのギャラリートーク(作品解説)がある。(元瓜連町長)

「ほとんどが賛同」 産業用地候補地で初の地権者説明会 つくば市

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圏央道つくば西スマートIC周辺地区の産業用地候補地の対象区域(赤い線で囲まれた区域)

圏央道つくば西スマートIC周辺

つくば市が検討している、工場や物流倉庫などが集積する新たな産業用地について(1月10日付)、市内4カ所の候補地のうち最も評価が高い「圏央道つくば西スマートIC周辺地区」(同市高須賀など約74ヘクタール)で25、26日の2日間、地権者説明会が開かれた。

地区別に計4回開かれ、地権者約250人のうち4回で計約200人が出席した。市は併せて地権者の意向調査を実施、集計はこれからだが、市によると、ほとんどの出席者から計画に賛同する意向確認書が書面で出されたという。

市は今回の地権者説明会の意向確認を元に今後、事業を進めるか否かを決める。事業計画や開発手法、今後のスケジュールなどは未定だが、地権者全員の同意を得て、全面買収で実施する方針だ。

27年来の懸案

同地区は昨年12月26日、地域経済をけん引することを目的とする地域未来投資促進法に基づく重点促進区域として経産省が同意した。重点促進区域になれば、開発の際に手続きが簡略化されたり、税制優遇などを受けることができる。一方、昨年12月の市議会定例会議では、市が提案した同地区の埋蔵文化財試掘調査費に対し、議会から「地権者への説明が先」だとする意見が出て、調査に待ったがかかった。

25、26日の説明会では、市から事業の目的や対象区域、経緯などについて説明があった。ほかに地元住民から、今月11日、地権者の合意形成を図ることを目的に、同地区の区長や土地改良区の役員らが住民団体「圏央道つくば西スマートインターチェンジ周辺地区連絡協議会」(木村守昭会長)を結成したこと、同地区内に農業の振興を図るための農振農用地37.4ヘクタールなど集団農地をもつ真瀬土地改良区が23日に理事会を開き、事業計画を推進することを決議したなどの報告があった。

説明会で連絡協議会の木村会長(78)は「27年前、7人の区長から『この地域は(TX沿線開発などの)開発から取り残されてしまうので、にぎやかにしてほしい』との要望が出され、昨年亡くなられた会長が市につないで、63ヘクタールのアグリパーク計画(バラ園や市民農園など)が立てられ設計までされた。第1期の20ヘクタールは地権者全員の同意までいただいて、市は約19億7000万円の予算を市議会に上程したが、1票差で否決されアグリパークはできなかった。その後も地域の皆が喜ぶものを完成させたいと、昨年亡くなった会長が市と話し合いながらここまできたという状況」と27年来、地域の懸案だった経緯を話し、「会長の遺志を継いで、皆が喜ぶようにやっていきたい」と述べた。

真瀬土地改良区の山田守理事長は「74ヘクタールのうち半分が農用地。農振(農業振興地域)を除外するのは大変な仕事で、農水省と話をすると何年もかかるが、地域未来投資促進法という法律で特例を受けることができる。地域住民から陸の孤島だと言われていた真瀬地区に開発の話が出るのは初めて。今、農業者の平均年齢は70歳前後で、あと5、6年で農業ができなくなる。土地を有効活用してほしいという声があり、土地改良区としても全面的に(産業用地計画を)やっていきたい」と話した。

出席した地権者から反対意見は出ず、質問も少なかった。

高齢化し農業で食べていけない

説明会に参加した地権者の男性は取材に対し「せっかくのチャンスなので、やってもらった方がいい」と話していた。木村会長は「農業では食べていけない状況があり、農家は高齢化し、いくら土地をもっていても、草刈りをやらなければならなかったり、税金がかかる」と話し、産業用地の開発について今後「地元の雇用が拡大するよう、製造業の立地を要望するなどしていきたい」と話した。

市によると、区域内に上郷院内山遺跡があることから、市議会に再度、予算を提案し、5月中旬から9月上旬ごろまでの間、文化財の埋蔵状況を確認するための試掘と確認調査を実施する予定だという。(鈴木宏子)

27日運行開始 公共ライドシェア つくば、土浦など4市

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関係者を乗せてプレ運行する女性ドライバー=23日午後7時ごろ、つくば市並木ショッピングセンター駐車場

