【コラム・原田博夫】昨年12月、今私が会長を務めている土浦ロータリークラブ(RC)が、市内に2つの案内板「体感しよう、土浦八景」「体感しよう、垂松亭(すいしょうてい)八景」を設置しました。場所は、土浦駅西口のプレイアトレ前、小松二十三夜尊(にじゅうさんやそん)境内です。「…土浦八景」は市に寄贈し、その式を2月5日、市役所で行います。
案内板設置の着想は、土浦市立博物館の第38回特別展(2017年3月)の際にまとめられた冊子『土浦八景~よみがえる情景へのまなざし』に由来します。

私は高校まで土浦で過ごしたにもかかわらず、そういった歴史をほとんど知りませんでした。この特別展で、複数の「土浦八景」が江戸時代から選定されていたこと、その中のいくつかは自宅付近の馴染(なじ)みある風景だったことを知り、子供時代の思い出がよみがえりました。
そこで、案内板設置を、土浦RCの地区(国際RCの茨城県域)補助事業として申請し、土浦市民や市来訪者が周遊する際の目印としてはどうかと考え、「体感しよう、垂松亭八景」と「体感しよう、土浦八景」の案内板を設けることにしました。
江戸時代の藩主と町人が選定
垂松亭八景は、第4代土浦藩主・土屋篤直(あつなお)が在藩の折、小松台地に庵(いおり)・垂松亭を建て、そこからの藩内の景色を家臣たちと愛(め)でたことに始まるそうです。近年確認された巻子一巻「垂松亭八景詩巻」によると、宝暦2年(1751)のことです。この詩巻は市立博物館に所蔵されています。

土浦八景は、その約100年後の江戸時代後期、文芸を好む町人たちが選定した八景です。それをまとめた一冊(慶應2年<1866>刊)は早稲田大学図書館に収蔵されています。
2023年12月、土浦は歴史的風致維持向上計画に認定されており、市民や市来訪者の皆さんには、2つの案内板を参考にして、土浦の江戸時代以来の変遷と第2次世界大戦後・21世紀の変貌を味わいながら、市内を回遊してもらいたいものです。(専修大学名誉教授)