【コラム・川上美智子】ロータリークラブに入会して15年目を迎えた。まだ、大学の教育や研究、そして学部や大学院の改革で忙しい最中だったころ、ほんの気楽な気持ちで新たに水戸市内に誕生する女性会員だけのクラブに入会した。国際ロータリーが運営する厳しい基準やルールに縛られることも知らずにスタートしたロータリーの奉仕活動であったが、女性が活動しやすい形に少しずつ改善し、今に至っている。
女性だけのクラブという特色を生かし、身近な子どもの育ち、子育て、女性をテーマに、奉仕活動を行ってきた。
水戸市子育て支援・多世代交流センター「わんぱーく・みと」の玩具の清掃と寄付、水戸日赤乳児院や小児がんなど難病の子どもとその家族のための総合支援センター「アフラックペアレンツハウス」への物資などの寄付、「水戸市こどもフードパントリー」ではお子様がいる準要保護家庭の希望者に食品・食材や生活用品を配布している。
クラブ奉仕活動の中心になってきたのが「障がいのある子のアート展」である。水戸市内には盲学校、聾(ろう)学校を含め6つの茨城県特別支援学校があり、そこに通う幼児・小中高校生を対象に年1回、作品の展覧会を開催してきた。茨城県、県教育委員会、水戸市、市教育委員会、水戸芸術館、NHK、茨城新聞社などの後援と企業の協賛をいただき、子どもたちの学びの励みになればと数多くの賞を出している。
2月下旬、水戸京成百貨店
県教育委員や市教育委員を拝命しているころには、数多くの特別支援学校を視察し、児童生徒の美術の取り組みを見る機会があった。指導される先生方は、さまざまな障がいをもつ子どもたちに、その子がやりたいと思うアートの手法を選び、マンツーマンの体制で、子どもの感性のままの一筆ひとふでをサポートし、共に喜び、子どもの満足する表情や姿を確認し対応されている。
それが、一つの大きな作品となり、応募されるのだと思うと、託され受け取る側も選定や展示の仕方に力が入る。美術や担任の先生には、子どもたちのそれぞれの作品への取り組みの思いや背景を書いていただき、脇に展示している。毎年、本当に見応えがある力作が集まり、我々も楽しませてもらっている。
今年は2月21日~27日、水戸京成百貨店8階に30点余りが展示される予定で、多くの皆様に見てほしいと思っている。負担が多くかかる会員からは準備が大変で、見直しの声もあるが、意義ある活動として今後も継続して行きたいと考えている。後期高齢者の自分にとって、ロータリー活動は、社会と接点をもち、社会に小さな貢献する大事な機会になっている。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事アドバイザー)