一般ドライバー76人が送迎

バスやタクシーなどの移動手段を確保することが困難な交通空白地で、自治体が運行主体となり、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を送迎する「公共ライドシェア」が27日から、つくば、土浦、下妻、牛久4市の4エリアで運行を開始する。運行期間は2027年3月末までの約2年2カ月間(24年5月29日付24年10月1日付)。

今月7日までに応募があった一般ドライバーは、20代から70代の計76人。昨年12月半ば時点より2人増え目標の76人を達成した(24年12月24日付)。76人は順次、送迎の際の接遇や送迎アプリの使い方などについてそれぞれ講習を受講し、今月14日から26日までは運行会社の関係者などを実際に乗せて各運行エリアを走るプレ運行を実施している。

ドライバーの一人、土浦市のパート、女性(51)は23日夕方、つくば市桜ニュータウンや隣接の土浦市天川団地から、つくば市並木ショッピングセンターやつくば駅など「つくば・土浦エリア」をプレ運行した。女性はタクシーなどの運転ができる2種免許がある。「免許を生かすことができ、自分の時間で働ける仕事なので応募した」と話し「パートの仕事を終えてから、部活動をしている高校生の次男を迎えに行くまでの間の午後5時ごろから6時ごろまで運転できる。(運行ルートは)走り慣れている道なので、人を乗せて運転することに抵抗はない。将来、自分が運転できなくなる年齢になった時に(公共交通が)どうなるか不安があるので、お手伝いできれば」と話す。

公共ライドシェアの車内

「つくば・土浦市エリア」のほか、筑波山中腹の「筑波山エリア」、下妻市南側の「下妻エリア」、常磐線沿線を除く牛久市全域の「牛久エリア」の4エリアで、公共交通の運行がない時間帯などに運行する。

送迎アプリを開発するコミュニティ・モビリティ社(東京都中央区)に4市が運行を委託し、関東鉄道が運行管理者となる。登録ドライバーはつくば・土浦エリアが41人、筑波山エリアが15人、下妻エリアが3人、牛久エリアが17人。各エリアとも定員いっぱいとなり応募を締め切っている。

乗車方法は、各エリアとも1週間前からインターネットの特設ページなどから予約を受け付けている。運行会社によるとスタート時点の予約状況はまだ余裕があるという。利用料金は各エリアで異なる。(鈴木宏子)

◆4市の公共ライドシェアの利用方法はこちら

体感しよう「土浦八景」「垂松亭八景」《文京町便り》36

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土浦藩校・郁文館の門=同市文京町

【コラム・原田博夫】昨年12月、今私が会長を務めている土浦ロータリークラブ(RC)が、市内に2つの案内板「体感しよう、土浦八景」「体感しよう、垂松亭(すいしょうてい)八景」を設置しました。場所は、土浦駅西口のプレイアトレ前、小松二十三夜尊(にじゅうさんやそん)境内です。「…土浦八景」は市に寄贈し、その式を2月5日、市役所で行います。

案内板設置の着想は、土浦市立博物館の第38回特別展(2017年3月)の際にまとめられた冊子『土浦八景~よみがえる情景へのまなざし』に由来します。

「垂松亭八景」案内板の横に立つ筆者

私は高校まで土浦で過ごしたにもかかわらず、そういった歴史をほとんど知りませんでした。この特別展で、複数の「土浦八景」が江戸時代から選定されていたこと、その中のいくつかは自宅付近の馴染(なじ)みある風景だったことを知り、子供時代の思い出がよみがえりました。

そこで、案内板設置を、土浦RCの地区(国際RCの茨城県域)補助事業として申請し、土浦市民や市来訪者が周遊する際の目印としてはどうかと考え、「体感しよう、垂松亭八景」と「体感しよう、土浦八景」の案内板を設けることにしました。

江戸時代の藩主と町人が選定

垂松亭八景は、第4代土浦藩主・土屋篤直(あつなお)が在藩の折、小松台地に庵(いおり)・垂松亭を建て、そこからの藩内の景色を家臣たちと愛(め)でたことに始まるそうです。近年確認された巻子一巻「垂松亭八景詩巻」によると、宝暦2年(1751)のことです。この詩巻は市立博物館に所蔵されています。

「土浦八景」案内板の横に立つ筆者

土浦八景は、その約100年後の江戸時代後期、文芸を好む町人たちが選定した八景です。それをまとめた一冊(慶應2年<1866>刊)は早稲田大学図書館に収蔵されています。

