土曜日, 7月 19, 2025
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再認定に向け現地調査 筑波山地域ジオパーク

来年1月、日本ジオパーク委員会が審査

筑波山や霞ケ浦、関東平野などを含む「筑波山地域ジオパーク」で、地質遺産など大地の遺産を保全し活用する取り組みが質・量ともに充実しているかなどについて審査する、4年に一度の再認定審査が今年行われている。審査の一環で28日から日本ジオパーク委員会の調査員2人が筑波山地域を訪れ、30日まで現地視察や関係者へのヒヤリングなどを実施している。合格しないとジオパークの認定が取り消される厳しい審査だ。審査結果は来年1月27日に出される。

28日、日本ジオパーク委員会委員で群馬県立自然史博物館学芸員の菅原久誠さんと、島原半島ユネスコ世界ジオパーク専門員の森本拓さんの2人が現地調査に訪れた。2人は同日、筑波山地域ジオパークを運営する同推進協議会(つくばなど6市の行政、市民、民間団体、専門家らで構成)のジオガイドらの案内で、つくば市平沢の奈良・平安時代の役所跡「平沢官衙遺跡」や周辺の古墳などのほか、同ジオパークの中核拠点として旧筑波東中学校校舎に昨年11月オープンした「つくばジオミュージアム」などを視察した。29日は桜川市内を現地視察、30日は書類審査などを実施する予定だ。

平沢官衙遺跡では28日、同遺跡歴史ひろばを管理し団体客を案内したりイベントを開催するなどしているNPO平沢歴史文化財フォーラムの結束芳彦理事長(71)が、日本ジオパーク委員会の調査員らに同官衙遺跡が保存されるに至った経緯を説明した。「県営住宅をつくる計画があり、遺跡が出たので、県営住宅をつくるか、遺跡公園をつくるか論争があった」とし「国指定史跡となり、今は我々地元民が管理している。年間4~5万人が来て、勉強したり、くつろいだり、散歩をしている。我々も(遺跡として残ったことを)誇りに思っている」などと話した。調査員2人からは「修学旅行も来られますか」「自ら管理しようというのは集落の中から沸き起こったのですか」などの質問が出た。

結束さんは「再認定を受けるため(推進協議会の関係者が)頑張っているので、我々も地元民が誇りに思っていることや、学校教育にも資しているということを話した」などと語った。

平沢官衙遺跡について紹介するNPO平沢歴史文化財フォーラムの結束芳彦理事長(左端)

8つの課題を指摘

筑波山地域ジオパークは2016年にジオパークとして認定された。その後2021年2月に再認定され、今回は2回目の再認定審査となる。審査のポイントは、前回4年前の審査の際に日本ジオパーク委員会から指摘された事項に対応できているかだ。

4年前の指摘事項は①ジオサイトの定義見直しに伴うサイトの見直し➁学校教育との連携③多様なジオツーリズムの在り方の検討④効率的かつ効果的な事務局運営体制の検討⑤適正な予算の検討⑥拠点施設・学習施設の連携⑦相互連携の推進及びパートナーシップの強化⑧看板や展示に関するテクニカルな課題及びアドバイスーの8つだった。

同推進協議会事務局のつくば市ジオパーク室によると、①ジオサイトの見直しについては、これまで「筑波山南麓」「桜川中流」など地域ごとに26のジオサイトを設定していたが、ユネスコ世界ジオパークのガイドラインの再定義に基づいて新たに組み直し、「地質サイト」として筑波山山頂の花こう岩など22カ所、「自然遺産」として筑波山塊のブナ林など8カ所、「有形文化遺産」として平沢官衙遺跡、桜川市の真壁の町並みなど32カ所、「無形文化遺産」としてがまの油売り口上など8カ所、「ビュースポット」として土浦市の朝日峠展望公園展望台など12カ所を今年8月の総会で設定した。伊藤祐二室長によると「これまでのジオサイトはふんわりしたエリアだったが、新たな設定では、どこからどこまでかを区切って設定している。区域を明確にしたので、今後はどう保全していくかについても取り組む」と方向性を話す。「民有地についても、地権者と一緒に保全について考える成功例をつくりたい」と意欲を語る。

8つの課題に対する取り組みとしてほかに➁学校教育との連携では、推進協議会で専門員を雇用し2021年から各学校で出前授業などを実施してきた、⑥拠点施設と学習施設との連携では、昨年、中核拠点施設「つくばジオミュージアム」を整備した。さらに⑦相互連携の推進やパートナーシップの強化では、今年2月、ジオパーク活動で得た知識をもとに、真壁石や稲田石などと呼ばれる筑波山塊の花こう岩を国際地質科学連合のヘリテージストーン(天然石材遺産)に申請し、7月にアジアで初めて認定された。認定を受けて真壁などの石材業者から「バブル以来の盛り上がり」と言われたなど、新たな連携ができたとする。

再認定審査に向けては、現地調査に先駆けて9月15日、筑波山地域の課題に対する進ちょくについて、すでに報告書と自己評価表を提出している。

伊藤室長は「まだできてない部分もあるが、4年間真摯(しんし)に課題に対応してきた。現地調査では、課題について調査員と相談しながら、今後良くなる方向で審査が受けられれば」と話す。(鈴木宏子)

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