一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「自家用有償旅客運送」の実証実験を、つくば市が来年1月から市内2地区で計画している。スマートフォンのアプリでドライバーと乗客をマッチングさせ、公共交通の運行がない時間帯に限定して実施する。
6月6日開会の市議会6月定例会議に提案する。実証実験は3年間で、運行は2026年度まで。つくば市が、土浦、牛久、下妻市に呼び掛け、4市共同で取り組む。日本版ライドシェアはタクシー会社が運営主体となるのに対し、今回の実証実験は4市がそれぞれ運営主体となる。ドライバーの健康管理や車両点検などは地元のタクシー会社やバス会社に委託する方針だ。
つくば市が取り組む2地区は、同市下広岡の住宅団地 桜ニュータウンと筑波山地域。桜ニュータウンは昨年1月末、つくば駅に向かう路線バスが廃止された。代替公共交通である乗り合いタクシー「つくタク」が運行していない時間帯の朝夕に、地域住民などを対象に、桜ニュータウンとつくば駅の区間などで実施する。
筑波山地域は、中腹のつつじケ丘や筑波山神社を運行する関東鉄道 筑波山シャトルの最終便が夕方5時ごろであることから、バスの運行が無くなる5時以降、観光客などを対象に、中腹からふもとの筑波山口までの区間で実施する。筑波山口からは公共交通などを利用してもらう。
市総合交通政策課によると、運転手不足の中、公共交通の課題がある地区で実施する。24年度の事業費は4市合わせて約3億3500万円。実証実験ではまず、一般ドライバーが登録するためのドライバーバンクアプリと、ドライバーと乗客をマッチングさせる配車アプリを4市で協議しながら共同開発する。一般ドライバーの募集は10月以降開始し、審査と研修などを実施する予定だ。4市で計76人の登録を目標にしている。
運行エリアや実施時間帯をどう設定するか、乗車運賃や支払い方法をどうするか、ドライバーが待機する時間帯の賃金などをいくらにするか、乗客によるドライバーの評価を点数化するかなど詳細は、4市での協議のほか、行政、交通事業者、地域住民などで構成する市公共交通活性化協議会で協議して決める。国は運賃についてタクシー運賃の8割などを目安としている。(鈴木宏子)