2023年12月、土浦は歴史的風致維持向上計画に認定されており、市民や市来訪者の皆さんには、2つの案内板を参考にして、土浦の江戸時代以来の変遷と第2次世界大戦後・21世紀の変貌を味わいながら、市内を回遊してもらいたいものです。(専修大学名誉教授)

スタバの協力で「ふらっとカフェ」《けんがくひろば》14

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ふらっと カフェの様子

【コラム・椎名清代】私たちは2023年秋から「けんがく ふらっと カフェ」を始めました。商業施設イーアスつくば(つくば市研究学園)内のスターバックスコーヒー店で、月1回開いています。だれもがフラットな立場、進行役もいない、テーマもない、決まりもない―そんな集まりです。毎回、20人近くの人が集まり、おしゃべり、笑顔があふれる空間になっています。

最初はイーアス内

研究学園エリアは2万余の人が暮らす大きな街になりました。でも、自由に利用できる交流センターのような公的な集会施設がありません。どこか借りられるところはないかと、3人の民生委員で考え、チェックアウトからチェックインまでの時間、ホテルの一角を貸してもらえないか聞いたこともありました。

そんなとき、テレビで見た町田市のスターバックスで開かれている認知症カフェのことを思い出し、町田市役所に問い合わせました。市から当時の店長さんを紹介してもらい、スターバックスは社会貢献を社の方針としており、つくばでもサロン活動を実現できることを知りました。

しかし私たちは、お店の方に「利用させてください」と話すことができませんでした。そんな状況を社会福祉協議会の生活支援コーディネーターに話したところ、市の地域包括支援センターにつないでもらい、サロンを実現することができました。スターバックスは従業員と地域とのつながりを大切にしており、席の設定や他のお客への配慮など、とても感謝しています。

ふらっと カフェの表示

学園の森や大学内にも誕生

参加者は研究学園エリアのシニアの女性が中心で、その多くが県外や他市町村から移って来た人たちです。ここでは、新たなつながりが生まれたり、意外な発見があったりします。多世代にも広がったらと思いながら活動しているうち、「がくもり ふらっと カフェ」(スターバックス学園の森の店、つくば市学園の森3丁目)も誕生しました。

子育て現役世代の情報交換の場になればと思っており、小さなお子様連れも大歓迎です。小さな子を連れてカフェに行くのは気が引けてしまうママたちの憩いの場になったらと思っています。もちろん年齢層は幅広く、70代の先輩ママもご参加しています。男性も数名いらしています。

私たちの活動は、「つくばセンター ふらっと カフェ」(つくば市吾妻、トナリエキュート内)、「キャンパス ふらっと カフェ」(つくば市天王台、筑波大学中央図書館内)へと、市内にある他のスターバックスにも広がっています。

民間会社の方たちに集会の場を提供してもらい、これからも「ふらっと カフェ」活動を広げられると希望を感じています。でも、そもそもの始まりは「研究学園には公的な集会施設がない。交流センターが欲しい」でした。こういった市の施設の実現はこれからの課題です。(ふらっとカフェ実行委員)

免許証失効したまま車通勤 つくば市職員 公用車運転も

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つくば市役所

つくば市は24日、市立保育所に勤務する市職員が、昨年12月15日から今年1月23日まで約1カ月間、運転免許証を失効した状態で、自家用車で通勤していたほか、1月20日には研修のため公用車を運転し保育所から市内の公立施設まで往復したと発表した。

市幼児保育課によると、職員の運転免許証の有効期限は昨年12月14日だった。今年1月23日、職員が自分の免許証を確認したところ、失効に気付き、所属長の保育所長に報告した。職員は翌24日、家族の送迎で運転免許センターに行き、免許証の更新手続きを行った。道路交通法に基づく罰則などはなかった。

失効した理由について職員は、うっかりして失念してしまったなどと話しているという。

再発防止策として市は、全職員に対し運転免許証の有効期限を確認するよう注意喚起し再発防止に努めるとしている。

ロウバイが満開 筑波山梅林 春の訪れ告げる

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満開のロウバイ=23日、筑波山梅林

筑波山中腹の筑波山梅林(つくば市沼田)で23日、春の訪れを告げるロウバイが満開となり、ろう細工のような光沢のある黄色い花を咲かせている。

ロウバイは、標高約250メートルの梅林内にある筑波山おもてなし館付近に数十本ある。ほのかに甘い香りが漂う中、家族連れらが、青空と黄色のコントラストを写真に収める姿が見られた。

つくば市観光コンベンション協会によると、1週間ほど前から満開になっており、今が見頃。ロウバイは中国が原産で、梅の一種ではなくクスノキ目に属している。

ほのかな甘い香りが漂う

神奈川県横浜市から訪れた40代夫妻は「筑波山に観光で来て、昨日は亀の井ホテルに宿泊した。夜空がとてもきれいだった。今日は偶然、梅林を訪れ、ロウバイがきれいなので感激した。筑波山は自然が素晴らしいのでまた訪れてみたい」と話した。

梅林では早咲きの紅梅も咲き始めている。今年の梅まつりは2月8日から3月9日まで。広さ約4.5ヘクタールの梅林には約30種の紅梅と白梅計約1000本が植えられている。筑波石と呼ばれる斑れい岩の巨石があちこちにあり、筑波山地域ジオパークの見どころの一つになっている。梅林内の最上部にある遠望あずまやからは、眼下に山麓の田園風景、好天日は首都圏のビル群や富士山を望むことができる。(榎田智司)

最優秀賞は野口重典さん 24年度「日本一のれんこんグランプリ」

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前列左から、市川誉庸さん、野口重典さん、大川正勝さん、後列は左から小林勉副市長、安藤真理子市長、JA水郷つくば池田正代表、平石勝司市会議員=土浦市役所

日本一のレンコン産地として土浦のレンコンの魅力を広く発信しようと、昨年11月開かれた2024年度「日本一のれんこんグランプリ」(土浦市主催、JA水郷つくば協賛)の表彰式が23日、土浦市役所で開かれた。最優秀賞に選ばれたレンコン生産者の野口重典さん(42)、優秀賞の市川誉庸さん(36)、優良賞の大川正勝さん(44)の3人が安藤真理子市長から表彰を受けた。

同グランプリは、昨年11月23日に市内で開催された土浦市産業祭の会場で実施された。市内の生産者が出品した48本のレンコンを並べ、形や大きさなどの見た目を来場者が投票して順位を決定した。

表彰式にはほかに、小林勉同市副市長、JA水郷つくば農業協同組合池田正代表理事組合長、来賓として市議会産業建設委員会委員長の平石勝司市議が出席した。

安藤市長は「今回のグランプリは昨年11月に開催された土浦産業祭の中で投票されたもの。多くの方が48点の応募作品を真剣なまなざしで一つひとつ選んで投票していたのが印象深い。生産者の皆さんのますますの力強い生産に期待している。多くの関係者の皆さんに感謝したい」と述べた。

JA水郷つくばの池田正組合長は「農産物販売の主力はレンコン。日本一のレンコンなので、今日表彰される3名は日本一の3人ということ。生産者の励みになる表彰。切磋琢磨して愛されるレンコン作りを、生産者として先頭に立ってほしい」と話した。

最優秀賞に選ばれた野口さんは「皆様に感謝したい。就農して20年になる。今年初めてグランプリに出品して最優秀賞をいただいた。今後も土浦の日本一のレンコンをPRしていけるように日々精進してレンコン作りに励みたい」と受賞の喜びを語った。

優秀賞の市川さんは「れんこんグランプリで表彰されるのは3回目。土浦ブランドにも認定され昨年は最高の年だった。3年入賞できるのはなかなかないかと思う。今SNSを使ってPRしているので販売につなげていきたい」とした。

優良賞を受賞した大川さん「今回賞をいただいて大変ありがたい。自分は日頃から消費者目線で生産を心掛けている 消費者の皆さんに選んでもらってありがたい。今後も頑張りたい」と抱負を語った。

味には自信がある

安藤市長から表彰を受ける最優秀賞の野口さん=同

野口さんのレンコン畑は10ヘクタール、年間約250トンを作っている。「レンコンは土づくりが大事」だとし「味には自信がある」と話す。レンコンは形も大切で、節をすべて均等に作るのが特に難しいという。

都内を中心に和食レストランなど約20店に卸している。「ヒツジ肉にレンコンが合う」とオープン当初から野口さんのレンコンを購入してくれるジンギスカン料理店もあるそうだ。

野口さんによるとレンコンは根元に近いほどほくほくしていて、上部はシャキシャキしているのが特徴だ。そのため「根元は煮物に、上部はサラダやてんぷらなど料理によって使い分けてもらうとさらにおいしく食べられるので試してもらえたら」と話す。

「市内に生産者がたくさんいることを消費者にアピールしていくためにも、土浦のいろいろなレンコン農家の人は産業祭に参加して、れんこんグランプリで賞を取ってほしい」と語った。(伊藤悦子)